2015年6月上旬
堤防の階段をふらふらと飛び回っているフタモンアシナガバチ ♀(Polistes chinensis antennalis )を発見。
時期的に単独営巣機の創設女王と思われ、迷子になって巣の位置を探しているように見えました。
実はこの階段は毎年フタモンアシナガバチの営巣地になっています。 蜂にとって人工的なコンクリート階段は繰り返し構造の単調な営巣環境ですから、アシナガバチは帰巣の際に迷子になりがちで、結果として二巣並行営巣を始める可能性が高いのではないか、という仮説をずっと温めています。
迷子になって飛ぶ女王aを追いかけると、階段の下面に作られた別の女王bの巣に接近してしまいました。
在巣の創設女王bがすぐに迎撃に飛び立ち、2匹は軽い空中戦になりました。
個体識別のマーキングを施している訳ではないので、厳密にはどちらが勝者か不明です。
しかし先住効果から、おそらく巣の乗っ取りは未遂に終わり、在巣の創設女王bが迷子の女王aを追い払ったと考えるのが自然でしょう。
撃退後は興奮したように巣を念入りに点検して回ります。
女王aが初めから巣の乗っ取りを目的として近づいたかどうか、分かりません。
よくあるご近所トラブルなのかもしれません。
▼関連記事
キアシナガバチ創設女王の喧嘩
折角なので、この初期巣bを調べましょう。
下から数えて12段目の下に作られていました。
前の年に見つけた巣の住所が「九段下」ばかりだったのは、偶然だったようです。
▼関連記事
階段下で初期巣を増築するフタモンアシナガバチ創設女王
手鏡を使えば下向きの巣盤の育房数をチェックできるのですが、この日は先を急ぐ用事があったので横から写真を撮っただけです。
コロニーの成長は順調のようで、幾つかの育房で白い繭キャップの存在を確認しました。
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2015年5月中旬・22:04 pm・室温23℃
ヒオドシチョウの飼育記録#2 夜の摂食シーンを赤外線の暗視動画に撮っていたら偶然、ヒオドシチョウ (Nymphalis xanthomelas japonica )終齢幼虫 が腹端を持ち上げ、ポトリと脱糞しました!
肛門から排泄される糞は、可視光では真っ黒なのに赤外線では白く写りました。
昆虫は変温動物なのに、もしかすると排泄したてのイモムシの糞はホカホカ暖かいのですかね?(腸内細菌による発酵熱?)
赤外線カメラの本質をよく理解していないのですけど、糞の表面は赤外線をよく反射するというだけなのか、それとも糞が熱を帯びている(赤外線を放射している)ということなのか、どちらでしょう?
サーモグラフィーでも撮ってみたくなりました。
【追記】
糞を室温で冷ましたり、冷蔵庫で冷やしてから暗視動画に撮ってみて、どのように見えるか調べれば分かりますね。
つづく→#3:夜の睡眠
2015年6月上旬
田園地帯を流れる川(用水路)沿いでスズメ (Passer montanus )の群れが堤防に集まっていました。
何か始めそうな予感がしたので、対岸から望遠で撮りつつ見守りました。
するとスズメ達はコンクリートブロックの斜面を続々と降りて行き、川岸の水に嘴を付けて飲み始めました。
水浴びをする個体はいませんでした。
私が見ているせいで警戒していたような印象。
実は5日前に、同じ場所で水浴するヒヨドリを見ています。
野鳥に人気の水場なのかもしれません。
▼関連記事
水浴後に身震いするヒヨドリ(野鳥)
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2015年6月中旬
私事ですが、sigma1920の名義で長年開設してきたYouTubeチャンネル が著作権絡みの?言いがかりをつけられて強制的に閉鎖されてしまいました。
This account has been suspended due to multiple or severe violations of YouTube's policy against spam, gaming, misleading content or other Terms of Service violations.
このアカウントは次の YouTube ポリシーに対する度重なる違反または重大な違反のため停止されています: スパム、誤解を招くコンテンツなどの利用規約違反
大ショックで怒り心頭ですが、頭を冷やして反論をまとめるために、これからここに下書きを記録しておきます。(推敲中)
二番目に開設したYouTubeチャンネル(sigma1920HD )は幸い無事です。
私の公開した動画がスパムですか? 身近な生き物の生態動画やハイスピード動画コレクションの一体どこが誤解を招く内容なのでしょうか?
理由がさっぱり分かりません。
心当たりがあるとすれば、著作権絡みの間違った不当クレームの数々です。
映像は全て私の完全オリジナルで、たまに付けるBGMはYouTube側が提供するもの(著作権処理済みの楽曲)を選んだだけなのに…。
BGMを付ける場合、私はいつも動画をアップロードした後で、YouTube上のaudioswapプログラムで音声を入れ替えてきました。
(私はYouTubeの古参ユーザーなので、audioswapという呼び方は古いかもしれません。)
YouTube上での私の活動は全てログに残っているはずですから、私のオリジナル動画にはBGMが一切含まれていないこと、audioswapを利用したことをYouTube側で調べたらすぐに分かるはずです。
楽曲でクレームの付いたYouTube動画からBGMを取り除いたりオリジナルの音声に戻す機能が最近になって提供されました。
「私が求めていた機能はこれだ!」と喜んで、忙しい合間に少しずつ復旧作業をしている最中に突然、最後通告が届いたのです。
皆さんも動画にBGMをつける際はくれぐれもお気をつけ下さい。
著作権処理の済んだ楽曲だと信じてaudioswapを利用したのに、楽曲提供者の都合や気紛れで後日クレームをつけられてしまうのでは堪りません。
「楽曲をこの中から自由に選んで」と言われたから喜んで選んだのに、後になって訴えるとはなんというマッチポンプですかね? 私を狙い撃ちにしたおとり捜査だとしても悪質で、全く意味が分かりません。
私の映像と組み合わせて曲を使われたくないという意向なら、尊重して元の音源に粛々と戻すだけです。
著作権コンテンツとのマッチング判定はYouTubeが機械的かつ自動的に行っているようですが、これまで色々と問題を生じています。
過去に問題になったのは、虫や鳥の鳴き声とかカメラをズームする際のノイズ音です。
動物の鳴き声や羽音は種によってワンパターンで個体差があまりなく、多かれ少なかれ似ています。
たとえば音楽CDなどで鳴き声を効果音として含む曲があります。
おそらくそういう曲と似ているとして、私の撮った生態動画が問題になったことが何度もあります。
動物の鳴き声に著作権や特許が認められてしまうと、動物行動学で音声コミュニーケーションを自由に研究することが不可能になってしまいます。
ヒトの場合でもたとえば、赤ちゃんの泣き声や、拍手の音、扉をノックする音などは誰がやっても似てしまいます。
(最後の二例は、拍手やノックを独創的なリズムに乗せれば立派な演奏とみなされ著作権が発生するでしょう。私がここで言いたいのは拍手やノック音を一発だけで比べる場合、という意味です。)
赤ちゃんの泣き声や猫の鳴き声に対して誰か早い者勝ちで著作権を主張してしまうと、とんでもないことになるでしょう。
この点は改善されたようで、難癖をつけられることは最近減りました。
音声の次は映像について。
テレビ番組やDVD、他人のYouTube作品などから映像をコピーしたり編集して私のチャンネルにアップロードしたことは一切ありません。
「下手の横好き」でも生き物の行動を「自分で撮って動画に記録する」ことを一番の喜びとしているのに、他人の作品を盗用する理由がありません。
個人的に撮った大量の生態動画のアーカイブ(保管庫)としてYouTubeを利用しているので、チャンネルを閉鎖させられるようなリスクを負う理由がありません。
私が開設したYouTubeチャンネル内の動画は全て、私しぐまが撮影、編集、アップロードしたものです。
著作権コンテンツとのマッチング判定はYouTubeが機械的かつ自動的に行っているようですが、色々と問題を生じていることがこれまで分かっています。
もし仮に音声ではなく私の動画そのものが第三者の映像コンテンツとマッチングしているという判定なら、完全に冤罪です。
海外・国内のTV番組に映像素材を提供したことがこれまで何度かあるので、もしかしたらその番組で一部使われた映像を元に本家の私を間違って訴えてきたのでしょうか?
クレームをつけてくる人は、どの番組のどこがどう似ているのか、あるいは一致するのか、ご自身の作品(と称するもの)を具体的に見せてもらいたいです。
比べるものがないと反論のしようがありません。
真の著作権所有者である証拠として、YouTubeにアップロードする前のオリジナルの動画ファイルを提供できます。
私がYouTubeで一般公開している動画の多くは手ブレ補正処理を施した後のバージョンです。
未編集のオリジナル・バージョンにはやや手ブレが残っています。
これを持っているのは世界で私だけです。
当時の撮影メモ(フィールドノート)も提供できます。(クラウド上の文書ファイルなので、いつでも編集可能なため証拠としては弱いですけど、編集履歴が記録として残っているかもしれません。)
「ここで撮った」と覚えているものについては、現地に案内することもできます。
動画と一緒に写真も撮った場合は、その写真データ(EXIF付き)も提供できます。
場合によっては被写体の標本も保存してあります。
以上のような圧倒的な物証を元に、「私が撮った動画である」と主張します。
不当にクレームをつけてくる人には、これは出来ません。
私の動画に広告を付けるようにしている理由は、無料で管理してくれるYouTube(Google)に感謝を示すためです。
大量の知的財産を預けている身としては、YouTubeが倒産したりサービスを停止することが一番困ります。
色々な手練手管を駆使して莫大なPVを稼がない限り、広告収入が雀の涙にもならないことは皆さんご存知の通りです。
私の動画ブログは一般受けのしないマニアックな内容を扱っていますから、毎日ほそぼそと更新したところで閲覧数もたかが知れています。
毎日地道にオリジナルの動画コンテンツを更新することがスパム扱いされるのでしょうか?
2015年5月下旬
ヒオドシチョウの飼育記録#1
水辺(湿地帯)に生えたオノエヤナギ の木で葉を集団食害するヒオドシチョウ (Nymphalis xanthomelas japonica )の幼虫 を2箇所から採集してきました。
帰宅途中で落としてしまったようで、残る幼虫は4頭でした。
全て終齢幼虫だったことが後に判明します。
早速、一緒に採集してきた柳の枝を水差しにして飼育開始。
ヒオドシチョウ幼虫の食餌シーンは野外で去年、散々撮ってきました。(接写、微速度撮影など)
そこで今年は目先を変えて、夜食を摂るシーンを赤外線の暗視動画に撮ってみました。
夜になっても(22:02 pm、室温23℃、湿度43%)食欲旺盛で柳の枝葉を徘徊し、葉を蚕食しています。
ところで、ヒオドシチョウの幼虫を採集した際に、あの恐ろしげな棘状突起が指で触れても全く痛くないことに気づき、とても意外でした。
なんか「騙された!」と思いました。
イラガ幼虫など、触ると激痛が走る毛虫に擬態しているのでしょうか?
心理的なブラフ(こけおどし)の効果は抜群かもしれませんが、痛くないことがばれたら鳥なんか平気で捕食しそうです。
天敵(捕食者)に対する防御効果は実際にどうなのか?と不思議に思っていたところ、毛虫の毛の意味について「生きもの写真家 安田 守の自然観察な日々」さんのブログでタイムリーな記事 を見つけました。
その中で興味深い論文を紹介していました。
全文PDF をダウンロードして読んでみると、非常に興味深かったです。
Sugiura, Shinji, and Kazuo Yamazaki. "Caterpillar hair as a physical barrier against invertebrate predators." Behavioral Ecology 25.4 (2014): 975-983.
ヒオドシチョウ幼虫の棘状突起を見て個人的に思うことは、飛来する寄生蜂やヤドリバエ ♀が体に着陸できないようにして、少しでも寄生産卵を妨げるために発達したのではないか?という気がします。
鳥に対しては例えば実際にニワトリに与えてみて、防御効果を調べる実験ができそうです。
つづく→#2:夜に排便するヒオドシチョウ終齢幼虫【暗視映像】
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2015年5月下旬
▼前回の記事 ♀の残り香で性的に興奮するノシメマダラメイガ♂(蛾)
ノシメマダラメイガの飼育記録#7 今回は飼育記録ではありませんが、前回の記事と深く関連する番外編です。
正午頃、室内(食堂の北東角)の天井付近で2〜3頭のノシメマダラメイガ (Plodia interpunctella )が乱舞していました。
壁や天井に止まると、激しく羽ばたきながら歩き回ります。
窓との位置関係から、走光性 とは無関係な行動のようです。
♂(と思われる個体)は天井隅のなぜか特定の場所に執着しています。
食堂ですから幼虫の餌となる貯蔵食品の匂いに誘引された可能性も考えられますが、天井の隅から強く匂うはずがありません。
これまでの飼育経験から、♂の求愛ダンスだろうと想像がつきました。
ところが近くにコーリング(静止して性フェロモンを放出)している♀は見当たりません。
ここに♀の性フェロモンが残留しているのでしょうか?
狭い飼育容器に比べたらはるかに広い開放空間です。
ノシメマダラメイガ♀の性フェロモンはcis-9, trans-12-tetradecadienyl acetateとして単離されましたが、自然界では単純な揮発性物質ではなく何か別の化合物と混合して使われ、ゆっくり揮発するようになっているのかもしれません。
♀が縄張りに匂いづけした、というのはさすがに考え過ぎでしょう。
2頭の♂同士が出会うと頭を突き合わせて誤認求愛が起こりましたが、すぐに間違いに気づいて別れました。
貯穀害虫として悪名高いノシメマダラメイガを防除するために、フェロモントラップが開発・販売されています。
化学合成した性フェロモンを室内・室外のあちこちに置いてみて、♂の誘引活性を調べたら面白そうです。
私の予想では、おそらくこの動画と似たような状況が観察できるはずです。
※ 薄暗い場所で撮った映像に対して、YouTubeの動画編集時に自動色調補正を施しています。
つづく→#8:夜の活動【暗視映像】
VIDEO
2015年6月上旬
溜池の岸辺でクロスジギンヤンマ ♀(Anax nigrofasciatus nigrofasciatus )が産卵していました。
私が気づかずに池の畔を歩いていたら驚いて飛び立つも、場所を変えてすぐ産卵を再開してくれました。
岸辺の水面に浮いた抽水植物の枯れた茎に止まって卵を産み付けています。
ときどき軽く飛び上がり、産卵場所を変えていました。
産卵法に関する図鑑の記述がことごとく的中していて、感嘆しました。
夕方、単独で産卵する。浮遊植物などの水面に近い部分の組織内に産卵。
『ヤマケイポケットガイド18:水辺の昆虫』p97より
♂と尾繋がりしないで♀が単独産卵する種類のトンボがいるという知識はあったものの、実際に見るのはこれが初めてでした 。(追記:そんなことはなかった)
辺りを見回しても、産卵中の♀を警護する♂は居ませんでした。
途中からは取り出した三脚にカメラを固定し、じっくり撮らせてもらう余裕がありました。(映像では順番を逆にしてあります。)
この溜池は今年水量が激減し、水質が悪化したので心配です。
同じ場所で以前ギンヤンマ♂♀の連結産卵 を観察していますが、クロスジギンヤンマは初見です。
2015年6月上旬
平地の用水路脇に咲いたオオハナウド の群落でウスバアゲハ ♀(Parnassius citrinarius )が訪花していました。
吸蜜する口吻も脚も白い花粉で汚れています。
腹端に交尾嚢が見えるので、交尾済みの♀と判明しました。
交尾した際に嫉妬深い♂が自分の遺伝子を着実に次世代へ伝えるため、♀に貞操帯を付けたのです。
後半、日が射したら翅を広げ日光浴しながら吸蜜を続けています。
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2015年6月上旬
堤防の階段で飛び回るモンスズメバチ ♀(Vespa crabro flavofasciata )を発見。
時期的に未だワーカーではなく、単独営巣期の創設女王と思われます。
見事なホバリングを披露してくれ、初めは獲物の探索中なのかと思いました。
ところが階段の隅っこに興味を示し、割れ目に潜り込んで調べていました。
おそらく安全で快適な営巣地を探索しているのでしょう。
『スズメバチの科学』p18によると、
(モンスズメバチの)女王蜂は地表近くの狭い閉鎖空間などに巣を創設するが、働き蜂が羽化して巣が大きくなり手狭になると、大木の空洞などの広い空間に引っ越しをすることが多い。
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2015年5月下旬
▼前回の記事 ノシメマダラメイガ(蛾)の求愛行動【ハイスピード動画】
ノシメマダラメイガの飼育記録#6 飼育容器内のノシメマダラメイガ (Plodia interpunctella )成虫が全て寿命を迎えたので、計13頭の死骸を回収し捨てました。
その日のうちに室内で成虫を新たに1頭捕獲し、同じ容器に投入しました。
するといきなり興奮したように求愛ダンス(翅を特徴的に振動させるバタツキ行動)を始めたので、♂と判明。
♀が居ないのに激しく羽ばたきながら容器内を徘徊しています。
しかも、容器の特定の部位に来ると求愛ダンスを行うようです。
写り込んでいる光源(リングライト)の位置からお分かりのように、走光性とは無関係でした。
一般にノシメマダラメイガが活発になるのは暗くなってからですが、午前中に撮影したので時間帯や照度のせいで求愛モードになったのではなさそうです。
♀の出した性フェロモンの残り香があるのでしょうか?
別の容器(同サイズ)をエタノールでよく拭いて乾かしてから、この♂を移してみました。(@2:45〜)
すると案の定、求愛ダンスを全くやらなくなり壁面でおとなしくなりました。
昆虫生理学(化学生態学)の真似事で以下のような追加実験を行えば、性フェロモンの残留を証明できそうです。
大量飼育した後の容器の内壁をよく拭き取り、♂を戻すとバタツキ行動しなくなるか?
その拭き取った紙(ティッシュペーパーなど)に対して♂は誘引されるか?
♀だけ、♂だけに分けて大量飼育した後の容器に対して導入♂の反応は異なるか?(活性物質は本当に♀が産生したフェロモンか?)
しかし他のことで急に忙しくなり、手が回らなくなってしまいました。(計画倒れ)
誰か興味のある方は、自由研究のテーマに如何でしょう?
密閉容器でノシメマダラメイガ成虫を大量飼育しても、求愛から交尾に至る成功率がなんとなく低い気がしていました。
もしかすると♀がコーリングで放出した性フェロモンが容器内に充満して(濃度が高過ぎて)、♂の性行動を逆に妨げていたのかもしれません。
♂単独で性的に興奮する似たような状況 を自然条件でも(ノシメマダラメイガの場合、野外ではなく室内)後日観察することができました。
つづく→#7:ノシメマダラメイガ(蛾)が室内で♂単独の求愛ダンス
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2015年5月下旬
山際の田園地帯を抜ける道路を照らす水銀灯の周りを深夜(23:55 pm)、コウモリ (種名不詳:おそらくアブラコウモリ ?)が静かに飛び回っていました。
灯火に集まる昆虫を捕食しに来ているのでしょう。
バットディテクター(コウモリ探知機) があれば、ヒトの耳には聞こえない超音波の鳴き声も聞き取れるようになるし、コウモリの種類も分かるはずです。
私も欲しいのですが、調べたら高価ですね…。
カエルの合唱を聞きながらコウモリを撮っていると、最後にもうひとつ驚きの(嬉しい)遭遇が待っていました。 私の背後から来て道を走り去るテンまたはイタチのような哺乳類の姿が一瞬だけ写っています。 私に気づいて驚いたのか、道端の水田に降りたようです。
【追記】
大沢夕志、大沢 啓子『身近で観察するコウモリの世界―町を飛ぶ不思議な野生動物 (子供の科学★サイエンスブックス)』を読むと、街中で夜にコウモリを観察するノウハウが書いてありました。
交差点近くの街灯の光が届く場所でコウモリ観察。光の方を向いてしまうとまぶしいので、街灯などに背中を向け空を見ると、コウモリを探しやすい。 (p12より引用)
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2015年5月中旬・深夜23:48〜23:55頃(室温25℃、湿度50%)
▼前回の記事 交尾中のノシメマダラメイガ♀♂(蛾:結合部のアップ)
ノシメマダラメイガの飼育記録#5 ノシメマダラメイガ (Plodia interpunctella )♂による求愛行動を240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
容器の蓋として張ったサランラップの裏に静止した♀がコーリングしています。
♀が腹端の誘引腺(側胞)から放出した性フェロモンに反応した♂が下から飛び上がってきたり、激しく羽ばたきながら歩いて背後から♀に接近したりします。
♀が♂を気に入ると方向転換して、顔を♂と向かい合わせました。
♂は激しく羽ばたきながら腹端を持ち上げ、海老反り姿勢で交尾を試みます。
しかし交尾器を上手く連結できませんでした。
残念ながら求愛が成就して交尾に至るシーンは撮れていません。
撮れたのは交尾未遂シーンばかりで、♂は毎回諦めてしまいます。
【参考文献】で学んだことを箇条書きに。
桑原保正. "メイガ科昆虫の性フェロモンに関する研究." (1971).(全文PDF )
性フェロモンに曝した場合に♂蛾が示す代表的な3行動は、バタツキ行動(翅を特徴的に振動させる)、定位行動、および誘引行動。
callingを行っている♀蛾に♂が誘引され、♀の尾端に接近すると♀蛾が半回転して♂と向い合い、その後交尾が行われる。
♀が積極的に配偶行動に加わり、接近する♂を半回転して待ち受ける種(スジマダラメイガ、ノシメマダラメイガ、チャマダラメイガ)には、その♂にwing glandが存在する。一方、求愛されても♀が全く動かないスジコナマダラメイガでは、その♂はwing glandを欠く。
交尾を試みるノシメマダラメイガ♂のwing glandがドイツ語Borstentrichterの意味(漏斗状の剛毛)通りに、漏斗状に開いていることが観察できる。通常の歩行および飛翔時には、これはたたみこまれており、♂蛾がフェロモンを感知し、性的に興奮し、♀蛾に誘引され、♀蛾に接近した時、はじめて♂蛾はwing glandを開く。
ノシメマダラメイガについて、wing glandは、ツヅリガ類の場合ほど、交尾行動に重要性をもっていないかもしれない。
ハイスピード動画(1/8倍速のスローモーション)でも求愛している♂のwing glandがどうなっているのか、その状態がよく分かりませんでした。
静止画の写真を撮る(瞬間を切り取る)しかなさそうです。
背側から撮らないと見えないのかな?
つづく→#6:♀の残り香で性的に興奮するノシメマダラメイガ♂(蛾)
2015年6月上旬
道端に咲いたヒレハリソウ(=コンフリー) の群落でセイヨウミツバチ (Apis mellifera )のワーカー♀が訪花していました。
ところが花筒に潜り込んで正当訪花するのではなく、花筒の根本を外から噛んで穴を開けて盗蜜 していました。
まさかミツバチが盗蜜するとは予想外で、衝撃映像に興奮しました。
この吸蜜法では雄しべの花粉に全く触れないので、後脚の花粉籠は空荷です。
更によく観察すると、既に穿孔した穴から盗蜜しているので二次盗蜜(一次盗蜜者があけた穴を利用する盗蜜)かもしれません。
実は直後に同じヒレハリソウの群落でクロマルハナバチ ♀(Bombus ignitus )が訪花しているのを見ています。
舌の短いクロマルハナバチは穿孔盗蜜の常習犯ですので、一次盗蜜者はおそらくクロマルハナバチでしょう。
(クロマルハナバチの盗蜜行動は過去に散々撮ってきたので今回はスルー)
この映像は、同一個体のセイヨウミツバチを追いかけて撮影したものです。
この個体はどの花でも毎回盗蜜していました。
ミツバチがヒレハリソウで正当訪花する例があるのかどうか、つまり正当訪花で舌が蜜腺に届くのか?、これから注意して観察します。
これまで撮っていないのも意外ですけど。
【追記】
意外にもすぐに懸案事項が解決しました。
▼関連記事
ヒレハリソウで正当訪花および盗蜜するセイヨウミツバチ♀
※ 「養蜂業界ではミツバチが他の個体や巣箱から蜜を奪うことも盗蜜 と言い習わす」(wikipedia より)のですが、今回のトピックはそれとはまた違った採餌行動です。
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