2014年8月中旬
夕暮れ時(18:36 pm)に里山の雑木林でヤマキマダラヒカゲ(Neope niphonica)がミズナラの樹液を吸いに来ていました。
常に翅を閉じて幹に止まり、翅表を決して見せてくれません。※
最後は近くに居た蛾が飛び立ったせいで驚き、飛んで逃げました。
もう暗くなってきたので、補助照明として白色LEDのマグライトを使用。
※『樹液に集まる昆虫ハンドブック』p21によると、
止まるときは例外なく翅を閉じ、時おり開閉させるという行動もまったく見られない。
『札幌の昆虫』p290によると、ヤマキマダラヒカゲとサトキマダラヒカゲのちがいは
後翅裏面基部の3つの斑紋がヤマキマダラヒカゲではくの字形、サトキマダラヒカゲではゆるやかなくの字形になる。
『日本動物大百科9昆虫II』p53によると、
本州の中部以西の雑木林にすんでいるものはサトキマダラヒカゲで、深い山々や東北地方から北海道に多いものはヤマキマダラヒカゲという別の種だった。染色体の数が異なるらしい。
2014年8月中旬
平地の道端に咲いたウド(独活)の花でスジグロシロチョウ(Pieris melete)またはエゾスジグロシロチョウ(Pieris napi)が吸蜜していました。
花から花へ飛んで移動します。
他にモンシロチョウも訪花していたのですが、撮り損ねました。
2014年7月中旬
堤防の花壇に咲いたラベンダーの花にハキリバチの仲間が来ていました。
てっきりオオハキリバチ♂かと思いつつ撮ったのですが、クズハキリバチ♂(Megachile pseudomonticola)とのことでした。(下記参照)
花から花へ飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:02〜)
複数個体を撮影。
顔が白く目立つのは花粉で汚れたのではなく、元からそのような色なのだそうです。
(採集してみれば良かったですね。)
どの個体も頭楯が白く、腹面のスコパが空荷でした。
これは♂の特徴なのでしょうか?
交尾シーンを観察できたら性別判定法が一気に解決するのですけど、同じ花壇でスコパに集紛する♀の姿を見ないのが少し不思議でした。
雄性先熟でこの時期♀は未だ羽化していないのかな?
雄蜂の頭楯?が白い種類の蜂を幾つか知っていますが、この性差は蜂の分類群でどれぐらい一般的に成り立つのか気になります。
いつもお世話になっている「蜂類情報交換BBS」に投稿して質問してみたところ、青蜂@管理人さんより以下の回答を頂きました。
映像のハキリバチは、クズハキリバチの♂と思われます。顔面の毛の色が上が黒、下が白と2色になっているのが特徴です。
2年前の記事でオオハキリバチとしてしまったのも実はクズハキリバチの誤同定だったかもしれません。(要再検討)
・オオハキリバチがラベンダーに訪花
・オオハキリバチのラベンダー訪花・飛翔【ハイスピード動画】
2014年8月中旬
里山の雑木林で樹液が滲むミズナラの幹に大型の甲虫が来ていました。
オサムシの仲間だと思うのですが、良い図鑑も持っておらず私のよく知らない苦手分野です。
下を向いて幹に止まり、鋭い大顎で樹皮に齧り付いて樹液を舐めています。
樹液に近寄るしつこいハエ(種名不詳)を脚で蹴飛ばし牽制しています(占有行動)。
脚の届かない顔正面にハエは回り込み、盗み食いしています。
開いた大顎を誇示してハエを威嚇し、追い払うこともありました。
ところが図々しいハエはすぐに戻って来てしまいます。
撮影後にこの甲虫を採集しました。
捕獲した際に大顎で指を噛まれてしまいました。
驚いたことに消毒液クレゾールのような独特の異臭(薬品臭)を放ちました。
指に付いた強い匂いがしばらく取れません。
当てずっぽうですけど、クロカタビロオサムシ(Calosoma maximowiczi)ですかね?
全く自信がないので、どなたか名前が分かる方がいらっしゃいましたら教えて下さい。
写真家の海野和男氏のサイトで「樹液に来たクロカタビロオサムシ」と題した記事も見つけました。
樹上で蛾の幼虫などを捕食するらしい。
以下は標本写真。
体長〜28mm。
2014年8月中旬
里山の雑木林でミズナラの樹液酒場にキイロスズメバチ(Vespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が来ていました。
ときどき飛び立つもののすぐに同じスポットに舞い戻って来ます。
どうやら、周囲に集まるハエ(種名不詳)を追い払おうとする占有行動のようです。
キイロスズメバチがちょっとでも居なくなると、待ち構えていたハエがすぐ樹液スポットに群がります。
キイロスズメバチも単独では餌場を効果的に防衛できていません。
2014年8月中旬
里山の雑木林で樹液が滲むミズナラの幹にムツボシベッコウハナアブ♂(Volucella nigropicta)も来ていました。
同じ樹液酒場で夕暮れ時に撮った♀を前回紹介しましたが、この個体は左右の複眼が中央で接しているので♂です。
「ムツボシベッコウハナアブは夜行性かも」という話があるようですけど、撮影時刻は真昼間の(〜13:30 pm)でした。
時間帯こそ違えども、同じ日に同じ樹液酒場でムツボシベッコウハナアブの雌雄共に観察できたことになります。
(ちょっと珍しい種類らしいのですが、ビギナーズ・ラックにしては上出来です♪)
映像冒頭では、とある樹液スポットでシダクロスズメバチ♀→ムツボシベッコウハナアブ♂→チャイロスズメバチ♀と目まぐるしく訪問客が入れ替わる様子が撮れました。
排便シーンもたまたま撮れていました。
口吻を伸ばして樹液を吸汁しながら、腹端から透明な液体をポタリと一滴排泄しました。(@1:48)
2014年8月中旬
里山の雑木林でミズナラ樹液酒場の隣に立つスギの幹でクロスズメバチの一種が巣材を集めていました。
大顎で樹皮を齧って唾液と混ぜ、パルプを丸めているようです。
その間、下半身は身繕いしていました。
側面から大顎の動きやマーラースペース(頬の長さ)も撮りたいのは山々でしたが、下手にこちらが動くと逃げられそうで我慢しました。
同定のため採集したかったのですけど、手が届く高さではなく断念。
背側のアングルしか撮れていなくても幾つか除外できます。
背側の外見から考えられる候補としてはクロスズメバチ属(クロスズメバチまたはシダクロスズメバチ)、ホオナガスズメバチ属(ニッポンホオナガスズメバチまたはシロオビホオナガスズメバチ)が挙げられます。
ホオナガスズメバチ属のスズメバチは一見クロスズメバチ類に似るが、クロスズメバチ属や大型のスズメバチ属のように、巣材を枯れ木や朽木の木部繊維中心にではなく、アシナガバチ類と同様に枯れ木、枯れ枝の靭皮繊維から採集するため、巣はもろくなく強靭である。(wikipediaより)
この記述を額面通り信じるならば、今回の蜂は樹皮を巣材としていたことからホオナガスズメバチ属かもしれません。
実は4年前にホオナガスズメバチ属の一種(シロオビホオナガスズメバチまたはニッポンホオナガスズメバチ)の創設女王がこの近くの軒下に営巣する様子を定点観察したことがあります。
関連記事:ホオナガスズメバチ創設女王の外被建設
※ 巣材集めという解釈は私の思い込みかもしれません。
実は単にスギの幹で休んでいただけだとしたら、以上の推測はご破算になります。
巣材のペレットを口元に確認できていないのが泣き所です。
巣材集めのワーカーが戻って来るまでその場で辛抱強く待てば良かったですね。
2014年8月中旬
早朝(6:16 am)の雑木林でクロヒカゲ(Lethe diana)がミズナラの樹液酒場に来ていました。
翅を立てたまま樹液を吸汁し、翅裏しか見せてくれません。
飛来したハエ?クロスズメバチ?に驚いてすぐ飛び去ってしまいました。
最後は飛び立ちを1/4倍速のスローモーションでリプレイ。
2014年8月中旬
早朝(06:41 am)の雑木林でコガタスズメバチ(Vespa analis insuralis)のワーカー♀がミズナラの樹液酒場に来ていました。
樹皮の穴に顔をつっこんで樹液を吸汁しています。
周りでベニシタバという蛾の仲間も樹液目当てに飛び回っています。
2014年8月中旬
里山の雑木林で定点観察しているミズナラの樹液酒場に夕方(18:15 pm)※、見慣れない虻が来ていました。
幹を歩き回り樹液スポットを探し当てると、美味しそうに舐め始めました。
これほど独特の斑紋なのに図鑑で見つかりません。
インターネットで調べ回り、ようやくムツボシベッコウハナアブ♀(Volucella nigropicta)かもしれないと名前が分かりました。
(参考サイト:標本写真、解説。)
左右の複眼が離れているので、♀だと思います。
名前の通り、腹背に黒い斑点が6個並んでいます。
ちょっと珍しい種類らしいです。
※ 映像の画質が粗いのは、日が暮れて薄暗いせいです。
写真はストロボを焚かないと撮れないぐらいの暗さでした。
「スズキベッコウハナアブとムツボシベッコウハナアブは夜行性かも」と題した報文が双翅目談話会会誌『はなあぶ』No.15-1(2003年3月発行)に掲載されているらしく、読んでませんが興味深く思いました。
念の為に写真鑑定で問い合わせる?
未採集・未採寸。
▼実は同じ日の午後に♂も観察していました。
ミズナラ樹液を吸いつつ排泄するムツボシベッコウハナアブ♂
2014年7月中旬
民家の庭に咲いたキクイモモドキ(=ヒメヒマワリ)の群落でモンシロチョウ(Pieris rapae)が訪花していました。
後半は乱舞する様子を240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
吸蜜している一頭♀の周りを3頭の♂が激しく飛び回って求愛しています。
(性別は行動からの推定です。)
葉の陰になっているせいで、♀が交尾拒否の姿勢(腹端を持ち上げる)を取っているかどうか見えず残念。
モテモテの♀がようやく花から飛び立つと、その後を♂2頭が追いかけて行きました。
【追記】
『進化を飛躍させる新しい主役――モンシロチョウの世界から』p113によると、
(モンシロチョウの)♀は生涯にせいぜい2、3回しか交尾しません。♀は一度交尾すると、その後少なくとも数日間は交尾を拒否します。つまり交尾をすませた♀は、交尾をするために近づいてきた♂に対して、翅を開き腹部を立てる独特の逆立ち姿勢をとって、♂との交尾を機械的に阻止するのです。
2014年8月中旬
里山の雑木林でサトキマダラヒカゲ(Neope goschkevitschii)がミズナラの樹液を吸汁していました。
翅を閉じたままなので、翅裏しか見えません。
2014年8月中旬
里山の雑木林でミズナラの幹にヒメスズメバチ♀(Vespa ducalis pulchra)が下向きに止まっています。
体全体で大顎を樹皮に繰り返し打ち付けるように力一杯齧って樹液の滲出を促しているようです。
がっついて樹液を吸汁していた蜂が急に腹端を持ち上げたかと思うと、透明なおしっこをピュッと勢い良く排泄しました。(@0:13)
スズメバチの排泄物は大便と小便に分かれていないため、厳密には「おしっこ」と呼ぶのは問題があるかもしれません。
スズメバチは成虫になると固形物を摂取しない(できない)ので、大便にならないのです。
後半キイロスズメバチ♀(Vespa simillima xanthoptera)が樹液スポットに近づくも、ひと睨みするだけで追い払いました。(占有行動)
その後もキイロスズメバチは何度か未練がましく飛来するのですが、ヒメスズメバチが怖くて近づけません。
(樹液酒場での力関係は本で読んだ通り、ヒメスズメバチ>キイロスズメバチ。)
最後ヒメスズメバチは満腹したのか飛び立ちました。
隙を伺っていたキイロスズメバチが入れ替わるようにすかさず幹に着陸。
2014年8月中旬
里山の雑木林で樹液が滲むミズナラの幹で見つけたアカウシアブ♀(Tabanus chrysurus)。
撮り始めたら警戒してすぐに飛び立ってしまいました。
幹の陰に回りこむと、前脚の先を擦り合わせてお化粧。(口吻も拭っているようです。)
一瞬キイロスズメバチやモンスズメバチ等と見間違うほど見事なベイツ型擬態でした。
2014年8月中旬
民家の庭に咲いた薄桃色の大きな花にキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が来ていました。
2匹以上の複数個体を撮影。
後脚の花粉籠は何れも空荷でした。
マメ科の蝶形花をこじ開けて吸蜜するのはクマバチにとってお手の物です。
園芸植物にまるで疎いのですけど、このマメ科の花はスイートピーですよね?
図鑑『ヤマケイポケットガイド11庭の花』p79によればスイートピーの花季は5〜6月らしいのですが、この時期(8月中旬)に咲いているのは北国だから種蒔きが遅れたのかな?
「スイート」ピーは花に甘い芳香があるとのことですけど、気づきませんでした。