2013年10月上旬
シギゾウムシの生活史を謎解きした本『わたしの研究11:どんぐりの穴のひみつ』を読んでとても感動しました。
早速、私も真似して里山でドングリを拾い集めてきました。
ガラス瓶に入れて保管。
やがて、ドングリの中で実を食べて育ったシギゾウムシの一種、おそらくコナラシギゾムシ(Curculio dentipes)、の終齢幼虫が蛹化するためにドングリの硬い殻に穴を開けて脱出しました。
容器内を徘徊する幼虫をガラス瓶越しに接写してみました。
歩脚は完全に退化しているのに、体全体を蠕動させて活発に前進します。
驚いたことに、ガラスの壁面を少しだけなら登れるようです。
滑落しても七転び八起きで繰り返しガラスの壁を登ろうとします。
(ここまでの映像はYouTubeの動画編集時に自動色調補正処理を施してあります。)
深いガラス瓶を自力で登って脱出できる力はさすがに無さそうです。
幼虫を瓶から取り出して、方眼紙上に乗せてみました。
体が伸び切ったときの体長は〜8.5mm。
1対の鋭い大顎を歩行面に打ち込み、そのグリップで力強く前進していることが分かりました。
まるでアイスハーケンやピッケルのようです。
(セイウチも手足が退化したら2本の長い牙だけで浜辺を徘徊するようになるかもしれないなー、と妄想してみました。)
転んで仰向けになっても、自力で起き上がれます。
幼虫がドングリの中から穿坑して脱出する過程を動画に記録したかったのですけど、忙しくて片手間に見ているだけでは撮り損ねてしまいました。
来年こそはじっくり腰を据えて(覚悟を決めて)取り組むつもりです。
まるで未知の世界なので、今年は飼育経験を積むための練習です。
ドングリの勉強もしなくちゃなー。
今回拾い集めたドングリの樹種はコナラかミズナラかな?
つづく→「コナラシギゾウムシ?終齢幼虫の徘徊運動【微速度撮影】」
【追記】
新開孝『虫のしわざ観察ガイド—野山で見つかる食痕・産卵痕・巣』という痒いところに手が届く素晴らしい図鑑に「ハイイロチョッキリとコナラシギゾウムシの幼虫の区別点」というマニアックな比較写真が掲載されていました。
ハイイロチョッキリの頭部は大半が白色で、胴部にめり込んでいるが、コナラシギゾウムシでは、赤茶色で大きい。(p129より引用)
したがって、今回私が観察した幼虫はコナラシギゾウムシで良さそうです。
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