前回の記事:▶ 雪深い二次林の巣穴で越冬するホンドタヌキ:2月中旬〜下旬【トレイルカメラ:暗視映像】
2025年3月上旬
シーン0:3/10・午後12:19・晴れ・気温23℃(@0:00〜)
シーン0:3/10・午後16:40・晴れ・気温13℃(@0:03〜)
雪国の二次林でホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が越冬する巣穴Rを2台の自動センサーカメラで見張っています。
ここは以前、ニホンアナグマの営巣地(セット)でした。
シーン1:3/10・午後17:07・晴れ・気温9℃(@0:07〜) 日の入り時刻は午後17:44
夕方に画面右下から単独で来たらしいタヌキが、巣口Rの中を覗き込んでいました。
その足跡が雪面に残っています。
タヌキが顔を上げたら、血まみれの大きな肉片を咥えていました。
この巣穴に潜む野ネズミにしては大き過ぎます。
こんな大きな獲物を生きたままタヌキが狩れるとは思えません。
雪原で行き倒れた野生動物とか車道で新鮮なロードキル(死骸)を見つけて、ここまで運んできたのでしょうか。
拡大すると、獲物は鮭(サケ)など大きな生魚のようにも見えます。
どこか近所の庭に忍び込んで池の鯉(コイ)を狩ってきたのでしょうか?
巣内でごちそうを食べるのかと思いきや、タヌキは獲物を咥えたまま、左へ運んで行きます。
タヌキが歩くと、溶けかけた雪面(いわゆる腐れ雪)にズボズボと膝まで潜っています。
シーン2:3/10・午後17:08・晴れ・気温8℃(@0:33〜)
つづきが別アングルの監視カメラに写っていました。
獲物を口に咥えたタヌキが雪原を少し運ぶと、立ち止まって獲物を雪面に降ろしました。
血まみれの顔を雪で洗っているように初めは見えたのですが、どうやら鼻面を使って雪面に穴を掘っているようです。
雪面に置いた獲物に周囲の雪をかけて埋めようとしているのだと分かってきました。
それにしても、穴掘りで前脚を使わないのが不思議です。
前脚を怪我しているのでしょうか?
雪国のホンドタヌキによる貯食行動を初めて観察できたのに、獲物を埋め終える前に1分間の録画時間が終わってしまい、残念無念。
シーン3:3/10・午後17:09・晴れ(@1:35〜)
47秒後にトレイルカメラが再び起動すると、獲物を雪の下に埋め終えたタヌキが空荷で巣口Rに戻って来ました。
振り返って貯食した位置をしっかり確認してから、巣穴Rの奥に潜り込みました。
シーン4:3/10・午後17:09・晴れ(@2:13〜)
入巣Rシーンが別アングルからも撮れていました。
巣口Rで少し雪かきしてから、中に入りました。
このとき普通に前足を使ったので、負傷で痛めている訳ではないことが分かります。
シーン5:3/10・午後19:26・気温0℃(@2:55〜)
すっかり暗くなった晩にタヌキが巣穴Rの外に出てきました。
背中を弓なりに伸ばすストレッチ運動をしてから、外出します。
(この行動は、出巣直後のタヌキがよくやります。)
雪面に新しい足跡は付いていないので、別個体が登場したのではありません。
さっき巣外で魚?を貯食した個体が、巣穴で約2時間15分間、寝ていたことになります。
雪面の匂いを嗅ぎながら監視カメラの方へ歩いて来ると、タペータム(輝板)が両目とも赤外線を反射していない(失明?)個体であることが分かりました。
少なくとも夜には私でもしっかり識別できる個体でした。
【考察】
長い期間トレイルカメラで営巣地を地道に定点観察してきましたが、久しぶりにトップレベルで面白い(ワクワクする)行動が記録できました。
まさか越冬中に死んだ仲間の死骸を埋葬したのか?と早とちりしそうになったのですが、 運んできた獲物(生魚?)を営巣地の雪の下に埋めたのです。(貯食行動)
雪面に深い穴を掘って埋めたのではなく、獲物の上に周囲からかき寄せた雪をこんもりと乗せて隠しただけです。
食べ残した餌を隠すだけでなく、腐らないように冷蔵保存する効果も雪にはあります。
この死骸を後で両目失明タヌキが掘り出して食べるかどうか、注目です。
キツネや他のタヌキなどに見つかって盗まれないのか、心配です。
実は、この辺りで暮らす野生動物(タヌキやキツネ)が魚の死骸を冬に運んでくるシーンは、翌年もトレイルカメラに何度か写っていました。 (映像公開予定)
もしかすると、近所の誰かが毎年冬に野生動物へ給餌している可能性がありそうです。
(魚をさばいた残渣を外に捨てているだけかもしれません。)
両目が失明(タペータム機能の喪失)した個体でも、毛並みや肉付きを見る限り、健康そうです。
少なくとも明るい昼間は視覚のハンディキャップが顕在化しないようで、獲物を見つけて営巣地まで運んでこれました。
つづく→
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