2014/02/08

繭を紡ぐオオケンモン(蛾)終齢幼虫【微速度撮影:後編】



2013年10月下旬

飼育下(紙箱の隅)でオオケンモンAcronicta major)終齢幼虫は夜通し繭を紡ぎました。

前回の記事はこちら→「繭を紡ぐオオケンモン(蛾)終齢幼虫【微速度撮影:前編】

中の様子が見えにくくなった(毛虫にピントが合わなくなった)ので、インターバル撮影は朝までで終了しました。
白っぽい絹糸で紡いだ繭に毛虫の褐色の長毛が植え込まれています。

しばらくすると繭のあちこちに白い毛玉のような粒々が見え始め、とても気になりました。
米粒状なので、毛虫の白い毛束が抜け落ちたとは思えません。
もしかするとオオケンモン幼虫に体内寄生していた寄生蜂の幼虫が寄主を食い破って脱出し、個々に繭を作ったのかと想像しました。

過去の飼育経験が蘇りました。→「ツガカレハ幼虫に寄生していた蜂の造繭@微速度撮影
急遽ジオラマモードに切り替えて10倍速の微速度撮影で記録しました。
それを更に3倍速に編集した30倍速の早回し映像をご覧下さい。

どうやら本種の繭は2重構造になっているようです。
外側の繭の長径は48mm、高さ25mm。
内側の繭本体の表面には胡麻塩をびっしり散りばめたような模様があります。
気になる白い粒粒は、どうやらオオケンモン幼虫が作った構造物(繭の一部)のようだと思い直しました。
毛虫が営繭の後半に口から何かを分泌して所々の絹糸を変性させたのでしょうか?
あるいは絹糸の成分や紡ぎ方を切り替えているのかもしれません。
口元で白い毛玉のようなものを作ってから繭に付着するのでしょうか?
監視カメラに任せるのではなく、付きっきりで直に観察(接写)しないと分かりませんね…。



【おまけ1】
元の10倍速映像もブログ限定で公開しておきます。
お暇な方はこちらもどうぞ。



【おまけ2】
ジオラマモードで撮る前に通常のHD動画で撮った映像です。
リアルタイムでの毛虫の動きの速さはこんな感じです。
退屈だと思いますけどリクエストがあったので、ブログ限定で公開。

オオケンモンは蛹で越冬するそうです。
果たして春になれば無事に成虫が羽化してくるでしょうか?
(あるいは寄生蜂が羽化してこないとも限りません。)

つづく


白い粒状の物が現れた。
2日後の繭
【追記】
残念ながら結局、この繭から成虫は羽化しませんでした。
2015年3月に繭を切り開いてみると、蛹は一見して正常に出来ていました。
おそらく室温で放置していたのが良くなくて、冬季の低温にしっかり晒さないと休眠が解けないのかもしれません。
あるいは乾燥し過ぎたのかもしれません。(土に埋めるべき?)


毛羽を剥がしたオオケンモン繭

繭層を切り開いた中のオオケンモン蛹と抜け殻

繭から剥がした毛羽@方眼紙

蛹:腹面@方眼紙

蛹:側面@方眼紙

蛹:背面@方眼紙

蛹化殻@方眼紙

蛹化殻@方眼紙

ハシボソガラスのクルミ割り行動:Ⅳ投げ落としと貯蔵【野鳥】



2013年10月下旬

農村部の車道でハシボソガラスCorvus corone)が硬いクルミの実を割っていました。
路上に転がったクルミを嘴に咥えて真上にフワリと飛び上がると、空中で(電線の高さから)クルミの実を落としました。
舗装路の真ん中でクルミの実を脚で押さえながらつついたり咥えたりしていると、坂の上から軽自動車が下りて来ました。
幸い車は徐行してくれましたが、カラスは慌てず騒がずクルミを持って歩道へ移動。
この辺りのカラスはクルミの実を車に轢かせて割るという文化は伝わっていないようで、私は一度も見たことがありません。
昼間も交通量の少ない過疎地域なので、カラスも車をあてにせずに根気強く自力で割るしかないのでしょう。

私が近づいて続きを撮ると、再びクルミを咥えて飛び上がり、電線に止まりました。
すぐに飛び上がると空中でクルミを落としました。
二度、三度と投げ落としを根気よく繰り返します。
最後は電線に止まったままクルミを少し放り投げて下に落としました。
ようやくクルミが割れたようです。
拾い上げると、横っ飛びに飛んで隣の田んぼに持って行きました。
(私に見られているのを嫌ったのかな?)

更に近づいてから続きを撮ります。
畦道の雑草に隠れてよく見えませんが、割れたクルミの穴をほじくって中の実を採食しているようです。
途中でなぜか目の前のイネ科の草(メヒシバ?)をちぎり取りました。
やがて食べかけのクルミを咥えたまま畦道から稲刈り後の田んぼに下りると、刈株の横の地面に埋め始めました。
次にその上から藁を被せて隠しました。
歩いてその場を離れると畦道に戻りました。

隣の田んぼには別個体のカラスが畦道を歩いて地上採食中。
仲間に盗まれないよう、隠し場所を欺く行動をとるのかどうか、見ている私は興味津々。
この田んぼは段々畑というか、左から右へ階段状に下がっています。
そのため、一段下にいるカラスからはおそらくクルミの隠し場所は見えていないと思います。
クルミを貯蔵したカラスも安全だと判断したようで
心の理論)、畦道でカーカー♪鳴いてから飛び立ち、離れた電柱に止まりました。(完)

カラスの貯食行動を見るのは初めてです。
今思うと、カラスが貯蔵したクルミを見に行けばよかったですね…。

何か他の宝物も一緒に埋まっていたかもしれません。
隠し場所に下手に近づくとカラスに攻撃されたかな?


一方クルミの側から考えると、カラスが地中に埋めたのは殻を割り実をほじくった後なので、種子散布には寄与していないと思われます。



向日葵の花でホバリングするニホンミツバチ♀



2013年8月上旬

民家の庭先に咲いたヒマワリニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が訪花していました。
(ヒマワリは若干小型の園芸種かもしれません。)
夏の風物詩を撮っていると、ニホンミツバチは風に揺れる花の手前でホバリング(停空飛翔)を続け、なかなか着陸しません。
後脚の花粉籠に橙色の花粉団子を付けています。
花弁に着陸してもすぐに飛び立ちます。
飛びながら体に付いた花粉を身繕いして花粉籠にまとめているようです。
ハイスピード動画で撮れば面白かったかもしれません。



2014/02/07

繭を紡ぐオオケンモン(蛾)終齢幼虫【微速度撮影:前編】



2013年10月下旬・室温20℃→18℃

前回の記事はこちら→「オオケンモン(蛾)終齢幼虫の徘徊

採集して持ち帰ったオオケンモンAcronicta major幼虫の食餌植物を急いで調べ、カエデの葉を採取してきました。
ところが毛虫に与えても、口を付けようとしません。
容器内でひたすらウロウロと徘徊し続けるだけです。
これはいよいよ繭作りを始めそうだと予感しました。
プラスチック容器のままでは絹糸が付着しづらいだろうと思い、ティッシュペーパーの空き箱に移して閉じ込めました。
すると案の定、採集したその日の夕方から紙箱内の隅で絹糸を口から吐いて繭を紡ぎ始めました。
絹糸は白色。
作業中の毛虫から少しずつ抜け落ちた褐色の長い毛も繭に織り込まれています。

10秒間隔で夜通し(12時間45分間)インターバル撮影した計4,566枚の連続写真を素材に早回し映像を制作しました。
補助照明としてUSB-LEDリングライトを使用。
後半から影取りディフューザーを装着してみると、光が和らいで繭の褐色がよく見えるようになりました。

このとき私は知らなかったのですけど、自然界のオオケンモンは地中に潜って営繭するそうです。
飼育下で土を入れなくても繭を作ってくれました。

つづく→微速度撮影:後編



飛べ!モンキチョウ♂【ハイスピード動画】



2013年6月中旬


道端に咲いたアカツメグサ(=ムラサキツメクサ)の群落でモンキチョウ♂(Colias erate poliographus)が飛び回り花蜜を吸っていました。
飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
飛ぶ際に広げた翅表で黄色型と判明。

映像の最後で、偶然モンシロチョウが飛んで横切りました。


2014/02/06

コケから吸水するチャイロスズメバチ♂



2013年10月中旬

里山の林道を低空飛行で来たチャイロスズメバチ♂(Vespa dybowskii)が苔むした地面に降り立ちウロウロと歩き始めました。
草葉の陰になっているため、蜂が何をしているのかいまいちよく見えません。
コケに付いた朝露を舐めているのでしょうか(吸水行動)?
草葉の上に登らないので、日光浴ではなさそうです。

触角が長いので♂のような気がしました。
雄蜂の使命は新女王と交尾することですが、この個体はどうも飛ぶ力が弱っているようです。
繁殖期を終えて寿命を迎えつつあるのかもしれません。
クロスズメバチの一種やキイロスズメバチも飛来しニアミスしたものの、互いに没交渉。



撮影後に採集してみると、触角が13節、腹部が7節あることからチャイロスズメバチ♂と確定しました。



オオケンモン(蛾)終齢幼虫の徘徊



2013年10月下旬

低山にある建物(標高~650m?)の外壁(東面)で気になる毛虫を見つけました。
周囲は雑木林ですけど、白壁に取り付いていたので食餌植物は不明です。
垂直な壁面に下向きに止まっていました。
ゆっくりと蠕動して壁を下りています。
その場で採寸すると、体長〜60mm。

写真では白壁が背景なので幼虫の白っぽい(薄茶色の)長毛が見えにくいですが、動画の後半(3:06~)で毛虫が地面に下りると見易くなります。
地面の緑色のコケに到達しましたが、採食目的ではないようです。
おそらく繭を作る場所を探しているのではないかと予想し、採集して帰りました。

自分なりに絵合わせしてみると、なんとなくオオケンモンAcronicta major)という蛾の幼虫と雰囲気が似ているかな~と思うものの、自信がありません。
いつもお世話になっている「不明幼虫の問い合わせのための画像掲示板」にて問い合わせたところ、MMさんから以下のコメントを頂きました。

オオケンモンでいいと思います。
写真では随分茶色っぽいのですが、動画をみればちゃんと黄色の毛がありました。
それに黒毛が光の角度によって青く光るのも、まさにオオケンモンの色です。
オオケンモンは通常地中で蛹化するので、そのための移動中だったみたいですね。
つづく→「繭を紡ぐオオケンモン(蛾)終齢幼虫【微速度撮影:前編】


2014/02/05

杉林で鳴き騒ぐ♪カケスの群れ【野鳥】



2013年10月中旬

山裾にある杉林の梢にカケスGarrulus glandarius)の群れ(少なくとも3羽)が止まっていました。
隣り合う木の梢でジェージェー♪と喧しく鳴き交わしています。
右の個体は余り鳴かず、先に飛び立ちました。
てっきり私に対する警戒声かと思ったのですけど、左の個体も静かになったので、縄張り争いの喧嘩をしていたのでしょうか。
(そもそも、繁殖期でもないのにカケスが縄張りを形成するのか疑問です。)

声紋解析してみる?




飛べ!オオイシアブ♀【ハイスピード動画】



2013年8月上旬

ススキの葉にオオイシアブ♀(Laphria mitsukurii)が止まっていました。
飛び立つ瞬間を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
スローモーションで見直すと、虻に物を投げつけたので、急発進で離陸してから前につんのめるように慌てていますね。


【追記】
余談ですが、鈴木知之『朽ち木にあつまる虫ハンドブック』によると、
(オオイシアブの成虫は)他の昆虫を捕食する。幼虫も捕食性で、腐朽材内にすむクワガタムシ科の幼虫などを食べる。(p74より引用)
幼虫の意外な食性について初めて知り、驚きました。


2014/02/04

ハナトラノオの花蜜を吸うアトボシキタドロバチ♀



2013年10月中旬

平地(郊外)の民家の庭に咲いたハナトラノオ(=カクトラノオ)でドロバチの一種が花蜜を吸いに来ていました。
盗蜜はせずに白い花筒に潜り込んで正当訪花しています。

見慣れないドロバチですけど、腹背後部に3本ある黄紋が目を引きました。
未採集、未採寸。
手元にある図鑑ではエゾスジドロバチと似ているようですが、自信がありません。

いつもお世話になっている「蜂類情報交換BBS」で問い合わせてみると、青蜂@管理人さんから以下のようにご教示頂きました。
動画のドロバチは、第一腹節の形状からアトボシキタドロバチのメスではないでしょうか。腹背節を横切る隆起線が無いように見えます。
という訳で、アトボシキタドロバチ♀(Allodynerus delphinalis delphinalis)と訂正。

【追記】
竹筒ハチ図鑑サイトによると、
アトボシキタドロバチ(Allodynerus delphinalis delphinalis (Giraud))は、草本の髄部などに穴を掘って営巣する掘孔性である。キバガ類など小形のガ類幼虫を狩る。



アサギマダラの日光浴と飛翔



2013年10月中旬

林道脇の草むらでアサギマダラParantica sita)が翅を半開きにして日光浴していました。
本種は渡りをする蝶として有名ですが、翅に個体識別のマーキングなどは見当たりません。
最近の台風上陸で風に乗って飛ばされてきたのかな?と想像してみました。
飛び方はあまり羽ばたかず優雅に滑空することが多いです。
ヒヨドリバナ?の花に一瞬止まるも、落ち着いて吸蜜せずに杉林の梢に飛んで行きました。



2014/02/03

肉団子を作るクロスズメバチ♀



2013年10月中旬

里山の林道を歩いていると、クロスズメバチVespula flaviceps)のワーカー♀と遭遇しました。
狩りの直後だったらしく、私に驚いた蜂が獲物を大顎に咥えたまま枝から飛び立ち、近くの潅木の葉に着陸。
場所を変えてゆっくり肉団子作りに励みます。
獲物の正体は何か蛾の幼虫(イモムシ)だと思いますが不明です。
蜂が正面を向いてくれたときに頭楯の黒い斑紋が下縁に達しないことからクロスズメバチと確定。
肉団子を作り終えると、念入りに身繕いしてから巣で待つ幼虫に給餌するため飛び去りました。



ヒメジョオンを訪花するヒメシジミ♂の飛び立ち【ハイスピード動画】



2013年6月中旬

道端に咲いたヒメジョオンの群落でヒメシジミ♂(Plebejus argus micrargus)が飛び回り花蜜を吸っていました。
花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
複数個体を撮影。


2014/02/02

コナラシギゾウムシ?終齢幼虫の徘徊運動【微速度撮影】



2013年10月上旬

前回の記事はこちら→「ドングリから脱出したコナラシギゾムシ?終齢幼虫の歩き方

ドングリに穴を開けて中から脱出してきたコナラシギゾウムシ?の終齢幼虫(大小2匹)を円形プラスチック容器(
直径30mm)に移しました。
そのうちに徘徊運動が止んで蛹化するだろうと期待して微速度撮影してみました。
10秒間隔で約2.5時間インターバル撮影した連続写真を素材に早回し映像を作成しました。

土を入れておかないと絶対に蛹化を始めないんですかね?
2匹が互いに干渉し合って落ち着かないのかもしれません。



台風の強風で遊ぶハシボソガラスの群れ【野鳥】



2013年10月中旬

台風の影響で強風が吹き荒れる日でした。
稲刈り後の田んぼでハシボソガラスCorvus corone)が群れていました。
飛び立っても強風に逆らっては進めずに煽られて流されてしまいます。
着陸するのも一苦労。
数羽で追い掛けっこするように飛んで遊んでいるカラスもいます。
嵐の日に風乗り(ウィンドサーフィン)を楽しんでいるように見えました。

私の心象風景ではゴッホの描いた名画「カラスのいる麦畑」を少し連想したのですけど、改めて映像を見直すと全く雰囲気が違いましたね(笑)。


【追記】
塚原直樹『カラスをだます』によると、
風の強い日、カラスが上空で気流をうまく捉えて、風乗りを楽しんでいるような姿を見かけることがある。微妙な気流の変化を感じ取っているのは、おそらく翼だ。(中略)台風のような強風の日もカラスは空を飛ぶ。(中略)風が強い日の飛び方をよく見ると、尾羽を小刻みに動かしてバランスをとっているのがわかる。まあ、思い切り風に流されていくのを見かけることもあるのだが。(第2章「カラスになりきる」より引用)

改めて動画を見直しても、尾羽の細かな動きまでは分かりませんでした。

台風の日にスーパースローで撮影する必要がありそうです。 





ニホンミツバチ♀の吸水行動?



2013年10月中旬

ニホンミツバチ♀(Apis cerana japonica)が地面に降りて濡れた小石を舐めているようです。
山道の轍(わだち)が沢の水で濡れている部分なので、吸水ですかね?
背側のアングルではよく分かりませんが、土を口に入れたようにも見えます。
蝶がよくやるようにミネラル補給かもしれません。



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