2014/05/31
キアシナガバチ創設女王の吸水
2014年5月中旬
山腹の林道の轍にできた水溜まりが千客万来の水場になっていました。
キアシナガバチ(Polistes rothneyi)の創設女王が湿った泥に口を付けて吸水しています。
巣作りのために必要な水分補給ですね。
時期的にワーカー♀ではなく、単独営巣期の女王蜂だと思います。
周囲の環境は日当り良好の草地です。
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ハチ・アリ(膜翅目),
飲水
樹上で羽繕いするツバメ(野鳥)
2014年5月中旬
川岸に生えた潅木の枝にツバメ(Hirundo rustica)が2羽止まり、念入りに羽繕いしています。
初めは一羽だけでしたが、途中からもう一羽が合流。
なんとなく巣立った雛が親鳥に給餌されるのを待っているのかと勝手に想像したのですけど、最後は同時に飛び去り川面すれすれに飛びながら自ら採食しました。
2羽の性別は?※
ツバメが電線以外に止まっている姿を撮れたのは初めてかもしれません。
日光に照らされると赤い顔と濃紺の光沢が驚くほど美しく、ちょっと感動しました。
普段よく見る電線に止まっている姿は空を背景に逆光のシルエットなので、色味がよく分かりませんでした。
※ 『銀座のツバメ』によると、
・♂と♀の見分け方は、尾羽の長さで区別する。♂の尾羽が♀より長い。2羽が一緒に並ぶと違いがわかるが、1羽だけだと個体差もあり、慣れないと難しい。(p27)
・幼鳥の尾羽は成鳥より短く、燕尾になっていないので、飛んでいても幼鳥とわかる。(p75)
『ツバメの謎: ツバメの繁殖行動は進化する!?』p11によれば、
♂と♀は一見すると体の色に違いがあるように見えません。しかし、よく観察していると、背中の光沢は♂の方が輝いており、またのどや額の赤さは♂の方が鮮やかになっています。少し微妙な差ですが、こちらも並んでいる姿をじっくり見ることができれば、違いが分かるようになるはずです。
2014/05/30
フタスジコスカシバ♂(蛾)の身繕い
2014年5月中旬
山腹の日当たりの良い草地でフタスジコスカシバ♂(Synanthedon pseudoscoliaeformis)がスイバの葉に乗って身繕いしていました。
触角を拭って化粧しています。
その触角の上部にある白い領域が印象的。
腹端に毛束がありますね。(ヘアペンシル?)
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チョウ・ガ(鱗翅目),
化粧
エゾタンポポとセイヨウタンポポの花蜜を吸うウスバアゲハ♀
2014年5月中旬
河川敷でウスバアゲハ♀(旧名ウスバシロチョウ、Parnassius citrinarius)がタンポポを訪花していました。
個人的に、この組み合わせは初見かもしれません。
腹端に交尾嚢を付けているので、交尾済みの♀ですね。
貪るように花蜜を吸っています。
途中で飛んで隣の花へ移動しました。(エゾタンポポ→セイヨウタンポポ)
捕虫網を持参してなかったのですが、手掴みで難なく捕獲出来ました。
警戒心が無さ過ぎです。
交尾嚢をじっくり撮らせてもらった後は、別のタンポポの花にそっと乗せてやると何事もなかったように吸蜜を再開。
ウスバアゲハ@エゾタンポポ訪花 |
後でタンポポの総苞を調べると、最初の花は日本固有種のエゾタンポポで2番目の花は外来種のセイヨウタンポポと判明。
エゾタンポポ花 |
エゾタンポポ総苞(ピンぼけ…) |
セイヨウタンポポ総苞 |
【追記】
保谷彰彦『わたしのタンポポ研究』を読んで、タンポポの雑種の問題について勉強になりました。
クローンで増えることが可能な外来種のセイヨウタンポポが日本全国を席巻しているとばかり思っていたのですが、DNAレベルで精査すると、むしろ現状は在来種との雑種の方が多くなっているらしい。
長い口吻で蜜を吸うチョウは一般に虫媒花の送粉者としてはあまり役に立たない(盗蜜ばかり)のですが、今回の映像はタンポポの雑種を生み出す実例と言えるかもしれません。
しかしエゾタンポポ→セイヨウタンポポの順に訪花したので、花粉が異種間で移動して仮に受粉しても雑種はできないようです。
日本タンポポばかりの集団の近くに、セイヨウタンポポが生えている様子を想像してみましょう。ハナバチやハナアブの仲間がセイヨウタンポポと日本タンポポの区別なく、蜜を吸うために、花から花へと移っていくでしょう。すると、セイヨウタンポポの花粉が、日本タンポポのめしべに運ばれるということは十分に考えられるのです。(p127より引用)日本タンポポの花粉が、セイヨウタンポポのめしべにくっついても、雑種はできません。(p128より引用)
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チョウ・ガ(鱗翅目),
訪花
2014/05/29
ヒヨドリ(野鳥)春のさえずり?♪を声紋解析してみる
2014年4月下旬
満開に咲いた桜の近くでヒヨドリ(Hypsipetes amaurotis)が吸蜜の合間に頻りに鳴いています。
お馴染みのけたたましい警戒声の合間に普段は聞かない独特の鳴き方をしています。
これは繁殖期の囀り(縄張り宣言?)なのでしょうか?
シーン1は至近距離の枯木の枝で、シーン2は引き続き少し離れたケヤキの樹上に移動して繰り返し鳴いています。
独特の節を付け、途中で濁ったような声が交じります。
同一個体と思われる(この辺りを縄張りとする)ヒヨドリが日が経つにつれて、このガラガラ声がますます掠れてくる気がしました。
繁殖期のヒヨドリは声帯を潰すまで囀り続けるのですかね?
毎日鳴き声を録音して声変わりを声紋解析したかったのですが、忙しくなって計画倒れになりました。
そもそもヒヨドリを個体識別できず、性別を見分けらないのが問題です。
ヒヨドリのさえずり?を声紋解析してみる
いつものようにオリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてから鳴いている部分を適当に切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
私は絶対音感も無ければ鳴き声の聞きなしも苦手なので、声紋解析で視覚的に調べるしかありません。
さえずり?らしき鳴き声は毎回似たような声紋が繰り返されています。
去年もほぼ同時期に同じ調査をやっているのですが、今年は音質改善を狙って外付けマイクを使用しました。
新たな問題として、隠し撮りするブラインドの布とマイクの風防が擦れて耳障りなごわごわしたノイズが混入することがあります。
去年の映像と聴き比べると、同じ鳴き方でも微妙な個性があるようです。
(年をまたいで同一個体である可能性もあります。)
▼関連記事▼
ヒヨドリ(野鳥)の囀りと警戒声♪を声紋解析してみる
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さえずり@枯れ枝 |
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警戒声@枯れ枝 |
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さえずり@ケヤキ |
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さえずり@ケヤキ |
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さえずり@ケヤキ |
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さえずり@ケヤキ |
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さえずり@ケヤキ |
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さえずり@ケヤキ |
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さえずり@ケヤキ |
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さえずり@ケヤキ |
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さえずり@ケヤキ |
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さえずり@ケヤキ |
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さえずり@ケヤキ |
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さえずり@ケヤキ |
足蹴りで喧嘩するヤマトゴキブリ♂♀
2014年5月中旬・室温21℃
ヤマトゴキブリ(Periplaneta japonica)成虫♀♂ペアを飼っていると、喧嘩が勃発しました。
長翅の♂は羽化後8日目、短翅の♀は羽化後6日目。
攻撃法は体をやや横向きにして、後脚で横に相手を蹴飛ばします。
ゴキブリの飼育観察を始めて一番興奮しました!
朽木の上に置いた餌のパンを巡る争いでは♀が勝利を収めました(占有行動)。
パンを食べている♀が近づく♂を蹴飛ばしました。
怒った♀がすごい剣幕で♂に駆け寄って追い回すことがあります。
どうやらカカア天下のようです。
ところで♂がパンを食べる様子を見たことがありません。
自分で食べないのになぜパン(食料)の取り合いになるのか謎です。
(ゴキブリは夜行性なので、私が見ていない暗闇では臆病な♂もパンを食べているのかもしれません。)
全体の印象として、♂がちょっかいを出すも、♀は色気より食い気(花より団子)なようです。
隠れ家(朽木の割れ目や窪み)をめぐる争いも目撃しました。(映像なし)
ゴキブリには集合フェロモンを介して集団を作る集合性が有名です。
しかし、成虫同士が近づきすぎると互いに牽制したり喧嘩になるようです。
赤外線を使った暗視カメラがあれば、夜行性ゴキブリの自然な行動をもっと監視・記録できるのになー。
この間、♂が♀に求愛しないのがとても不思議でした。
本で調べてみると羽化しても♀の性成熟に時間がかかり、性フェロモンを未だ分泌していないのでしょう。
本種の♀はなんと単為生殖できるらしいので、交尾しなくても困らないそうです。
『日本動物大百科8昆虫I』によると
・ゴキブリ科の♀は成虫になって(およそ10日)から性フェロモンを生産するようになるが、それを♂成虫が受容して配偶行動が始まる。p92
・ゴキブリ目の配偶行動の特徴は、成熟した♂が成熟♀を認知したときに翅上げ行動をとることである。(中略)ヤマトゴキブリなどの♂は♀の発散するにおいフェロモン(セスキテルペン)をまず触角で感知している。翅上げ行動の後、♂は背面の分泌腺から♀を誘う物質を出し、♀は♂の分泌物を舐めながら背面にのり交尾が成立する。p92
・交尾の際に♀が♂の上に乗る姿勢は、♀上位と呼ばれ、原始的な交尾姿勢として知られている。p90
・♂の背板腺からは、背板への誘引物質と背板をなめさせる刺激物質が分泌される。p92
・(キョウト)ゴキブリの♂同士が出会うと互いに咬み合ったりして攻撃行動を示す。p90
別の参考サイト:ゴキブリの繁殖
互いに蹴り合う闘争行動に関する記述は見つけられませんでした。
もしかすると新発見?!(※)
求愛交尾行動の観察を楽しみにしていたのですけど、そのうち♂は居心地が悪いと感じたのか飼育容器の蓋にあるスリット状の換気孔から脱走してしまいました。
後日、なんとか再捕獲。
ゴキブリ飼育の脱走防止策についてはまた改めて別の記事を書く予定です。
【追記】
※ 『エソロジカル・エッセイ:無名のものたちの世界III』という古本にヤマトゴキブリの近縁種であるクロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)の「間おき集合(spaced-out gregariousness)」について調べた章を見つけました。
p136-137をかいつまんで引用すると、
・集合性昆虫といわれながら、行動を一つ一つリストアップしていくと、攻撃行動、防衛行動、牽制行動ばかりが目立ってくる。
・ある場所を占めた個体は、雌雄を問わず、明らかに占有場所の防衛を行う。
・順位制があるようでもあり、ないようでもある。
・主な能動的行動は、触角を他個体のいる方向に伸長し、ドラミングに似たような探りを入れる行動(さぐり)と、より積極的に、方向転換し、相手に対面し、後脚を浮かし、前のめりのようなかっこうで探りを入れる行動(のぞき)である。これらに対し、受動側が無反応という場合は少なく、多くの場合、
(1)能動行為者をいなすような感じで、向きをかえる(回転)か、刺激の少ない方向へ少し移動する(よけ)行動、
(2)体を高く持ち上げ、体を左右にゆすったり(ゆすり)、主に後脚を用いて能動行為者をける(けり)という牽制行動、
(3)はじかれたようにとびのく(とびのき)、または一目散に逃走する行動(逃走)のいずれかが観察された。
そしてたいてはこれで終りで、再び静かな「間おき集合」が回復するのである。
2014/05/28
脱皮に備えて蠕動するスズバチ前蛹【微速度撮影】#2
2014年5月中旬
▼前回の記事▼
脱皮に備えて蠕動するスズバチ前蛹【微速度撮影】#1
繭から出して飼育しているスズバチ(Oreumenes decoratus)前蛹の脱皮(蛹化)を見逃さないように、この日も10秒間隔のインターバル撮影で監視を続けます。
ひたすら眠っているように見える前蛹も、早回し映像で見ると時おり身震いするように自発的な蠕動を繰り返していることが分かります。
映像では右が前蛹の頭部になります。
黄色かった前蛹の表皮がますます白っぽく皺々に変化しました。
持久戦の後、さぁいよいよ…。
▼つづく▼
スズバチの蛹化【微速度撮影】
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ハチ・アリ(膜翅目),
発生,
微速度撮影
飛べ!オツネントンボ【ハイスピード動画】
2014年4月下旬
用水路で見つけたオツネントンボ(Sympecma paedisca)が飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
涸れた用水路内に捨てられた肥料の空き袋に初めは止まっていました。
休んでいる間は長い腹部を上下しています。
パラパラと羽ばたく飛翔シーンのシルエット(影)も美しいですね。
飛び立ってもすぐに同じ場所に舞い戻ります。
しばらくすると水路のコンクリート岸壁に移動して静止(たぶん同一個体)。
性別は?
2014/05/27
朽木を食べるヤマトゴキブリ♀
2014年5月中旬
ヤマトゴキブリ(Periplaneta japonica)成虫♀♂ペアの飼育容器に隠れ家のつもりで朽木を入れてやりました。
すると短翅の♀が夜な夜なカシカシ、パチパチ♪と音をたてながら乾いた樹皮を齧るようになりました。
他の餌も充分に与えているつもりなのに、朽木が好物なようです。
長翅の♂も朽木を食べているのかもしれませんが、♀よりも臆病で撮影のため照明を点けている間は隠れてしまい食餌シーンを見せてくれません。
本種は屋内にも屋外にも生息する在来種ですが、森ではひっそりと朽木を食べて暮らしているのかもしれません。
ブルーバックス『ゴキブリ3億年のひみつ:台所にいる生きた化石』p131によると、
食材性ゴキブリはシロアリと共通した消化の仕組みを持っていて、セルロースを分解できる腸内微生物(鞭毛虫)と共生しています。日本にはクチキゴキブリという種類もいるそうですが、ヤマトゴキブリの食性やセルロース分解についてはどうなのか、残念ながら書いてませんでした。(調べられていないのかな?)
ゴキブリの種類によっては(オオゴキブリ類)、共生微生物でなく消化管自体からセルラーゼを分泌するものもあるらしい。
ノシメマダラメイガ(蛾)を捕食するキハダエビグモ♀(蜘蛛)
2014年5月中旬
飼育を始めたキハダエビグモ♀(Philodromus spinitarsis)にノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)を給餌すると、直ちに捕食しました。
残念ながら狩りの瞬間は見逃しました。
腹部がぺったんこだったので、よほど空腹だったのでしょうか。
(満腹してもこの体形なのかな?)
毒牙に噛まれ毒液を注入されても餌食となった蛾はときどき暴れています。
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クモ・ザトウムシ,
チョウ・ガ(鱗翅目),
捕食
2014/05/26
脱皮に備えて蠕動するスズバチ前蛹【微速度撮影】#1
2013年10月上旬
山裾に設置された境界標の側面にスズバチ(Oreumenes decoratus)の泥巣を発見。
泥巣のサイズは縦60mm、横35mm。
西南西に向いたコンクリート側面に地上から約10cmの高さに作られていました。
周囲の環境は水路沿いのアカマツ並木。
余談ですがスズバチの泥巣と言えば、このような人工物(石灯籠や石碑、コンクリート縁石、三角点、角材など)の平面を営巣基とした泥巣しか私は見つけたことがありません。
木の枝に作られる例もあるらしいのですけど、なぜか未見です。
フィールドで見つける目が培われていないだけなのかもしれませんが、密かに別の仮説を考えています。
雪国のスズバチは木の枝に泥巣を作らないのではないでしょうか?
豪雪地帯のスズバチ♀が夏はともかく秋に越冬用の泥巣を作る際は、雪に埋もれても大丈夫なしっかりした土台(営巣基)を母蜂が選定していても不思議ではありません。
スズバチの泥巣はただでさえ大きくて重いので、もし木の枝に作られた場合は大雪が降れば雪の重みで潰れたり枝が折れて落ちたりしやすいでしょう。
したがって、そのような造巣習性をもつ母蜂は雪国で子孫を残し難いはずです。
南北に長い日本列島で南の地方と北の雪国でスズバチ♀を生け捕りにして移送し、互いに入れ替えた地方で泥巣を作らせれば、どうなるでしょう?
営巣基の選択行動が遺伝的なプログラムによるもので生息地域によって異なるかどうか、解明できるかもしれません。
そのような研究は既に行われていますかね?
スズバチ泥巣の発掘作業は何度もやっているので手慣れたものです。
マイナスドライバーで泥巣の縁を少しずつ削っていきます。
想定外だったのは古い境界標の側面には「農」という文字が刻んであり、平面ではありませんでした。
そのため泥巣をきれいに剥がす事ができませんでした。
どうやら母蜂は表面の窪みを気に入って利用したようです。
中の育房は3室しかなくて、縦に並んでいます。
下にある2室の繭が破れてしまいました。
繭から露出した前蛹が驚いて動いています。
特筆すべきは、前蛹の頭の向きが揃っていたことです。
寄生ハエの囲蛹は見当たりません。
貯食された芋虫の食べ残しも無く。黒い糞の粒だけが育房に残されていました。
一番上の育房からは繭のまま採集しました。
羽化したスズバチ成虫が泥巣から脱出する様子を撮影しようとここ数年、試行錯誤しつつ取り組んできました。
残念ながら今回の泥巣は大きく壊れてしまったため、その目的には使えません。
それでも別のテーマのために蜂の子を清潔なプラスチック小容器に移し、室内で越冬させました。
2014年5月上旬
室温で休眠越冬した前蛹が2匹、いつの間にか蛹化していることに気づきました。
野外より暖かい室内で前蛹を冬越しさせても蛹化のタイミングが狂わない(季節外れに早く蛹化したりしない)ことにいつも感心します。
残る1匹の前蛹が蛹に脱皮する過程を観察するために、10秒間隔のインターバル撮影で監視することにしました。
脱皮の前兆や時間帯が分からない以上、愚直に長期戦で粘るしかありません。
ドロバチは一般に雄性先熟なので、最後の1匹が♀だとすると♂に比べて発育が遅れる可能性があります。
ひたすら眠っているように見える前蛹も、早回し映像で見ると時おり身震いするように自発的な蠕動を繰り返していることが分かります。
映像では左が前蛹の頭部になります。
黄色かった前蛹の表皮が次第に白っぽく皺々に変化しました。
当時はこれが脱皮の兆候だとは気づきませんでした。
容器の蓋を開けたまましかもLEDの照明を当て続けて撮影していたせいで前蛹が乾燥してしまった(干からびた?)のかと心配しました。
実は私の不注意で容器を一度落としてしまい、先に蛹化したばかりの個体は強い衝撃に耐えられず血(体液?)を吐いて死んでしまいました。(未だ生きてる?)
一緒に落とした前蛹の方も悪い影響が出ないか心配でした。(結果的に前蛹は衝撃に対して強かったみたいです。)
つづく
山裾に設置された境界標の側面にスズバチ(Oreumenes decoratus)の泥巣を発見。
泥巣のサイズは縦60mm、横35mm。
西南西に向いたコンクリート側面に地上から約10cmの高さに作られていました。
周囲の環境は水路沿いのアカマツ並木。
余談ですがスズバチの泥巣と言えば、このような人工物(石灯籠や石碑、コンクリート縁石、三角点、角材など)の平面を営巣基とした泥巣しか私は見つけたことがありません。
木の枝に作られる例もあるらしいのですけど、なぜか未見です。
スズバチになると体が大きいために壺も大きく、もはや細い草茎にとりつけることはできないが、かなり細い樹の枝などにもとりつける。(『日本蜂類生態図鑑』p36より)
フィールドで見つける目が培われていないだけなのかもしれませんが、密かに別の仮説を考えています。
雪国のスズバチは木の枝に泥巣を作らないのではないでしょうか?
豪雪地帯のスズバチ♀が夏はともかく秋に越冬用の泥巣を作る際は、雪に埋もれても大丈夫なしっかりした土台(営巣基)を母蜂が選定していても不思議ではありません。
スズバチの泥巣はただでさえ大きくて重いので、もし木の枝に作られた場合は大雪が降れば雪の重みで潰れたり枝が折れて落ちたりしやすいでしょう。
したがって、そのような造巣習性をもつ母蜂は雪国で子孫を残し難いはずです。
南北に長い日本列島で南の地方と北の雪国でスズバチ♀を生け捕りにして移送し、互いに入れ替えた地方で泥巣を作らせれば、どうなるでしょう?
営巣基の選択行動が遺伝的なプログラムによるもので生息地域によって異なるかどうか、解明できるかもしれません。
そのような研究は既に行われていますかね?
スズバチ泥巣の発掘作業は何度もやっているので手慣れたものです。
マイナスドライバーで泥巣の縁を少しずつ削っていきます。
想定外だったのは古い境界標の側面には「農」という文字が刻んであり、平面ではありませんでした。
そのため泥巣をきれいに剥がす事ができませんでした。
どうやら母蜂は表面の窪みを気に入って利用したようです。
中の育房は3室しかなくて、縦に並んでいます。
下にある2室の繭が破れてしまいました。
繭から露出した前蛹が驚いて動いています。
特筆すべきは、前蛹の頭の向きが揃っていたことです。
寄生ハエの囲蛹は見当たりません。
貯食された芋虫の食べ残しも無く。黒い糞の粒だけが育房に残されていました。
一番上の育房からは繭のまま採集しました。
羽化したスズバチ成虫が泥巣から脱出する様子を撮影しようとここ数年、試行錯誤しつつ取り組んできました。
残念ながら今回の泥巣は大きく壊れてしまったため、その目的には使えません。
それでも別のテーマのために蜂の子を清潔なプラスチック小容器に移し、室内で越冬させました。
2014年5月上旬
室温で休眠越冬した前蛹が2匹、いつの間にか蛹化していることに気づきました。
野外より暖かい室内で前蛹を冬越しさせても蛹化のタイミングが狂わない(季節外れに早く蛹化したりしない)ことにいつも感心します。
残る1匹の前蛹が蛹に脱皮する過程を観察するために、10秒間隔のインターバル撮影で監視することにしました。
脱皮の前兆や時間帯が分からない以上、愚直に長期戦で粘るしかありません。
ドロバチは一般に雄性先熟なので、最後の1匹が♀だとすると♂に比べて発育が遅れる可能性があります。
ひたすら眠っているように見える前蛹も、早回し映像で見ると時おり身震いするように自発的な蠕動を繰り返していることが分かります。
映像では左が前蛹の頭部になります。
黄色かった前蛹の表皮が次第に白っぽく皺々に変化しました。
当時はこれが脱皮の兆候だとは気づきませんでした。
容器の蓋を開けたまましかもLEDの照明を当て続けて撮影していたせいで前蛹が乾燥してしまった(干からびた?)のかと心配しました。
実は私の不注意で容器を一度落としてしまい、先に蛹化したばかりの個体は強い衝撃に耐えられず血(体液?)を吐いて
一緒に落とした前蛹の方も悪い影響が出ないか心配でした。(結果的に前蛹は衝撃に対して強かったみたいです。)
つづく
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ハチ・アリ(膜翅目),
発生,
微速度撮影
2014/05/25
川の水を飲むキジバト(野鳥)
2014年5月中旬
川の上流から飛んで来たキジバト(Streptopelia orientalis)が橋の下にスーッと着陸しました。
何か面白そうなことが起こりそうな予感がしたので、対岸から撮影開始。
キジバトは堤防を川沿いに(上流方向へ)トコトコ歩いて来ます。
ときどき地面を嘴でつつきますが、食べ物ではなかった様子。
私の正面まで来ても警戒しません。
コンクリートブロックで護岸された斜面を下りると川面から水を飲み始めました。
水に3回嘴を付けました。
本で読んだ通り、いちいち頭を上げなくても嘴を水につけたままでゴクゴク吸い込んで飲めるのがハト類の特徴です。
その比較解剖学はよく分かっていないのだとか。
ちなみに我々ヒトも含めた哺乳類が吸い込めるのは赤ちゃんが母乳を吸うために必要な能力です。
参考サイト:ハトの水飲み飲み終えたキジバトは護岸を少し登り返すと、上流へ飛び去りました。
▼関連記事▼
水溜まりの水を飲むドバトの群れ【冬の野鳥】
【追記】
『しぜんのせかい11:きじばと』p12によると、
鳥類はくちばしですくいとるようにして水を飲みますが、ハトの仲間はくちばしを水につけ、吸い込むように飲みます。
走り回るキハダエビグモ♀(蜘蛛)
2014年5月上旬
部屋の天井隅にへばりついていたクモを捕獲しました。
エビグモ科のキハダエビグモ(Philodromus spinitarsis)ですかね?
腹面に外雌器を認めたことから成体♀のようです。
方眼紙に乗せて採寸すると体長は6mm。
体が極端に扁平(体の厚みが無くてぺったんこ)です。
越冬明けで空腹なのかな?
『クモ生理生態事典 2011』によれば、キハダエビグモは亜成体で越冬するらしい。
プラスチック容器のツルツルした壁面を素早く走り回ることが可能です。
ただし書肺による呼吸はすぐに息が上がってしまい持久力がありません。
飼育してみることにしました。
つづく
【追記】
いつもお世話になっている「クモ蟲画像掲示板」できどばんさんより次のコメントを頂きました。
エビグモ科のキハダエビグモの成体♀で合っていると思います。
体毛があるので外雌器での判断は難しいですが、外見はキハダエビグモそのものです。
外雌器(画像を自動色調補正) |
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