2021/09/11

赤いユリズイセンの花蜜を吸うコアシナガバチ♀

 

2021年7月上旬・午後15:30頃・くもり 

家庭菜園の片隅に咲いたユリズイセン(=アルストロメリア)の群落でコアシナガバチPolistes snelleni)のワーカー♀が訪花していました。 
この組み合わせは以前、上手く撮れなかったのですけど、8年越しの宿題がようやく片付きました。
関連記事(8年前の撮影)▶ ユリズイセンを訪花するコアシナガバチ♀?
花弁が赤い品種ですが、上側にある2枚の花弁の内側にある鮮やかな黄色い蜜標を頼りにしてコアシナガバチ♀は訪花しているようです。 
訪花昆虫に対して侵入方向を示す矢印のような模様が描かれています。 

最後は隣の花から飛び立ったオオフタオビドロバチとニアミスし、空中ですれ違いました。 
ニアミスシーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

コアシナガバチ♀が吸蜜のために正当訪花を繰り返しても、アルストロメリアの長い雌しべや雄しべの葯にはほとんど触れていません。 
したがって、アルストロメリアの送粉者としてアシナガバチは当てにされていないようです。 アシナガバチはアルストロメリアで盗蜜する場合があるからです。
関連記事(8年前の撮影)▶ ユリズイセンに訪花するフタモンアシナガバチ♀2つの採餌戦略(正当訪花/盗蜜)
大型のアゲハ類に受粉してもらうチョウ媒植物だと思います。
関連記事(2、4年前の撮影)▶  
アルストロメリアを訪花するキアゲハ♂の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】 
ユリズイセンを訪花するオナガアゲハ♂の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】

田園地帯の上空で獲物を狙って停飛するノスリ(野鳥)

 

2021年6月下旬・午後18:00頃・晴れ
前回の記事:▶ スギ樹冠で鳴き続ける♪ノスリ(野鳥)
ノスリが鳴いていた止まり木を逆方向からも撮りたくて、里山から田園地帯に降りて来ました。
しかし手前に植林されたスギ林の樹高が高くて見えませんでした。 

青々としたイネが一面に育つ広大な田園地帯で農道を歩き去る私の上空でノスリButeo japonicus)が再び飛び始めました。 
ところが今度は全く鳴かなくなりました。 
夕方で風が強く、風切り音♪がうるさいのですが、ノスリの鳴き声は聞こえません。 
私が営巣地から遠ざかったので、警戒声を発する必要がなくなったのでしょう。 
個体識別できていないのですが、なんとなく同一個体のノスリではないかと思っています。
関連記事(数十分前の撮影)▶ 対人威嚇の波状飛翔ディスプレイを繰り返しながら鳴くノスリ(野鳥)
私を威嚇するために繰り返していた鬼気迫る波状飛翔ディスプレイとは全く違い、リラックスして滑翔しています。 

やがて、空中の一点に止まりながら激しく羽ばたくようになりました!(@0:27) 
チョウゲンボウ風の停飛です。 
激しく羽ばたいても頭部は動かさず、地上の獲物に狙いを付けているようです。 
直後にスーッと軽く降下するも、獲物にアタックする急降下ではなく、滑翔に戻りました。 
田んぼの上空を飛びながら獲物を探索しているのだと分かりました。(探餌飛翔) 
ホバリングと降下を繰り返し、飛翔高度を少しずつ下げています。
関連記事(4年前の撮影)▶ 水田の上空でホバリングするノスリ(野鳥)
場所をあちこち変えながら、再び水田の上空で停空飛翔(ホバリング)を繰り返しました。(@1:57、2:10) 
いよいよ狩りのシーンが撮れるかと期待して見守ったのですが、残念ながらノスリは地上に急降下してくれませんでした。 

『フィールドガイド日本の猛禽類vol.04ノスリ』を読み返すと、まさに観察した通りの記述がしてありました。
狩り Hunting  風が強い日ほど飛びながら獲物を探すことがよくあり、その際には停空飛翔をする。(中略)獲物を見つけたノスリは段階的に下降しては体勢を整え直すことで徐々に獲物に近づき、最後は落下するように地面に向かって急降下していく。風の強い日にノスリが翼を少し折り曲げ、尾を巧みにあやつって農耕地や山林の上空一点にピタリと浮いて探餌する姿は、夏に本種のいない西日本の大部分の地域では冬の風物詩といえる景色であろう。 (p4〜5より引用)
翼の下面がようやく順光で見えて、白地に黒い前縁紋があったことからノスリと確定しました。(@1:39、2:35、3:15) 

後半になると、飛行高度を再び上げるために上昇気流に乗って帆翔するようになりました。
夕方の空にくるりくるりと弧を描いています。 
一時はかなり遠ざかってしまったノスリが再び私の近くに戻って来てくれました。 

最後は山麓のスギ林に飛び込んで枝に止まったように見えたのですけど、見失ってしまいました。(動画を撮り損ね) 
5年前にもノスリが夕方に高速飛翔でこのスギ林に飛び込むのを見ています。 
同じつがいが近くで代々営巣していそうな気がしています。
関連記事(5年前の撮影)▶ 杉林に飛び込む猛禽類(野鳥)のペア
※ 今回は動画編集時に手ブレ補正のデジタル処理を施していません。 
「空を背景に飛ぶ猛禽」のように、被写体の周囲に物が無いシーンの場合、手ブレ補正すると副作用で不自然な動きの映像になってしまうからです。 
 今まで実際に見たことのなかったノスリの習性をこの日だけで幾つも動画で記録することが出来ました。 
こういう決定的なブレークスルーがたまにあってミッシングリンクが繋がるので、フィールド調査は止められません。 
とても充実した気分で帰りました。

2021/09/10

階段で溜め糞の匂いを嗅ぐニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2021年6月下旬・夜(撮影時刻不明)・気温15〜16℃ 

堤防のコンクリート階段に残された溜め糞にやって来る野生動物を突き止めるためにトレイルカメラを仕掛け、試行錯誤しています。 
残された糞の形状からして、主にタヌキまたはアナグマの仕業だろうと予想していました。 
それに追加してイタチ(またはテン)が残したと思われる糞も少量トッピングされていました。 
中嶋捷恵『我が家にはいろんな動物がやって来る』という書籍によると、
(アナグマの)トイレについては糞をためる傾向が見られるものの、タヌキほどではない。小さな穴を掘ってそこへするが、何回か使うと別の場所に穴を掘る。土はかけずにそのままである。(p92より引用)
ニホンアナグマMeles anakuma)が夜に現場を通りかかった暗視映像をまとめてみました。 

シーン1:気温16℃ 

溜め糞のある階段の1段下を夜行性のアナグマが左から右へ足早に歩いて通り過ぎました。 
なぜか溜め糞には興味を示しませんでした。 

シーン2:気温15℃ 

同一個体なのか別個体なのか不明です。
前回と同じく左から登場し、階段(溜め糞の1段下)の臭いを頻りに嗅いでいます。 
今までで最も長時間、画角内に滞在してくれました。 
三脚およびトレイルカメラの存在にようやく慣れてくれたのかな? 
溜め糞のある段に登ると臭いを念入りにチェックしました。 
しかし、溜め糞のあるエリアの左端しか嗅いでいません。 
残念ながら排便してくれませんでした。
更に1段上に登ると、ゆっくり右へ歩き去りました。 

※ 画面の下に表示されている撮影時刻のタイムスタンプがでたらめな表示になっています。 
前回の使用時に電池を使い切ったら、カメラ内部の時計が全てリセットされてしまったようです。 
私がそれを知らずに電池を交換しただけでカメラを起動させてしまったのです。 
ただし撮影法の細かい設定などは保存されていました。

※ 動画編集時にequalizorフィルターをかけて画面全体を明るく加工しています。 


【調査の総括】
残念ながら、無人のセンサーカメラで連日監視しても、野生動物が溜め糞で実際に排便する証拠映像を撮ることはできませんでした。 
本命のタヌキが一度も登場しなかったのが何よりも意外です。 
不審なカメラの出現に警戒して、野生動物が溜め糞に近寄らなくなったり迂回したりするようになったのでしょうか? 
トレイルカメラをしばらく現場に放置したら慣れてくれるかと思ったのですが、駄目でした。 
カメラの設置場所が被写体から近すぎたのが問題かもしれません。
どうしてもこれ以上離すことができない、という現場の事情がありました。(背水の陣)

溜め糞に含まれていた未消化の種子から発芽して、ツユクサの群落が階段に繁茂するようになりました。 
まさに種子散布(動物散布型)の結果です。 
実はトレイルカメラを設置する直前に、動画の見栄えを考えて、溜め糞の周囲に生えた雑草を除去しました。 
私が現場の草むしりをしたことで、夜行性の野生動物は嗅覚で異変を感じたのかもしれません。 
(その後、夏の間にツユクサの群落が再生し、溜め糞をすっかり覆い隠してしまいました。)

今のところ、階段上の溜め糞に興味を示して匂いを嗅いだのはアナグマだけで、ネコとハクビシンは素通りしました。 
ただし、溜め糞のある段は避けて通ったので、完全に無視している訳ではなく、不潔な糞を踏みたくないという衛生観念はあるようです。


溜め糞に新たな糞が追加されていない上に、古い糞がいつまでも分解されずに原形を保って残っているのがそもそも奇妙です。 
私が溜め糞に鼻を近づけても糞便臭が完全に抜けていました。 
実はかなり古い糞なのかもしれません。 
下が地面ではなくコンクリートなので、糞がいつまで経っても分解されずに階段に残っているだけのような気がしてきました。(獣糞のミイラ化?) 
そして、この溜め糞は野生動物のサインポストとしてもはや使われなくなった(新たに糞を追加してない)のだろうという結論に達しつつあります。 

誰かが昼間に散歩させている飼い犬がここで定期的に排便し、溜め糞を形成したという可能性も考えました。
野生動物は夜行性と分かってきた私は、調査の後半になると昼間はトレイルカメラの監視モードを切ってバッテリーを温存する設定に変えました。
したがって、明るい日中の様子は写っていない可能性があります。
それにしても、新しい糞が追加されていない、という事実は変わりません。

ここでのカメラトラップ調査を諦め、別の場所にトレイルカメラを設置し直すべきかもしれません。 
撮影は無人カメラに任せ、私はフィールドで新たな溜め糞ポイントをあちこち探し回っています。
一般に気温の高い夏の間は糞の分解速度が速く、大きな溜め糞として残りにくい、という問題があります。

公園の池畔や芝生で雛のため虫を捕食するハクセキレイ♂(野鳥)

 

2021年6月下旬・午後18:30頃・くもり 

公園の池で夕方にハクセキレイ♂(Motacilla alba lugens)が虫捕りしていました。 
梅雨時だというのに池はほとんど干上がっている状態で、浅い水溜まり程度しか水量がありません。 
ハクセキレイ♂は岸辺の浅い泥の上を駆け回り、何か小さな虫を次々と啄んでいます。 
獲物をすぐに食べずに嘴に溜めているので、雛または幼鳥に給餌するために獲物をせっせと集めているのだと判明しました。
関連記事(1年前の撮影)▶ 水たまりでミギワバエを捕食するハクセキレイ♀とホオジロ♂(野鳥)
池から少し飛ぶと、丸太を切ったベンチに一旦飛び乗りました。 
そこから帰巣するかと思いきや、未だ餌が充分に捕れていなかったようです。 
少し離れた芝生エリアに移動すると、虫捕りを続けています。 

残念ながら、今年も繁殖期にハクセキレイの巣を発見できませんでした。

 

2021/09/09

ハキリバチ♀がホバリングしながら空中で脱糞【ハイスピード動画】

 

2021年6月下旬・午後16:35頃・くもり
前回の記事:▶ ヒメキンギョソウの花で採餌するハキリバチの一種♀【HD動画&ハイスピード動画】
リナリア・ブルガリスに訪花するハキリバチの一種♀を240-fpsのハイスピード動画で撮っていたら、脱糞シーンがたまたま撮れていました。 
ほんの一瞬の排泄行動を狙って撮れるものではないので、嬉しい収穫でした。 
ハキリバチの排便シーンは初見です。 

吸蜜・集粉を済ませてヒメキンギョソウの花筒から飛び立つと、次の花に向かう前にホバリングしながら身繕いして体に付着した花粉を腹部下面のスコパに移します。 
やがて身繕いの合間に停飛しながら白っぽい少量の液状便を勢いよく後方に噴射しました。 
脱糞というよりも「おしっこ」(排尿)と呼ぶべきでしょうか? 
まずは1/40倍速のスローモーションでご覧ください。 
続いて1/8倍速のスローモーションでリプレイ。 


スギ樹冠で鳴き続ける♪ノスリ(野鳥)

 

2021年6月下旬・午前後17:24〜17:48・くもり
前回の記事:▶ 対人威嚇の波状飛翔ディスプレイを繰り返しながら鳴くノスリ(野鳥)

私が山麓の小径を進むと、スギ(杉)高木の梢に止まった ノスリButeo japonicus)が眼光鋭く周囲を見回しながら、ピーエ、ピーエ♪と甲高い声でひたすら鳴き続けていました。 
嘴を開閉する動きと鳴き声が同期していますから(リップシンクロ)、この個体の鳴き声で間違いありません。 
順光のアングルで撮ると、夕方の西日を浴びつつ嘴を大きく開けて鳴く際にノスリの口内は赤いことが分かりました。 

この辺りに生息するノスリと私は互いに顔馴染みなのですが、個体識別できていません。 
つい先程までディスプレイ飛翔していたのと同一個体か別個体(つがいのパートナー)か知りたいところです。 
もう私の頭上でディスプレイ飛翔しなくなったので、同一個体ではないかと思うのですけど、定かではありません。 

ノスリのしつこい鳴き声を聞きつけたのか、カラスの家族群が鳴きながら飛来し周囲を飛び回るようになりました。 
しかし樹上のノスリに対してカラスがモビング(擬攻撃)を仕掛けることはありませんでした。(映像公開予定?) 
ノスリもスギの樹冠に平然と居座り、鳴き続けています。 

林冠ギャップから狙ってズームして撮りましたが、視力の良いノスリから私の姿は丸見えのはずです。 
私が用水路沿いの道を引き返しても、スギ樹上のノスリは追いかけて来ず、止まり木で鳴く頻度が下がりました。 (ディスプレイ飛翔を再開せず) 
私がしつこく引き返して止まり木のノスリにカメラを向ける度に再びピーエ、ピーエ♪と鳴き始めます。 
かんたんな実験ですが、これで私に対する警戒声を発していたという確信を得ました。 
営巣木が近くにあるはずです。 
それ以上は繁殖期の親鳥を刺激したくないので、現場を離れて下山しました。 
来季の観察に備えて営巣木の位置をなんとか突き止めたいものです。 

以前も現場近くのスギ樹冠で鳴く猛禽を観察しています。
関連記事(5年前の撮影)▶ スギの樹冠で鳴く♪サシバ?(野鳥)
当時はサシバかと思ったのですが、どうやらノスリだったようです。 
里山の樹上にノスリの♀♂ペアが代々営巣しているのでしょう。 



ノスリの対人警戒声を声紋解析してみる

いつものようにオリジナルの動画ファイルから音声をWAVファイルに書き出し、鳴いている部分(なるべくノイズが少ない部分)を適当に切り出してスペクトログラムを描いてみました。



ピーエ♪と尻下がりで鳴く度に「へ」の字の形で記録されています。
鳴き声の倍音構造が、への字の縦の重なりとしてはっきりと描かれていました。

2021/09/07

堤防の階段を深夜徘徊するイエネコ♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2021年6月下旬〜7月上旬・深夜

堤防のコンクリート階段に残された溜め糞にやって来る野生動物を突き止めるためにセンサーカメラを仕掛け、試行錯誤しています。 
イエネコFelis silvestris catus)が通りかかった映像をまとめてみました。 
おそらく同一個体の野猫(ノネコ)が深夜に散歩しているのでしょう。
夜行性のネコの生態の一端が垣間見えて面白いですね。 

シーン1:6月下旬・撮影時刻不明・気温15℃ 

前回トレイルカメラの電池を使い切ったら、年月日や時刻の設定が全てリセットされてしまいました。 
それを知らずに電池を交換しただけでカメラを起動させたので、撮影時刻のタイムスタンプが異常な表示になっています。 
ちなみに、画面下で気温の左隣にある丸いマークは月齢を示しています。

猫は溜め糞のある階段の1段下を左から右へ歩いて通り過ぎました。 
股間に睾丸が見えたので♂ですね。 
赤外線の暗視モードでは白黒の映像になり、猫の毛色が分からないのが残念です。 
なぜか溜め糞には興味を示しませんでした。 

シーン2:7月上旬・午後23:40・気温15℃ 

今回はゆっくり左から登場してくれました。 
動体検知で起動したトレイルカメラの存在に気づいているようです。 
赤外線と言いつつも薄っすらと赤く(可視光域)光っているLEDが猫の目には見えているのかもしれません。 
イエネコは階段に生えた雑草を慎重にまたぎ、優雅な足取りで画面を横切りました。 
股間に睾丸が見えるので雄猫♂です。 
今回も溜め糞には全く興味を示しませんでした。


路上でコオロギ?を捕食するスズメ(野鳥)

 

2021年6月下旬・午後17:20頃・くもり 

夕方の路上にスズメPasser montanus)が舞い降りた時にたまたま私が通りかかると、慌てて横の電柱支線に避難しました。 
路上に戻りたそうな素振りをしているので、私は一旦通り過ぎて少し離れたところから見守ることにしました。 
すると予想通り、スズメは路上で何か虫を捕食しました。 
忙しない早食いを1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、獲物は道端の草むらから跳び出してきたコオロギかヒメギスの仲間ではないかと思います。 
スズメは獲物をその場でガツガツと全て食べてしまったので、雛や幼鳥への給餌用ではありません。

2021/09/06

停空飛翔しながら空中で脱糞するトラマルハナバチ♀【ハイスピード動画】

 

2021年6月下旬・午後16:20頃・くもり 


ユリズイセン(=アルストロメリア)に正当訪花を繰り返すトラマルハナバチBombus diversus diversus)のワーカー♀を240-fpsのハイスピード動画で記録していたら、偶然に排泄シーンが撮れていました。 
アルストロメリアのピンクの花の手前でホバリング(停飛)中に白い液状便を勢いよくピュっと後方に噴射しました。(@0:22) 

トラマルハナバチ♀が脱糞する決定的瞬間を撮れたのは8年ぶりです。 
到底狙って撮れるものではないので、「数撃ちゃ当たる」でとにかく愚直に撮影回数をこなすしかありません。
関連記事(8年前の撮影)▶ キバナイカリソウに訪花するトラマルハナバチ創設女王【HD動画&ハイスピード動画】

対人威嚇の波状飛翔ディスプレイを繰り返しながら鳴くノスリ(野鳥)

 

2021年6月下旬・午後17:08〜17:20・くもり 

山麓を流れる用水路沿いの道を私が歩いていると、ノスリButeo japonicus)が飛来しました。 
ピーェ、ピーェ♪と物悲しい高音で鋭く鳴き続けながら、私の上空を飛び回ります。 
高度を上げるために旋回・帆翔するのではなく、停空飛翔(ホバリング)と急降下・急上昇を何度も繰り返しています。 
ノスリが全く羽ばたかず(滑翔のまま)空中の一点で見事に静止する停飛(ホバリング)を間近で見るのも初めてです。 
この日は風がやや強く、上空はもっと強風(夕方の上昇気流?)が吹いているようです。 
この個体の性別を知りたいところですが、私には見分けられません。 

もう一つ重要な問題は、聞こえている鳴き声は飛翔個体が発しているのか?という点です。 
もしかするとディスプレイ飛行している個体は黙っていて、つがいのパートナーが近くで鳴いている可能性も考えられます。(映像公開予定) 
飛翔中の嘴の動きと鳴き声が同期しているかどうか(リップシンクロ)、動きの激しい映像ではしっかり確認できませんでした。 
冒頭でダイビングしながら私の方に向き直って鳴いたように見えたので(@0:09、0:12)、鳴きながら飛んでいると現時点では解釈しています。 
波状に飛ぶ中で鳴き声を発するタイミング(位相)について、規則性は特に無いようです。 
※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

私の真上でノスリが猛スピードで急降下する姿は大迫力でした。 
獲物となるノウサギがこれを見たら凄まじい恐怖でしょう。 
流線形を保って空気抵抗を減らすためにノスリは後脚を胴体に引き付けたままで飛んでいて、鋭い爪を見せつけて威嚇してくることはありませんでした。 

もっと見晴らしの良い広々とした場所から撮影したかったのですが、たまたま私が立っていた地点から林冠ギャップを見上げる体勢でなんとか撮影するしかありませんでした。 
視界が遮られて、もどかしい撮影でした。 
レンズ中央部の汚れがお見苦しくて申し訳ありません。 

白い雲が薄くかかった空を背景に、ノスリが風に乗って急降下と急上昇を高速で繰り返すと、波状に飛ぶことになります。 WWW
撮影時の私は、ノスリのこの奇妙な飛び方の意味が分からず、夢中になって長々と動画に記録しました。 
鳥類学の本ではない昔のベストセラー小説ですが、『かもめのジョナサン』で限界突破のために高速飛翔を練習するシーンをなぜか連想しました。 
私の真上で静止したり、警戒声♪を発し続けたり、急降下を見せつけたりするのは、私に対する威嚇行動なのかもしれません。 
それとも私の存在などノスリの眼中には無く、別の目的があるのかな? 
同じ空域に他の鳥は見かけませんでした。
独りで風に乗る遊び(ウィンドサーフィン)を楽しんでいるのでしょうか? 
猛禽類(ノスリ以外の種)に関する本を読んだときに知った「ディスプレイ飛翔」と似ている気がするものの、6月下旬に異性に求愛するのは時期的に遅過ぎます。 
実は5年前にも現場近くでノスリと思しき猛禽が今回と同じような飛翔行動♪を披露していました。
関連記事(5年前の撮影@4月下旬)▶ ノスリ?(野鳥)のウィンドサーフィン♪(停空帆翔)
当時は飛ぶ姿がやや遠くてノスリかどうかも確認できず、勉強不足の私はウィンドサーフィンで遊んでいるのかと誤った解釈をしてしまいました。
今になって動画を見直すと、これこそが求愛のディスプレイ飛翔♪だと理解できました。 
当地で4月下旬と言えば、里山には未だ残雪が少しある時期です。 

『野鳥の鳴き声図鑑』と称するものでもノスリの鳴き声については解説が絶望的に乏しく、フィールドでの生態調査には役に立ちません。 
フィールドガイド日本の猛禽類vol.04ノスリ』という専門的な資料を紐解いてみると、詳細に解説してあって私の疑問が全て解けました。 
少し長くなりますが、ここで抜粋させてもらいます。
鳴き声 Voice  ノスリはサシバと同様によく鳴く鷹で、最もよく聞かれるのは「ピーエー」や「ピィー」と強く鳴く声である(鳥との距離によっては「ヒャー」あるいは「ピャー」と聞こえる)。この声は1年を通して成鳥、幼鳥とも飛びながら発することが多く、その意味は鷹や人などの外敵に対する威嚇や興奮である。 (p3より引用)
ディスプレイ Display  ノスリの繁殖活動は1月下旬ないし2月下旬から始まり、まずはディスプレイ飛行が見られるようになる。(中略)  よく見られるディスプレイ飛行は翼を浅いV字に保った帆翔と深くゆっくりとした羽ばたき飛翔、および、急降下と急上昇を交互に行なう波状飛行である。典型的な波状飛行は、翼を広げてやや上昇した後、翼先端をすぼめて菱形のような格好になり数十mを一気に急降下する。そしてブレーキをかけるように翼を半開きにすると上昇に転じて急上昇する。稀に翼を半開きにせず、閉じたままこの動作を行うこともある。波状飛行は地上高100m以上の高空から行われることが多いが、徐々に高度を落として林の樹冠付近まで続け、最後はそのまま営巣林へ突入することもある。  これらのディスプレイは、繁殖初期から巣外育雛期である8月まで例えば次のような組み合わせで観察される。よそのノスリが営巣地に侵入してくると、繁殖個体は「ピーエー」と聞こえる強い声を発しながら深く速い羽ばたきでスクランブルし、尾羽を閉じ翼を浅いV字に保って滑空していく。それでも相手が引かないようだと、深くゆっくりとした羽ばたきを交えた旋回上昇で高度を上げ、その後波状飛行に移行することが多い。つまり、これらのディスプレイは排除行動と解釈される。(中略)このようなディスプレイは4月上旬から6月頃まで特によく行われ、抱卵中の♀が巣内から飛び出して他個体を排除する夫に加勢することさえある。 (中略)これらのディスプレイは営巣地付近に長時間居座ったり、巣に近寄ったりする人間に対しても行われることがある。繁殖を妨害しないためにも、ノスリ調査の際にはそのような行動を起こさせないよう十分な配慮が必要である。(p5より引用)
太字にした最後の記述はバードウォッチャーにとって特に重要です。
私も含めて無知ゆえに、繁殖期のノスリ親鳥に対して無自覚に嫌がらせをしてしまっている場合が多いでしょうから、この情報をもっと広く周知・拡散することが必要です。
繁殖期の親鳥が営巣地に侵入した私に対してストレスを感じて発している警戒声および排除行動(威嚇)の波状飛翔だと学んだので、次回からは親鳥に警告されたら悠長に撮影してないで速やかにその場を離れることにします。 
このノスリ♀♂つがいと私はお互いに顔馴染みなのですが、営巣木の位置をなんとか突き止めたいものです。 

私が山麓の小径を進んで行くと…。 

2021/09/05

堤防の階段を深夜徘徊するハクビシン【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2021年6月下旬・午後22:58および午前2:42・気温12℃ 

堤防のコンクリート階段に残された溜め糞にやって来る野生動物を突き止めるためにカメラトラップを仕掛け、試行錯誤しています。 
今回から設置アングルを変え、古い三脚を持参してトレイルカメラをセットしてみました。 
アルミ製の三脚が銀色に光って目立つので、黒いビニールテープをぐるぐる巻いて偽装しました。 
本当は迷彩柄のテープを使いたいのですけど、通販で取り寄せる暇がないのでとりあえず黒いテープで代用します。 
黒や緑の塗料をスプレーで三脚に吹き付けて塗装しようか迷ったのですが、塗料が完全に乾くまで野生動物は匂いを嫌がりそうです。 
柳の小枝を切り集めてきて三脚の足に被せました。 
センサー感度はMiddle、動画の録画時間を1分間に変更。

溜め糞のある段の一段下に三脚を低く立てて置きました。 
三脚を使った結果、灌木にベルトで巻き付けてトレイルカメラを固定する設置法よりも風揺れの影響が無くなりました。 

午後から激しい雷雨になりました。 
カメラに落雷しないか心配ですが、運を天に任せるしかありません。 
通常の雨ならトレイルカメラの防水性能は全く問題ありませんでした。 

シーン1:午後22:58 

謎の野生動物が不審な三脚を迂回してから階段の左へ足早に歩いて画角から消えました。 
1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
長い尻尾が印象的です。 
センサーの起動が間に合っていません。 
カメラの位置をもう少し下げて画角を広く取るべきでした。 
肝心の溜め糞がある段が画面の下端となり、ほとんど写っていません。 
(トレイルカメラを起動する前に試し撮りをして、画角を入念にチェックすべきでした。) 

※ シーン1に登場した謎の動物はハクビシンではなく、タヌキやネコかもしれない、という気がしてきました。 
尻尾がハクビシンとは違うような…? 

シーン2:約4時間後の午前2:42 

トレイルカメラの正面を右から左へ横切ってセンサーが起動したものの、被写体が近過ぎて赤外線でハレーションを起こしています。 
動画編集でequalizer処理したら、白飛びが改善しました。 

謎の獣は立ち止まってカメラを見たのですが、目がギラギラと光るばかりで鼻面の縦縞はよく見えません。 
尾がとにかく長いので、タヌキやアナグマではなくハクビシン(白鼻芯、白鼻心;Paguma larvata)と判明しました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

こんな平地の堤防に夜行性のハクビシンが出没しているとは知りませんでした。
 (後日もっと鮮明に撮れたハクビシンの映像を公開予定です。) 
溜め糞に残された糞の形状も、ハクビシンの排泄した糞ということで一部は説明可能です。 
しかし溜め糞の上でハクビシンが排泄する証拠映像を撮らないといけません。
どうやら、ここの溜め糞は複数種の野生動物が競い合うように排便して互いに縄張りをアピール(匂い付け)しているようです。 
ただし、今回登場したハクビシン個体は溜め糞で排便したり、興味を示して匂いを嗅いだりすることはありませんでした。 

設置したトレイルカメラの存在自体が野生動物の自然な行動にどれだけ影響してしまっているのか、気になります。 
何日も放置していたら慣れてくれるでしょうか?
トレイルカメラは設置したアングルで設定した通り忠実に作動しますが、全く融通が効きません。 
野生動物との知恵比べで、カメラの調整を繰り返すしかありません。 
獣の気配を感じたらキョロキョロと背後も振り返るように改良して欲しいなーとカメラのメーカーに無理なお願いをしたくなります。
予算が豊富なら複数台のトレイルカメラを運用して多角的なアングルで狙えば死角が無くなるはずです。
その前に、とりあえず初号機で使い方をマスターしないといけません。

中干し中の水田に入って虫を捕りハシボソガラス幼鳥に給餌する親鳥(野鳥)

 

2021年6月下旬・午後16:00頃・くもり 

水田の畦道にハシボソガラスCorvus corone)の親子が並んでいました。 
幼鳥が餌乞いすると、隣りにいた親鳥が口移しで巣外給餌してやります。 
成長した幼鳥の体格は親鳥とほぼ変わりません。 

ここまでは別に珍しくない光景でしたが、しばらくすると親鳥が畦道から水田に飛び降りて、そのまま田んぼの中を歩き回り始めました。 
幼鳥も親鳥の後をついて歩きます。 
カラスが夏の「水田の中に」入って探餌徘徊する行動を見たのは初めてでした。 
草丈高く育ったイネの茂みの中で黒いカラスの姿はほとんど隠れてしまいました。 
梅雨に入ったこの時期は田んぼの水を抜いて「中干し」しているのでしょう。 
泥が半乾きになるとカラスも田んぼの中に入れるようです。 
脚の長いサギ類と違い、カラスは深い泥濘の田んぼに入って採餌することはありません(私が知る限り)。 

親子で一緒に田んぼに入ったということは、親鳥が幼鳥に採餌法を教えてるのでしょう。 
青々と育ったイネの葉が風でなびいて、それだけでも絵になる田園風景です。 
親鳥を見失わないように必死で付いて歩いていた幼鳥が水田から飛び立ち、奥の畦道に移動しました。 
いかにも幼鳥らしく、採餌実習に飽きてしまったのでしょうか? 
親鳥を見失って不安になったのかな? 
中干し中とは言え、足元の悪い田んぼを歩き回るのはやっぱり嫌なのかもしれません。

水田に残った親鳥は構わずに探餌徘徊を続けます。 
何を捕食しているのか見えませんが、虫やカエルなどを探し歩いているのでしょう。 
親鳥の喉袋が膨らんでいるので、幼鳥に給餌するために獲物を貯め込んでいるようです。 
カラスに限らず、夏の田んぼで害虫駆除してくれる鳥は稲作農家にとって大歓迎でしょう。(益鳥)

畦道で待っている幼鳥2羽のうち片方に注目して撮影すると、手前の水田で採餌していた親鳥が飛来しました。 
やって来る親鳥の姿を見つけた途端に幼鳥は餌乞いを始めます。 
畦道に並ぶと親鳥は幼鳥に口移しで巣外給餌しました。 
給餌直後に親鳥は足元の草に嘴を擦り付けて汚れを拭い取りました。 
すぐにまた親鳥は畦道から奥の水田に歩いて入り、獲物を探し始めます。 

畦道に残された幼鳥は、今度は親鳥の後について田んぼに入ることはなく、少し飛んで奥の農道に移動しました。 
自力で何か餌を見つけたらしく、啄んでいます。 
水田の右隅にもう1羽の親鳥が入り込んで採食していました。 
その親鳥が幼鳥に近づくと、農道上で羽繕いしていた幼鳥が餌乞いしながら歩み寄りました。 
しかし親鳥に無視されてしまいます。(未だ餌が取れてないのでしょう。) 
続いて幼鳥は、農道を歩いて来る別の親鳥に対して餌乞いしつつ駆け寄りました。 
今度も親鳥に無視された幼鳥は羽繕い。 
親鳥は農道から水田に入り、探餌徘徊を続けます。
     

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