2024年2月上旬・午後12:40頃・気温11℃
根雪が積もった平地の二次林でニホンアナグマ(Meles anakuma)が越冬する営巣地(セット)をトレイルカメラで見張っていると、白昼堂々ホンドギツネ(Vulpes vulpes japonica)が登場しました。
この時期のキツネはふさふさの冬毛をまとっているはずなのに、この個体は毛並みが黒っぽく、ボサボサでやや汚らしい印象でした。
特に、尻尾の毛量が貧弱です。
素人目には尻尾の骨が曲がっているような気もするのですけど、どうでしょうか?
全身の毛が濡れている訳でもなさそうですし、おそらく疥癬という皮膚感染症にかかっていると思われます。
ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)が体外寄生した結果、痒くて掻き毟り、毛が抜けていくのだそうです。
恒温の野生動物にとって、厳寒期に毛が抜ける疥癬症は死活問題です。
この個体は果たして雪国の冬を無事に越せるのかどうか、心配です。
半年前の夏にここで見かけた個体「細尾」の症状が進行したのかな?
関連記事(3、半年前の撮影)▶
アナグマの巣口は2つとも開口しているのですが、疥癬キツネはまず巣口Lを覗き込んで匂いを嗅いでいました。
次は巣口Rへ向かうと、そこでも匂いを嗅いだだけでした。
巣内には侵入しようとせずに、右奥の二次林へとに立ち去りました。
もしも疥癬キツネがアナグマの巣穴に押し入ったら、中で冬眠するニホンアナグマにもヒゼンダニが移り、疥癬の感染が拡大しかねません。
塚田英晴『野生動物学者が教えるキツネのせかい』によると、
・キツネが、皮膚の中にひそむダニによって引き起こされる疥癬という病気にかかっていた場合、キツネが寝場所としたところなどに飼い犬や飼い猫が接触することで、この皮膚病に感染してしまう・しっぽがゴボウのようにとがり、全身の毛が抜けた、お化けのような姿のキツネ・疥癬がひどくなったキツネは死んでしまいます。
【関連文献】
曽根啓子; 西村祐輝; 野呂達哉. 名古屋市内で疥癬症によって死亡したと思われるアカギツネ. なごやの生物多様性, 2020, 7: 89-92. (全文PDFが無料ダウンロード可)
つづく→
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