2021/05/08

雪原で殻付き落花生を食べるハシボソガラスの群れ(冬の野鳥)

 

2021年1月上旬・午後13:50頃・晴れ 

深い雪に埋もれた畑の一角に3羽のハシボソガラスCorvus corone)が集まって何かを採食していました。 
農家のヒトが冬の間も生ゴミを捨てて堆肥にしている場所らしく、カラスは雪の下から掘り出して生ゴミを漁っているのでしょう。 
撮影中は白銀の雪が眩し過ぎてカラスの採食メニューがよく見えず、クルミやジャガイモを掘り出して食べているのかと初めは思いました。 
順光のアングルに回り込んでようやく、殻付きのラッカセイ(落花生)を食べているのだと判明しました。 
雪が積もる前にこの畑で落花生を栽培していた訳ではありません。
(私はこの地方で落花生の畑というものを見たことがありません。) 
ヒトが割ってピーナッツを食べた後の殻ではなく、未だ中身の種子が入っている殻付き落花生がなぜか大量に捨てられていました。 
充分に乾燥させた殻付き落花生は腐りにくく保存性に優れているので、惜しげもなく生ごみに捨てる意味が分かりません。 (※追記参照)
もしかすると、誰か近所の愛鳥家が厳冬期の野鳥に殻付き落花生を給餌しているのかもしれません。 
冬の庭にバードフィーダーを用意してピーナッツを給餌する例は珍しくありません。 
別に気取ったバードフィーダーを設置しなくても、殻付き落花生を適当にばら撒いておけば野鳥は喜んでやって来るのです。 

ハシボソガラスは雪の中に凍り付いた殻付き落花生を嘴で掘り出すと、足で押さえた殻を嘴でつついて砕きました。 
さすがに薄皮は剥かないようですが、栄養価の高い種子(ピーナッツ)を美味しそうに食べています。 
その場では食べきれない落花生を喉袋に溜め込んでいて、喉袋はパンパンに膨らんでいます。 

この3羽はおそらく家族群なのでしょう。 
写真を見直すと、嘴の中が赤い若鳥が少なくとも1羽混じっていました。
群れ内に序列があるようですが順番に採食していて、餌を巡る喧嘩はしませんでした。 
仲間が近寄ってくると横取りされないように、殻付きのまま落花生を咥えて飛び去り、少し離れた屋根の上など落ち着いた場所でゆっくり殻を割って中身を食べるつもりのようです。 
落花生の殻ごと呑み込んで後から未消化のペリットを吐き出す、という可能性も考えられますが、ペリットを吐く現場は見ていません。 
あるいは、食べ切れない落花生をどこかにこっそり貯食するのかもしれません。 

雪面に散乱した落花生を嘴でかき分けている際に、1羽のハシボソガラスが雪の中から白いビニール紐を嘴で引っ張り出しました。(@7:00) 
消化できないビニール紐を誤食するほどカラスは馬鹿ではありません。 
単なる好奇心の現れでしょう。 
春が来て繁殖期になれば、産座の巣材として人工物のビニール紐を積極的に集めることもあるはずです。 

ハシボソガラスがピーナッツを食べまくっている間、餌場(生ゴミ捨て場)の端で2羽のスズメPasser montanus)が順番待ちしていました。 
スズメはカラスが怖いようで餌場には近づけず、おずおずとピーナッツの欠片を狙っています。 
スズメが落花生を食べるシーンも撮影したかったのですが、いくら待ってもカラスが居座って独り占めしているので、私も諦めてしまいました。 
スズメの嘴の形状で落花生の殻を割れるのかどうか、興味があります。 

※【追記】
殻付き落花生の乾燥が不十分だったり湿気で濡れたりするとカビが生え、そのカビが作るアフラトキシンは発ガン性が高い猛毒なので、食べると非常に危険なのだそうです。
今回も誰かが野鳥に善意で給餌していたのではなく、カビが生えてしまった殻付き落花生を生ゴミとして大量廃棄したのかもしれません。
だとすると、それを食べたカラスやスズメの健康状態が心配です。

嘴の中が赤い若鳥
嘴の中が赤い若鳥


 【参考動画】
 
撮影:wasa639さん。 
ハシボソガラスが落花生畑で土の中から掘り出して食害しています。 

 
撮影:ペット記録チャンネルさん。 
ハシボソガラスの飼育個体は落花生の殻を割って中身を取り出しただけでなく、驚くべきことに薄皮も器用に剥いて食べていました。

養蜂の巣箱に出入りするセイヨウミツバチ♀の群れ【HD動画&ハイスピード動画】(出巣時の定位飛行など)

 

2020年11月中旬・午後13:45頃・晴れ 

山間部の原っぱに多数の巣箱を並べた養蜂園がありました。 
野生動物が巣箱に近づかないように敷地の周囲を低い電気柵で囲っています。 
私も養蜂に興味はあるものの、なかなか実際に巣箱を観察する機会がありません。 
私のフィールドは農業が盛んな地域で定期的に様々な農薬を撒くため、ミツバチは飼えないのだろうと諦めていました。 
ここは農村部の公道のすぐ横に巣箱があるので、通りすがりに見学させてもらいました。 
年季の入った木製の巣箱が原っぱに点々と置かれていて、縦に重ねて積んである巣箱もありました。 
全ての巣箱で蓋の間に白い布(紙?)が挟まっているのは何ですかね?
ミツバチの天敵であるスズメバチを捕殺するトラップも設置してありました。 

セイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が巣箱に出入りする様子を撮影してみました。 
多数のセイヨウミツバチ♀が巣箱の前面下部にある巣門の周囲を飛び回っています。 
蜜源植物が乏しい晩秋なので、帰巣するどの個体も後脚の花粉籠は空荷でした。

迷子になって巣箱側面にあるスリットの周囲でウロウロしている個体もいましたが、網戸になっているためミツバチは通り抜けられないようです。
おそらく空気穴(通気口)なのでしょう。  
採餌後に帰巣するワーカー♀は自分の巣箱をどうやって見分けているのでしょう? 
巣箱に分かりやすい色やマークなどは記されていませんでした。 
定位飛行しながら自分の巣箱の周囲の風景をで視覚的に記憶するだけでなく、おそらくコロニー毎に匂いが微妙に異なるのでしょう。 
例えば巣箱の周囲の雑草を一気に刈り取ったり巣箱の位置をずらしたりしてしまうと、景色が一変して帰巣できずに迷子になる個体が続出すると予想されます。

巣門付近にしがみついたままじっとしている数匹の個体は門衛なのかな? 
気温が高くないので、扇風行動はしていません。 
それとも出巣のタイミングを窺ったりサボっている個体? 

巣箱に出入りするセイヨウミツバチ♀の羽ばたきを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:16〜) 
帰巣したワーカー♀は巣箱の側面に止まると、歩いて巣門に降りて入巣しました。 
一方、出巣する個体の多くは巣門から真っ直ぐに飛び去りました。 
初めて外役に出るワーカー♀なのか、出巣の直後に定位飛行する個体も少数ながらいました。 (@4:14)
その場合、巣門から離陸直後に空中で巣箱の方へ向き直り、蛇行しながら上昇しています。 
こうして扇状に飛びながら蜂は周囲の景色を記憶するのです。
帰巣する個体も巣箱の手前で蛇行するように飛来していました。 
巣箱の正面ではなく横から狙えば定位飛行がもっと分かりやすく撮れたかもしれません。
相次いで出巣した2匹が空中で衝突するシーンが撮れていました。 
巣口付近で渋滞し、帰巣個体同士が空中で軽くぶつかったり、周囲に生えた雑草にひっかかったりしています。

2021/05/07

川で逆立ちして水底採餌するマガモ♀♂(冬の野鳥)

 

2021年1月上旬・午後12:20頃・晴れ 

様々なカモ類の群れが川で採餌活動する中で、マガモ♀♂(Anas platyrhynchos)の水底採餌に注目してみました。 
川面に浮きながら頭を水中深くに突っ込んで逆立ちのような体勢になり、川底の水草などを食べるのだそうです。 
マガモの代表的な採餌法らしいのですが、♀♂ともに見れたのは初めてかもしれません。 
マガモは体の作り上(解剖学的に)、水中に全身で潜って採餌することができません。
つまり潜水ガモとは同じ川でもニッチを棲み分けているのです。 

フィールド版『カモ類の観察:身近な水鳥の観察ガイド』によると、
マガモの採餌 よく逆立ちして採餌する。 淡水ガモはくちばしが届く浅いところで、逆立ちして水草を食べる。 さらに浅いところでは、首から先だけを水中に入れ、水草を食べる(p12より引用)
初めはマガモ♂だけが採食していたのですが途中から同種の♀が近寄って来て、♀♂ペアが並んで逆立ち採餌を披露するようになりました。
確かに岸辺の浅い所では首だけを水中に突っ込んでいました。 
途中からは川の深い所でお尻を上げて逆立ち姿勢になりました。 
逆立ちの際、水かきを激しく動かして水飛沫を上げることがありました。 
水中カメラで動画撮影できたら楽しそうです。

マガモ♀が何か茶色(オレンジ色)の食物を水中から咥えて浮上し、食べ始めました。(@2:00〜) 
1/5倍速のスローモーションでまずはご覧ください。 
その後に等倍速でリプレイ。 
水草には見えないのですが、落葉なのかな? 
私には熟柿のようにも見えたのですが、川に落ちた熟柿なら川底には沈まずに浮く気がします。 
マガモには歯がないので、謎の食物を咀嚼して飲み込むのに苦労しています。 

 『これがカモ!:カモなんでも図鑑』によると
鳥には歯はありませんが、くちばしの周辺には、串状の突起があります。(p11より引用)
左が♀で右が♂

ヒヨドリはマメガキの熟果を食べるか?(冬の野鳥)

 

2020年12月中旬・午後14:25頃・雪 

民家の庭木として植栽されたマメガキの樹上にヒヨドリHypsipetes amaurotis)が止まっていました。 
雪が降りしきる中での撮影で、カメラを向けてもファインダーでは鳥の姿を見失ってしまいました。 
適当に撮った動画を1/5倍速のスローモーションで見直してみると、マメガキ樹上のヒヨドリは何か赤っぽい果実を嘴に咥えたまま辺りをキョロキョロ警戒していました。
実際にヒヨドリがマメガキの黒く熟した果実を啄むシーンを観察できていないので、今回ヒヨドリが食べていたのはナンテンやイチイなど、別種の庭木(生垣)の熟果かもしれません。

豆柿の果実は小さくても熟すと甘くなります。 
味は天然の干し柿のようで、私も幼少期には勝手に採ってよく食べていました。 
ヒヨドリは甘党ですから、マメガキの熟果を食べに来ても不思議ではありません。 

いわゆるカキノキ(柿の木)の果実は熟すと果皮が鮮やかな橙色(オレンジ色)になり、種子散布してもらうために野鳥や動物を視覚的に誘引します。 
ヒヨドリなどの野鳥が庭木の熟柿を食べに来るのは冬の風物詩です。
▼関連記事(1年前の撮影) 
熟柿をついばむツグミ、ヒヨドリ、ヒレンジャクの混群(冬の野鳥)
ところがマメガキの果実は熟すと紫がかった黒色になります。 (黒紫色)
これでは鳥の目には地味で目立ちにくい気がします。 
マメガキは東北アジア原産らしいのですが、原産地での種子散布者はもしかすると鳥以外の動物(夜行性の哺乳類?)なのかもしれません。 
鳥も一度味見して美味しいと学習すれば、喜んで食べに来てくれそうです。
あるいは、可視光では地味な色でも紫外線で見たらマメガキの熟果はよく目立つのでしょうか?

ということで、日本のヒヨドリがマメガキの熟果を食べるかどうか?という素朴な疑問をこの冬は調べてみました。 
私のフィールドで観察できるマメガキは3箇所あるのですが、どこも横の道を通りすがりに撮影するしかなくて、ヒトが近づくと鳥は警戒してすぐに飛び去ってしまいます。 
今回の映像では私も満足できないので、来季への宿題です。 
なんとか離れた場所から隠し撮りする方法を考えないといけません。
「鳥はマメガキの実を食べない 」という意外な結論になるかもしれません。

※ 動画編集時にコントラストではなく彩度を少し上げました。 

【追記】
山渓ハンディ図鑑5『樹に咲く花:合弁花・単子葉・裸子植物』を紐解いてマメガキを調べると、
果実は液果。直径1〜2センチの球形。秋に黄色に熟し、霜にあたると黒紫色になって甘みが増し、(渋みがすっかり抜けて)おいしい。(p188〜189より引用)
つまり、マメガキは果皮が黄色〜橙色の状態では未だ渋柿で食べられません。
通常の柿の実を食べ慣れた鳥は、果皮の色でマメガキの熟し具合を判断しようとしても混乱してしまうかもしれません。


【追記2】
小宮輝之(監修)『鳥の食べもの&とり方・食べ方図鑑 おもしろふしぎ鳥類学の世界』という本のp135に、ヤマガキの熟した果実を食べるメジロの写真が載っていました。
ヤマガキという果樹は初耳ですが、マメガキの別名ではなく別種(カキノキの変種)なのだそうです。
素人目には、マメガキの熟果とそっくりに見えました。

2021/05/06

冠雪したハナミズキ樹上および電線から脱糞して飛ぶツグミ(冬の野鳥)【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年1月上旬・午後12:50頃・雪 

雪が降りしきる日に街路樹ハナミズキ(別名アメリカヤマボウシ)の枝にツグミTurdus eunomus)が止まって休んでいました。 
完全に落葉し赤い実も鳥にほとんど食べつくされた丸坊主のハナミズキに一体何の用事が合って長居しているのでしょう?
車道の方を向いてをキョロキョロ見渡しているだけで、すぐ横の歩道を歩行者が通りかかっても逃げませんでした。 

やがて樹上から黄土色の固形糞を2回続けて排泄しました。(@1:07) 
排便シーンを1/5倍速のまずはスローモーションでご覧ください。 
その後に等倍速でリプレイ。 
鳥の糞と言えば白っぽい尿酸混じりの軟便をよく見かけますが、あれは実は「鳥のおしっこ」です。 
今回の排泄物は紛れもなくツグミの糞でした。 
ハナミズキの赤い熟果を食べた後だとしたら、糞に未消化の種子が含まれているはずです。 
「ツグミがハナミズキの種子散布に貢献する証拠映像!」と言いたいところですが、肝心の採食シーンを見逃したのが残念です。 
▼関連記事(5年前の撮影:ツグミの脱糞シーン) 
カキノキで実を採食する2羽のツグミ(野鳥)
鳥が脱糞で軽量化したらすぐに飛び立つのが普通なのに、このツグミは珍しく樹上でじっとしています。 
 240-fpsのハイスピード動画に切り替えて更に粘り、飛び立つ瞬間を狙ってみました。(@2:31〜) 
それまで片足立ちだったツグミが両足で横枝を蹴ると、軽やかに羽ばたいて飛び立ちました。 
実は鳴きながら飛び去ったのですが、カメラの仕様で鳴き声を同時に録音できず残念です。

飛んだツグミは遠くには行かず、街路樹の上の電線に止まり直していました。 
しばらくすると電線からも黒くて細長い固形糞をポトリと排泄しました(@2:57)。 
脱糞シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

その後、電線に止まったまま小声でクイクイッ♪と鳴きました(@3:17)。 
これがツグミの地鳴です。 

私が少し目を離した隙に、街路樹のハナミズキに降りて赤い実を採食したようです。 
電線に戻ったツグミが嘴に咥えていた木の実を飲み込む瞬間だけ動画に撮れました。(@3:32) 
1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 

しばらくすると、ツグミは電線の上で片足立ちになり休むようになりました。 
雪が降り続ける中を長撮りしても飛び去らずに長居しているので、どうやらこの辺りを縄張りとしているようです。 
街路樹ハナミズキの赤い実はほとんど食い尽くされて残っていないので、縄張りとして防衛する価値は無さそうに私には思えるのですが、なんとも理解に苦しみます。 

実はジョウビタキ♂も近くのハナミズキ樹上に居たのですけど、撮り損ねてしまいました。 

ツツジの花で採餌する謎のハナバチ♀【名前を教えて】

 

2020年5月上旬・午前11:50頃・晴れ 

日本庭園の池の畔に植栽された植栽されたツツジの赤い花に見慣れないハナバチが正当訪花していました。 
吸蜜する蜂の後脚をよく見ると、花粉籠は空荷でした。 

どなたかこのハナバチの名前が映像から分かる方がいらっしゃいましたら教えてください。

2021/05/05

川面を遊泳中にカルガモを攻撃するホシハジロ♂(冬の野鳥)

 

2021年1月上旬・午後12:15頃・晴れ 

川面を遊泳しているホシハジロ♂(Aythya ferina)が目の前の進路を塞ぐカルガモAnas zonorhyncha)に突進して、その脇腹を嘴で突きました。 
川面がカモ類でそれほど混み合っている訳でもないのに、どうしてホシハジロ♂の機嫌が悪かったのか、喧嘩の原因は不明です。 
目の前で挑発的な煽り運転でもされたのでしょうか? 

予想外の出来事で見ていた私もビクッとしてしまい、指先のカメラ操作を誤って録画を終了してしまいました。
動画を撮りながら同時に静止画でも記録するスナップショットを撮ろうとしたら指先で押すボタンを間違ってしまったのです。 
せっかく面白い事件なのに残念です。
寒い冬には指先を切った手袋を付けているのですが、指がかじかんでどうしてもカメラの操作ミスが頻発してしまいます。 

1/10倍速のスローモーションでリプレイすると、カルガモは前進しながら咄嗟につつかれた右の翼を持ち上げてホシハジロ♂の攻撃をかわしていました。 
ホシハジロ♂は逃げるカルガモの背後に回り込んで更に追撃体勢に入りました。

ニホンアマガエルがジャンプをためらう理由とは?【HD動画&ハイスピード動画】

 

2020年8月上旬・午後12:15頃・くもり
前回の記事:▶ オオウバユリの花に集まり獲物を待ち伏せる3匹のニホンアマガエル
暗いスギ林の林床に咲いたオオウバユリの花の根元にくすんだ緑灰色のニホンアマガエルHyla japonica)が香箱座りしていました。 
訪花する虫などの獲物を待ち伏せしているのでしょう。
喉をひくひくと動かしていますが、すぐ横を流れる用水路の水音で鳴き声は聞き取れません。 
アマガエルの跳躍シーンを240-fpsのハイスピード動画で記録しようと何気なく撮り始めたら(@0:30〜)、意外にも大苦戦しました。 
私が指で何度もアマガエルの体に触れても尻を押しても、オオウバユリの花筒上を少し前進しただけで、なかなか跳び下りてくれません。 
「押すなよ、押すなよ、絶対に押すなよ」
 なんと、差し出した私の右手に跳び移ってよじ登り始めました。 
オオウバユリの花は揺れて足場が不安定だから跳ばないのかと思いきや、安定した私の手に移動してもしがみついたままです。 
幾らつついても、なかなか跳び下りてくれません。 
改めてカエルをオオウバユリの花筒に戻してやっても、どうしても真下には跳び下りたくないようです。 
またもや私の指に登ってしがみつきました。 

撮影に集中していた私は、カエルがジャンプを躊躇ったり嫌がったりする理由が初めさっぱり分かりませんでした。 
ニホンアマガエルはこの高さまで自力で登ったので、高さ自体を怖がるはずがありません。(高所恐怖症ではない)
どうやらすぐ下に流れる用水路に落ちることを怖がり、飛び降りるのを躊躇していのだと後で気づきました。 
水の流れが激しいので、カエルでも溺れそうと判断したのでしょうか。 
用水路の方ではなく逆向きに(安全な林床の方へ)跳ぶようしむけたら、アマガエルは躊躇せずにジャンプしたはずです。 
あるいは、下が速い流水ではなく池のような止水だったら問題なく跳んでくれたことでしょう。
ハイスピード動画の撮影には十分な光量が必要ですから、暗い林床の中で少しでも明るい溢れ日を求めた結果、たまたまこの撮影アングルになっただけなのです。 
木登りや泳ぎが得意なアマガエルにも跳び降りたくない「恐怖心」があることがよく分かりました。 
事情が分かってから映像を見直すと、用水路の流水を見下ろしているカエルは絶体絶命のピンチですね。 
最後は覚悟を決めて決死の大跳躍を決行しました。 
尻込みしていたニホンアマガエルがようやく跳んでくれたことに満足して私は動画撮影を終了してしまい、無事に用水路をギリギリ飛び越えたカエルの姿が動画に写っていません。 

【追記】
もう一つ別の可能性としては、せっかくオオウバユリの高い茎を苦労してよじ登ったのに獲物を待ち伏せする絶好のポイントを離れたくなかったのかもしれません。

2021/05/04

川面を流れるプラスチックゴミを食べようとするホシハジロ♂(冬の野鳥)

 

2021年1月上旬・午後13:20頃・雪 

激しく雪が降りしきる中、川面を下流に向って遊泳している1羽のホシハジロ♂(Aythya ferina)が細長いプラスチックの漂流ゴミに興味を示して試しに嘴で咥えました。 
幸い飲み込めないほど大きなゴミだったので、ホシハジロ♂はすぐに離して捨てました。 
消化できず危険なプラスチックのゴミを誤飲・誤食しなかったので安堵しました。 
逆に言うと、小さなゴミなら誤飲した可能性が高そうです。 

本来、ホシハジロは潜水ガモの仲間ですから、川面で採食すること自体珍しいです。 
実際に動画の後半ではホシハジロ♀が同じ川で潜水漁をする様子が写っています。 

今回は野鳥のくらしを脅かす深刻なプラスチック・ゴミ問題という切り口で紹介しましたが、カモ類は水面の漂流物(ゴミ)や流木などに付いた藻を食べることもあります。
▼関連記事
池に浮かぶ流木に付いた藻を食べるコガモ♀(野鳥)

水面に浮くスギの落葉をついばむカルガモ(冬の野鳥) 

タカサゴユリの花で採餌する謎のハナバチ♀【名前を教えて】

 

2020年9月上旬・午前10:30頃・晴れ

郊外の民家に面した道端の花壇に咲いた白百合で見慣れないハナバチ♀が訪花していました。 
正当訪花で採餌・集粉した後に身繕いしているのか、花筒の入口付近の花弁の内側に付着した花粉を舐めているようです。 
後脚の花粉籠は空荷でした。 
最後は軽く定位飛行してから飛び去ったので、しばらく待てば同一個体のハナバチがまた同じ白百合の花に戻ってきたかもしれません。 
映像でこのハナバチの名前が分かる方がいらっしゃいましたら教えてください。
私はどうも園芸植物の名前を調べるのが億劫で、虫との関わりで動画ネタにしたときに重い腰を上げて図鑑で調べるぐらいです。 
この白百合はタカサゴユリ(高砂百合)ですかね? 
細い葉が特徴的です。 
タカサゴユリは花弁に紫褐色の筋が入るのが普通らしいのですが、その筋が入らない品種もあるそうです。 
強い日差しの下で白百合を撮ったら白飛びしてしまいました。 

花好きがお住まいの民家のようで、ブロック塀と側溝との間の狭い地帯を花壇としていて、他にはアジサイやイモカタバミなどの花が咲いていました。

2021/05/03

冬のねぐらに1羽ずつ帰るダイサギ(冬の野鳥)2020年末ラスト

 

2020年12月下旬・午後16:43〜17:07・(日の入り時刻は午後16:27)
前回の記事:▶ 雪が降った日にダイサギがいつもの冬塒に集まらなくなった謎(冬の野鳥)
前回から11日後、再び定点観察にやって来ました。 
ダイサギArdea alba) 集団塒のヒマラヤスギ樹上に積もっていた雪は溶けていて、白鷺と雪景色の組み合わせは撮れそうにありません。 
西の空が夕焼けに染まりました。  北東の空の低い位置に満月(月齢14.4)が見えました。 12月の月は「コールドムーン」と呼ばれるのだそうです。 

前回の反省として、塒から少し離れていても私が手持ちカメラを振り回すと、どうやらダイサギには猟銃で狙っているように見えて警戒させてしまうようです。 
今回は三脚を立ててカメラをねぐらに向けて固定しました。 
三脚の上からカメラごと冬迷彩のウィンドブレーカーを被せて少しでも偽装しました。 
除雪車が作った雪の山を背にしてカメラを設置したので、ダイサギの目からは見えにくくなったはずです。 
この現場ではどうしても本格的なブラインドを張れないので苦肉の策です。 
逆光のアングルになっても塒入りする白鷺のシルエットさえ撮れれば良いと割り切りました。 
おかげで今回は白鷺にほとんど警戒されずに塒入りの自然な行動を動画に記録することができました。 

動画の長撮りで監視すると、今回もダイサギは日が暮れて暗くなってから1羽ずつ塒に帰投しました。(@0:06, 3:00, 7:13, 10:06, 15:42, 24:04) 
最後の個体が飛来したのに私は暗くて気づかず、撮影を打ち切ってしまいました。 
飛んでくる方向もまちまちでした。 
この個体群は就塒前集合も形成しませんし、日中は各自が単独行動した後で夜になると集団塒に集まって来るのです。 
以前よりも集団塒に集まる個体数がめっきり少なくなっています。(今季は最大で13羽でした) 
ヒマラヤスギの枝に一旦着陸した後も、別の枝に再び飛んで移動することもあります。(@6:41, 8:39, 9:15) 
仲間の近くに集まる方が安心なのでしょう。 
塒入りが上手い個体(経験豊かな年長の個体?)は一発でお気に入りの枝に着陸しています。 
ヒマラヤスギの樹上に落ち着いた個体にズームインすると、欠伸をしてから羽繕いを始めました。(@9:25)

今回は塒の上空で旋回したり、ためらって偵察飛行したりしませんでした。 
塒入りに慣れたのかもしれませんが、やはり以前は撮影する私の存在を警戒していたような気がしてきました。(申し訳ない!)

画面に見えている常緑の針葉樹林の樹種は左から右へ、ヒマラヤスギ→ヒマラヤスギ→モミ→モミ→ヒノキ→ヒマラヤスギ→ヒノキです。 
同じ常緑高木でもヒマラヤスギの隣に並んで聳え立っているモミやヒノキには塒入りしないのがいつも不思議です。 


塒入りした白鷺と雪景色の組み合わせをどうしても撮りたくて、年が明けてからも不定期で観察に通いました。
ところが、この日を最後にダイサギをこの冬塒で全く見かけなくなりました。 
去年も冬の途中で塒に来なくなったのですが、サギの群れが1か所に集まるのを嫌った何者かによって集団塒から追い払われたのではないかと当時の私は被害妄想のように懸念していました。 
あるいは私の撮影行為がダイサギを警戒させて集団塒に近寄らなくなったのではないか?と自責したりもしました。 
しかし今年も同じ現象が繰り返された(塒に集まる個体数が次第に減り、居なくなった)ので、私も考えが変わってきました。 
まず、ダイサギを塒から追い払うヒトは居ないようです。 
そもそも樹上に毎晩集まるダイサギの群れに興味(あるいは敵意)を持っているヒトは私の他に居なさそうで一安心。 
それほど大群ではないので、塒となった林が枯死するほどの糞害をもたらしていはいません。 
カラスやムクドリの集団塒が住宅地の近くで形成されるとやかましい鳴き声が問題になりますが、ダイサギは塒で過密にならなければ鳴くことはありません。 
黒いカラスとは違って純白の白鷺に悪感情を抱くヒトは少ないでしょう。 

次に気づいたのは、ダイサギの暮らしには安全な塒だけなく昼間に採食する餌場の方が重要だという当たり前のことです。 
昼間の餌場で厳冬期に獲物が取れなくなったり食べ尽くしたりすると、ダイサギは餌を求めて少しずつ暖地に移動(南下)していくのではないかと予想しています。 
積雪量が多かったこの冬は特に、獲物が乏しくなったと思われます。 
したがって、当地のダイサギは冬の間ずっと同じ集団塒で夜を過ごすのではなく、自発的に(臨機応変に)塒の位置を変更するのでしょう。 
つまり、この塒から通勤できる範囲でダイサギの群れを養えるだけの餌資源が枯渇した結果、居なくなったのだろうと推察しています。 
ダイサギにGPSを装着できたら行方を長期間追跡できて面白いのになーと夢想します。 

 
↑【おまけの動画】 
同じ素材で10倍速に加工した早回し映像をブログ限定で公開します。 
お急ぎの方はこちらをご覧ください。

ニホンザルの群れがリンゴ園で熟柿の拾い食いと追いかけっこ

 

2020年12月上旬・午後12:00頃・くもり 

山麓のリンゴ園および隣接する墓地で活動する野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れを観察していると、新たな採食メニューが判明しました。 
何かオレンジ色の果実を見つける度に拾い食いしています。 
丸ごとの完全な形状の果実ではないので、その正体を見分けるのが難しいのですが、おそらくカキノキの完熟した果実だろうと思います。 
どうしてリンゴ園周辺の地面に柿の落果が散乱しているのか分かりません。 
おそらくこの近くにカキノキが植えてあって、さまざまな野生動物や野鳥が熟した果実を散々食べ散らかした結果、広範囲に落果が散らばっているのでしょう。 

初めはオレンジ色の餌の正体が分からず、墓地にお供え物として置かれた(あるいは生ゴミとして畑に捨てられた)ミカンの果実なのかと思いました。 
猿がかぶりついて果肉だけを食べた後で口から果皮をドロリと吐き出す様子を見ると、ミカンではなく熟柿でしょう。 

私が特に理解に苦しむのは、墓地の横で桜の木の苔むした幹から若いニホンザルが摘み上げたオレンジ色の果実?の存在です。(@1:00) 
誰かが予め熟柿を隠しておいた(貯食)のかな? 
しかし柿の実は熟し切ると腐敗が始まり長期保存できませんから、貯食には向いていません。 
若い個体の前にここを通りかかった経産♀は、このオレンジ色の餌の存在に全く気づいた素振りを示しませんでした。(@0:00〜0:53) 
もしかすると果実ではなくて、鮮やかな橙色をしたヒイロチャワンタケかもしれない…と頭によぎりました。 
しかし、ヒイロチャワンタケは樹上ではなく地面(裸地)に生えるキノコです。 
ヒイロチャワンタケは一応ヒトが食べても大丈夫なキノコ(可食)らしいので、ニホンザルが採食しても不思議ではありません。 
決定的な証拠映像が撮れるまでは保留にしておきます。 

現場検証して柿の木の有無を確かめたいところですが、リンゴ園や墓地の敷地に部外者が勝手に入る訳にもいかないので、推測するしかありません。 

リンゴ園に侵入したニホンザルの群れは多数の個体が自由に探餌徘徊していて、群れの遊動のような方向性はありません。 
リンゴ園ではニホンザルの追いかけっこが頻発しています。 
子ザル同士の遊び(鬼ごっこ)なのか発情期に特有の小競り合いなのか私にはよく分かりませんが、素人目には前者のような気がします。 
リンゴ園の一角は露地栽培ではなくビニールハウスになっていました。 
収穫後のこの時期は、果樹全体を覆うビニールハウスの骨組(アルミ製パイプ)だけが残っています。 
リンゴ園を走り回っていた1頭のニホンザルが資材置き場に落ちていた熟柿をすばやく拾って持ち去りました。(@2:34〜) 
熟柿を口に咥えたまま、ビニールハウスの骨組みにするすると登りました。 
櫓に座って食餌していると、下から別個体の♀が登って来ました。 
餌を横取りされないように、慌ててアルミパイプを伝って逃げて行きました。 
ただし、追いかけっこの当初の理由は、熟柿の争奪戦ではありません。 

走ってきた個体がリンゴ園の地面に落ちていた熟柿を見つけて拾い食いしました。(@3:10〜) 
別個体が近寄ってくると、餌を奪われないように逃走。 

 一方、画面の奥では子ザルが木の枝からぶら下がったり飛び降りたり登ったりして遊んでいます。 
登場するニホンザルの数が多過ぎて、どの個体を撮るべきか目移りしてしまいました。

2021/05/02

鉄塔の天辺で鳴く♪ハシブトガラス(冬の野鳥)カラス避けのプラスチック模型に効果はあるのか?

 

2021年1月上旬・午後12:30頃・小雪 

細かい小雪がちらつく中、住宅街で鉄塔(用途不明)の天辺にハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が止まってカーカー♪鳴いていました。 
嘴の中が真っ黒なので成鳥と分かります。 
カメラを向けられていることに警戒したのか、鉄塔から飛び立ったハシブトガラスは私の頭上を飛び越えて行きました。 

ここまでは別にありふれた光景ですが、面白い物を見つけました。 
手前の民家の2階ベランダから緑のプラスチック竿が水平に突き出していて、その先端からカラスの模型(プラスチック製デコイ)が見せしめ(生贄)のように吊り下げられていました。 
精巧な模型の嘴の先端から白い氷柱が伸びています。 
このカラス撃退グッズに効果があるのでしょうか? 
短時間の観察では何とも言えませんが、ハシブトガラスはカラスよけを吊るしてある民家に近寄らなくなるのかな? 
賢いカラスはじきにプラスチック模型の存在に慣れてしまうと個人的には予想しているのですが、どうでしょうか?
最近ではもっとリアルにカラスの羽毛を身に纏ったデコイが鳥よけグッズとして商品化されています。

死んだオオミズアオ(蛾)の前翅を運ぼうとするクロヤマアリ♀

 

2020年7月下旬・午後14:30頃・小雨 

舗装された峠道で、おそらくオオミズアオActias aliena)と思われる蛾の死骸を見つけました。(またはオナガミズアオ) 
胴体は見当たらずなぜか1枚の前翅だけが落ちていたので、おそらく鳥に捕食された食べ残しなのでしょう。 
翅の鱗粉がぱらつく雨水の滴を弾いています。 
通りかかったクロヤマアリFormica japonica)のワーカー♀がオオミズアオ前翅の根元に残った僅かな屍肉を見つけました。 
翅を巣に持ち帰ろうとしても路面に翅がへばりついていて、剥がれません。 

後半は定規を並べて置いて前翅長を採寸しました。 
舗装路にへばりついた翅を定規でペリペリと裏返すと、白い鱗粉が魚拓のように路面に残りました。 
左右どちらの翅か、私にはよく分かりません。

ランダムに記事を読む

  • フキバッタの死骸を解体するムネアカオオアリ♀の群れ05/12/2015 - 0 Comments
  • タヌキの溜め糞から飛び立つベッコウバエ【ハイスピード動画】13/02/2014 - 0 Comments
  • コナラの樹液を舐め幹を登り飛び立つアオカナブン29/05/2019 - 0 Comments
  • 渓流のシマアメンボ22/01/2011 - 0 Comments
  • オオクマヤミイロオニグモ(蜘蛛)幼体の雪面歩行20/02/2011 - 0 Comments