2015/06/06

水浴後に身震いするヒヨドリ(野鳥)



2015年6月上旬

田園地帯を流れる用水路の橋の下でヒヨドリHypsipetes amaurotis)が水浴びしていました。(撮り損ね)
カメラを向ける間もなく川から飛び立ち、橋の欄干(ガードレール)に止まりました。
(映像はここから。)

ヒヨドリは激しく身震いして羽根の水気を切ってからすぐに林の方へ飛び去りました。
あまりにも一瞬の出来事でしたので、1/4倍速のスローモーションでリプレイ。
身震いの直後、飛び立つ直前に脱糞したように見えましたが、気のせいかな?

▼関連記事
川で水浴びするヒヨドリの群れ(野鳥)


飛べ!ホソバナミシャク【蛾:暗視動画】



2015年5月下旬

深夜、山際の道端に置かれたジュースの自動販売機に止まっていたシャクガ科の蛾です。
明るい灯火に誘引されたのでしょう。(ライトトラップ)
写真を撮りませんでしたが、帰ってから映像を元に名前を調べるとホソバナミシャク本土亜種Tyloptera bella bella)と判明。
ビデオカメラの白色LEDで照らしても静止したままでした。
このままでは動画ネタとしては面白くないので、赤外線の暗視モードに切り替えてみました。
指で翅に触れると少しだけ飛んで移動しました。
しつこく繰り返すと自販機から離れ居なくなりました。



2015/06/05

交尾中のノシメマダラメイガ♀♂(蛾:結合部のアップ)



▼前回の記事ノシメマダラメイガ(蛾)の求愛ダンスと交尾

2015年5月中旬〜下旬

ノシメマダラメイガの飼育記録#4

容器内に止まって交尾しているノシメマダラメイガPlodia interpunctella)の♀♂を複数ペア撮りました。
交尾器を連結したまま歩いて少し壁を登りました。

背側からは翅に隠れて交尾器の結合部が見えません。
透明プラスチックの容器越しに腹面を接写してみました。
まず頭部腹面に注目すると、成虫は口吻が退化していることを確認できます。
腹部が太く卵が詰まっていそうな左側の個体が♀のようです。
結合器に注目すると、互いに腹部を伸縮させています。
また、右側の♂にだけ前翅前縁基部にwing gland※と呼ばれる性フェロモン放出器官が見えます。
求愛の際にこのwing glandを広げる(突き出す)らしいのですが、私は未確認です。
最後は照明のせいなのか♀が落ち着かなくなり、連結したまま落ちるように飛び去りました。

※ wing glandの正式な訳語を探しています。ご存じの方は教えて下さい。
「雄翼腺」と訳しているサイトを見つけたものの、明らかに機械翻訳のようで信用できません。
「雄翼腺」で検索し直しても他にヒットするサイトがありません。
そもそも昆虫学の解剖学用語で「翼」など使うはずがありません。「翅」という漢字を当てるはずです。


【追記】
桑原保正『性フェロモン:オスを誘惑する物質の秘密』によると、

ツヅリガ3種の♂蛾は前翅前端の基部にある分泌腺“ウィング・グランド”から、特有の香りを放つ。この香りは♂蛾の分泌する性フェロモンであり、♀蛾を誘引する。♂蛾の香りは強烈で、1匹を1日シャーレに閉じこめただけで、人の鼻でもよくわかる。 (p233より引用)



※※ 映像の一部はYouTubeの動画編集時に手ブレ補正のついでに自動色調補正してあります。

つづく→#5:ノシメマダラメイガ(蛾)の求愛行動【ハイスピード動画】


左♀、右♂。
前翅前縁基部に♂特有のwing gland

キジ♂(野鳥)とハシボソガラスは仲が悪い?



2015年5月下旬

ケンケーン♪というキジ♂(Phasianus versicolor)の縄張り宣言が聞こえたので辺りを探すと案の定、水田の奥の農道(住宅地との境界)にキジ♂を見つけました。

キジ♂が地上採食を始めると、左手からハシボソガラスCorvus corone)が歩いて登場しました。(@0:24)
頭を下げているキジの背後から忍び寄りました。

悪戯好きのカラスがキジの長い尾羽を後ろから嘴で咥えて引っ張ったりするんじゃないかと内心期待しました。
キジ♂のすぐ近くでカラスが激しく鳴き始めたのですが、遠くて聞こえません。(@0:35)
これも一種のモビング(擬攻撃)なのかな?
キジが食べている物を横取りしようと嫌がらせでもして追い立ててるのでしょうか?
それとも「俺様がそこを通るからどけ!」と鳴き騒いでいるのでしょうか?
カラスは野次馬根性が旺盛で、清々しいほど性格が悪いですね。
そんなカラスを無視してキジは動じなかったので、諦めた?カラスはキジの横を通って奥の茂みに姿を消しました。
二種の力関係はどうなっているのか、この映像から読み取るのは難しいですね。(引き分けかな?)

冷静に考え直すと、どうも私は「カラスのモビング」という先入観に囚われ過ぎているかもしれません。
カラスが顔馴染みのキジに挨拶している友好的な交流の可能性だってありますね。

しばらくすると、キジは農道を歩き始めました。(@1:00)
地上採食する後ろ姿を撮るも、その後は進展がありませんでした。
撮影中に母衣打ち(縄張り宣言)をもう一度してくれないかな?と淡い期待をしたものの、鳴いてくれませんでした。

※ YouTubeの動画編集時に手ブレ補正するついでに自動色調補正を施してあります。



2015/06/04

ノシメマダラメイガ(蛾)の求愛ダンスと交尾



2015年5月中旬・室温25℃


▼前回の記事
ノシメマダラメイガ♀(蛾)の性フェロモン放出:コーリング


ノシメマダラメイガの飼育記録#3


飼育容器(直径8cm、高さ8cmの円筒形)の壁面に止まりコーリング姿勢で性フェロモンを放出しているノシメマダラメイガ♀(Plodia interpunctella)に対して、2〜3頭の♂が交互に熱烈な求愛を行っています。
激しく羽ばたきながら♀の周囲を歩き回るのが求愛ダンスのようです。
交尾を試みるもなかなか結合できないでいます。
歩いて逃げる♀はコーリング姿勢を続けているので交尾拒否はしていないように思うのですが、私にはこの点よく分かりませんでした。
(♀がコーリングしていた腹部を下ろしてしまうのが交尾拒否なのかもしれませんが、すぐにコーリングを再開するのが「♂を焦らしている」としか理解できません。)
やがて♂のしつこい求愛が実り、遂に交尾に成功しました。(@1:45〜1:53)
♂は激しく羽ばたきながら♀に後ろから歩いて接近すると正面に回り込み、腹部を海老反りのように前方に強く曲げて、同様にコーリングしている♀と交尾器を結合しました。
カップルは互いに逆向きになり(反向姿勢)、容器の底で交尾しています。
求愛が成就した♂はもう羽ばたきを止めました。
今回♀の翅色は薄い褐色(個体変異?)で、一方♂はよく見るタイプの翅色でした。
たまたま翅色で交尾ペアの性別を区別できるのは好都合です。※


ペアの動きが無くなり落ち着いたところで横の温度計をチェックすると、時刻は23:09、室温24.8℃、湿度50%でした。

お邪魔虫の別個体(ライバル♂による交尾干渉?)が近づくのを嫌って、交尾ペアが歩いて少し移動しました。
連結したままの移動は♀が主導権を握っているようです。
そのまま壁面に登ろうとして、交尾器が外れてしまいました。
♀はもうコーリングしません。(しばらくしたらコーリングを再開)
コーリングするのは未交尾の♀だけらしいので、あの短い交尾時間では充分に精子が与えられなかったのでしょう。

鱗翅目(チョウ・ガの仲間)で求愛から交尾に至る一部始終を観察したのはこれが初めてかもしれません。



【追記】
おそろしいことに気づきました。
この♀はノシメマダラメイガではなく別種である可能性があります。

たまに翅の色が薄い個体が混じってるな…と思いつつ、ろくに調べないで捕獲した蛾を片端から飼育容器に追加投入していました。

桑原保正『性フェロモン:オスを誘惑する物質の秘密』によると、

日本にはスジマダラメイガ、スジコナマダラメイガ、チャマダラメイガとノシメマダラメイガの4種が分布しているが、(中略)同じ倉庫で混棲して見つかることも多い。4種のうち、はじめの3種は互いに茶色から灰色を基調とした地味な色調で、形態もよく似ており、素人に区別はむずかしい。 (p116より引用)


マダラメイガ類4種は異種間で誘引し合い(♀の性フェロモンも同じ化学構造)、時に交尾を行うらしい。
今回の観察で交尾器の結合が安定せず、すぐに外れてしまったのは異種間の交尾を妨げる解剖学的な性的隔離の結果かもしれません。
参考:


桑原保正. "メイガ科昆虫の性フェロモンに関する研究." (1971). PDFファイル


【参考文献】(要旨だけでも参考になりました)
Grant, G. G., and U. E. Brady. "Courtship behavior of phycitid moths. I. Comparison of Plodia interpunctella and Cadra cautella and role of male scent glands." Canadian Journal of Zoology 53.6 (1975): 813-826.
要旨を訳してみました。(古い研究なので、現在の知見とは異なる可能性があります。)
ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)とスジマダラメイガ(Cadra cautella)の求愛を実験室のペトリ皿で観察した。雌雄間で交互に起こる一連の行動反応は、両性からの触覚、視覚およびフェロモン刺激によって解発される。求愛の連鎖は♂が♀の背後から接近する場合は種特異的であるが、♂が♀の正面から接近する場合は2種ともよく似ている。求愛で最も重要な特徴は両種とも、♀の受容姿勢(翅の間で腹部を持ち上げて♀が静止)である。それが♂の交尾行動を解発し、交尾を促進する。求愛中、ノシメマダラメイガ♂は前翅の基部にある翅腺(しぐま註:wing glandの正式な訳語は?)から性フェロモンを放出する。♀の触角あるいはフェロモン分泌腺を含む♂の前翅を完全に除去することにより、♂のフェロモンが♀に静止を保たせ受容姿勢にすることが証明できた。♂のフェロモンが無ければ、♂が求愛しても♀は活発に拒絶し、交尾しない。(後略)
再び桑原保正『性フェロモン:オスを誘惑する物質の秘密』によると、
4種のマダラメイガは同じ化合物を性フェロモンとすることがわかった。これら4種は同じ場所で、同じ時期に重なって発生する、いわゆる同所種である。(中略)頻度は低いものの相手を間違った異種間での交尾も観察できる。(中略)異種間での結婚では、産みつけられた卵は未受精のままで孵化せず、遺伝的な種の隔離機構は厳然と存在する。(p146-148より引用)

今回の飼育観察で、ノシメマダラメイガ♂の前翅基部にあるらしいwing glandからのフェロモン放出についてはよく分かりませんでした。
求愛ダンス中の激しい羽ばたきをハイスピード動画に撮れば何か分かるかな?
また、ノシメマダラメイガ♀のコーリング/受容姿勢とモンシロチョウ♀の交尾拒否姿勢が同じ姿勢(腹部を高々と持ち上げる)なのに正反対の意味であることが興味深く思いました。

つづく→#4:交尾中のノシメマダラメイガ♀♂(蛾:結合部のアップ)



キマダラハナバチの一種がタニウツギの花から離陸に失敗【ハイスピード動画】



2013年5月下旬

カラフルな体色の蜂が山麓のタニウツギを正当訪花していました。
飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
花筒に潜り込んで吸蜜しています。
ところが外に出て来ると、花弁から滑落しました!
空中で体勢を立て直して飛び去ったかもしれませんが、その様子は写ってません。

他のハナバチ類の巣に労働寄生するミツバチ科キマダラハナバチ属の一種(Nomada sp.)ですね。




2015/06/03

カルガモの尾脂腺(羽繕い@砂防堰堤)



2015年5月中旬

里山の渓流をせき止める砂防堰堤にカルガモAnas poecilorhyncha)が居ました。
岸辺で羽繕いしながら、ときどき嘴を水で潤しています。

『カルガモ親子はなぜ引っ越す』p69より

鳥には、尾羽のつけねに尾脂腺という分泌腺があり、ここから分泌される脂肪をくちばしでぬぐいとって、羽毛に塗り付け防水加工する。

途中で向きを変えてくれたおかげで、尾脂腺の正確な位置を初めて知ることができました。
総排泄腔(肛門)の近くにある尾脂腺の油分を羽根に塗りつけています。

脇腹を羽繕いする時は後脚を片方持ち上げ、片足立になります。
私がじっと立ち止まって長撮りしていたら、後半(@1:52〜)は警戒心の強い個体も堰堤の死角から水面に出て来てくれました。
♀♂のつがいなのですかね?
2羽が仲良く並んで水面を移動。
狭い池を一回りすると、右の個体が頭を水中につっこんで採餌しました。(@2:16)
左の個体は岸辺で佇み、尾羽根を左右に振っています。


尾脂腺と羽繕い
飲水
水底採餌(潜水)

2015/06/02

独身モリアオガエルの木登り【暗視動画】



2015年5月中旬

モリアオガエルRhacophorus arboreus)が産卵に集まる水辺の灌木(マユミおよびケナシヤブデマリ)で、なぜか泡巣作りの集団には加わらず単独で枝に止まっている個体を赤外線の暗視映像に撮りました。
画面が全体に赤っぽいのは、日が暮れたばかりで未だ残光(予熱?)があるせいです。

私にはモリアオガエルの性別を見分ける方法を知らないのですが、出遅れた♂にしてはあまりにものんびりしています。
鶏口牛後をポリシーとして、どこか新しい枝で産卵するつもりなのかな?
鳴き声を聞いて新たに集まってくる♀を待ち伏せする作戦なのでしょうか?
枝を少し登ったものの、上の枝に居る集団には合流しませんでした。
おそらく赤外線カメラを警戒して木登りで逃げたのでしょう。

以下の写真は動画とは関係ありませんが、同じ日の昼間に同じ沼の岸で撮った別の泡巣(ケナシヤブデマリ群落)です。
完成した泡巣にモリアオガエルが1匹だけ残っています。



2015/06/01

飛べ!チャボヒゲナガカミキリ♀【ハイスピード動画】




2014年7月中旬

山間部の道端の草むらで見つけた茶色の地味なカミキリムシ。
飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
映像後半は更に1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
動画では編集でかなりカットしましたが、実際はかなり長いこと逡巡、徘徊した末にようやく意を決したように葉から飛び立ちました。

あまり自信がないのですけど、これはチャボヒゲナガカミキリ♀(Xenicotela pardalina)ですかね?(参考サイト:その2
もし間違っていたらご指摘願います。
未採寸、未採集。



2015/05/31

ノシメマダラメイガ♀(蛾)の性フェロモン放出:コーリング



2015年5月中旬〜下旬

▼前回の記事
ノシメマダラメイガ(蛾)の飛翔【ハイスピード動画】

ノシメマダラメイガの飼育記録#2


【参考文献】
吉田正義, 木村庄治, and 安藤隆. "ノシメマダラメイガ成虫の活動する時間帯と配偶行動." 食品衛生学雑誌 11.suppl (1970): S7-S11.(PDFダウンロード可

ノシメマダラメイガの未交尾のメスは, 尾部をもち上げ, いわゆるcalling poseの姿勢を保っており, このメスにオスを近づけるとオスはmating danceをしてメスに接近する行動を示し交尾した.
資料で読んだ通りにノシメマダラメイガ♀(Plodia interpunctella)が飼育容器内でコーリングを始めました。
逆に、この姿勢をするのが♀だと分かりました。
腹部を高々と持ち上げて、更にその先端から細長く尖った突起を伸ばしています。
この突起物は性フェロモンを放出する誘引腺でしょうか。
「誘引腺」とは以前クワコ♀(蛾)のコーリングを観察した際に、カイコの本を勉強して学んだ用語です。
ノシメマダラメイガ♀に対して使うのがもし不適切でしたら、正しい専門(解剖学)用語を教えて下さい。
コーリング姿勢は未交尾の♀だけが行うのだそうです。

ノシメマダラメイガが放出する性フェロモンの正体は既に解明されており、化学構造は cis-9, trans-12-tetradecadienyl acetate(酢酸シス-9、トランス-12-テトラデカジエニル)とのこと。
もちろん極微量なのでヒトの嗅覚では無臭です。

桑原保正. "メイガ科昆虫の性フェロモンに関する研究." (1971).(PDFファイル

♀はコーリングしながら長い触角をゆらゆらと動かしているときもあります。
写真撮影でストロボを繰り返し焚くと、強い光に警戒したのかノシメマダラメイガ♀は腹端の誘引腺を縮めてしまいました。
(撮影のため、綿棒容器の蓋を外して代わりにサランラップを張っています。)

腹面から接写すると、成虫の口吻が退化していることを確認できました。
したがって成虫は食餌を摂らず、死ぬまでひたすら繁殖行動に専念します。

色気ムンムンの♀に対して、いよいよ♂が求愛を始めました。


▼つづく

ノシメマダラメイガ(蛾)の求愛ダンスと交尾




この写真だけ6月上旬撮影@台所天井


余談ですが、メイガ科の蛾を撮っているとしゃちほこのような海老反り姿勢で静止している個体を昔からよく見かけて、不思議に思っていました。
おそらくメイガ科♀に共通のコーリング姿勢なのだろうと謎が解けてすっきりしました。
ちなみにモンシロチョウ(シロチョウ科)では♀が腹端を持ち上げる姿勢は交尾拒否という全く逆の意思表示になります。


カシノシマメイガ

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