2024年2月上旬
根雪の積もった休耕地でホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)の越冬用営巣地を自動撮影カメラで見張っています。
シーン1:2/2・午後22:00・気温-2℃(@0:00〜)
雪が降る晩に、タヌキが単独で雪原を手前から奥へ向かって歩いて行きます。
営巣地は新雪で覆われ、他の動物が残した足跡はありませんでした。
タヌキの足は雪面にあまり深く残らないことから、凍結した雪面にうっすらと新雪が積もっている状態だと分かります。
タヌキは 一直線に巣口Mに向かったものの、留守中に家の玄関(巣口M)が新雪にすっかり埋もれていたので、当惑したように雪面の匂いを嗅いでいます。
身震いしてから雪原をあちこち彷徨き、雪面に鼻面を突っ込んでは匂いを嗅ぎ回ります。 (迷子になった)
この映像は赤外線による暗視動画であることを思い出してください。
つまり、現場は真っ暗な夜の雪原です。
タヌキの目にはタペータムがあるので、暗くても雪明りでなんとかぼんやり見えるのかもしれません。
タヌキは巣口Mに戻ってきて前足で雪を軽く掘り、雪かきしています。
入巣Mしたかどうか見届ける前に、残念ながら1分間の録画時間が終了してしまいました。
この時点では、てっきり余所者タヌキが営巣地を訪ねて来た(家主の安否が心配?)のかと私は思いました。
シーン2:2/3・午前2:06・気温-2℃(@1:00〜)
約4時間後、日付が変わった深夜にも雪が降り続けています。
2頭目のタヌキが雪原を手前から奥へ向かう動きに、監視カメラのセンサーが反応しました。
タヌキの後ろ姿で尻尾の(付け根の)模様を見比べると、シーン1に登場したタヌキとは別個体bであることが分かります。
【参考文献】野紫木 洋『オコジョの不思議』p74の模式図
4時間前のタヌキが雪原を歩いた足跡が未だくっきりと新雪に残っていることから、この間に積雪量はほとんどなかったことが伺えます。
その古い足跡を読み解くと、営巣地から立ち去った足跡が無いので、シーン1のタヌキaは無事に入巣したのだと推理できました。
自分の足跡を忠実に辿って手前に戻った可能性も考えましたが、前後の映像を見比べても足跡が完全にマッチする(変化なし)ことから却下しました。
一方、タヌキbは先行者aの付けた足跡を辿って巣口Mに来ると、匂いを嗅いで点検しました。
周囲を見回してから、ゆっくり巣穴Mに入りました。
【考察】
採餌中のタヌキは♀♂ペアで行動を共にすることが多いです。
しかし今回は、(途中から?)別行動で採餌していたようです。
餌の乏しい厳冬期は、各自が行動範囲を広げて餌を探し歩く必要があるのでしょう。
外出から先に戻ったタヌキaが、留守中に新雪で埋もれてしまった巣口Mをなんとか探り当て、雪かきをしてから入巣Mしたようです。
4時間も遅れてようやく営巣地に戻った後続タヌキbは、先行個体の足跡を辿って、雪原を迷わずに帰巣Mできました。
つづく→
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