2026/06/20

ホンドタヌキ♂がパートナー♀の尻の匂いを嗅いだり小便跡を舐めたりして発情状態を頻繁に調べアロマーキングを繰り返す:3月上旬〜中旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年3月上旬〜中旬 

雪国の落葉二次林でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が越冬する巣穴を自動撮影カメラで見張っています。 
ここは以前、ニホンアナグマが掘った営巣地(セット)でした。 

シーン1:3/10・午後20:10・気温-1℃(@0:00〜) 
晩に右から来たタヌキ♂aが、細い落葉灌木に小便をかけて縄張り宣言のマーキング(匂い付け)をしました。 
このとき右後脚を上げたので、♂と判明。 

巣口Rを覗き込んで点検中に、後続個体の♀bが遅れて右から登場。
巣口Rで合流した♀が入口の匂いを嗅いでいると、♂aが背後から♀bの尻の匂いを嗅ぎました。 
パートナー♀の発情状態をチェックしているようですが、巣口Rの窪みでの行動は残念ながらよく見えません。 
続けて♂が♀の体に排尿しました(アロマーキング)。 

左に立ち去る際にも、♂が♀の尻の匂いを嗅いで発情状態をチェックし、♀にアロマーキングしました。 
このとき♀が雪面で腰を落としたのは、♂のしつこいセクハラを嫌がっているのでしょうか?


シーン2:3/10・午後20:13(@1:00〜) 
♀♂ペアから少し遅れて、両目のタペータム(輝板)が失明したタヌキが右から来ました。 
巣口Rには立ち寄らずに、左下手前へ向かいます。 

実はこの個体が3時間前の夕方に獲物の生魚?を雪の下に埋めたばかりなので、貯食地点に向かったのかもしれません。


しかし、別アングルの監視カメラにそのシーンがなぜか写っていませんでした。 


シーン3:3/11・午前0:16・気温-2℃(@1:19〜) 
日付が変わった深夜に、右から来た先行タヌキ♀が巣口Rを点検しています。 
遅れて右から来た後続個体♂が通りすがりに、いつもの細い落葉灌木に軽く小便をかけてマーキングしました。 
巣口Rで合流すると、今度は♂が巣口Rの匂いを嗅ぎます。 

その間に、♀は同じ落葉灌木に排尿マーキングしました。 
♀は排尿時に後足をほとんど上げません。 
♂♀ペアが連続して同じサインポストに尿で匂い付けしたことになります。 
その直後に、巣口Rから戻ってきた♂が♀の小便跡をペロペロと舐めました。 
これもおそらく♀の発情状態をチェックしているのだと思いますが、初めて見る行動です。 
素人目には、フレーメン反応はしてないようです。 
♂は再び同じ落葉灌木にしつこく自分の尿で匂いを上書きしました。 
それでも立ち去り難いようで、また小便跡をペロペロ舐めました。


シーン4:3/11・午前0:18(@2:19〜)
30秒後に、両目失明個体が営巣地に来ていました。 
今回も巣穴Rには立ち寄らずに、右下手前へ立ち去りました。 


シーン5:3/12・午前8:23・晴れ・気温7℃(@2:33〜) 
翌日の明るい朝に、右から来たタヌキ♀が巣口Rの手前で立ち止まり、手前をキョロキョロ見ていました。 
すぐに右から後続個体♂が来ました。 
合流したペアが右を気にしているのは、殿しんがりのヘルパー個体(両目失明)が来るのを待っているのかな? 
その間に、♂が♀の尻の匂いを嗅いで発情チェックし、♀の体に尿をかけました(アロマーキング)。 

おそらく両目失明個体と思われるタヌキが遅れて到着し、巣口Rを軽く点検しました。 
明るい日中は、タペータム反射の有無による個体識別ができません。 
続けて♀も巣口Rを覗き込んで調べています。 


シーン6:3/12・午前8:24・晴れ・気温4℃(@2:33〜) 
別アングルに設置した監視カメラでも撮れていました。 
先着の♀♂ペアが背後を振り返って、殿しんがりを務めるヘルパーh(両目失明個体)がついて来るのを待っています。 
♂が♀の発情状態を調べてから、♀に尿をかけてアロマーキング。 
♀h、♀、♀hの順で巣口Rを覗き込んで奥の匂いを嗅ぎました。 
横で待っていた♂は、♀hに割り込まれても怒りませんでした。 


【考察】 
ホンドタヌキは一夫一妻制の社会構造です。
この時期の♂は、とにかくパートナー♀との交尾のチャンスを逃すまいと必死です。 
常に行動を共にして(配偶者ガード)、隙あらば♀の尻を追い回して、性フェロモンの変化を嗅ぎ取ろうとしています。
♀が小便した跡を直後に♂が舐める行動を初めて観察しました。
♀の体に♂が自分の尿をかけるアロマーキングも頻繁に行いました。

両目失明個体と♀♂ペアの関係が気になります。
採食のために出歩く際には、いつも健常♀♂ペアの後をついて歩いているようです。 
夜の行動で♀♂ペアから遅れがちなのは、夜目が効かないというハンディキャップのせいなのか、気になるところです。
♀♂ペアが産んだ複数の子供の中で、失明のハンディキャップが理由で選ばれたのか、ヘルパーとして縄張りに留まることを許された♀だろうと、私は想像しています。 
他の兄弟姉妹はすでに子別れした後のようです。
(両目失明個体の性別は不明ですが、♂はヘルパーとして選ばれずに両親の縄張りから放逐されるはずです。) 
この後も観察を続けると、両目失明のヘルパー♀は3頭の核家族の中では立場がとても弱く(劣位の個体)、いつも両親♀♂に遠慮して暮らしている印象です。 


湿地を舐めてミネラル摂取するマツムラハラブトハナアブ♀?【ベーツ型擬態】

 

2026年5月中旬・午後13:00頃・晴れ 

春の里山のジメジメした林道の横の草むらで、低く飛び回っている虫がいました。 
てっきりクロマルハナバチBombus ignitus)の創設女王が営巣地を探索中なのかと思い、季節の風物詩を動画に撮ったつもりです。
ところが映像を見直すと、マルハナバチにベーツ擬態したハナアブ科の仲間と判明しました。 

山腹をトラバースする林道のこの区画は、沢からの水が流れ込み、年中湿って泥濘になりがちです。 
このハナアブ♀は口吻を伸縮させて湿った地面を舐めていました。
吸水しつつミネラル成分を摂取しているのでしょう。 
ミゾソバやヘビイチゴ、スギナなど湿地性植物の茂みの奥にどんどん潜り込んでしまい、姿を見失いました。 

関連記事(同所で3年前の撮影)▶ 山道の水溜まりに集まって産卵するオオハナアブ♀ 


今回の個体は、左右の複眼が離れているので♀ですね。 
翅先が擦り切れているので、越冬明けの個体なのかな? 
羽化直後にしては翅の損傷が激しいです。 (※ 後述の考察を参照)

いつもお世話になっている「ハナアブの世界」サイトで標本写真を見比べると、Mallota属(ハラブトハナアブ属)のようですが、種までは絞り込めませんでした。 
素人目には、マツムラハラブトハナアブ♀(Mallota rubripes)やミケハラブトハナアブ♀(=アシボソミケハラブトハナアブ;Mallota munda)などが似ている気がします。 
現場で私が騙されたように、ベーツ型擬態のモデルは、クロマルハナバチ♀(Bombus ignitus)だと思われます。


※【考察】
ハラブトハナアブ属の越冬態について、ChatGPTに質問してみました。

Q1: Mallota属(ハラブトハナアブ属)のハナアブ類は成虫で越冬するのか? 越冬態について調べて

A1: ハラブトハナアブ属(Mallota)の越冬態については、日本語文献では情報が少ないのですが、現在得られる情報を見る限り、

少なくとも日本産のタカサゴハラブトハナアブ(Mallota takasagoensis)は成虫越冬とされています。 (Insect)

ただし、属全体としては少し注意が必要です。

Mallota属全体の生活史

Mallota属の幼虫は、樹洞(うろ)や腐朽木の水たまりに生息する、いわゆる「ラットテイルマゴット(尾呼吸管をもつ幼虫)」です。(ウィキペディア)

ヨーロッパや北米の種については、

  • 幼虫は樹洞の腐植質や微生物を食べる

  • 成虫の出現期間は短い

  • 多くの種は春から初夏に見られる

ことが知られています。(ウィキペディア)

一方で、Mallota属全体について「成虫越冬が一般的」と明記した信頼できる総説は見つかりませんでした。

成虫越冬の可能性

日本の昆虫図鑑ではタカサゴハラブトハナアブについて

冬は成虫で過ごす

と記載されています。(Insect)

また、ヨーロッパ産の近縁種では春のかなり早い時期(4月頃)から成虫記録があり、成虫越冬を示唆する場合があります。(ResearchGate)

ハナアブ科全体で見ると、成虫越冬する種は珍しくありません。たとえばホソヒラタアブ類やナミホシヒラタアブ類では、受精雌成虫が物陰で越冬します。(RHS)

結論

現時点で言えるのは、

  • 日本産のタカサゴハラブトハナアブは成虫越冬とされる。 (Insect)

  • Mallota属全種が成虫越冬とは断定できない。

  • ただし、少なくとも一部のMallotaでは成虫越冬が行われている可能性が高い。

ということです。

もしお調べの対象が日本産のハラブトハナアブ類(タカサゴハラブトハナアブ、アシブトハナアブ類など)であれば、学術論文や『日本産ハラブトハナアブ属の再検討(Hirooka & Maruyama, 2015)』などをさらに追って、種ごとの越冬態を調べることもできます。現状では「属としては不明だが、日本で普通に見られるタカサゴハラブトハナアブは成虫越冬」というのが最も確実な答えです。


Q2: 5月中旬に低山で観察したハラブトハナアブ属の成虫は、翅先が擦り切れていました。羽化直後にしては翅の損傷が激しいので、越冬明けの個体だろうと推測したのです。


A2: その推測は十分に合理的だと思います。

ハナアブ類では、羽化直後の個体は通常、

  • 翅縁が滑らかで欠損がない

  • 翅膜にしわや摩耗がない

  • 体毛がよく残っている

という状態です。

一方、成虫越冬した個体では、

  • 翅先や翅縁の欠損

  • 翅膜の擦れ

  • 胸部や腹部の毛の脱落

  • 体色の退色

などがしばしば見られます。

5月中旬という時期も興味深い点です。もしその種が春に羽化するのであれば、新成虫が出始めていてもおかしくありません。しかし、「翅先が明らかに擦り切れている」という観察事実は、単なる春羽化個体よりも、前年から生存している成虫を示唆します。

特にMallota属は一般的なヒラタアブ類のように何世代も繰り返すタイプではなく、幼虫期間が長く、樹洞環境に依存する種が多いため、春先に見られる個体が越冬成虫である可能性は十分考えられます。

もちろん、翅の損傷だけでは確定できません。例えば、

  • 羽化後しばらく活動した個体

  • 鳥やクモの攻撃を受けて逃れた個体

  • 樹枝や下草との接触が多かった個体

でも翅は傷みます。

ただし、

「5月中旬」
+
「翅先の摩耗が顕著」
+
「Mallota属の一部で成虫越冬が知られている」

という3点を合わせると、その個体が越冬明けの成虫だったという仮説はかなり説得力があります。

もし記録写真が残っていて、胸部や腹部の毛並みも確認できるなら、毛の摩耗状態も重要な手掛かりになります。ハラブトハナアブ類は本来かなり毛深いので、越冬個体では「全体にくたびれた印象」になることが少なくありません。翅だけでなく体毛まで摩耗していれば、越冬成虫説はさらに強まるでしょう。 


ちなみに、ハラブトハナアブ属の♀が樹洞に産卵する様子を以前、観察しています。



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2026/06/19

チマキザサの葉を食べ漁る雪国のニホンザル♀

 

2026年1月上旬・午後14:50頃・晴れ 

山麓で若い♀(未発情)と思われるニホンザルMacaca fuscata fuscata)が群れから少し離れ、林縁の笹薮に向かって歩いて行きます。 
歩く後ろ姿の股間を見ると、外性器が見えませんし、尻も赤くないので、発情していない若い♀と判明。 

笹薮の雪面に座り込むと、採食を始めました。 
猿が笹の葉を食べたのは初見です。 
このササの種類はチマキザサではないかと予想していますが、笹類は難しくて真面目に検討していません。 
チシマザサ(ネマガリダケ)は、もう少し標高の高いブナ帯に分布しているらしい。 
今回の観察地点は、低山のミズナラ帯です。 

関連記事(14年前の初夏に撮影)▶ ニホンザル♂が笹の新芽を採食 


ニホンザル♀は、常緑の笹の葉を次から次に千切って食べ漁ります。 
餌の乏しい厳冬期には、冬芽や樹皮と並んで貴重な食料なのでしょう。 
手でササの茎を掴みながら幅広い葉を噛みちぎり、口に詰め込んで咀嚼します。 
茶色に枯れている葉は食べず、緑の葉を選んで食べていました。 
ササの葉脈に沿って縦に裂くように噛みちぎるので、独特の食痕が残ります。 
笹の葉を引き寄せるのにいつも右手を使うので、この個体は右利きのようです。 
別の採食法としては、手の届く範囲の笹の葉を食べ尽くした後は、少し離れた位置に生えたササに手を伸ばし、茎ごと噛みちぎってから手元でゆっくり葉を食べることもありました。 (@4:42〜)

笹の葉に栄養価はどれだけあるのでしょうか? 
食物繊維が豊富なので、便秘対策にはよさそうです。 

動画を見直して気づいたのですが、一度だけササ以外の植物を採食しました。 (@4:12〜)
笹の茎に巻き付いて育って枯れた蔓植物の実を食べたようです。 

山形県の豪雪地帯がシカの食害から免れている(シカの生息数が少ない)のは、冬季の主要な餌であるササが雪の下に埋もれて越冬できないからです。 
カモシカと違ってシカは蹄が小さいので、深雪の雪山を歩くのが苦手なのだそうです。 
地球温暖化がこのまま進めば、当地も冬に雪ではなく雨が多く降るようになり、シカが一気に分布を広げて食害も増えると予想できます。 
今回のチマキザサ?群落は雪の下に埋もれていませんから、この積雪量ならホンシュウジカCervus nippon centralis)もぎりぎり越冬できるかもしれません。 
しかし、鹿の群れは餌の笹群落をすぐに食べ尽くしてしまいそうです。 

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空は晴れているのですが、山麓の日陰はもう薄暗いのです。 
猿は笹の葉を食べながら、右手で痒い脇腹を掻きました。 
雪面に直接座ると尻が冷えるのか、なるべく灌木の枝の上に座るようにしているようです。 
やがて笹の葉を食べ飽きたのか、ニホンザル♀は口をモグモグさせながら、雪道を左に戻って群れの仲間に合流しました。 


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電線で餌乞いして父親を呼ぶモズの幼鳥(野鳥)

 

2026年6月上旬・午後12:30頃・晴れ 

郊外の電柱から農家に引き込むため庭に張られた電線にモズLanius bucephalus)が留まっています。 
この茶色っぽい個体が成鳥♀なのか幼鳥なのかで、その後の行動の解釈が変わってくるのですが、とりあえず幼鳥として話を進めます。 
絶えず尾羽根を上下に動かしながら、キチキチキチ…♪と鋭く鳴いていました。 
カメラを向ける私に対して警戒声♪を発しているのでしょうか?
それとも空腹で餌乞い♪しているのかもしれません。 

やがて、幼鳥は白い糞をポトリと排泄しました。(@0:55〜) 
お気に入りの留まり場らしく、黒い電線のあちこちが鳥の糞で白く汚れています。 

ようやく親鳥♂が飛来して、同じ電線に幼鳥から少し離れて留まりました。 
2羽目の個体は、全体が灰色の夏羽で、眼下腺が黒くて濃いことから、成鳥♂と見分けられます。 

すると、幼鳥は急いで父親♂に駆け寄って、餌を催促します。 
ところが、餌の口移し(巣外給餌)は行われなかったようです。 
親鳥♂は空荷だった(餌を持ってこなかった)のか、幼鳥から横っ飛びで離れてしまいました。 
幼鳥が下を見たということは、焦った親鳥♂がうっかり餌を落としてしまったのかもしれません。 


給餌してもらえなかったモズの幼鳥は、電線から左へ飛び去りました。 
近くに庭木として植栽されたイロハモミジ(=イロハカエデ)には緑の若葉が生い茂り、翼果が赤く色づいています。 
その茂みに隠れた幼鳥は、依然としてキチキチキチ…♪と鳴き続けています。 
最後に親鳥♂も電線から左のイロハカエデ庭木に飛び移りました。 
モズの親子を見失った私はズームアウトしたのですが、その映像をよく見ると、イロハカエデの横枝に幼鳥(左)と親鳥♂(右)が少し離れて留まっている姿が写っていました。 
矢印で示すのを忘れたので、探してみてください。 

脱糞および巣外給餌の瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:24〜)


【考察】 
最初に登場した個体が成鳥♀という可能性もあって悩みました。 
親鳥♀だとしたら、近くに営巣木があって、私を警戒して鳴いていたのかもしれません。 
後からパートナー♂が飛来し、♀に求愛給餌した?と一連の行動を解釈できます。 

関連記事(13年前の撮影)▶ モズ(野鳥)の求愛給餌

しかし、撮影時期の6月上旬はモズの1回目の子育てが終わる頃ですから、求愛給餌の可能性は低いはずです。
その上、問題の個体は嘴の根元が黄色味を帯びていたので、幼鳥だろうと判断しました。 (正面を向いていると分かりにくい。)




この問題をChatGPTとブレインストーミングしました。

Q1: モズの幼鳥と成鳥♀はどうやって見分けるか?

A1: モズは成鳥♀も全体的に褐色で、腹に細かい横斑(波状紋)があるため、幼鳥と紛らわしいことがあります。しかし、慣れると比較的見分けられます。

主な識別点は次の3つです。

1. 頭部や背の「ウロコ模様」

最も重要です。

幼鳥は頭頂から背中、胸にかけて細かいウロコ状の斑紋が目立ちます。特に頭部にウロコ模様があれば、まず幼鳥と考えてよいでしょう。 (あきた森づくり活動サポートセンター)

一方、成鳥♀は腹部や脇に波状紋があっても、頭部や背中は比較的すっきりした褐色です。幼鳥ほど全身がウロコ模様には見えません。 (あきた森づくり活動サポートセンター)

2. 嘴の付け根(口角)

巣立ち後まもない幼鳥では、雛の名残で口角が黄色っぽく見えることがあります。 (ズカンドットコム)

成鳥♀ではその黄色味はなく、嘴全体がより均一な色になります。

ただし、秋になると黄色味が薄れるため、この特徴だけでは判断しにくくなります。

3. 羽衣の新しさ

幼鳥は全体にふわっとした印象で、斑紋も鮮明です。

秋以降は幼鳥が換羽して第一回冬羽になるため、見分けが難しくなりますが、それでも若鳥では胸や脇の横斑が強く残ることがあります。 (ズカンドットコム)

実際の野外では

  • 頭部までウロコ模様 → 幼鳥

  • 腹だけ波状紋で頭部は無地 → 成鳥♀の可能性大

  • 口角が黄色い → 幼鳥

  • 夏(6〜7月)に見たばかり巣立った個体 → 幼鳥の可能性が高い

という判断が有効です。

もし写真があるなら、モズは頭部の模様を見るだけでかなりの確率で幼鳥か成鳥♀か判定できます。写真を見せていただければ、どこに注目すべきか具体的に説明できます。


Q2: 最近(6月上旬)に平地の郊外の裏庭で観察。電線に留まってキチキチキチ…と鳴いていた個体が、後から飛来した別個体に給餌された。巣立った幼鳥に親鳥が巣外給餌したのか、それとも♂がパートナー♀に求愛給餌したのか、2つの可能性で悩んでいる。問題の個体は正面を向いていたので、腹面の鱗模様は見えたが、背中や頭部に鱗模様の有無ははっきり見えず。


A2: その状況だと、私は「巣立ち幼鳥への給餌」の可能性をまず疑います。

理由はいくつかあります。

鳴き声が「キチキチキチ…」

モズの巣立ち雛や巣立ち後まもない幼鳥は、親に餌をねだる際に繰り返し声を出します。

一方、求愛給餌を受ける成鳥♀は、幼鳥ほど執拗に餌乞いを続けることはあまりありません。給餌直前に短く鳴くことはありますが、電線に止まって長時間「キチキチキチ…」と鳴き続ける姿は、むしろ幼鳥を連想させます。

時期が6月上旬

モズの繁殖期を考えると、6月上旬は多くの地域で第一回繁殖の巣立ち雛が存在する時期です。

地域差はありますが、

  • 4~5月:抱卵・育雛

  • 5~6月:巣立ち

  • 6~7月:巣外給餌

という流れは十分あり得ます。

したがって、「親が巣立ち幼鳥に餌を運んでいた」という解釈は季節的にも自然です。

求愛給餌の時期との関係

求愛給餌は通常、産卵前後に盛んになります。

6月上旬でも二番繁殖や再営巣なら起こり得ますが、単に時期だけを見ると、既に巣立ち幼鳥がいるケースの方が一般的かもしれません。

腹面の鱗模様

ここが少し厄介です。

モズでは、

  • 幼鳥 → 胸から腹にかけて強い鱗模様

  • 成鳥♀ → 腹面に波状横斑

があり、正面から見るとかなり似て見えることがあります。

そのため、腹面だけでは決め手になりません。

識別に有効なのはむしろ、

  • 頭頂

  • 背中

の鱗模様です。

観察行動から推測すると

もし給餌を受けた個体が

  • 羽を細かく震わせる

  • 給餌者に向かって身を乗り出す

  • 給餌後もしばらく後を追う

ような行動を示していたなら、幼鳥の可能性がかなり高くなります。

逆に、

  • 給餌後も落ち着いている

  • 2羽がほぼ対等な雰囲気で行動する

なら求愛給餌も考えられます。

もう一つの手掛かり

給餌した個体の外見はどうでしたか。

もし給餌した個体がはっきりした黒い過眼線と灰色の頭を持つ♂なら、

  • ♂→幼鳥

  • ♂→♀(求愛給餌)

の両方があり得ます。

しかし、給餌した個体が♀だった場合は、ほぼ確実に巣立ち幼鳥への給餌です。

観察時の「給餌した側」の羽色や、給餌後に2羽がどう行動したかが分かれば、さらに絞り込めると思います。


Q3: キチキチキチ…と鳴いていたのは、てっきり近くで撮影する私に対して警戒声を発したのかと思い込んでいました。


A3: それは十分あり得る解釈ですし、現場ではむしろそのように判断する観察者も多いと思います。

モズの「キチキチキチ…」という声は、警戒声として非常によく知られています。人間、カラス、ネコなどに対して発せられることがあります。

ただし、この声は文脈によっては幼鳥の餌乞い声と紛らわしいことがあります。

今回のケースで重要なのは、

  • 個体が電線に留まっていた

  • 繰り返し鳴いていた

  • その後に別個体が飛来して給餌した

という一連の流れです。

もし鳴いていた個体が本当に警戒していたなら、その後に給餌が起きたという事実が少し気になります。もちろん親鳥が人間を警戒しながら幼鳥に給餌することはありますが、「鳴いていた個体=幼鳥で餌をねだっていた」と考えると、行動のつながりが自然になります。

一方で、モズの求愛給餌でも、給餌される側(♀)が鳴きながら♂を誘うことがあります。したがって、

  1. 幼鳥が親に餌をねだった

  2. ♀が♂に求愛給餌を要求した

  3. あなたに対する警戒声だった

の3つは、観察記録だけでは完全には排除できません。

私なら、6月上旬という時期と「給餌された」という事実から、

  • 巣立ち幼鳥への給餌:やや有力

  • 求愛給餌:十分あり得る

  • 単なる警戒声:鳴いていた理由としてはあり得るが、給餌との関係は不明

くらいの評価にします。

もし記録写真が残っているなら、頭部の羽衣以外にも、

  • 嘴の付け根(口角)が黄色っぽく見えないか

  • 尾羽が短めに見えないか

  • 羽毛がややふわついて見えないか

といった幼鳥の特徴を後から確認できる場合があります。

また、給餌後に受け手が給餌した個体を追いかけて飛び去ったなら、幼鳥説がかなり強まります。巣立ち後のモズの幼鳥は親を追尾しながら餌をねだることが多いからです。逆に給餌後も2羽が近くで落ち着いていたなら、求愛給餌の可能性が相対的に高くなります。


Q4: 動画を見直すと、電線に留まったモズ(羽色は全体的に茶色)が方向転換した時に、頭部と背中がちらっと見えたが、鱗模様はなし。後から電線に飛来したのは成鳥♂だった(灰色の夏羽、黒い過眼線が濃い)。♀が急いで♂に近寄って餌を催促したが、餌の受け渡しは行われなかったようだ。♂はむしろ横っ飛びで♀から離れた。餌をうっかり落としてしまったのかもしれないが、後ろ向きでよく見えず。その後も♀はキチキチキチ…と鳴き続けた。♀、♂の順に電線から飛び去り、近くの庭木(イロハカエデ)の枝葉に隠れた。モズの営巣木が近くにあったので、私に対して警戒声を発していたと解釈できそう。


A4: その追加情報を見る限り、当初よりも「成鳥♀が♂に接近した場面」である可能性が高くなったように思います。

特に重要なのは、

  • 頭部や背中に鱗模様が見えない

  • 全体的に茶色い個体だった

  • 相手は明瞭な成鳥♂

  • ♀の方から♂に急接近した

  • その後も♀が鳴き続けた

という点です。

もし巣立ち幼鳥なら、親が餌を持ってきた際には通常、幼鳥が積極的に接近して餌を受け取ろうとします。ところが今回は、実際に給餌が成立したかどうかが不明で、むしろ♂が横に避けるような動きをしたとのことです。

また、幼鳥であれば頭部や背面の鱗模様がかなり有力な手掛かりになります。動画を確認してそれが見られなかったのであれば、幼鳥説はやや弱くなります。

さらに、

その後も♀はキチキチキチ…と鳴き続けた。

という点も興味深いです。

モズの警戒声は、まさにそのような連続した「キチキチキチ…」です。もし近くのイロハカエデや周辺植栽に営巣中の巣、あるいは巣立ち直後の幼鳥がいたなら、♀があなたを警戒して鳴き続けていた可能性は十分あります。

むしろ今回の行動を時系列で整理すると、

  1. ♀が警戒声を発している

  2. ♂が飛来する

  3. ♀が♂に接近する

  4. 餌の受け渡しは確認できない

  5. 両個体とも近くの樹木へ移動する

という流れになります。

この場合、「♀が警戒しながらも♂に接近した」というだけで、必ずしも求愛給餌とは限りません。繁殖中のペアであれば、お互いの位置確認や警戒対象への共同対応のために接近することもあります。

私なら現時点では、

  • 成鳥♀である可能性:高い

  • 幼鳥である可能性:低くなった

  • 実際に給餌が成立したか:不明

  • キチキチキチ…は警戒声だった可能性:かなり高い

と評価します。

もし近くに営巣木があったのであれば、警戒声の解釈はかなり自然です。モズは巣の周辺で人間を見つけると、露出した見張り場所(電線、アンテナ、樹頂など)から長時間警戒声を発することがあります。今回の電線上での行動は、その典型的な状況とも一致します。


Q5: 顔の向きによっては、下嘴の根元が黄色っぽく見えることもありました。成鳥♀ではなく、やはり巣立ち後の幼鳥ですか?


A5: この写真を見る限り、私は幼鳥の可能性がかなり高いと思います。

もちろん1枚だけで断定はできませんが、成鳥♀よりも幼鳥の特徴がいくつか見えます。

まず目につくのが、下嘴基部の黄色味です。

スズメのように派手ではありませんが、口角付近に黄色い部分が残っています。これは巣立ち後しばらくの幼鳥でよく見られる特徴です。成鳥♀では通常ここまで黄色く見えません。

次に顔つきです。

  • 眼が大きく見える

  • 顔全体が丸みを帯びている

  • 頬から喉にかけての羽毛がややふわっとしている

という印象があります。

これは主観的な要素もありますが、巣立ち幼鳥らしい雰囲気があります。

さらに腹面を見ると、はっきりした鱗模様ではないものの、細かな横斑が見えています。

そして重要なのは、「頭部に鱗模様が見えない」ことが必ずしも成鳥を意味しない点です。

モズの幼鳥は巣立ち直後には頭部まで強い鱗模様がありますが、その後かなり早い段階で摩耗や換羽によって不明瞭になります。6月上旬なら、

  • 巣立ち直後の幼鳥

  • 巣立ち後しばらく経過した幼鳥

の両方が存在し得ます。

この個体は後者に近いようにも見えます。

そして何より、あなたが観察した行動と合わせると、

  • 6月上旬

  • モズの繁殖期

  • 下嘴基部に黄色味

  • 腹面に幼鳥らしい斑

  • ♂が飛来

  • この個体が盛んに鳴く

という状況は、「巣立ち幼鳥が親♂に餌をねだった」と解釈するとかなり自然です。

一方で成鳥♀説だと、

  • 黄色い口角の説明がつきにくい

  • 写真全体の若々しい印象とやや合わない

という点があります。

また、あなたは先ほど

♀が急いで♂に近寄って餌を催促した

と書かれましたが、この写真を見ると、その行動自体が実は「♀ではなく幼鳥が親に接近した」と解釈できるかもしれません。

もし動画を再確認できるなら、

  • 接近時に羽を細かく震わせていないか

  • 口を大きく開けていないか

  • 親を追尾する動きがないか

を見てみるとよいと思います。

現時点では、私は

  • 成鳥♀:可能性あり

  • 巣立ち後の幼鳥:より有力

と評価します。

特にこの写真の下嘴基部の黄色味は、年齢判定のかなり強い材料に見えます。写真だけを見せられて「成鳥♀か幼鳥か」と聞かれたら、私はまず「幼鳥ではないでしょうか」と答えると思います。

 



2026/06/18

雪国の鉄道橋下の笹薮でホンドタヌキの溜め糞場を見つけた!

 

2025年3月上旬・午後13:40頃・晴れ 

河原で鉄道橋の真下を探索していたら、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場と思われる糞塊が残雪の上に露出していました。 
鉄橋から雪解け水が滴り落ちるので、一部の糞は崩れかけていました。 
雪の下に埋もれた常緑の笹薮(種名不詳のササ)を通り抜けてタヌキが溜め糞場に通う獣道があるはずなのに、溶けかけた雪面(腐れ雪)の足跡は不鮮明で見つけられませんでした。 

この辺りで見つかる獣糞は必ずしも野生動物の物とは限らず、散歩に連れてこられた飼い犬が何度も糞をして放置された可能性もありそうです。
 (イヌによる複数回の脱糞はありえない?)
トレイルカメラを設置してタヌキが排便に通ってくることを確かめたいところです。
しかし、鉄道橋という重要インフラの真下では保安上、物騒な危険物と誤解されそうな気がして、トラブルを避けて自重しています。 

完全に雪解けした後日に現場を再訪すると、タヌキの白骨死体を発見することになります。 

つづく→


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雪深い二次林の巣穴で越冬するホンドタヌキ:3月上旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 

前回の記事:▶  


2025年3月上旬 

シーン1:3/1(@0:00〜) 
雪深い落葉二次林でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が冬越しする巣穴をトレイルカメラ2台で見張っています。 
ここは以前、ニホンアナグマの営巣地(セット)でした。 

この時期の昼夜に1〜3頭で代わる代わる登場したタヌキのシーンをまとめました。 
面白い行動は個別の記事ですでに紹介したので、その残り物です。 

話が遅々として進まないので、この動画はブログ限定で公開します(手抜き)。


シーン2:3/2(@2:10〜) 

シーン3:3/4(@4:02〜) 

シーン4:3/5(@5:33〜) 

シーン5:3/6(@5:43〜) 
雨が降る未明に3頭の家族群が登場し、いつものように巣口Rを点検して行きました。 
殿しんがりを務める個体は、両目を失明していました。 

シーン6:3/9(@7:42〜) 

シーン7:3/10(@9:11〜) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→

アカウラカギバ(蛾)幼虫の隠蔽擬態と威嚇、擬死落下

 

2025年8月中旬・午前11:15頃・くもり 

里山で山道の横に生えたエゾユズリハ灌木の葉の上に気になる幼虫を見つけました。 
カールした枯葉(茶色の落ち葉)が常緑の葉に乗っているのかと初めは思ったのですが、腹端に細長い突起があるので芋虫と気づきました。 
長い尾状突起と連続して背中の正中線が茶色なのは、枯葉の葉柄および主脈を模しているようです。 
尾状突起を摘んでみると意外に固く、本当に枯れ葉の葉柄のようでした。 
幼虫は上半身を左右に振って威嚇してきます。 
今回これを自衛の武器に使うことはありませんでした。
さらにしつこく触り続けると、最後は擬死(死んだふり)して葉から転げ落ち、地味な幼虫を林床で見失いました。 

アカウラカギバ幼虫が天敵から身を守る防御戦略は何段構えにもなっていることがよく分かりました。 
もしも私が尾状突起ではなく急所の頭部を狙って触れたら、違う反応をしていたかもしれません。 
(いきなり擬死落下したのでは?) 


かなり特徴のある芋虫だったので、状況を説明しつつ撮れた写真をGemini AIに見せて画像認識で同定を依頼すればすぐに名前が分かるかと思ったのですが、意外に手こずりました。 
腹端にある長い突起の名称を私が初め「尾角」と間違って呼んで質問文に書いてしまったことが原因です。 
テキストベースのAIは私の誤用語(知ったかぶり、ハルシネーション)に引きずられてしまったようで、Geminiはスズメガ科の幼虫だろうと回答しました。 
候補として挙げてくる種類を片端から画像検索して絵合わせしても、的外れなものばかりです。
Geminiの回答を裏取りして違和感を覚えた私が反論しても、Geminiは頑として譲りません。 
その後、カギバガ科アカウラカギバOreta insignis)の幼虫だろうと、自力でなんとか辿り着くことができました。 
「尾角」はスズメガ科幼虫の用語であり、カギバガ科やシャチホコガ科の幼虫では、「尾状突起」と呼ぶのだそうです。 

アカウラカギバ幼虫の食樹はユズリハ科とされているので、今回エゾユズリハで見つかったのも納得です。 
動画をよく見ると、幼虫が乗っていたエゾユズリハの葉の先端部はかじられた食痕(虫食い跡)がありました。 
どうやら私が近づいたことで幼虫が警戒してしまい、摂食シーンを見逃してしまったようです。 
さらに、下の葉には幼虫が排泄した黒い糞粒が数個、残されていました。 

アカウラカギバの成虫を私は未見です。 
幼虫を採集して、成虫が羽化するまで飼育すればよかったですね。 
この時期の私は多忙で、とても飼育する余力がありませんでした。 


余談ですが、アカウラカギバの学名について。
いつもお世話になっている「みんなで作る日本産蛾類図鑑」サイトでは、
アカウラカギバ Hypsomadius insignis Butler, 1877
となっていました。
一方、英語版wikipediaでは、
Oreta insignis (Butler, 1877)
と書いてあります。
学名の表記は、
属名 種小名 著者 , 発表年
の順に記載して、初め2つの組をイタリックの字体(斜体)にする決まりになっています。
今回の場合、後半に付記された著者と発表年に括弧の有無が問題となります。
(Butler, 1877) が括弧に入っているのは、国際動物命名規約の慣例で、「現在の属は原記載時の属と異なる」ことを意味します。
GBIFデータベースで検索してみると、Hypsomadius insignisという学名は、最近の分類学者の再検討によってOreta属に移され、Oreta insignisのシノニムに格下げされていました。
もしかすると、日本の蛾の分類学者は保守的だったり見解が異なったりするために、学名がHypsomadius insignisのままになっているのかもしれません。
学名についての余談は、ChatGPTに教えてもらいながら書きました。


【追記】
くらべてわかる蛾1704種』という図鑑でアカウラカギバの幼虫について調べると、
冬は若齢が葉の表面を食べながら育つ
とのことでした。(p133より引用)
雪国でもエゾユズリハの葉は常緑なので、雪の下に埋もれながら幼虫越冬するのでしょうか。




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2026/06/17

山中の泉で水を飲むニホンリス【トレイルカメラ】

 

2026年5月中旬・午前9:55頃・晴れ・気温20℃ 

里山で湧き水が溜まった泉を見張っている自動撮影カメラにニホンリスSciurus lis)が写っていました。 
草の生えた岸辺から身を乗り出して水を飲んでいるようです。 
手前へ立ち去る際に、ふさふさの尻尾が見えました。 

1.5倍に拡大した上で、リプレイ。

※ 水音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
この水場にリスが登場したのは初めてですし、リスの飲水行動も初見です! 
今後も同一個体のニホンリスが水場に通ってくるでしょうか? 
リスの水浴行動も見てみたいものです。 

以前、夏の山森に塩場(岩塩プレート)を設置したら、ニホンリスが病みつきになって何度も塩分摂取に通っていました。 
岩塩を舐めたり齧ったりした後はそうとう喉が渇いたはずですが、当時の私はリスがどこで水を飲んでいるのか突き止められませんでした。 
この泉は塩場からかなり離れているので、あのときのリスではなさそうです。 


つづく→

二次林内の営巣地に通って鳴いたり排尿マーキングしたりするホンドタヌキ:3月上旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 

前回の記事:▶  


2025年3月上旬 

雪国の二次林内でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が越冬する営巣地を2台のトレイルカメラで長期間見張っています。
しかし、撮れた動画を全部紹介しようとするとマンネリで飽きてしまいますし、話が遅々として進みません。 
定型的な行動をまとめた動画はブログ内の限定公開にして、手抜きで紹介することにします。 

問題は、私が登場するタヌキの個体識別ができていないことです。
それでも全動画をアーカイブとしてYouTubeに投稿する理由は、いずれAI技術や量子コンピューターが発達して、撮りためた映像から教師なし学習でタヌキの個体識別を自動的にやってくれる、夢のような時代が到来するはずだと期待しているからです。 
そうなったら、監視動画からタヌキの社会について深い意味が読み取れるようになり、宝の山です。 



シーン1:3/5(@0:00〜) 

シーン2:3/8(@3:00〜) 
新雪が積もりました。

シーン3:3/9(@4:00〜) 

シーン4:3/10(@6:09〜) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ タヌキの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→

田植え直後の水田に農道から逃げ込んで泳ぎ去るシマヘビ

 

2026年5月下旬・午前9:35頃・晴れ 

田植えの季節になりました。 
雑草の種子が農道から水田に混入すると、その後に除草する労力が大変になります。
そこで、田植えの直前になると農道や畦道に除草剤を散布します。 
春の農道に青々と生えていた雑草が急に茶色く枯死するのは、そのためです。 

そんな農道の端に1匹のシマヘビElaphe quadrivirgata)がぐねぐね湾曲した姿勢で横たわっていました。 
もしやトラクターに轢かれて死んでいるのかと思いきや、私が近づくと慌てて蛇行して水際へ逃げ出しました。 
水に入るかどうかためらっているようですが、尻尾に私が靴で軽く触れると、慌てて水田に逃げ込みました。 
風が吹いて波立っている水面の上に頭部だけもたげた姿勢で、シマヘビはすいすいと泳ぎ去ります。 
赤っぽい舌を高速で出し入れしながら、植えたばかりのイネの苗の間を蛇行しながら泳いで渡ります。 


2026/06/16

朝帰りした後に巣穴入口の雪かきをする早春のホンドタヌキ【トレイルカメラ】

 



2025年3月上旬 

雪国の落葉二次林でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が越冬する巣穴を自動撮影カメラで見張っています。 

帰巣後に巣口の雪かきをするシーンをまとめました。 
早春の雪質は溶けかけてシャーベット状なので、穴掘りが苦手なタヌキでも除雪しやすそうです。


シーン1:3/9・午前5:55・くもり・気温-2℃(@0:00〜)日の出時刻は午前5:57 
日の出直前に右から単独で来たタヌキの頭部や鼻面に白い粉雪が付着しています。 
浅い新雪にタヌキの足跡が残っています。 
巣口R右横にある細い落葉灌木の根元に排尿マーキングしながらクゥーン♪と鳴きました♪。 
このとき小便しながら右後脚を高く上げたので、♂と判明。 
普通は少量の小便で匂い付けするだけなのですが、今回は珍しく、いつもより長々と小便しました。 

巣口Rに右から回り込んで匂いを嗅ごうとしたら、足が雪面にズボッと潜りました。 
巣口Rの縁に積もった雪を前足で掘りました。 
せっかく雪かきしたのに、なぜか巣穴Rの奥には入らず、左をじっと見て警戒しています。 


シーン2:3/10・8:33・くもりのち晴れ・気温7℃(@1:00〜) 
翌日も朝にタヌキが独りで営巣地に右から戻ってきました。 
巣口Rの匂いを嗅いでから、しばらくその場に佇んで警戒していました。 


シーン3:3/10・8:33・くもりのち晴れ・気温9℃(@1:00〜) 
別アングルからも撮れていました。 
ようやく警戒を解くと、向きを変えて巣口Rに入り、前足で除雪し始めました。 


ベニサラサドウダンの花蜜を吸うセグロアシナガバチ♀創設女王

 

2026年5月下旬・午前11:30頃・晴れ 

道端に咲いたベニサラサドウダンの生垣でセグロアシナガバチ♀(Polistes jokahamae)が訪花していました。 
この時期はワーカー♀がまだ羽化しておらず、越冬明けの創設女王だと思われます。 

下向きに咲いた釣り鐘状の花に正当訪花を繰り返し、吸蜜していました。 
花を下から見上げるアングルだと、花筒の底の蜜腺を舐めていることがよく分かります。 

花から花へ飛び回ると、羽音がかすかに聞こえます。 
最後は生垣の茂みの奥に潜り込んで、撮れなくなってしまいました。 
この組み合わせは初見です。 

救急車のサイレンに混じって、スズメやカワラヒワCarduelis sinica)が近くで鳴き続けています♪ 


【考察】 
素朴な疑問をChatGPTにぶつけてみました。 

Q: 植物の花の中には下向きに咲く種類がある(釣り鐘状の花など)。その場合、蜜腺から分泌された花蜜が重力で滴り落ちずに、訪花昆虫が来るまで残っているのはなぜか? 表面張力や粘性? 


A:  主な理由は、ご推察のとおり 表面張力と粘性 です。ただし、それだけでなく花の構造も重要です。

下向きの花で花蜜が落ちない理由を整理すると、次のようになります。

1. 花蜜の量が非常に少ない

まず、花蜜は私たちが想像する「液体がたまった状態」ではないことが多いです。

多くの花では、蜜腺から分泌された蜜は数マイクロリットル(μL)程度しかなく、花の内壁や蜜腺の表面に薄い液滴として付着しています。

液滴が小さいほど表面張力の影響が重力より圧倒的に大きくなるため、簡単には落下しません。

身近な例では、逆さにしたガラス板に小さな水滴がしばらく張り付いているのと同じです。

2. 花蜜は水ほどさらさらではない

花蜜にはショ糖・ブドウ糖・果糖などの糖類が大量に含まれています。

濃度は種によって異なりますが、20〜70%程度になることもあります。

そのため純水より粘性が高く、

  • 液滴がまとまりやすい

  • 流れにくい

  • 滴下しにくい

という性質があります。

特にハチ媒花では比較的高濃度の蜜が多く見られます。

3. 蜜は花の奥に保持されている

釣鐘状や筒状の花では、蜜腺が花の基部にあり、花冠の内壁に囲まれています。

たとえば、

  • ツリガネニンジン

  • ホタルブクロ

  • ドウダンツツジ

などでは、蜜は花の最も奥に位置しています。

そのため、たとえ花が下向きでも、蜜は「ぶら下がっている」のではなく、花の基部のくぼみに保持されています。

4. 花の内面が蜜を保持しやすい

花冠内部には微細な毛や凹凸があることがあります。

これらは毛細管現象を生じさせ、

  • 液体を保持する

  • 広がらせる

  • 滴下を防ぐ

働きをします。

スポンジに水が保持されるのと似た効果です。

むしろ下向きの花の利点

興味深いことに、下向きの花は花蜜を失いやすいどころか、しばしば花蜜を守る方向に進化しています。

下向きに咲くことで、

  • 雨水が花の奥に入りにくい

  • 花粉が濡れにくい

  • 花蜜が希釈されにくい

という利点があります。

そのため山地や冷涼な地域の植物では、釣鐘状で下向きの花がよく見られます。

要するに、下向きの花の蜜が落ちないのは、「蜜が少量であること」「高糖度で粘性があること」「表面張力が重力に勝つこと」、そして「花の構造そのものが蜜を保持するようできていること」が組み合わさった結果です。実際には、重力よりも表面張力の方が支配的なスケールで現象が起きている、と考えるのが分かりやすいでしょう。



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2026/06/15

山道で出会ったニホンザルの大群

 

2024年10月上旬・午後14:20頃・くもり 

私が峠道を歩いて下山して麓の里に近づくと、前方の路上に野生ニホンザル♀♂(Macaca fuscata fuscata)の群れがたむろしていました。 
私とは逆に、麓の方から登ってきたようです。 
(里の集落から追い払われてきた?)
車道にはクリの落果が散乱しています。 
遊動の途中で栗拾いして食べるニホンザル個体がいました。 
道端に座って自分で毛繕いしたり、道に寝そべって仲間に対他毛繕いしてもらったり、のんびりしています。 
対他毛繕いからの流れでマウンティングに発展することもありました。 
GPSや電波発振器の付いた黒い首輪を装着している個体も群れには含まれていました。 
元気な子猿は走り回ったり、道端の木に登ったり飛び降りたりしています。 

時間に余裕があれば猿をもっとじっくり腰を据えて観察するのですけど、山から早く帰らないといけない私は、動画を撮りながらゆっくり歩いてニホンザルの群れに近づきました。 
警戒した猿たちは、舗装路の左右の茂みに逃げ込みました。

雪が溶けた小川の岸で草を食べるカルガモのペア(冬の野鳥)

 

2025年3月上旬・午前9:00・曇りのち晴れ 

雪国の郊外を流れる小川(農業用水路兼融雪溝)の岸辺で、♀♂つがいと思われる2羽のカルガモAnas zonorhyncha)が仲良く並んで採食しています。 
雪解けが進む畑の端で、泥にまみれたイネ科の雑草を食べていましました。 
畑に積もった残雪の端から嘴を突っ込んで、雪の下に埋もれていた草を食べています。 
よく観察すると、青々とした草の葉そのものを千切って食べるというよりも、草の根元の根っこや散らばっている草の種子、土壌生物などをまとめて食べているようです。 

食事中のカルガモ♀♂は、定期的に背後を振り返って、泥で汚れた嘴を用水路の流水でゆすいでいます。 
飲水行動なら一口ごとに上を向いて、嘴ですくった水を喉に流し込むはずです。 
それをやらないということは、小川の雪解け水を飲んではいないようです。 

やがて、1羽のカルガモが岸から小川に入りました。 
流れに乗って下流に泳ぎながら、嘴を再び水でゆすいでいます。 
小川を少し下っただけで左岸に再上陸すると、未開拓の餌場で採食を始めました。 

この小川の岸辺が雪かきされていたのは、一部はカルガモの仕業だったのかもしれません。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



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2026/06/14

両目の輝板を失明したホンドタヌキが雨夜に溜め糞場で排便:3月上旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年3月上旬・午後18:25頃・雨天・気温1℃ 

雪国のスギ防風林にあるホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場wbcをトレイルカメラで見張っています。 

雨が降る晩に、まず1頭のタヌキが現れました。 
溜め糞WBCの匂いを確認してから、またがって南東向きで脱糞しました。 用を足しながら、欠伸したようです。 

17秒後に、後続のタヌキが右からやって来ました。 
おそらく近くでトイレの順番待ちをしていたのでしょう。
この個体は、両目に光がありません。 
タペータム(輝板)に異常を来して暗視カメラの赤外線を反射しなくなった失明個体です。 
溜め糞にまたがると、北東を向いて排便しました。 
大便の状態を見る限り、栄養状態も悪くなく健康そうです。 
暗い夜に目が見えにくくても、ちゃんと餌を食べているようです。 
先行個体の後を追って、右に立ち去りました。


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 雨音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
タペータムの反射が両眼で失われたホンドタヌキ個体について。
トレイルカメラの電池の電圧がたまたま低下していて、暗視動画を連続撮影したせいで赤外線LEDからの照射が弱いだけかもしれない…などと他の可能性(カメラのトラブル)も考えました。 
しかし、近所の別の地点に設置したトレイルカメラでも同時期から両目失明のタヌキが写るようになったので、間違いありません。 
健常個体と両目失明個体が同時に写ることもありました。(映像公開予定)
以前写っていた、片目の輝板(タペータム)が失明していたタヌキと同一個体だとしたら、進行性の眼病ということになります。 
動画で行動を見ているだけでは、夜盲症かどうか確定診断できません。 
夜間限定ですが、この個体だけ個体識別できるようになりました。 


つづく→

アサツキの花蜜を吸い飛び回るクジャクチョウ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2026年6月上旬・午前11:10頃・くもり 

砂利道と線路の間に咲いたアサツキの小群落にクジャクチョウInachis io geisha)が訪花していました。 
翅を開閉しながら、口吻を伸ばして吸蜜しています。 
少し飛んで隣の花序へ移動すると、吸蜜を続けます。 

クジャクチョウは今季初見です。 
越冬明けの個体のはずなのに、翅が無傷で目の覚めるほどきれいな個体でした。 
黒っぽい翅裏は地味ですが、翅表には芸者の着物になぞらえるほど豪華絢爛な美しい目玉模様(眼状紋)があり、子供の頃から何度見ても胸が踊ります。 

クジャクチョウは北方系の蝶なので、地球温暖化がこのまま進行すると、平地では年々個体数が減って見られなくなり、「幻の高山蝶」になりそうです。 

撮影中はクジャクチョウを注視していて全く気づかなかったのですが、ツヤハナバチの一種も一緒に訪花していました。 
撮影地は平地なので、山地性のキオビツヤハナバチCeratina flavipes)ではなく、おそらくヤマトツヤハナバチCeratina japonica)と思われます。 
小さな蜂が飛来しても、吸蜜中のクジャクチョウは気にしませんでした。 

クジャクチョウがアサツキの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:33〜) 
先を急ぐ用事のあった私は、待ち切れずに左足で蹴る素振りをして強制的に飛び立たせました。 
同じ花序に訪花していたツヤハナバチは、その前後に(自発的に)飛び去りました。 


クジャクチョウが訪花していた植物名を、私はてっきりニンニクが野生化したのかと初めは思い込んでいました。 
この薄いピンク色のネギ坊主のような花(散形花序)をあちこちの道端などで結構よく見かけます。 
(ムラサキツメクサの花にもちょっと似ています。)
どうも違和感を覚えて再検討すると、アサツキと判明。
細長い葉は、ニラのように平べったい形ではなく、青ネギのように筒状でした。

植物を見分けるには、匂いによる官能試験も大切です。
後日にアサツキの群落で細い筒状の葉先をちぎり取っても、無臭でした。
しかし、花がついた茎をちぎり取ると、ニンニク臭がしました。
この点についてGemini AIに質問した回答がこちら。

「葉先は無臭なのに、花茎(かけい)をちぎるとニンニク臭がした」というこの結果は、植物の化学防衛とエネルギー分配の観点から、非常に理にかなった面白い現象です。

この結果から、この植物が「アサツキ(またはチャイブ)」であることはほぼ間違いないと言えます。なぜそのような奇妙な匂いの偏りが起きるのか、その理由を解説します。

理由1:現在の「花期」という時期特有の現象
6月中旬という時期は、アサツキにとって花期の終盤、あるいは子孫(種子や球根)を残すための最も重要なフェーズです。

植物は、すべての部位に均等に防衛物質(ネギ臭の元となる硫黄化合物)を行き渡らせているわけではありません。

花茎(最優先防衛ライン): これから種子を作る花や、それを支える茎は、今植物にとって最も栄養が集中しており、虫や病原菌に絶対に食害されてはならない「最重要部位」です。そのため、植物は防衛成分(アリインなど)を花茎に集中させて厳重にガードしています。ちぎった時に強いニンニク臭がしたのはこのためです。

葉(お役御免のライン): 一方、アサツキは開花が終わると地上部を枯らして夏眠(休眠)に入る性質があります。この時期の葉は、すでに光合成のピークを終え、あとは枯れるだけの「古い組織」です。防衛コストを割く必要がないため、葉のネギ臭成分は著しく低下し、人間の鼻では無臭に感じられるほどに抜けていたと考えられます。

理由2:成分が気化する「酵素」の働きの差
ネギ属の植物は、細胞の中に「匂いの元(アリイン)」と「それを匂い物質に変える酵素(アリイナーゼ)」が別々に保管されています。傷つけられて細胞が壊れ、この2つが混ざり合うことで初めてあの強烈な匂い(アリシン)が発生します。
花期後半の弱った葉は、単に成分が薄いだけでなく、この「酵素の活性」自体が極めて低下していることがあります。そのため、しつこくちぎったり揉んだりしても化学反応が十分に起きず、草の青臭さしか極端に感知できなかった可能性があります。


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