2023/11/04

ニホンアナグマの巣穴が気になり連日通うホンドギツネの謎【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年4月中旬

二次林に営巣するニホンアナグマ♀(Meles anakuma)の巣穴(セット)には、ホンドギツネVulpes vulpes japonica)も繰り返しやって来ます。 

シーン1:4/18・午前5:07・(@0:00〜)日の出時刻は午前4:58 
日の出直後に単独でやって来たキツネが、奥の巣穴Lにおっかなびっくり侵入しようとしていました。 
次は手前に回り込んで、もう一つの巣穴Rをこっそり覗き込みます。 
キツネは強引にアナグマの巣穴に押し入ることはなく、諦めて右に立ち去りました。 


シーン2:4/19・午前5:40・(@0:36〜)日の出時刻は午前4:56 
翌日も早朝にキツネが登場。 
営巣地の地面の匂いや風の匂いを嗅いでから、巣穴Rを気にしつつ右へ通り過ぎました。 
…と思いきや、右から手前に戻って来ると、トレイルカメラの存在に気づいたようです。 
カメラを固定した灌木の下に立ち止まって何かしています。 
死角で見えませんが、私の残り香が気になるのかな? 


シーン3:4/19・午後18:19・(@1:36〜)日の入り時刻は午後18:21
同じ日の日没直前にまたもやキツネがアナグマのセットにやって来ました。 
奥の巣穴Lを覗き込んでから、ちょっと座り込みました。 
今回も早足で右に立ち去りました。 


シーン4:4/19・午後21:06・(@2:02〜) 
2時間45分後、暗くなってからもしつこいキツネが再登場。 
薄明薄暮以外の時刻(暗い晩)にキツネが来たのは初めてです。 
今回はアナグマの巣穴を覗き込んだり物色したりしないで、右に立ち去りました。 


シーン5:4/20・午前4:54・(@2:14〜)日の出時刻は午前4:55
翌日も日没直前にキツネが現れ、奥の巣口Lを覗き込んでいます。 
諦めて右奥の灌木林へ立ち去りました。 

キツネはなぜか奥の巣穴Lに執着し、手前の巣穴Rにはあまりちょっかいをかけません。 
ということは、おそらくアナグマ♀は巣穴Lに籠城しているのでしょう。 


シーン6:4/20・午前5:01・(@3:05〜) 
約5分後に灌木林の獣道からキツネが戻って来ました。 
周囲はだいぶ明るくなりました。 
奥の巣穴Lに再び侵入を試みたものの、諦めて左に立ち去りました。 


シーン7:4/21・午前5:40・(@3:33〜)日の出時刻は午前4:54 
翌日も早朝にキツネが現れました。 
奥の巣穴Lを覗き込んでから回り込んで、手前の巣穴Rにも興味を示しました。 
アナグマの匂いが濃厚らしく、侵入せずに神妙な顔つきで右下に立ち去りました。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


この後もトレイルカメラでアナグマ営巣地の定点観察を続けたのですが、キツネがこれほど集中的に現れたのは、不思議なことにこの時期だけでした。 
登場時刻はほとんど薄明薄暮でした。
しかし、明るい昼間は監視カメラを節電のためにスリープさせているので、もしキツネが来ていても記録されません。 
実際は日中もキツネが通ってきている可能性があります。(基本的に夜行性だと思うのですが…。)

キツネの巣穴も近所にありそうです。
縄張りを巡回するついでに、気になるアナグマの巣穴に立ち寄っているのでしょう。
ストーカーのように何度もしつこく通って来るということは、アナグマの赤ちゃんを狩ろうとしているのか、それともアナグマの巣穴をあわよくば乗っ取ろうとしているのですかね?  (※ 追記参照)
後々紹介する予定ですが、この二次林には野ネズミも出没します。
キツネはアナグマというよりも、野ネズミの巣穴が気になっているのかもしれません。

キツネの個体識別が出来ていませんが、まさか複数個体が通っているのでしょうか?

子育て中のアナグマ♀にとってホンドギツネは天敵のはずです。
しかし、外敵が巣口に近寄っただけではアナグマが中から飛び出してきて撃退することは一度もありませんでした。 
あくまでも専守防衛で籠城する穴熊戦術のようです。 
仮に巣口から捕食者が押し入っても、緊急脱出用の出口が別に掘ってありそうな気がします。





※【追記】
子供向けの古い写真集ですが、北海道の大雪山でキタキツネの生態を長期観察した記録をまとめた久保敬親『きつね(しぜんのせかい1)』によると、
中国東北部で動物の観察をしたルカーシキンはキツネは穴の中にすむが穴ほりがうまくないのでアナグマの穴を横どりすると書いています。アナグマの留守に押しかけて尿や糞をして汚し、もとの持ち主が閉口して放棄するのを待つのです。同居している場合もあり、この場合はその家主のウサギなどだけは食べないのだそうです。 (p33より引用)


ホンドギツネもキタキツネも基本的な習性はおそらく同じでしょう。

私が観察するニホンアナグマの営巣地で、ホンドギツネの排泄シーンはトレイルカメラに写っていませんでした。 

監視カメラの死角でやっているのかもしれないので、カメラの台数を増やしたくなります。

キツネがアナグマの留守中に巣穴の中に侵入して、巣内で排泄するという意味でしょうか?


春の刈田で落ち穂拾いするキジ♀3羽の群れ(野鳥)

 

2023年4月中旬・午前10:20頃・くもり 

田んぼの農道で採食する2羽のキジ♀(Phasianus versicolor)を発見。 
私に気づくと警戒し、農道から隣の刈田に慌てて逃げ込みました。 
地味な羽毛のキジ♀は刈田に居ると見事な保護色となり、カメラのAFピントが合焦しにくくなります。 
じっとしていれば、まず見つからないでしょう。

キジ♀が飛び去るシーンを期待して、動画を撮りながら農道を歩いて近づいてみました。 
しかし飛ぶのが苦手なキジは、よほど身の危険が迫らなければ、ひたすら走って逃げるようです。 
足早に刈田を横断し、畦道を乗り越え、私からどんどん離れて行きます。 
キジ♀には目立った冠羽がありませんが、後頭部の羽毛が少し逆立っていたのは緊張の現れなのでしょう。 
私が立ち止まって撮影を続けると、充分な安全距離を取ったキジ♀はようやく警戒を解き、逆立っていた冠羽が寝ました。 

途中からもう1羽が現れ、計3羽の群れと判明しました。 
キジは♀だけが集まって群れを形成します。
嘴の動きを見ると、キジ♀は刈田を移動しながらときどき互いに小声で鳴き交わしているのかもしれません。 
残念ながら遠くて鳴き声を聞き取れませんでした。 

ようやく落ち着くと同じ区画の刈田で仲間と合流し、歩きながら地面を啄んで採食を始めました。 
落ち穂拾いだけでなく、春の刈田で昆虫や虫などを捕食しているのかもしれません。 
採食の合間に立ち止まって胸の羽毛を嘴で整えました(羽繕い)。 

最後は田んぼの端にある枯れヨシ原へ逃げ込みました。
いつもここはキジの隠れ家となっています。 
ヨシ原にキジの営巣地がありそうだと前々から睨んでいるのですけど、未確認です。 

ところで、キジ♀が採食していた刈田の一区画だけ、なぜか大量の不燃ゴミが散乱していました。 
せっかく撮れた採食動画が見苦しいゴミのせいで台無しです。 
田起こし前に撒く肥料のような物だとしたら、刈田の全区画に撒くはずです。 
何かトラブルがあって誰かが悪質な嫌がらせでゴミをぶちまけたのか…?と米農家の闇を見た気がしました。(勝手な想像です) 



2023/11/03

巣穴周辺で仰向けに寝転がって毛繕いするニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月中旬 

二次林に営巣するニホンアナグマ♀(Meles anakuma)の記録です。 
営巣地(セット)で独特な毛繕い行動をしています。 

シーン1:4/17・午後23:26・(@0:00〜) 
深夜にセットの奥をうろついてから右の林縁で座り込み、仰向けにひっくり返って毛繕いを始めました。 
謎の行動で初見でしたが、アナグマの基本的な行動レパートリーだと後に分かってきます。 
この映像ではやや遠く、性別が見分けられません。 
(♀の巣穴に夜這いに来た♂の可能性もあります。) 


シーン2:4/20・午前4:28・(@1:01〜) 
3日後も同様の毛繕い行動が撮れていました。 
この個体は巣穴の主の♀です。 
手前の巣口R周辺をうろついてから、立ち止まって座り込みました。 
仰向け姿勢で毛繕いしたり、痒い体を足でボリボリ掻いたりしています。 
自分の毛皮を甘噛みしているような気もしますが、もっと鮮明な暗視映像で撮れるアングルを工夫しないといけません。 

最後は手前の巣穴Rに入りました。 


※ 一部は動画編集時に自動色調補正を施しています。 




日光浴してから飛ぶ越冬明けのエルタテハ

 

2023年4月中旬・午後12:50頃・晴れ 

里山の尾根道には残雪が少しありました。 
山道の横にある枯れ草の上で越冬明けのエルタテハNymphalis vaualbum)が翅を開閉しながら日光浴していました。 
体温を上げてから自発的に飛び去りました。 
 翅裏をしっかり見せてくれず、性別を見分けられません。 
右後翅の激しい破損が、越冬の厳しさを物語っています。 
それでも飛翔能力に支障はないようです。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

よく似たヒオドシチョウも同様に日光浴する姿を、この日の山行で多数見かけました。(映像公開予定)
私のフィールドでエルタテハは個体数が少なく、出会えると嬉しい蝶のひとつです。


関連記事(9年前の撮影@晩秋)▶ エルタテハの日光浴

2023/11/02

ニホンアナグマの巣穴をこっそり調べるホンドタヌキ♀♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年4月中旬 

二次林の林床にニホンアナグマMeles anakuma)が掘った2つの巣穴を自動センサーカメラで見張っていると、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が写りました。 

シーン1:4/11・午後18:22・(@0:00〜) 
日の入り時刻は18:13。 
日没直後の薄暗い林床を2頭のタヌキがこっそり歩き回っています。 
おそらく行動を共にしている♀♂つがいなのでしょう。 
地面の匂いを慎重に嗅ぎ回り、巣穴Rを覗き込むものの、中には決して入ろうとしません。 


シーン2:4/16・午後18:36・(@1:00〜) 
トレイルカメラの設置アングルを変更しています。
5日後にも日没直後にタヌキの♀♂ペアがアナグマのセット(営巣地)に現れました。 
日の入り時刻は午後18:18。 

手前の巣穴Rをしげしげと覗き込み、中に居るアナグマの気配を伺っているようです。 
別個体が奥にある巣穴Lから出てきたように見えますが、出巣したのではなく通りすがりに奥の巣口Lを軽く物色しただけと後々分かりました。 

「同じ穴のむじな」と言われるように、タヌキとアナグマは同居することがたまにあるそうです(都市伝説?)。 
トレイルカメラで撮影を続けると、この巣穴LRはあくまでもアナグマのもので、近所に住むタヌキが通りすがりに興味津々で訪れることが後々分かってきます。 

巣穴の主であるアナグマは、外敵(不審者)が巣口に近寄っただけでは中から飛び出してきて撃退することはないようです。 
あくまでも籠城による専守防衛(穴熊戦術)なのでしょう。
同じ生息地や溜め糞場を共有する2種の食肉目哺乳類は、互いの存在を意識しているはずですが、アナグマ対タヌキの直接対決どころか、ニアミスも今まで一度も撮れたことがありません。 
互いに避けて暮らしているのでしょう。

夜の町を走る救急車のサイレン♪が遠くから聞こえます。 
飼い犬はよく救急車のサイレンを聞くと遠吠えを始めますが、同じイヌ科でもタヌキは無反応でした。 




アナグマの巣穴付近で落ち葉をめくって虫を探すシロハラ♀【冬の野鳥:トレイルカメラ】

 

2023年4月中旬 

二次林でアナグマの巣穴を監視する自動センサーカメラに野鳥が写っていました。 

シーン1:4/10・午後16:28・晴れ(@0:00〜) 
前日の晴れた午後にたまたま撮れた現場の様子です。 


シーン2:4/11・午前5:30(@0:05〜) 日の出時刻は午前5:08
画面の赤丸に注目。 
アナグマの巣口Rの上に被さるように伸びた細い灌木(木性の蔓?)に、早朝から地味な鳥が1羽止まっていました。 
止まり木で辺りをキョロキョロと見回し安全を確認してから、右下の地面に飛び降りました。 
朝の採食行動を始めたようです。 
(なぜか動画編集に失敗してしまい、鳥が画角外に消えた不要部分がカットされず、しばらく暗転が続きます。) 
画角内に戻って来ると、巣穴R付近で落ち葉を嘴で素早く跳ね上げて、隠れている虫を探しています。 
この鳥はシロハラ♀(Turdus pallidus)ですかね? 
せっかく興味深い採餌(虫取り)行動なのに、残念ながら1分間の録画設定時間が切れてしまいました。

シロハラは冬鳥のはずですが、未だ北方の繁殖地に渡去しないで居残っている個体なのでしょう。 
あるいは渡りの途中で立ち寄っただけかもしれません。
『やまがた野鳥図鑑』p160によれば、シロハラは4月上旬まで見れるとのこと。 

2023/11/01

雨夜に2つの巣穴に出入りするニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月中旬

トレイルカメラの設置場所を変更してみました。 
 ニホンアナグマMeles anakuma) が営巣するセットの周囲には細い落葉灌木が何本も生えているために、2つの巣穴を同時に狙うアングルを確保するのは大変です。 
巣穴Rが手前にあります。
奥にある巣穴Lは藪(落葉灌木)の陰に隠れてよく見えません。

シーン1:4/17・午前3:03(@0:00〜) 
雨が降る未明にアナグマが奥の巣口Lを覗き込んでいました。 
一旦左に回り込み、巣穴Lに入りました。 
これで、奥の巣穴Lもアナグマがしっかり利用していることが判明しました。 
手前の巣穴Rと内部でつながっていると思うのですが、トンネルの構造を確かめる方法がありません。 


シーン2:4/17・午前4:35(@0:29〜) 
約1時間半後、雨足が強くなっていました。 
アナグマが奥の巣穴Lの周囲をうろつき、立ち止まるとブルルルと身震いして、濡れた毛皮の水気を切りました。 
左からセットを回り込むと、手前の巣穴Rに入りました。 

2回とも性別をしっかり見分けられませんでしたが、セットに堂々と入巣したということは、巣穴の主である♀またはヘルパー♂(前の年に生まれた若い♂)と思われます。 
出巣した瞬間を撮り損ねたと考えるのが自然でしょう。
雨が降る夜は大好物のミミズがよく取れるはずなのに(うろ覚え)、アナグマはどうして採食に出かけないのでしょう?
巣内には生まれたばかりの赤ん坊が居るはずなので、その世話が大変なのかもしれません。
遠出しなくても、営巣地の見回り(散歩)を欠かさないようです。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 

これから初夏にかけて灌木の葉が生い茂ると、アナグマの巣穴は入り組んだ藪の中にすっかり隠れてしまうのでしょうか。
撮影のために邪魔な灌木を少し切りたくなりますが、迷います。 
子育て中のアナグマ♀がセット周辺の変化(撹乱)に気づくとストレスに感じてしまって引っ越してしまう可能性があるからです。 
私有地の森なら、もちろん無断で木を切ってはいけません。 



送電塔の天辺で営巣を始めたハシブトガラス♀♂(野鳥)抱卵

 

2023年3月下旬・午後12:45頃・晴れ 

送電塔#KN7に毎年営巣するハシブトガラスCorvus macrorhynchos)の♀♂つがいを定点観察しています。 



巣に座り込んだ親鳥の尾羽だけが巣材の外に突き出て見えます。 
親鳥♀が抱卵しているのでしょう。 

カメラを下にパンすると、送電塔の中段に設置された巣箱は利用されておらず、空っぽでした。 
巣材の小枝が1本も搬入されていません。 

カラスは大量の小枝を組み合わせて巣作りするのですが、送電塔に持ち込んだ巣材によって感電や漏電事故が起こらないように、電力会社は毎年苦慮しています。 
作りかけの巣を撤去するだけではイタチごっこですし、怒った親鳥カラスがヒト(近隣住民)に対して敵対的・攻撃的になってしまいます。 
抜本的な対策の一つとして、送電線(高圧線)に影響しない鉄塔中段に巣箱を設置する試みが近年増えました。 
しかし天の邪鬼のハシブトガラス♀♂は今季も鉄塔中段の巣箱を使わず、鉄塔の頂点に造巣していました。 
ヒトがなかなか登ってこれない難攻不落の天辺に営巣する方が安心なのでしょう。
電力会社の思惑とは違いますが、ここなら漏電・感電事故は起こらないでしょう。 
ハシブトガラスとヒトがなんとか折り合いをつけて共存できたようです。 



鉄塔から右に伸びる高圧線に、パートナー♂が止まって辺りを油断なく見張っていました。
ときどきカーカー♪と鳴く度に、尾羽が上下にピコピコと動きます。 
充分に離れているせいか、私がしつこくカメラを向けて撮り続けてもハシブトガラス♂は高圧線から飛び去りませんでしたし、私を威嚇してくることもありませんでした。 
幸い当地のカラスは繁殖期でも性格が穏やかです。 
ヒト社会との軋轢が多い都会と違って、カラスがヒトを襲って攻撃するトラブルがニュースになることもありません。 
このままカラスとの良好な関係が続いて欲しいものです。



2023/10/31

春の里山で深夜に2羽のニホンノウサギが出会うと…【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月中旬 

雪解けが進む里山でカモシカの溜め糞場srに設置した自動センサーカメラで撮れたニホンノウサギLepus brachyurus angustidens)の興味深い行動の記録です。 


シーン1:4/7・午後16:57・くもり・気温14℃ 
明るい昼間に偶々撮れた現場の様子です。 
山腹の斜面を下から見上げるアングルになっていて、カメラの背後はスギの植林地です。 
つまり、ここはスギ植林地の上端部です。 
斜面の上部には未だ残雪が広がっています。


シーン2:4/11・午前0:11・気温6℃ 
深夜にノウサギがスギ大木の背後から右に現れ、立ち止まりました。 
そこへ右から左へ別個体が走って来ました。 
複数個体のニホンノウサギが同時に撮れたのは初めてです。 
何が起こるでしょうか? 

縄張り争いの喧嘩が始まるかと思いきや、互いに回りながら離れました。 
その後は2羽ともにスギの背後を通って左へ行きました。 
敵対行動が見られないので、きっと♀♂つがいなのでしょう。 
それでは終わらず、1羽が暗闇の斜面を右往左往しています。 
もう1羽はその後を追うかと思いきや、右下に駆け抜けました。 (近道で追っているのかな?) 
右に行くと、冬に雪崩で埋もれた渓谷があります。 
求愛?の追いかけっこを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 (@0:46〜)

登場した個体の毛皮が冬毛のままなのか、夏毛に生え変わったのか、赤外線の暗視映像では遠くて区別できませんでした。 
天敵(捕食者)対策として、冬毛のままなら保護色になるように(目立たないように)残雪部で活動すべきですし、夏毛に換毛したら地面が露出した野山や林床で活動すべきと考えられます。 
しかし、この映像のノウサギ2羽は地面の状態を特に気にせず縦横無尽に走り回っているようです。 

※ 一部は動画編集時に自動色調補正を施しています。 



飛べ!カメノコテントウ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年4月中旬・午後13:10頃・晴れ

ノイバラなどの下草が生え始めた春の川岸で、カメノコテントウAiolocaria hexaspilota)がせかせかと歩き回っていました。 
前胸部右側の白い部分に、自分が分泌した赤い体液が付着した個体でした。 
少しでも高い場所によじ登り、足場が良ければ、翅をパカッと開げて飛び立ちます。 
しかしなぜか飛行が下手糞で、遠くまで飛べずにすぐ地面に落ちてしまいます。 
それでもめげずに何度も離陸を繰り返していました。 

飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:26〜) 
離陸直後に隣の葉に翅が接触して、地表に墜落することもありました。 

関連記事(12年前の撮影:220fps)▶ カメノコテントウの飛び立ち(ハイスピード動画)
カメノコテントウは成虫で集団越冬します。 
越冬明けのカメノコテントウがどうしてここに居たのでしょう?
不思議に思って辺りを見回すと、すぐ近くにオニグルミの木が自生していて、若葉が開き始めていました。 
肉食性のカメノコテントウはクルミハムシの幼虫が大好物ですから、納得しました。

2023/10/30

越冬明けしたニホンアナグマ♀の営巣地に夜な夜な通い、近くでスクワットマーキングする♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月中旬 

謎の巣穴に住む野生動物の正体を確かめるために、トレイルカメラで監視しています。


シーン0:4/11・午後14:31・(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
平地の二次林で左右2つの穴が林床に並んで掘られています。 
便宜上、巣穴R(右側)、巣穴L(左側)とそれぞれ呼ぶことにします。 
周囲の落葉灌木(樹種不明)に若葉が茂り始めました。 


シーン1:4/11・午後18:42・(@0:05〜) 
日没時刻は午後18:13。 
タヌキが謎の巣穴を訪問(映像公開予定)してから20分後、1頭の ニホンアナグマMeles anakuma)が写りました。 
赤外線の暗視映像で見ると、足は黒いものの顔の黒い模様は薄い個体でした。 
この♀が巣穴の主だと後に判明します。 
アナグマの性別判定にあまり自信がないのですけど、登場した個体を私なりに♀とか♂とか書き分けることにします。 

巣穴Rの周囲を徘徊して、タヌキの残り香を嗅ぎ回っています。 
タヌキとアナグマは同居しておらず、「同じ穴のむじな」ではありませんでした。 
カメラに向かって近づいてきたのに、1分間の撮影で動画が打ち切られました。 

前日に私がトレイルカメラを設置するために営巣地をズカズカと歩き回ったので、冬眠から早く覚めてしまったのでしょうか? 


シーン2:4/11・午後19:57・(@1:06〜) 
アナグマ♀が2つの巣穴LRの間をうろついてから巣穴Lを覗き込んだものの、中には入りませんでした。 
巣穴Lの周囲でひたすら地面の匂いを嗅ぎ回っているだけです。 


シーン3:4/11・午後20:01・(@2:06〜) 
いつの間にか巣穴Rの近くにアナグマ♀が来ていました。 
そのままノソノソと右へ立ち去りました。(獣道があります) 


シーン4:4/12・午前3:11・(@2:28〜) 
日付が変わった深夜、アナグマ♂が巣穴Rの縁に来ていました。 
穴の奥を覗き込むだけで、入らずに後退しました。 
カメラの方にズンズン近づいて来ます。 
顔の縞模様が不明瞭な「顔白」個体♂でした。 
(自然光下で見た時に白いかどうかは分かりません。) 

画面の左で地面の匂いを嗅ぎ、腰を落として尻を地面に擦り付けました。(@3:16〜) 
これはスクワットマーキングと呼ばれるアナグマ特有の匂い付け行動です。 
このとき、怒ったように落ち葉を足で掻きました。 
私あるいはタヌキの歩き回った残り香が気に食わなかったのでしょう。 

※ 落ち葉を足で掻くシーンだけ動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

その後は巣穴Lを覗き込んで入りかけたところで録画終了(尻切れトンボ)。 


シーン5:4/12・午前3:13・(@3:29〜)
つづき。 
結局、顔白♂は巣穴Lを物色しただけで中には入らなかったようです。 
奥の林縁を歩き回り、尻の臭腺・肛門腺を地面に擦り付けて匂い付けしました。(スクワットマーキング@3:36〜) 
右に立ち去りました。 


シーン6:4/12・午前3:19・(@4:02〜)
左から歩いて来たアナグマ♀が巣穴Rの奥の林縁で灌木の根元に立ち止まり、何かしています。 
さっき♂がスクワットマーキングした匂いを嗅いでいるのでしょう。

ようやく灌木林に入りました。 姿が見えなくても白い目だけがピカッと光ります。 


シーン7:4/12・午前3:20・(@5:02〜)
つづき。 
♀が巣穴Rの奥の林縁広場で座り込み、右後脚で痒い右脇腹をボリボリ掻きました。 
その後、 初めて巣穴Rの奥にしっかり入り、姿を消しました。 (入巣R)
ここまでが観察初日の記録です。 
これほど長く観察できたのは初めてで、一挙手一投足が面白いですね。

アナグマは複数の巣穴を掘ることが多く、その営巣地をセットと呼びます。 
私が見つけた小規模なセットLRは、♀が越冬した巣穴でした。 
越冬明けの春はアナグマの交尾期です。 
近所に住む♂が夜な夜な♀の巣穴へ夜這いに来て、♀が発情するのを待っています。 
複数の♂が代わる代わる来ているようですが、個体識別ができていません。 
♂が♀の巣内に強引に侵入することはありません。(♀に怒られる?) 
♂の巣穴がどこにあるのか、私は未だ見つけられていません。


シーン8:4/12・午後22:44・(@5:38〜)
この時期のニホンアナグマは基本的に夜行性なのか、明るい日中は活動しませんでした。 
晩になってようやく左から♂が登場。 
顔や肩周りなどずんぐりむっくり(がっしり)した体型から♂と見分けています。
♀の体型は華奢です。
巣穴Rを覗き込む後ろ姿で股間が見えたのですが、睾丸や陰茎などの外性器がよく分かりません。

右に立ち去るときに、なぜかぎこちない歩き方でした。 
すぐにまた右から戻って来て、巣穴Rを覗き込みました。 
その奥の灌木の根元で、前夜と同じく念入りにスクワットマーキングしました。(@6:17〜) 


シーン9:4/12・午後22:46・(@6:28〜)
つづき。 
左に回り込んでから別の灌木の根元で再びスクワットマーキング。(@6:38〜) 
♀のセットのあちこちに♂が匂いで猛アピールしています。 
巣穴の周囲に多数生えた細い落葉灌木の茂みが邪魔で、何をしているのかよく見えません。 
幼木がどれも強く湾曲しているのは、冬の積雪によって押し潰された豪雪地帯に特有の樹形だと思います。
しかし、灌木が強く湾曲しているのは、この二次林の中でアナグマの巣穴周辺だけなのが不思議です。
もしかしてアナグマ♀が自分の巣穴の存在を隠すため意図的に灌木を折り曲げた結果なのだとしたら、面白い発見になります。
アナグマが地中にトンネル網を張り巡らせると木の根が痛めつけられますから、灌木の正常な成長が妨げられるのかもしれません。


シーン10:4/12・午後22:49・(@7:28〜)
つづき。 
♂が巣穴Lの左で何やら活動中です。 
最後は珍しく左に立ち去りました。 


シーン11:4/12・午後23:35・(@7:49〜)
深夜に、おそらく巣穴Lから出てきたばかりと思われる♀が、巣口Lを覗き込んでいます。 
セットをぐるっと回り込んで巣穴Rに入りそうになったところで、録画終了(尻切れトンボ)。 
2つの巣穴LとRは内部で繋がっていると予想していますが、確認できていません。 


シーン12:4/13・午前0:21・(@8:49〜) 
日付が変わった深夜、(巣穴Rから出てきたと思われる)♀が左へ立ち去りました。 
餌を探しに出かけたのでしょう。 
トイレ(溜め糞場)に行ったのかもしれません。 

この♀は正面を向いてカメラ目線になった時に、左右の目の大きさが異なることに気づきました。 
左右の目の色が違うオッドアイ(猫で稀に見られるodd-eye)や斜視など生まれつきの特徴なら、個体識別に使えそうです。 
ただしヒトでも激しく疲れたときには片目がしっかり開かなくなったり目つきが変わったりしますから、アナグマ♀も越冬・出産・育児の激務で疲労困憊しているだけかもしれません。 


シーン13:4/13・午後14:22・(@9:10〜) 
明るい日中にたまたま撮れたセットの様子です。 



ゴイサギ幼鳥の死骸を見つけた!(野鳥)

 

2023年4月中旬・午後15:50頃・くもり 

平地の休耕地(夏はソバ畑)の端に自生する落葉灌木(オニグルミ?)の下に鳥の死骸を見つけました。 
辺りに羽毛が散乱しているということは、捕食者に狩られた食べ残しなのかな? 
手に直接触れないように小枝を使って死骸を裏返してみるとミイラ化した頭部が現れ、ゴイサギNycticorax nycticorax)の幼鳥(俗称ホシゴイ)だと判明しました。 
体が不自然に曲がった状態で固まっています(死後硬直)。 
大きさの比較として、長さ20cmの熊よけスプレーを横に並べて置きました。 

春が来て残雪が溶けたのに、屍肉食性の昆虫は全く来ていませんでした。 
古い死骸だと思うのですが、死亡推定時刻どころか、いつ死んだのか不明です。 

この死骸について、私なりに推理してみました。
死体発見現場は溜池から数百m離れた地点でした。 
夜行性のゴイサギを、昼間にその池で見たことはありません。 
夜になると採食のために飛来するのでしょう。 
餌場の溜池から少し離れた防風林をねぐらとしていたゴイサギ幼鳥が冬の間に死んだようです。 
寒さや飢えで死んだのか、猛禽などの捕食者に狩られたのか、解剖しないと詳細は不明です。 
この辺りは様々な野生動物(テン、ハクビシン、タヌキ、キツネなど)が生息しているのに、死骸がミイラ化して干からびるまで放置されていたのは不思議です。 
おそらく根雪の下に長期間埋もれていたせいで、カラスやトビなどのスカベンジャーに見つからなかったのだろうと推測しています。 

せっかく見つけたゴイサギ幼鳥の死骸を回収して頭骨標本を作ろうか、そのまま放置してスカベンジャーが来る様子を監視カメラで撮影しようか、悩みました。 
しかし当時の私は複数のプロジェクトが同時進行中で忙しく、とても余力がありませんでした。 
限られた台数のトレイルカメラをやりくりするのは大変で、どうしてもプロジェクトの優先順位をシビアに決める必要があります。 

定点観察のため7日後に現場を再訪してみると、ゴイサギ幼鳥の死骸は無くなっていました。 
屍肉食性の野鳥(カラスやトビ)または野生動物が死骸を見つけて持ち去ったのだろうと推察しています。 


※ 私の悪い癖なのですが、現場の状況を動画で記録する際に寄りの絵でカメラをせっかちに振り回してしまい、動きが激し過ぎて酔いそうな映像になってしまいました。 
苦肉の策として、再生速度を70%に落としたスローモーションでお届けします。 
音声がやや間延びしているのは、そのせいです。

2023/10/29

小川に架かる倒木を夜な夜なペアまたは単独で渡るホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月中旬〜下旬

小川に架かったニセアカシア倒木が天然の丸木橋になっています。
ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が夜な夜な渡る様子をまとめました。


シーン0:4/6・午後15:47・気温23℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
小川が画面の手前から奥に向かって緩やかに流れています。 


シーン1:4/11・午後18:54・気温12℃(@0:05〜) 
日没時刻は午後18:13。 ちょうど日没時刻なのに、もう真っ暗です。 
カメラの起動が遅れ、タヌキが丸木橋を左岸から右岸へ渡る途中でした。 
右岸を登ったところで、待っていた先行個体と合流しました。 
どうやら先行個体が渡る様子は撮り損ねたようです。
この2頭は、行動を共にしている♀♂つがいのパートナーなのでしょう。 
小川の流れる音でかき消されてしまっているのか、鳴き交わす声は聞き取れませんでした。 

ところで、気温が低くない晩なのに、みぞれのような白い物が舞っています。 
これは雪なのか、それともいわゆる雪虫(アブラムシの一種)や花粉なのか、気になります。 


シーン2:4/19・午後18:58・気温(@0:22〜) 
日没時刻は午後18:21。 
8日後の晩には、まず先行個体aが丸木橋を左岸から右岸へ慎重に渡りました。 
タヌキはハクビシンよりも慎重に渡るようです。 


シーン3:4/19・午後19:00・気温(@0:49〜) 
ちょうど1分後に、後続個体bが左岸から右岸へ倒木を渡りました。 


シーン4:4/21・午後22:58・(@1:14〜) 
2日後の晩にはカメラの起動が遅れたせいで、丸木橋を右岸から左岸へ渡り終えるタヌキが写っただけでした。 
左岸の崖を登って笹薮の茂みに消えました。 


シーン5:4/23・午後19:17・(@1:23〜) 
さらに2日後の晩には、 ♀♂ペアが仲良く縦列で間隔を空けずに丸木橋を慎重に渡りました。 2頭のタヌキが同時に渡っても丸木橋の耐久性に全く問題はありません。 
右岸の茂みの奥から赤外線を反射するタヌキの目が白く光っています。 


シーン6:4/25・午後19:02・気温20℃(@1:51〜) 
逆アングルに設置した監視カメラからの暗視映像です。 
丸木橋そのものよりも、その右隣にある左岸の穴が気になって重点的に監視しています。
(野生動物の巣穴ではないかと疑っています。)

日の入り時刻は午後18:26。 
2日後の晩にまず先行個体が左岸に現れ、崖を下りて丸木橋を右岸に渡り始めました。 
渡り終えるときに対岸(左岸)に設置した別のトレイルカメラがようやく起動し、赤外線LEDが照射されました。


シーン7:4/25・午後19:02・(@2:11〜) 
別アングルから撮れた映像がこちらです。 
旧機種のカメラはタイムスタンプの時刻がすぐに狂い始めるので困ります…。 

倒木を伝って左岸から右岸へ渡り終えたタヌキが右岸の茂みに姿を消しました。 
そのまましばらく動画を撮り続けると(退屈なので5倍速の早回し)、左岸の茂みの奥から2つ白く光る目が現れました。(@2:33〜) 
タヌキの後続個体が丸木橋を左岸から右岸へ渡り、先行個体の後を追います。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→


夏羽に換羽中のノビタキ♂(春の野鳥)止まり木からの飛翔および排便

 

2023年4月中旬・午前10:40頃・晴れ

平地に広がる刈田の横で、冬芽から若葉が芽吹き始めた落葉灌木の天辺にノビタキ♂(Saxicola torquata)が止まっていました。 
樹種はおそらくオニグルミだと思います。 
当地で見られるノビタキは、渡りの途中で春と秋に立ち寄るだけの旅鳥です。 

この個体は冬羽から夏羽への生え変わり(換羽)が未だ不完全で、黒色が薄いです。 
バードリサーチニュースの生態図鑑でノビタキについて調べると、
冬羽から夏羽への移行は,換羽ではなく摩耗によることが知られるが,一部は換羽している可能性もある .
関連記事(2年前の同時期に撮影)▶ 夏羽のノビタキ♂を見つけた!(野鳥)


樹冠の止まり木から止まり木へ少し飛んで移動してから、少量の白い糞をポトリと排泄しました。 
その糞はオニグルミ灌木の幹に付着したので、種子散布は失敗です。 
最後は右下へ羽ばたかずに飛び降りました。 
脱糞および飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:35〜) 

ランダムに記事を読む

  • 桜の葉の中で繭を紡ぐマイマイガ幼虫(蛾)22/07/2015 - 0 Comments
  • 手まり咲きの白いアジサイの花で振動集粉♪するクロマルハナバチ♀21/03/2024 - 0 Comments
  • 外役に出るコガタスズメバチのワーカー26/01/2011 - 0 Comments
  • ヒヨドリ(野鳥)春のさえずり?♪を声紋解析してみる29/05/2014 - 0 Comments
  • アオサギのウナギ捕り漁@堰堤【野鳥】10/08/2012 - 0 Comments