2014/01/27
巣材の樹皮を丸ごと巣に搬入するコガタスズメバチ♀の謎
2013年7月下旬
軒下に営巣したコガタスズメバチの定点観察#2
コガタスズメバチ(Vespa analis insularis)の巣に出入りするワーカー♀の活動を観察していたら、非常に興味深い映像が撮れました。
何か細長い褐色の物体を大顎で咥えた蜂が画面を横切って飛来し、巣の横の白壁に一瞬止まりました。
映像をスロー再生(1/4倍速)で見直すと、獲物ではなく生の樹皮を剥いだものでした。
実はこの建物のすぐ横に針葉樹(メタセコイアの高木)が聳え立っており、巣から幹までの直線距離は約3mもありません。
巣材集めの蜂がその樹皮を力任せに剥がした際に、勢い余って壁まで飛んで来たのかな?
「どこかに止まり直し、樹皮をゆっくり噛みほぐしてペレット(団子状のパルプ)にしてから巣に搬入するのだろう」とこれまでの常識から想像しました。
ところが、240-fpsのハイスピード動画に切り替えて撮影を続けると、意外な展開になりました。外被の上部で増築作業を続けているワーカーがいる一方で、細長い樹皮を咥えた(先程の?)ワーカーが帰巣しました。
未加工で嵩張る巣材を巣口から中に搬入しようと苦労しています。
門衛(門番)役の蜂に中から押し戻されているようにも見えます。
更に別個体が帰巣し、巣口で渋滞になりました。
ようやく2匹とも巣内に入りました。
巣材を噛み解す作業は巣内で行うつもりなのでしょう。
樹皮が大量に採れたときは仲間に分配し、手伝ってもらうのかもしれません。
(獲物の肉団子を幼虫に給餌する際は、狩りから帰った蜂が在巣のワーカー仲間に肉団子を分配することがあります。)
この異例の行動は、巣材を採取する樹木と巣がきわめて近距離にあるために起きた珍事なのでしょうか。
それとも、外役経験の浅い不器用なワーカーなのかな?
つづく→シリーズ#3
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