2024年1月下旬
シーン0:1/22・午後13:46・くもり・気温20℃(@0:00〜)
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。
平地の落葉した二次林でニホンアナグマ(Meles anakuma)が越冬する2つの巣穴を同時に1台のトレイルカメラで見張っています。
今季は異常な暖冬で積雪が少なく、林床の地面があちこちに露出していて、まるで早春のようです。
冬毛のホンドギツネ(Vulpes vulpes japonica)が昼間に登場したシーンを以下にまとめました。
シーン1:1/24・午前6:33・気温-3℃(@0:04〜)日の出時刻は午前6:47。
夜に大雪が降った翌朝は晴れていました。
日の出前でも充分に明るいのは、新雪のレフ板効果です。
左から来たキツネが、アナグマの巣口Lの辺りで新雪の中に頭を突っ込んでいました。
次に右の巣口Rに忍び寄ると、そこで匂いを嗅いでいます。
顔を上げたキツネの鼻面には、雪が付着しています。
シーン2:1/24・午前6:36・気温-2℃(@1:04〜)
1分半後に監視カメラが再び起動すると、キツネが右から戻ってきていました。
雪面の匂いを嗅ぎながら、アナグマの巣口Rの横を通り過ぎ、巣口Lに立ち寄りました。
もしかすると、アナグマの巣穴に居候している野ネズミ(ノネズミ)の匂いを嗅ぎ取って、執拗に探しているようです。
最後は獣道を手前に立ち去りました。
シーン3:1/28・午前8:27・気温0℃(@1:40〜)
4日後、小雪がちらつく朝にもキツネが現れました。
林床の雪面がいわゆる「腐れ雪」(湿雪)で歩きにくそうです。
キツネが一歩踏み出す度に足が雪の中にズボズボと沈みます。
アナグマの巣口Rが雪で埋もれ、そこだけ雪面が窪んでいます。
ホンドギツネは巣口Rの凹んだ雪面に鼻面を何度か突っ込んで匂いを嗅いでいました。
雪の下で動く獲物のかすかな物音を聞き取ってもいるようです。
やがて後足で立ち上がると、高く上げた前脚を揃えて雪面に打ち下ろしました。
これはキツネによる典型的な野ネズミ狩りの行動です。
同時に顔も雪の中に突っ込んで、逃げる獲物に噛みつこうとしています。
しかし残念ながら獲物には逃げられたようで、キツネはすごすごと右に立ち去りました。
【追記】
塚田英晴『野生動物学者が教えるキツネのせかい』を読むと、「狩りの方法」と題した章が設けられていました。
草やぶを見つめながら、まるで”ふりこ”のように、頭だけを左右にゆっくりかしげはじめます。そして、ゆっくりと後ろ足だけを曲げていき、徐々にしゃがみこむような姿勢をとったかと思うと、突然ななめ上向きにジャンプします。このとき、前肢を鼻づらの両わきにそろえた状態で、草むらの中に頭からつっ込んでゆきます。(中略)ネズミからすると、キツネの狩りの仕方は、まるで空から飛んでくるミサイル攻撃です。こうしたキツネのジャンプ、1~2mぐらいが多く、中には7.5mもの大ジャンプをすることもあります。(中略)狩りがうまくいく確率は2~3割ほどだといいます。(kindle版44%より引用)
続けて、キツネの狩りにおける聴覚の重要性について詳しく書いてありました。
関連記事(同時期の撮影)▶ ホンドタヌキの越冬用営巣地で野ネズミを狩ろうとする雪国のホンドギツネ【トレイルカメラ:暗視映像】
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