2023/10/28

スギ防風林でタヌキの溜め糞場を通り過ぎるニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年4月中旬 

平地の防風林でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した大きな溜め糞場wbcを新たに見つけました。 
自動センサーカメラを設置してみると、ニホンアナグマMeles anakuma)が連日写りました。

シーン0:4/14・午後16:23・気温24℃・(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
画面の中央に黒々とこんもり溜まっているのがタヌキの糞塊です。 
右奥に落葉灌木の雑木林が広がっていますが、カメラの背後はスギの防風林になっていますし、林床にはスギの落葉・落枝が敷き詰められています。 


シーン1:4/15・午前2:08・気温7℃・(@0:05〜) 
深夜に右から登場したアナグマが、地面の匂いを嗅ぎながら歩いて来ました。 
この個体はたぶん♀ですね。 
溜め糞wbcの匂いを嗅いでから、その右横で腰を落としスギの落ち葉に尻を擦り付けました。 
この行動はおそらくスクワットマーキングで、肛門の臭腺で縄張りを匂い付けしたようです。 
獣道に沿って左下に立ち去りました。 


シーン2:4/16・午後21:46・気温8℃・(@0:36〜) 
翌日は晩に左からアナグマが登場。 
この個体はたぶん♂ですね。 
タヌキの溜め糞wbcの横を素通りして(匂いも嗅がず)右へ立ち去りました。 
スクワットマーキングもやりませんでした。 


シーン3:4/17・午後23:23・気温4℃・(@0:49〜) 
翌日は深夜に左からノソノソと歩いて登場。 
タヌキ溜め糞wbcの横を素通りして、右へ。 
途中で立ち止まったものの、スクワットマーキングはしてないと思います。 
(手前に生えた灌木が邪魔でよく見えず。) 


シーン4:4/18・午前2:33・気温4℃・(@1:09〜) 
3時間10分後の未明に、今度は右から登場。 
同一個体が戻って来たのかな? 
タヌキ溜め糞wbcのすぐ手前を素通りして、左に立ち去りました。 


昨年まで里山のスギ林道で観察していた溜め糞場sでは、タヌキとアナグマが互いに張り合うように近くで排便していました。
しかし、ここでは事情が違うようで、 アナグマは排便しないで立ち去りました。 
実は数ヶ月後に判明するのですが、タヌキの溜め糞wbcの近くに(この映像ではトレイルカメラの背後に約3m)アナグマ専用の溜め糞stmpがありました。 
観察事例がまだ少ないのですけど(n=2)、私のフィールドでアナグマとタヌキが共存している里山環境では、2種が溜め糞エリアを共有してます(その中では別々に溜め糞を作る)。
アナグマやタヌキ関連の書籍でそのような排泄習性に関する記述がなかったので、興味深く観察を続けます。
特にアナグマは巣穴の近くにトイレを作ると書いてあったのに、私のフィールドでは今のところ当てはまりません。

エゾタンポポの花蜜を吸うフタモンアシナガバチ創設女王

 

2023年4月中旬・午前10:30頃・晴れ 

茎が短いまま早くも花を咲かせているタンポポの小群落が田んぼの農道にありました。 
そこにフタモンアシナガバチ♀(Polistes chinensis antennalis)が訪花していました。 
この時期に見られる♀は越冬明けの創設女王であり、ワーカー♀は未だ羽化していません。 

しゃがんで接写してみると、吸蜜する顔が黄色い花粉まみれになっていました。 
フタモンアシナガバチ創設女王が吸蜜に夢中でなかなか飛び去らないので、急ぎの用事があった私は焦れてきました。
右手の指を差し出したら、女王蜂は慌てて羽音を立てて逃げ去りました。 

タンポポを同定するために頭花をめくって総苞片を確認すると、意外にも普通種で外来種のセイヨウタンポポではなく在来種のエゾタンポポでした。 
隣の株も同種のエゾタンポポ。 
念の為に確認してよかったです。 
この組み合わせは初見。 
他の蜜源植物が咲き始めると、アシナガバチ類のワーカー♀はタンポポの花には来なくなります。



2023/10/27

スギ防風林でタヌキの溜め糞の匂いを嗅いで立ち去るホンドギツネ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年4月中旬・午前4:51・気温3℃ (日の出時刻は午前4:58)

平地の防風林でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した大きな溜め糞場wbcを新たに見つけました。 
自動センサーカメラを設置して、タヌキが通って来る様子を観察してみましょう。 
映像では落葉灌木の雑木林が広がっていますが、カメラの背後はスギの防風林になっていますし、林床にはスギの落ち葉が敷き詰められています。 

日の出直前にホンドギツネVulpes vulpes japonica)が単独でやって来ました。 
溜め糞場wbcで立ち止まると、頻りに匂いを嗅いでいます。 
タヌキに対抗して排便したり尿で匂い付けするような行動は見られませんでした。 
カメラには気づかず、右下に立ち去りました。

餌場の雪解け田んぼから助走して飛び立つコハクチョウのペア(冬の野鳥)

 

2023年3月下旬・午後15:50頃・くもり 

体重の重いハクチョウは、飛び立つ揚力を得るのに長い助走を必要とします。 
川では風上に向かって水面を走ってから飛び立っていました。 



泥濘の雪解け田んぼでコハクチョウは助走できるのでしょうか? 
しっかり踏み固められた畦道や農道を走るのかな? 
飛び立つ様子を観察したくても、雪解け田んぼに散開した大群の中で、次にどの個体が飛び立つのか予想するのは困難です。 
ひたすら長撮りを繰り返していたら、迫力のある離陸シーンがたまたま撮れてラッキーでした。 

雪解けが進む広大な田園地帯で採食するコハクチョウCygnus columbianus bewickii)の大群を撮影していると、左の方で騒々しい小競り合いが勃発しました。 
鳴きながら羽ばたき威嚇して相手を追い払います。 



その後、♀♂ペアと思われる2羽が頷くように首を上下に動かしながら鳴き交わし始めました。 
この動きがシンクロしてくると、離陸の合図です。 
横に並んでいたペアが一緒に羽ばたきながらカメラに向かって走り出しました。 
田んぼは畦道(一段高い障害物)で囲まれているので、その手前で飛び立つ必要があります。 
川から飛び立ったときよりも短い助走で済みました。 
泥濘でも地上では水面よりも走りやすくて助走のスピードが出せるのでしょう。
あるいは、この日は強い向かい風を利用できたのかもしれません。 

雪解け田んぼから飛び立ったペアを三脚カメラで流し撮りすると、横風に煽られたのか左に旋回して別の区画に舞い降りました。 
ペアは互いに少し離れて着地しました。 
着陸直後の行動に注目してもう少し長く撮り続けるべきでした…。 
それにしても、大群の中でコハクチョウはどうやってパートナーを個体識別してるのですかね?(鳴き声の声紋に個性がありそうです)

迫力のある助走からの飛び立ちを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:58〜) 
雪解け田んぼの泥水をバシャバシャ跳ね上げています。 
両足を揃えて跳ぶカワウのコミカルな助走と異なり、コハクチョウの助走は両足を交互に前に出す普通の走り方です。



最後にペアの飛び立ちを1/2倍速のスローモーションで逆再生してみました。(@1:48〜) 
てっきり喧嘩に負けたカップルが飛び立ったのかと初めは思いました。 
しかし逆再生してみると、飛び去った2羽は喧嘩したグループの中心部ではなく辺縁部に居て、しかも互いに少し離れていました。 
意外にも、ご近所トラブルで周囲の個体から直接的な攻撃を受けて餌場から追い払われた訳ではありませんでした。 
混雑する餌場で小競り合いを始めた別の2家族のとばっちりを食らい、辟易して逃げ出したような印象を受けました。 
残念ながら喧嘩が発生した理由は不明です。 
トラブルを避けるために白鳥密度の低いエリアに移動したのなら理解できるのですが(レッド・オーシャンから競争の少ないブルー・オーシャンへ)、ペアが舞い降りた先も先客が多いエリアでした。 
餌場で周囲に仲間が居ないと心細いのでしょう。 

2023/10/26

春の山道で幼獣を連れて歩くニホンカモシカ♀の鼻息威嚇♪

 

2023年4月中旬・午後14:10頃・晴れ 

春の里山で人気のない山道を私が静かに下っていると、前方の茂みから鋭い鼻息がします。 
2頭のニホンカモシカCapricornis crispus)が寄り添うように並び、藪の陰からこちらを振り返っていました。 
私の方が少し高所から見下ろす位置関係になっています。 

手前に居る個体は額の毛が茶色で角が発達していることから、成獣と分かります。 
その後ろに居る個体は額も含めて全体的に白っぽい毛皮で、角は短く細いことから、幼獣と分かります。 
つまり、この2頭は親子でした。 
カモシカの性別を外見で見分けるのはほとんど不可能なのですが、普通に考えれば母親♀が我が子(幼獣)を連れて歩いている可能性が高いはずです。 

幼獣の白っぽい毛皮は、雪国の冬山では目立たない保護色になっています。 
しかしこの時期は里山の残雪がもうほとんど溶け去り、山の落葉樹も若葉が芽吹き始めていました。 

カモシカは視力が悪いので、私がじっと撮影していると警戒を解いて私に背を向けました。(斜面の谷側に向き直った。) 
それでも耳はこちらに向けたままで、私の立てる物音に油断なく耳を澄ませています。 
左の母親♀がゆっくり先導し、続いて幼獣も一緒に斜面を下って行きました。 
つづら折れの山道は完全に雪解けした後で、周囲はスギと雑木の混交林です。 

そのまま動画を撮りながら、逃げたカモシカ親子を追跡してみます。 
山道の日陰には所々、わずかに残雪ありました。 
スギの落ち葉を踏みしめる足音をなるべく忍ばせて進みます。 
すると私の足音に反応して、カモシカがフシュ♪と鼻息を荒げる音が右下から聞こえました。 
ニホンカモシカの母子はつづら折れの山道をショートカット(近道)したようで、また再会できました。 
カモシカも立ち止まって私を見上げています。 
今度は見通しよく見下ろせます。 

母親♀は横目で私を睨みながら腹立たしげに前足を軽く踏み鳴らしました。 
これも威嚇の行動ですが、地面に落ち葉が深く積もっているため、蹄の音が響かず迫力がありません。 
続けて、鼻息を荒らげて威嚇してきました。 

母親♀がためらいがちに逃げ出すと、幼獣もついて行きます。 
最後は鼻息を荒らげながら斜面を駆け下りました。 
姿を見失ってもしばらくはフシュフシュ♪という鼻息が聞こえました。 

この間、幼獣は一度も鼻息威嚇をしませんでした。 
自分で鼻息を荒げるようになったら、一人前(成長した証)なのかもしれません。

落葉して見通しの良い時期は山中で野鳥や野生動物を見つけやすいのですが、晩春から初夏にかけて植物が生い茂ると藪に隠れてしまいます。
 
左(幼獣)、右(成獣)
左(成獣)、右(幼獣)


春の小川で水を飲むヒヨドリ【野鳥:トレイルカメラ】

 

2023年4月中旬・午後17:47(日の入り時刻は午後18:22) 

小川に架かる丸木橋を見張っている自動センサーカメラにヒヨドリHypsipetes amaurotis)が写りました。 
画面右下の赤丸に注目してください。 
西日が射す夕方に右岸の浅瀬に降り立ち、静かに水を飲んでいました。 
お辞儀をして嘴で水をすくうと、頭を上げて喉に水を流し込みます。 
この飲水行動を何度も繰り返します。 
喉の乾きを癒やすと、ヒヨドリは河畔林の方へ(左上に)飛び去りましたた。 
この間、ヒヨドリは鳴き声を発しませんでした。
やや遠いので、飲水シーンを2倍に拡大してリプレイ。(@0:32〜) 

ヒヨドリは警戒心が強いのか、無人カメラでないと飲水シーンを見せてくれません。



ヒヨドリが居なくなると、ウグイス♂(Horornis diphone)が鳴き始めました。(@0:57〜) 
姿は見えませんが、おそらく近くの笹薮に隠れているのでしょう。 
繁殖期が始まったばかりで、ホーホケキョ♪という特徴的な節回しが未だ下手糞です。 
囀りさえずりの練習をしているようです(ぐぜり?)。 
前半部のホー♪が弱かったり、逆に後半が省略されてホー♪だけだったり、ホーホケケキョ♪と「ケ」が1個多かったりと、不安定な囀りさえずりでした。 


※ 後半はウグイス♪の鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

2023/10/25

野生動物が越冬する謎の巣穴を見つけた!

 

2023年3月下旬 

平地の二次林を雪解けした早春に探検してみると、林床に謎の巣穴が2個並んでいるのを見つけました。 
この日は写真しか撮らなかったので、動画の前半部はスライドショーになっています。 

周囲に足跡や糞が見つからなかったので、もう使われていないのか、それとも巣穴の主はまだ冬眠中なのかな? 



2023年4月上旬 

17日後に現場を再訪してみると、林床の残雪はすべて溶けていました。 
ノイバラの藪が展葉を始めています。 
他の落葉灌木の樹種は未だ分かりません。 

今回は現場の様子を動画で記録しました。 
せっかちな私の悪い癖で、カメラをぶんぶん振り回して撮影してしまい、視聴すると酔いそうな映像になってしまいました。 
仕方がないので、60%のスローモーションに加工しました。 
音声が間延びしているのはそのせいです。 

片方の巣穴の方が立派に整備されています。 
巣穴の近くの林縁を浅く掘り返してあるのはトイレかと思ったのに、糞が残されていません。

巣口の形状が前回から少し変わっているので、古巣ではなく現役で使われている巣穴のようです。 
トレイルカメラを設置して、巣穴の主が何者なのか突き止めましょう。 
候補として考えているのは、ニホンアナグマMeles anakuma)、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)、ホンドギツネVulpes vulpes japonica)です。 
限られた台数のトレイルカメラをやりくりするのは大変ですが、どうしてもこの巣穴が気になるので、他所のプロジェクトを打ち切ってこちらに回すことにしました。 
カメラの設置アングルを決めるために私が営巣地を何度も歩き回ったので、もし野生動物が巣内に潜んでいるとしたら、ストレスになったかもしれません。 

監視カメラを設置した当日は何も写っていませんでした。 
警戒して巣穴に籠城しているのか、それともまだ冬眠中なのかな? 



春の池で水面を高速遊泳するミズスマシの群れ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年4月上旬・午後14:20頃・晴れ 

里山の池でヤマアカガエル卵塊の定点観察に来たら、小さい方の池でミズスマシの仲間が水面をくるくると高速遊泳していました。 
越冬明けの成虫が春の池で活動を始めたのでしょう。
水生昆虫に疎い私は、生きたミズスマシを見るのが生まれて初めてで、感激しました。 
(子供の頃に見ているかもしれませんが、記憶にありません。) 
山からの雪解け水が溜まるこの池には、前年に生えたガマの群落が枯れたまま残っています。 
この池は完全な止水ではなく、やや流れがあります。 
隣りにある大きな池からチョロチョロと水が流れ込んでいるのです。 

ミズスマシは水面を滑らかに回ったり八の字を描いたり蛇行したり、休み無く高速で遊泳しています。 
多数のミズスマシが水面で群れる性質があるらしいのですが、この池では2〜3匹しか居ませんでした。
水面で2匹のミズスマシがたまにニアミスしたときに何が起きているのか気になったので、240-fpsのハイスピード動画に切り替えてみました。(@4:35〜) 
仲間を獲物と誤認してしまうのでしょうか? 
それとも水面に自分の縄張りがあるのかな?(縄張り争い)

スーパースローで見ると、スクリューの回転のような持続的な推進力ではなく、ミズスマシの泳ぎは足で掻いて断続的に進んでいるようです。 
右回りから左回りに移行する際に8の字を描きます。

たまに爆発的にダッシュすることがあり、大きな波紋が広がります。 
しかし水面の獲物を目がけて突進する訳ではなく、目的が分かりません。 
獲物(候補)を探査するために意図的に波紋を出しているのですかね? 
潜水艦がソナーでピン音(ping)を打つ様とか、コウモリのエコロケーションを連想しました。 

池の底では黒いオタマジャクシ(ヤマアカガエルの幼生)がときどき身をくねらせて泳いでいます。 
しかし水面のミズスマシは水中に潜ってオタマジャクシを狩ることはありませんでした。 
次は捕食シーンを観察してみたいものです。 
今回は現場で手頃な生き餌を調達できませんでしたが、適当なゴミや虫を水面に落とすとミズスマシは反応するでしょうか? 
捕食中は遊泳を止めて獲物に群がるのかな? 

小さな泡やゴミ(浮遊物)が水面をゆっくり流れてくると、ミズスマシは興味を示して近づいてきます。
しかし獲物ではないと知ると、離れて行きました。


2匹のミズスマシが水面でニアミスしても激しい喧嘩や共食いにはならず、すぐに離れました。 
ニアミスする直前にピンを打っている(大きな波紋を立てている)ような気もしますが、定かではありません。
そもそも自分の出したピンが反射した波紋と相手の発したピンを区別できるのでしょうか?

 ヤマケイポケットガイド18『水辺の昆虫』に載っていたオオミズスマシの解説によると、
中・後ろあしをスクリューのように回転させて、ぐるぐる回るように泳ぐ。ぐるぐる回っているのはえさを捕まえるためと、上空の鳥と水中の魚から身を守るため。 前あしは遊泳用ではなく、水草につかまるために発達した。 
越冬形態:成虫  
ぐるぐる回ってできる波で、獲物や障害物の位置を知ることができる。

 ミズスマシの仲間は、水面の位置を堺にして複眼が上下に分かれている。この上下2対の目で、水中と空中とを同時に見ることができる。(p266-267より引用)


遊泳中にミズスマシはお尻から オナラのように泡を出して、それを腹端に付けたまま泳ぎ回っています。

泳ぐ際に水の抵抗で邪魔になりそうですけど、水中の酸素とガス交換しているのかな? 


※ 動画の順番を適当に入れ替えました。
動画ばかり夢中で撮ってしまい、同定用のストロボ写真を撮り忘れてしまいました。
高速旋回するミズスマシにきちんとピントを合わせるのは至難の業です。
ミズスマシをしっかり同定するには、網を持参して採集する必要がありそうです。

後半のハイスピード動画が長過ぎて冗長(退屈)かもしれません。 
初めての観察で嬉しくなった私は長撮りを繰り返したものの、編集でカットするには惜しくなってしまいました。 
面白いシーンはなるべく前半にお見せするように編集しました。 
ミズスマシが水面に描く軌跡をトレースしたら、各個体の縄張りが見えてくるかもしれません。 

2023/10/24

笹薮の溜め糞場で鳴かずに脱糞する春のホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月上旬〜中旬 

笹薮の繁茂する河畔林で大きな溜め糞場rpに通って来るホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の記録です。 
前回と違って今回は同じ時期でも鳴かないシーンだけをまとめています。 
単純に動画の長さを比べても、鳴かない方が多いです。
タヌキの個体識別ができていませんが、仮説として単独個体は溜め糞場で鳴かないのかもしれません。 
つまり♀♂ペアで来ると春の溜め糞場でよく鳴き交わす、という仮説を立てました。
ところが以下に示すように、すぐに反例が出てきてしまいます。 (逆も成り立たず)
やはり便秘による苦悶の鳴き声だったのかなぁ…?



シーン0:4/6・午後15:30・(@0:00〜) 
明るい日中に偶々撮れた現場の様子です。 
オニグルミ大木の下にある溜め糞がよく見えるように、手前の笹を少しだけ(最小限に)刈り取りました。 
笹の草丈がこれ以上伸びるようなら、溜め糞場rpの真上にトレイルカメラを設置し直して見下ろすアングルで監視した方が良さそうです。 


シーン1:4/7・午前4:08・(@0:05〜) 
未明に自動センサーカメラが起動すると、大木の左に回り込んで奥の笹薮に消えるタヌキaの後ろ姿が写っていました。 
その直後に別個体bが左下から登場し、溜め糞場rpで南東を向いたまま立ち止まりました。 
尻尾の動きから排便はしていません。 
その代わりに、排尿マーキングしたような気がします。(気のせい?) 
排尿時に片足を上げなかったので♀のようです。 
その間、先行個体(パートナーの♂?)は左奥の笹薮で待っていました。 
タヌキのペアは連れ立って左奥に消えました。 


シーン2:4/7・午後18:22・(@0:31〜) 
同じ日の晩には雨が降っていました。
タヌキが溜め糞場rpで南を向いて雨天排便中でした。 
大便の状態は健康そうです。 
新たに追加された固形糞が溜め糞の山から転がり落ちています。 
用を足したタヌキは右の笹薮に(西へ)立ち去りました。 


シーン3:4/8・午後18:30・(@1:05〜) 
翌日の晩には雨が止んでいました。 
左から来たタヌキが溜め糞場rpに跨ると南向きで排便し、右に歩き去りました。 


シーン4:4/8・午後18:38・(@1:53〜)
7分後。 
溜め糞場rpで排便した個体が右に立ち去る途中で立ち止まり、後脚を伸ばしました。 
排便姿勢を続けて痺れた足をストレッチ運動しているのかな? 

続けて脇腹を右後脚で何度も掻いてから、右へ立ち去りました。 
春になると吸血性ダニの活動も活発になり、タヌキはあちこち痒くなるのかもしれません。 


シーン5:4/10・午後18:39・(@2:14〜) 
2日後の晩に来たタヌキは溜め糞rpに南向きで跨がり、排便を済ますと右へ。
排便ルーチンが決まっているのは、おそらく同一個体なのでしょう。 


シーン6:4/11・午前4:43・(@2:50〜) 
翌日の未明に登場したタヌキは南向きで溜め糞rpに排便すると、大木の右横を通って笹薮の奥へ。 


シーン7:4/11・午前4:47・(@3:39〜) 
3分後、行動を共にするパートナーが左から溜め糞場rpに来ていました。 
溜め糞の匂いを嗅いでから、南西を向いて排便し、右奥へ。 


シーン8:4/11・午後18:31・(@4:16〜) 
昼間寝ていたタヌキが、同じ日の日没後に左から登場。 
溜め糞場で南西を向いて排便し、右へ。 
やや硬そうな糞でした。 


シーン9:4/14・午前4:32・(@5:06〜) 
3日後の未明に右から溜め糞場rpにやって来たタヌキが、南向きでボトボトと脱糞。 
今回は柔らかめの大便でした。 
用を足すと振り返って珍しく自分の糞の匂いを嗅ぎ、カメラ目線になりました。 
残念ながらカメラの電池が消耗していて、タヌキが立ち去る前に撮影が打ち切られました。 


シーン10:4/15・午前3:41・(@5:40〜) 
翌日の未明には♀♂ペアのタヌキが一緒に来ていました。 
カメラの起動が遅れ、1頭が大木の右横を素早くすり抜けて奥の笹薮に立ち去るところでした。 
入れ替わるように、右の笹薮から後続個体が登場。 
溜め糞場rpで立ちどまったものの、風の匂いを嗅いだだけで排便せず、身を翻して先行個体の後を追いました。 


シーン11:4/15・午前3:50・(@5:56〜) 
約9分後に左から来たタヌキが溜め糞rpの左下手前で佇み、頻りに匂いを嗅いでいます。 
南西を向いて排便体勢になったところで、撮影が打ち切り(尻切れトンボ)。 
約30秒後にトレイルカメラが再起動したときには、排便を済ませたタヌキが左下の笹薮に戻るところでした。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 



春山で出会ったホオジロ♀とカシラダカ♂夏羽の混群(冬の野鳥)

 

2023年4月上旬・午後12:35頃・晴れ 

春の里山で私が下山していると、雪解けが進む林道上で採食していたらしい野鳥が警戒して道端の落葉灌木に逃げ込みました。 
カメラでズームインしてみると、ホオジロ♀(Emberiza cioide)でした。 
止まり木(絡み合った蔓)から辺りを油断なく見回しています。 
周囲でミーミーミー♪と鳴いているのはヤマガラの警戒声ですかね?(姿は未確認) 
他にも様々な鳥の鳴き声が聞こえますが、修行不足の私には種類などを聞き分けられず残念。 
もしかすると後述するカシラダカ♂の囀りさえずりだったのかな?
(カシラダカの)地鳴きは「チッ、チッ」。越冬期の後期では日本でも囀りを聴くことができる。ホオジロやアオジ等より早口で複雑な囀りである。囀りを日本語で表記するのは簡単ではない。(wikipediaより引用)

止まり木上のホオジロ♀は 尾羽根を軽く持ち上げて少量の糞をぽとりと排泄しました。(@0:10〜) 
ときどきチチチ♪と鳴いています。(警戒の地鳴き) 
全身の羽毛を膨らませて身震いしました。(@0:45〜) 
急に左へ飛ぶと、落葉灌木の横枝に止まり直しました。 
ここまでは退屈かもしれませんが、これ以降ちょっと面白くなります。 

ホオジロ♀が止まり木から慌てて飛び去ると、 入れ替わるようにカシラダカ♂(Emberiza rustica)が右下から素早く飛来して横枝に止まりました。(@1:05〜) 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:08〜) 
秋に渡来した冬鳥のカシラダカ♂が春になって夏羽に生え変わった、と季節の変わり目でややこしい状況です。 
逃げたホオジロ♀は少し右の横枝に止まり直していました。 
留鳥のホオジロと冬鳥のカシラダカは同属なので、混群を形成することがあるそうです。 
実際に一緒にいるところを見たのはこれが初めてでした。 
しかし、今回カシラダカ♂の登場シーンは素人目にはホオジロ♀に対して敵対的でした。(止まり木から追い払った?) 
目立たないホオジロ♀の存在に気づかずにカシラダカ♂が藪に飛び込んだだけかもしれません。
あるいは誤認求愛しそうになったのでしょうか?
春になって繁殖期が始まっても同属で混群を形成したままだと、異種間で誤認求愛のトラブルが起こりそうな気がします。
近縁種の混群と生殖隔離は相容れないと思うのですが、繁殖期前の冬季限定なら上手く行くのでしょう。

カシラダカ♂は鳴きながら嘴を足元の止まり木で拭い、白い糞をポトリと排便しました。(@1:45〜) 
枝から枝へピョンピョン跳んで移動するカシラダカ♂を、見失ってしまいました。 

その一方、ホオジロ♀は止まり木からしばらく動きません。 
それでもしつこく撮り続けると、少し飛んで右の枝先に止まり直しました。 
次は枯草に覆われた地面に飛び降りたようですが、保護色でホオジロ♀を見失いました。 
最後に2羽の脱糞シーンと飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@3:36〜)

この2羽だけでなく、周囲にはもっと多数の個体が居ました。
混群の活動を記録するためにはもっと広角で全体を撮った方が良いのかもしれませんが、鳥の個体レベルの行動に興味があって同定に自信のない私は、なるべくズームインしたくなってしまいます。 
山林の日陰や窪地には未だ残雪が多いです。

2023/10/23

日没後に春の里山で活動するホンドギツネ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年4月中旬 

里山でカモシカの溜め糞場srを見張っている自動センサーカメラにホンドギツネVulpes vulpes japonica)が写りました。 


シーン1:4/7・午後16:56・気温12℃ 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 


シーン2:4/11・午後18:36・気温11℃ 
奥に見えていた残雪がかなり溶けました。
日没後にキツネが単独で現れ、軽快な早足で右から左へスギの背後を横切りました。 
早足のため、トレイルカメラの起動が間に合わなかったのが残念でした。 
カモシカの溜め糞場には全く興味を示さずに通り過ぎました。 
ちなみに、日の入り時刻は午後18:13。 

短い登場シーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 
タヌキの歩き方とは明らかに違います。 

※ 後半は動画編集時に自動色調補正を施して明るくしています。 


この地点でホンドギツネが写ったのは初めてですが、少し離れた地点(タヌキおよびアナグマの溜め糞場s)では厳冬期に2回撮れているので、たまにこの辺りに遠征してくるようです。 
肉食性の強いキツネは雑食性のタヌキよりも里山での生息密度がかなり低い印象です。 






廃屋の庭をうろつくキジ♂(野鳥)

 

2023年4月上旬・午後14:30頃・晴れ 

山麓の農村部で廃屋の荒れ果てた庭をキジ♂(Phasianus versicolor)がうろついていました。 
ばったり出くわしたときには近過ぎて、お互いにビックリ!
警戒して、採食行動もなかなかしてくれません。 
ハトのように1歩ずつ頭を動かしながら歩き始めました。 
倒木の陰でようやく何か餌を啄みました。 
立ち止まって背伸びしたので、縄張り宣言の母衣打ちするかと期待したものの、私を気にしてか披露してくれませんでした。 
私から隠れようと物陰に移動したがります。 

背景が緑の草むらでもキジ♂の赤い顔が一際目立ちます。 
よく晴れているため、キジ♂の豪華な羽の色が美しく輝いています。 

庭の地面を覆うように伸び始めた緑の園芸植物?が気になります。 
見覚えがあるのに名前が分かりません。 
手前に植栽された落葉樹は、幹に棘があるのでタラノキだと思います。

2023/10/22

昼も夜も吹雪でも溜め糞場を素通りして春山の縄張りを巡回するニホンカモシカ 【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月上旬〜中旬

里山に植林されたスギ林の上端部にて、カモシカの溜め糞場srを自動センサーカメラで監視しています。 


シーン0:4/3・午後12:00・気温19℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
斜面を下から見上げるアングルで、対面に見えるスギ大木の下に溜め糞場srがあります。 
(立木の影が濃くて見えにくいですね。)
木の根元から雪が溶けていき、斜面の上部には未だ残雪が広がっています。
冬に冠雪の重みで折れた太い枝が右下に転がっています。 


シーン1:4/3・午後23:44・気温3℃(@0:05〜) 
深夜に右から登場したニホンカモシカCapricornis crispus)はスギの落ち葉を踏みしめながら溜め糞場srを素通りし、左下に立ち去りました。 


シーン2:4/4・午後22:23・気温7℃(@0:18〜) 
翌日も晩遅くにカモシカが右奥から登場。 
起動したトレイルカメラに気づいたようで、スギの木の右で立ち止まり、左前脚を上げた状態でフリーズしていました。 
警戒を解くと、スギの木の背後を通って左に歩き去りました。 


シーン3:4/6・午前10:42・気温12℃(@0:38〜) 
2日後は明るい午前中にカモシカが左からやって来ました。 
残雪の上ではなく露出した地面をゆっくり歩いてスギの背後を右へ。 
雪崩谷の岸に立つスギの下で立ちどまり、幹に顔をゴシゴシ擦り付けて眼下腺マーキングしたようです。 
残念ながら画角の外に肝心の頭部が見切れてしまいました。 
この後、カモシカは雪崩の残雪で埋もれた渓谷を渡ったでしょうか? 
春先の溶けかけたスノーブリッジこそ踏み抜いたり崩落したりする危険が最も高いので、カモシカの安否が心配です。 


シーン4:4/7・午前3:52・気温8℃(@1:05〜) 
翌日の未明にカモシカがスギの背後を左から右へ通過しました。 
どうやら同じ巡回ルートを辿っているようです。 
赤外線が遠くまで届かず、右端で眼下腺マーキングしたかどうか不明です。 


シーン5:4/9・午前2:28・気温-1℃(@1:25〜) 
2日後の深夜、寒の戻りで吹雪が横殴りに降っています。 
気温も氷点下まで下がりました。 
しかし地温が高いため、林床に降った雪はすぐに溶けてしまい積もりません。 

悪天候でもニホンカモシカはいつものコースでスギの背後を左から右へ。 


シーン6:4/10・午後15:33・晴れ・気温13℃(@1:49〜) 
翌日の午後はよく晴れました。 
標高が高くなくても春の里山は寒暖差が激しいです。 
カモシカが珍しく右から登場しました。 
スギの木の右下に立ち止まって耳をそばだてながらカメラをちらっと見ました。 
スギの背後を通って左へトボトボと立ち去りました。 


シーン7:4/13・午前11:12・晴れ・気温12℃(@2:14〜) 
3日後の晴れた昼前に来たカモシカは、スギの背後を通って右から左へ。 
歩きながら左耳をピクピク動かしたのは、顔の周りを飛び回る吸血性の昆虫を追い払ったのでしょう。 
春になって気温が上がると吸血性の昆虫が再び活動を始めるので、哺乳類の野生動物にとって煩わしい季節が始まります。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 

私の予想(期待)に反して、カモシカはなかなか溜め糞場srで排便してくれません。 
溜め糞をするのは冬季限定なのかな?
それとも溜め糞場という推測がそもそも間違っていたのでしょうか? 
個体識別できていないので、同一個体のカモシカが繰り返し写っているのか複数個体なのか分かりません。



台所の濡れ布巾を舐めて吸水するイエユウレイグモ(蜘蛛)

 

2023年4月上旬・午後23:20頃 

深夜に水を飲もうと暗い台所に行って照明を点灯すると、驚きの光景を目にしました。 
皿を洗ってから、キッチンカウンター(ワークトップ)の水滴を拭いた雑巾を絞って広げ、乾かしています。 
その上でなんと、イエユウレイグモPholcus phalangioides)が吸水していたのです。 
イエユウレイグモの飲水行動は初見です。 
というか、そもそも造網性クモが自発的に水を飲むシーンを見たことがありませんでした。
慌ててカメラとハンディカムを持ってきて、薄暗い台所で動画撮影することにしました。

補助照明としてハンディカム内蔵の白色LEDを点灯しても、かなり薄暗いです。 
ハンディカムを近づけても、クモは逃げませんでした。
歩脚が長いイエユウレイグモが、うずくまるような前傾姿勢で濡れ布巾に口を直接付けています。 
天井からぶら下がっている「しおり糸」は見えませんでした。 

まったく動かないので、死んでいるのかと心配になりました。 
雑巾の繊維に絡まって身動きできないのでしょうか? 
私が左手の人差し指でイエユウレイグモの歩脚にそっと触れると、慌てふためいて「引き糸」を登り返し、シンク(流し)の真上から照らす蛍光灯のフードに辿り着きました。 
その辺りにはイエユウレイグモの不規則網が張り巡らされているのですが、映像では見にくいです。 
大慌ての逃避行動を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:09〜) 

この個体は喉が渇くと不規則網から夜な夜なシンクに懸垂下降して水分補給しているのでしょうか? 
監視カメラを設置してみたら面白そうです。
もし私が邪魔をしなければ、濡れ雑巾から延々と吸水を続けていたかもしれません。
濡れ雑巾は決してきれいではなく、アンモニア臭(雑巾臭)がしたりします。
イエユウレイグモはむしろ、雑巾が吸い取ったミネラル成分やアンモニアなどが気に入って摂取していた可能性もありそうです。

時期的にイエユウレイグモの幼体または亜成体と思うのですが、しっかり調べるためには一時捕獲して採寸したり外雌器の状態を精査しないといけません。
少なくとも触肢の発達した成体♂ではありませんでした。

世の中にはイエユウレイグモをモデル生物(実験動物)として飼育している研究者もいるそうです。
飼育下ではどうやって水を飲ませているのでしょうね?


関連記事(8、9、12、14年前の撮影)▶ 

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