2023/04/22

給餌したドングリを次々に持ち去り地中に埋める野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年10月中旬

里山の斜面に立つカラマツ大木の根元に泥汚れがあり、イノシシがヌタ打ちした後に体を擦り付けた痕跡ではないかと予想してトレイルカメラで長期間見張っています。 
しかし当地ではイノシシの生息数が少ないこともあり、待てど暮らせどイノシシが期待した行動をしてくれません。 
イノシシを待ちながら、ついでに別なプロジェクトを始めることにしました。 

秋になると様々な野生動物や野鳥が木の実(堅果)を運び、冬の食料として貯食します。 
トレイルカメラの前に堅果を大量に給餌すれば、持ち去る様子を観察できるはずです。 
元々はカケスの貯食行動を調べた本を読んで、私も真似してやってみようと思ったのがきっかけです。 

 

実は前の年(2021年)に予備的な実験を行ったのですが、失敗に終わりました。 
拾い集めたドングリを籠に入れて林床に放置しておくだけでは、やがて落ち葉が積もって埋もれてしまいました。(ドングリが落ち葉に隠されて野鳥や動物が見つけられなくなる?) 
そして台風が来ると、籠ごと吹き飛ばされてしまいました。 
監視カメラは設置しませんでしたが、ドングリが持ち去られた形跡はありませんでした。 
野生動物や野鳥が普段から探餌活動している場所を給餌場に選ばなかったのも問題でした。 
こういう細かなノウハウは本にも書いてませんから、自分で試行錯誤するしかありません。

給餌したドングリが雨で濡れると発芽したりカビが生えたりするので、対策が必要です。 
このカラマツ大木は多雪地帯の山地に特有の樹形で、根元が強く湾曲しています。 
オーバーハングした幹が庇のようになって、その下の地面には雨や落ち葉がかかりません。
乾いた地面を少し掘って窪みを作り、ドングリを並べて置いてみます。 

森の堅果をせっせと貯食する代表である野ネズミやニホンリス、カケスが泥カラマツの周囲で活動していることも、それまでの監視映像で分かっています。 
トレイルカメラに写ったことはありませんが、カケス以外の鳥としてはゴジュウカラやヤマガラも秋に木の実を貯食します。
通りかかったイノシシやタヌキがドングリを食べてくれる可能性もありそうです。 

7日前に同じ山系の山道に落ちていた大量のドングリを拾い集めました。 
ドングリの形状から樹種はミズナラのようです。 
密閉容器ではドングリが蒸れて腐ったり発芽したりしてしまうので、蓋を少し開けて保管しました。 
落果を採集した時点でシギゾウムシ幼虫による脱出口があるものは除いたつもりだったのに、1週間後にミズナラ堅果を現場に持参するとビックリ。 
ほとんどのドングリがシギゾウムシに寄生されていて、老熟幼虫がドングリの中から穴を開けて外に脱出していました。

 

虫に食われたドングリを使っても野生動物の貯食行動には影響しないだろうと思い、そのまま給餌することにしました。 
(虫食いドングリを野鳥や動物が忌避して貯食しないのなら、それはそれで面白い現象です。) 
ドングリから脱出していた5匹のシギゾウムシ幼虫は、林床に捨てました。 
(ドングリを採集した地点と同じ山なので、放虫しても問題ないと考えています。) 
シギゾウムシの老熟幼虫は自ら地中に潜って蛹化するはずです。 
その様子を野外で微速度撮影したかったのですが、今回は時間がありませんでした。
関連記事(9年前の撮影)▶  
ドングリから脱出したコナラシギゾムシ?終齢幼虫の歩き方 
コナラシギゾウムシ?終齢幼虫の徘徊運動【微速度撮影】
現場(泥カラマツ下)で拾ったドングリ1個を追加し、カラマツの根元に計33個のドングリを山状に積み上げました。 
国内外来種を勝手に種子散布すると問題ですけど、この餌場は雑木林にありますから、同じ山から拾ってきたミズナラやコナラの堅果を撒いても不自然ではありません。
前置きが長くなりましたが、餌場に何がやって来るのか楽しみです。



シーン1:10/11
持参したドングリ(ミズナラ堅果)のスライドショーと、昼間の給餌直後に撮った現場の様子です。 
画面の上から下に向かって下る斜面になっています。 


シーン2:10/12・午前1:27 (@0:18〜) 
深夜に野ネズミ(ノネズミ)が右から登場しました。 
シシガシラなどが生えた右上の斜面をチョロチョロと徘徊して餌を探しています。 
カラマツの背後を左に回り込んでから、下に降りてきました。 
遂に野ネズミがカラマツ根元のドングリ餌場を見つけました。(@1:01〜) 
興奮して匂いを嗅ぎ回っていたら、うっかり鼻で押したドングリが1つ斜面を転がり落ちてしまいました。(@1:03〜) 
その後を野ネズミが慌てて追いかけます。 
「どんぐりころころどんぐりこ♪ お池にはまってさぁ大変!」 
斜面の下に池はありませんが、水溜りがあります。
林床を少し転がっただけで止まったドングリを野ネズミは無事に拾って口に咥えると、左に運び去りました。 

これでドングリ餌場の存在を知った野ネズミが繰り返し通ってくるかと思いきや、不思議なことにこの日は貯食活動を止めてしまいました。 
ドングリが転がり落ちるというアクシデントのため、気が散って餌場の場所を記憶できなかったのかな? 
どこか安全な隠れ家で時間をかけてドングリを食べたのかもしれません。 


シーン3:10/13・午後21:58(@1:15〜) 
夜行性の野ネズミは翌日の夜10時まで現れませんでした。 
カメラが起動したときには既に餌場に来ていて、カメラを凝視したままフリーズしています。
やがて警戒を解くと、細長いミズナラ堅果を1個選び、横向きに咥えてから左下に持ち去りました。 


シーン4:10/13・午後22:00(@1:36〜) 
数分後、餌場に戻って来た野ネズミは赤外線LEDの点灯に驚いたのか、左下に大きくピョーンと跳んで逃げました。(@1:37〜) 
宝の山を見つけた「喜びの舞い」だとしたら面白いのですが、どうでしょうか。
すぐにまた餌場に戻ると、ドングリを1個横向きに咥え、右に運び去りました。 

私には野ネズミの個体識別どころか種類(アカネズミかヒメネズミか)も見分けられません。
分かる人がいたら教えて下さい。
同一個体が餌場に通っていると仮定して、行き先が毎回まちまちなのは、林床のあちこちにドングリを貯食しているからでしょう。 
投資や貯蓄のリスクヘッジを生まれながらにして知っている野ネズミは賢いですね。 
山中で私のようにドングリを1箇所にまとめて貯蔵しておくと、何者かに盗まれて全部失ってしまうリスクがあります。 
その代わり、野ネズミは1個ずつバラバラに隠した場所をすべて長期記憶しておく必要があります。 
1シーズンで何千個、何万個という莫大な量の堅果の貯食場所を覚えるとしたら、野ネズミの脳は驚くべき記憶容量があることになります。
逆に野ネズミの記憶力が完璧でないからこそ、埋めた場所を忘れたドングリが春になると芽を出し、種子散布に貢献できるのです。


シーン5:10/13・午後22:02(@1:59〜) 
野ネズミが餌場に戻って来るまでのシーンが写っていました。 
カラマツ幹の背後から根元を右に回り込みながら現れ、迷うことなく給餌場に到着。 
ドングリの山からじっくり吟味すると、ようやく1個を選び、今度は左下へ持ち去りました。


シーン6:10/13・午後22:06(@2:48〜) 
餌場に戻った野ネズミがドングリを1つ咥えて左下へ運搬。 


シーン7:10/13・午後22:09(@2:55〜) 
今度は右下へドングリを運搬。 


シーン8:10/13・午後23:23(@3:19〜) 
1時間15分も間隔が開きました。 
どこか隠れ家や巣穴で休んでいたようです。 
別個体の野ネズミが餌場に来るようになった、という可能性も考えられます。 
餌場でドングリを1個選ぶと口に咥えて右へ搬出。
(前回と同じ経路だったので、やはり同一個体と考えるのが自然でしょう。)
と思いきや、すぐにまた右下からドングリを持ったまま戻って来ました。 
林床を右往左往して、結局は左下にドングリを運びます。 


シーン9:10/13・午後23:25(@3:46〜) 
餌場に戻った野ネズミがドングリを1個左下へ運び去ろうとしたところ、途中でドングリが滑ってうっかり落としてしまいました。 
斜面を少し転げ落ちたミズナラ堅果を拾い直し、改めて左下へ運び去りました。 
真っ暗な深夜でも野ネズミは至近距離ならドングリがどこにあるのか見えるのでしょうか?
それとも匂いで探り当てるのかな? 


シーン10:10/14・午前1:52(@4:02〜) 
日付が変わりました。 
またどこかで休憩していた野ネズミが、右から餌場に戻って来ました。 
ドングリを右へ搬出。 


シーン11:10/14・午前4:37(@4:20〜) 
休息していた野ネズミが餌場に再登場。 
尻尾が左を向いているので、左からやって来たようです。 
今度はドングリを左下に運び去りました。 


シーン12:10/14・午前4:39(@4:40〜) 
ドングリを持って左下に素早く駆け下りました。 


シーン13:10/14・午前4:41(@4:53〜) 
ドングリを餌場から右下に運搬。 


シーン14:10/14・午前4:44(@5:06〜) 
今回、野ネズミは珍しく餌場に居座り、1個のドングリを齧り続けています。 
ドングリの表面に歯がツルツルと滑って上手く咥えられないのではなく、どうやらその場で食べているようです。 
シギゾウムシ幼虫によって酷い食害を受けた虫食いドングリは貯食に適していませんから、その場で食べてしまうのでしょう。 
それまでも安全な場所に運んでからドングリを幾つか食べていたはずですが、カメラに慣れたので給餌場で食べるようになった、という可能性もありそうです。 
2個目のドングリを拾い上げたところで、録画が終わってしまいました。 
ドングリを持ち去るシーンが撮れていません。 


シーン15:10/14・午前4:47(@6:06〜) 
ドングリを咥えた野ネズミが画面の右からやって来ました。 
林床に浅い穴を掘ると、持ってきたドングリを地中に埋めました。 
遂に野ネズミの貯食行動を動画で記録できたのですが、画面の右外に見切れてしまっているのが残念です。 
その後も野ネズミは画面の右端でウロチョロして、埋めたドングリを落ち葉で隠してるようです。(尻尾しか見えない) 


シーン16:10/14・午前4:48(@7:06〜) 
餌場に戻った野ネズミが今度はドングリを左下に持ち去りました。 
と思いきや、すぐに戻って来て左の斜面を駆け上がりました。 
カラマツ幹の背後を通って、右上へピョンピョン駆け上がります。 

野ネズミは完全に夜行性です。 
餌場にドングリはまだ残っているのに、未明の貯食行動はこれが最後でした。 
ちなみに、日の出時刻は午前5:43。 


シーン17:10/14・午後20:16(@7:24〜) 
昼間はよく寝てから、夜の初出勤です。 
迷わず餌場に来ていたので、場所を記憶していた同一個体と思われます。 
ドングリを左下に搬出。 


シーン18:10/14・午後20:23(@7:38〜) 
今度はドングリを右に持ち去ったと思いきや、ドングリを咥えたまま画面右下から戻って来ました。 
夜の林床を右往左往してから、左下に持ち去りました。
野ネズミの頭の中では毎回どういう思考・判断で貯食場所を決めているのでしょう? 


シーン19:10/14・午後20:26(@8:02〜) 
今回は珍しく餌場で長居しています。 
ドングリの吟味にやや手間取ったものの、右に持ち去りました。 


シーン20:10/14・午後20:27(@8:33〜) 
今度はドングリを左下に運び去りました。 ところがすぐに餌場に空荷で戻って来ました。 
貯食する時間は無かったはずですから、おそらく運搬中にドングリをうっかり紛失してしまったのでしょう。 
入れ違いで別個体が餌場に来た可能性も考えられます。
次に運ぶドングリの吟味に手間取っている間に、録画が終わってしまいました。 
その場で虫食いドングリを食べているのかもしれませんが、よく見えません。 


シーン21:10/15・午前4:31 (@9:33〜) 
日付が変わりました。 
実はシーン20の後、餌場に通う野ネズミの身に危険が迫ったのですが、それについては別の記事にして書きます。(映像公開予定) 

ほとぼりが冷めると、野ネズミは夜明け前に貯食活動を再開しました。 
餌場に戻ると、左下にドングリを持ち去りました。 


シーン22:10/15・午前4:32 (@9:42〜) 
ドングリを右に運搬。 


シーン23:10/15・午前4:35 (@10:10〜) 
餌場で選んだドングリを持って斜面を右に運び、林床に穴を掘ってドングリを地中に埋めました。 
今度は画角内で貯食行動を披露してくれました! 
ドングリを埋め戻したり落ち葉で丹念に隠したりする隠蔽作業に手間取っているようですが、残念ながら尻切れトンボで動画は終わり。 


シーン24:10/15・午前4:37 (@11:10〜) 
餌場に戻っていた野ネズミが居座っています。 
次に運ぶドングリの選択に手間取ってるというよりも、虫食いドングリをその場で食べてるのでしょう。 
目の前にあった2個目のドングリをヒョイと拾い上げると、これも食べ始めました。 


シーン25:10/15・午前4:40 (@12:09〜) 
ようやく餌場から離れ、左下に駆け下りました。 
ドングリ運搬の有無は不明で、空荷で立ち去ったようにも見えます。 

夜明け前の活動はこれが最後でした。 
夜行性の野ネズミは明るくなる前に必ず帰巣します。 
ちなみに日の出時刻は午前5:44。 


※ 一部の暗い映像は、動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 



野生動物に給餌する行為はやり過ぎると様々な問題を引き起こすので、注意が必要です。 
この点については、プロジェクト連載の最後に改めて総括・反省します。 
実際に自分でやってみて初めて分かることもありました。 
「節度を持ってほどほどに(細々と)やる」のが肝心で、決して皆さんに大々的な給餌を推奨している訳ではありません。 
何か悪い影響や問題が生じたらいつでもすぐに給餌を止められるように、給餌に謎の使命感を持って(良かれと思って)のめり込み過ぎないようにしましょう。

昼間にスギ林道を歩くヤマドリ♂【野鳥:トレイルカメラ】

 



2022年10月中旬・午後15:45頃・晴れ・気温14℃

自動撮影カメラで監視している里山の杉林道にヤマドリ♂(亜種キタヤマドリ:Syrmaticus soemmerringii scintillans)が登場しました。 
ここで明るい時刻にヤマドリが写ったのは初めてです。
♂特有の長い尾羽根や美しい模様がしっかり撮れていて感激しました。 

ヤマドリ♂は思わせぶりな緩急を付けて林道を右から左に歩いて行きました。 
タヌキの溜め糞場sに集まる食糞性の昆虫(糞虫やハエの幼虫など)を捕食しに来たのかと期待したものの、今回は地面を啄んだりしないで素通りしました。 

ヤマドリは保護色を身にまとい警戒心が強いので、山中で直接観察したり撮影したりすることが非常に困難です。 
私が山林を歩いているとヤマドリの方がいつも先に気づいてバサバサと飛び去ってしまうので、撮れるのは逃避行動ばかりです。 
ヤマドリの自然な行動を記録するには、トレイルカメラで偶然に写るのを気長に待つのが今のところ一番ですね。 
もし縄張り内で同じ経路を巡回するのなら、ブラインドを設営して隠し撮りすれば良いのかもしれません。 
平地で暮らす国鳥キジの本は結構あるのに、ヤマドリだけを扱った本や写真集がこれまでほとんど出版されていないことから、詳しい行動や習性も分かっていないのかもしれません。 
(ブルー・オーシャンや未到峰は茨の道?) 

2023/04/21

棘だらけのオニノゲシの葉を食べるニホンザル♀

 

2022年10月中旬・午後15:15頃・晴れ 

山麓の休耕地に座り込んでいたニホンザル♀(Macaca fuscata fuscata)が体の痒い部位を掻いています。 
やがて立ち上がると、目の前に生えていたオニノゲシへ近づいて、その横に座り直しました。 
歩き去る後ろ姿の尻や股間の様子から♀と分かります。 
オニノゲシの株に手を伸ばして引き寄せると、鋭い鋸歯だらけの葉を物ともせずに、太い茎を折って噛み付きました。 
そして棘だらけの葉を1枚根元から口でちぎり取って食べたので、見ていた私はビックリ仰天しました。 
オニノゲシは草食動物に食べられないように進化しているはずだからです。
まず化学的な防衛策として、植物組織内に苦くて粘性の高い白い乳液(ラテックス)を蓄えていて、植物体を傷つけるとこれを分泌します。 
次に物理的な防衛策として、葉縁の鋸歯が鋭くて触ると棘のように痛みを与えます。
このグループの植物で鋸歯のトゲトゲを最大限に(鬼のように荒々しく)強化したのがオニノゲシです。
まるで鉄条網や有刺鉄線を身にまとっているようです。
ニホンザル♀はオニノゲシが備えた二重の防衛策を難なく突破して葉を採食したことになります。 
さすが桃太郎の家来として鬼退治に参加しただけありますね。
猿は乳液(ラテックス)の苦味が気にならないのでしょうか? 
レタスのようなホロ苦さで逆に美味しいと感じるのかな?
しかし、このニホンザル♀はせっかく採取した葉を1枚味見しただけで残りはその場に捨てたので、結局オニノゲシは猿の食害を最小限に食い止めることに成功したという評価になりそうです。 
(瀕死の重傷を負いながらも、オニノゲシ個体の全滅は免れた。) 
あるいは、葉そのものではなく、それに付いていた昆虫を見つけて捕食した可能性もありそうです。 


もしもイモムシを捕食したいのなら、わざわざ痛みを我慢してオニノゲシの葉に触れなくても、手先の器用なニホンザルならイモムシだけを手で摘みとって食べれば良いはずです。
過去の採食記録を後で調べてみると、オニノゲシがしっかり含まれていました。
三戸幸久. ニホンザル採食植物リスト. Asian paleoprimatology, 2002, 2: 89-113.
この文献は全文PDFを無料でダウンロードできるので、参考資料としていつも重宝しています。
ちなみに、ニホンザルの全個体がオニノゲシが好物とは限らないようです。
実はこの直前に近くで撮影した別個体♀は、オニノゲシやアキノノゲシを食べませんでした。(映像は割愛)

私が遠くの被写体を撮る時には、カメラの光学ズームを使うだけで、デジタルズーム機能は画質が劣化するので普段は使いません。 
今回は意外な採食メニューをしっかり見極めるために、デジタルズームを駆使して最大にズームインしてみました。 

ニホンザル♀が立ち去ってからズームアウトしてみると、左下の家庭菜園には葉菜が栽培されていることに気づきました。 
もし私が近くで見ていなければ、猿たちはこれも食害したかな? 
しかし電気柵で囲まれていないということは、ニホンザルが好んで食べる作物をこの区画で育てていないのでしょう。 

すっかり秋になり、原っぱではコオロギ♂が鳴いていました♪

キクイモモドキの花蜜を吸うウラギンスジヒョウモン♂

 

2022年7月中旬・午前9:45頃・晴れ 

民家の庭に咲いたキクイモモドキウラギンスジヒョウモン♂(Argyronome laodice japonica)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
花から花へ飛び回り、翅をしっかり閉じて吸蜜しています。 
少しだけ翅を広げた瞬間に隙間から翅表が見えました。 

キクイモモドキの葉は対生なので、互生のキクイモと区別することができます。

2023/04/20

ニホンカモシカ(黒斑なし)が道草を食う未明【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年10月上旬・午前4:15頃

里山の林道で水溜りのある区間をトレイルカメラで監視していると、約15分後にまたニホンカモシカCapricornis crispus)が左からやって来ました。 
頭をずっと下げたまま、ミゾソバなどの下草をムシャムシャとひたすら食べ続けています。 
採食しながらゆっくり歩いて前進します。 
後半は道端に自生するリョウブ幼木の枝葉の匂いを嗅いだものの、採食も眼下腺マーキングもしませんでした。(@1:33〜) 

このカモシカには右背に黒斑が無く、素人目には個体識別できそうな特徴が何もありません。 
角や耳の形も普通です。 
耳が黒毛で縁取られていますが、他と見分ける特徴としては弱いかな〜。 
15分前に通りかかった個体(右背黒班)とは血縁関係(親子?)にあるのでしょうか? 



電柱の腕金に片足で立つノスリが排便後に飛び立つ様子

 

2022年10月中旬・午前10:35頃・くもり 

田園地帯の道端にある電柱の腕金(上から二段目の水平なバー)にノスリButeo japonicus)が止まっていました。 
よく見ると、左足を持ち上げて体に引き付け、右足で片足立ちしていました。 
疲れた足を休めているのか、あるいは金属の腕金は冷たくて交互に温めているのかな? 
後者の理由だとすると、暑い夏は片足立ちにならない(季節限定の行動)と予想されます。 
周囲の刈田を鋭い眼光で見回し、獲物を探しています。 

実は22分前にも少し離れた地点でノスリを見かけていたのですが、もしかしたら同一個体かもしれません。 
(私はまだノスリの個体識別ができていません。) 

電柱の腕金に左足も下ろして両足立ちになると、前傾しつつ白い液状便を後方に勢い良く放出しました。
脱糞の瞬間を1/5倍速のスローモーションでまずご覧ください。(@1:36〜) 
直後に等倍速でリプレイ。 
両足立ちになったということは左足を負傷している訳ではないと分かり、一安心。 

腕金上を横歩きしてから飛び立ちました。(@2:15〜) 
脱糞で軽量化したということは、今にも離陸しそうだと予測はついていました。 
私が担いでいた荷物が重くて長撮り中に我慢できなくなり、地面にガシャンと下ろしたらその音にビクッと驚いて逃げたようです。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:21〜) 
翼下面の模様から、ノスリと確定できました。 

ノスリは広大な刈田を飛び越えると、裏山に近い刈田の端に立つ電柱の天辺に止まり直しました。 
着陸直後は尾羽を左右に振っています。

2023/04/19

登山者を警戒して迂回しながら林道をすれ違う野生ニホンザルの群れ

 



2022年10月上旬・午後12:05頃・くもり 

里山の林道のカーブ地点でニホンザルMacaca fuscata fuscata)の親子らしき2頭が座り込んでいます。 
親が子の背中を甲斐甲斐しくノミ取りをしてやっています。(対他毛繕い) 
リラックスして毛繕いを受ける子ザルが寝そべりながらもチラチラとこちらを見ている表情が微笑ましいです。 

背後の林道から登場した別個体の子ザルは、カーブ地点で私の存在に気づくと立ち止まり、警戒して引き返しました。 
道端の杉落枝に登って一休み。 

林道のカーブ地点からベテランの成獣♀がやって来ました。 お婆さんと呼べるほど老齢かどうか分かりませんが、ニホンザルもヒトと同じく加齢で毛が白っぽくなるのでしょうか? 
乳首が長いので経産♀と分かります。 
顔色が紅潮しているのは発情期に入った印です。 
若い子ザルたちが私の存在に怯えたり警戒したりしているのに対して、このベテラン♀は流石に落ち着き払っています。 
おそらく私と山中で何度も出会っていて「恐るるに足らず、こいつは大丈夫」と知っているのでしょう。 
砂利道をノシノシと四足で歩いて、こちらにどんどん近づいて来ます。 
それで安心したのか、ベテラン♀の背後から先程の子ザル達も続々とついて来ます。 
猿の群れは道端の藪に入り、林道上に突っ立っている私を迂回しながら無事にすれ違いました。 
この一連の行動だけを見ると、ベテラン♀が群れを堂々と率いる「ボス猿」に見えるかもしれません。 
実際に、群れ内で順位の高いα♀だったりするのでしょうか? 
そもそも「ボス猿」という概念は「サル学」の黎明期に猿山や餌付け群で見出されたので、山林を自由に遊動する野生群(非餌付け群)にも当てはまるかどうか眉唾です。 
もっとじっくり観察して個体識別できるようになったら、楽しそうです。 
スマホの顔認識でニホンザルも正しく個体識別してくれるように機械学習する専用アプリを誰か開発して下さい。

スギ林道に生えたスギエダタケ(キノコ)を採集してみる

 

2022年10月中旬・午前11:10頃・くもり 

里山の杉林道に残された溜め糞場sを長期に渡って定点観察しています。 
秋になるとスギの落ち葉の下から白いキノコが疎らに生えてくることに去年(2021年)から気づいていました。 
私はキノコについて全くの勉強不足で敬遠していたのですが、今年は一念発起して名前を調べてみることにしました。 
キノコの中には動物の排泄物(糞尿)の周囲から特異的に生えてくる種類(アンモニア菌など)が居るらしく、てっきりその一種だと思い込んでいました。 
溜め糞場をめぐる複雑な生態系の重要な一員であるとすれば、面白いストーリーになりそうです。 

林道に敷き詰められたスギの落ち葉の隙間から点々と生えている白い子実体を1本ずつ採集してみると、易々と引き抜けました。 
白くて薄い傘や茶色の柄を手で裂いてみると、かんたんに裂けました。 
調べてみると、アンモニア菌ではなくスギエダタケというキノコでした。
スギエダタケは毒キノコではなく食べられるそうなのですが、私は試食したことがありません。 
動画の冒頭に写っていたように、スギエダタケ子実体の傘が何者かによって食害を受けていました。 
キノコ食(菌食性)の昆虫または野ネズミの仕業ではないかと予想しています。 


ヤマケイポケットガイド15『きのこ』でスギエダタケについて調べると、
傘は透明感が高く、滑らか。粘性はない。スギ以外の針葉樹の落枝からも発生する。 地面に落ちたスギの枝から生える白いきのこで、きのこの少ないスギ林では貴重な存在。小さいが材の分解力が強く、森の掃除屋といったところ。傘は陽の光が透けそうなほど透明感があり、表に細かい毛が密生している。柄は橙黄褐色でやはり微毛が生えている。 発生時期: 晩秋〜初冬 傘径: 1〜5cm 傘の裏: ひだは白色、上生〜難生、やや密〜やや疎。胞子紋は白色。 柄の高さ: 3〜7cm 可食
奥が深いキノコの世界も、ひとつひとつ地道に名前を覚えるしかありません。

2023/04/18

夜にスギの根元に排泄マーキングするホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年10月中旬・午後21:00頃・気温12℃ 

自動センサーカメラが見張っている里山のスギ林道に、ある晩ホンドテンMartes melampus melampus)が登場しました。
この地点でテンが写ったのは初めてです。 
テンの観察歴が浅い私は、この個体があまりにも痩せていたので「もしやイタチ?」と急に不安になりました。 
赤外線の暗視映像はモノクロですから、体色の情報が得られないのです。 
しかしニホンイタチなら尻尾がもっと短く、もっと短足のはずです。 

奥の斜面を登って来て林道に達したようで、スギ大木(胸高直径60.5cm)の根元の匂いを嗅ぐと、腰をかがめて排泄しました。 
その辺りは普段ニホンアナグマMeles anakuma)が排便およびスクワットマーキングする溜め糞場sになっています。
ホンドテンもアナグマに対抗するように縄張りをマーキングしたのでしょう。 
過去にヒト♂もたまに立ち小便していましたが、さすがにその影響(残り香)は残っていないはずです。 
今回のテンが排泄したのが糞と尿のどちらなのか、動画では直接見えませんでした。 
素人目には排泄中の尻尾の動きから、脱糞したような気がします。 
しかし後日に現場検証してもテンの糞は見つかりませんでした。 
ということは、オシッコ(尿・小便)でマーキングしたのかな? 
あるいは少量の糞なら糞虫が速やかに処理してしまったのかもしれません。 

用を足したホンドテンは足早に林道を右に立ち去りました。 
林道上(画面の少し手前)にはホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場があるのですけど、それには興味を示しませんでした。
その後もテンが定期的に通って匂い付けするようになるかと期待した(三つ巴の溜め糞場!)ものの、テンがここで排泄したのはこのとき限りでした。




ミゾソバに訪花吸蜜するウラナミシジミ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2022年10月中旬・午後14:25頃・晴れ 

河川敷を横切る水路(出水樋門の下流)に沿って咲いたミゾソバの群落でウラナミシジミ♂(Lampides boeticus)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
翅を閉じて吸蜜すると翅裏の眼状紋が目立ちます。 
強い西日を浴びて白飛び気味になってしまいました。 

閉じた後翅を互いに擦り合わせ、尾状突起を偽の頭部の触角のように動かしています。(自己擬態行動) 
本物の触角は剛性があるようで下げたまま動かないのに、尾状突起は秋風にヒラヒラとなびいています。 

しばらくすると翅を半開きにしてくれたおかげで翅表がしっかり見え、♀と判明しました。 
翅が無傷の新鮮な(羽化直後の)個体です。 
風が止むのを待って日光浴するのでしょうか。 

花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:50〜)

2023/04/17

里山のトレイルカメラに下半身だけ写ったホンシュウジカ

 

2022年10月上旬・午前9:40頃 

里山の林道で常に水溜りがある区間を自動撮影カメラで監視しています。 
ある朝、大型の草食獣が林道を右から左に早足で通り過ぎました。 
体高が高く、尻の毛が白いので、ホンシュウジカCervus nippon centralis)のようです。 
残念ながらカメラの起動が間に合わず、下半身の側面がちらっと写っただけでした。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。
見慣れたニホンカモシカと比べると、体毛が黒々としています。 
カモシカのように林道上の下草を採食することはありませんでした。

※ 旧機種で明るい昼間に撮った映像は不自然なピンク色に染まるので、動画編集時に自動色調補正を施しています。 

こんな断片的な映像でも、私にとってきわめて重要な記録です。 
山形県の多雪地帯でニホンジカは越冬できないため、ほとんど生息していないことになっているからです。

関連記事(1年前の撮影)▶ 朝の山林で採食するホンシュウジカ♂@山形県【トレイルカメラ】

前年(2021年)に鹿を初めて撮ったのも10月中旬でした。 
10月に交尾期のピークを迎え、ホンシュウジカ♂は寝食を忘れて♀を探し求めるのだそうです。 
今回の動画では頭部が写っておらず、角の有無で性別を見分けることが出来ません。 
おそらく、探雌行動の♂がはるばる遠出をして来たのではないかと予想しています。 
福島県から北上したのか、新潟県や宮城県から山伝いに来たのか、興味深いところです。 
いまのところ私のトレイルカメラに鹿が写るのは年に1回だけで、きわめて稀です。 
生息密度が低く保たれていることが伺えます。
地球温暖化が進行すれば冬の積雪量が減り、分布を広げたシカによって当地山林の植生は壊滅的な食害を受けて荒廃する恐れがあります。

林縁で虫を捕食するコガラ(野鳥)

 

2022年10月上旬・午後13:45頃・くもり 

私が山間部の峠道を歩いていると、カラ類の混群と遭遇しました。 
道端の法面は雑木の灌木に覆われているのですが、その細い横枝に止まったコガラPoecile montanus)が何か小さな虫を捕食しました。 
慌ててカメラを向けると、コガラは嘴を細い横枝で拭っていました。 
何か虫を食べた直後に汚れた嘴を掃除しているのでしょう。 
綿のような白いワックスが嘴に付着しているので、獲物はワタムシ(アブラムシの仲間)ではないかと想像しましたが、白い蛾の鱗粉かもしれません。 

その後は群れの仲間と鳴き交わしながら、斜面の茂みを下へ下へ移動していきます。 
私を警戒して、最後は下草のアカソ?群落に隠れてしまいました。 
車道の反対側はスギの植林地で、カラ混群の一部はここに居ました。

2023/04/16

右肩に黒点があるニホンカモシカがトレイルカメラの匂いを嗅いでから道端の落枝に眼下腺マーキング

 



2022年10月上旬・午後14:08・気温14℃ 

里山のスギ林道に設置した自動センサーカメラに写った野生ニホンカモシカCapricornis crispus)の記録です。 
里山に暮らす野生哺乳類は夜行性が多いのですが、カモシカは昼も夜も活動しています。 

明るい日中に登場したカモシカがいきなり至近距離で頭部だけ写りました。 
林道脇の法面(画面手前の斜面)を下りて来て林道にたどり着いたところなのか、あるいはカメラの死角になっている林道の右端を通って左から歩いて来たのでしょう。 

フンフン♪という鼻息がしたと思いきや、カモシカが首を伸ばしてカメラに顔を近づけ、頻りに匂いを嗅いでいます。 
くるっと向きを変えて林道を渡ると、道端から突き出たお気に入りのスギ落枝の匂いを嗅いで狩る先端部に顔を擦り付けました。 
眼下腺マーキングが済むと、林道を右に立ち去りました。 

この個体は右肩に目立つ黒点が1つあります。 
角や耳に目立つ特徴は見当たりません。 
同時期に別の場所に設置したトレイルカメラには、右肩よりもやや後方の背中に、やや滲んだ黒班をもつカモシカが写っていました。

関連記事 ▶ 右背に黒斑があるニホンカモシカが道草を食う未明【トレイルカメラ:暗視映像】

この形質が生まれつきの母斑で、しかも親子で遺伝しているとしたら面白いですけど、どうなんでしょう? 
黒班の形成メカニズムはともかく、私としてはカモシカを個体識別できれば御の字です。 



レッドロビンの生垣で樹液を吸いに来たコガタスズメバチ♀

 

2022年10月上旬・午後14:50頃・晴れ 

市街地でベニカナメモチ(=レッドロビン)の生け垣をコガタスズメバチVespa analis insularis)のワーカー♀が飛び回っていました。 
ブーン♪という羽音がかすかに聞こえます。 

赤く色づいた若葉の葉柄に止まったり、剪定した枝の切り口に止まっても、すぐに飛び立ってしまい残念でした。 
樹液の分泌量が少ないのでしょう。 
交通量の多い街なかなのに、思いがけずコガタスズメバチと出会えて嬉しかったです。 

黒いデジカメを近づけてしつこく接写しても、コガタスズメバチ♀に襲われることはありませんでした。 
過去の経験からもこの状況では怖くないと分かっていたので、リラックスして大胆に撮影できました。 
現場でコガタスズメバチだと正しく見分けられたからこそ出来たことで、もしオオスズメバチならもう少し用心が必要です。 (念の為に離れて撮影しましょう。)



コガタスズメバチ♀が居なくなった後にこの生け垣を見て歩くと、マイマイガLymantria dispar japonica)のを見つけました。 
簡略化した粗雑な繭でベニカナメモチの葉に吊り下げられています。 


もしコガタスズメバチのワーカー♀がマイマイガの蛹を見つけたら狩りを行ったでしょうか? 
幼虫のように動かないと獲物として認識できないのかな? 
しかし私は以前、地中で蛹化した蛾を狩るチャイロスズメバチを観察したことがあります。

関連記事(13年前の撮影)▶ チャイロスズメバチの狩りと肉団子作り

固定された蛹は逃げ回ることはできませんが、もし捕食されそうになったら、蛾の蛹も狩蜂を撃退しようと必死で暴れたはずです。

関連記事(8年前の撮影)▶ マイマイガ(蛾)の蛹に触れると暴れる

マイマイガ幼虫は様々な植物を食い荒らすおそるべき害虫ですが、スズメバチやアシナガバチはこれを1匹ずつ丹念に見つけ出して駆除してくれる働きがあります。 

関連記事(7年前の撮影)▶  
マイマイガ(蛾)の幼虫を狩るセグロアシナガバチ♀ 


したがって、なんとなく怖いからという理由でスズメバチやアシナガバチの巣を見つけ次第片っ端から駆除してしまうと、その周辺で害虫の大発生が抑えられなくなります。 

激増した害虫を駆除しようと殺虫剤に頼れば、今度は益虫までとばっちりを食うことになり、生物多様性はさらに貧困になり生態系はますます不安定になります。 
生態系の上位にスズメバチやアシナガバチなど強力な狩蜂がいることは、ヒトが登場する前の太古の昔から確立された当たり前のことです。
自然界の食物連鎖が正常に機能すれば害虫が毎年大発生することはありません。
身の回りにハチがいるなんて1匹たりとも許せない!というのは不寛容な現代人の傲慢な考えで、しっぺ返しを食う羽目になります。
スズメバチの存在も温かい目でなんとか見逃してくれるヒトが少しでも増えて欲しい、というのが私のささやかな願いです。

田舎の古い農家では蔵や家屋の軒下に巨大なスズメバチの巣があったりします。
「危険なスズメバチの巣があんなに大きくなるまで放置するなんてとんでもない!」というのが現代人(都会人)の認識でしょう。
しかし昔はスズメバチが巣を作るとその家は栄える(家内繁盛)という言い伝えがあり、大切に守られていたそうです。
実際にスズメバチ営巣地の周囲では害虫が減り、農作物の収穫が目に見えて増えたのでしょう。
スズメバチの巨大な古巣を丸ごと飾ってある標本を田舎の旅館のロビーなどで見かけますが、子孫繁栄のおめでたい象徴とされていました。
家屋の軒下にあるツバメの巣が大切に守られていたのも同じで、虫を食ってくれる捕食者(益鳥)の役割を昔の人は正しく認識していたことになります。
潔癖症の現代人は糞害を嫌ってツバメの巣を片っ端から叩き落としてしまいます。
ようやく最近ではツバメを守ろうとする優しいヒトが増えてきて、微笑ましいニュースとして毎年取り上げられます。
次はスズメバチやアシナガバチを守る番です。
ことさらヒトが保護しなくても普通に(当たり前のように)共存している世界が理想です。



ランダムに記事を読む

  • 下藪で活動するヤブサメ?(野鳥)27/11/2021 - 0 Comments
  • 竹筒内のオオフタオビドロバチ幼虫R2a-d22/01/2011 - 0 Comments
  • イスカバチの巣穴bと樹脂の縁取り24/12/2010 - 0 Comments
  • 虫カビに感染したフキバッタの死骸を食すヤブキリ♀16/11/2013 - 0 Comments
  • 不審なトレイルカメラを調べに来たニホンアナグマ【暗視映像】02/09/2021 - 0 Comments