2020年7月中旬・午後17:10頃・くもり
市街地の歩道や街路樹の下に点々と作られた小さな花壇でマツバギクの花が一面に咲いていました。
そこでセイヨウミツバチ(Apis mellifera)のワーカー♀が羽音を響かせながら訪花していました。
吸蜜して回る蜂の後脚に注目すると、初めは空荷だった花粉籠に黄土色の花粉団子が次第に溜まってきます。
横の車道は交通量が結構多いので、車が通る度に突風(乱気流)に吹き飛ばされるようにミツバチが逃げてしまい、撮影に手間取りました。
花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:19〜)
次の花へ向かって飛びながら、空中で後脚を擦り合わせていました。(@1:33)
2020年7月中旬・午後15:35頃・くもり
河川敷の舗装路で小さなコオロギのような見慣れない虫を見つけました。
マクロレンズを装着して接写してみると、カワラスズ♀(Dianemobius furumagiensis)という初物でした。
短翅なのは未だ幼虫だから?と思ったりしたのですが、腹端に赤褐色の産卵管が真っ直ぐに伸びているので♀成虫ですね。
水たまりの横の濡れた路面で立ち止まり、身繕いを始めました。
左の触角を口で掃除したり、右前脚で顔を拭ったりしています。
跳躍シーンを撮りたかったのに、私がちょっと目を離した隙にカワラスズ♀は草むらに逃げ込んでしまいました。
『バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑』でカワラスズを調べると
マダラスズに似るが、やや大きく、翅の基部が白い。(中略)礫の積み重なったところにすみ、河川の中流の河原や鉄道の線路敷石の間にいる。チリチリチリ…と鳴く。秋に成虫。本州、四国、九州に分布する。(p293より引用)
この時期に成虫が見られるのは早いのでしょうか?
中流域に生息するとのことですが、撮影現場は確かに上流が中流に移行する場所です。
これまで川沿いで出会った様々な昆虫や水鳥の生息状況を総合的に思い返してみても、確かに上流域を好む種類と中流域を好む種類の両方が見られます。
2020年7月中旬・午後15:30頃・くもり
河原のヨシ原に混じって咲いているヒヨドリバナの小群落で見慣れない謎の狩蜂が訪花していました。
スズバチにしては、斑紋がオレンジ色ではなく黄色です。
脚(脛節、跗節)も黄色でした。
顔を正面から見せてくれず、性別不明です。
吸蜜後は触角を前脚で撫でてからすぐに飛び去ってしまいました。
一瞬の出会いを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
アトボシキタドロバチ本土亜種(Allodynerus delphinalis delphinalis)と似ていると思うのですが、どうでしょうか?
足の色が決定的に違います。性差なのかな?
▼関連記事(7年前の撮影)
ハナトラノオの花蜜を吸うアトボシキタドロバチ♀
一緒に訪花していたもう1匹、別種の小型の狩蜂も撮影アングルがいまいちで特徴を捉え切れず、名前が分かりません。

2020年7月中旬・午後16:30頃・くもり
郊外の歩道で街路樹ハナミズキ(別名アメリカヤマボウシ)の根元が点々と小さな花壇になっていて、サルビア(スカーレットセージ)の赤い花が咲いていました。
サルビアの花壇で2羽のスズメ(Passer montanus)がホッピングで歩き回り、餌を探していました。
2羽とも頬の黒い成鳥です。
嘴で土を掘って虫や種子を探してるようです。
地面に散乱したサルビアの赤い花弁や、ハナミズキの落ち葉を嘴で払い除けて、下に隠れた虫を探しているのでしょう。(落ち葉めくり行動)
1羽のスズメが飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
残る1羽は探餌採食を続けます。
実はスズメが砂浴びをするかと期待して動画を撮り始めたのですけど、私の予想が外れました。
ふと思いついた仮説ですけど、もしかするとスズメは花壇の土で砂浴びがしたかったのに、近くで見ていた私を警戒して採食するフリをしていたのかもしれません。(考え過ぎ?)

2020年7月中旬・午後15:25頃・晴れ
河川敷に咲いたブタナの大群落でクロマルハナバチ(Bombus ignitus)のワーカー♀が忙しなく訪花していました。
この組み合わせは意外にも初見です。
顔はオレンジ色の花粉で汚れているものの、後脚の花粉籠は空荷でした。
忙しなく飛び回る上に、ハチが花に止まると細い茎がしなるため、ズームするとピントが合う前に次の花へ飛んで行ってしまいます。
2匹目は通常マクロモードで追いかけながら撮影してみました。(順序を逆にしてお見せします。)
低い羽音がブーン♪と間近に聞こえても、ハナバチならば無闇に恐れる必要はありません。
採餌中のハナバチはとにかく忙しいので、ヒトのことなんか眼中に無いのです。
【追記】
この花の名前を長らくオオジシバリだと思い込んでいたのですが、外来種(帰化植物)のブタナと分かったので訂正しておきます。
2020年7月中旬・午後14:15頃・くもり
堤防路の道端に自生するグンバイナズナにナガメ♀♂(Eurydema rugosa)の群れが集まっていました。
ナガメはアブラナ科の植物で好んで群がり吸汁するので納得です。
花が咲き終わって軍配状の実が付き始めています。
カメラをマクロモードにしてレンズを近づけると、ナガメは慌てて茎を登り降りしたり飛んで逃げたりしました。
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:56〜)
茎の先端から翅を広げて飛び立っても密生した隣の茎にぶつかり、少し登ってからまた飛び立つ、を繰り返してようやく飛び去りました。
2020年7月中旬・午後14:00頃・晴れ
民家の庭の花壇に咲いたキクイモモドキにオオハキリバチ♀(Megachile sculpturalis)が訪花していました。
この組み合わせは初見です。
吸蜜する蜂にカメラのレンズを近づけたら、ブーン♪という羽音とともにすぐに飛び去ってしまいました。
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
背側からしか撮れなかったので、腹面のスコパに花粉を付けていたかどうか不明です。
2020年7月中旬・午後17:00頃・くもり
郊外にある某店舗の赤いトタン屋根の天辺(棟)の端に2羽のハシボソガラス(Corvus corone)が並んで同じ方向を向いて止まっていました。
右の個体Rが左の個体Lに対して優しく羽繕い(キスするように嘴で相手の顔に触れた)したので(対他羽繕い)、おそらく♀♂番なのでしょう。
性別を見分けられないのが残念です。
お返しの羽繕いが無かったので、「相互羽繕い」ではありません。
続けてRは左足を持ち上げて顔を掻き、自分で羽繕いしました。
やがてRは飛び立ち、少し離れた屋根に止まり直しました。
独りになったLは屋根の棟をトコトコ歩いて左へ移動。
ヒョイと飛び上がり、一番高い天辺に止まりました。
縄張りを見張るのに絶好の場所です。
それにしても、屋根の形状がユニークですね。

2020年7月中旬・午後15:05・くもり
庭木のナツメにオオフタオビドロバチ(Anterhynchium flavomarginatum)が忙しなく訪花していました。
吸蜜して回ります。
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
蜂の性別は?(触角の先が鈎状に曲がっている)
曇り空でやや薄暗い上に風が吹いて枝が絶え間なく揺れ、動画での虫撮りには最悪の条件でした。
ナツメは梅雨時に咲く花らしいので、仕方がありません。

2020年7月中旬・午後17:05頃・くもり
郊外の道端の庭先に咲いたヒヨドリバナの群落でヤマトツヤハナバチ♀(Ceratina japonica)が訪花していました。
ヒヨドリバナの個々の小さな花に丹念に正当訪花を繰り返し、吸蜜して回ります。
吸蜜シーンをマクロレンズで接写してみると、暗褐色の舌が意外と長いですね。
後脚のスコパ(花粉採集毛)は空荷で花粉を付けていませんでした。
花から飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:45)
顔正面を接写したときの頭楯の黄紋から、キオビツヤハナバチではなくヤマトツヤハナバチ♀と確定しました。
不思議なことに、私は未だキオビツヤハナバチと出会ったことがありません。
今回の撮影地は山地ではなく平地で、時刻も曇りの夕方でした。
これは坂上昭一・前田泰生『独居から不平等へ:ツヤハナバチとその仲間の生活』という専門書にヤマトツヤハナバチの習性として書かれた内容にことごとく反しています。
(撮影地がオープンランドか林縁のどちらか?と問われると、強いて言えば庭木の多い林縁かもしれません。)
・おもに林縁に営巣するヤマトと、対象的に開けた草地を好むキオビ(p73より引用)
・採餌は晴天の日の、それも主に午前中にしかやらない。(p78より引用)
・営巣場所では、ヤマト・クロのように林縁好みの種と、キオビ・イワタ・オキナワのよ9うなオープンランド好みの種とある。(p98より引用)
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長い舌を伸ばして吸蜜 |
2020年9月中旬
初夏(5〜6月)に咲く花であるはずのタニウツギが季節外れに咲いていました。
河原の遠く離れた2箇所に自生する灌木で、狂い咲きしているタニウツギの花を違う日に続けて見つけたので、気になりました。
あまり記憶になかったので、過去のフィールドノートを全文検索してみると、6年前の「2014年10月中旬に里山の林道沿いで季節外れのタニウツギの花が数輪、開花していた」との記録が一例だけ残っていました。
残念ながら証拠写真を撮らずに素通りしていました。
どうしても異常気象と結びつけたくなりますが、2014年と2020年に何か共通した気象条件があるのかな?
それとも、実は探せばタニウツギの狂い咲きは結構よくあることなのでしょうか?
フィールドで気になることは何でも記録しておくことの大切さを実感したので、ブログに残しておくことにします。
季節外れに狂い咲きした虫媒花を訪れる昆虫がいるのかどうか、結実するのか?というのは興味深いテーマです。
ジェネラリストの送粉者はともかくスペシャリストはきっと少ないだろうと予想されるので、かなり長時間粘って観察する必要がありそうです。
※ この記事は動画無しの写真ネタです。
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この株では多数の花が咲いている@地点a |
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5日後@地点b |
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この株では2輪だけ咲いている:全景@地点b |
2020年7月中旬・午後15:30頃・くもり
河川敷の舗装された歩道に出来た浅い水溜りに小さな虫が多数集まっていました。
てっきりアメンボの幼虫かと思いきや、戯れにカメラでズームインして見ると小さなハエの群れでした。
複眼は赤っぽく、全身は黄土色のようなやや緑がかった金色でした。(晴れていたら色味が変わって見えるかもしれません。)
アメンボのように水面に立って浮いてます。
その証拠に、風が吹くと水面を流されて行きます。
互いに至近距離にニアミスしても、争いや交尾行動は見られませんでした。
ただしアメンボのように自力で水面を遊泳する能力は無いようで、たまにピョンピョン飛び跳ねていました。
1匹が跳ぶと連鎖反応で近くの群れが跳びはね、水面に波紋が広がります。
跳躍するミギワバエを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:08〜)
水面で口吻を激しく出し入れしていました。
水底の泥を舐めているのか、水を飲んでいるのか、撮影中は分かりませんでした。
帰宅後に調べてみるとミギワバエ科の一種で、水中の藻類を採食しているのだそうです。
(ニセミギワバエ科の可能性は?)
海から遠い内陸部(川の上流域)なので、この水溜りは間違いなく淡水です。
最後にちょっとした実験を試してみました。
持参した電動歯ブラシで水溜りの水面に振動を与えてみたのです。
ミギワバエは捕食性(肉食性)ではないので、アメンボのように振動に反応して集まって来ることはありませんでした。(映像なし)
▼関連記事(1ヶ月後の撮影)