2014年8月中旬
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引越し後の移動巣を急ピッチで作り上げるキイロスズメバチ【微速度撮影】
キイロスズメバチ移動巣の定点観察#3
天井裏に引っ越したキイロスズメバチ(Vespa simillima xanthoptera)の移動巣(第二次巣)を観察していると夕刻に突然、在巣のワーカー♀が一斉に外へ出てきて外被を激しく走り回り始めました。
(何に対して警戒しているのか、きっかけは不明です。)
一部の個体は東屋の天井板や垂木を徘徊しています。
外被の増築は中断し、次々と離着陸を繰り返しています。
激しく動き回るのでとても数えられませんでしたが、これほど多くの成虫が巣内に居たとは知りませんでした。
その警戒態勢はかなり恐ろしげで、示威行動だとしても迫力満点です。
興奮したコロニー全体が落ち着きを取り戻すまでに、かなりの時間を要しました。(※下記の追記参照)
巣が固定された天井裏の梁(幅115mm)を引きの絵で写し込みました。
外被の直径を比例計算すると、74.5mmと算出されました。
※ 光量不足で画質が粗くなってしまったので、動画編集時に自動画質補正を施してあります。
巣の下に三脚を立てて長時間撮影しても、こちらが静かにしていればキイロスズメバチは敵とみなして攻撃してくることはありませんでした。
ただし用心のため頭髪は白布で覆い隠しておきます。
巣から飛び立ち定位飛行するワーカーがときどき私に向かって来た時も、ゆっくり後ずさりするだけで凌げました。
気になったのは、キイロスズメバチ♀がカメラの黒いベルト(ストラップ)に対して(襲うほどではないものの)興味を示し少しまとわりついたことです。
スズメバチを特集したTV番組を見ていても、防護服を身にまとい体を張ってレポートする芸人よりも黒いカメラを担いだカメラマンがよく刺されていますね。
カメラのボディが黒い場合は剥き出しのままで使わず、白っぽいビニール袋などで覆った方が安全かもしれません。
当然ながら建物(東屋)の柱などに衝撃や振動を与えれば、巣内のワーカーが一斉に出てきて外被上を激しく走り回ります。
つづく→シリーズ#4:日没後の営巣活動
【追記】
『スズメバチの科学』p110に警報フェロモンの解説が記されていました。
スズメバチのコロニーが哺乳類など大型の外敵に攻撃されたときに示される統制のとれた激しい防衛行動は、敵の襲来を仲間に知らせる化学的コミュニケーションが発達しているためである。(中略)放出と同時に仲間に伝わり、放出が止まればすぐに平静状態に戻れるという点で、揮発性の高い物質が警報物質としての機能をもつというのは適応的。
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