2021年4月下旬・午後16:20頃・晴れ
高圧線の送電塔#KN7に営巣するハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)の♀♂番 に注目して毎年調べています。
関連記事のまとめ(2年前の撮影)▶ 送電塔#KN7の巣箱に営巣したハシブトガラスの観察記録:2019年この鉄塔の中段に設置された巣箱で2019年は雛を育て上げました。
カラスが巣作りしても感電事故を起こさない安全な場所に電力会社が巣箱を予め設置したのです。
翌2020年はコロナ禍が始まったせいで、私は定点観察に通えませんでした。
繁殖期が終わってから送電塔#KN7を見に行くと、巣箱は空っぽで、その代わりに送電塔の天辺に新たな巣が作られていました。
2021年の繁殖期はどうでしょうか?
久しぶりに様子を見に来ると、やはり鉄塔の天辺に多数の枝を組み上げた巣がありました。
カラスの番 が巣作りしても繁殖のため実際に使うかどうかは別問題です。
(カラスは縄張り内に複数の巣を試作することがあります。)
初めは空き巣に見えたので、ハシブトガラスの♀♂ペアはこの営巣地を見捨ててしまったのかと落胆しました。
ところが念のために望遠で巣をしばらく動画撮影してみると、黒い物体が巣の上から少しだけ覗いていて、ときどき身動きしていました。
親鳥♀が巣内でこっそり抱卵していたのです。
抱卵中の親鳥♀の頭部の羽毛が風になびいています。
これは巣の写真をパパッと撮るだけだったら完全に見逃していたはずで、取り敢えずなんでも動画で記録する私の習慣が功を奏しました。
送電塔に近づくほど仰角になり、巣内の様子が見えなくなってしまいます。
一方、送電塔の中段に設置された巣箱は使われておらず、空っぽのままでした。
巣材として巣箱に持ち込まれたのは1本の細い小枝だけで、網状の底から飛び出していました。
撮影を終えて私が帰ろうとしたら、親鳥♂が追いかけて来ました。
私が本当に縄張りから立ち去ったことを確認すると、空中でUターンして引き返しました。
『カラスと人の巣づくり協定』などの研究成果によって、最近の電力会社は電柱や送電塔に作られたカラスの巣を問答無用に撤去するのではなく、ここなら巣を作っても大丈夫(漏電事故を起こさない)という安全な地点に巣箱を用意するようになりました。
カラスとヒトの共生モデルとして注目した私は2019年、送電塔#KN7の定点観察に通い始めました。
私がしつこく鉄塔の巣にカメラを向けて撮影したせいで、どうやらハシブトガラスの♀♂ペアに強いストレスを与えてしまったようです。
(私としては巣から充分に離れたところから撮影したつもりで、雛も無事に巣立ちました。)
ところが翌年(2020年)から親鳥♀♂は巣箱を放棄して、同じ送電塔の最高地点に造巣するようになりました。
より高所に巣を移動したのは、望遠レンズを使っても巣内を覗かれにくくするためでしょう。※
野生動物(野鳥)を観察する行為自体が対象の行動に悪影響を与えてしまうという典型的な観測問題に直面してしまい、反省です。
カラスに見つからないように撮影中はブラインドを使用すべきなのは承知しているのですけど、街なかでブラインドを張ると周辺住民に怪しまれ通報されてしまうので、難しいところです。
※ あるいは別の可能性として、巣箱に残された古巣を電力会社が撤去したことを嫌って、ハシブトガラスは巣箱を使わなくなったのかもしれません。
この辺りを縄張りとする♀♂ペアが代替わりした結果、営巣地点が高所に変わったのかもしれません。
関連記事(2年後の撮影)▶ 送電塔の天辺で営巣を始めたハシブトガラス♀♂(野鳥)
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