2023/10/14

春の夜に遊歩道の溜め糞場に通って排便するホンドタヌキのペア【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月上旬

スギを植林した里山で遊歩道にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場opを自動撮影カメラで監視した記録です。 


シーン0:4/3・午後13:37・(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
斜面を見上げるアングルになっています。 


シーン1:4/7・午前0:13・(@0:05〜) 
深夜にホンドタヌキの♀♂ペアと思われる2頭が登場しました。 
1頭aが画面中央にある溜め糞opに右向きに跨り、健康そうな大便をモリモリと大量に排泄しています。 
後続個体bは、斜面上の別な溜め糞の匂いを嗅いでから、トイレの順番待ちをしています。 
先に用を足した個体aが右に立ち去ると、待っていたbが全く同じ地点に跨って右向きで排便開始。 
一本糞を出すと、先導個体aを追いかけるように遊歩道を辿って右へ立ち去りました。 


シーン2:4/7・午後23:27・(@1:04〜) 
翌日の深夜はみぞれのような雨が降っています。 
画面の赤丸2箇所に注目してください。 
2頭のタヌキが緩斜面の遊歩道を左から1列縦隊で登って来ました。 
今回は溜め糞の匂いを通りすがりに一瞬嗅いだだけで、素通りしました。 


シーン3:4/8・午後22:02・(@1:22〜) 
翌日の晩遅くにもタヌキと思われる中型の動物が奥の斜面をうろついていました(赤丸)。
暗視映像をMP4でエンコードし直すと、分かりにくくなってしまいました。

つづく→


雪解け田んぼで採食しながら夜を迎えるコハクチョウの大群【冬の野鳥:10倍速映像】塒入り

 



2023年3月下旬・午後17:22〜17:53・晴れ(日の入り時刻は午後17:55) 

早春の雪解け田んぼに集結して落ち穂拾いを続けるコハクチョウCygnus columbianus bewickii)の群れを微速度撮影してみることにしました。 
白鳥が密集している区画を狙います。 
10倍速の早回し映像をご覧ください。 

夕方になると、コハクチョウは小さな群れ単位で次々に飛来・着陸し、雪解け田んぼの群れに合流します。 
この映像では伝わりにくいのですが、周囲の白鳥が歩いて移動し、広大な田園地帯の中央部に大群が密集しつつあります。 
どうやら、コハクチョウはこのままねぐら入りするようです。 
周囲の農道から一番遠い田んぼが最も安全です。 
就塒前集合の挙動を記録するのなら、もう少し引きの絵で微速度撮影すべきでしたね。 

てっきり今回のコハクチョウ大群は採餌群または就塒前しゅうじぜん集合であり、日没前後にはいずれ一斉に飛び立って集団塒の川へと向かうだろうと私は予想していました。 
ところが驚いたことに、日没後に暗くなっても餌場にそのまま居残り続けました。 
吹きさらしの田園地帯で長時間撮影していた私は、防寒具を着込んでいても体がすっかり冷え切ってしまいました。 
カメラの電池切れで微速度撮影が終了するまで、足踏みとシバリングしながら観察を続けます。 
寒さに耐え切れなくなった私が午後18:05に撤収するときにも、コハクチョウは暗い雪田にまだ残留していました。 
どうやらこのまま雪解け田んぼを集団塒とするようです。 
コハクチョウが昼間の採餌場に留まってそのまま塒入りするという行動は初耳でした。 
この時期、川の集団塒でカウントされるハクチョウの個体数が減るのは、必ずしも北帰したとは限らず、餌場で寝るようになったからだと分かりました。 
近年、鳥インフルエンザの蔓延を防ぐために川岸で白鳥に給餌するのを禁止したのも影響してそうです。
早朝の夜明け前からコハクチョウの群れが雪解け田んぼに居ることを確認すべきだったのですが、翌朝はうっかり寝坊してしまいました。 


関連記事(2、7年前の撮影)▶  


本田清『白鳥の湖』という本によると、
ハクチョウが河川の浅瀬や中洲などに降りたち、その場所をねぐらと定め、周辺一帯の水田などに採餌の場を求めるという生活は、ハクチョウの一般的な習性である。 (p73より引用) 
「ねぐら」と水田地帯を往復するという日周行動は、豪雪期で動きの少ない一定期間を除けばシーズン中を通じて一貫しており、この姿こそ彼らの最も普通の生活態様なのである。 (p92より引用)

初めての撮影だった今回は、白鳥をなるべく警戒させないように、車道を挟んで反対側の路肩に三脚を立てて長撮りしました。 
そのため、手前の車道を通行人や車が通りかかる度に写り込んで映像が乱れてしまいました(手ブレ補正の副作用)。
後半はカメラの設定で明るさを強制的に上げています。

2023/10/13

深夜と早朝に小川の丸木橋を渡り獲物を探す黒猫【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月上旬 

小川に架かる天然の丸木橋になっている倒木を自動撮影カメラで見張っていると、真っ黒なイエネコFelis silvestris catus)が現れました。 

シーン0:3/31・午後14:54・(@0:00〜) 
よく晴れて明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 
 小川が画面の左から右にゆっくり流れています。 


シーン1:4/3・午前2:54・(@0:05〜) 
センサーカメラの起動が少し遅れたようです。 
未明に黒猫が丸木橋を渡る途中で立ち止まって、対岸の崖をじっと見ていました。 
野ネズミやイタチなど小動物の巣穴があるのでしょうか? 
実は約1時間前に野ネズミが丸木橋を何度も往復していたので、残り香を嗅ぎ取って狩ろうとしているのでしょう。
夜行性の黒猫がもっと早く来てくれれば、丸木橋で野ネズミを狩る決定的瞬間や「窮鼠猫を噛む」シーンが撮れたかもしれない…と思うと残念でした。
果たして飼い猫にどれだけ野生の狩猟本能が残っているのでしょうか。
 
黒猫は丸木橋(倒木)の根元から横に伸びる細い枝を伝って水面付近を通り、対岸の崖のえぐれた穴を調べています。 
残念ながら、どうやら獲物は居なかったようです。 
諦めた黒猫は対岸に上陸し、左岸の水際を下流へ(右へ)歩き去りました。 
黒ネコの爛々と白く光る目が小川の水面に反射して見えます。 


シーン2:4/5・午前5:13・(@0:59〜)日の出時刻は午前5:17 
2日後の日の出直前にも再び黒猫が来ていました。 
ネコが丸木橋を走って渡ると、カメラの起動が間に合わないようです。
画面の赤丸にご注目。 
丸木橋の対岸にクロネコが居座り、左岸を長々と見つめています。 
崖の穴の奥ではなく小川の水面を見つめているので、水中に小魚の群れがいるのかもしれません。 
狩りを諦めた黒猫は、前回と同じルートで対岸の水際を下流に歩き去りました 
その先で川の本流と合流します。
おそらく同一個体の黒猫が通ってきているのでしょう。

※ 動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 



春の果樹園でリンゴの落果を食べ漁るヒヨドリの群れ(野鳥)

 

2023年4月上旬・午後15:15頃・晴れ 

山麓の果樹園でリンゴの若葉が芽吹き始めました。 
ヒヨドリHypsipetes amaurotis)の群れがリンゴの木の下に集まり、落果を食べていました。 
春になって残雪がすっかり溶けたので、枝から落ちて腐りかけた果実が再び現れたのでしょう。 
あるいは、リンゴ農家が売り物にならない収穫物(傷物の果実)を堆肥として根元に捨てたのかもしれません。 
秋にリンゴの果実が枝についている状態でヒヨドリが食害すると害鳥扱いされますが、落果なら食べ放題です。

地上のヒヨドリは採食中も常にキョロキョロして警戒を怠りません。 
リンゴ園の林床にはタデ類(スイバ?)などの雑草も青々と茂り始めました。 
周囲ではヒヨドリが賑やかに鳴き交わす声がします。 

ヒヨドリは果実と一緒に種子も飲み込みます。 
食後に飛び去った先で未消化の種子を糞と一緒に排泄します。 
したがって、果実食のヒヨドリはリンゴの種子散布に貢献するはずです。 
しかし果樹園以外の山中で野生化した野良リンゴの木を私は未だ見たことがありません。 
栽培品種のリンゴは病害虫に弱く、ヒトが手間暇を掛けて苗木を守ってやらないと育たないのかもしれません。 
さらに冬の豪雪地帯は、苗木(実生)が雪の下に埋もれたり枝が痛めつけられたりする過酷な環境です。

リンゴの落果が腐るとハエなどの昆虫も集まってくるはずですが、まだ気温が低くて来ていませんでした。







2023/10/12

小川の丸木橋を渡って深夜に何かをせっせと運ぶ野ネズミの謎【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月上旬 

シーン0:3/31・午後14:54・(@0:00〜) 
よく晴れて明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
小川が画面の左から右へと穏やかに流れています。 


シーン1:4/2・午後23:58・(@0:05〜) 
真夜中に対岸(左岸)の笹薮で小動物の白く光る目が動いています。 
チョロチョロと慎重に丸木橋を渡り始めました。 
口に何かを咥えた野ネズミ(ノネズミ)のようです。 
被写体が小さい上にやや遠くて暗いため、運搬物が何か映像では分かりません。 
木の実(堅果)などの貯食物を新しい場所に運んでいるのか、子ネズミを咥えて引っ越し中なのかもしれません。 

しばらくすると、此岸(右岸)から戻ってきた野ネズミが再び丸木橋を逆に渡り始めました。 
今度は何も持ってないようです。 
ところが今回は丸木橋を途中まで渡りかけてから、なぜか此岸に引き返しました。 


シーン2:4/2・午前0:09・(@1:02〜) 
日付が変わりました。
10分後に自動撮影カメラが再び起動すると、野ネズミが丸木橋の途中に居て、対岸の崖の方を見つめていました。 
しばらく逡巡したり丸木橋を右往左往してから、此岸に渡りました。 
このときも何か小さな物を運んだように思うのですが、私の気のせい(願望による幻視)ですかね? 
赤外線の暗視映像はモノクロで画質が粗く、映像編集でMP4にエンコードすると細部の情報がどうしても劣化してしまいます。 


シーン3:4/3・午後0:12・(@1:56〜) 
1分50秒後にカメラがまた起動しました。 
画面の赤丸に注目してください。 
野ネズミが此岸から対岸へ丸木橋を走って渡り始めました。 
丸木橋を渡り切らずに対岸近くまで来ると、さっきと同じ地点で立ち止まりました。 
またもや何かを持って、丸木橋を此岸に引き返して来ます。 
丸木橋の途中の窪みに木の実(堅果)を貯食していたのかな? 

すぐにまた此岸から対岸へ丸木橋を渡り始めました。 
今度は丸木橋の根元から分岐した横枝を伝って対岸の水面近くを探索しています。 
小川の切り立った岸が倒木の根でえぐれていて、野ネズミが好きそうな大小様々な穴が開いています。 
その辺りに野ネズミの巣穴があるのかと期待したものの、丸木橋の本体に戻りかけたところで残念ながら録画が打ち切られてしまいました。 


シーン4:4/3・午後0:13・(@2:56〜) 
40秒後に録画が再開したときには、野ネズミは対岸の崖をうろちょろしていました。 
崖を覆うように生い茂った笹薮で野ネズミの白い目だけが光って見えます。 
丸木橋を此岸に向かって丸木橋を渡る野ネズミは、どうも小さな木の実?を咥えているような気がします。 
此岸でなぜか躊躇するかのように徘徊しています。 


シーン5:4/3・午後0:33・(@3:46〜) 
約18分30秒後に現れた野ネズミが、此岸から対岸へ丸木橋を渡り始めました。 
画面の赤丸に注目してください。 
対岸の崖へ一気に到達すると、何か掘り出した物を運びながら丸木橋を此岸に戻ってきます。 
すぐにまた丸木橋を横断して、此岸から対岸へ戻りました。

再び対岸の崖の同じ地点から何か(掘り出し物?)を持ってきて、丸木橋を此岸に渡ります。 
対岸から此岸へ向かって何かを少しずつ繰り返し運んでいるようです。 
残念ながら、ここで録画が打ち切られました。 


丸木橋を渡る野ネズミのなかなか興味深い行動でした。 
素直に考えると、此岸に野ネズミの巣穴があると予想されます。 
堅果などの貯食物をせっせと運んでいるのでしょうか? 
大量の餌を貯食するのは冬越しに備えた行動だと思っていたので、春にも見られるとは意外でした。 

※ 一部は動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 



実はこの後、野ネズミの恐れる天敵が次々に登場します。

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事態が急展開したので、上の解釈に自信がなくなりました。 
対岸にあった野ネズミの巣穴が何者かに乗っ取られたか、あるいは巣穴が天敵に見つかった結果、慌てて緊急の引っ越し(夜逃げ)を余儀なくされたのかもしれません。 
貯食物だけでなく野ネズミの幼獣(赤ちゃん)も運んでいたら面白いのですが、とにかく高画質の証拠映像を撮らないことには、真相は藪の中です。 
トレイルカメラだけでなく、補助照明として赤外線の投光器も追加で必要かもしれません。

ところで、登場した野ネズミがもし木登りが得意なら、ヒメネズミと言えます。 
天然の丸木橋となっている倒木からは垂直に2本の枝が太く伸びて、新たな幹となっています。 
しかし動画に登場した野ネズミは水平の丸木橋を伝って小川を渡るだけで、垂直の木登りはしませんでした。 
そもそも同一個体の野ネズミが繰り返し登場したのかどうかも分かりません。(複数個体の可能性もあります。)



石を舐めてミネラル摂取する早春のルリシジミ♂

 

2023年3月下旬・午後12:25頃・晴れ 

橋の下を流れる小川の岸辺でルリシジミ♂(Celastrina argiolus)が岩の上に止まっていました。
今期初見の個体です。 
ルリシジミは蛹で越冬するらしく、こんなに早く成虫が羽化したのも温暖化の影響かもしれません。
日当たりが良いのに日光浴しないで翅を閉じたままということは、むしろ暑いのでしょう。

歩き回りながら口吻を伸ばして岩の表面を舐めていました。 
急に岩から飛び立ち、辺りをせわしなく飛び回ると、翅の裏表で色が違うために、青紫色と白っぽい灰色がちらちらと点滅します。 
飛翔シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイすると、開いた翅表が淡紫青色であることから♂と判明しました。 

多くの種類の蝶で♂は地面や汚物を舐め、性成熟に必要なミネラル成分を摂取することが知られています。 


関連記事(3、10年前の撮影)▶  


同一個体のルリシジミ♂が次に止まったのは、平べったい小石でした。 
やはり赤茶けた色(酸化鉄?)の石で、鉱物学的に共通の名前がありそうです。 
(私は地学に疎いので、ご存知の方がいらっしゃいましたら、教えてください。) 
今回は石の表面そのものではなく、石に付着した泥(砂)が乾いた部分を好んで舐めていました。 
翅をしっかり閉じたまま、後翅を互いに擦り合わせました。 

チョロチョロと流れる小川の土手にはオオイヌノフグリやヒメオドリコソウなどの群落が可憐な花を咲かせているのに、ルリシジミ♂は訪花しませんでした。 

撮影時期が早春ということで近縁種スギタニルリシジミの可能性も考えましたが、この個体は翅裏が灰色で褐色みがなかったので、除外しました。 
撮影したのは平地で、そもそもスギタニルリシジミは山地性らしい。

2023/10/11

笹藪の溜め糞場でストレッチするホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月上旬 

下草に笹薮が生い茂る河畔林でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場rpを監視している自動センサーカメラが撮った動画の記録です。 


シーン1:4/1・午後20:06・気温8℃・(@0:00〜) 
近くの小川に架かった天然の丸木橋を渡ったタヌキが直後に溜め糞場rpに来るかと期待したのですが、そんな単純な巡回経路ではないようです。 

晩に右手前の笹藪から登場した単独のタヌキが、溜め糞場rpの手前で立ち止まって体を右後足でボリボリ掻いていました。 
溜め糞rpの匂いを嗅いでから跨がり、北東を向いて(ほぼカメラ目線)で排便しました。 
用を足すと、左下隅に姿を消しました。 


シーン2:4/2・午後18:43・気温9℃・(@0:56〜) 
翌日は晩早くにオニグルミ大木の右から登場しました。 
溜め糞rpをチェックせずに、右の笹薮に立ち去りました。 


シーン3:4/2・午後18:46・(@1:20〜) 
約2分後に別個体が現れました。 
さっきの個体と行動を共にしているパートナー(♀♂つがい)なのでしょう。 

溜め糞場rpの右横で体を前後に伸ばしてストレッチ運動をしていました。 
ずんぐりむっくりしたタヌキがこんなに伸びるのか!という驚きがありました。 
タヌキはほぼ夜行性ですから、もしかすると寝起きなのかもしれません。 

さっきの個体と同じく、溜め糞rpの匂いも嗅がずに、右の笹薮へ。 


シーン4:4/4・午後18:40・気温15℃・(@1:34〜) 
2日後も晩早くにタヌキがやって来ました。 
溜め糞rpをチェックせずに右の笹薮へ。 


シーン5:4/5・午前5:34・気温1℃・(@1:44〜) 
日の出時刻は午前5:17。 
夜が明けて明るくなった早朝にたまたま撮れた動画です。 
山盛りになった溜め糞場rpが黒々と見えます。 


シーン6:4/5・午後18:44・気温16℃・(@1:49〜) 
日の入り時刻は午後18:08。 
日没後の早い時刻に来たタヌキが、溜め糞場rpの右奥の笹薮に佇んでいました。 
遠くの大通りを走る選挙カーの騒音がやかましいので、不安そうに様子をうかがっています。
今回も溜め糞rpを素通りして右へ。 



夕方の雪解け田んぼで採食を続けるコハクチョウの群れ【冬の野鳥:4K動画】

 

2023年3月下旬・午後16:15〜17:20頃・晴れ 

早春の雪解け田んぼで採食するコハクチョウCygnus columbianus bewickii)の大群を夢中で撮り続けていると、日が沈んできました。 
私は白鳥の群れを東から撮影しているため西日が強烈な逆光となり、水田や残雪に反射して眩しく、目が開けられなくなりました。 
順光になるよう群れの反対側に回り込もうか迷いましたが、私が下手に動き回ると警戒したコハクチョウが飛び去ってしまうのではないかと恐れ、我慢してそのまま撮影を強行しました。 
太陽が山の端に沈んだら楽になりました。 (日の入り時刻は午後17:55)
夕方になっても雪解け刈田から陽炎が立ち昇っています。 

撮れた4K動画を見直すと、逆光を受けてシルエットになった白鳥の採食風景もまたフォトジェニックですね。 
各々が採食の合間に水を飲んだり、のんびり羽繕いしたりしています。 
コハクチョウが残雪をザクザク、ペタペタと歩いて横切ると、黒い足の水かきが雪解け水を跳ね上げていました。




2023/10/10

溜め糞場で排尿するニホンカモシカ♂【トレイルカメラ】

 



2023年4月上旬・午後17:10頃・気温12℃・(日没時刻は午後18:08) 

里山でカモシカの溜め糞場srを自動撮影カメラで見張っています。
夕方に左から登場したニホンカモシカ♂(Capricornis crispus)がスギの木の左下で立ち止まると、腰をやや落として小便を排泄しました! 
排尿姿勢から♂と判明。 
尿を前方に放出しています。 
カモシカの性別を外見で見分けることは非常に困難で、唯一彼らの交尾行動や授乳および排尿体勢で性差が出ます。

ニホンカモシカは尿を少量ずつ噴射して縄張りをマーキングするのではなく、膀胱に溜まった尿を一気に排泄します。
その代わりにカモシカは、眼下腺を擦り付けることで縄張り宣言のマーキングをします。
おしっこしながら舌をペロペロと出し入れしている行動が気になります。 
眼下腺マーキングの直後にも見られるのですが、自分の尿の匂いに対してフレーメン反応しているのでしょうか? 
すっきり満足した感情表現なのかな?
顔をカメラに向けているので、ついでに排便したかどうか、不明です。 
トレイルカメラでニホンカモシカの排尿シーンを撮れたのは、これが初めてです。 

その後はスギ大木の背後を通って、右にトボトボと立ち去りました。 
残雪の上を歩かず、地面が露出したスギ林床を選んで歩いているようです。 

画面の右端で雪崩谷の手前に来ると、立ち止まって何かしています。
おそらくスギの木の匂いを嗅いだりしているのでしょう。 
後に現場検証すると、渓谷を埋め尽くした雪崩の上に動物の足跡など渡河の形跡は見つからなかったことから、この時期のカモシカはスノーブリッジ崩落の危険を感じて雪崩谷を渡るのを忌避したようです。



ノスリとハシボソガラスの激しい空中戦(野鳥)早春のモビング行動

 

2023年3月下旬・午後16:05頃・くもり 

雪解けした田園地帯の上空でカラスが鳴き騒いでいたので見上げると、ノスリButeo japonicus)が1羽のハシボソガラスCorvus corone)に激しくモビング(擬攻撃)されていました。 
上昇気流に乗って小さく旋回しながら必死で逃げるノスリに対して、カラスがしつこく何度も襲いかかります。 
ノスリよりも小回りの利くハシボソガラスは、空中戦の定石通りノスリの上に位置取りしてから攻撃を加えています。 
ノスリが上昇気流に乗って高く舞い上がるのを邪魔しているのでしょうか? 
敵の真上から嘴や足の爪を使って襲えば、反撃されるリスクは低いです。 
ノスリが空中でクルッと反転して鉤爪を上に向けてカラスに反撃(牽制)するか?と期待したものの、今回の個体は黙って(鳴かずに)右へ左へ旋回してカラスの攻撃を回避するだけでした。 




強風による風切り音のせいなのか、空中戦の最中にノスリやカラスの鳴き声は聞き取れませんでした。 
ようやくノスリがハシボソガラスの縄張りから離脱し、無事に逃げ延びました。 
カラスも深追いすることはありません。 

ハシボソガラスの単独モビング行動を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:10〜)
スローモーションで見直すとカラスはノスリに対して実際に接触を伴う攻撃は加えておらず、迫真の威嚇だけでした。

周囲の雪解け田んぼからはコハクチョウの大群が採食しながら鳴き交わす声が聞こえます。 
餌場の上空をノスリが飛んでも白鳥は無頓着で、逃げ惑うどころかのんびり採食を続けています。 
繁殖期で気が立っていてもハシボソガラスは白鳥に対しては寛容で、モビングすることは一度もありませんでした。 



2023/10/09

小川に架かる倒木を単独またはペアで続けて渡るホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月上旬 

小川に架かる天然の丸木橋を渡るホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の記録です。 

シーン0:3/31・午後14・54(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 
小川は画面の左から右に向かって穏やかに流れています。 
今回からトレイルカメラを従来とは逆の右岸に設置してみました。 
丸木橋をより近くから撮影できるのが利点です。 
その一方でセンサーカメラの画角が狭くなった結果、野生動物が通りかかっても起動が遅れがちになるのが難点です。 


シーン1:4/1・午後19:19・(@0:05〜) 
カメラの起動が遅れ、丸木橋を渡る肝心のシーンは撮れていませんでした。 
晩に笹薮の生い茂った左岸の崖を登るタヌキの後ろ姿が写っていました。 

此岸(右岸)にひょろひょろと伸びた細い灌木が邪魔で、暗視カメラの赤外線が白飛びしてしまっています。 
昼間にカメラを設置した際に試写しても、夜の写り方を想像して対処するのは難しく、試行錯誤するしかありません。 


シーン2:4/2・午後19:02・(@0:18〜) 
翌晩に現れたタヌキは丸木橋を逆に渡りました。 
まずは画面の赤丸に注目してください。 
左岸の笹薮をうろついてから、崖を降りて丸木橋を慎重に渡り始めました。 
タヌキの白く光る目が小川の水面に反射しています。 
丸木橋を右岸に渡り切る前に録画タイマーが切れてしまい、残念無念! 


シーン3:4/2・午後22:53・(@1:01〜) 
同じ日の3時間50分後にもタヌキが撮れていました。 
またもやカメラの起動が遅れ、丸木橋を渡り終えたタヌキが左岸の崖を登る後ろ姿が写っただけでした。 
しばらくすると、後続の個体が此岸(右岸)から対岸(左岸)へ丸木橋を渡り始めました。 
一緒に夜のパトロールをしている♀♂つがいなのでしょう。 


シーン4:4/3・午前3:20・(@1:34〜) 
未明に夜霧(川霧)が立ち込めています。 
対岸(左岸)から丸木橋を渡り終えたタヌキが此岸(右岸)に上陸するところでした。 
風が吹くと霧がさっと晴れました。


シーン5:4/4・午前3:56・(@1:49〜) 
翌日の未明には、小川の此岸から対岸へ(右岸から左岸へ)タヌキの♀♂ペアが丸木橋を続けざまに渡って行きます。 
あまり間隔を開けずに縦列で対岸の崖を登ると、河畔林の笹薮に姿を消しました。 


シーン6:4/5・午後19:15・(@2:16〜) 
晩に現れたタヌキが丸木橋を対岸(左岸)に渡ると、珍しく右折して笹薮を突き進みました。 


シーン7:4/5・午後19:28・(@2:43〜) 
約13分後、次に来た個体が丸木橋を対岸(左岸)にゆっくり渡りました。 


シーン8:4/5・午後22:51・(@3:01〜) 
約3時間20分後、今度はタヌキが対岸から此岸に向かって(左岸➔右岸)丸木橋を渡りました。 

同じ晩にタヌキが3回も写ったのは初めてです。 
個体識別ができるようになれば、より楽しめるんだけどなぁ…。 


※ 一部は動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 



池のミズカマキリ♀を素手で一時捕獲してみる

 



2023年3月下旬・午後14:40頃・晴れ 

雪解け水の溜まった池で初めて見つけたミズカマキリRanatra chinensis)を捕獲してみることにしました。 
早春のミズカマキリは意外に鈍く、私が岸辺に忍び寄って手を伸ばしても逃げません。 
網を用意してなかったので手掴みですばやく掬い上げたら、難なく捕まえられました。 

呼吸管が体長より長くなかったことから、この個体は♀と判明しました。 (※ 追記参照)
水中では右の鎌が欠損しているように見えたのですが、掌に乗せてよく観察すると正常でした。 
囚われてもミズカマキリは手足を緩慢に動かすだけで、鎌で反撃したり口吻を突き刺したりすることはありませんでした。 
早春で水温や気温が未だ低いために、動きが鈍いのかもしれません。 
前脚の鎌を畳んで揃えて前に伸ばし、前習いのような体勢になりました。 
歩行は中脚と後脚の4本で行います。 

ミズカマキリが飛ぶという予備知識はあったので、飛び去る様子を動画撮影できないかと期待しました。
(ミズカマキリは)秋にはよく飛び立つ。(『フィールド版ため池と水田の生き物図鑑:動物編』p88より引用)
しかし翅を広げて飛び立つ気配はありません。 
私の手のひらの端から転がり落ちるように脱出すると、自発的に身投げしました。 
元居た池に落水すると、岸辺に産み付けられたゼラチン質のヤマアカガエルRana ornativentris)卵塊と枯草がクッションのようになりました。 

いつかミズカマキリの飼育に挑戦してみたいものです。 


【追記】
森上信夫『虫のオスとメス、見分けられますか?』によると、ミズカマキリは腹端を腹面から見たときにて亜生殖板のV字の形状に性差があるそうです。
横から見ると亜生殖板は実際にとがっており、尾端から突き出しています。(p31より引用)

2023/10/08

雪解け後の農道に現れたハタネズミの掘ったトンネル網

 

2023年3月下旬・午前9:10頃・晴れ 

深い根雪がようやく溶け去ると、田んぼの農道に浅いトンネル跡があちこちにうねうねと掘られているのが見つかります。 
秋にはこれほど目立たなかった構造なので、冬の積雪期に小動物が地表と積雪層の間にトンネルを掘って縦横無尽に移動していたようです。 
私は幼少期から見慣れていたものの、てっきりアズマモグラMogera imaizumii)の巣穴だと思い込んでいました。
ところが最近になって、ハタネズミMicrotus montebelli)の掘ったトンネル網のフィールドサインと知りました。 
トンネルの天井は積雪層で覆われていることになります。 
冬は地面が凍結しているため地中深くにトンネルを掘れないのかな? 
雪が降らない暖地では、もう少し深いトンネルを地中に掘るのでしょうか? 

氷の板のように薄くなった最後の残雪を地表から剥がしてみたときに現れるトンネル網も撮影したかったのですが、思いついたときにはもう時期が遅かったです。 
来年の早春にまた改めて撮影します。 

地表のトンネル網を見る限り、ハタネズミは農道脇の側溝を横切れないようです。 
つまり、コンクリート3面張りの側溝がハタネズミの移動を妨げるバリアとなっています。 
あるいはもしかすると、側溝の下をくぐる深いトンネルを掘って隣の刈田に侵入しているのでしょうか? 

早春から季節が進むと、ハタネズミが農道を掘り返したトンネル網はいつの間にか消失します。 (目立たなくなります。)
田植えする前に農家のお百姓さんが丹念に埋めたり踏み固めたりしているのでしょうか?
それとも雨が降ったり雑草が生い茂ったりすれば、地表の凹凸は自然に風化するのかな? 

さて、早春の雪解けした農道に現れる複雑怪奇なトンネル網が本当にハタネズミの仕業であることを、どうやったら証明できるでしょうか? 
「百聞は一見に如かず」をモットーにしている私は、自分の目で実際に見なければ本にもっともらしく書いてあることも鵜呑みにできません。 
仮にトンネルに罠を仕掛けてハタネズミが捕獲できたとしても、本当にハタネズミが掘った巣穴なのか居候している巣穴なのか区別できません。 
決まったトンネルに定住しているのであれば、小型カメラを冬季のトンネル内に設置してみたいものです。 
野外に巨大な飼育施設(コンクリートの箱)を作り、土を深く入れて雑草を生やしてから、生け捕りにしたハタネズミを放飼したらどうなるでしょう?
もし同じ構造のトンネル網が再現されたら、疑り深い私も納得します。 
しかし、そんな壮大なプロジェクトは素人の手に余ります。 

難しいことを考えなくても、夏の田んぼの農道にトレイルカメラを適当に(雑に)設置するだけでハタネズミの活動がよく写るのかもしれません。 
田園地帯でよくホバリングからの狩りをするノスリやチョウゲンボウなどの猛禽に獲物を見つけてもらうのが一番確実です。 
猛禽の背中や胸にGoProなどの小型カメラを仕込んで、田んぼのトンネルから出てきたハタネズミを狩る瞬間を自撮りしてもらえたら面白そうです。(夢想)

関連記事(2ヶ月後の撮影)▶ 草地でハタネズミの死骸を見つけた!


【追記】
ポケット版 学研の図鑑〈9〉『フィールド動物観察:足あと、食べあと、ふん』でハタネズミについて調べると、
 ハタネズミは、地表から地下50cmくらいにかけて、トンネルのような通り道をほって、中にかれ草などを集めた巣を作ります。畑や野原にすててあるベニヤ板などをどかすと、トンネルがあらわれることがあります。(p88より引用)
下線部が観察のヒントになりそうです。
例えばベニヤ板の代わりに透明なガラス板を使えば観察しやすいかもしれません。(他の本で読んだことがあるような…)


午後の雪解け田んぼに続々と飛来・着陸するコハクチョウの群れ【冬の野鳥:4K動画】

 

2023年3月下旬・午後・晴れ

雪が溶けた早春の刈田で採食するためにコハクチョウCygnus columbianus bewickii)の群れが続々と飛来します。 
小群で旋回して周囲の安全を確認し、滑空して優雅に着陸する様子を高画質の4K動画で何度も記録することができました。 
三脚を使った流し撮りの練習に最適の被写体で、飽きませんでした。 

コハクチョウは編隊飛行の間も鳴き交わしているようです。 
♀♂つがいまたは家族群を単位として行動しているのでしょう。 
着陸の際に離れ離れになることもありましたが、餌場で互いに鳴き交わして再会するはずです。 

着陸シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@5:18〜5:55) 
滑空で行動を下げ、羽ばたきながら少しずつ上体を持ち上げて減速し、最後に両足を前に出して着地すると、少し走ってから止まります。 

仲間が多く集まっている餌場の方が心理的に安心して合流できるようです。 
しかし、餌場で白鳥の密度が高くなると、限られた餌をめぐる競争が激しくなるはずです。 
夕方が近づき、このまま餌場にねぐら入りするためコハクチョウの大群が集結しているのではないか?という気がしてきました。 

つづく→

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