2021/06/05

ネコヤナギ樹上のホオジロ♂(早春の野鳥)

 

2021年3月下旬・午後17:30頃・晴れ 

川岸に自生するネコヤナギ灌木の枝にホオジロ♂(Emberiza cioide)が止まっています。 
ネコヤナギの枝には若葉が芽吹く前に花が咲き始めていました。 
止まり木で夕日を浴びながらホオジロ♂は羽繕いしたり、小声でチチチッ♪と鳴いたり(地鳴き)しています。 
やがて少量の白い糞をポトリと排泄しました。(@0:49) 
最後は川の方へ飛び去りました。 

※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。
ホオジロ♂(野鳥)@ネコヤナギ樹上
ネコヤナギ♀花序
ネコヤナギ♂花序

早春の池で水面に浮かぶヤマアカガエル♂

 

2021年3月中旬・午後12:30頃・晴れ 

ヤマアカガエル♀♂(Rana ornativentris)が繁殖のために集まる早春の池Hで長時間観察していると、ときどき水面に独身♂がプカプカ浮いていることがあります。 
本格的な配偶行動が始まるまで退屈なので、浮遊ガエルの理由をいくつか考えてみました。 

(1)池の水底でじっとしている個体が息継ぎのために浮上したのでしょうか? 
水面で浮いていた♂が息を吐きながら潜水して池の底に戻ることがありました。 

(2)岸辺に上陸する前に危険が無いかどうか周囲を見張って警戒しているのかな? 
動画の最後に登場する個体は、水面に浮遊しながら風でゆっくりと岸の方へ流されるがままになっています。 
岸辺に漂着すると、そのままそこを縄張りと定めて♀の待ち伏せを開始。 
これが普通ではなく、多くの♂は池の底から水中を岸辺まで登ってきて、上陸ポイントを自分で決めます。

(3)他の多くの♂は岸辺で池の外を向いてほぼ等間隔で並んで各自が縄張りを張り、♀が産卵に来るのを待ちます。 
ただし、自分の縄張りの近くに♀が来なければ、抱接のチャンスは無いでしょう。
一方、池の水面に浮いている♂は、独自の繁殖戦略なのかもしれない、と思いつきました。 
つまり水面で全方位を見張り、♀が岸辺のどこに現れても一気に泳いで♀の元に駆けつける作戦なのかもしれません。 
池が小さかったり、岸辺で待機するライバル♂の数が少なければ、その作戦でも♀獲得に成功する可能性がありそうです。 
しかし池が大きかったりライバル♂の密度が高くなったりすると、池の中央から泳いで辿り着く前に、岸辺で予め待っていたライバル♂がすぐに♀を掴まえ抱接してしまうはずです。


2021/06/04

モンシロチョウ♂に求愛された♀が交尾拒否行動せずに逃げた謎(ツンデレ♀?)

 

2020年5月中旬・午後13:50頃・くもり 

民家の家庭菜園の片隅に咲いたアブラナ科の野菜(クキタチ?)の周囲をモンシロチョウ♂(Pieris rapae)が探雌飛翔していました。 
一方、♀aらしき個体が翅をしっかり閉じたまま葉裏にしがみついた静止しています。 
♂がその背後で激しくホバリングしても、♀aは全く無反応でした。 
もし交尾済みの♀ならば、♂に迫られたときに広げた翅を深く下げながら腹端を高く持ち上げて交尾拒否の意思表示をするはずです。
この♀は交尾拒否行動もしないで、ただじっとしていました。
なんとなく羽化直後の♀個体ではないか?と思うものの、定かではありません。 

撮影中は気づかなかったのですけど、実はその奥(画面の上)の葉裏にも別個体♀bが潜んでいました。 
この♀bは♂に対して交尾拒否行動を示したようですが、肝心の腹部の状態が手前の茎に隠れてカメラにはしっかり写っていません。 
途中から飛んで逃げて行きました。 

モンシロチョウ♂が繰り返し舞い戻ってきて、♀aにしつこく求愛しています。 
遂に我慢しきれずに♀aが飛び立つと、追いかけてくる♂と乱舞になりました。(求愛飛翔) 
♀aはすぐに近くのクキタチ?葉陰に隠れてしまい、見失った♂が必死で辺りを探索しています。 

♀aの不可解な行動がなんとも解釈に困る動画でした。 
自然界は常に教科書通りになるとは限りません。
ツンデレな♀個体なのでしょうか?
寝ていたにしては、時刻が午後です。
もしかすると、♀aは食草の葉裏に産卵中だったのかな?

 

早春の池で♀を呼ぶヤマアカガエル♂の鳴き声♪(求愛歌)

 

2021年3月中旬・午後14:05〜14:41・晴れ 

未だ雪深い早春の里山で冬眠から目覚めたヤマアカガエル♂(Rana ornativentris)が池の岸辺に陣取り、鳴いていました。 
♀を呼び寄せるための求愛歌で、辛抱強く待ち伏せしています。 
♀が来たら抱接し、産卵してもらうのです。 
♂が鳴いているシーンを動画で記録するのがとても苦労しました。 
私が雪山を登って池に近づくとヤマアカガエル♂の合唱が聞こえたのに、到着すると静かになってしまいました。 
ヤマアカガエルはとても警戒心が強く、私がザクザクと残雪を踏みしめて歩き回る物音を聞いたただけで、池の底にすぐ潜って隠れてしまいます。 
警戒心が解けて岸辺に戻って来るまで、私はかなり長いこと動かずにじっと待ちました。 
鳴かぬなら鳴くまで待とうヤマアカガエル しぐま

日当たりの良い山腹を流れる沢の水(雪解け水)が斜面の窪地に貯まって池になっているのですが、実は高低差のある2段の池L,Hが棚田のように連続しています(流れでつながっている)。 
下の池L(low)でようやく鳴き始めてくれた♂個体1匹に注目して撮影できました。 
池なのにチョロチョロ♪と水音が絶え間なく聞こえるのは、上の池H(high)から下の池Lに流れ込んでいる音です。 
このヤマアカガエル♂はちょうど流れ込みの直下で日当たりの良い岸辺に縄張りを張って待機していました。 
岸から生えた草に前足を掛けて体が流されないように固定し、池の外側を向いて静止しています。 
カエルは太陽を直視しても眩しくないのかな? 
後脚の大きく広げた内腿が、まるで緑藻が生えたように緑色でした。 (長い冬眠中に体表に藻が生えた?)

両頬の鳴嚢を風船のように膨らませながら、ココココ…♪と小声で繰り返し鳴いていました。 
求愛歌の合間には白い喉をヒクヒクと動かしています。 
日当たりが良い場所だったのに、日が傾いた後半は日陰になりました。 
そのせいか、最後にヤマアカガエル♂は岸辺を移動し始めました。 
(隣のライバル♂が気になるようです。) 

かなり苦労して撮ったのに、カメラのピントが被写体のカエルの目にしっかり合っていないような、変に滲んだ映像になってしまいました。 
今回は水面からのギラギラした反射光を抑えるためレンズに円偏光フィルター(CPLフィルター)を装着してみたのですが、その副作用で遠くの被写体をズームインしたときに像がぼやけてしまうのです。 
ヤマアカガエルの下半身など水面下の物は確かにきれいに写るのですが、水面から上に出たカエルの顔が少しぼやけてしまっています。 
安物買いせずにメーカー純正(正規品)のCPLフィルターを選んでいたら、こんな症状は出ないのでしょうか? 
普段は使いもしないCPLフィルターをわざわざ取り出して試してみたのに、大誤算です。 
何よりも、現場で撮影中にこの異状に気づかなかったことが悔やまれます。 
池から少し離れた雪原(雪山)に三脚を立てて撮影していたので、カメラのバックモニター(液晶画面)で確認したくても周囲が眩し過ぎて、細部までよく見えませんでした。 
(横着せずにビューファインダーでしっかり確認すべきでしたね。) 
よく晴れた雪山で半日過ごしただけで、雪からの強い照り返しで私の顔が少し日焼け(雪焼け)しました。 
動画の出来に満足できなかった私は、ヤマアカガエル♂の求愛歌を撮り直すために、数日後にも現場を再訪しました。 
ところがヤマアカガエルの繁殖行動は下火になっていて、♂は鳴かなくなっていました。 
来年にまた再チャレンジします。 

※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
ヤマアカガエル♂の求愛歌を声紋解析してみる? 

午後13:13に測定した池Lの岸辺の水温は13℃でした。
池の底の水温はもっと低いはずです。 



【追記】 
平凡社『日本動物大百科(5)両生類・爬虫類・軟骨魚類』でヤマアカガエルの生態について調べると、昼間に鳴くのは珍しいと分かりました。
水場では夜になると♂が集まり、「キャラララ…キャラララ…」と頬にある1対の鳴のうをふくらませてさかんに鳴きあう。人気ひとけの少ない山間の池や水田などでは、明るいうちから鳴きだす個体もいるが、その場合はきわめて臆病で、少しでも人の気配がするとすぐに鳴きやんでしまう。(p36より引用)


【追記2】
ピッキオ『森の「いろいろ事情がありまして」 』という本でヤマアカガエルの繁殖行動を扱った第2話「スケートリンクのカエル合戦」によると、
 ♂は岸辺に集まり、「キャララ、キャララ」とかわいらしい声で鳴きます。1匹が鳴き出すと、それは付近が安全な証拠。それぞれライバル心に火がついたように鳴き出し合唱となります。(p12〜13より引用)

2021/06/03

警戒声♪を発しながら飛び去るキジ♂(野鳥)

 

2021年3月下旬・午後14:35頃・晴れ

ようやく平地では田園地帯の根雪がほとんど溶けました。 
雪解け水で一時は田んぼが水浸しになったのですが、その水も乾きました。 
田んぼの端の休耕地をキジ♂(Phasianus versicolor)がゆっくり歩きながら地面を啄んでいました。 
早春の明るい陽光に照らされて、キジ♂の色鮮やかな羽毛がひときわ美しく輝いています。
キジ♂は地上採食しながらどんどんこちらに近づいてくるので、手前のフェンスの陰に隠れてしまいました。 
撮影アングルを確保したい私としては右に少しずれたいところです。 
しかし、下手に私が動くとキジ♂は警戒して逃げてしまうだろうと判断して、その場で腕を高く伸ばしてなんとか撮影を続けます。 

やはりキジ♂は私の存在に気づいたのか(あるいは通りかかった車に驚いたのか)、突然左に走り出すと、力強く羽ばたきながら短い助走で飛び立ちました。 
低空で飛びながらキョケーッ♪と鋭い警戒声を大声で何度も(6回)発しています。 
低空で左旋回しながら滑空し、民家の陰に姿を消しました。 
緊急の飛び立ちを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

キジ♂の警戒声を声紋解析してみる? 
※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

フィールドのための野鳥図鑑:野山の鳥』によると、キジ♂は飛び立つ時や飛翔中に「ケケッ、ケケッ」と鋭くたまに鳴くと書かれていました。

余談ですが、飛び去るキジ♂を流し撮りした際に、雪解けした左奥の田んぼに佇んでいるアオサギの姿が写っています。 
撮影中の私は気づきませんでした。 
用水路など水辺に居ないということは、アオサギは巣穴から出てくる野ネズミを待ち伏せしているのかもしれません。
冬の水田のあぜ道にアオサギが突っ立っていることがしばしばあり、いったい何をしているのかと思っていたのですが、哺乳類の研究者に「あれはネズミが穴から出てくるのを待っているんだ」と言われたことがありました。 (松原始『鳥類学者の目のツケドコロ』より引用)
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

早春の池に現れたヤマアカガエルとマツモムシは互いに捕食するか?

 

2021年3月中旬・午後13:50頃・晴れ
前回の記事:▶ 雪深い早春の池で背泳する越冬明けのマツモムシ
未だ残雪に覆われた山腹の池を3日後に再訪してみると、遂にヤマアカガエルRana ornativentris)が長い冬眠から目覚め、繁殖活動を始めていました。 
1匹のヤマアカガエル♂が日当たりの良い岸辺で水にじっと浸っています。 
産卵のために後からやって来る♀を待ち伏せして、いち早く抱接するためです。 
前脚は浅い水底に付け、大きく広げた後脚は水中に浮いています。 
鼻腔をスピスピと開閉させて鼻呼吸しています。 
眼球をときどき引っ込めるのは、水を飲んでいるのでしょうか。 (瞬きの代わり?)

しばらくすると、水面下をマツモムシNotonecta triguttata)が背泳ぎで近寄って来ました。 
ヤマアカガエルの背後から忍び寄ったように見えたので、もしかすると越冬明けで空腹のマツモムシはカエルを襲って吸汁するのかな?と期待しました。
ところが残念ながら、何事もなくマツモムシは離れて行きました。 
獲物として大き過ぎるのか、あるいは静止していたカエルの存在をマツモムシは認識できなかったのかもしれません。 
逆にヤマアカガエルがマツモムシを捕食することはあるのかな? 
マツモムシはアカガエルの目の前には行かなかったので、安全圏だったのでしょう。 

マツモムシの食性を調べても、カエルの成体を襲うとは書いてありませんでした。
肉食性である。小魚やオタマジャクシのような小型の水生脊椎動物、他の水生昆虫のような小型水生節足動物、水面に落下した昆虫などを捕らえ、針状の口吻を突き刺して消化液を送り込み、溶かした肉質を吸汁する(体外消化)。(wikipediaより引用)
その後もかなり長時間、この池でヤマアカガエルの繁殖行動を観察したのですけど、捕食行動は全く見られませんでした。 
繁殖期のヤマアカガエルはとにかく「食い気よりも色気」なのでしょう。 
産卵を済ませたヤマアカガエルは再び春まで冬眠するらしいので、凍結防止のため体内に消化物を入れたくない(食欲がない)のかもしれません。
一方、マツモムシの捕食行動は一度だけ観察できたのですが、その獲物は…。(映像公開予定)

2021/06/02

雁行陣を組んで塒に帰る白鳥の群れ(冬の野鳥)

 

2021年3月下旬・午後17:50頃・晴れ 

白鳥の群れが夕方の空を続々と北東に飛んで行きます。 
そろそろ越冬地から繁殖地への渡り(北帰)が始まる時期かもしれませんが、昼間の採餌場から集団塒に帰る途中だと思います。 
コハクチョウCygnus columbianus bewickii)かオオハクチョウCygnus cygnus)、見分けられませんでした。 
 8、8、7羽の群れがそれぞれV字型の雁行陣を組んで飛んでいました。 
意外と低く飛んでいるので、ちょっと驚きました。
白鳥は群れで飛びながらときどき鳴き交わすのですが、今回は動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げても鳴き声を聞き取れません。 

ヤブガラシの花で吸蜜するオオハヤバチ

 

2020年7月中旬・午後16:00頃・くもり 

河原の堤防に繁茂するヤブガラシの群落で大型の見慣れないハチが訪花していました。 
忙しなく飛び回り、花蜜を舐めて回っています。 
胸背に茶色の毛が密生し、腹部は真っ黒なので、ハチというよりもムシヒキアブ科の仲間(例えばオオイシアブ)に見えました。 
翅が4枚なので、双翅目(ハエの仲間)ではなく、膜翅目(ハチの仲間)です。 
キンモウアナバチと迷ったのですが、オオハヤバチ(別名トガリアナバチ;Tchytes sinensis sinensis)と分かりました。
▼関連記事(17日後の撮影) 
ヤブガラシの花蜜を吸うオオハヤバチ

2021/06/01

電線に長居、脱糞する早春のノスリ(野鳥)

 

2021年3月中旬・午後14:45頃・くもり 

山麓の農村部でカラスにモビング(擬攻撃)されていたノスリButeo japonicus)が逃げてきて、道端の電線に止まりました。 
(モビングシーンを撮り損ねたのは残念無念。) 
ノスリは電線から周囲を油断なく見回しています。 

春の強風に煽られるせいで、立ったままカメラを構えて撮影している私も体幹が安定せず、映像がグラグラと揺れてしまいます。 
一方、ノスリは細い電線でも両足でしっかりと掴んでいて、ほとんどバランスを崩したりしないのは流石です。 
弛んだ電線に止まるのではなく、電柱のすぐ横の足場が安定した電線を選んで止まっているのもノスリの知恵なのでしょう。 

強い風が吹いてノスリの羽毛が逆立っています。 
頭部など褐色(焦げ茶色)に見える部分の羽毛も、生え際は白いことが分かりました。 

やがてノスリは前傾姿勢になり、尾羽を持ち上げながら少量の白っぽい液状便を排泄しました。(@1:04) 
脱糞シーンをまずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
直後に等倍速でリプレイ。 

私が結構近くからしつこく長撮りしてもこの個体は警戒して逃げないのが不思議でした。 
排便で体重を軽量化したら直後に飛び立つのが普通なのに、珍しく飛ぼうとしないのです。 
下手に飛び立つとまたモビングされそうだとノスリは近所のカラスを恐れているのかもしれません。 
このノスリは私と顔馴染みの個体です。
近くにノスリの営巣木がありそうだと私は予想しているのですけど、未だ突き止められていません。 

いつの間にか、少し左に離れた電線に恐れ知らずのスズメPasser montanus)が1羽止まっていました。(@2:23) 
しかしノスリは横のスズメを狩るどころか、全く無関心でした。 
ノスリの懐近くに来た方が逆に襲われる心配がないとスズメは知っているようです。 
スズメの方がノスリよりも先に電線から飛び去り、無事でした。(@3:10) 

ノスリが飛び立つまで記録しようと意地になって長撮りしたのですけど、 カメラのバッテリーが切れてしまいました。 
私が急いでバッテリーを交換している隙を逃さず、ノスリは電線から飛び去って遠くの民家の庭木(落葉したクリの大木)に止まり直しました。(映像なし)

 

雪深い早春の池で背泳する越冬明けのマツモムシ

 

2021年3月中旬・午後13:20頃・くもり(薄曇り) 

アカガエルの繁殖行動を観察するために、里山で沢の水が溜まる池にやって来ました。 
ここは日当たりの良い山腹ですが、池の周囲も未だ深い雪で一面覆われています。 
お目当てだったアカガエルの姿は見当たらなかったものの、水中で活動する水生昆虫が目に止まりました。 
生きた昆虫をフィールドで見つけたのは今季初で、嬉しい出会いです。 

2匹のマツモムシNotonecta triguttata)が雪解け水の水面下で背泳ぎしていました。 
長い後脚をオールのように使って水を掻いて進みます。 
2匹が水面下でニアミスしても、互いに没交渉でした。 

マツモムシが成虫で越冬することも、こんな早春に活動を再開することも、私は知りませんでした。 
実は同じ日の午前中(約2時間前)にこの池を見に来たときは、何も居ませんでした。 
念の為に午後にも再訪した甲斐がありました。 
午後になって水温が上がると、マツモムシが活動し始めたようです。 
てっきりマツモムシは越冬場所の山中から池に飛来したのかと思ったのですが、ネット検索してみると、DAYLIGHT RAMBLERさんのブログ記事「越冬明けのマツモムシ」で以下の記述を見つけました。
いつも背泳ぎしているマツモムシは、成虫越冬です。冬の間は水底の落葉の層なんかにひそんでおり、そういうところを掘り返すと出てくることがあります。
いつか私も確かめないといけません。
この池の底には落ち葉や緑の藻が堆積しています。 
潜水したマツモムシは、水底の泥の中や石の陰に隠れてしまいました。 

こんな雪深い早春から活動を再開しても、肉食性のマツモムシは一体何を捕食して生きていくつもりなのでしょう? 
そろそろ繁殖期に入るアカガエルの卵や幼生が目当てなのかな? 


池に溜まった雪解け水の水温を測るのを忘れてしまいました。 
太陽が水面に反射するので、次回はカメラのレンズに偏光フィルターを装着してからマツモムシを撮影してみるつもりです。 

『カメムシ博士入門』という本を紐解いて、マツモムシについて調べてみました。
・捕獲用の前・中脚と漕ぐ後脚、まさに舟を漕ぐ漁師だ。(p25より引用) 
・プラストン呼吸=アクアラング方式 (マツモムシは)毛を密生してアクアラングのように空気をためる呼吸法(p31より) 
・マツモムシ:腹面を見せた仰向けの姿で水面下を泳ぐ。空気の貯まった腹面は銀色に輝いて見える(p83より)

2021/05/31

雪田を群れで行進するカルガモの謎(冬の野鳥)

 

2021年3月中旬・午後14:15頃・くもり 

雪で覆われた広大な田園地帯を歩き回るカルガモAnas zonorhyncha)を見つけて気になりました。 
雪質はシャーベット状に溶けかけています。 
カルガモが雪田を水かきの付いた足でときどきズボッと雪の中にもぐりながらもヨチヨチ歩く様子は可愛らしいですね。 
結構な長距離をてくてく歩いて群れが集まってきました。 
こんな光景は見たことがありません。 
動物ドキュメンタリーでは定番になっている南極の皇帝ペンギンの行進を連想しました。 

カルガモの群れが雪原を歩いてどこに向かっているのか、雪原で一体何がしたいのか、初め私にはさっぱり分かりませんでした。 
雪田で何か特殊な餌を採食するのかな? 
しばらく観察していると、どうやらカルガモは雪田そのものに用事がある訳ではなくて、道端の用水路に入って水中採食がしたいだけのようです。 
ところが除雪された車道を歩行者(私や下校児童など)が通りかかると、警戒したカルガモは水路から出て、雪原に上陸・避難してしまうことが分かりました。 
普段なら危険を感じたら飛んで逃げるはずなのに、今回のカルガモは雪田をどこまでも歩いて通行人(ヒト)から逃げて行き、ほとぼりが冷めると再び水路に戻って来るのです。 
一方で、走行車に対してはあまり警戒していないようでした。 
私が車道を歩いてカルガモの群れをしつこく追いかけながら撮影する行為自体が、カルガモにとっては迷惑だったようで、雪原を右往左往していたのです。 
カルガモの群れが雪田に散開すると、どの個体を撮るか目移りしてしまいます。 
水路内での採食行動を撮影するには、カルガモからなるべく離れて、望遠で撮るようにしました。 

それにしても、どうしてこのカルガモたちは飛ばないのでしょうか? 
野鳥ですから、アイガモのように羽根を切られて飛べなくなっているとは思えません。 
おそらく、飛ぶよりも雪原を歩く方がカロリー消費量が少ないのでしょう。 
厳冬期はギリギリのカロリー収支でやりくりしているの鴨しれません。 
(実は、雪原を長距離歩行してきた個体が仲間と合流する直前に少しだけ飛んだのを目撃したのですけど、証拠映像を撮り損ねてしまいました。) 

冬でも田んぼに水を張ったままにしておく冬みず田んぼ(冬期湛水水田)という農法が最近注目されているそうです。 
水鳥にとっても、冬水田んぼが増えると冬季の食糧事情が改善するはずです。 
ただし、この辺りでは見たことがありません。 
豪雪地帯では冬の田んぼに水を張っても結局は大雪で埋もれたり凍結したりしてしまうのですかね?

【追記】
カルガモが雪原からほとんど飛び立たなかった理由として、足場の悪い雪面では飛び立ちにくいのかもしれません。
本来カルガモは水面からでも地上からでも飛び立つこと(急発進、急上昇)が可能です。
しかし脚で力強く蹴りながら羽ばたいて飛び立とうとしても、溶けかけで柔らかい雪面では体重が支え切れず足が雪の中に潜ってしまい、上手くジャンプ出来なさそうです。
例えばカワウは両足跳びで水面を長く助走してから飛び立ちます。
仮にもし一時捕獲したカワウを雪原に立たせると、助走しにくい雪面では飛べないことが予想されます。(表面が固く凍った雪面では可能でしょう。)
この仮説が正しければ、雪面が固く凍っている条件のときにはカルガモは雪原を歩かずに飛んで移動するはずです。

雪山で見つけたニホンノウサギの隠れ家(雪洞)

 

2021年2月中旬・午後12:10頃・くもり 

雪に埋もれた里山の林道を私がスノーシュー(西洋かんじき)で登っていると、すぐ横の法面から1羽の白ウサギが突然飛び出してきて、脱兎の如くスギ林の方へ走り去りました。 
慌ててカメラを起動しても間に合いませんでした。 

ニホンノウサギLepus brachyurus angustidens)が林道沿いの斜面に浅い横穴を掘って、雪洞の中に隠れていたようです。 
どうやって雪洞を掘ったのか、想像してみました。
ノウサギが雪面にじっと座っていたら自分の体に雪が降り積もって自然に埋もれたという訳ではありません。 
林道を走ってきたノウサギが横の斜面の深雪に勢いよくズボッと飛び込んでから、横穴を少し掘って即席の隠れ家(雪洞)を作ったようです。 
巣穴とかねぐらと呼べるのかどうか、ノウサギの生態に疎い私にはよく分かりません。 
雪洞の中で寝ていたのならねぐらと言えるでしょう。 
繁殖用の巣穴ではありません。 

雪洞を出て雪面に残った足跡を辿ると、前方を逃げるニホンノウサギを何度か目撃したものの、どうしても動画に撮れませんでした。 
冬毛のノウサギは見事な保護色で、雪山のどこに隠れているのか、飛び出すまで全く分からないのです。 
GoProなどのアクションカメラを身体に装着して、ドライブレコーダーのように一人称動画(主観動画)をひたすら記録し続けない限り、突発的な出来事に対応するのは無理なのかな? 
ノウサギが隠れ家から飛び出す決定的瞬間を撮り損ねたのがあまりにも悔しかった私は、スノーシューによる雪山探索中はカメラのエコモードを切り、常時起動させておくことにしました。 
バッテリーの消耗が激しくなるのは仕方がありません。 
レンズキャップだけは装着しておきます。 
何度も失敗したものの(間に合わず)、後日ようやくノウサギの逃走シーンを撮ることができました。
▼関連記事(12日後の撮影) 
雪山に隠れ走り去る冬毛のニホンノウサギ(フィールドサイン:足跡、食痕、糞)
この日の雪質はクラスト状態から溶けた重い腐れ雪(湿雪)で、スノーシューを履いても山中を歩くのは疲れます。 
日陰で雪面が固くクラストしている所では動物の足跡が明瞭に残りにくいことがあり、トラッキングがやや難しくなります。 

動画には撮っていませんが、トラッキング中に気づいた点は。 
ノウサギの足跡が落葉灌木の横を通った際に、小枝の先がスパッと斜めに切り落とされていました。 
ウサギの食痕はカモシカの食痕とは明らかに違います。 
沢沿いに自生するユキツバキの群落が雪の中から常緑の葉を覗かせていました。 
その横をノウサギの足跡が通り過ぎていたので、もしかするとユキツバキの枝葉を食べたかもしれません。(食痕を未確認)

2021/05/30

土手を徘徊するザトウムシの一種【名前を教えて】

 

2020年8月上旬・午後16:00頃・くもり

河畔林を通って川の本流に注ぐ用水路の土手をザトウムシの仲間(種名不詳)が徘徊していました。 
久しぶりにマクロレンズで接写してみたら、動きが意外に早くてピントを合わせるのが難しいですね。 

私にはちょっと見慣れない種類でした。 
体の上面は灰色で、下面は黄色っぽい黄緑色。 
歩脚の関節部分は白色。 
黒い目が体の前の上側に付いています。 
どなたか種名をご存知でしたら教えてください。 
日本でザトウムシの図鑑が1冊も出版されないのが不思議でなりません…。 

雪山に残るニホンカモシカの溜め糞と小便跡(フィールドサイン)

 

2021年2月中旬・午後13:30頃・くもり 

スノーシューを履いて雪山を下る途中で、ようやくこの日初めてニホンカモシカCapricornis crispus)の足跡を雪面に発見しました。 
クラストした(表面が固く凍った)雪面にくっきりと蹄の跡が残っています。 
足跡を辿ってしばらく追跡すると、スギが植林された斜面で大小便を排泄した跡を見つけました。 
雪面に新鮮な糞が大量に残されています。 
カモシカの糞を見たことがない人のために、私の右手をかざして採寸代わりにしました。(糞に触れた訳ではありません。) 
カモシカの糞は別に臭くありません。 
カモシカは立ち止まって排便と同時に排尿したようで、黒っぽい焦げ茶色の小便跡で雪が解けていました。 

▼関連記事(8年前の撮影:寝床、ねぐら?)

タヌキのように縄張り内の決まった場所をトイレとして何度も利用した結果、溜め糞となったのでしょうか? 
カモシカは冬になぜか長時間ぼーっと立ち尽くして休む習性があります(アオの寒立ち)。
▼関連記事(7、9年前の撮影) 
林道に佇むニホンカモシカ(アオの寒立ち) 
雪道に立ち尽くすニホンカモシカ♂(左角欠け)
ここで長い時間、寒立ちしながら何度も排便した結果、溜め糞のようになった気もします。 
ここでカモシカが座って休んだ形跡はありませんでした。 
この場所に無人カメラ(トレイルカメラ)を仕掛ければ、溜め糞説が正しいかどうか検証できるはずです。 

足跡を辿って更に進むと、とある落葉灌木(樹種不明)の下でグルグルと方向転換したような形跡が残っていました。 
食痕は何も見当たらなかったので、おそらく眼下腺を枝先に擦りつけてマーキングしたのではないか(匂い付け)と想像しました。 

雪面のクラストが溶けてある程度柔らかくなれば、ニホンカモシカが足を前に一歩踏み出す度に蹄の先端(2本に先割れしている)を雪面に擦った跡が2本線で残ります。 

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