2019/12/14

クロウリハムシの食前トレンチ行動と脱糞【10倍速映像】



2019年8月上旬・午後16:57〜18:00


▼前回の記事
クロウリハムシがカラスウリの葉でトレンチ行動を始めるも…

河川敷でマサキの生垣を覆うように繁茂したキカラスウリの群落でクロウリハムシAulacophora nigripennis)が葉の表側に静止していました。

これから食餌を始めそうなので、食前にやるトレンチ行動の一部始終を微速度撮影で記録してみました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい。
お急ぎの方は冒頭をスキップして@2:40からご覧下さい下さい。

トレンチ行動とは、植食性昆虫の一部が食前にやる下処理です。

自分のまわりに円形の溝を掘って、しばらく待ってから内側だけを食べる。
例のトレンチ行動というやつで、植物たちの緊急防御物質(摂食阻害物質)を少しでも減らそうという魂胆。 (森昭彦『イモムシのふしぎ ちいさなカラダに隠された進化の工夫と驚愕の生命科学 (サイエンス・アイ新書)』p152より引用)



このキカラスウリの葉は少し高い位置に生えていたので、三脚の高さを最大まで伸ばしても残念ながらベストな撮影アングルを確保できませんでした。
欲を言えば真上から見下ろすアングルで撮りたかったのですが、仕方がありません。
食草キカラスウリの葉を蔓ごと一部採取して花瓶に活けた状態では切り口から摂食阻害物質が水に流出してしまうため、飼育下で観察しようとしてもクロウリハムシがトレンチ行動をやらなくなってしまうかもしれません。
どうしてもフィールドで撮影しないといけないのです。

撮影開始時にクロウリハムシは葉の縁に近い所に止まっていて、周囲には既に丸い噛み傷のようなものも見えました。
何度も繰り返して念入りに丸い弧を描くのでしょうか?
気になるのは、これから食べるであろう部分にリーフマイナー(潜葉虫、葉もぐり虫、絵かき虫)の食痕のようなものが見えることです。
もっときれいな葉を選べば良いのに、クロウリハムシは無頓着なのでしょうか?

実はクロウリハムシは純粋な草食性ではなくて捕食者でもあるのかな?


それとも撮影前にクロウリハムシ自身が少し食べたのかな?
どうも今回は見逃した点がいくつかあるようなので、次回は飛来したクロウリハムシが食べる葉を選ぶところから観察したいものです。

やがてクロウリハムシが腹端を持ち上げると、白くて細長い糞をニュルニュルと排泄しました。(@1:13)
金魚の糞のように、しばらく腹端(肛門?)に付着しています。
その後はしばらく静止しているだけです。
別個体が近くの葉に飛来し、少し徘徊して飛び去りました。
再び脱糞しました。(@2:31)


急に眠りから覚めたように体の向きを変えると(@2:44)、葉の縁から新たに猛然とトレンチ行動を始めました。(@2:51)
葉の表面を口器で噛んで浅い溝を掘り、その溝は円弧を描いていきます。
ただしコンパスで描いたような真円ではなく、大雑把な形でした。
後ろ向きになると、トレンチ行動をしながら腹端から白くて細長い糞をニュルッと排泄しました(@3:24)
これから食べる部分を自分の排泄物で汚しても、気にならないのでしょうか?
昆虫の衛生観念はよく分かりません。
円弧を描き終わると、身繕いを始めました。(@4:08)
つづいて横向きで脱糞。(@4:12)

トレンチを掘りながら丸く一周してもハキリバチの巣材集めとは異なり、葉をくり抜いた訳ではなくて表面に傷をつけただけです。

これ以降は後ろ姿でひたすら静止しているだけのように見えますが、葉を食べているのかもしれません。
このアングルでは肝心の口元が見えないのが残念です。
身繕いをしているのは(@5:00)、口元に付着した植物の粘液(防御物質)を拭き取っているのかもしれません。
葉を食べながら?また脱糞しました。(@5:04)
再び脱糞。(@5:53)

今回は別個体が飛来しても干渉されず、トレンチ行動をじっくり観察することができました。
排泄の頻度が高いことが意外でした。
自分が排泄した糞を払い除けながら葉を食べ進むのか、見届けることができませんでした。
納得できる作品が撮れるまで、また来年もチャレンジするつもりです。


クロウリハムシ@キカラスウリ葉上+トレンチ行動
クロウリハムシ@キカラスウリ葉上+トレンチ行動

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