2024/08/03

果皮を剥き終えたオニグルミ落果を貯食するため落ち葉の下に穴を掘る野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年10月下旬

シーン0:10/24・午前10:03(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
山林の斜面を通る獣道でカラマツの木の下に給餌場を設けました。 
30個のオニグルミ落果の山が画面の中央に置かれていて、残り6個の山は左側にあるはずなのですが、窪みの陰でよく見えません。 


シーン1:10/25・午後23:16(@0:04〜) 
深夜にトレイルカメラが起動すると、給餌場で果皮を剥き終えたオニグルミ堅果を野ネズミ(ノネズミ) が口に咥えて運搬しているところでした。 
まだ慣れていないのか、運ぶのに手間取っています。 
体格に対してクルミがちょっと大き過ぎる(重過ぎる)のかな? 
野ネズミは遠くまで持ち去るのを諦めたらしく、クルミを餌場のすぐ右横に置くと、林床の斜面を探索し始めました。 

落ち葉の下に潜り込んで何かしています。 
貯食用の穴を掘っているのでしょうか? 
後ろ向きで落ち葉の下から外に出てきたところで90秒間の録画が終わりました。 


シーン2:10/25・午後23:18(@1:02〜) 
次に野ネズミは放置していたクルミ堅果を取りに戻り、口に咥えてゆっくり斜面を下ると、さっき穴を掘った地点に潜り込みました。 
このとき、持ってきたクルミは穴の横に残したままです。 
頭隠して尻隠さずの状態で斜面に横穴を掘っていた野ネズミが後退しながら外に出てくると、横に置いたクルミの存在を確かめました。 
安心したように穴掘りを再開します。 
やがて、穴の中で方向転換できるようになりました。 
今度は頭から先に穴の外に出てくると、クルミの無事を確認しました。 

残念ながら録画はここで終わっていて、オニグルミ堅果を穴の奥に埋めて隠す貯食行動を最後まで見届けることができませんでした。 
それでも、給餌場の近くにもクルミを隠すことが分かりました。 
(次にトレイルカメラが起動したときには、給餌場で新たにオニグルミ落果を選んで果皮を剥き始めていました。)



秋の二次林で朝から落ち葉をめくって虫を探す2羽のカケス【野鳥:トレイルカメラ】

 



2023年10月下旬・午前7:45頃・気温8℃ 

ニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地がある平地の二次林を自動センサーカメラで見張っていると、朝から2羽のカケスGarrulus glandarius)が登場しました。 

まず1羽がアナグマの巣口L近くの林床で落ち葉を嘴でめくり、獲物となる虫が隠れていないか探していました。 
そこへ背後から別個体が飛来しました。 
縄張り争いが勃発するどころか、仲良く並んで採食行動(落ち葉めくり)を始めたので、おそらく♀♂つがいなのでしょう。 


※ かなり薄暗いので、動画編集時に自動色調補正を施しています。

2024/08/02

カラマツ幹に体を擦り付けて松脂を塗るニホンイノシシ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年10月下旬・午後19:45頃および22:10頃

オニグルミの落果を野ネズミが持ち去って貯食する様子を撮影するために、山林の給餌場にトレイルカメラをローアングルで設置しています。 

するとある晩に、獣道を左から来たニホンイノシシ♀(Sus scrofa leucomystax)がトレイルカメラを覗き込んでいました。 
シナノキの幹の株に固定した見慣れない異物に興味を示し、至近距離で匂いを嗅いでいます。 
牙が目立たないので、♀のようです。 
ヒト(私)の残り香を嗅ぎ取って警戒したのか、慌てて左に走り去りました。 

しばらくすると、逃げたイノシシが左から戻って来ました。 
泥汚れの付いたカラマツ幹の匂いを頻りに嗅いでから、側頭部や左肩を幹の根元にゴシゴシと擦り付けました。 
カラマツ幹の泥汚れは前の年から見つけていて(フィールドサイン)、イノシシの仕業だろうと予想していました。 
雨や雪が降っても、この乾いた泥汚れは落ちずに残ったままです。


てっきりイノシシがヌタ打ち(泥浴び)で毛皮についた泥汚れを落とす行動の結果なのかと推測していたのですが、今回のイノシシ個体は毛皮がきれいです。 
泥や土で汚れているのは鼻面だけです。
「牙研ぎ」行動とも違います。 
そもそも牙が小さい♀は、牙を研ぐ必要が無いのではないかと思います。 
どうやら、カラマツ幹から滴り落ちている樹液(松ヤニ)を自分の毛皮に塗り付ける行動のようです。 

熊谷さとし、安田守『哺乳類のフィールドサイン観察ガイド』によると、
牙を研いだ痕とされているが、サインポストの意味もあるのだろう。木がマツ類の場合、毛を硬くするため、松脂を体に塗るためだともいわれている。(p83より引用)


今泉忠明『アニマルトラック&バードトラックハンドブック』によれば、

泥浴びした後イノシシは近くのマツの木の根元に行って、幹を牙で削り(牙かけ)、体をこすって松やにをつけ、体毛を磨く。(p13より引用) 


松ヤニを塗って「毛を硬くする」メリットがよく分かりませんが、想像するに体外寄生虫や吸血性昆虫を寄せ付けない効果があるのでしょうか?

その後イノシシ♀は、カラマツの根元に私が並べておいたオニグルミ落果(果皮付き)の匂いを嗅いだものの、食べようとはしませんでした。 
左側の給餌場Lの窪みに鼻面を突っ込んで、匂いを嗅ぎました。 
そこには野ネズミが齧り取って捨てたオニグルミの果皮が散乱しています。 

一旦左に立ち去ったニホンイノシシ♀が右から戻ってきました。
法面を下りて林道に達したと思われます。 


2時間25分後、再びニホンイノシシが現れました。
右から来たイノシシがトレイルカメラの直下で林床の匂いを嗅いでいました。
同一個体♀が戻ってきたのかな?
ふと顔を上げて監視カメラの存在に気づくと、慌てて右に走り去しました。
牙の有無を確認できず、性別は不明です。
30分前に来たツキノワグマの残り香を嗅ぎ取って逃げ出した可能性もあります。
最後に獣が鼻息を荒らげて威嚇する音が録音されていました。
逃げたイノシシが近くで採食していたのか、それともカモシカとニアミスしたのかな?




※ イノシシの鼻息♪が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。


【考察】
前年からの宿題だったイノシシの松脂塗り行動が撮れて、感無量です。
カラマツの幹を4日後に撮影した写真を掲載します。
泥汚れが白く乾いている上に、赤い樹脂が滴り落ちています。




注意深く現場検証したら、カラマツの幹からニホンイノシシの体毛を採取できたかもしれません。

幸か不幸か、当地ではイノシシの生息密度がまだ低く、トレイルカメラでも撮影するのは難しそうと半ば諦めかけていました。
昨年はイノシシの出現頻度があまりにも低くて撮影効率が悪いため、暇つぶしにカラマツの木の下でドングリなど堅果を給餌することにしたのです。
イノシシが泥浴びをするヌタ場を突き止めるのが、次の課題です。

警戒心の強いイノシシをトレイルカメラで撮影するには、獣道を高所から見下ろすように狙えば(ハイアングル)、気づかれずに自然な行動を記録できるはずです。
しかし、給餌場に通う野ネズミを撮影するために、ローアングルで監視カメラを設置していました。



【アフィリエイト】

サラシナショウマの花蜜を吸うイカリモンガ(蛾)

 

2023年10月上旬・午後13:35頃・くもり 

峠道の法面に咲いたサラシナショウマの群落でイカリモンガPterodecta felderi)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
翅を閉じたまま、口吻を伸ばして吸蜜しています。 
サラシナショウマの花穂から飛び立つ瞬間を撮り損ねてしまいました。

2024/08/01

越冬用の巣穴を分業して掘り広げる秋のニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2023年10月下旬・午後18:41〜19:31 

シーン0:10/23・午後13:36・気温18℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
新機種のトレイルカメラ2台を平地の二次林に設置し、ニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)を監視しています。 


シーン1:10/26・午後18:41(@0:04〜) 連続撮影のため気温表示は異常値。 
出巣L直後と思われるアナグマが巣口L周辺の地面を少し嗅ぎ回ってから、再び巣穴Lに戻りました。 
しばらくすると、前脚で土砂を掻き出しながら後ろ向きで出巣Lしました。 
どうやら冬越しに備えて、巣穴Lを拡張工事し始めたようです。 
何度も往復して巣L内の土砂を外に掻き出す様子を5倍速の早回し映像でご覧ください。 
巣口Lの左に土砂を毎回捨てるため、アクセストレンチの緩斜面(溝)が形成されます。 

トレイルカメラのレンズのすぐ手前に造網性クモが居座ってしまい、目障りですね。 

さっきまで2頭のアナグマ(幼獣?)が長時間かけて格闘していたのは、穴掘り担当を決める争いだったのでしょうか? 
あるいは、来季のヘルパー♂候補どうしの争いだったのかな? 
取っ組み合いで体力を無駄に消耗したのではないかと素人目には心配になるのですが、穴掘り前に体を暖める準備運動(ウォーミングアップ)だったのかもしれません。 


シーン2:10/26・午後18:42(@0:42〜) 
1頭aが巣口Lで穴掘りしている間に、もう1頭bが辺りをうろつき、作業を見守っています。 
「穴掘り作業をヘルパー♂aに任せる♀b」という定説に当てはめたくなりますが、♀なら左右の目が左右非対称(右目<左目)のはずです。 
外見でこの2頭の性別を見分けられないのですが、今回の個体bは左右の目の大きさが同じなので、少なくとも、春にこの営巣地(セット)で出産した母親♀でないことは確かです。 
私としては、今のところ2頭a,bとも大きく育った幼獣だと考えています。 

しばらくすると、幼獣bも穴掘り作業を手伝い始め、アクセストレンチを整えるようになりました。 
巣穴Lの奥を担当する個体aと、外のアクセストレンチを担当する個体bとが分業しています。 
母親やヘルパー♂(当歳仔の幼獣にとっては1歳年上の兄)の穴掘り作業を見ていつの間にか幼獣たちも穴掘りを覚えたのでしょうか?(それとも本能行動?) 

撮影の邪魔だったクモがようやくどいてくれました。 


シーン3:10/26・午後18:44(@1:42〜) 
 地上を分担していた個体bが作業を中断し、なぜかアクセストレンチ上のとある地点に別の穴を掘り始めました。 
ミミズでも見つけて採食しているのかな? 
やがてアクセストレンチの整備作業に戻りました。 


シーン4:10/26・午後18:46(@2:42〜) 
地中から掘り出した土砂と一緒に地上の落葉もついでに掻き出し、左に長いアクセストレンチを形成しています。 
穴掘り担当個体aは、全身が黒土で真っ黒に汚れてきました。 


シーン5:10/26・午後18:47(@3:42〜) 
ここでなんと、穴掘りの分担を交代しました! 
それまで穴掘りしていた個体aは、アクセストレンチを左に伸ばすようになりました。 
その後は少し疲れた様子で、奥の獣道を右往左往しています。 
立ち止まって身震いしても、体に付いた黒土は落ちません。 


シーン6:10/26・午後18:49(@4:42〜) 
いつものように1頭aが後ろ向きで土砂を巣穴Lの外に掻き出していたら、巣内から別個体bが頭から外に飛び出してきました。 
したがって、トンネル内にはアナグマが方向転換できるスペースがあることがうかがい知れます。 
個体bは身震いしてから右へ立ち去りました。 
「後はお願いね♪よろしく♪」 
採食や排便に出かけたのではないかと思われますが、最寄りの溜め糞場stmpに設置した監視カメラには写っていませんでした。 

残された個体aは穴掘り作業を独りで黙々と続けています。 


シーン7:10/26・午後18:51(@5:20〜) 
残された個体aによる穴掘り作業を5倍速の早回し映像でご覧ください。 
分業するパートナーが居なくなったので、地中の巣内を掘り広げる作業だけでなく、地上のアクセストレンチ整備も独りでやらないといけなくなりました。 

巣穴Lに出入りする際に後ろ姿の股間を注意深く見ても、外性器がしっかり見えませんでした。 
巣口Lの周辺に蔓延る木の根や落枝が邪魔でよく見えないのです。 


シーン8:10/26・午後18:55(@5:40〜) 
穴掘り作業を続けています。 


シーン9:10/26・午後19:06(@6:04〜) 
疲れてもときどき小休止を挟みながら、一気呵成に巣穴Lを深く広く掘り広げています。 


シーン10:10/26・午後19:24(@6:44〜) 
いつものように、穴掘り個体aが後ろ向きで排土していたら、別個体cが巣口Lから外に出て来ました。 (@6:50〜)
外出していた個体bがいつの間にか戻っていたのかと思いきや、この個体cは目の大きさが左右非対称(右目<左目)の、私には馴染みのある♀でした。 
♀cがいつ入巣Lしたのか、監視カメラに写っていないのですが、単に撮り損ねたのか、それとも未知の巣口がどこかにあるのでしょうか? 
穴掘りの重労働は2頭の幼獣(ヘルパー候補?)に任せて、♀cはずっと巣内に篭もっていたのかもしれません。
巣口Lで母から子に毛繕いしてやり、労をねぎらいます。 
体格では幼獣a<♀cでした。
母親♀cに激励された幼獣aは穴掘りを再開し、♀cは右へ立ち去りました。(採食に出かけた?) 
今度こそ独りになった幼獣aは、黙々と穴掘り作業を続けます。 


シーン11:10/26・午後19:30(@8:00〜) 
ようやく穴掘り作業を終えたアナグマaが、巣口Lの右外に出ていました。 
完成した巣穴にそのまま泊まるかと思いきや、身震いすると右へ立ち去りました。 
空腹になって採食に出かけたのか、あるいは体の泥汚れを落とすため水浴しに行ったのかもしれません。 
(アナグマの水浴シーンをいつか見てみたいものです。)

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
越冬に備えた穴掘り作業の一部始終を動画で記録できて大満足です。 
初めは2頭の幼獣が巣内と巣外に別れて分業していたのに、途中から役割を交代し、最後は単独での作業になりました。 
後半は母親♀も現れ、久しぶりに母子が一緒にいる様子観察することが出来ました。 

樹上でトレイルカメラを覗き込むヤマガラ(野鳥)

 

2023年10月下旬・午前11:55頃・晴れ・気温20℃ 

平地の二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張っていると、正午前にいきなり何か生き物が至近距離で写りました。 
トレイルカメラを固定してあるミズキ灌木に鳥が止まって、見慣れない異物を調べているようです。 
耳を澄ますと鳥の鳴き声が聞こえますが、鳥がプラスチック製のトレイルカメラを引っ掻いた音かもしれません。 
カメラを覗き込んだ鳥の正体はヤマガラSittiparus varius)でした。 
ようやく飛び去りました。 
大事なカメラのレンズやセンサーが嘴で突つかれたり壊されずに済んで一安心。 


【アフィリエイト】 

2024/07/31

給餌場でオニグルミ落果の果皮を剥いてから運び去る野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

前回の記事(前年に撮影):▶ フクロウ襲撃前後の野ネズミのオニグルミ堅果運搬作業【トレイルカメラ:暗視映像】 


2023年10月下旬 
野外に様々な木の実(堅果)の給餌場を設けて、どんな野生動物がやって来るかトレイルカメラで撮影するプロジェクトをこの秋も始めました。 
昨年やり残した課題が幾つかあるのです。 
餌場の場所は昨年(2022年)と全く同じで、里山の林道脇の法面に生えたカラマツ大木の根元にある窪みです。 
まずは緑色の果皮がついたままのオニグルミ落果を拾い集めてきて、給餌場に山盛りに積み上げて置きました。 
昼行性のニホンリスや夜行性の野ネズミ(ノネズミ)がクルミを持ち去って貯食することを期待しています。 
前年にはオニグルミの果皮を予め剥いた殻付きの堅果を給餌したのですが、今季は過保護にするのを止めました。 
緑色の果皮が一部は茶色くなりつつあり、白カビが生えかけたものも混じっています。 
(放置すると最終的にオニグルミ落果の果皮は真っ黒に腐って自然に剥がれ落ちます。)
オニグルミ落果を見つけた野ネズミはその場で果皮をかじり取ってから貯食のため持ち去るでしょうか? 
それとも、果皮の付いたまま持ち去って、そのまま地中に埋めて隠すのでしょうか? 

カラマツ根元の窪みからクルミが溢れそうになったので、メインの右側に30個、左側に6個と2箇所に分散して置きました。 
野ネズミが餌場でクルミを物色する際に、丸いクルミが斜面からゴロゴロと転がり落ちることが予想されます。 
餌場の下にストッパーとして落枝を何本も並べておくことにしました。

 


シーン0:10/24・午前10:03・晴れ(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
30個のオニグルミ落果の山が画面の中央に置かれていて、残り6個の山は左側にあるはずなのに、画面にはしっかり写っていません。 


シーン1:10/25・午後22:39(@0:04〜) 
夜な夜な林床で餌を探し回っていた野ネズミがようやく給餌場を見つけました。 
オニグルミの落果を転がしたりして、物色しています。 
興奮したように右往左往してから、選んだ落果の果皮をその場で剥き始めました。 
オニグルミの果実を前足で転がしながら、果皮を口で細かく噛み千切っては横に吐き捨てています。 
オニグルミの果皮には大量のタンニンが含まれていて渋いはずなのに、野ネズミは平気なのでしょうか? 
果皮を吐き出すにしても、口内の舌や粘膜のタンパク質が変性しないのかな?
90秒間の録画時間内には持ち去りませんでした。 


シーン2:10/25・午後23:13(@0:04〜)
次に野ネズミが給餌場に来るまで、だいぶ時間が開きました。 
クルミを選んでいる間に警戒してしばらくフリーズしていました。 
警戒を解くと、前回と同じ場所で果皮を剥き始めました。 


シーン3:10/25・午後23:23(@2:41〜) 
次のクルミを選ぶと、邪魔な果皮を剥き始めました。 
なぜか途中で作業を止めて、左の餌場へ移動しました。 
何が気に入らないのか、クルミを持ち去ることなく、左へ立ち去ってしまいました。 
やはりオニグルミ果皮に含まれるタンニンの渋さに辟易しているのかな? 


シーン4:10/26・午前3:04(@3:44〜) 
日付が変わった翌日の未明に、野ネズミが再び餌場に現れ、クルミ落果を選んでいました。 
カビ臭いのが嫌いなのか、あちこちで果皮を少しずつかじって回るだけです。 


シーン5:10/26・午後20:59(@4:02〜)
 夜行性の野ネズミは、明るい日中には巣穴に戻って寝ているので、夜にならないと餌場に現れません。 
果皮を剥く作業を途中で中断してしまい、斜面を探索し始めました。 
オニグルミを貯食する場所を予め探しているのかな? 
シシガシラという常緑シダ植物の下に潜り込んだところで録画終了。 


シーン6:10/26・午後21:05(@5:11〜) 
左右の餌場を順に訪れて果皮を少し剥いてから、斜面を左下へ立ち去りました。 


シーン7:10/26・午後21:07(@6:07〜) 
野ネズミが右の餌場Rの窪みから顔を出しました。 果皮を齧って剥き始めても、途中で止めて別のクルミに浮気するため、最後まで剥き終わりません。 

後半はようやく一つのクルミに集中して、果皮を剥き続けるようになりました。 
5倍速の早回し映像でご覧ください。 
作業の途中でクルミが斜面をうっかり転がり落ちてしまいました。 
幸いすぐ下の落葉で止まり、野ネズミは転がったオニグルミ堅果を取りに行きました。 


シーン8:10/26・午後21:11(@7:21〜) 
餌場の右下の斜面で野ネズミが立ち止まったまま動きません。 
至近距離で起動したトレイルカメラを警戒してフリーズしているのかな? 
目はしっかり開いたままなので、居眠りではありません。 
警戒を解くと、前脚で毛繕いをし始めました。 


シーン9:10/26・午後21:36(@7:46〜) 
右の餌場Rに来ていた野ネズミが、果皮向き作業を中断して左へ逃走しました。 
直後にツキノワグマが現れたので、接近を察知した野ネズミが慌てて逃げたようです。 



シーン10:10/26・午後22:04(@8:09〜) 
クマが立ち去り、ほとぼりが冷めてから、野ネズミが左の餌場Lに戻って来ていました。 
オニグルミの果皮を剥いています。 


シーン11:10/26・午後22:36(@8:27〜) 
左の餌場Lに来ていた野ネズミが右の餌場Rに移動し、果皮を剥き始めました。 
1.5倍に拡大した上で、5倍速の早回し映像でご覧ください。 


シーン12:10/26・午後22:38(@8:45〜) 
果皮をほぼ剥き終えたのに、なぜか野ネズミは餌場を右往左往しています。 
遂に、果皮を剥いたオニグルミの殻を口に咥えて左へ持ち去りました。 
オニグルミの殻の表面が真っ黒に見えるのは、タンニンで染まっているせいです。


シーン13:10/26・午後22:41(@9:16〜) 
右の餌場Rで次に選んだオニグルミ落果を齧って果皮を剥いています。 


シーン14:10/26・午後22:49(@9:34〜) 
餌場Rで一心不乱にオニグルミの果皮を剥いています。 
最後まで一度やり遂げてから(貯食の成功体験)、ようやく集中して果皮を剥くようになりました。 
殻付きのオニグルミ堅果を持ち去る前に、無駄な果皮を取り除き、少しでも軽くしたいのでしょう。 


シーン15:10/26・午後22:55(@9:52〜) 
餌場Rで果皮剥き。 
剥き終えたオニグルミ堅果を持ち去って貯食するシーンがなかなか撮れません。 


シーン16:10/26・午後23:02(@10:10〜) 
このところ野ネズミは餌場Rで物色に手間取らず、迷わずに果皮剥き作業を始めるようです。 
剥きかけのクルミを持って一段下へ移動してから、作業を続けます。 


シーン17:10/26・午後23:08(@10:28〜) 
餌場Rで果皮を剥いていた野ネズミが、うっかり隣のオニグルミ落果を給餌場からいくつも転がり落としてしまいました。 
こんなこともあろうかと私が予め置いていたストッパー(横に並べておいた数本の落枝)のおかげで、斜面の途中で丸いオニグルミ落果はすぐ止まりました。 


シーン18:10/26・午後23:14(@10:46〜) 
餌場Rで野ネズミがオニグルミの果皮を剥き終わると、その殻を咥えて左へ運んで行きます。 
運び方も慣れて、前回よりもスムーズになりました。 


シーン19:10/26・午後23:16(@12:01〜) 
野ネズミが次のクルミを物色中に餌場Rから転がり落としてしまいました。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


後日に現場検証すると、餌場Rには野ネズミが剥いて捨てたオニグルミの果皮が黒変し、大量に残されていました。
オニグルミの落果5個が野ネズミに搬出されないまま、餌場R付近に残されていました。


落果を取り除いた後。黒変した果皮が散乱している。





【考察】
昼行性のニホンリスがオニグルミ落果を持ち去るのではないかと期待したのですけど、一度も現れませんでした。
リスの貯食行動を狙うなら、樹上などもっと出現頻度の高い地点で給餌しないといけないようです。

90秒間の録画時間では短すぎて、野ネズミが果皮を剥き終えてからオニグルミ堅果を持ち去るまでなかなか見届けられませんでした。 
次回はもっと長く設定する必要がありそうです。




【アフィリエイト】 

日光浴していたモンスズメバチ♂が準備運動して飛び去るまで【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年10月下旬・午後13:35頃・晴れ 

低山の尾根道でモンスズメバチVespa crabro)の雄蜂♂を見つけました。 
ミズナラ稚樹の葉に乗って日光浴していました。 
背中に秋の陽射しを浴びながら、せかせかと腹式呼吸しています。 

長い触角の先端がカールしているので雄蜂♂と分かります。 
(触角が13節で腹部の体節が7節あることからも、確実に雄蜂♂と分かります。) 

隣に落ちていたホオノキの枯葉の表面を舐めている(ミネラル摂取?)のかと初めは不思議に思ったのですが、真横から撮ると口吻は動いていませんでした。 
私が少し近づいても、モンスズメバチ♂は方向転換しただけで逃げませんでした。 
顔を正面から見えるようになったのですが、やはりホオノキの落ち葉を舐めてはいませんでした。 
しばらくすると、モンスズメバチ♂はミズナラの葉から隣接するホオノキの落ち葉に伝い歩きで移動しました。 
このとき大顎を少し開閉したものの、口吻の伸縮は見えませんでした。 

飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画に切り替えました。(@1:48〜) 
動画を撮りながら私が左足を伸ばして蹴る素振りをしたら、モンスズメバチ♂は準備運動を始めました。 
翅を立てて飛翔筋を震わせ、しばらく小刻みに羽ばたいてから、ようやく飛び去りました。 
日光浴して体温が充分に上がったはずなのに、飛ぶ前に準備運動が必要とは意外でした。
気温を測るべきでしたね。
体感では全然寒くありませんでした。


【アフィリエイト】 

2024/07/30

オニグルミの給餌場を素通りするニホンカモシカ【トレイルカメラ】

 

2023年10月下旬・午後15:45頃・くもり 

山林に設置したトレイルカメラに昼間からニホンカモシカCapricornis crispus)がいきなり写っていました。 
珍しくフルカラーで録画されています。
ここは様々な野生動物が行き交う獣道になっているのです。 



泥汚れの付いた(イノシシの仕業)カラマツの幹の匂いを嗅いだり、眼下腺を擦り付けてマーキングしているかもしれませんが、肝心の頭部が写っていません。 
後ろ姿の股間を見ても外性器が見えず、性別は不明です。 

カモシカはそのまま左に立ち去りました。 
カラマツの木の根元に私が給餌したオニグルミの実(果皮つき)にカモシカは全く興味を示しませんでした。 
カモシカの食性を考えると、これは全く予想通りの反応です。



川でミゾソバの花を食べるカルガモ(野鳥)

 

2023年10月下旬・午後16:00頃・くもり 

私が夕方に橋を渡っていたら、下を流れる川で2羽のカルガモAnas zonorhyncha)が何かを採食していました。 
欄干の隙間から覗いて見ると、カルガモは流れの速い浅い川を遡上しながら、岸辺に生えたミゾソバの群落から白い花を次々に食べていました。 
頭上に伸びたミゾソバの花も首を伸ばして啄みます。 
花を食べるカルガモを見たのは初めて、ちょっと興奮しました。 
ミゾソバの葉や実(種子)ではなく、明らかに花だけを選んで嘴でちぎり取って採食しています。 
途中から1羽のカルガモは、ミゾソバの群落が密生する中州に上陸して、花ばかり食べ漁っていました。 

私が橋の上から見下ろすようにカメラを向けても、カルガモは逃げずに採食を続けました。
よほどミゾソバの花が美味しいのでしょう。 
カメラの電池残量が少なくて冷や冷やしたのですが、完全に使い切るまでなんとか動画で記録することが出来ました。 

ところで、ミゾソバの花と言えば普通はピンク色ですけど、今回見たミゾソバの花は全て白色でした。 
調べてみると、シロバナミゾソバという種類(亜種ではなく、ミゾソバの変種)もあるそうです。 


【アフィリエイト】 






7日後に現場を再訪して撮ったミゾソバの写真も以下に掲載しておきます。

2024/07/29

秋の旧営巣地でニホンアナグマの幼獣2頭が取っ組み合いを長々と繰り広げる【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2023年10月下旬 

シーン0:10/20・午後14:16・気温31℃(@0:00〜) 
シーン0:10/23・午後13:36・気温18℃(@0:04〜) 
明るい時間帯にたまたま撮れた現場の様子です。 
新機種のトレイルカメラ2台を平地の二次林に設置し、ニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)を見張っています。 


シーン1:10/26・午後18:32・気温14℃(@0:08〜)日の入り時刻は午後16:51 
日没後の晩に 2頭のアナグマが現れました。 
巣口Lで対峙すると、1頭が跳ね回って相手を挑発しています。  
「一丁やるか?」と遊びに誘っているようで、2頭とも左に消えました。 
左の死角から鳴き声が聞こえてきます。 
いかにも幼い(遊びたい盛りの)行動から、おそらく幼獣の兄弟姉妹だと思うのですが、体つきがすっかり成長していて素人目には幼獣だと分からなくなりました。 


シーン2:10/26・午後18:35(@0:25〜) 
巣口LRの中間地点で寝技の取っ組み合い(格闘遊び)が繰り広げられています。 


シーン3:10/26・午後18:36(@1:25〜) 
疲れを知らない幼獣2頭による格闘戦が続いています。 
組み合ったまま地面をゴロゴロ転がりました。 
本気の喧嘩ではなく、仲良くふざけて遊んでいる印象です。 


シーン4:10/26・午後18:37(@2:25〜) 
しばらくすると、ようやく取っ組み合いを解消して1頭が離れ、セットを走り回ります。 
今度は追いかけっこ遊びに移行しました。 


シーン5:10/26・午後18:38(@2:56〜) 
再び組んずほぐれつの取っ組み合いが繰り広げられています。 
ときどき短い唸り声を上げたり、イヌのようにワンッ♪と鋭く鳴いたりしました。 
初めはふざけてレスリングしていたのが、だんだん本気になってきたのでしょうか? 
レンズに水滴が付いているのか、画面全体が曇っていて、はっきり見えないのが残念です。 


シーン6:10/26・午後18:39(@3:26〜) 
肉弾戦の遊びが続いています。 


シーン7:10/26・午後18:38・気温13℃(@3:26〜) 
別アングルで設置したトレイルカメラでも広角の監視映像が撮れていました。 
巣口LRの中間地点で2頭のアナグマ幼獣が延々と取っ組み合いをしています。 
ときどき唸り声が聞こえます。 
1頭が走って逃げ出すと、もう1頭が追いかけます。 
巣口Rの手前に戻ってくると、格闘遊びを再開。 
互いに向き合って、隙あらば相手を甘噛みしています。 
ワン♪、キャン♪のような短く鋭い鳴き声♪をときどき発します。 


シーン6:10/26・午後18:39(@3:26〜) 
別アングルの監視映像に切り替えます。 
2頭のアナグマが肉弾戦の遊びを止めると、走らずに左へノソノソと向かいました。 
疲れて休戦したのかな? 

すぐにまた小走りで戻ってきて、巣穴Lに続けて入りました。 
しばらくすると、1頭が後ろ向きで巣穴Lの外に出てきて、前足で地面を掻きました。 
またすぐに入巣L。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
アナグマの幼獣がセットに現れたのは久しぶりです。(夏以来です) 
長らく来なかったので、てっきり子離れ・分散したのかと思っていました。 
春にここで生まれた幼獣4頭のうち仲良しの2頭が旧営巣地に戻ってきて、取っ組み合いの遊びを長々と繰り広げていました。 
格闘遊びも追いかけっこ遊びも、夏にはアナグマの幼獣同士でよく見られた行動です。 
秋になって久しぶりに見ました。 

私は幼獣間の遊びだと解釈したのですが、もしも力比べで上下関係を決める真剣な闘争行動だとすると、話は変わってきます。 
越冬用の巣穴を巡る縄張り争いなのでしょうか? 
来季のヘルパー♂を決める争いなのかな? 
母親♀が育った幼獣を攻撃して縄張りから追い払う「子別れ」の行動ならもっと激しいはずです。 



【アフィリエイト】

センニチコウ(千日紅)の花蜜を吸うシロオビノメイガ(蛾)

 

2023年10月上旬・午前10:25頃・晴れ 

民家の花壇に咲いたセンニチコウ(千日紅)の群落でシロオビノメイガSpoladea recurvalis)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
後ろ姿でも、マゼンタ色の花で吸蜜する口吻の動きがしっかり見えました。 
最後は飛んで別の花に移動しました。 

センニチコウにも様々な品種があるようで、白、ピンク、マゼンタと色とりどりの花が咲いていた中で、シロオビノメイガは最も色の濃いマゼンタ色の花を選んでいました。 


【アフィリエイト】 

2024/07/28

餌場に設置したトレイルカメラを興味津々で調べるツキノワグマ【暗視映像】

 

2023年10月下旬・午後21:40頃 

フィールドに木の実の給餌場を設けて、どんな野生動物がやって来るかトレイルカメラで撮影するプロジェクトを今季も始めました。 
昨年やり残したことが幾つかあるのです。 
餌場の場所は昨年(2022年)と全く同じで、里山の林道脇の法面に生えたカラマツ大木の根元にある窪みです。 
まずは緑色の果皮がついたままのオニグルミ落果を拾い集めてきて、給餌場に山盛りに置きました。 
すると数日後の晩に、想定外の珍客がやって来ました。 

至近距離からトレイルカメラの匂いを嗅ぐ獣の鼻息♪がすると思ったら、左から真っ黒な獣が登場しました。 
カメラに近過ぎて初めは何だか分からなかったのですが、ようやくツキノワグマUrsus thibetanus)の横顔がしっかり見えました。 
里山のこの地点でツキノワグマが撮れたのは初めてです。 

実は1時間55分前にニホンイノシシ♀がカラマツの幹にマーキングしたのですが(映像公開予定)、クマはカラマツの方を見て匂いを嗅いでいます。 
やがて、カラマツの根本にある餌場に気づき、オニグルミ果実の匂いを頻りに嗅ぎました。
餌場に夜な夜な足繁く通っていた野ネズミの残り香が気になるのかもしれません。 

意外にもツキノワグマはオニグルミの実を食べませんでした。 
秋は他にも美味しい食料が豊富なので(ドングリやブナの実など)、食べづらいクルミは敬遠するのでしょうか? 
オニグルミの果皮には渋いタンニンが豊富に含まれているので、果皮が腐って自然に剥がれ落ちるまでは、クマも口にしたくないのかもしれません。 
果皮が無くても、硬い殻を割らないと美味しい中身を食べられません。
(クマは力任せに噛んでクルミの殻を割るのかと予想していました。 ※追記参照)
あるいは、給餌したオニグルミ果実の一部から白カビが生えかけていたので、カビ臭い匂いを嫌ったのかな? 
もしもオニグルミではなく、ドングリやクリの実を給餌していたら、クマは食べてくれたかな?

ツキノワグマは餌場から離れ、ゆっくり右へ歩き去りました。 
横から見ると腹が膨らんでいるものの、外性器は認められませんでした。(性別不明) 

次にトレイルカメラが起動したときには、戻ってきたツキノワグマがカメラに興味津々で調べているところでした。 
胸に白い三日月紋がしっかり見えたので、今後の個体識別に使えそうです。 
シナノキの幹の低い位置に固定したカメラを明らかに見慣れない異物と認識しているようで、カメラの匂いを嗅ぐ鼻息が聞こえます。 
数日前に設置した際に私が触れた残り香が気になるのでしょうか? 

続けてクマは、トレイルカメラを取り外そうと、軽く前足の手を掛けました。 
レンズを覗き込むつぶらな瞳もチラッと写りました。 
ようやく気が済んだのか、クマは向きを変えて左に立ち去りました。 

無人カメラならではの迫力のある衝撃映像が撮れましたが、幸いカメラをクマに壊されずに済みました。 
トレイルカメラをシナノキの幹にベルトとワイヤーロックでがっちり固定していたおかげで、クマが乱暴に触れても、撮影アングルはほとんど変わっていませんでした。 

※ クマの鼻息が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

後日(11月上旬)に現場検証すると、カメラを固定していたシナノキの幹にツキノワグマの爪痕はありませんでした。 






【アフィリエイト】



※【追記】
自然写真家 永幡嘉之氏の公式ブログに、クマの糞に含まれていたオニグルミの殻の破片の写真が掲載されていました。
クマの糞が「車に轢かれて雨に打たれた洗いざらし」の状態で見つかり、容易に糞分析できたそうです。
他に餌がなければ、固い殻に覆われたクルミ堅果もガリガリ齧って丸ごと食べてしまうことが分かります。

ドングリを運んであちこちに隠す秋のカケス:その2【野鳥:トレイルカメラ】隠蔽工作・再貯食など

 



2023年10月中旬〜下旬

シーン0:10/12・午後14:38・晴れ・気温28℃(@0:00〜) 
シーン0:10/12・午後16:58・晴れ(@0:04〜)日の入り時刻は午後17:10 

ニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)がある平地の二次林を新旧2代のトレイルカメラで見張っていると、カケスGarrulus glandarius)の貯食行動が記録されていました。 


シーン1:10/13・午前7:48・晴れ(@0:08〜) 
画面右上の止まり木から奥の林床にカケスが飛び降りました。 
ピョンピョンとホッピングしながら餌を探したものの、右へ飛び去りました。 


シーン2:10/13・午前10:39(@0:21〜) 
手前の死角から右奥の二次林鳴いへカケスが飛び去りました。 


シーン3:10/13・午前11:20・晴れ(@0:28〜) 
ここからが本番で、面白くなってきます。 
嘴にドングリ(種名不詳)の堅果を咥えたカケスaがホッピングでセットを左下に移動しています。 

やがて右から別個体のカケスbが飛来すると、林縁の灌木に止まりました。 
よく見ると、この個体bも嘴に白っぽい堅果を咥えていました。 
林床に飛び降りると、貯食場所を探しています。 
ミズキ灌木の根本にドングリを埋めたようですが、監視カメラの死角でよく見えませんでした。 
この2羽のカケスは♀♂つがいかと思ったのですが、後で仲間のカケスに盗まれないように、仲間から見えない場所にドングリを埋めたとしたら、賢いカケスは「心の理論」をもつことになります。 

1.5倍に拡大した上でリプレイしてみましょう。(@1:28〜) 
カケスaはアナグマの巣口Rの近くの地面(アクセストレンチの横)にドングリを隠しかけたのですが、思い直して左下に移動しました。 
カケスbは奥の林床でドングリを隠す場所を探し歩いています。 


シーン4:10/14・午前9:53・晴れ(@2:40〜) 
右の林縁低部にカケスが止まっていました。 
初めからドングリ堅果を咥えていたかどうか、やや遠くて不明です。 
地面に降り立ち、灌木の根本の落ち葉の下で何かを激しくつつきました。 
これだけなら虫を捕食した可能性もあるのですが、次に周囲の落ち葉を嘴でつまんで移動しました。 
どうやら以前に貯食したドングリ堅果を埋め直してから落ち葉を被せて、念入りに隠しているようです(隠蔽工作)。 
貯食場所の目印として落ち葉を置いた可能性もありますが、落ち葉はやがて風で飛んでしまうかもしれませんから、賢いカケスはそんなことはしないはずです。 
隠蔽工作に満足したカケスは飛び去りました。 

1.5倍に拡大した上でリプレイしてみましょう。(@3:15〜) 
やはりカケスは初めからドングリを運んでいませんでした。 
以前に隠したドングリ堅果をつついて地中深くに押し込んでから、落ち葉を寄せ集めて隠蔽していました。 


シーン5:10/14・午前10:49・晴れ・気温17℃(@3:49〜) 
アナグマの巣口L付近の細い灌木に止まっていたカケスが空荷で(ドングリを運ばずに)飛び去りました。 


シーン6:10/16・午前11:36・晴れ(@3:59〜) 
アナグマの巣口Rの真上を横切る木質の蔓の上にカケスが止まっていました。 
嘴にドングリを咥えたまま、左に飛び去りました。 


シーン7:10/18・午前6:40(@4:07〜) 
右の林縁に来ていたカケスが左に飛び去りました。 
もしかするとシーン4(4日前)と同一個体で、落ち葉で隠した貯食物が無事かどうか(誰かに盗まれていないかどうか)、さり気なく確かめに来たのかもしれません。 
4日も前のことを覚えているのか!と感心しますが、カケスは餌が乏しい冬に備えて秋のうちからせっせと貯食している訳ですから、もっと遥かに長い期間、多数の隠し場所を記憶していることになります。


シーン8:10/18・午前10:11(@4:16〜) 
セットで左手前に転がっている落枝に乗ったカケスの後ろ姿が写っていました。 
周囲の落ち葉を嘴で集めて、何かの上に被せています。 
これも貯食物の隠蔽工作でしょう。 
落枝を伝って左へ移動すると、そこでも以前の貯食物を隠し直していました。 

作業が一段落すると、アナグマの巣口Rの左に生えたマルバゴマギの灌木に飛び移りました。 
アナグマが掘ったアクセストレンチRに飛び降りると、地中浅くに隠していたドングリを摘み出しました。 
そのドングリ堅果を嘴でコツコツ叩いて、地中深くに埋め直します。 
今回は落ち葉を隠したりしないで、林床を奥に移動しました。 
この辺りには野ネズミの巣穴もあるので、せっかく隠したドングリが野ネズミに盗まれてしまうのではないかと他人事ながら心配です。 

1.5倍に拡大した上でリプレイしてみましょう。(@5:16〜) 
ドングリ堅果を貯食し直す行動がしっかり撮れていました。 


シーン9:10/18・午前10:12(@6:16〜) 
右奥の林縁に生えたオニグルミの根元でカケスが何かしています。 
嘴でコンコン叩いているということは、ドングリを地中深く埋めているようです。 
その後は近くの止まり木に移動してから、左手前に飛び去りました。 

1.5倍に拡大した上でリプレイしてみましょう。(@6:51〜) 


シーン10:10/18・午後15:55(@7:25〜) 
林縁の細いマルバゴマギ灌木に止まっていたカケスが空荷で右の地面に飛び降りたものの、監視カメラの画角の外に入ってしまいました。 


シーン11:10/19・午前11:01・晴れ・気温20℃(@7:41〜) 
左下の落枝に空荷で止まっていたカケスが、すぐに左へ消えてしまいました。 
その後、別個体(?)のカケスが奥の林床に飛来し、何かしていたのですが、常緑ヒメアオキ群落の陰でよく見えなかったので割愛。 


シーン12:10/19・午前11:38・晴れ(@7:47〜) 
アナグマの巣口Rの横の細いマルバゴマギ灌木に止まっていたカケスが左の地面にピョンと飛び降り、死角に消えました。 
ドングリは咥えておらず、空荷でした。 


シーン13:10/19・午前11:39・晴れ・気温21℃(@7:54〜) 
別アングルで設置した新機種のトレイルカメラで続きが撮れていました。 
空荷のカケスが、セットの止まり木をあちこち飛び回っています。 


シーン14:10/20・午前10:42(@8:16〜) 
アナグマの巣口Rの真上に垂れ下がった木質の蔓にカケスが止まっていました。 
1.5倍に拡大した上でリプレイしてみると(@9:16〜)、カケスは嘴にドングリを咥えていました。 
地面に飛び降りると、地面を啄んで採食を始めたように見えたのですが、ドングリを運搬中なので、貯食行動と思われます。 

その後もカケスは、セット内の止まり木や地上をあちこち移動して、ドングリを安全な場所に貯食し直しているようです。 


シーン15:10/23・午前8:42・晴れ・気温13℃(@10:16〜) 
アナグマの巣口Lの上に張り出したマルバゴマギの細い灌木に空荷のカケスが止まっていました。 
やがて地面に降りると、落葉をかき分け始めました。 
飛び上がって元の止まり木に戻ると、嘴にドングリ?を咥えていました。 
止まり木上でドングリを一旦足で掴み直してから、咥え直しました。 
そのままドングリを運んで、右上奥へ飛び去りました。 
以前に隠していた貯食物を掘り出して、別の安全な場所に隠し直すのでしょう。 

1.5倍に拡大した上でリプレイしてみましょう。(@11:15〜) 
カケスの再貯食行動をようやくフルカラー動画でしっかり記録できました。 


シーン16:10/23・午後13:36・くもり・気温18℃(@12:18〜) 
嘴に大きなドングリ堅果を咥えたカケスが右の細い灌木に止まっています。 
低空で飛んで左上奥へ移動しました。 
しばらくして元の止まり木に戻って来たカケスは空荷でした。 
何処か近くでドングリを貯食してきたようです。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
カケスが以前隠したドングリを念入りに埋め戻したり、落ち葉を被せて隠蔽したり、別の安全な地点に隠し直したりする行動が観察できました。
カケスは警戒心が非常に強いので、無人カメラでないとこのような自然な行動を撮影するのは無理でしょう。
ドングリの再貯食と言っても、初めにカケスがその地点でドングリを隠す行動が記録されていないのが残念です。 
トレイルカメラの電池残量やセンサーの感度など技術的な問題のせいで、どうしても記録漏れがあるようです。 

ここは雪国ですから、冬の積雪期にカケスがどうやって貯食物を掘り出して食べるのか、気になります。 
冬でも晴れた日には木の幹が太陽光で温められるために、太い木の根元だけ雪が早く溶けます。 
したがって、太い木の根元に好んでドングリを隠すカケスは、経験豊富な個体なのかもしれません。 
(深い雪で埋もれそうな林床に隠すカケスは若い個体?)

このまま春まで固定アングルで定点観察を続けて、貯食したドングリの行方を見届けたいものです。 
ところが2023年度の冬は記録的な暖冬となり、降雪量が異常に少なかったです。(映像公開予定) 
雪国ならではのカケスの貯食行動を撮影するには、これから何年も継続して定点観察する必要がありそうです。
この地点で秋にカケスが昼間に頻繁に現れてドングリを貯食できるのは、アナグマが巣穴を留守にしているからです(空き巣状態)。
アナグマの家族が秋まで営巣地(セット)で活動している年には、カケスは落ち着いてドングリを貯食できないはずです。(映像公開予定)
自然観察はなかなか思い通りにはいきません。

仮にカケスがドングリの貯食場所を忘れてしまい、春にドングリから芽が生えても、大きな木の下では日陰になって育つことはできないでしょう。(種子散布の失敗) 
その木が落雷や強風で倒れた場合にのみ(林冠ギャップの形成)、ドングリなど他の稚樹が成長できるチャンスがあります。 
無駄が多くておそろしく低い確率に託している訳ですが、ドングリは膨大な数の堅果を生産することによって補っているのでしょう。 
生態学の教科書に載っているような「鳥による貯食型種子散布」の話も、実際に観察すると理解が深まり、上手く出来た共生関係だなーとつくづく感嘆します。 




【アフィリエイト】 


ランダムに記事を読む

  • 冬のシジュウカラ【冬の野鳥】06/01/2011 - 0 Comments
  • クロシタアオイラガ(蛾)幼虫の繭作り失敗【60倍速映像】11/02/2016 - 0 Comments
  • セイタカアワダチソウの花蜜を吸うクロマルハナバチの雄蜂♂18/05/2023 - 0 Comments
  • 巣材の苔を集めるメジロ【野鳥】25/05/2012 - 0 Comments
  • 謎の黒アリ集団とコンロンソウ19/03/2011 - 0 Comments