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2025/02/15

早春に雪解けした休耕地で巣穴に出入りする疥癬ホンドギツネ細尾【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年3月中旬〜下旬

シーン0:3/11・午後13:08・晴れ・気温27℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
残雪に覆われた休耕地で、疥癬ホンドギツネVulpes vulpes japonica)がホンドタヌキNyctereutes viverrinus)から乗っ取った巣穴Rを自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:3/14・午後12:12・くもり・気温13℃(@0:04〜) 
昼過ぎに、疥癬の症状で尻尾が脱毛しつつあるキツネ「細尾」が写りました。 
右の雪原から来たのか、それとも巣穴Rから出てきたばかりなのか、判断できません。 
手前に回り込むと慎重に巣口Mfの匂いを嗅ぎ、中に潜り込みました。 
この巣穴MfにはこれまでホンドタヌキとニホンアナグマMeles anakuma)が出入りしていて、疥癬キツネ「細尾」が入ったのは初めてです。 
この営巣地は複数の巣口が内部でつながっているような気がするのですけど、確かめる方法が思いつきません。 
強風が吹き、監視カメラを固定した灌木が大きく揺れています。 


シーン2:3/14・午後18:35・気温5℃(@0:20〜)日の入り時刻は午後17:48。 
6時間20分後、すっかり日が暮れた晩に、疥癬キツネ「細尾」が巣穴Mfから外に出てきたようです。 
途中で2回身震いしてから雪原を右へ向かい、餌を探しに行きました。 
うっすらと積もった新雪にキツネの足跡が残ります。 


シーン3:3/19・午後13:16・晴れ・気温26℃(@0:32〜) 
5日後の昼間、監視カメラが誤作動した映像です。 
休耕地の雪解けが、手前から奥に向かって進行中です。 


シーン4:3/20・午前1:51・気温-1℃(@0:37〜) 
なんと6日ぶりに疥癬キツネ「細尾」が現れました。 
深夜に左から来て、巣口LおよびMfの匂いを嗅ぎ回っています。 
巣口Rには立ち寄らず、右へ立ち去りました。

この動画を初めて見た私は「巣口Mfの手前で排尿マーキング?」とメモを残しているのですが、今見返すと、ただ素通りしただけに見えます。 


シーン5:3/20・午後20:42・気温0℃(@1:05〜) 
18時間50分後の晩遅くに、疥癬キツネ「細尾」が左から戻ってきました。 
枯野を横切ると巣口Rの手前で地面の匂いを嗅ぎ、右へ立ち去りました。 


シーン6:3/22・午後19:31・気温0℃(@1:27〜) 
2日後の晩に左手前から来た疥癬キツネ「細尾」が躊躇うことなく巣穴Rに入りました。 


シーン7:3/22・午後21:23・気温-2℃(@1:42〜) 
1時間50分後、疥癬キツネ「細尾」が左から来て巣口Lの匂いを嗅いでいました。 
監視カメラの起動が遅れて、出巣Rする瞬間を撮り損ねたのか、それとも疥癬キツネ「細尾」は実は複数いるのかもしれません。
(辻褄が合わず、まるで狐につままれた気分です。) 
巣口MおよびRの匂いも順に嗅いでから、奥の農道に向かって立ち去りました。 


シーン8:3/22・午後22:05・気温-2℃(@2:07〜) 
40分後、疥癬キツネ「細尾」が軽快な足取りで枯野を左下隅に走り去りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。
巣穴Rから外に出てきた直後のようにも見えますが、それだとシーン7との辻褄が合いません。

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
積雪期には雪面がレフ板になってトレイルカメラの赤外線が遠くまで届き、暗視映像がきれいに撮れていました。 
ところが早春に残雪が溶けて地面が露出すると、赤外線が遠くまで届かなくなった結果、非常に暗い暗視動画しか撮れなくなり、もどかしいです。 

疥癬キツネ「細尾」として個体識別していたつもりだったのですが、脱毛の進行度合いが異なる複数個体のホンドギツネが出没している可能性が出てきました。 
もっときっちりキツネを個体識別できるようにならないといけません。 


疥癬キツネ「細尾」がこの営巣地で子育てを始めるのではないかと期待していたのに、残雪が溶けると留守がちになりました。
他にもっと良い営巣地を見つけたのかな?
最近では、たまに休む場所として使っているだけのようです。


つづく→

2025/02/11

疥癬に感染したホンドギツネ2頭がニホンアナグマの冬眠用巣穴を訪問【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2024年3月中旬 

シーン1:3/20・午後20:08・気温0℃(@0:00〜) 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が冬眠する営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っていると、小雪がちらつく晩に、尻尾が異常に細いホンドギツネVulpes vulpes japonica)がやって来ました。 
疥癬に感染して脱毛が進行している個体「細尾」です。 

右から来て、アナグマの巣口Lの匂いを嗅いでいます。 
巣口Lを跳び超えて、左へ立ち去りました。 


シーン2:3/20・午後20:51・気温0℃(@0:13〜) 
約45分後に疥癬キツネ「細尾」が、また左から戻ってきました。 
アナグマの巣口L、Rの匂いを順に嗅いでから右へ立ち去りました。 

尻尾の太さに注目すると、脱毛の症状が軽いので、別個体のようです。 
逆に同一個体だとすると、シーン1は尻尾が水に濡れていっそう細く(針金のように)見えただけかな? 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
近くの雪原(休耕地)でホンドタヌキの巣穴を乗っ取った疥癬ホンドギツネが、夜の二次林で餌を探し歩いているようです。 
2回とも、アナグマの巣穴には侵入しないで立ち去りました。 

ところがなんと、疥癬に感染したホンドギツネは1頭だけではありませんでした。 
「細尾」の状態(脱毛症状の進行具合)が異なる2頭がいるのです。 
話がますますややこしくなりそうです…。 
当地のホンドギツネ個体群に寄生虫(ヒゼンダニ)感染症の疥癬が蔓延していることが伺えます。
予後が悪い(死に至る)皮膚病ですから、ホンドタヌキやニホンアナグマにまで疥癬が広がらないことを祈るしかありません。
逆に、生態系の中で野生動物が増え過ぎないように(過密になり過ぎないように)個体数を抑制する重要な働きがヒゼンダニにはあるのです。


つづく→


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2025/02/02

疥癬に罹ったホンドギツネがホンドタヌキの巣穴を晩冬に乗っ取って住み着いた!【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年2月下旬〜3月上旬

雪が積もった休耕地でホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が越冬する営巣地を自動撮影カメラで見張っています。 

シーン1:2/28・午後13:02・くもり・気温7℃(@0:00〜) 
雪がほとんど溶けて、地表面が露出しています。 
白昼堂々、右からホンドギツネVulpes vulpes japonica)が登場しました。 
 尻尾の毛が抜け落ちて細く見える個体「細尾」で、疥癬の症状と思われます。 



雪原に立ち止まっている間に、左後脚で左前脚を掻いたり、そのまま座り込んで左脇腹を掻いたりしています。 
やはりヒゼンダニが体外寄生した皮膚の猛烈な痒さに悩まされているようです。 
この営巣地のタヌキに感染が拡大しないことを祈るしかありません。 
疥癬キツネは立ち上がって一旦手前の二次林に立ち去ったものの、すぐに同一個体が戻ってきました。 

今度はタヌキの巣口Mfに真っ直ぐ向かい、覗き込んで匂いを嗅いでいます。 
奥の巣口Mbおよび右の巣口Rも順に点検し、そのまま巣穴Rの中に侵入したので驚きました。 
同じキツネでも「フサ尾」個体よりも大胆でした。 
巣穴の主のタヌキから全く抵抗を受けませんでした。 
タヌキの巣穴Rを(留守中に?)あっさり乗っ取ったのでしょうか? 


シーン2:2/29・午後20:37・気温2℃(@0:45〜) 
新機種のトレイルカメラでも、画角の縦方向の動きを検知するのは苦手で、どうしても起動が遅れてしまいます。 

翌日の晩に、尻尾の毛が抜け落ちた疥癬個体の「細尾」が、営巣地からまっすぐ手前の二次林に立ち去るところでした。 
もしも出巣Rした直後だとすると、巣内で丸一日以上も過ごしたことになります。 


シーン3:3/2・午前2:04・降雪・気温-3℃(@0:52〜) 
2日後の深夜、寒の戻りで雪が降っていました。 
雪面の足跡を読み取ると、疥癬キツネの「細尾」が巣穴Rから外に出てきて手前までやって来たようです。 


シーン4:3/2・午前8:55・晴れ?・気温0℃(@1:00〜)
約7時間後の明るい朝、辺りは新雪に覆われ一面の銀世界になっていました。 
疥癬キツネの「細尾」が画面右下隅の匂い転がりポイントで立ち止まり、身震いしてから右へ立ち去りました。 

雪面が眩しくて見づらいのですが、自動色調補正を施すと、キツネの足跡が巣穴Rから手前に続いていました。(@1:07) 


シーン5:3/2・午前9:20・晴れ・気温4℃(@1:11〜)
 約30分後、快晴となり雪原は強烈に眩しくなりました。 
右下隅から登場した疥癬キツネの「細尾」が自分の足跡を忠実に辿って、まっすぐ巣穴Rに帰巣しました。 


シーン6:3/4・午前8:40・降雪・気温0℃(@1:27〜) 
2日後、雪がしんしんと降りしきる朝に疥癬キツネの「細尾」が右からやって来ました。 
いったん巣口Mbに立ち寄って中を覗き込んでから、巣穴Rの中に潜り込みました。 


シーン7:3/5・午前10:08・晴れ?・気温11℃(@1:49〜) 
翌日の朝、雪は降り止んでいました。 
疥癬キツネの「細尾」が出巣Rする瞬間をいつも撮り損ねてしまいます。 
手前の右へ立ち去りました。 

左の巣穴Lに向かって2列の足跡が付いているのに、そのシーンが撮れていないのも気になります。 (誰の足跡か不明)


シーン8:3/6・午前10:08・くもり・気温11℃(@1:56〜) 
翌朝も出巣Rシーンを撮り損ねたのか、疥癬キツネの「細尾」が手前に向かって歩いて来ました。 
奥の雪原は眩しく白飛びしていて、巣穴が全く見えません。 



シーン9:3/7・午後21:02・気温-2℃(@2:03〜) 
翌日の晩に、監視カメラが起動しました。 
前日にキツネが付けた古い足跡が巣口Mfから手前の二次林に向かって続いています。 

外出から戻った疥癬キツネの「細尾」が奥の営巣地に向かって歩く後ろ姿が写っていました。 
雪面は固く凍結していて、キツネが歩いても新しい足跡は残りません。 
身震いしてから右の巣穴Rに潜り込みました。 


シーン10:3/8・午前10:15・晴れ・気温12℃(@2:22〜) 
翌日の明るい朝遅く、疥癬キツネの「細尾」が出巣Rしたシーンをまた撮り損ねたようです。 
眩しい雪原で身震いしてから右手前に立ち去りました。(二次林内へ) 


シーン11:3/9・午前4:42・気温-3℃(@2:29〜) 
翌日の未明、左下手前から戻ってきた疥癬キツネの「細尾」が右へ回り込んでから入巣R。 
監視カメラの電池が消耗したせいで、暗視用の赤外線が遠くまで届かなくなりました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
まったく予想外の展開になりました。 
疥癬に感染したホンドギツネ「細尾」が、ホンドタヌキが越冬する巣穴Rをあっさり乗っ取ったようです。 
タヌキと違ってキツネは自力で巣穴を掘れるはずなのに、チャンスがあれば乗っ取りも辞さないのでしょう。 
タヌキと激しい争い(巣穴を巡る闘争)があったのか、少なくともこの監視カメラには写っていませんでした。 
タヌキの留守中を狙ったのでしょうか。 
以前、このキツネがタヌキの営巣地で転げ回って自分の毛皮に先住者の匂いを付けていたのは、やはり巣穴への侵入・乗っ取りが目的だったのかもしれません。 
タヌキの巣穴の乗っ取りに成功した以降、キツネは地面転がりの行動をやらなくなりました。 



あるいは、タヌキとキツネが「同じ穴のむじな」として仲良く同居しているのかもしれません。 
2種が同居したとなると、ますますヒゼンダニの感染拡大が心配になります。 
この営巣地には巣穴の入口が少なくとも4つあり、内部構造がどう連結しているのか分かりませんが、キツネはタヌキの巣穴の一部を間借りしているだけかもしれません。 
今のところキツネは巣口Rに、タヌキは巣口Mfに出入りしています。(棲み分け?)

いずれにせよ、穴居性のキツネが別種(タヌキ)の巣穴を乗っ取って住み着いたのは、巣穴を掘る労力を節約するための労働寄生と言えます。
そもそも、この営巣地は元々ニホンアナグマが掘った巣穴をタヌキが乗っ取ったのではないかと、私は疑っています。
そのキツネにはヒゼンダニが体外寄生しており、複雑な生態系を織りなしています。

キツネは夜だけでなく明るい昼間も巣外で活動しているのが意外でした。
素人の予想では、疥癬キツネの「細尾」はおそらく♀で、これから巣穴Rの中で出産しそうです。
しかし、生まれた子供も授乳など母親♀との濃厚接触により疥癬に感染してしまうでしょう。

私はまだキツネの観察歴が浅いのに、いきなりトリッキーな(入り組んだ)応用問題に直面して、困ってしまいました。(嬉しい悲鳴) 





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2025/01/25

ホンドタヌキが越冬する営巣地の端で雪面や地面を転げ回って匂い付けするホンドギツネの謎【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年2月下旬〜3月上旬

シーン0:2/20・午後13:10・くもり・気温23℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
休耕地でホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が越冬する巣穴を自動センサーカメラで見張っています。 異常な暖冬で積雪量が少なく、あちこちで地面が露出しています。 少なくとも3つの巣口(左から順にL、M、R)が点在しています。 


シーン1:2/24・午後23:40・気温-4℃(@0:04〜) 
深夜に監視カメラが誤作動したようです。 
晴れて静かな夜でした。 
新雪が積もり、雪原を往来するタヌキなど野生動物の足跡が残されています。 


シーン2:2/25・午前4:01・気温-7℃(@0:07〜) 

シーン3:2/27・午前5:57(@0:11〜)日の出時刻は午前6:12。 
夜明け前にホンドギツネVulpes vulpes japonica)がまた左から現れました。 
フサフサした尻尾を水平にピンと伸ばして歩きます。 
雪面は固く凍結しているようで、キツネが歩いても足跡が残りません。 
タヌキの巣穴がある左をちらっと見ました。 

画面の右端で、落葉したオニグルミ樹上から垂れ下がったクズの蔓の下をくぐろうとしたキツネが、後足を滑らせたように見えました(スリップ?)。 
死角で見えないのですが、足で雪を後方に掻いたようです。 
凍った雪面で転んだのかと思ったのですが、どうやら雪面に体を投げ出して転げ回っているようです。 
右の死角から雪を後方に掻いたようです。
しばらくすると、キツネが右から戻ってきました。 
再び監視カメラの死角で雪面に寝転がったようです。 
立ち上がって、タヌキの巣穴を見ています。


シーン4:2/27・午前5:58(@0:50〜) 
約20秒後に同一個体のキツネが右から来て、手前をぐるっと回り込んでタヌキの巣口Lの横を通り過ぎました。 
次は巣口Mを覗き込んで匂いを嗅いでいます。 
再び巣口Lに戻ると、鼻面を浅く突っ込みました。 
驚いたことに、巣口Lの手前でキツネは腹這いになり、雪面に体を投げ出しました。 
おそらく匂い付けの行動なのでしょう。 
それとも、わざと物音を立てて巣内に潜むタヌキの動向を伺っているのかな? 
続けて雪原を右へ回り込み、巣口Rに向かいかけたところで、1分間の録画が打ち切られました。 


シーン5:2/27・午前6:00(@1:50〜) 
約25秒後に監視カメラが再起動すると、キツネは画面の右端で再び雪原に腹這いになっていました。 
立ち上がると、タヌキの巣穴の方を見て反応を伺っています。 
巣口Mに忍び寄り、中を覗き込みました。 
右奥の巣口Rに立ち寄りかけたところで、録画が打ち切られました。 

この間、巣内の主であるタヌキは一度も外に出て来ませんでした。
専守防衛の籠城作戦なのか、それとも留守にしているのかな?


シーン6:2/27・午後17:45・気温3℃(@2:50〜)日の入り時刻は午後17:32。 
同じ日の日没直後の様子です。 
昼間はよく晴れて雪解けが急速に進みました。 
林縁に近い手前の地面が完全に露出しています。 


シーン7:2/29・午前2:45・気温-1℃(@2:54〜) 
2日後の深夜に右からキツネが登場しました。 
画面の右端で、枯草に覆われた地面に転がって匂い付けをしています。 
この個体は前回とは違い、疥癬に感染して尻尾の毛がひどく抜け落ちて細く見える個体(細尾)でした。
細尾のキツネは立ち上がると、タヌキの巣口Mを点検してから巣口Lの匂いも嗅ぎ、最後は巣口Rの窪みに飛び込みました。 
驚いた野ネズミ(ハタネズミMicrotus montebelli)?)が巣口Rから飛び出してきたのか、枯野を走って逃げ回る獲物をキツネが追い回しています。(@3:25〜) 
この時期は気温がまだ氷点下なので、休眠越冬中の昆虫が逃げ出したという可能性は除外できそうです。 
監視カメラの赤外線があまり届かないぐらい遠くて暗いです。 
動画を自動色調補正して拡大しても、逃げ回る獲物の正体が見えずに残念でした。 
狩りの成否は不明です。 
細尾キツネは、身震いしてから右に立ち去りました。 


シーン8:2/29・午前4:10・気温-1℃(@3:47〜) 
約1時間半後に、細尾のキツネがタヌキの営巣地に戻ってきました。 
画面の右端で地面を何度も転げ回っています。 
立ち上がると身震いしてから画面手前を通って左へ立ち去りました。 


シーン9:3/2・午前1:41・気温-3℃(@4:05〜) 
2日後の吹雪が降き荒れる深夜に、キツネがまた現れました。 
新雪が積もった雪面に新しい足跡が残っているのに、そのシーンが監視カメラに写っていません。 
どうやら奥から右下手前へ来たばかりのキツネの足跡のようです。 
やはり熱源が画面の前後方向に動くと、トレイルカメラのセンサーは反応しにくいようです。 

画面の右下隅の雪原でキツネが転げ回っていました。 
立ち上がったキツネは、尻尾がふさふさの健常個体でした。 
身震いしてから左へ立ち去りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
キツネが地面で何度も転げ回る行動は初めて見ました。 
キツネ関連の書籍でも読んだことがありません。 
しかし、飼い犬が散歩中に気に入った匂いが付いた地面で興奮したように転げ回る行動はよく見られます。 
イヌ科の動物で見られるこのような行動は、英語でscent-rollingまたはperfume-rollingと呼ばれているのだそうです。(確立された訳語なし)

おそらく、雪面や地面の気に入った匂いをキツネが自分の身にまとうための匂い付けの行動と思われます。 
逆にキツネが自分の匂いを残して縄張り宣言をしたいのであれば、小便を排泄していたはずです(排尿マーキング)。 
体外寄生虫対策の砂浴びだとしたら、どこでやっても良いはずなのに、わざわざ特定の地点で繰り返す理由が説明できません。
監視カメラをもう少しだけ右に向けて設置し直し、この地点を重点的に監視すべきですね。 

後に私が現場検証しても分からなかったのですが、もしかするとこの地点にタヌキが大小便を排泄していたのかもしれません。 (営巣地の端の溜め糞場)
雪面や地面に残るタヌキの小便跡の上でキツネが転げ回り、体臭を偽装しようとしていた可能性があります。 

キツネがタヌキの巣穴を乗っ取ろうと企んでいるとしたら、寄主の巣穴に侵入する前に体表を化学擬態する社会寄生性の女王蜂や女王アリを連想しました。 
暗闇の巣内では、匂いさえ同化していれば侵入しても反撃されにくいはずです。 
近くのスギ防風林の中にあるタヌキの溜め糞場wbcでもキツネが転げ回って匂い付けしているかどうか、確かめたいところですが、撮影機材が足りません。

キツネの目当てはタヌキの巣穴という不動産物件ではなく、そこに居候している野ネズミなのかもしれません。
獲物に気づかれないよう、巣口に近づく前に自分の体臭を消してタヌキの体臭を身にまとったのかもしれません。

ホンドギツネの健常個体と疥癬個体が代わる代わる同一地点で転げ回り、匂い付けしたことは、大問題です。 
疥癬の原因となる体外寄生虫のヒゼンダニが健常個体にも移った可能性があるからです。
つまり、匂い転がりをする地点がヒゼンダニの温床になってしまいます。
雪国の冬なら宿主から離れたヒゼンダニは低温で死滅してしまうかな? (低温耐性が問題になります。)
キツネにとって疥癬という皮膚病は予後が悪く死に至る病なので、事態は深刻です。 
さらには、この営巣地で暮らすタヌキの家族にも疥癬が拡大しかねません。 
困ったことになりました。 

登場した2頭のホンドギツネは行動圏が重なっていますから、もしかすると♀♂つがいなのかもしれません。
この地点で興味深い匂いを先に見つけた健常個体が転がり行動をして匂いを持ち帰り、パートナーの疥癬個体(細尾)に情報伝達した可能性も考えられます。
キツネの家族が寝床を共有したり交尾するなどの濃厚接触でもヒゼンダニは感染を広げてしまいます。




【追記】
キツネが反応したのは、タヌキの小便跡とは限りませんね。
野ネズミも自分の営巣地の周辺の決まった場所に糞尿でマーキングすることが知られているらしい。
肉眼で現場検証しても分からなかったのですが、ブラックライトで紫外線を照射すると野生動物の尿は発光するそうです。
ビタミンB2(リボフラビン)という蛍光物質が含まれているためで、紫外線照射で発光するのは野ネズミの尿に限りません。

野外にトレイルカメラを設置すると野ネズミがよく写るのですが、私はこれまでマーキング行動(排泄)を観察したことがありません。
私がただ見過ごしているだけかもしれません。
野ネズミの排泄やマーキング行動時には、以下のような特徴的な姿勢が見られる可能性があります:
  1. 後ろ足で立ち上がる姿勢
  2. 尾を少し持ち上げる
  3. 体を少し前傾させる
  4. 短時間静止する
これらの姿勢は、尿や糞を正確に配置するために必要な体勢です。
以上、Perplexity AIと相談しながら追記しました。
次回からは、ブラックライトを持参してフィールドサインを探してみようと思います。(明るい昼間でも蛍光が見えるのかな?)

2025/01/13

疥癬で毛が抜けたホンドギツネがニホンアナグマの越冬用巣穴を覗いて回る【トレイルカメラ】

 



2024年2月上旬・午後12:40頃・気温11℃ 

根雪が積もった平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が越冬する営巣地(セット)をトレイルカメラで見張っていると、白昼堂々ホンドギツネVulpes vulpes japonica)が登場しました。 

この時期のキツネはふさふさの冬毛をまとっているはずなのに、この個体は毛並みが黒っぽく、ボサボサでやや汚らしい印象でした。 
特に、尻尾の毛量が貧弱です。 
素人目には尻尾の骨が曲がっているような気もするのですけど、どうでしょうか? 
全身の毛が濡れている訳でもなさそうですし、おそらく疥癬という皮膚感染症にかかっていると思われます。 
ヒゼンダニSarcoptes scabiei)が体外寄生した結果、痒くて掻き毟り、毛が抜けていくのだそうです。 
恒温の野生動物にとって、厳寒期に毛が抜ける疥癬症は死活問題です。 
この個体は果たして雪国の冬を無事に越せるのかどうか、心配です。
半年前の夏にここで見かけた個体「細尾」の症状が進行したのかな? 

関連記事(3、半年前の撮影)▶  


アナグマの巣口は2つとも開口しているのですが、疥癬キツネはまず巣口Lを覗き込んで匂いを嗅いでいました。 
次は巣口Rへ向かうと、そこでも匂いを嗅いだだけでした。 
巣内には侵入しようとせずに、右奥の二次林へとに立ち去りました。 
もしも疥癬キツネがアナグマの巣穴に押し入ったら、中で冬眠するニホンアナグマにもヒゼンダニが移り、疥癬の感染が拡大しかねません。

塚田英晴『野生動物学者が教えるキツネのせかい』によると、
キツネが、皮膚の中にひそむダニによって引き起こされる疥癬という病気にかかっていた場合、キツネが寝場所としたところなどに飼い犬や飼い猫が接触することで、この皮膚病に感染してしまう
・しっぽがゴボウのようにとがり、全身の毛が抜けた、お化けのような姿のキツネ
・疥癬がひどくなったキツネは死んでしまいます。


【関連文献】
曽根啓子; 西村祐輝; 野呂達哉. 名古屋市内で疥癬症によって死亡したと思われるアカギツネ. なごやの生物多様性, 2020, 7: 89-92. (全文PDFが無料ダウンロード可)




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2024/09/17

キバナノアマナの花蜜を吸うキマダラハナバチの一種【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年3月下旬・午後14:40頃・晴れ 

河畔林の林床に咲いたキバナノアマナの群落でキマダラハナバチの1種(Nomada sp.)が訪花していました。 
小さくてもカラフルな蜂で、口吻を伸ばして吸蜜しています。 
他のハナバチ類に労働寄生する仲間なので、たとえ♀でも集粉しませんし、後脚に花粉籠はありません。 
咲きかけの蕾にも訪花しています。 

キバナノアマナの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:42〜) 


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2024/07/23

ゴマナの花蜜を吸い身繕いするシナヒラタヤドリバエ

 

2023年10月中旬・午後13:45頃・晴れ 

里山の林道脇に咲いたゴマナの群落で丸っこい体型の見慣れないハエが忙しなく訪花していました。 
花蜜や花粉を舐めていますが、ようやく落ち着いてくれた後半のシーンはただの休息や日光浴かもしれません。 
食事の合間に花から少し飛ぶと、近くのゴマナの葉に止まり直し、化粧していました。 

Googleレンズで画像検索すると、ヤドリバエ科のシナヒラタヤドリバエPhasia sinensia)と判明しました。 
カメムシに寄生するのだそうです。 


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2024/07/19

チャイロスズメバチ♀が林道で探餌飛翔

 

2023年9月下旬・午後13:35頃・くもり 

山林を登る砂利が敷かれた林道でチャイロスズメバチVespa dybowskii)のワーカー♀が飛び回っていました。 
草が疎らに生えた道端を低空で飛び回り、獲物を探索しているようです。 
ホバリング(停空飛翔)のようにゆっくり飛ぶので、なんとか流し撮りすることができました。 

耳を澄ますと、チャイロスズメバチ♀が羽ばたく羽音がかすかに聞こえます。 
チャイロスズメバチの羽音は、オオスズメバチやクマバチのような重低音ではなく、音程が高くて本当にハエのようです。 
おそらくチャイロスズメバチの羽ばたきは他の蜂よりも速いはずですが、ハイスピード動画で撮って比べれば違いが分かるはずです。
慣れてくると、この特徴的な羽音を聞いただけで、チャイロスズメバチが近くを飛んでいることが予想できます。 

※ 蜂の羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


チャイロスズメバチ♀の探餌飛翔を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:05〜) 
いつか狩りの決定的瞬間を撮るには、探餌飛翔を愚直に撮り続るしかありません。 

関連記事(5年前の撮影)▶ チャイロスズメバチ♀の探餌飛翔

2024/07/13

タケリタケを見つけた!【キノコ】

 

2023年9月下旬・午後12:30頃・くもり 

里山で雑木林を抜ける細い山道の横、コケの生えた所から真っ白な男根状のキノコが2本にょっきり伸びていました。 
採寸する代わりに右手を添えてみます。 
キノコに疎い私はてっきり未熟なスッポンタケかと思ったのですが、粘液は分泌されておらず、表面は乾いていました。 
私の鼻では無臭で、ハエなども集まってきていませんでした。

立派な方をGoogleレンズで画像検索してみたら、タケリタケHypomyces hyalinus)と判明しました。 
手元にあるキノコ図鑑には載ってない種類なのですが、他のキノコに寄生して成長するボタンタケ科ヒポミケス属のキノコらしい。 
もう1本の小さな赤みのあるキノコの画像で検索すると、ベニイグチがヒットしました。 
画像検索がどれだけ当てになるか分かりませんが、オニイグチ科のベニイグチを宿主として寄生したタケリタケが育ったのでしょうか? 
しかし、今回見つけたキノコの形状はテングタケ類を宿主とした場合の「タケリタケ(猛り茸)」と似ています。 

成長過程を微速度撮影してみたくなり、トレイルカメラを設置しようか迷いました。 
しかし、ここは登山客が往来する山道なので諦めました。 
こういうときに、興味があるキノコを周囲の土ごと掘り返して別な場所に移植しても、上手く育つのでしょうか? 
やってみたことはないのですが、土壌環境や微気象が変わると菌糸の本体が弱ってしまう気がします。 


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2024/06/11

身繕いしてから飛び去るキナコハリバエ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年9月中旬・午後12:45頃・くもり 

里山で荒れた林道を歩いていたら、見慣れないハエが太い丸太の断面に止まっていました。 
法面に生えていた朽木が根こそぎ風倒して山道を塞いでいたので、通行できるように一部をチェーンソーで切断したようです。 

体色がこんなに黄色っぽいハエを見たことがありません。 
背景の年輪が黄土色なので、よく紛れて保護色になっています。 
翅の前縁は黒味がかっています。 
体型が寸詰まりというか、やや頭でっかちに見えました。 

後脚同士を擦り合わせた後は前脚で複眼を念入りに拭っています。 
しばらく休んでから、今度は前脚同士を擦り合わせ始めました。 

調べてみると、どうやらヤドリバエ科のキナコハリバエSenometopia excisa)のようです。 
確かに名前の通り、「きな粉」をまぶしたような色のハエです。
白いキノコが生えかけた朽木に来ていたことに何か意味があるかと初めは思いました。(※ 追記参照)
しかしヤドリバエ科ということは、朽木と関係なくて、虫に寄生するのでしょう。 
寄主はマツカレハなど蛾の幼虫なのだそうです。
(ヤドリバエ科のハエは、左右の複眼が離れていても♀とは言えない?) 

朽木の断面から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:40〜) 
鬱蒼とした森の中はかなり薄暗かったので、カメラの設定で明るくしてから撮影したのですが、それでも暗いです。 
なかなか自発的に飛んでくれないため、痺れを切らした私はキナコハリバエの近くで手を振って飛び立たせました。 
あまりにも素早いので更に1/4倍速のスローモーションでリプレイしてみると、手前に向かって蛇行するように高速で逃げていました。 


※【追記】
後で思いついたのですが、もしもこの朽木がアカマツだとすると、切断されたことでマツ特有の芳香(松脂臭?)が辺りに漂い、キナコハリバエは本能でその匂いに誘引されたのかもしれません。
マツ類の生木さえ見つければ、マツカレハの食樹ですから、その葉を丹念に探索すれば、寄主であるマツカレハDendrolimus spectabilis)の幼虫を見つけるのは容易でしょう。


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2024/05/02

ホンドタヌキの溜め糞場に誘引され新鮮な糞を食すオオヒラタシデムシ

 

2023年8月上旬・午後12:00頃・晴れ 

防風林のスギ倒木横にあるホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場phを定点観察しています。 
スギの落ち葉が堆積した林床を1匹のオオヒラタシデムシNecrophila japonica)成虫が溜め糞場phに向かって歩いて来ました。 
新鮮な糞便臭を触角で嗅ぎ取って誘引されたのでしょう。 
 溜め糞上で獲物を待ち伏せしていた肉食性のサビハネカクシOntholestes gracilis)は慌てて逃げ、糞塊の小穴に潜り込みました。 
頭かくして尻隠さず。 
体が大きくて硬い鞘翅で守られたオオヒラタシデムシは、サビハネカクシが狩る対象にはならないようです。

溜め糞の縁に辿り着くと、オオヒラタシデムシは直ちに新鮮な糞を食べ始めました。 
咀嚼する口器の動きがしっかり見えます。 
いつも背側から見下ろすように撮影していたので、食糞シーンは初見です。 

オオヒラタシデムシの体表に付着した赤ダニ(種名不詳)が何匹も動き回っています。 
このダニはシデムシに寄生しているのではなく、ただ便乗(ヒッチハイク)しているだけです。 
…と言われているのですが、溜め糞や死骸などの新天地に辿り着いた後で赤ダニがシデムシの体から降りるシーンを私は未だ見たことがありません。 


関連記事(7年前の撮影)▶ オオヒラタシデムシに便乗するダニ 


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以下の写真は、同じ日に撮った溜め糞場phの様子です。
動画撮影を優先してから写真撮影のために近づくと、溜め糞に集まっていた虫がすべて逃げてしまいました。

2024/03/24

山道で死んでいたオオスズメバチ♀の謎

2023年7月上旬 

里山の急峻な山道でオオスズメバチ♀(Vespa mandarinia japonica)の死骸を見つけました。 
複眼が白く変色しています。 
足先以外は目立った外傷や破損がありませんし、おそらく昆虫病原菌や虫カビに感染して斃死したのでしょう。 
いつ死んだのか、死亡時期が私には分かりません。 
昨シーズンのワーカー♀が死んで雪の下に埋もれていたとしたら、夏までに死骸がここまできれいに残らず分解されてしまう気がします。 
例えば、なぜアリが群がってオオスズメバチ♀の死骸を解体し巣に持ち去らなかったのか不思議です。
それとも越冬明けの創設女王が感染してしまったのでしょうか。 
心臓破りの急坂を登る途中だったため、体長を採寸するなどじっくり調べる余力がありませんでした。 

素人目には、これから冬虫夏草の一種ハチタケが育ちそうな予感がしたのですけど、定点観察に通えばよかったですね。 
しかし山道の真ん中に転がっていたので、たまに往来する登山客やタヌキなどの野生動物に踏まれてしまいそうです。 
かと言って、もしオオスズメバチの死骸を採集して持ち帰ったとしても、室内でハチタケが成長できる最適の培養条件(温度、湿度)が分かりません。

2024/03/16

セイヨウタンポポの花蜜を吸うウラギンヒョウモン♂と謎の寄生蜂

 

2023年6月中旬・午前9:10頃・晴れ 

水田の畦道に咲いたセイヨウタンポポウラギンヒョウモン♂(Fabriciana adippe)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。
タンポポの頭花に乗ってゆっくり回り、翅を軽く開閉しながら長々と吸蜜しています。 
前翅の表側に性斑(性標)の黒条が見えたので♂と分かります。 

撮影中には気づかなかったのですが、長い産卵管を持つ黒くて小さな寄生蜂♀(コマユバチ科?)が同じセイヨウタンポポ頭花に何度も飛来、訪花していました。 
小さい寄生蜂の存在をウラギンヒョウモン♂は全く気にせず(眼中になく)、花蜜に夢中です。 
蝶の成虫に産卵するタイプの寄生蜂♀を私は見聞きしたことがありません。 
訪花中のウラギンヒョウモン♂に謎の寄生蜂♀は積極的に近づいたり触れたりしませんでした。 
チョウの♀が食草に産みつけた直後の卵に産卵するために、寄生蜂♀がチョウ♀を尾行しているとしたら非常に面白いのですが、今回のウラギンヒョウモンは♂です。 
卵に産卵するタイプの寄生蜂の産卵管は、これほど長くない気がします。 
なんとなく、鱗翅目(チョウ・ガ)の幼虫や蛹に産卵するタイプの寄生蜂のような気がします。 
したがって、今回撮れた2種のニアミスは偶然(たまたま)だと思います。 

最後にようやく飛び立ったウラギンヒョウモン♂は、すぐに同じセイヨウタンポポ頭花に舞い戻りました。 
よほど花蜜の量が多いのでしょう。 
周囲の湿地帯からオオヨシキリ♂(野鳥)やヒヨドリの鳴く声♪が聞こえます。 

寄生蜂の思わせぶりな行動をじっくり見るために、1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう(@3:00〜)。 
複数(2、3匹)の寄生蜂が繰り返し飛来していました。 
隣のタンポポの葉に一旦止まって様子を窺っている個体もいます。 
田んぼの畦道には他にも花が点々と咲いているのに、なぜ寄生蜂は特定のセイヨウタンポポの頭花に複数個体が集まり、しかも執着しているのでしょうか? 
そう考えると、やはり吸蜜中のウラギンヒョウモン♂に寄生蜂♀は興味があるのだろうと思いたくなります。 
タンポポの花に潜り込んで吸蜜していた寄生蜂が飛び上がり、ウラギンヒョウモン♂の前翅に一瞬だけ着地していました。(@3:53〜) 
果たしてこの接触事故は偶然でしょうか? 
蝶にぶつかったのは一度だけですから、蜜源植物を巡って占有行動をしている、つまり寄生蜂♀が自分よりもはるかに大きな蝶に体当りしてタンポポの花から追い払おうとしている、とは考えられません。
もしも、蝶の翅にぶつかった瞬間に寄生蜂♀が素早く産卵していたら、大発見です。 
しかし蝶の成虫に体内寄生しても、寄主の寿命が短ければ寄生蜂の幼虫が無事に育つのは難しいでしょう。 
私が気づかなかっただけで、実はこのセイヨウタンポポの花には寄生蜂♀の本来の寄主である何か幼虫(イモムシ、毛虫)が潜んでいたとか、その食痕があったのかもしれません。


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2024/01/17

タヌキの溜め糞場で多数のダニに寄生されたエンマムシの一種

 

2023年5月下旬・午前11:30頃および午後13:15頃 

平地のスギ防風林にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した巨大な溜め糞場wbc-1を定点観察しています。 

今回私の目を引いたのは、1匹の真っ黒な甲虫(成虫)です。 
体表に赤っぽいダニ(種名不詳)が多数群がっていました。 
ダニは体外寄生や吸血性というよりも、ただヒッチハイク(運搬共生、便乗)しているだけかもしれません。 
この甲虫は何でしょう? 
どなたか教えていただけると助かります。 
てっきりタヌキ溜め糞場では常連のセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)かと思ったのですが、ハネカクシのように鞘翅が短く腹端が露出していることに気づきました。 
その点でクロシデムシを連想しました。
体表に多数のダニが集ったクロシデムシの写真がネット上には多数公開されています。
しかし、クロシデムシにしては触角が違いますし、死肉食性のクロシデムシが獣糞に来るという話も聞いたことがありません。
同定のため謎の甲虫を採集すべきでしたが、採集道具を何も持ってこなかった私が「どうしよう? どうしよう?」と焦っている間に、溜め糞の中に潜り込んでしまいました。
こういうときに躊躇なく素手で捕獲できるのが筋金入りの虫屋なのでしょう。 
私はまだまだ修行が足りません。

【追記】
YouTubeのコメント欄にて、H720316氏から「ダニだらけの甲虫はエンマムシの仲間かな?」とのコメントを頂きました。
画像検索してみると、多数のダニのたかったエンマムシの写真がいくつかヒットします。
Yahoo知恵袋で他の人が写真鑑定してもらった回答が参考になったので、引用させてもらいます。
ダニの集団です。シデムシなどにもよく付着している肢が長めで全身が褐色のダニ(種は不明)と同じものと思われ、昆虫に寄生しているのではなく死体にわくウジを餌としており、自力では移動能力に乏しいため飛翔できる昆虫の体表にしがみついて乗り物として利用し、目的となる死骸に移動するものとされています。シデムシと異なりエンマムシは体表がツルツルした部分が多く上翅も体とぴったり組み合わさり隙間が少ないため、しがみつける場所が腹端くらいしかなかったのでしょう。
なおシデムシは死体を訪れて腐肉を食べるため、このダニを連れていくことで餌を巡って競合するウジを食べてもらうという双利共生の関係があるとされていますが、エンマムシの場合はダニと同じくウジを餌とするため、そのような関係には当たらないことになります。尤も死体には大抵エンマムシが食べきれないほどのウジが発生するので、餌を巡る競合までは起こらないと思われます。


溜め糞場wbc-1で多かったのは、クロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)の成虫と幼虫でした。 
クロボシヒラタシデムシの幼虫は三葉虫のような奇怪な形をしています。 
様々なハエ類も集まっていましたが、真面目に検討していません。 

それよりも、どこか近くでずっと鳴いている鳥の美声が気になりました。 
調べてみると、森林性のクロツグミ♂(Turdus cardis)の囀りさえずりのようです。 
他にはキジ♂(Phasianus versicolor)が近くの農地(休耕地?)でケンケーン♪と縄張り宣言の母衣打ちほろうち♪をする鳴き声も聞こえました。 

※ 前半部はかなり薄暗くてぼんやりした映像だったので、動画編集時に自動色調補正を施しています。 
色合いが少しどぎつく強調されてしまったかもしれません。

帰路に現場を再訪したら、近くにもう一つ別な溜め糞wbc-2を発見しました。 
隣の溜め糞wbc-1よりも規模は小さいものの、新鮮な糞が追加されていました。 
クロボシヒラタシデムシの成虫および幼虫が群がって活動しています。 
現場では気づかなかったものの、写真にはサビハネカクシOntholestes gracilis)らしき姿も1匹写っていました。

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