2023年3月下旬・午前9:10頃・晴れ
深い根雪がようやく溶け去ると、田んぼの農道に浅いトンネル跡があちこちにうねうねと掘られているのが見つかります。
秋にはこれほど目立たなかった構造なので、冬の積雪期に小動物が地表と積雪層の間にトンネルを掘って縦横無尽に移動していたようです。
私は幼少期から見慣れていたものの、てっきりアズマモグラ(Mogera imaizumii)の巣穴だと思い込んでいました。
ところが最近になって、ハタネズミ(Microtus montebelli)の掘ったトンネル網のフィールドサインと知りました。
トンネルの天井は積雪層で覆われていることになります。
冬は地面が凍結しているため地中深くにトンネルを掘れないのかな?
雪が降らない暖地では、もう少し深いトンネルを地中に掘るのでしょうか?
氷の板のように薄くなった最後の残雪を地表から剥がしてみたときに現れるトンネル網も撮影したかったのですが、思いついたときにはもう時期が遅かったです。
来年の早春にまた改めて撮影します。
地表のトンネル網を見る限り、ハタネズミは農道脇の側溝を横切れないようです。
つまり、コンクリート3面張りの側溝がハタネズミの移動を妨げるバリアとなっています。
あるいはもしかすると、側溝の下をくぐる深いトンネルを掘って隣の刈田に侵入しているのでしょうか?
早春から季節が進むと、ハタネズミが農道を掘り返したトンネル網はいつの間にか消失します。 (目立たなくなります。)
田植えする前に農家のお百姓さんが丹念に埋めたり踏み固めたりしているのでしょうか?
それとも雨が降ったり雑草が生い茂ったりすれば、地表の凹凸は自然に風化するのかな?
さて、早春の雪解けした農道に現れる複雑怪奇なトンネル網が本当にハタネズミの仕業であることを、どうやったら証明できるでしょうか?
「百聞は一見に如かず」をモットーにしている私は、自分の目で実際に見なければ本にもっともらしく書いてあることも鵜呑みにできません。
仮にトンネルに罠を仕掛けてハタネズミが捕獲できたとしても、本当にハタネズミが掘った巣穴なのか居候している巣穴なのか区別できません。
決まったトンネルに定住しているのであれば、小型カメラを冬季のトンネル内に設置してみたいものです。
野外に巨大な飼育施設(コンクリートの箱)を作り、土を深く入れて雑草を生やしてから、生け捕りにしたハタネズミを放飼したらどうなるでしょう?
もし同じ構造のトンネル網が再現されたら、疑り深い私も納得します。
しかし、そんな壮大なプロジェクトは素人の手に余ります。
難しいことを考えなくても、夏の田んぼの農道にトレイルカメラを適当に(雑に)設置するだけでハタネズミの活動がよく写るのかもしれません。
田園地帯でよくホバリングからの狩りをするノスリやチョウゲンボウなどの猛禽に獲物を見つけてもらうのが一番確実です。
猛禽の背中や胸にGoProなどの小型カメラを仕込んで、田んぼのトンネルから出てきたハタネズミを狩る瞬間を自撮りしてもらえたら面白そうです。(夢想)
関連記事(2ヶ月後の撮影)▶ 草地でハタネズミの死骸を見つけた!
【追記】
ポケット版 学研の図鑑〈9〉『フィールド動物観察:足あと、食べあと、ふん』でハタネズミについて調べると、
ハタネズミは、地表から地下50cmくらいにかけて、トンネルのような通り道をほって、中にかれ草などを集めた巣を作ります。畑や野原にすててあるベニヤ板などをどかすと、トンネルがあらわれることがあります。(p88より引用)
下線部が観察のヒントになりそうです。
例えばベニヤ板の代わりに透明なガラス板を使えば観察しやすいかもしれません。(他の本で読んだことがあるような…)
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