2015/01/03

日の出と共に巣作りを始めるキイロスズメバチ♀【暗視映像】



2014年8月中旬
▼前回の記事
深夜に総員臨戦態勢で巣を守るキイロスズメバチ【暗視映像】

キイロスズメバチ移動巣の定点観察#7

夜が明けて次第に明るくなると、日の出前からキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が待ちかねたように外役活動を始めました。
外は明るくても東屋の天井裏を通常のカメラで撮るには未だ薄暗いので、赤外線の暗視ビデオカメラで撮りました。
照度計が欲しいなー。
ちなみに国立天文台のサイト(こよみの計算)よると、日の出時刻は4:59 amでした。
5:00を過ぎると数匹の蜂が飛んで巣に出入りし、前日の続きで外被の増築作業をせっせと始めていました。

つづく→シリーズ#8:造巣行動



屋根に片足立ちで佇むアオサギ(野鳥)



2014年9月下旬

街中を流れる川沿いに建つ民家の屋根に大きなアオサギArdea cinerea jouyi)の成鳥が一羽佇んでいました。
屋根に止まる姿は初見です。
冠羽が無いのは非繁殖期だから?
川をじっと見下ろしているので、てっきり魚影を探しているのかと思いしばらく粘って観察してみました。
おそらくただの休息らしいと分かってきました。
西日を浴びて黄昏れています。
のんびりと羽繕いを始めました。(@0:28〜)
嘴で首の根元を掻くように撫で付けています。
次に翼の付け根を嘴で羽繕いしています。
左足の爪で首を掻いています。(@2:09)

屋根の縁まで歩いて移動しました。
川面を見下ろすも、予想に反して飛んでくれません。
なんとも哀愁のある立ち姿です。
空を飛んでいるトンボには見向きもくれません。
やがてリラックスすると片足を上げた姿勢になりました。(@3:38)
フラミンゴの一本足を連想しましたが、疲れた筋肉を片足ずつ休ませているのでしょうか。
トタン屋根が西日で熱いのであれば、もっと頻繁に足を踏み変えるはずです。

首をすくめていたアオサギが片足立ちのまま急に首を伸ばして遠くを眺めました。
何事もなかったようで再び首をすくめた姿勢に戻ります。
長撮りに疲れた私が川の対岸を歩いて少しずつ近づくと、警戒したアオサギは屋根を歩いて死角に隠れてしまいました。
更にしつこく対岸を歩いて回り込み、撮影続行。
夕陽を浴びたアオサギの横顔が美しいですね。
急に身を屈めると飛び立ち、下流方向へ飛び去りました。
飛びながら腹立たし気にグワーッ♪と一声鳴きました。
近くの鎮守の森のスギの梢に着陸しました。
枝葉に隠れて姿は見えませんが、ここを夜の塒とするのでしょうか。



アオサギの鳴き声を声紋解析してみる
いつものようにオリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてから鳴いている部分を切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
やや遠いせいか、低周波成分の多い不鮮明な声紋ですね。



ミズナラ樹液の分泌と泡立ち♪



2014年9月中旬

今季、里山の雑木林で定点観察に通っているミズナラの樹液酒場です。
なぜか樹皮が焼け焦げた状態の立木です。
白く泡立つ樹液が発酵し、甘い芳香を放っていました。(発泡酒!)
樹皮の穴からプスプス♪と音を立てて樹液が滲み出ています。
いつも様々な昆虫が吸汁に訪れているのですが(千客万来)、客足が途切れたときを狙って動画に撮影しました。


2015/01/02

深夜に総員臨戦態勢で巣を守るキイロスズメバチ【暗視映像】



2014年8月中旬
▼前回の記事
夜も巣口で警戒するキイロスズメバチの門衛♀【暗視映像】

キイロスズメバチ移動巣の定点観察#6

ついでに夜の雑木林で樹液酒場を巡回したりして少し疲れたので、キイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)の巣の近くで仮眠をとりました。
すると深夜(23:49 pm)に、外被上を多数のワーカー♀がガサガサと走り回る激しい物音で目が醒めました。
昼間に観察した総員臨戦態勢が夜中にまた発動したようです。
一体何に対して警戒しているのか、警報フェロモンを発したきっかけは不明です。
たとえばアリや寄生昆虫が巣に侵入したのかもしれませんし、あるいは蛾など夜行性の虫が飛来して巣にコツンとぶつかったのかもしれません。

ワーカー総出で外被の上を闇雲に駆け回っています。
キイロスズメバチ♀の震わせている翅が外被に触れて羽音がビリビリと響きます。
撮影を始めた頃にはどうやら騒ぎは下火になりつつあるようで、蜂は巣内に続々と戻っています。
作りかけの外被ポケットに頭を突っ込んで静止している個体もいます。
ただし昼間の臨戦態勢と違う点として、巣の周囲を飛び回る個体はいませんでした。
夜行性のモンスズメバチとは異なり、キイロスズメバチは暗いと飛べないようです。

防護服が無いとさすがに怖くてあまり近づけず、ビデオカメラの赤外線が巣に充分に届かず暗い映像ですね。

追加の赤外線投光機が欲しくなりました。
(※ その後、YouTubeの動画編集で自動色調補正を施したら画面の暗さが改善されました。)

警戒レベルが最大の時に通常の照明(白色光)を点灯するとキイロスズメバチが光を目掛けて飛びかかってくるのか、
興味があるところです。
しかし、防護服を着用しないとそんな自殺行為のような実験はできません。

ここまでが移動巣(第二次巣)を見つけた初日の観察記録です。

つづく→シリーズ#7:日の出と共に造巣


ラベンダーを訪花するクロマルハナバチ♀の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2014年7月中旬

川沿いの花壇に咲いたラベンダーの群落でクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が訪花していました。。

花から花へ飛び立つ瞬間を狙って、後半は240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。(@1:00〜)
複数個体を撮影。
後脚の花粉籠に白い花粉団子を付けて運んでいる個体もいれば空荷の個体もいます。



クスサン♂(蛾)眼状紋による威嚇【暗視映像】



2014年9月中旬

郊外の大通りで夜(20:54 pm)、クスサン♂(Saturnia japonica japonica)が街灯下の歩道に止まっていました。
触角が羽毛状なので性別は♂です。
赤外線の暗視ビデオカメラで撮りながら翅に触れると、後翅を広げて眼状紋を見せ威嚇します。
しつこく触って刺激を続けると羽ばたいて暴れるも、大型の蛾は気温が低いとすぐには飛び立てません。
準備運動で体温を充分に上げてからでないと飛び上がれないのです。

すぐには逃げられないため眼状紋による威嚇を発達させたのではないかな?
それとも逆に、眼状紋による自衛が有効であったために大型化が進んだのかな?



2014/12/31

夜も巣口で警戒するキイロスズメバチの門衛♀【暗視映像】



2014年8月中旬

▼前回の記事
キイロスズメバチ♀日没後の営巣活動:造巣と夜警【暗視映像】

キイロスズメバチ移動巣の定点観察#5

更に夜が更けるとキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀は皆、造巣活動や外出を一切止めて巣内に引っ込んでしまいました。
昼夜の別なく働くモンスズメバチとは異なり、やはりキイロスズメバチは夜行性ではないようです。
普通に考えれば、おそらく明るくないと目が見えないのでしょう。
しかし少なくとも門衛だけは起きていて巣口から外界を見下ろし、警戒しながら身繕いしていました。
そっと近づき巣口にズームしてみると、巣内で蜂がガサゴソ活動する音が聞こえました。
巣口からゴミが落下しました。
胃カメラのようなファイバースコープを差し込んでみない限り巣内の本当の様子は窺い知れませんが、夜のキイロスズメバチは完全に寝静まっている訳ではないようです。
例えば女王蜂の産卵であるとか、外被を内側から削り取りその巣材を再利用して育房や巣盤を作る作業は、夜間も続いていてもおかしくありません。
ただし、もしかすると巣に近づく私の存在を匂いや物音などで感知して、警戒した蜂が目覚めてしまった可能性も考えられます。
暗視可能な無人カメラを遠隔操作して監視すれば決着が付くでしょう。

つづく→シリーズ#6:深夜の総員臨戦態勢


鳥の糞に群がるクロオオアリ♀



2014年9月中旬

里山の遊歩道に生えたオオバコの葉にクロオオアリCamponotus japonicus)のワーカー♀が3匹群がっていました。
何を食べているのかよく分からないのですが、鳥の糞の落とし物でしょうか?
それとも虫の死骸に白カビが生えた物かな?
(そんな感染リスクのある物にアリは寄り付かない気がしますけど。)
鳥の糞に含まれる未消化の虫の残骸なのかもしれません。
途中から1匹が餌から離れ、身繕いを始めました。
獲物を解体するのではなく、その場で夢中になって食べています。

途中から更に1匹の小さなアメイロアリ♀?(自信なし)が近づき、こっそり盗み食いしています。
巨大なクロオオアリの脚先を齧っては逃げるヒットアンドアウェイの嫌がらせを繰り返し、獲物を奪おうとしています。
噛まれる度にクロオオアリはピクッと足を引っ込めます。

息を吹きかけるとアリ達は慌てて走り去りました。
その隙に獲物の全体を記録します。



2014/12/30

キイロスズメバチ♀日没後の営巣活動:造巣と夜警【暗視映像】



2014年8月中旬
▼前回の記事
総員臨戦態勢のキイロスズメバチ移動巣
キイロスズメバチ移動巣の定点観察#4

日が暮れるとキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)が営巣する天井裏は暗くなってきました。
手鏡で西日を反射して巣を照らし観察してみたのですけど(映像なし)、しつこくやると蜂が怒り出すかもしれないので自重しました。
同時期に観察したモンスズメバチは夜行性であることをこの目で確かめました。
キイロスズメバチの場合はどうでしょうか?
赤外線で暗視可能なビデオカメラに切り替えて撮影してみました。
照度計で明るさをきちんと測れば定量的な記録になるはずですが、今回は動画に撮っただけです。
ちなみにこの日の日の入り時刻は18:28、月齢23.2でした。
映像冒頭で画面全体がピンク色に映るのは、夕方の自然光が若干残っていたためか、撮影対象物が昼間の余熱を帯びて赤外線を放射していたためでしょう。
気温を測るべきでしたね…。
本格的に暗くなると、ピンク色だった画面はモノクロ(白黒)に落ち着きます。

少し暗くなっても蜂はコロニーの活動を続けています。
飛んで巣に出入りするワーカー♀もいれば、移動巣(第二次巣)に外被を付け足す作業を続ける個体もいます。
巣口から門衛が顔だけ出して外界を見下ろし、警戒を怠りません。
これはコガタスズメバチと同じですね。
明るい昼間に比べると造巣活動に従事するワーカーの数は明らかに減っています。

映像後半では、ワーカー♀が1匹だけ外被上を足早にひたすらグルグルと歩き回っています。(@9:41〜)
暗くて巣口の位置が分からず迷子になっているだけかと思いきや、ときどき巣口で門衛と挨拶してもすぐにせかせかと徘徊を続けています。
したがって外被をパトロール(夜警)する役目なのでしょう。
やがて天井の梁を伝って1匹のアリが近寄って来ました。(@11:26〜)
巣に侵入された時の防御対応をぜひ観察したかったのですが、残念ながらアリは外被には乗り移りませんでした。
アシナガバチの巣と同様にキイロスズメバチの巣にもアリ避け物質が塗布されているのか、興味があるところです。
映像を見直すと、夜警のキイロスズメバチが梁からアリを追い払ったようです。
地中に営巣するアリは視覚に頼らず活動できますが、完全夜行性とは言えないキイロスズメバチは暗闇でどのようにしてアリの接近を探知したのですかね?
音や振動だけで敵までの方向と距離を正確に掴めるとは思えません。(だから外被を闇雲に走り回っていたのだと思います。)
もしも巣に侵入された!と感じたら警報フェロモンを発して巣内の仲間を総動員し、一気に敵を制圧するのでしょう。

つづく→シリーズ#5:寝静まった巣で警戒する門衛


ミネラル摂取中に飛翔筋をアイドリング♪するヒラタアブの一種♀



2014年9月中旬

山道の休憩所に飛来したヒラタアブの一種♀が、カメラのストラップやザックに止まり口吻を伸ばして舐め始めました。
雨水や私の汗が染み込んでいる所からミネラル摂取(塩分補給)しているのでしょう。
左右の複眼が離れているため♀のようです。

翅を休めて静止している間も甲高い音を発し続けていることに気づきました。
ハナアブはホバリング(停空飛翔)の名手ですけど、飛行中の羽音よりも高い音でした。
胸部の飛翔筋を高速で伸縮させて、いつでも飛び立てるようアイドリングしているのでしょうか?
この行動の正式名称は?
この日は周囲にうるさい蝉しぐれが無く静まり返っていたおかげで気づけた現象(行動)です。

ヒラタアブ飛翔筋のアイドリングを声紋解析してみる

いつものようにオリジナルのMOV動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードし、適当に切り出してからスペクトログラムを描いてみました。
すると何やら思わせぶりな声紋が得られました。
飛び立つ前後でスペクトログラムに劇的な変化が現れるかと期待したのですが、低周波成分が少し増えるだけで、素人には違いがよく分かりませんでした。 

※ 16kHz付近に持続する強いシグナルがあり、その半音の8kHzが逆にすっぽり抜けている、という謎の現象はこのビデオカメラに特有のノイズのようです。(何を撮っても毎回出現する波形)

カメラのストラップを舐めている時のアイドリング声紋
ザックを舐めている時のアイドリング声紋
飛び立つ前後の声紋を切り出してみる(3秒〜離陸)

撮影後に逃げられてしまいましたが、戻って来たハナアブを2匹採集しました。
(映像に登場した個体と同一である保証はなく、別種の可能性すらあるかも。)
以下は標本写真。
まずは一匹目の個体♀a。



続いては二匹目の個体♀b。



2014/12/29

総員臨戦態勢のキイロスズメバチ移動巣



2014年8月中旬


▼前回の記事
引越し後の移動巣を急ピッチで作り上げるキイロスズメバチ【微速度撮影】

キイロスズメバチ移動巣の定点観察#3

天井裏に引っ越したキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)の移動巣(第二次巣)を観察していると夕刻に突然、在巣のワーカー♀が一斉に外へ出てきて外被を激しく走り回り始めました。
(何に対して警戒しているのか、きっかけは不明です。)
一部の個体は東屋の天井板や垂木を徘徊しています。
外被の増築は中断し、次々と離着陸を繰り返しています。
激しく動き回るのでとても数えられませんでしたが、これほど多くの成虫が巣内に居たとは知りませんでした。
その警戒態勢はかなり恐ろしげで、示威行動だとしても迫力満点です。
興奮したコロニー全体が落ち着きを取り戻すまでに、かなりの時間を要しました。(※下記の追記参照)

巣が固定された天井裏の梁(幅115mm)を引きの絵で写し込みました。
外被の直径を比例計算すると、74.5mmと算出されました。

※ 光量不足で画質が粗くなってしまったので、動画編集時に自動画質補正を施してあります。

巣の下に三脚を立てて長時間撮影しても、こちらが静かにしていればキイロスズメバチは敵とみなして攻撃してくることはありませんでした。
ただし用心のため頭髪は白布で覆い隠しておきます。
巣から飛び立ち定位飛行するワーカーがときどき私に向かって来た時も、ゆっくり後ずさりするだけで凌げました。
気になったのは、キイロスズメバチ♀がカメラの黒いベルト(ストラップ)に対して(襲うほどではないものの)興味を示し少しまとわりついたことです。
スズメバチを特集したTV番組を見ていても、防護服を身にまとい体を張ってレポートする芸人よりも黒いカメラを担いだカメラマンがよく刺されていますね。
カメラのボディが黒い場合は剥き出しのままで使わず、白っぽいビニール袋などで覆った方が安全かもしれません。
当然ながら建物(東屋)の柱などに衝撃や振動を与えれば、巣内のワーカーが一斉に出てきて外被上を激しく走り回ります。

つづく→シリーズ#4:日没後の営巣活動



【追記】
『スズメバチの科学』p110に警報フェロモンの解説が記されていました。
スズメバチのコロニーが哺乳類など大型の外敵に攻撃されたときに示される統制のとれた激しい防衛行動は、敵の襲来を仲間に知らせる化学的コミュニケーションが発達しているためである。(中略)放出と同時に仲間に伝わり、放出が止まればすぐに平静状態に戻れるという点で、揮発性の高い物質が警報物質としての機能をもつというのは適応的。



柳の樹液を吸いに来たコムラサキ♀



2014年9月中旬

水辺に生えた柳(種名不詳)の幹でコムラサキApatura metis substituta)が樹液を探し歩いていました。
翅の損傷が激しい個体で性別が分かりにくいのですが、翅表に光沢が無いので♀だと思います。
おそらくカミキリムシの幼虫が幹の内部から木屑を排出したと思われる穴に辿りつくと、口吻を伸ばして木屑から樹液を吸い始めました。

▼関連記事
柳に穿孔する昆虫が木屑を外に排出する瞬間
するとそこへもう一頭のコムラサキが幹を降りて来ました。
こちらも翅の損傷が激しい♀個体です。
先客と入れ替わるように樹液酒場を占有しました。
力関係が明白なのか、戦わずして交代しました。
先客はすごすごと幹の裏側に回り込みました。
(裏側の幹にも樹液が滲んでいるのか確認していません。)

横から撮ると、伸ばした薄黄色の口吻が見やすくなりました。
翅を開閉しながら樹液を吸汁しています。
退化した棒状の前脚(タテハチョウ科の特徴)が見えます。

この日は水辺で計4頭のコムラサキと出会いましたが、なぜか♀ばかりで♂の姿はありませんでした。



2014/12/28

引越し後の移動巣を急ピッチで作り上げるキイロスズメバチ【微速度撮影】



2014年8月中旬

キイロスズメバチ移動巣の定点観察#2

キイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が寄って集って屋根裏に第二次巣を作り上げる様子を2日間に渡り微速度撮影してみました。
50倍速の早回し映像をご覧下さい。
これだけ早回し速度が増すと、巣に出入りする蜂の動きは旋風のようにぼやけてしまうため、外被を作る個体の動きだけを追うことができます。
予め巣の設計図がある訳でもなく、建築現場の親方のように女王蜂が細かく司令を出している訳でもないのに、各々が必要と感じた仕事を黙々とこなすだけで結果的に協同作業になっている点が驚異的です。(創発性?)
ワーカーがそれぞれ別の場所から巣材を集めてくるため、結果的に外被は美しいマーブル模様のモザイクになります。
これだけ早い造巣ペースから逆算すると、1〜2日前に引っ越したばかりではないかと予想しました。
外被の増築作業に従事する蜂は、外被ポケットの縁で必ず後退しながら大顎に咥えた巣材のパルプを弧を描くように薄く伸ばしていきます。
付け足したばかりで乾いていない(湿った)外被は、蜂の建築作業に伴いたわんでいますが特に問題ないようです。

巣材が乾くのを待たずにどんどん作業を進めてしまいます。
同時に巣の数カ所で外被を下に伸ばしているため、急ピッチで作業が進みます。


増築中の外被ポケット内に潜り込んでサボっている個体が居るのがとても興味深く思いました。
そのまま外被ポケット内に封じ込められそうになり、慌てて脱出する様が微笑ましいですね。
『働かないアリに意義がある』という新書が近年ベストセラーになりましたが、働かないスズメバチには一体どんな意義があるのでしょう?

建設中の外被ポケットに生きながら封じ込められ、人柱のように儀式的な生贄になる…なんて馬鹿げた話はさすがにあり得ないですね。
寄生者が外被ポケットにこっそり潜り込まないよう目を光らせている役目なのかな?
作ったばかりの外被ポケットが乾く前に潰れてしまわないよう中から支えているのでしょうか?
(スズメバチの巣は軽い外被で空気の層を積み重ねることによって優れた断熱効果を発揮します。)

外から見えないだけで、内側から外被を何か加工している可能性はどうでしょう?
それとも特別な意義などは無く、湿った外被が乾くときに気化熱を奪うので、ひんやり涼しくて気持ちが良いのかもしれません。


一方、巣の中の様子は胃カメラのようなファイバースコープが無いと観察できません。
先人の研究によると、スズメバチは中から外被を齧り取って内部空間を拡張すると、その巣材を再利用して巣盤や育房を作り上げることが知られています。(スクラップ&ビルド工法)
それを裏付けるように、外被の中央で中から齧られて穴が開いた(@1:51)箇所を外側から別個体がすかさず補修する様子が映像に記録されていました。

翌朝、巣口のすぐ左の外被がまた中から食い破られ穴が開きました。(@2:58)
この穴もすぐに別個体が外から補修し、無事に埋められました。
この連携プレーも見事です。
もしこの移動巣の外被を人為的に壊しても、少しぐらいの破損なら直ちに修繕する能力がありそうです。
実験してみたいのですけど、防護服を買わないことには危なくて無理ですね。
袋状の外被が細長く下に伸びるにつれてその開口部が小さくなり、最後は巣口の近くで塞がれました。



翌朝は東屋の天井裏が明るくなってからすぐに微速度撮影を再開しました。
巣の急速な発展ぶりは秀吉の一夜城もびっくりです。

以下は2日目の写真




【おまけの映像】


微速度撮影の動画を見て心地良く感じる早回し速度の好みが皆さんそれぞれ違うと思います。
折角なので、30倍速映像↑もブログ限定で公開しておきます。



こちら↑はオリジナルの10倍速映像です。

つづく→シリーズ#3:総員臨戦態勢


夜の外灯で乱舞するマイマイガ(蛾)の大群【HD動画&ハイスピード動画】



2014年8月上旬

夜、郊外の車道の外灯の周囲を白い蛾が大量に飛び回っていました。
大きな蛾は今年の夏に大発生したマイマイガLymantria dispar japonica)だと思います。
他に小型の蛾も飛び回っています。
走光性で激しく乱舞する様子を240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
1/8倍速のスローモーションで見ると水銀灯が明滅していますね。
捕食者のコウモリも飛んでいればもっと面白いのになーと欲張った空想をしながら撮影しました。


階段を歩くハクセキレイ♀(野鳥)



2014年9月中旬

堤防の階段をハクセキレイ♀(Motacilla alba lugens)が向こうから歩いて来ました。
軽く飛び上がりもう一羽と空中戦を繰り返すのですが、動画に上手く撮れませんでした。
縄張り争いなのでしょうか?
(映像はここから。)
どんどん近づいて来るので、AFピントが合わせ難いです。
最後は上を見上げて飛び立ちました。
私に気づいて逃げたというよりも、空中の虫を捕食するためのように見えました。




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