2019/12/14

クロウリハムシの食前トレンチ行動と脱糞【10倍速映像】



2019年8月上旬・午後16:57〜18:00


▼前回の記事
クロウリハムシがカラスウリの葉でトレンチ行動を始めるも…

河川敷でマサキの生垣を覆うように繁茂したキカラスウリの群落でクロウリハムシAulacophora nigripennis)が葉の表側に静止していました。

これから食餌を始めそうなので、食前にやるトレンチ行動の一部始終を微速度撮影で記録してみました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい。
お急ぎの方は冒頭をスキップして@2:40からご覧下さい下さい。

トレンチ行動とは、植食性昆虫の一部が食前にやる下処理です。

自分のまわりに円形の溝を掘って、しばらく待ってから内側だけを食べる。
例のトレンチ行動というやつで、植物たちの緊急防御物質(摂食阻害物質)を少しでも減らそうという魂胆。 (森昭彦『イモムシのふしぎ ちいさなカラダに隠された進化の工夫と驚愕の生命科学 (サイエンス・アイ新書)』p152より引用)



このキカラスウリの葉は少し高い位置に生えていたので、三脚の高さを最大まで伸ばしても残念ながらベストな撮影アングルを確保できませんでした。
欲を言えば真上から見下ろすアングルで撮りたかったのですが、仕方がありません。
食草キカラスウリの葉を蔓ごと一部採取して花瓶に活けた状態では切り口から摂食阻害物質が水に流出してしまうため、飼育下で観察しようとしてもクロウリハムシがトレンチ行動をやらなくなってしまうかもしれません。
どうしてもフィールドで撮影しないといけないのです。

撮影開始時にクロウリハムシは葉の縁に近い所に止まっていて、周囲には既に丸い噛み傷のようなものも見えました。
何度も繰り返して念入りに丸い弧を描くのでしょうか?
気になるのは、これから食べるであろう部分にリーフマイナー(潜葉虫、葉もぐり虫、絵かき虫)の食痕のようなものが見えることです。
もっときれいな葉を選べば良いのに、クロウリハムシは無頓着なのでしょうか?

実はクロウリハムシは純粋な草食性ではなくて捕食者でもあるのかな?


それとも撮影前にクロウリハムシ自身が少し食べたのかな?
どうも今回は見逃した点がいくつかあるようなので、次回は飛来したクロウリハムシが食べる葉を選ぶところから観察したいものです。

やがてクロウリハムシが腹端を持ち上げると、白くて細長い糞をニュルニュルと排泄しました。(@1:13)
金魚の糞のように、しばらく腹端(肛門?)に付着しています。
その後はしばらく静止しているだけです。
別個体が近くの葉に飛来し、少し徘徊して飛び去りました。
再び脱糞しました。(@2:31)


急に眠りから覚めたように体の向きを変えると(@2:44)、葉の縁から新たに猛然とトレンチ行動を始めました。(@2:51)
葉の表面を口器で噛んで浅い溝を掘り、その溝は円弧を描いていきます。
ただしコンパスで描いたような真円ではなく、大雑把な形でした。
後ろ向きになると、トレンチ行動をしながら腹端から白くて細長い糞をニュルッと排泄しました(@3:24)
これから食べる部分を自分の排泄物で汚しても、気にならないのでしょうか?
昆虫の衛生観念はよく分かりません。
円弧を描き終わると、身繕いを始めました。(@4:08)
つづいて横向きで脱糞。(@4:12)

トレンチを掘りながら丸く一周してもハキリバチの巣材集めとは異なり、葉をくり抜いた訳ではなくて表面に傷をつけただけです。

これ以降は後ろ姿でひたすら静止しているだけのように見えますが、葉を食べているのかもしれません。
このアングルでは肝心の口元が見えないのが残念です。
身繕いをしているのは(@5:00)、口元に付着した植物の粘液(防御物質)を拭き取っているのかもしれません。
葉を食べながら?また脱糞しました。(@5:04)
再び脱糞。(@5:53)

今回は別個体が飛来しても干渉されず、トレンチ行動をじっくり観察することができました。
排泄の頻度が高いことが意外でした。
自分が排泄した糞を払い除けながら葉を食べ進むのか、見届けることができませんでした。
納得できる作品が撮れるまで、また来年もチャレンジするつもりです。


クロウリハムシ@キカラスウリ葉上+トレンチ行動
クロウリハムシ@キカラスウリ葉上+トレンチ行動

路上で排便する野生ニホンザル



2019年7月下旬・午前6:55

山麓の林道で私が気配を感じて振り返ると、親子?のニホンザルMacaca fuscata fuscata)a,bが路上に座っていました。
左の山林からもう1頭の若い子猿cが走って路上に現れ、仲間に合流しました。
立ち上がって歩き去り始めた成獣aの股間に立派な睾丸が見えたので、♂と判明。
子猿同士b,cが出会い頭に抱き合い、ふざけて格闘したものの、すぐに離れました。
仲良しの兄弟なのかな?
この格闘遊びの間、右側の個体cが肛門から脱糞していました。(@0:20〜0:29)
少し柔らか目の大便でした。
「今ウンコしてるんだから邪魔するなよ〜」と言ったかどうか不明です。
野生ニホンザルが排便する瞬間を観察できたのは珍しいです。


▼関連記事(7年前の撮影)
首輪をした野生ニホンザルのトイレ(排便)

そのまま3頭が一緒に林道を向こうに遊動して行きます。
先行する子猿bが走り去り、姿が見えなくなりました。

成獣♂aが再び路肩に座り、斜面の下に広がる杉林を眺めています。
子猿cは成獣♂aに遠慮して迂回するように追い越しました。
成獣♂aがノシノシと歩いて近づくと、子猿cがビクッと驚き歯を剥いて怯えた表情になり(泣きっ面)、慌てて急斜面へと少し逃げて年長者に道を譲りました。
すぐに林道に戻って来た子猿cが路上に座ると、また少量排便しました(@1:15)
脱糞するほど成獣♂の鉄拳制裁が怖いのでしょうか?
ニホンザルの社会は礼儀にうるさいのだそうです。

私は子猿の性別を見分けるのが苦手なのですが、個体b,cの性別が分かる人がいらっしゃいましたら教えて下さい。

ニホンザルの排便は、必ず座ってするのかな?
群れから一時的に離れ物陰に隠れて独りでやるのではなく、遊動中にごく自然に行われました。
ヒトとは異なり、排便中の羞恥心はニホンザルには無いのでしょう。
イヌのように排泄した糞の上に土や落葉などをかけて隠す行動もしませんでした。


そのまま2頭a,cの観察を続けると、またちょっと面白い事件が起こりました。
つづく→対他毛繕い中のニホンザルがハシブトガラスの鳴き声を聞くと…(野鳥)


ニホンザル子猿bc@路上+格闘遊び+脱糞
ニホンザル成獣♂a+子猿c@路上ニアミス+怯えの表情

エンジュの花蜜を吸うトモンハナバチ♂



2019年8月中旬・午後17:55

民家の裏庭に咲いたエンジュトモンハナバチAnthidium septemspinosum)の雄蜂♂も忙しなく訪花していました。
一瞬の出会いだったので、1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
顔色は見えなかったものの(♂は白い)、腹部の紋が12個なのが雄蜂♂の特徴です。
♂は集粉しませんから、腹部下面にスコパはありません。
夕方の西日を浴びながら吸蜜していました。

▼関連記事
エンジュの花で採餌するトモンハナバチ♀




2019/12/13

アオムシを狩るエントツドロバチ♀



2019年8月中旬・午後16:12

川沿いの小径を飛び回っていたエントツドロバチ♀(別名オオカバフスジドロバチ;Orancistrocerus drewseni)が道端に生えたニセアカシア(別名ハリエンジュ)幼木の葉に止まりました。
探餌飛翔から獲物を仕留める決定的瞬間を撮れずに残念でした。
(映像はここから。)
蜂は腹部を屈曲させて毒針で獲物を刺していました。
イモムシ(蛾の幼虫)が麻痺すると、蜂は大顎で少し獲物を噛みほぐしました。
獲物の腹端付近を咥えると葉上で向きを変え、獲物を抱えて飛び立ちました。
…と思いきや、すぐ上のニセアカシアの葉に一旦止まり直しました。
すぐにまた飛び立つと、今度は巣に向かって飛び去りました。
飛び立つ瞬間をまずは1/5倍速のスローモーションでご覧下さい。
その後に等倍速でリプレイ。
麻酔した獲物を前後逆向きに抱えて運搬していました。
狩蜂が麻酔手術を施した舞台となったニセアカシアの葉には幼虫から滲み出た体液が少し付いていました。

飛び去るエントツドロバチ♀を見失ってしまったので営巣地を突き止められませんでしたが、泥巣の中に麻酔した獲物を何匹か貯食し、そこに産んだ卵から生まれてくる我が子(幼虫)の餌とするのです。
私はこれまで普通種エントツドロバチ♀の営巣習性を色々と観察してきましたが、狩りのシーンだけ縁がありませんでした。
今回ようやくミッシング・リンクがつながり、悲願達成です。



さて、エントツドロバチに狩られた獲物の正体は何でしょう?
短い映像からでも見分けられる達人がいらっしゃいましたら是非教えて下さい。
全体的に緑色のアオムシで、頭楯は黒色でした。
白い線が縦に走っています。
私は蛾の幼虫だと思ったのですが、ハバチの幼虫という可能性もありますかね?
幼虫の食餌植物がニセアカシア(ハリエンジュ)とは限りません。
狩場は他の植物だったかもしれません。



エントツドロバチ♀@ニセアカシア葉+アオムシ狩り+麻酔
エントツドロバチ♀@ニセアカシア葉+アオムシ狩り+麻酔

池の岸で羽繕いするカワウと水浴・羽繕いするカルガモ(冬の野鳥)



2018年12月下旬


▼前回の記事
池の岸で羽繕いと脱糞するカワウ(冬の野鳥)

石垣で護岸された池の岸で1羽のカワウPhalacrocorax carbo hanedae)が念入りに羽繕いしていました。
曇っているせいか、この個体は羽繕いをするだけで、翼を広げて羽根を乾かす行動はやりませんでした。

数日前に降った雪が残る岸には数羽のカルガモAnas zonorhyncha)が上陸して寝ていました。
カワウの背後の水面では、また別な数羽のカルガモが泳ぎ回ったり羽繕いしたりしています。
バシャバシャと水飛沫を跳ね上げながらカルガモが水浴を始めました。



カワウ(野鳥)@池岸:石垣角+羽繕い
カワウ(野鳥)@池岸:石垣角+欠伸

2019/12/12

キイロスズメバチ♀がエンジュの花で探餌飛翔



2019年8月中旬・午後17:55

民家の裏庭に大きく育ったエンジュの大木でキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀も訪花していました。
ただし吸蜜しに来たのではなく、イモムシ類やハナバチ類などの獲物を狩るために探しているようです。
あまりにも忙しなく飛び回って目が回りそうなので、初めは1/5倍速のスローモーションでご覧下さい。
続いて等倍速でリプレイ。(@2:26〜)
夕日を浴びながら、花だけでなく葉だけの枝も丹念に見て回っていました。
花に一瞬しがみついても、羽ばたきを止めずにすぐ飛び立ちます。

花の盛りは過ぎていて、大量に散ったエンジュの花が木の下の路上に散乱していました。


キイロスズメバチ♀@エンジュ訪花+探餌飛翔

蒸したサツマイモ?を食べるニホンザル♀



2019年7月下旬・午前8:30頃

野生ニホンザル♀(Macaca fuscata fuscata)が水路沿いに設置されたフェンスの手摺に腰掛けて、何かを美味しそうに食べていました。
黄色くて食感がホクホクしているので、蒸したサツマイモまたは焼き芋のように見えます。
これがもし生のサツマイモなら、白くて食感も硬いはずです。

蒸したサツマイモ(または焼き芋)を一体どこから失敬してきたのでしょう?
加熱調理したサツマイモだとすれば、猿が近くのサツマイモ畑を荒らして盗んできた可能性は除外できます。
お墓やお地蔵さんのお供え物かな?

近隣住民が残飯を堆肥にするつもりで庭や畑へ不用意に捨てているのでしょうか?
山里の農村では農作物を食い荒らす猿害に悩んでいるので、近隣住民の誰かがわざわざ野生ニホンザルに餌付けしているはずはありません。

猿への餌やりを禁じる看板があちこちに立てられているぐらいです。
それとも猿害対策でニホンザルを生け捕りにするための罠に仕掛けてあった餌をちゃっかり盗んできたのでしょうか?
ただし、この日私は近くで罠(捕獲檻)を見つけていません。
例えば6年前に見かけた罠にはニホンザルを誘き寄せる餌として、リンゴ、カボチャ、トウモロコシが捕獲檻の中に置かれていました。

実は過去にもほぼ同じ場所でカボチャ泥棒の猿を見ています。

▼関連記事(5年前の撮影)
カボチャ泥棒のニホンザル♂

私に気づくと、猿は気まずそうに背中を向けてしまいました。
股間に睾丸が無かったので、♀と判明。

サツマイモ?の皮や食べ残しを捨てると、体を掻きました。
(後で思うと、この食べ残しを拾いに行って、本当に蒸したサツマイモかどうかメニューをしっかり確かめるべきでしたね。)
その後ニホンザル♀は立ち上がって水路横に生えたクリの枝を掴み、樹上に跳び移りました。


ニホンザル♀@水路手摺+蒸しサツマイモ?採食

2019/12/11

エンジュの花蜜を吸うハラアカヤドリハキリバチ



2019年8月中旬・午後17:51

民家の庭に植栽されたエンジュの大木にハラアカヤドリハキリバチ(旧名ハラアカハキリバチヤドリ)Euaspis basalis)も訪花していました。
忙しなく吸蜜しています。
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

ところで、本種の性別はどうやって見分けるのですかね?
ハラアカヤドリハキリバチはオオハキリバチの巣に労働寄生する種なので、♀も集粉しないためスコパが退化しています。
つまりスコパの有無による性別判定が出来ないのです。
『日本産ハナバチ図鑑』p286を見ても、ハラアカヤドリハキリバチの性別判定法に関する記述がありません。
掲載された顔写真を見比べると、♀の方が大顎が発達しているようです。
しかし採集して標本を精査しない限り、フィールドで撮った生態写真または動画から大顎を見るのはまず無理でしょう。

ハラアカヤドリハキリバチが居るということは、この辺りに寄主のオオハキリバチが多く生息している証拠です。

▼関連記事
エンジュの花で採餌するオオハキリバチ♀の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】

ハラアカヤドリハキリバチ@エンジュ訪花吸蜜

路地裏の側溝で水を飲み虫を捕るハクセキレイ♂(野鳥)



2019年8月上旬・午後

路地裏でハクセキレイ♂(Motacilla alba lugens)が側溝の中に入ろうとしていました。
近くで見ている私を警戒し、初めはコンクリート護岸の上で躊躇しています。
やがて警戒を解くと、慎重にコンクリート護岸を一段ずつ降りて行きます。
途中でコンクリート壁面の地衣類を啄んだのは、微小な虫を捕食したのでしょう。
白い糞をポトリと排泄しました。(@1:25)

意を決したように用水路の底に飛び降りると、水際で嘴を浅い水面に浸して水を飲みました。
喉の乾きを癒やしたハクセキレイ♂は、水路に沿って歩きながら、ユスリカなど微小な虫を捕食し始めました。
水際の岸が斜面になっていて歩きにくそうです。
途中で顔を右足で掻きました。
最後は水路の外に飛び出し、路地に戻りました。
私が近づくと飛び立ち、近くのビルの屋上に逃げました。

この♂はつい先程見た親子と同一個体の父親なのかな?
だとすると、お腹を空かせた幼鳥のために餌を採っているのでしょう。

▼前回の記事
電線に並んで親鳥♂に餌乞いするハクセキレイ幼鳥(野鳥)
しかし幼鳥の姿は見当たらず、巣外給餌を観察できませんでした。


ハクセキレイ♂(野鳥)@路地裏:用水路岸壁
ハクセキレイ♂(野鳥)@路地裏:用水路内+探餌

2019/12/10

オオアワダチソウの花蜜を吸うミカドトックリバチ♀



2019年8月中旬・午後16:00頃

河畔林にぽっかり開けた空き地の端(林縁)に咲いたオオアワダチソウの群落でミカドトックリバチ♀(Eumenes micado)が訪花していました。

ほんの一瞬の出会いを1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、頭楯の黄紋がY字を上下逆にした三菱マークという特徴で♀と分かりました。


オニグルミの枝にぶら下がるニホンザル(白猿を含む群れ)



2019年7月下旬・午前8:00および8:24

野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)がオニグルミの木の枝にぶら下がって遊んでいる映像をまとめてみました。

シーン1:

毛皮の白っぽい子猿(白猿♀?)がオニグルミの枝を引き寄せて跳び移りました。
白猿と言っても完全なアルビノではなく、後頭部および背中の毛は褐色でした。
その枝先で別個体と小競り合いになり(ふざけている? 遊び?)、葉の茂ったオニグルミの枝がバサバサと激しく揺れています。
猿はぶら下がった枝先から林床の地面に次々と飛び降りました。

シーン2:

水路沿いに生えたオニグルミの灌木の枝にぶら下がって遊んでいます。
最後は水路の横の地面に飛び降りました。
性別は♀。



ニホンザル白猿@オニグルミ木登り
ニホンザル@オニグルミ枝+ぶら下がり

2019/12/09

オオハキリバチ♂がエンジュの花で吸蜜



2019年8月上旬

民家の裏庭で満開に咲いたエンジュにはオオハキリバチMegachile sculpturalis)の♀だけでなく雄蜂♂も訪花していました。
雄蜂♂は探雌飛翔に忙しいので、多数の♂が飛び回っているのに吸蜜シーンはなかなか撮れません。

一瞬の訪花シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。



▼関連記事
エンジュの花で採餌するオオハキリバチ♀の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】


夜も池の岩場で休むカルガモ一家(野鳥)



2019年8月上旬・午後19:05〜19:08(日の入り時刻は午後18:45)


▼前回の記事
岩場のカルガモ幼鳥5羽を引率して池を泳ぎ去る親鳥(野鳥)

日没後に蓮池の定点観察に来てみると、前回(8日前)昼間に出会ったカルガモAnas zonorhyncha)一家が岩場の辺りに未だ居座っていました。
飽きるほど通った場所でも、来る時間帯を変えてみるだけで、ささやかながらも新たな収穫や意外な発見があるものです。

現場は街灯(ナトリウムランプ)の真下なので、夜でも暗闇ではありません。
赤外線の暗視カメラを使わなくても普通のカメラでなんとか動画に撮ることが可能です。(手持ち夜景モード)
人工照明で一晩中明るいこの場所をカルガモ一家がねぐらに選んだのは、おそらく夜行性の捕食者に寝込みを襲われる危険が少ないからでしょう。
(照明があれば、塒に忍び寄る天敵にいち早く気づいて逃げることが可能です。)
こうしたカルガモの暮らしぶりは、野生を失って嘆かわしいという見方もありますが、都市化したヒトの文明社会をしたたかに利用するシナントロープの一種と考えられます。

コンクリート岸壁の縁に座った親鳥(おそらく♀)が池の方を向いて、幼鳥が寝ている岩場を見張っています。
辺りをキョロキョロ見回して警戒を怠りません。
貧乏揺すりのように体が微かに動いています。
その状態でカルガモ親鳥は小声で鳴いてるような気もしますが、周囲で鳴き続けるセミの合唱が喧しくて、よく聞き取れませんでした。


1枚だけフラッシュを焚いて撮った写真を見て気づいたのですが、親鳥の左翼の下に赤褐色の丸いタンコブのような血豆のような物がありました。
一体これは何なのでしょう?
鳥の解剖学について詳細を知らないのですが、翼の羽根が一部抜けて指のような構造が露出したのでしょうか?

そんな突起物があるとは聞いたことがありません。
体表に取り付いたマダニが吸血で膨満するとこんなに巨大化するのでしょうか?
体外寄生虫だとしても、カルガモの嘴が充分届く範囲内ですから、羽繕いの際に取り除きそうなものです。
どなたか御存知の方がいらっしゃいましたら教えて下さい。
とりあえず左右対称の構造体かどうか知りたいところですが、この日は逆側(右側)からの写真を撮っていませんでした。
せっかくねぐらで静かにしているカルガモへの影響を懸念して、ストロボの使用を最小限に留めたからです。

8日前の昼間には、岸で見張る親鳥を右側からしか撮っておらず、その写真にはこんな血豆のような物は写っていませんでした。

【追記】
このオレンジ色は、おそらく座ったカルガモの曲げた膝が翼の下から見えているだけですかね?
この勘違いはちょっと恥ずかしいので、元のタイトル「マダニに寄生された?カルガモ」を変更しておきます。
普段は動画派の私が静止画(写真)だけから判断するのは危険ですね。
もし立っていた親鳥が座るまでを動画に撮っていれば、こんな早とちりはしなかったでしょう。


私がそっと近づいて背後から撮っても、人馴れした親鳥は逃げようとしません。
下の池を覗き込むと、岩場を塒として2羽の幼鳥が寝ていました。
首を曲げ嘴を体の羽根に差し込んで休んでいます。
未だ熟睡してはいないようで、ときどき薄目を開けてこちらの様子を窺っています。
この8日間の間に幼鳥は5羽から2羽に減ってしまったのでしょうか?
他の兄弟姉妹は別な場所で塒入りしているのかな?

次はもっと夜が更けてから、寝ているカルガモを観察してみたいものです。
このカルガモ家族群のねぐらはあくまでも特殊例で、カルガモ全般には当てはまりません。
夜は岸に上陸して寝ているカルガモの群れをあちこちの溜池でよく見かけます。

警戒心がとても強く、撮影のため私が夜陰に紛れて忍び寄ろうとするとすぐに警戒声を発しながら池へ逃げ込んでしまいます。


つづく→真夏にカルガモとクサガメが集う池の岩場(野鳥)


カルガモ(野鳥)親鳥♀+マダニ寄生?@夜:池畔+見張り
マダニ寄生?@カルガモ(野鳥)親鳥♀左翼下
カルガモ幼鳥2(野鳥)@夜:蓮池:岩場+就塒(右の個体は薄目を開けて周囲の様子を伺っている)

2019/12/08

ツユクサの葉を切り抜くハキリバチ♀の一種【名前を教えて】



2019年8月上旬・午後

河川敷に生えたツユクサの群落でハキリバチの一種(種名不詳)が飛び回っていました。
ツユクサの包葉に2回興味を示しています。
その後は茂みの奥に潜って、ツユクサ(?)の葉の縁に止まると、細長い葉片を大顎で切り取り始めました。
切り取った巣材を抱えて飛び立ちました。

一種の出来事のため、1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみます。
安物のハンディカムで薄暗い茂みの中を飛び回る蜂を撮ったので、画質がいまいちです。
こんな酷い映像でもハキリバチの名前が分かる達人がもしいらっしゃいましたら、是非ともご教示願います。
インターネット検索してみても、ツユクサの葉を切り抜いて巣材とするハキリバチは報告されていませんでした。

改めて映像を見直すと、蜂が葉片を切り抜いていた植物はツユクサではないような気もしてきました。(葉の形状がツユクサとは違う?かも)
ツユクサの群落には蔓植物のキカラスウリが上から覆い被さるように繁茂していますが、キカラスウリの葉でもなさそうです。
他にはヘクソカズラの花が近くで咲いていました。
ハキリバチ♀がくり抜いた跡の残った葉を撮影直後にしっかり調べるべきでしたが、営巣地の方が気になって蜂を追いかけてしまい、巣材を集めた正確な場所が分からなくなってしまいました…。
おまけにハキリバチの巣の場所も結局突き止められず、まさに「虻蜂取らず」という諺の通りになりました。
すぐ近くに植栽されたマサキの生垣を支える材木(木の杭)のどこかに小さな穴が開いていて、ハキリバチ♀はそこに営巣しているのではないかと予想しています。
しかし、生い茂ったマサキの枝葉に隠れて蜂を見失ってしまいました。
その辺りに帰巣する蜂をその後にもう一度だけ目撃しています。(撮影失敗)
このツユクサ群落でしばらく待ち伏せしてみたものの、時刻が夕方近くだったせいか、蜂は巣材集めに戻ってきませんでした。

せっかく動画に撮ったのに、蜂も植物も名前が分からない(はっきりしない)という中途半端で悔しい結果に終わりました。
それでも今季はクズハキリバチに続いてもう一種のハキリバチが巣材を集める様子を観察できたので、非常に大きな前進となりました。
個人的には大満足です。
巣材集めをするハキリバチ♀を今まで一度も見つけられなかったのは、私の探し方が悪かっただけのようです。


路上でミズキの落枝を拾い実を食べるニホンザル♂(左切れ耳)



2019年7月下旬・午前7:00頃

▼関連記事
ミズキの果実を食べるニホンザルの群れ
ミズキの木を降りながら実と葉を食べるニホンザル

画面左の山林からニホンザル♂(Macaca fuscata fuscata)が路上に現れました。
群れの仲間が登って採食しているミズキの木の下に座り込むと、路上に散乱した落枝を拾い上げました。
青く色づき始めた果実を1粒ずつ摘んで食べています。
必ずしも黒く完熟していなくてもニホンザルはミズキの果実を食べるようです。
口をモグモグしながら体を掻きました。

食後は欠伸をして立ち上がると道を横断。
私の方を見ながら再び座ると右手で頭を掻きました。

ちなみに、この個体は左の耳介の形が異常でした。。
千切れたように切れ込みが入っていて、個体識別の目印になりそうです。
「切れ耳」と渾名を付けることにします。
右耳の形は正常だったので、先天性の奇形ではなく、発情期の激しい喧嘩で噛み千切られた怪我の跡なのでしょう。


ニホンザルの樹上採食法は行儀が悪く、果実を食べるために枝を次々と折ってしまうだけでなく、食べ残しを惜しげもなく捨ててしまいます。
今回のミズキは野生の樹木ですから誰も咎めませんが、ニホンザルが果樹園に侵入して食害すると深刻な問題になります。
ニホンザルの破壊的な食べ方は、猿害に悩む果樹園農家から憎まれる大きな一因となっています。
「きれいに食べてくれたら少量の果実ぐらいなら食害されても目を瞑る(野生動物にお裾分けする)のに…」という恨み節も聞かれます。
しかしこれがニホンザルの生まれつきの食事作法なのですから、しつけが悪い!と責めても仕方がありません。

ニホンザルの食べ方は非常に無駄が多いように見えますが(もったいない!)、食べ残した落枝もやがて他の野生動物の餌になっていくのでしょう。

特にシカやカモシカなど木に登れない草食動物は、遊動するニホンザルの群れの後をついて歩き、猿の落とし物を拾い食いする採食戦略をとる者もいるようです。(片利共生)
▼関連記事(6年前に撮影)
雪面に散乱したツルマサキの枝葉をニホンカモシカが拾い食い


ニホンザルの群れの中でも怪我や老齢のために木登りが億劫な個体もいるかもしれません。
そうした弱者も群れの仲間が地面に落とした食べ残しの拾い食いである程度は空腹をしのげるでしょう。
また、猿が木の枝を折って歩くことで枝が間引かれ、生い茂った林冠に適度なギャップが生じ、森林全体の生態系が健康に保たれるのかもしれません。

ニホンザル♂:左切れ耳@路上+ミズキ落枝+果実採食
ニホンザル食痕:ミズキ落枝+果実+scale
ニホンザル食痕:ミズキ落枝+果実
ニホンザル食痕:ミズキ落枝+果実・全景

日陰なのに避暑倒立するミヤマアカネ♀



2019年8月上旬・午後14:26

河川敷のコンクリートで固められた歩道にミヤマアカネ♀(Sympetrum pedemontanum elatum)が止まっていました。
途中から腹部の尾端を高々と持ち上げました。
これはオベリスク姿勢と呼ばれ、日差しが強くて暑い夏によく見られる体温調節(避暑)の行動です。
尾端を太陽に向けて体に直射日光が当たる面積を極小にしようとするのです。
つまり、トンボは自分の影の面積が最小になるように向きを変えるのです。
…という説明を付けた動画を撮りたかったのですが、倒立の程度が中途半端ですし、トンボの影が出来ていません。
曇っているというよりも、ここは河畔林の木陰なのです。
直射日光の有無に関わらず、トンボの体温が高くなるとオベリスク姿勢が発動するのでしょう。
他にも色々と反省することが多く、背側からでは逆立ちのようなオベリスク姿勢が分かりにくいので、側面から狙うべきでした。
それからこのテーマで撮影するのなら、気温を測らないといけませんね。

温度と照明を完全に管理された状態でトンボを飼うと、オベリスク姿勢を自由自在に観察できるのかな?

路上で獲物を待ち伏せしているミヤマアカネ♀は、頭部をグリグリと動かし、辺りを油断なく見張っています。
急に飛び立つと反転し、すぐ横の日陰の地面に止まり直しました。
もしかすると空中で何か獲物を捕食したのかもしれません。
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。


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