2026/04/11

★カキノキ大木からニホンザルが下りる方法(2)枝先にぶら下がってから雪面に前足で着地する場合【トレイルカメラ】

 



2025年1月中旬〜下旬 

ニホンザル(Macaca fuscata fuscata)がカキノキで木登り、採食した後にどうやって地上に降りるか、という行動を取り上げます。
普通の降り方をしない場合がトレイルカメラに撮れていたのです。

シーン1:1/20・午前9:33・くもり(@0:00〜) 
おそらくカキノキから下りてきた直後と思われる母親♀が、子猿を腹にしがみつかせたまま雪原を歩き去ります。 

しばらくすると、別個体が樹冠部から下の枝に降りてきました。
ここからが本題です。 (@0:34〜) 
下の横枝に身軽に飛び移り、細い枝先に後足でぶら下がってから、雪面に跳び下りました。 
このとき、前足から着地したのが珍しいです(普通ではない)。 
どうやら若い個体のようです。 
ニホンザルがカキノキの枝から雪面に降りる普通の方法については、他の記事にまとめました。(映像公開予定)


その後は、雪原を早足に奥へ遊動して行きます。 
他の多くの個体と違って、柵(畑の支柱?)を次々と乗り越えずに、下をくぐって行きました。 
いちいち独創的な動きをするのは、若い個体に特有なのかもしれません。 
ニホンザルも加齢とともに、保守的な行動になるのでしょう。 


シーン2:1/24・午前10:38・晴れ(@1:12〜) 
快晴で雪原の照り返しが眩しく、おまけに旧機種のトレイルカメラの映像が謎に点滅して見苦しいので、モノクロに加工しました。 

樹上に居た若いニホンザルが、するすると降りてきました。
細い枝先に後足でぶら下がり、雪原の獣道に飛び降りました。 
この個体も、珍しく前足から雪面に着地しました。 
猿が飛び降りた後も、カキノキの枝がしばらく揺れています。 

雪原を奥に歩き去る途中で、畑の支柱(柵?)に座って休みました。 
次の柵に跳び移り、奥へ遊動して行きます。 
元気があり余った若い個体のようです。 
雪原に連続する障害物(畑の支柱? 柵?)を突破する方法がシーン1とは違っていたので、別個体ではないかと想像しています。 
(柵に対して体高が違うのかもしれません。)
実は、猿たちが向かった行き先には、別のカキノキ大木があります。


※ 動画編集時に自動色調補正やモノクロ加工を施しています。 


【考察】
地面に雪が積もってクッション(緩衝材)になっているので、多少無茶しても着地の衝撃が和らいでいるのかもしれません。
高所から飛び降りて着地の際に足首や手首を捻挫したり骨折したりしたら、野生のニホンザルにとって大事(おおごと)になります。
体重の軽い幼獣の時期は頭から先に飛び降りて前足で着地しても平気なようですが、体重の重い成獣になると足から先に飛び降りて、後足で慎重に着地するようになります。
後脚の方が筋力があるので、着地の衝撃を吸収できるのでしょう。

ChatGPTに色々と相談してみました。


つづく→

イエネコに狙われながらも道端でせっせと巣材を集めて帰巣するドバト(野鳥)

 

2019年4月下旬・午後17:00頃・くもり 

街なかの道端でカワラバト(=ドバト;Columba livia)がうろつきながら、歩道をあちこちつついていました。 
てっきり道端に生えた雑草(の種子?)を採食しているのかと思いきや、じっくり観察すると、餌でもない細い小枝を拾い集めています。 
しかも小枝をかなり選り好みしていて、嘴で咥え上げては捨てる行動を何度か繰り返しています。 
どうやら巣材に適した小枝を吟味している様子です。 
すぐ横の車道をバスなど大型車両が轟音を立てて通っても、ドバトは全く気にしないで巣材集めを続けています。 
ようやく気に入った小枝を嘴に咥えたまま、飛び去りました。 

そのままドバトを流し撮りすると、約55m離れたビルの1階にある路面店の軒先に並べて設置された看板の上に鳩が留まりました。 
どうやら、この看板の背後の空間でドバトが巣作りを始めたようです。 

ドバトは道端の同じ地点に戻ると、巣材集め(小枝拾い)を繰り返し、再び巣に持ち帰りました。 
巣材を運んでいるドバト個体の性別を見分けられないのが残念です。 

こんな賑やかで交通量の多い道のすぐ横で営巣するとは、よほど人馴れしたドバトなのでしょう(シナントロープの好例)。 
この建物は鉄筋コンクリートで、田舎町にしては高層ビルです。 
カワラバトは本来、断崖に営巣するらしいので、コンクリートの高層ビルを崖に見立てて営巣するのは納得です。 
それにしても、こんな低い場所に巣作りするとは意外でした。 
辺りを忙しく行き交う人々は、ドバトに無関心でした。 


道端のほぼ同じ地点からドバトが次の小枝を咥えて飛び去った直後に、白黒模様のイエネコ(Felis silvestris catus)が歩道を駆け寄って来ました。 
近所で飼われてる猫でしょう。 
耳をピンと立て、下げた尻尾の先を上にカールしたまま左右にくねらせ、辺りをキョロキョロ見回していました。 
獲物を狩る気満々で、逃げたドバトの行方を探しているようです。 
(YouTube動画はここまで。) 

真上の電線に留まっていたハシボソガラスが、鳩と猫の様子を見下ろしていました。 
頭部の羽毛を逆立て、嘴を足元の電線に擦りつけて拭ったので、ネコの出現に警戒しているようです。(映像は編集でカット) 


※ 動画の前半が無音なのは、屋内から窓ガラス越しに撮ったからです。 
後半はカメラを持って急いで外に出て、直接ドバトを撮りました。 


この猫が乱入しなければ、鳩は巣材集めをもっと繰り返していたはずです。 
巣材集め中にネコに襲われそうになったドバトは無事に逃げましたが、巣材が豊富に落ちている道端にその後は寄り付かなくなってしまいました。 
天敵のネコを避けて巣材を集める場所を変えれば済む話なのですけど、私が営巣地を見張っていても、そのドバトは全く帰巣しなくなりました。 
私やイエネコにこっそり見られていることに気づき、帰巣の瞬間を見られたくない(巣の位置を知られたくない)のかもしれません。 

 私が粘って張り込みを続けると、おそらく同一個体の鳩が20分後に戻ってきました。 
お気に入りの巣材集め地点の真上に張られてある電線に止まりました。 
しかし私が望遠レンズを不用意に向けただけで気付かれてしまい、警戒したドバトは飛んで逃げました。 


【後日談】 
結局その後、このドバトは営巣を断念したようです。 
猫が路上から自動販売機をよじ登って、看板裏にあるドバトの巣を襲ったのでしょうか? 
近くで別のビルの解体工事が行われているので、その凄まじい騒音や振動を嫌って営巣放棄したのかもしれません。 

翌年に現場を通りかかると、ドバトが営巣していた看板の手前には網(金属の粗いメッシュ)が設置されて、鳩が出入りできないようになっていました。 
おそらく、ビルの路面店に出入りする客から鳩による糞害などの苦情が出て対策したのでしょう。 
鳥害対策として営巣地の看板に金網を被せた代償で、広告効果は台無しです。 


日本野鳥の会『みる野鳥記7:キジバトのなかまたち』という本によると、
・ドバトが巣をつくるのは、工場など大きな建物の屋根の下や、高速道路の下、または大きな橋の梁の下などです。 ・巣は、外側の直径が25〜35cm、厚さが7cmほどのお皿形です。巣の材料は、かれ枝やかれ葉ですが、都会では針金やビニールのひもがまじっていたり、動物園でつくった巣には馬の毛が入っていたりと、身近なものをどんどん使っています。 
・巣作りは♂と♀の分業ですが、ドバトの場合、巣材を運ぶのは♀、そして運ばれてきた材料でせっせと巣をつくるのは♂という例が、観察中40%もありました。分業はするけれど、特に♂、♀の役割は決まっていないのかもしれません。 (p42〜43より引用)

2026/04/10

二次林の越冬地で凍った巣口を掘るホンドタヌキ♀♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年1月下旬・午後20:10頃・気温−1℃ 

平地の落葉した二次林で、ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が越冬する営巣地を自動撮影カメラで見張っています。 
ここは以前、ニホンアナグマの営巣地(セット)でした。 

左からタヌキがペアで登場しました。 
そのうちの1頭が、巣口Rの雪かきを始めたようです。 
硬く凍った雪面を前脚で割り、その欠片を後方に掻き出しています。 
別アングルの監視カメラでなぜか撮れてないのが残念です。 
その後、巣穴Rに入れたのかどうかも、分からずじまいです。


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→

ヤマザクラの花で採餌するクロマルハナバチの創設女王

 

2024年4月中旬・午後12:45頃・くもり 

里山の西向き斜面の廃道沿いに咲いたヤマザクラでクロマルハナバチ(Bombus ignitus)の創設女王♀が訪花していました。 
あまりにも忙しなく花から花へと飛び回っていたので、1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:20〜) 
吸蜜する後脚の花粉籠に少量の橙色の花粉団子を付けていました。 

関連記事(3年前の撮影:花粉籠は空荷)▶ 山桜の花で採餌するクロマルハナバチ創設女王 


女王蜂にしては小柄な個体なので、早く羽化したワーカー♀かもしれません。 
しかし、いくら暖冬だったとは言え、さすがに4月中旬に働き蜂が羽化するのは考えにくい気がします。 
越冬明けの創設女王で、たまたま小型の個体だったのでしょう。 
(それとも、コマルハナバチ(Bombus ardens)創設女王の可能性もありますかね?)

2026/04/09

カキノキ大木からニホンザルが下りる方法(1)枝先にぶら下がってから雪面に後足で着地する場合【トレイルカメラ】

 



2025年1月中旬〜下旬 

カキノキ大木に登って、梢に残った熟果を食べたり、樹上で日光浴したりした後で、ニホンザル(Macaca fuscata fuscata)たちは木から下りて、雪原を遊動します。 
猿たちは色々な方法で地上に降りていました。

例えば、落葉した細い枝先にぶら下がってから落ちます。
 「猿も(柿の)木から落ちる」どう落ちる?という問題をまず扱います。 
地面に大雪が積もっていると、雪が緩衝材となって着地の衝撃を和らげてくれます。 
(1)一番多いのは、カキノキ樹上のニホンザルが下の枝まで降りてきて細い枝先を両手で握ってぶら下がってから、手を離して両足から雪面に着地する方法です。 
そのような比較的安全な木下り方を、今回の動画にまとめました。 
(2)逆に、ニホンザルが頭を下にしてカキノキの下の枝まで降りてきて、細い枝先を後足の指で器用に握って真っ逆さまにぶら下がってから、足を離して両手から雪面に着地する方法があります。 
ややリスキーな木下り法(2)については、次回の記事にまとめます。 

カキノキ樹上のニホンザルが、垂れ下がった細い枝のなるべく先端まで降りてきてから両手でぶら下がると、その状態でもう両足が雪面に着くことがあります。 
その場合は、握った手を離しても落ちる必要はありません。 
最も慎重な安全重視のニホンザル個体は、そのような木下り法をするようです。 

まだ木登りが苦手な幼い子猿を腹や背中(腰)にしがみつかせたままカキノキ樹上で活動している母親♀がいます。 
子猿という荷物を運んでいる分、単独個体よりも体重が重くなる訳ですが、それでも方法(1)で果敢に雪面へ飛び下りていました。 
母猿はもちろん、運んでいる子猿が怪我することもありません。 


シーン0:1/3・(@0:00〜) 

シーン1:1/7・(@0:03〜) 

シーン2:1/9・(@0:06〜) 

シーン3:1/10・(@0:10〜) 

シーン4:1/11・(@0:35〜) 

シーン5:1/13・(@0:38〜) 
トレイルカメラの誤作動で撮れた映像をつなげて、厳冬期の雪国の変わりやすい気象条件をお伝えしました。 
ここからが本題です。 

シーン6:1/17(@0:43〜) 

シーン7:1/19・午前後(@2:22〜) 

シーン8:1/20・午前後(@3:49〜) 

シーン9:1/21・午前後(@5:08〜) 

シーン10:1/22・午前後(@5:31〜) 

シーン11:1/23・午前後(@8:09〜) 

シーン12:1/25・午前後(@8:12〜) 


※ 動画編集時に自動色調補正やモノクロ加工を施しています。 




【考察】
ChatGPTに色々と相談してみました。

Q1: 二足歩行するヒトの場合は明らかに後脚のほうが前脚よりも筋力が強いが、ニホンザルも同じか? 四足歩行のニホンザルは着地の衝撃を和らげて安全に着地するために、足から先に飛び降りる(feet first)ことが多い、という論理展開をしたいのです。

A1: 結論から言うと、その論理は大筋では成立しますが、「ヒトと同じ理由で後肢が明確に強いから」という単純化は少し危険です。少しだけ補強すると、かなり説得力のある説明になります。

1. ニホンザルの前肢・後肢の筋力関係

ニホンザル は四足歩行(厳密には四肢運動)を基本とするため、

  • ヒトほど極端な「後肢偏重」ではない

  • 前肢も支持・把握・登攀に強く関与する

ただしそれでも、

  • 推進力・跳躍・着地の衝撃吸収は主に後肢が担う

  • 股関節・大腿・下腿の筋群はしっかり発達している

という点では、機能的には後肢優位です。


2. 「feet first」で降りる理由

ニホンザルが木から降りるときに feet first を選ぶ理由は、単に筋力差というよりも、以下の複合要因で説明すると自然です。

(1) 衝撃吸収に有利

  • 後肢は関節(股・膝・足首)が大きく可動し、

  • バネのように衝撃を吸収できる

→ これはヒトと同様の力学的利点


(2) 姿勢制御がしやすい

  • 頭を上に保つことで視野を確保できる

  • 着地点を確認しながら降りられる


(3) 樹上から地上への移行に適した運動パターン

  • 地上では四足姿勢に移行する必要があるため、

  • 後肢から接地 → 前肢を続ける方がスムーズ


4. 注意点(重要)

避けた方がよい単純化:

  • 「前肢より後肢の筋力が強いから feet first」
    → ヒトほど明確ではないので、専門的にはやや粗い

代わりに:

  • 機能的役割(shock absorption / propulsion)

  • 運動力学(impact absorption)

で説明するのが安全です。



Q2: ニホンザルは、体重の軽い幼獣の時期は頭から先に木から飛び降りて前足で着地しても平気なようですが、体重の重い成獣になると足から先に飛び降りて、後足で慎重に着地する印象があります。

A2: その観察はかなり筋が通っています。ただし、やはり**「筋力差」よりも「体重と衝撃の問題」**として整理すると、より自然で強い説明になります。

解釈のポイント

ニホンザル の場合:

幼獣(軽い個体)

  • 体重が軽く、落下時の運動エネルギーが小さい

  • 前肢での着地でも負担が少ない

  • 柔軟性も高く、多少ラフな動きでも問題になりにくい

→ headfirst descent や forelimb landing も許容されやすい


成獣(重い個体)

  • 体重が増え、落下エネルギーが大きくなる

  • 前肢で受けると負担・リスクが高い

  • 後肢のほうが関節が大きく、衝撃吸収に適している

→ feet-first landing(後肢着地)がより安全



Q3: feet-firstの場合、枝先に両手で掴まってぶら下がっても、足が雪面に着かないので、最後は手を離して落ちて両足で着地したのです。head-first, forelimb landingの場合は、枝先に後足で掴まってぶら下がってから、最後は枝を離して落下して前足で着地したのです。勢いをつけてジャンプした(跳び下りた)、というのとは違います。

A3: ポイント(重要)

この書き方の利点は:

  • 「跳んだ」のか「落ちた」のか曖昧にならない
  • 行動の順序が明確
  • 力学的な違い(push vs release)を正確に表現できる

今回のニュアンスなら日本語でも

  • 「ぶら下がってから手を離して落下し…」
  • 「保持を解いて落ち…」

の方が、「飛び降りる/跳び降りる」よりも正確です。






キカラスウリの果実に残る歯型はニホンザルの食痕か?

2024年12月上旬・午後 

平地のスギ防風林にあるホンドタヌキの溜め糞場WBCでトレイルカメラの保守作業に来たら、新しい糞塊が追加されていました。 

スギ林の林床に珍しく野生動物の食べ残しが散乱していました。 
カキノキの熟果の食べかけと、齧りかけのキカラスウリ果実2個です。 
 
ハエが1匹、乗っています。

近くに自生するカキノキの落果をタヌキやニホンザルが拾い食いすることが分かっています。 

関連記事(約1〜2週間前の撮影)▶  


しかし、キカラスウリの落果をタヌキが食べるとは思えません。 
なんとなく、ニホンザルの仕業ではないかと予想しました。 
キカラスウリ果実の表面に残された歯型を専門家が調べれば、誰が食べたのか絞り込めるのかもしれません。 
食べ残しの試料が新鮮ならば、歯型に残る唾液からDNAを調べることで、誰の食痕か確定できそうです。

手元にある試料『ニホンザル採食植物リスト2002』を参照すると、キカラスウリもカラスウリも掲載されていましたが、果実を食べたかどうか書いてありません。 
ニホンザルだとしたら、なぜスギ林にあるタヌキの溜め糞場までキカラスウリの果実を持ってきて、食べ残しを捨てたのか、不思議です。 
キカラスウリの自生地を突き止めないといけません。



2025年1月中旬・午後 

前回は下(林床)ばかり見ていて気づかなかったのですが、久しぶりに現場を再訪すると、スギ林に隣接する落葉灌木に巻き付いた蔓にキカラスウリの果実がいくつもぶら下がっていました。 
おそらくニホンザルがここで木に登り、キカラスウリの熟果を採食(味見)した後、食べ残しを林床に捨てたのでしょう。 

ニホンザルがキカラスウリの種子を果肉と一緒に食べなかったとしても(被食型の種子散布ではなくても)、果実が実った地点からわずかながらも移動したことから、種子が動物散布されたと言えるかもしれません。 




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【考察】
Gemini AIにいくつか質問してみました。
(古いバージョンのGeminiを使ったときの回答です。)



Q1: キカラスウリの実を食べるとどんな味か? ヒトの食用ではないのは私も知っています。野生動物が食べた痕跡を見つけたので、好奇心から質問しています。

A1: キカラスウリの果実の味について、ですね。カラスウリとキカラスウリは見た目が似ていて混同されがちですが、味も少し異なります。

キカラスウリの果実の味

キカラスウリの果実の味は、カラスウリよりも甘みが強く、苦みが少ないとされています。しかし、個体差や熟度によって味が大きく変わるため、「甘い」と言っても、人によっては「わずかに甘い」と感じることもあります。

甘み: 熟した果実の中心部分は、メロンのような甘い香りがするとも言われています。


苦味: カラスウリに比べると苦味は少ないですが、皮の部分や未熟な果実は苦みが強いことがあります。


その他: ほのかに酸味を感じる場合もあり、人によっては青臭さやえぐみを感じることもあります。

カラスウリとの違い

甘み: キカラスウリの方が甘みが強い。


苦味: キカラスウリの方が苦みが少ない。


香り: キカラスウリはメロンのような香りがする。

食用としてのキカラスウリ

キカラスウリは、カラスウリに比べて食用に適していると言われています。しかし、やはり野生の実ですので、全てが美味しく食べられるわけではありません。

食べ頃: 完熟した果実の中心部分を食べると、比較的美味しく食べられます。


注意点: 皮の部分や未熟な果実は苦味が強く、食用には向きません。また、種類によっては下痢や嘔吐を引き起こす可能性も指摘されています。


Q2: 林床に転がっていた2個のキカラスウリの果実の表面に野生動物の歯型が付いていたのですが、ほとんど食べずに(中の種子まで達してない)捨てられていました。ホンドタヌキかニホンザルの仕業かな?と想像しています。発見現場の近くにキカラスウリの群落はなかったので、わざわざ遠くまで果実を運んできたことになります。

A2: キカラスウリの果実の痕跡、興味深いですね。ホンドタヌキかニホンザルによるものか、とても気になります。

なぜ食べずに捨てられたのか?

キカラスウリは、果実の部位によって味が異なり、全てが美味しいわけではありません。特に、皮の部分や未熟な果実は苦味が強く、食用には向きません。

今回、歯型がついていたにも関わらず、中の種子まで達していなかったことから、以下の可能性が考えられます。

果実の熟度: 果実がまだ十分に熟しておらず、甘みが足りなかった。


苦味: 果実の皮の部分が特に苦く、口に合わなかった。


他の餌との比較: より美味しい餌が見つかったため、キカラスウリは途中で切り捨てられた。


好奇心: 単に好奇心から果実を噛んでみたが、味があわなかった。

ホンドタヌキかニホンザルか?

ホンドタヌキとニホンザル、どちらもキカラスウリの果実を食べる可能性はあります。

ホンドタヌキ:

食性: 肉食寄りの雑食性で、果実も食べます。


歯型: 比較的丸みを帯びた歯型で、果実を潰すように食べる傾向があります。


ニホンザル:

食性: 雑食性で、植物の果実や葉などを広く食べます。


歯型: 比較的鋭い歯型で、果実の皮を剥いだり、種子を割ったりする能力があります。

どちらの動物によるものか断定するのは難しいですが、歯型の形状や残された果実の状態から、ある程度推測できるかもしれません。



Q3: なるほど、専門家は食痕の歯型を見ただけで判別できる可能性があるのですね。食痕の唾液からDNA分析できたらなーというのは私も思ったのですが、写真に撮っただけで、食べかけのキカラスウリ果実を採集しませんでした。実は、その発見場所はホンドタヌキの溜め糞場でした。食べかけの物(食べ残し)をトイレ(溜め糞場)に捨ててあったのは、これが初めてだったので、ちょっと驚きました。


A3: 食痕と溜め糞場、興味深い発見ですね!

食痕からの動物種判別

専門家の中には、食痕の形状や大きさ、残された植物の痕跡などから、どの動物が食べたのかをある程度特定できる方がいます。特に、歯型は動物種によって特徴があり、重要な手がかりとなります。しかし、同じ種であっても個体差があるため、確実な同定には、複数の情報や経験が必要になります。

DNA分析の可能性

おっしゃる通り、食痕に残された唾液からDNAを分析できれば、より正確な動物種を特定できる可能性があります。近年、環境DNA分析技術の発展により、様々な生物のDNAを環境サンプルから検出できるようになってきました。食痕も環境サンプルの一つとして、DNA分析の対象となるかもしれません。ただし、現時点では、食痕からのDNA抽出は、まだ研究段階であり、一般的に行われている手法ではありません。

ホンドタヌキの行動

ホンドタヌキが食べかけのキカラスウリを溜め糞場へ捨てていたというのは、興味深い観察ですね。通常、タヌキは食べ物を隠す習性があり、後で食べるために安全な場所に隠すことが多いです。しかし、今回のケースでは、食べかけのものをわざわざ溜め糞場へ運んだという点が特徴的です。

この行動の理由は、いくつか考えられます。

飽きた: 果実を食べ始めて、途中で飽きてしまった。


別の餌を発見: より魅力的な餌を見つけたため、キカラスウリを放棄した。


警戒: 天敵に襲われる危険を感じ、急いでその場を離れた。


縄張り行動: 縄張りの境界線に食べ物を置くことで、他の個体に自分の存在を示している。

溜め糞場は、タヌキが自分の存在を示したり、情報を交換したりする場所としても利用されます。食べかけのものを捨てることで、他の個体に何かしらのメッセージを送っているのかもしれません。



Q4: 12月上旬、平地のスギ林で見つけました。この辺りにはニホンザルも出没することが分かっています。

A4: 12月上旬という季節、平地のスギ林、そしてニホンザルの出没情報など、非常に興味深い情報が揃っています。

いくつか考えられる可能性と、さらに深掘りできる点についてご紹介します。
1. ニホンザルの食性と行動に関する考察

季節による食性の変化: 12月上旬という時期は、ニホンザルの食性がどのように変化しているのか、他の食料源との関係性などを考察できます。


キカラスウリを選んだ理由: なぜ、多くの果実がある中で、キカラスウリを選んだのか?栄養価や味覚、あるいは他の要因が考えられます。


食べ残した理由: 果実を完全に食べずに残した理由を、果実の熟度、味、あるいは他の要因から考察できます。


溜め糞場での行動: 溜め糞場で食べ残しを捨てた理由を、縄張り行動、情報伝達、あるいは他の要因から考察できます。
2. スギ林の生態系とニホンザルの関係性

スギ林におけるニホンザルの役割: スギ林の生態系の中で、ニホンザルがどのような役割を果たしているのか、種子散布や植生への影響などを考察できます。


人間との関係: スギ林の利用や管理と、ニホンザルの生息との関係性について考察できます。



Q5 カラスウリの液果は熟すと色鮮やかになるから、動物や野鳥に食べられて種子散布されると考えてよいか? それならなぜ苦いのだろう? カラスが好んで食べるからカラスウリと名付けられたという説は本当か?(カラスは本当にカラスウリの果実を好んで食べるのか?)


A5: カラスウリの液果が熟すと色鮮やかになるのは、確かに動物や鳥に食べてもらい、種子を散布してもらうための戦略と考えられます。しかし、カラスウリが持つ強い苦味や毒性のため、多くの動物は敬遠し、種子散布に貢献しているのは一部の動物に限られると考えられます。

カラスウリが苦い理由

カラスウリが強い苦味を持つ理由は、動物に食べられないようにするためと考えられています。植物は身を守るために様々な防御策を進化させており、カラスウリの場合は、その一つとして強い苦味を身につけていると考えられます。

カラスがカラスウリを好んで食べるのか

「カラスがカラスウリを好んで食べるからカラスウリと名付けられた」という説は、必ずしも正確ではありません。カラスウリの名前の由来は諸説あり、明確なことは分かっていません。

カラスがカラスウリの果実を食べることは、否定できません。しかし、カラスも全ての個体がカラスウリを好むわけではなく、他の食料が豊富であれば、わざわざ苦いカラスウリを選ぶことは少ないと考えられます。

種子散布を担う動物

カラスウリの種子散布を担う動物としては、以下のものが考えられます。

鳥: カラス以外にも、カケスやヒヨドリなどが、カラスウリの果実を食べる可能性があります。これらの鳥は、カラスウリを他の食料と混ぜて食べることで、苦味を薄めることができるかもしれません。


小型哺乳類: ネズミなどの小型哺乳類も、カラスウリの果実を食べる可能性があります。これらの動物は、カラスウリを巣に持ち帰り、種子を散布することもあります。

まとめ

カラスウリが色鮮やかな液果をつけるのは、動物に食べてもらい、種子を散布してもらうためですが、強い苦味があるため、全ての動物が好んで食べるわけではありません。種子散布を担うのは、一部の動物に限られると考えられます。

カラスウリの名前の由来は諸説あり、カラスが必ずしも好んで食べるから名付けられたというわけではない点も理解しておきましょう。

より詳しく知りたい場合は、以下の点について調べてみると良いでしょう。

カラスウリの種子散布に関する研究: 実際にどの動物がカラスウリの種子散布に貢献しているのか、具体的なデータに基づいた研究があります。


カラスウリの成分分析: カラスウリに含まれる苦味成分や毒性成分の詳細な分析が行われています。


カラスウリの分布と生育環境: カラスウリの分布や生育環境によって、種子散布を担う動物の種類や割合が異なる可能性があります。




Q6: カラスウリが持つ毒性とは?


A6: カラスウリは、その美しい見た目とは裏腹に、強い苦味を持つことで知られています。この苦味成分は、ククルビタシンという物質で、動物に食べられないようにするための防御物質です。
カラスウリの毒性について

ククルビタシン: カラスウリに含まれる苦味成分の多くは、このククルビタシンです。大量に摂取すると、下痢や嘔吐などの食中毒症状を引き起こす可能性があります。


個体差: カラスウリの毒性は、生育環境や品種によって異なります。一般的に、野生種の方が栽培種よりも毒性が高い傾向があります。


部位による違い: 果実だけでなく、種子や根にも毒性があると考えられています。
なぜカラスウリは毒を持つのか?

カラスウリが毒を持つのは、種子散布という観点から考えると理解できます。

種子を守る: 強い苦味によって、多くの動物に食べられずに済み、種子が無事に地面に落ちて発芽する機会を増やしています。


特定の動物との共存: 一部の動物は、カラスウリの毒に耐性を持っているか、少量であれば問題なく食べることができます。これらの動物が種子を運ぶことで、カラスウリはより広い範囲に分布を広げることができます。
カラスウリを食べることのリスク

食中毒: 大量に食べると、下痢や嘔吐などの食中毒症状を引き起こす可能性があります。


個人差: 人によって体質が異なるため、少量でも体調不良を起こす場合があります。


誤食: カラスウリと似た形の他の植物と間違えて食べてしまう可能性があります。


散歩中にドバトの群れを追い散らすゴールデンレトリバー【冬の野鳥:ハイスピード動画】

 

2026年1月上旬・午前11:50頃・くもり 

雪道で飼い犬を散歩させているヒト♂がいました。 
犬種はゴールデン・レトリバーでした。 
一方、私は橋を渡っているところで、イエイヌ(Canis lupus familiaris)と私の間にはカワラバト(=ドバト;Columba livia)の群れがいました。 
鳩に餌をやる通行人がたまにいるので、この場所に年中集まっているのです。 
30羽ぐらいの群れが路上(橋の上の歩道)に密集して採食していました。 
これからイヌとドバトがニアミスしそうです。 
次の展開を予想した私は、これは良いスローモーションが撮れるぞ!と期待して、240-fpsのハイスピード動画で撮影を開始しました。

飼い犬は多数のドバトを見ると、眠っていた狩猟本能が呼び覚まされたのか、喜び勇んで鳩の群れに向かって駆け出しました。 
イヌが近づくと、ドバトは次々と飛んで逃げ始めました。 
しかし鳩は飛び立っても短く飛ぶだけで、イヌから安全な距離を保ってすぐに着地します。 
イヌが来れない(リードが届かない)安全地帯に図太く居座って、採食を続けています。 
ドバトはいちいち飛んで逃げるのも億劫なのか、省エネのために歩いて(走って)逃げるだけの個体も多いです。 

このゴールデン・レトリバーは首輪だけではなくハーネスも装着した上で、飼い主がリードをしっかり握っているので、鳩を襲いたくても飼い主に制止されてしまいます。 
躾がしっかり行き届いているイヌのようで、飼い主のリードを振り切ってまでドバトに襲いかかることはしませんでした。 

これは私の想像ですが、この飼い犬(ゴールデンレトリバー)もドバトも互いに顔見知りなのかもしれません。 
毎日同じコースで散歩する度に出会っているとしたら、ドバトがこのイヌを舐めているのも納得です。 

獲物が目の前にいるのに自由に追跡できない状況は、イヌにとっては欲求不満が溜まりそうですが、楽しそうにドバトの群れを何度も追い散らしています。 
イヌが本気で駆け出したら、ドバトの群れが一斉に飛び立ちました。 
すると飼い主がたしなめるように、イヌの頭を軽くはたきました。 それでもゴールデン・レトリバーは鳩の群れに遊びの突進を繰り返しています。 

ゴールデン・レトリバーが元気に走り出すと、長い毛並みや垂れた耳や舌、尻尾、口周りの弛んだ皮膚が揺れて、見応えのあるスローモーション映像になりました。 
犬の吐く息が白く写っています。 
イヌはわざと余所見してドバトを油断させてから、一気に駆け寄る戦法をとることもありました。 
しかしドバトは、お見通しのようです。 
散歩中でリードに繋がれた飼い犬は、そもそも本気で獲物を捕れるとは思ってないようで、鳩に口で噛みつこうとはしていません。 
逃げる鳩を追い散らすのが楽しいだけなのでしょう。
ヒトの幼児も公園で楽しそうに走り回って、鳩をわざと追い散らす姿をよく見かけます。 
アイスバーンで犬の足がスリップすることもありました。 
飼い主はリードを引っ張って踏ん張り、なんとかイヌを制止しようとしています。 

なかなか見応えがあるハイスピード動画が撮れました。 
あとは2丁拳銃を乱射する演出を追加して、劇的なBGMを付ければ、B級アクション映画のワンシーンが出来上がりです。  

最後に私は、高画質のFHD動画に切り替えて撮影しながら、鳩の群れの横を通り過ぎます。 
人馴れしたドバトは、まったく逃げませんでした。 
のんびり羽繕いしている個体もいます。 
こんなラストシーンは蛇足なのですけど、低画質のハイスピード動画だけを投稿するよりも、このFHD動画と連結した動画を投稿した方が、YouTubeでは高画質動画としてアップロードされるのです。


2026/04/08

鳥から毟った羽根が雪に埋もれたスギ林床に小便でマーキングする冬毛のホンドギツネ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2025年1月上旬

シーン0:1/3・午後14:47・くもり・気温11℃(@0:00〜) 
スギの防風林が田畑を取り囲んでいます。 
その杉林の雪面に鳥の羽根が大量に散乱していました。 
肉食の捕食者(おそらくフクロウなどの猛禽?)が獲物を狩った直後に、羽根を毟り取ったのでしょう。 
毟り取られた羽根の色は地味で黒っぽく、一部は茶色に縁取られていました。 
素人目には、なんとなくヒヨドリ(Hypsipetes amaurotis)またはキジバト(Streptopelia orientalis)かな?と予想したのですが、真面目に検討していません。 
キツネやテンなど肉食獣の仕業かもしれませんが、雪面に動物の足跡は付いていませんでした。 
同じ地点に捕食者が戻ってくるのではないかと期待して、トレイルカメラを設置しました。 
その捕食者にとって、もしもここがお気に入りの調理場(屠殺場)なら、毎回鳥を狩った後に獲物の羽根を毟る行動が記録されるはずです。 


シーン1:1/5・午前2:33・くもり・気温-3℃(@0:06〜) 
2日後の未明に、左から冬毛のホンドギツネ(Vulpes vulpes japonica)が単独で登場しました。 
雪の積もったスギ林床で、あちこち匂いを嗅ぎ回っています。 
雪の下に埋もれた鳥の羽根の匂いを嗅ぎつけて、雪を掘り返すかな?と期待したのですが、気づかなかったのかもしれません。 
それとも、このキツネこそが鳥を狩って羽根を毟り取った張本人なのだとすれば、羽根以外の肉はもう残っていないことを誰よりも知っているはずで、無駄な穴掘りをしないのも当然です。

スギ成木の真下で雪面から飛び出している落枝の先端部の匂いが気になって、キツネはくんくん嗅ぎました。 
実は5日後に、ホンドテンがそこに排尿マーキングしました(映像公開予定)。 
テンがここに通って来る度にマーキングしているとすると、キツネもそれに対抗したくなったようです。 
その直後にキツネは腰を落として、雪面に排尿してマーキングしたようです。 
塚田英晴『野生動物学者が教えるキツネのせかい』によると、
オスのキツネはイヌのように片方の後ろ足を上げて尿をしますが、メスのキツネは足を上げないでしゃがんだ姿勢で尿をします( 口絵 26)。 電子版の位置: 943より引用
「排尿姿勢から、この個体は♀だろう」とは必ずしも言い切れません。 
尿で匂い付けする対象物が地面の場合は、♂でも腰を落として(片方の後脚を上げずに)排尿マーキングするからです。 

キツネは上を見て何かに驚き、左下手前に立ち去りました。 
スギ林でフクロウが止まり木に居たのではないか?と個人的に想像を逞しくしているのですが、定かではありません。 



つづく→

庭木のヤエウツギに樹霜

2025年1月中旬・午前11:25頃・くもり 

民家の庭で生垣のように植栽された落葉性灌木サラサウツギ(=ヤエウツギ)(八重咲き)の枝先に、白い針状の霧氷(樹霜)がびっしり形成されていました。 
この日は、明け方の最低気温がよほど下がったのでしょう。 
日が高く昇ると、美しくも儚い樹氷は、みるみる溶けてしまいます。

ホバリングしてキツリフネの花蜜を吸うヒメクロホウジャク(蛾)

 

2024年10月上旬・午後13:05頃・くもり 

山麓の道端の草むらに咲いたキツリフネの大群落でヒメクロホウジャク(Macroglossum bombylans)が訪花していました。 
花から花へと忙しなく飛び回り、ホバリング(停空飛翔)しながら距(きょ)の奥にある蜜腺まで口吻を差し込んで吸蜜しています。 
猛烈な羽ばたきを、まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。
その後に等倍速でリプレイ。 
カメラのオートフォーカスがなかなか間に合いません。
今回もハイスピード動画モードに切り換える前に逃げられてしまいました。 



2026/04/07

厳冬期の雪国でカキノキ巨木に通って来る、首輪を装着したニホンザル母子【トレイルカメラ】

 



2025年1月中旬〜下旬 

シーン0:1/3・午後14:23・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
郊外でスギの防風林に囲まれた畑の端に聳え立つカキノキの巨大な古木を自動センサーカメラで見張っています。 
落葉した枝には年が明けても、まだ熟果がたわわに実っています。 

とあるニホンザル(Macaca fuscata fuscata)母子の登場シーンを以下にまとめました。 
この成獣♀には黒い首輪(おそらくGPS付き)が装着してあるので、群れで遊動していても個体識別が可能です。 


シーン1:1/7・午後12:33・晴れ(@0:03〜) 

シーン2:1/11・午前8:43・くもり(@0:06〜) 
夜に降った雪が止んでいました。 
雪面に野生動物の足跡はありません。 


シーン3:1/12・午後14:20・晴れ(@0:10〜) 
カキノキの手前の雪原に、黒い首輪を装着した成獣♀と子猿が来ていました。 
抱えている子猿がキキキッ♪と鳴きながら、なぜか激しく暴れています。 
ぐずる子猿を腹にしがみつかせてから、右へ立ち去りました。 


シーン4:1/22・午後12:01・くもり(@0:23〜) 
10日後の昼下がり。 
奥の雪原を左から右へ子猿をおんぶしたまま遊動するニホンザル♀がいますが、今回注目すべき主役(♀首輪)は画面右上のカキノキ樹上に腰掛けていました。 
子猿も母親♀の右隣りに隠れて居ました。 

♀首輪が先導してカキノキの枝先から降り始めました。 
枝先にぶら下がって雪面に飛び降りるつもりのようですが、着地まで見届ける前に録画が打ち切られてしまいました。 
子猿も母親♀首輪の後からついて来ています。(自力で木下り) 


シーン3:1/23・午後15:17・くもり(@0:47〜) 
翌日の午後。 
首輪なしの母親♀が、子猿をおんぶしたまま(腰に乗せた状態)、カキノキ大木の幹の股の部分までよじ登っていました。 
そこまで来ると、子猿が母親♀の背中から幹に飛び降りました。 
太い幹だと子猿は自力で雪面からよじ登るのが難しいので、母親♀に連れてきてもらう必要があるのです。 
(太い幹を攻略する裏技があるのですが、それについては後述。) 

♀首輪がカキノキの横枝に座ると、その胸に子猿がしがみつきました。 
母子が珍しくカメラに向かって座ってくれました。 
母から子への対他毛繕いはしませんでした。 

その間に、雪原を奥から手前に向かって別の母子が遊動してきます。 
後から来た母親♀が黒い首輪を装着していました。 
我先に走って来た子猿が、柿の木の幹に立て掛けてあった竹竿を使って、カキノキによじ登りました。 
後からついてきた♀首輪も、竹竿を経由してカキノキに登ると、横枝に腰掛けて痒い体を掻きました。 
右の枝先まで行っていた子猿が左に走って戻ると、♀首輪の背中を踏み台にしてから別の幹を登りました。 
♀首輪もその後を追ってカキノキ樹冠部に姿を消しました。 

先に樹上に来ていた母子は、首輪母子に遠慮したのか?上の枝にさっさと移動していました。 
樹上に残った熟柿を採食しているのでしょう。 
子猿同士は遊び仲間なのかもしれません。

これが、1/23最後の記録になりました。 
ニホンザルの群れの一部がカキノキの樹上に残ってそのまま塒入りしたのではないかと想像しています。 
日の入り時刻は午後16:55。 
監視カメラの画角が狭いので、塒入りの証拠映像を撮るのが難しいのです。 


シーン4:1/24・午前7:50(@2:02〜) 
翌日の朝、首輪装着♀が、監視カメラを向いてカキノキの太い横枝に座っていました。 
頬袋に詰め込んだ餌(おそらく熟した柿の実)をもぐもぐと咀嚼しています。 

さらに上の幹へ身軽によじ登り、姿が見えなくなりました。 


シーン5:1/24・午前8:56(@2:18〜) 
約1時間後。 いつの間にか首輪の母子はカキノキから地上(雪原)に降りていたようです。 
(下りるシーンを撮り損ねました。) 

先行する子猿が既にカキノキの横枝までさっさと登っていて、更に右の細い枝先へと移動しました。 
母親の♀首輪が右手前から雪原を歩いて来ると、幹に立て掛けてある竹竿を使って柿の木に登りました。 

♀首輪が上の横枝に座ると、子猿も近寄ってきて横に並んで座りました。 
しかし、遊びたい盛りの子猿は落ち着かず、母親♀の肩を乗り越えて横枝を右往左往しています。 
最後は母子共に樹冠部の死角に姿を消しました。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
首輪という分かりやすい特徴をもとに、個体識別したニホンザル♀とその子猿の行動をまとめることができました。 

1月も後半になるとカキノキ樹上に餌となる果実はもう残っていないのかもしれませんが、それでもニホンザルたちが頻繁にやって来て樹上に登ります。 
夜の塒(ねぐら)として、そして朝の日光浴に適した場所でもあるようです。 


スギ林の雪面で仮死状態になっていたツヤアオカメムシ(休眠越冬中)

2025年1月上旬・午後13:10頃・晴れ 

平地のスギ林の雪面に黄緑色の虫が腹面を向けて転がっていました。 
裏返してみると、ツヤアオカメムシ(Glaucias subpunctatus)の成虫でした。 
指で触れたり手のひらに乗せてみても、仮死状態(低温麻痺)で動きません。 
今思うと、採集して持ち帰り、室温で蘇生することを確認すべきでしたね。 


ツヤアオカメムシは、主にスギやヒノキの生木の葉裏、樹皮の隙間、落葉や枯れ葉の間などで集団越冬することが知られています。 
現場はスギ防風林の林縁だったので、越冬場所の樹皮が剥がれたり、樹上からの落雪と一緒に落ちてきた落葉落枝にツヤアオカメムシが紛れていたのだろう、と推理できます。 
完全に休眠する訳ではなく、気温が上がると移動することがあるそうなので、移動中に雪面で動けなくなった(うっかり行き倒れた)可能性もありそうです。 

本ブログでツヤアオカメムシは初登場になります。 
元来、西日本などの暖地性の種でしたが、近年は温暖化の進行と共に北上しているらしい。 
山形県内でも、内陸・沿岸部ともに果樹害虫としての発生報告や、冬季の成虫の確認例が既に蓄積されているとのこと。 
「主にスギやヒノキなどの針葉樹林に生息し、秋にはミカンやカキなどの果樹園に飛来します。」 
すぐ近くにはカキノキとアンズの果樹が1本ずつ並んで植栽されていたので、ますます辻褄が合います。


Gemini AIに質問しながら記事を書きました。
ツヤアオカメムシは、主にスギやヒノキの生木の葉裏、樹皮の隙間、落葉や枯れ葉の間などで集団で越冬します。11月頃に山間部から人里へ移動し、暖かい日には飛ぶなど活動することもあります。市街地では街路樹や生け垣も越冬場所になります。 

詳細な越冬場所と生態 
自然環境: 常緑樹(特にスギ、ヒノキ)の生い茂った葉の裏、枯れ葉が積み重なった場所、石の下など。 

冬の行動: 12月頃から冬眠に入り、翌年3月頃に活動を再開する。暖かい日には活動することがある。 

特徴: 寒さに強く、冬でも山間部や人里の樹木で生き残る。近年は暖冬の影響で越冬できる個体が増えている可能性がある。 屋内への侵入: クサギカメムシほどではないが、家屋の隙間やカーテン、衣類の隙間などで越冬することもある。なお、カメムシの大量発生が直接大雪の予兆になるという科学的根拠はありません。

晩秋の青空に弧を描いて飛ぶトビ(野鳥)

 

2024年11月下旬・午前10:05頃・晴れ 

秋晴れの空にトビ(Milvus migrans)が飛んでいました。 
休耕地からの上昇気流に乗って滑翔と羽ばたきを繰り返し、くるりくるりと弧を描いています。 
羽ばたかない滑翔中は、尾羽根を傾けることで左右に方向転換していることがよく分かります。 
今回は全く鳴かずに、静かに飛んでいました。 

私の頭上を飛んでくれたのは、怪しい侵入者を偵察に来たのでしょう。
おかげで、広げた翼の黒い下面にある白い斑紋がしっかり見えました。

2026/04/06

里山の獣道を通る夏毛のニホンノウサギ:9月上旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年9月上旬・午後21:10頃 

里山でスギと雑木の混交林にあるカモシカの溜め糞場sr2を自動撮影カメラで監視しています。 
岩塩プレートをミズナラの幹に巻きつけて塩場としているのですけど、今回の本題とは関係ありません。 
地形は基本的に画面の左から右に向かって山腹の斜面が登っていて、溜め糞場sr2付近だけやや平坦になっています。 

ある晩、夏毛のニホンノウサギ(Lepus brachyurus angustidens)が現れました。
獣道を右から来て、ミズナラの木の下に立ち止まっていました。 
林床でカモシカの溜め糞の匂いを嗅いでから、左へピョンピョン走り去りました。 


つづく→?

イソギクの花を舐めるナミハナアブ♀

 

2024年11月上旬・午後15:15頃・晴れ 

道端の花壇に咲いたイソギクの群落にナミハナアブ♀(Eristalis tenax)が忙しなく訪花していました。 
花蜜や花粉を舐めているはずですけど、背側から見下ろすアングルでは、肝心の口吻が見えません。 
短く飛んで花から花へ移動しています。 

参考サイト(byフッカーSさん):シマハナアブ亜属とナミハナアブ亜属の比較 
後脚脛節の黄紋の有無で近縁種を識別するのだそうです。 
今回の個体には、後脚の脛節に黄紋がないので、ナミハナアブとしました。 


2026/04/05

太い幹に立て掛けてある竹竿を経由してカキノキ大木に登るニホンザルの群れ【トレイルカメラ】

 



2025年1月中旬〜下旬 

シーン0:1/3・午後14:23・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
郊外で杉の防風林に囲まれた畑の端にカキノキの巨大な大木が聳え立っていて、それを自動センサーカメラで見張っています。 
落葉した枝には熟果がまだたわわに実っています。 

ニホンザル(Macaca fuscata fuscata)による面白い木登り法についてまとめました。 
他には枝から枝にジャンプするシーンも含まれています。


シーン1:1/11・午前8:43・くもり(@0:03〜) 
大雪が積もりました。 
カキノキの落果や野生動物の足跡は、深い雪の下に埋もれてしまいました。 
雪面が凸凹しているのは、樹上から落雪したせいです。 


シーン2:1/21・午後15:14・くもり(@0:06〜) 
カキノキ樹上で子猿が右の横枝から左上の枝へと身軽に飛び移り、死角に姿を消しました。 

本題はここからです。 
子猿を背負った母親♀が、奥の雪原からこちらに向かって歩いて来ます。 
障害物を乗り越えながら、群れが通ったラッセル跡を辿って歩きます。 
カキノキの太い幹を直接登るのは無理らしく、幹に立て掛けてある細い竹竿を経由して、力強くよじ登りました。 
竹竿が2本無造作に立てかけられているのですが、1本は木の股に挟まっているために安定しており、ニホンザルが握っても体重を支えてくれます。 
もう1本の竹竿は斜めにずれてしまっているため、木登りの道具としては役に立ちません。 


シーン3:1/23・午前7:39・くもり(@0:44〜) 
2日後も、同様の竹竿を使った木登りシーンが撮れていました。 
子猿をおぶった母猿が雪原を奥から手前に歩いてきて、握りやすい竹竿を使ってしてカキノキ巨木によじ登りました。 
シーン2と同一個体なのかな? 


シーン4:1/23・午後15:16・くもり(@0:56〜) 
子猿を腰に乗せた母親♀がまた雪原の奥からやって来ます。 
今回は障害物の柵?を次々とくぐり抜けました。 
立て掛けてある竹竿を使って、柿の大木によじ登りました。 
幼い子猿は、この木登り法ができないようです。 


シーン5:1/23・午後15:39・晴れ(@1:37〜) 
カキノキの横枝の先端付近に座っていたニホンザル個体が、身を屈めて反動をつけると、少し離れた隣の枝に跳び移りました。 
お見事! 


シーン6:1/20・午前4:23(@2:01〜) 
未明に猛吹雪が吹き荒れています。 


シーン7:1/20・午前7:56・くもり(@2:05〜) 
子猿をおんぶした母親♀が太い横枝に登り、腰掛けました。 
子猿を腰から下ろすと、抱きかかえました。 

画面の右下から別個体が雪面を歩いて登場しました。 
若いニホンザルのようですが、この個体も竹竿を経由してカキノキによじ登りました。 
先客の母子を追い越して、同じ横枝の枝先まで一気に移動すると、座りました。 


シーン8:1/20・午前8:18・くもり(@2:32〜) 
竹竿に取り付く瞬間には間に合いませんでしたが、ニホンザル成獣の単独個体がカキノキの太い幹を苦労してよじ登るシーンが撮れていました。 


シーン9:1/20・午前8:23・くもり(@2:53〜) 
子連れのニホンザル♀が、子猿をおんぶしたままカキノキの太い幹を苦労してよじ登っていました。 
竹竿を使ってよじ登る瞬間は撮り損ねたようです。 

太い横枝に座ると、子猿を背中から下ろして胸に抱き、身震いしました。 
しばらくすると、立ち上がって左上の幹を登り始めました。 
子猿はすぐに母親♀の腰に乗って樹上を運ばれて行きます。 


シーン10:1/20・午前10:36・晴れ(@3:17〜) 
柿の木樹上で細い枝を伝って若い猿が走り回り、隣の枝へ身軽に跳び移りました。 


シーン11:1/20・午後15:53・くもり(@3:26〜) 
子猿をおんぶした母親♀が幹をよじ登るところでした。 
竹竿を経由してよじ登った瞬間を撮り損ねたのか、それともすでに右の横枝に居た母子が左に戻ってきて幹を登り返したのかもしれません。 


シーン12:1/22・午後8:22・くもり(@3:31〜) 
どうも最近、監視カメラの起動が遅れがちです。 
低温で電池が消耗しているのでしょうか?
今回も単独個体が竹竿を使って登る様子を撮り損ねてしまいました。 
雪面を勢い良く走ってきて一気に竹竿をよじ登るのかもしれません。 


シーン13:1/23・午後7:28・くもり(@3:54〜) 
竹竿登りの瞬間をまた撮り損ねました。 
単独行動の成獣です。 


シーン14:1/23・午後14:41・くもり(@4:18〜) 
またセンサーの反応が遅れ、単独個体♀が竹竿を使い終えて幹をよじ登るところでした。 
幹の股で小休止すると、身震いしてから右上の幹を登りました。 


シーン15:1/23・午後14:53・くもり(@4:37〜) 
右上の幹をよじ登っていました。 
どこから来たのか不明です。 


シーン16:1/24・午前7:50・くもり(@4:40〜) 
母親♀が珍しく、子猿を背中(腰)ではなく腹にしがみつかせたまま樹上まで運んで来ました。 
太い横枝でカメラに背を向けて座りました。 


シーン17:1/24・午前8:35・晴れ(@4:49〜) 
子猿をおんぶした母猿が幹の股の部分まで登っていました。 


シーン18:1/24・午前11:37・くもり(@4:57〜) 
またもや起動が遅れ、成獣が幹の股の部分まで既に登っていました。 
もしかすると、竹竿を使わなくても、カメラからは見えない幹の裏側をよじ登ってきたのかもしれません。 


シーン19:1/25・午後13:22・晴れ(@5:01〜) 
起動が遅れ、幹の股の部分に、子猿を背負った母親♀が登っていました。 


シーン20:1/13・午前11:22・晴れ(@5:07〜) 
地上から幹をよじ登るシーンは撮れていません。 
子猿を背負った母親♀が冠雪した太い横枝を右に移動すると、はらはらと落雪します。 


シーン21:1/20・午前10:56・晴れ(@5:33〜) 
またもや起動が遅れました。 
子猿を背負った母親♀が幹を登ります。 


シーン22:1/24・午前10:46・晴れ(@5:38〜) 
またもや起動が遅れました。 
単独個体が幹を登っていきます。 


※ 動画編集時に自動色調補正やモノクロ加工しています。 
説明の都合上、撮れた映像素材の順番を入れ替えました。 
ベストな映像を前半にして、酷くちらつく見苦しい映像は後半に回しました。 


【考察】 
「このカキノキに竹立てかけたのは、竹立てかけたかったから竹立てかけた」 

このカキノキは大木なのに、冬になっても熟した果実を収穫せずに放置してあります。
もしかすると、心優しい農夫がニホンザルが餌に困る厳冬期に木登りしやすいように、竹竿を立て掛けたままにしてあるのかもしれない、と想像したくなります。
農作物を食い荒らす猿害の被害もあるのですが、どうも地元の人たちはニホンザルを心底憎んでばかりいる訳でもないようです。

ところで、今回のニホンザルは竹竿を木登りの道具として使っているのでしょうか?
ChatGPTを相手にブレインストーミングしてみました。

Q1: カキノキの幹に竹竿が立て掛けてあった。ニホンザルが果実を採食するために木登りするのだが、幹が太くて地上から登りにくい。そこでニホンザルは、細くて握りやすい竹竿を経由して柿の木に登った。この場合、道具使用と言えるか? それとも単に、登りやすい経路を選択しただけか?

A1: 結論から言うと、このケースは**通常の定義では「道具使用とは言いにくい」です。ただし、定義の取り方によっては「境界例(グレーゾーン)」**に入ります。

1. 動物行動学での「道具使用」の基本条件

古典的には、道具使用は次のように定義されます:

  • 外部の物体を用いる

  • それを操作(manipulate)して

  • 他の対象や自分の状態に変化を与える

  • =身体機能を拡張する (Frontiers)

典型例:

  • 石でナッツを割る

  • 棒で昆虫をほじくる

ここで重要なのは
**「対象に働きかけるために物体を使う」**点です。


2. 今回の事例の位置づけ

あなたの観察では:

  • 竹竿は「操作されていない」(ただ登るだけ)

  • 竹竿は「対象に作用していない」(柿や枝に働きかけていない)

  • 役割は「移動経路の一部」

つまり機能としては
**「足場・経路の利用」**です。


3. なぜ通常は道具使用と見なされないか

このケースは、以下の理由で多くの研究者は道具使用としません:

■ 操作がない

竹竿を持つ・動かす・向きを調整する、などがない

■ 媒介作用がない

竹竿を使って「柿を取る」わけではなく、
単にアクセス経路を補助しているだけ

■ 環境利用に近い

これはむしろ

  • 岩を踏み台にする

  • 倒木を渡る
    と同じカテゴリーです


4. ただし「グレー」になる理由

一方で、この行動が面白いのはここです:

  • 人為的に設置された物体を選択している

  • 「細くて握りやすい」という機能的特性を利用している

この点は、
**環境中の物体の“機能理解”**を示唆します。

そのため文脈によっては:

  • 「環境改変物の利用」

  • 「構造物利用(structure use)」

  • 「proto-tool use(原始的道具使用)」

のように議論されることがあります。


5. もしこうなら「道具使用」に近づく

次のような要素が加わると評価は変わります:

  • サルが竹竿を自分で動かす・配置する

  • 竹竿を手に持って登る補助に使う

  • 複数の経路から意図的に選択する証拠がある

特に「操作」が入ると、一気に道具使用寄りになります。


まとめ

あなたの事例は:

  • 現状の定義では
    → 道具使用ではなく「経路選択・足場利用」

  • ただし
    → 機能的理解を伴う興味深い境界例


この種の事例は、ニホンザルの認知を評価する上ではかなり重要です。
もし同じ場所で繰り返し使われていたり、個体差が見えたりすると、さらに面白い解釈ができると思います。


Q2: この竹竿は、おそらく農夫が畑で作物の支柱として使った後で、雪が積もる前に移動してカキノキの幹に立て掛けたまま、忘れ去られたと想像しています。これがもし、ニホンザルが自力で木登りしやすいように竹竿を畑から持ってきて立て掛けたとすれば、道具使用になるか?

A2: その条件が満たされるなら、評価は明確に変わります。

結論としては、多くの定義で「道具使用」と見なされる可能性が高いです。


どこが決定的に違うか

先ほどのケースとの違いは一点に集約されます:

  • 竹竿を自分で運ぶ・配置する(=操作する)

これは動物行動学でいう「操作性(manipulation)」を満たします。


標準的定義に照らした評価

代表的な定義(Beck など)に当てはめると:

  • 外部物体を使う → 竹竿

  • 操作する → 運搬・立て掛ける

  • 目的がある → 登攀を容易にする

したがって

→ 身体能力を拡張するための外部物体の操作
=道具使用と解釈できる


ただし重要な論点(やや厳密)

このケースはさらに細かく分けて考えられます:

1) 道具使用(tool use)

  • 竹竿を「その場で使う」

  • 行動の一部として利用

2) 道具の準備・配置(tool preparation / tool placement)

  • 竹竿を「事前に運んで設置する」

あなたの仮定は後者を含むため、むしろ

→ より高度なタイプ(計画性を伴う行動)

と評価される可能性があります。


似た例との比較

よく知られた道具使用との関係:

  • チンパンジーが枝を加工してシロアリ釣り

  • カラスが針金を曲げる

これらと同様に

  • 環境から物体を選択

  • 目的に応じて配置

という点で共通します。


境界が問題になるケース

それでも議論が残るのは:

  • 竹竿は「登るための足場」であって
    「対象(柿)に直接作用していない」

このため研究者によっては

  • 「道具使用」ではなく

  • 構造物の構築(structure building)や環境改変

と呼ぶ可能性もあります。


まとめ

仮定された状況では:

  • 単なる経路利用ではなく

  • 外部物体の能動的操作+目的的配置

があるため

→ 道具使用(あるいはそれに非常に近い行動)と見なされる


この仮説が実際に観察された場合、ニホンザルの認知研究としてはかなり価値が高い事例になります。
特に「運搬距離」「繰り返し使用」「個体差」あたりが記録できると、解釈の説得力が一気に上がります。


Q3: ニホンザルの群れの複数個体が、この竹竿を利用して柿の木に登っていました。それができない幼い子猿は、母親の腹や背中にしがみついた状態で、運ばれていきます。(母親は竹竿を使ってカキノキによじ登る。)いったん樹上の横枝に達すれば、子猿は母親から離れて自力で樹上採食します。

A3: この描写はとても示唆的で、先ほどの「道具使用かどうか」という論点とは別に、社会的学習や運動発達の観点で価値の高い事例です。

1. 行動の整理

観察された要素を分けると:

  • 成獣・若年個体
    → 竹竿を経由して登る(経路利用)

  • 幼獣
    → 自力では登れない
    → 母親に運搬される
    → 樹上では自力採食可能

つまり
**「登攀能力だけが未発達」**であることが分かります。


2. 発達段階として自然なパターン

ニホンザルでは一般的に:

  • 移動能力(特に垂直登攀)は段階的に発達

  • 母親による運搬(ventral / dorsal clinging)が補助する

この事例はまさに:

  • 難易度の高い移動局面のみ母親が補助

  • 到達後は幼獣が自立

という典型的な構造です。


3. 社会的学習の可能性

ここが重要なポイントです。

幼獣は:

  • 竹竿という「登攀ルート」を

  • 母親に運ばれながら繰り返し経験する

したがって将来的に:

  • 自分で竹竿を使うようになる可能性

があります。

これは

  • 模倣(imitation)というより

  • 局所強化(local enhancement)

に近い現象です。

つまり:

  • 「ここから登れる」という情報が

  • 経験を通じて学習される


4. 道具使用との関係

この観察だけを見る限り:

  • 竹竿は依然として「経路」扱い

  • 道具使用の証拠にはならない

ただし重要なのは:

  • 複数個体が同じ人工物を反復利用している

  • 世代をまたいで利用される可能性がある

という点です。

これは

→ 行動の伝播(proto-culture 的現象)

に発展する余地があります。


5. 記録として価値が高い点

研究的に見ると、この事例で特に面白いのは:

  • 個体ごとの利用頻度(誰がどれだけ使うか)

  • 年齢差(幼獣 → 若年 → 成獣)

  • 学習のタイミング(いつ単独で使い始めるか)

  • 竹竿がなくなった場合の行動変化


まとめ

この事例は:

  • 道具使用そのものの証拠ではないが

  • 運動発達・母子関係・社会的学習が重なった好例

です。

特に、幼獣が「登れないが、登った先では採食できる」という点は、
行動のどの要素がボトルネックになっているかを非常にきれいに示しています。


もし継続観察できるなら、「同じ幼獣がいつ竹竿を単独利用できるようになるか」を追うと、かなり面白いデータになります。


Q4: 操作実験で竹竿をなくした場合にどんな行動になるか、興味深いです。ニホンザルは必要に迫られて、別な登り方を編み出すのか。もしカキノキの下の地面に竹竿を置いておいたら、元通りに立て掛け直すだろうか?

A4: 非常に良い着眼点です。こういう「ちょっとした環境改変」に対する反応は、認知の質がかなりはっきり出ます。いくつかの操作ごとに、現実的に起こりやすいパターンを整理します。

1. 竹竿を完全に撤去した場合

最も起こりやすいのは:

■ 代替経路の探索

  • 低い枝や傾いた幹を探す

  • 隣接木からの乗り移り

  • 地上からジャンプして取り付き

つまり
→ 既存のレパートリー内での解決

になります。

■ 登攀の諦め(特に低順位個体)

  • 到達できない個体は採食機会を失う

  • 群れ内競争の影響が出る可能性


2. 竹竿を地面に置いた場合(再配置可能)

ここが最も面白い条件です。

予測は3段階に分かれます:


A. 何も起こらない(最も起こりやすい)

  • 竹竿は単なる「物体」として無視される

  • 以前の使用は「配置された状態への依存」だった

→ 構造依存的利用(affordance依存)


B. 偶発的な接触のみ

  • 触る、持つ、引きずる

  • しかし登攀用途には使わない

→ 操作はあるが目的性が弱い


C. 再配置(もし起きれば重要)

  • 竹竿を持ち上げる

  • 幹に立て掛ける

  • その後に登る

→ これは

  • 明確な目的性

  • 手段-目的関係の理解

を示すため、

ほぼ確実に「道具使用(+準備行動)」と評価されるレベル

です。


3. なぜCは起きにくいか

ニホンザルの既知の行動レベルから考えると:

  • 物体操作はできる(石・食物など)

  • しかし

    • 「将来の行動のために環境を配置する」

    • 「構造物として使うために設置する」

はハードルが高いです。

特にこのケースでは:

  • 竹竿は長くて扱いにくい

  • 「立て掛ける」という安定条件が必要

という物理的制約もあります。


4. 中間的に起こり得る興味深い行動

完全な再配置でなくても、以下は十分あり得ます:

■ 支えながら登ろうとする

  • 竹竿を手で持ったまま幹に押し当てる

  • 不安定な補助として使う

→ 原始的な道具使用に近い


■ 他個体の行動への反応

  • 1個体が偶然成功

  • 他個体がそれを観察して接近

→ 局所強化 → 伝播の可能性


5. 実験としてのポイント

もし本当に試すなら、重要なのは:

  • 個体識別(誰が最初に試すか)

  • 試行回数(1回の偶然か、反復か)

  • 成功後の再現性

  • 他個体への波及

特に

→ 「同じ個体が繰り返し再配置するか」

が決定的です。


まとめ

あなたの想定した操作実験の帰結は:

  • ほとんどの場合
    → 代替経路探索で解決

  • まれに
    → 物体操作はするが目的に結びつかない

  • ごく稀に
    → 再配置が起きれば、極めて重要な認知的証拠


この種の状況は、「できるかどうか」よりも
**「どこまで試行錯誤するか」**を見るのが本質的に重要です。

もし観察を続けるなら、「竹竿がなくなった直後の最初の30分〜数時間」の行動が一番情報量が多いはずです。



Q5: ニホンザルが竹竿を使った木登り&果実採食に連日成功した後で、その竹竿を少しだけずらして登れないように意地悪してやると、経験豊富な成獣なら竹竿を元に戻して(成功時の記憶があるはず)登れるようにするのではないか? このカキノキは餌資源が豊富なので、かんたんに諦めるには惜しいはずです。

A5: 発想としてはとても筋が通っていますし、「成功経験に基づいて配置を修正できるか」は核心的な問いです。ただ、現実的な予測としては**「元の位置に正確に戻す」行動はかなり起きにくい**と見るのが妥当です。

1. 期待できる反応の優先順位

経験豊富な成獣でも、まず出やすいのは次の順です:

■ ① 既存レパートリーでの再試行

  • ずらされた竹竿をそのまま登ろうとする

  • 少し角度を変えて体勢で対応する

  • 幹の別の取り付き点を探す

→ 「物体を変える」より「自分の行動を変える」方が先


■ ② 代替経路の探索

  • 隣の枝や別ルートを試す

  • 他個体の動きを観察する

→ 前の回答で述べた範囲に収まる


■ ③ 限定的な物体操作(ここが分岐点)

  • 竹竿を押す・引く

  • 少し動かす(偶発的に有効な位置に近づく)

→ ここまでは十分あり得る


2. 「元に戻す」が難しい理由

あなたの仮説が成立するには、少なくとも以下が必要です:

  • 竹竿の「適切な位置・角度」を記憶している

  • それを現在の失敗と結びつける

  • 物体をその状態に意図的に再配置する

これは言い換えると:

→ 手段–目的関係+空間配置の再現

で、認知的ハードルが一段上がります。


3. それでも起こり得る「弱い形の成功」

完全な再現でなくても、次のような現象は十分現実的です:

■ 近似的な修正

  • 竹竿を押した結果、たまたま登れる角度になる

  • その状態で登攀成功

→ 見かけ上は「直した」ように見えるが
 実際は試行錯誤の副産物


■ 行動の洗練(もし反復すれば)

  • 同じ個体が何度か触っているうちに成功率が上がる

→ ここまで行けばかなり面白い


4. 本当に重要な分岐

この実験で一番重要なのは結果そのものより:

■ 再現性

  • 同じ個体が繰り返し同じ修正をするか

■ 初回行動

  • 失敗直後に竹竿へ注意が向くか

  • それとも別ルートへ行くか


5. あなたの仮説の評価

「餌資源が豊富だから工夫するはず」という点は一理ありますが、実際には:

  • 餌の価値が高い
     → 試行回数は増える

  • しかし
     → 解決戦略が高度化するとは限らない

というのが動物行動でよくあるパターンです。


まとめ

この操作に対する現実的な予測は:

  • 多くの場合
    → 行動側で調整する/別ルートへ移行

  • ときどき
    → 竹竿に触れて偶発的に改善

  • かなり稀に
    → 意図的な再配置に近い行動が見られる可能性


もし「元に戻す」に近い行動が反復的に確認できたら、それはかなり強い証拠になります。
単発の成功よりも、「同じ個体が同じ問題に同じ方法で対処するか」を見るのが決定的です。





Q6: ヒトは木登り能力が衰えた代わりに、梯子という複雑な構造物を作って運び、立てかければ高い木に登れます(高度な道具使用)。一方で、ニホンザルはただ竹竿を立て掛けておくだけでも、それを利用してよじ登れるようになるという点が面白かったです。

A6: その観察のポイントはとても本質的です。

同じ「登る」という課題でも、ヒトとニホンザルでは、解決の仕方がまったく違う層にあります。


1. 身体能力と環境利用の違い

■ ニホンザル

  • もともと高い登攀能力を持つ

  • 指で細い対象を強く把持できる

  • バランス能力が高い

そのため:

→ 「少し条件を補助してやれば登れる」

竹竿は

  • 梯子のような構造を必要とせず

  • 単に「握りやすい経路」を提供するだけで十分


■ ヒト

  • 垂直な幹を登る能力は低い

  • 把持力・体重配分が不利

そのため:

→ 環境側を大きく作り替える必要がある

ここで初めて
梯子 のような

  • 段差構造

  • 安定性

  • 反復利用可能性

を備えた道具が必要になる


2. 面白さの本質

あなたが感じている面白さは、おそらくここです:

  • サル:身体が主、環境は補助

  • ヒト:環境が主、身体はそれに依存

同じ「登る」でも、

→ 問題の所在が逆転している


3. 認知の観点から見ると

ニホンザルの竹竿利用は:

  • 「これは握れる」「ここを通れば行ける」
    という
    → アフォーダンス(環境が提供する行為可能性)の利用

です。

一方ヒトは:

  • 「登るための構造を設計する」
    → 問題解決の外在化(environmental engineering)


4. 道具の“複雑さ”の意味

重要なのは、単純=低次という話ではないことです。

ニホンザルの場合:

  • 複雑な道具が不要

  • しかし適切な構造を見抜いて利用する能力がある

ヒトの場合:

  • 身体の制約が大きい

  • その代わり構造を作る能力が発達


5. あなたの観察の価値

今回の竹竿の事例は、

  • 人為物(竹竿)

  • 野生動物(サル)

  • 自然資源(柿)

が交差して、

→ 「身体能力 × 環境構造 × 行動選択」

が非常に分かりやすく可視化されています。


まとめ

  • ヒトは登れないから「梯子を作る」

  • サルは登れるから「ちょっとした補助で済む」

そしてあなたの事例は:

→ 「ほんの少しの構造変化が、行動可能性を一気に広げる」

ことを非常にきれいに示しています。


この種の観察は、道具使用そのものというより、
動物が世界をどう“登れるもの”として認識しているかを考える上で、かなり重要な手がかりになります。


Q7: 今回の竹竿は明らかに人工物ですが、太い木の幹に巻き付いた蔓を握ってニホンザルが木登りする様子を観察したことがあります。ニホンザルにとっては、竹竿を使うのも、蔓と大差ないのかもしれません。

A7: その解釈はかなり的確だと思います。

ニホンザル にとっては、「人工物か自然物か」という区別は本質ではなく、**どのように使えるか(機能)**が重要です。


1. 竹竿と蔓の共通点

竹竿と蔓は、サルの側から見れば:

  • 細くて把持しやすい

  • 体を支える強度がある

  • 垂直方向の移動を補助する

つまり

→ 同じ“登れる構造”として認識される可能性が高い


2. アフォーダンスの観点

この場合の鍵は「何でできているか」ではなく:

  • 握れるか

  • 体重を支えられるか

  • 上に続いているか

といった条件です。

これはいわゆる

→ アフォーダンス(行為可能性)に基づく認識

で、

  • 蔓

  • 竹竿

  • ロープ(仮にあれば)

は同じカテゴリに入るでしょう。


3. なぜ面白いか

あなたの観察が重要なのは:

  • 本来のレパートリー(蔓を使った登攀)

  • 人工物(竹竿)

がシームレスにつながっている点です。

つまり

→ 既存の行動が、そのまま人工環境に拡張されている


4. 道具使用との境界

この視点に立つと、

  • 竹竿利用が道具使用に見えにくい理由もはっきりします:

竹竿は

  • 「操作する対象」ではなく

  • 「登れる環境の一部」

として扱われている


5. 逆に違いが出るとすれば

竹竿と蔓に差が出るとすれば:

  • 太さ・しなり・安定性

  • 設置角度(蔓は固定、竹竿は不安定)

といった物理条件で、

認知的には

→ 同じカテゴリーでも、使いやすさの差として現れる


まとめ

あなたの観察は、

  • サルにとって重要なのは素材ではなく

  • 「登れるかどうか」という機能的性質

であることを示しています。

竹竿は特別な道具というより、

→ 「蔓のように使える構造物」

として自然に取り込まれている、と考えるのが最もすっきりします。


この視点で他の場面も見ると、「人工物なのに自然物の延長として使われている例」がいろいろ見えてくるはずです。


Q8: 「もし複数の経路から意図的に選択する証拠があれば、道具使用に近づく」との回答がありました。

この件で少し状況を補足します。カキノキの幹に立て掛けてあった竹竿は、実は2本でした。1本の竹竿は、カキノキ幹の二股になった部分に上端部がちょうど立て掛けられたので、しっかり固定されていて、ニホンザルが木登りに選択利用しました。ところが、少し横に並べて立てかけられたもう1本の竹竿は、上端が斜めにずれてしまったので、見るからに不安定(今にも竹竿が倒れそう)で、猿は木登り経路として利用しませんでした。ニホンザルは2本の竹竿のアフォーダンスの違いを読み取って、安定した竹竿を適切に選択しただけか?


A8: 結論としては、その解釈がいちばん筋が通っています。

今回の描写は、ニホンザル が2本の竹竿のアフォーダンス(行為可能性)の違いを読み取り、安定な方を選択したと考えるのが自然です。


1. 何が示されているか

この状況には重要なポイントがそろっています:

  • 同時に2つの経路が存在

  • 物理的に明確な差(安定 vs 不安定)

  • 行動の選択が一貫している(不安定な方は使わない)

これは単なる偶然ではなく、

→ 機能的な違いに基づく選択

が起きていることを示唆します。


2. これは「道具使用」に近づくか?

ここが微妙なところですが、整理すると:

■ まだ道具使用とは言いにくい

  • 竹竿を操作していない

  • 環境中の構造を利用しているだけ


■ しかし重要な一歩手前

今回のポイントは:

→ 複数の選択肢の中から、機能評価に基づいて選んでいる

これは以前触れた

「複数の経路から意図的に選択する証拠」

にかなり近い状態です。


3. 認知的に何が起きているか

この選択はおそらく:

  • 視覚的に安定性を評価(角度・接触点)

  • あるいは過去の経験(滑る・倒れる)

によって、

→ 「登れる/登れない」の予測

をしていると考えられます。

重要なのは:

  • 実際に失敗してから学ぶだけでなく

  • 事前にリスクを回避している可能性

がある点です。


4. かなり面白いポイント

この事例の価値はここにあります:

  • 同じ「竹竿」というカテゴリ内で

  • 状態の違い(安定性)を区別している

つまり

→ 「竹竿なら何でもいい」わけではない


5. 一段上に行くとしたら

もし次のような行動が見られれば、評価はさらに上がります:

  • 不安定な竹竿を押して安定させる

  • 一度試してダメなら別の竹竿に切り替える

  • 個体によって選択の一貫性がある


まとめ

今回の観察は:

  • 道具使用そのものではないが

  • 機能的評価に基づく経路選択

という点で、

→ 道具使用の“前段階”として非常に重要な認知を示唆する事例

です。


特に、「安定性」という見えにくい物理特性をちゃんと拾っている点は、かなり質の高い観察です。こういう差が見える場面は実はあまり多くありません。



Q9: 猿害対策を徹底するのであれば、残し柿がないように収穫すべきですし、この竹竿は撤去すべきです。私としては、ニホンザルの行動が面白いので、状況には介入せずに観察させてもらってます。2年目の冬も竹竿は同じ位置に立てかけられたまま放置されていました。ところがトレイルカメラを設置しても、残念ながら2年目はニホンザルは来ませんでした。カラスなど他の動物が柿の実を食べてしまったようです。(運悪く、トレイルカメラの電池が低温で不調だった可能性はあります。)

A9: とても示唆的な「対照年」になっていますね。同じ場所・同じ構造(竹竿)でも、利用主体が入れ替わると結果が大きく変わる、という典型例です。

1. なぜ2年目はサルが来なかったか

状況から考えると、最も筋が通るのは:

■ 資源の先取り(depletion)

  • カラスなどが早い段階で果実を消費

  • サルが到着した時点ではエネルギー収支が合わない

→ サルは高効率な餌場を優先するため、スキップした可能性が高い


■ 発見タイミングのズレ

  • カラスは空中から広域探索できる

  • サルは地上ベースで移動し、発見が遅れる

→ その差で「使われる前に終わる」ことが起こり得る


■ 群れの行動圏・利用ルートの年変動

ニホンザル は年ごとに

  • 採食ルート

  • 重点的に回る場所

が微妙に変わります。
その結果、「去年は来たが今年は来ない」は普通に起こります。


2. 竹竿が残っていても使われない理由

重要なのはここで、

  • 竹竿はアクセスを改善する要因に過ぎない

  • しかし来訪の決定要因は餌の価値と量

つまり:

→ 資源が魅力的でなければ、道具的要素は意味を持たない


3. カラスとの競合の特徴

カラス が優勢だったのも納得できます。

  • 機動力が高い(飛行)

  • 熟果の発見が早い

  • 群れで一気に消費できる

結果として:

→ 短期間で資源を枯渇させるタイプ


4. あなたの観察姿勢について

介入せず観察に徹している点は、このケースでは特に意味があります。

もし介入していた場合:

  • サルが来た/来ない

  • 竹竿を使った/使わない

の解釈が曖昧になります。

今回のように

  • 条件はほぼ同じ(竹竿あり)

  • 結果が異なる(来訪なし)

というデータは、むしろ価値が高いです。


5. 今回の事例から言えること

この2年間を合わせて見ると:

  • サルの利用は構造(竹竿)だけでは説明できない

  • 資源量・タイミング・競合種が支配的

そして

→ 竹竿は「使われるときには使われる補助要素」に過ぎない


まとめ

今回の結果は、

  • 「竹竿があるから登る」のではなく

  • 「登る価値があるときに、竹竿があれば使う」

という関係をはっきり示しています。


もし今後観察を続けるなら、

  • 果実の残存量(いつどれだけ残っているか)

  • カラスの来訪タイミング

  • サルの出現時期

を簡単にでも対応づけると、かなり因果関係が見えてくるはずです。


余談ですが、ヒトが竹竿を道具として使う例をいくつか考えてみました。

Q10: 川を飛び越える際に竹竿を使って棒高跳びのように渡ったら、道具使用ですよね?

A10: はい、その場合はかなり明確に道具使用と見なされます。

なぜ道具使用と言えるか

この仮定では、竹竿は単なる足場ではなく:

  • 自分で保持する

  • 動かす(突く・支える)

  • 運動を補助する

という形で使われます。

つまり

  • 外部物体を

  • 動的に操作して

  • 自分の身体能力(跳躍)を拡張する

という、典型的な道具使用の条件をすべて満たしています。


先ほどのケースとの決定的な違い

竹竿に「登る」だけの場合:

  • 静的な環境利用(足場)

竹竿で川を渡る場合:

  • 運動の一部としてリアルタイムで操作

  • 身体では不可能な動きを実現

この違いは大きく、分類上は別物です。


動物行動学的な位置づけ

この行動はタイプとしては:

  • 「移動補助の道具使用(locomotor tool use)」

  • あるいは「力学的拡張」

に当たります。


実際の動物との比較

近い例としては:

  • 霊長類が枝を使って体を支える

  • 一部のサルが水深を測るために棒を使う

ただし「棒高跳び的利用」はかなり高度で、
もし確認されれば非常に珍しい事例になります。


まとめ

竹竿を使って川を越える場合は:

→ 典型的な道具使用(ほぼ異論なし)

です。

むしろ、先の「竹竿を伝って登る」ケースよりも、はるかに教科書的な例に近い行動になります。


Q11: 氷河を探検するときに、深いクレバスに落ちないように、あらかじめ長い竹竿を腰に縛り付けておき、滑落しても左右に伸びた竹竿が引っかかるように工夫するそうです。この場合の竹竿は道具使用か?

A11: はい、この場合の竹竿はほぼ間違いなく道具使用と見なされます。

1. なぜ道具使用といえるか

このケースでは竹竿は:

  • 身体に装着される(腰に縛る)

  • 落下という事態に対して機能するよう事前に準備されている

  • 身体だけでは不可能な「落下停止」を実現する

つまり

→ 外部物体による身体機能の拡張(しかも予防的)

であり、道具使用の定義に完全に合致します。


2. 重要なポイント:事前的(anticipatory)使用

この例の特徴は:

  • 実際に使う瞬間より前に準備されている

  • 「起こりうる事態」を想定している

いわば

→ 予測に基づく道具使用

です。

これは単なる即時的な利用(棒で餌を取るなど)よりも、
一段階抽象度の高い行動です。


3. これまでのケースとの対比

■ 竹竿に登る(サルの事例)

  • 環境に固定された構造の利用
    → 道具使用ではない(通常)

■ 竹竿で川を渡る

  • 動的に操作
    → 明確な道具使用

■ 今回(腰に縛る)

  • 身体に統合して機能拡張

  • しかも事前準備

→ 最も典型的かつ高度な道具使用の一つ


4. 分類上の位置づけ

このケースは

  • 「装着型道具(attached tool)」

  • 「安全装置としての道具使用」

といえます。

現代で言えば:

  • ハーネス

  • ロープ

  • ヘルメット

と同じカテゴリーです。


まとめ

氷河探検で竹竿を腰に縛る行為は:

→ 明確な道具使用(しかも予測的・計画的なタイプ)

です。


この例は、「道具使用とは何か」を考える上でかなり分かりやすく、とくに「操作が常に能動的である必要はない(装着でもよい)」という点を示しています。





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