2024/02/17

夜の巣外に独り放置されたニホンアナグマの幼獣が母親を呼ぶ鳴き声♪【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬

前回の記事では、ニホンアナグマ♀(Meles anakuma) が4頭の幼獣を巣穴の外に連れ出して授乳したり対他毛繕いしたり、引率して夜の森を探索に連れて行ったりと、一夜(6/10)で盛り沢山の出来事を紹介しました。
同じ日の夜に事件が起きました。

 6/10・午後23:02
画面手前の巣口Lから伸びるアクセストレンチ上に幼獣が1頭だけ取り残されています。 
迷子の幼獣が覚束ない足取りでうろつきながらケッケッケッ♪、ケケケ…♪と断続的に鳴き続けています。
母親♀を呼んでいるのでしょう。 
4日前、夜の巣外に20分間放置された幼獣個体は全く鳴き声を発しなかったのと対照的です。 



迷子になった幼獣が鳴かないのは天敵の捕食者(キツネ、テン、フクロウなど)を呼び寄せないための適応だろうという私の推測に対して、あっさり反例が出てきてしまいました。 
この4日間で幼獣の歩行能力が格段に上がりましたが、それと同時に大声で鳴けるように成長したのでしょうか? 
幼獣の個性(寂しがり屋)なのかもしれません。
自力でなんとか歩けるはずなのに、迷子の幼獣がアクセストレンチを辿って帰巣Lすることはありませんでした。

ついさっきまで巣外で幼獣2頭に授乳していた♀は一体どこに行ったのでしょうか? 
さてはネグレクト(育児放棄)か?と心配になります。 
実はこの直後に撮れた映像では、母親が無事に合流して幼獣を舐めてやっていました。(対他毛繕い) 
その様子は、こちらのシーン7をご覧ください。 
アナグマの営巣地(セット)を2台のトレイルカメラで別のアングルから監視しているのですが、それでも撮れていない死角があって、時々やきもきさせられます。 

※ 幼獣の鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
※ 画面に表示されている気温は異常値です。 


ムシトリナデシコの花蜜を吸うウラギンヒョウモン♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年6月中旬・午後13:55頃・晴れ(梅雨の晴れ間) 

川沿いの花壇で満開に咲いたムシトリナデシコの群落でウラギンヒョウモン♂(Fabriciana adippe)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 風で揺れるムシトリナデシコの花序で歩き回り、細長い花筒に口吻を深く差し込んで吸蜜しています。 
訪花中に初めは半開きの翅を開閉していたのに、途中から暑くなったのか、翅をしっかり閉じるようになりました。 
翅表に性標の黒条が見えたので、♂と判明。 

田中肇『昆虫の集まる花ハンドブック』によれば、
(ムシトリナデシコの)蜜は1.5cmもある細長い筒の中に隠されているので、口の長い昆虫にしか吸えない。(p42より引用)
この花壇で様々な虫が訪花していましたが、確かにいずれも口吻の長い種類でした。 (映像公開予定)

ウラギンヒョウモン♂がムシトリナデシコの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:27〜) 
風揺れの激しい虫撮りには悪条件の日でも、スーパースローで見ると気にならなくなります。


【アフィリエイト】

2024/02/16

授乳期の幼獣4頭を連れて夜の林内を遠足するニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬

ニホンアナグマ♀(Meles anakuma) が巣外で幼獣4頭と過ごしています。
ある一夜の様子をまとめました。
私の見る限り、ヘルパー♂は子育てに関与せず、母親♀独りで幼獣4頭の世話をしています。 
(ヘルパー♂の個体識別がしっかりできてないかもしれない、という不安が私には常につきまといます。)

シーン1:6/10・午後18:56・気温23℃・日の入り時刻は午後19:04。 
日没直前の夕方から♀が巣外活動を始めました。 
2つの巣口LRの中間地点で佇んでいます。 
身震いしてから手前の巣穴Lに入りました。 


シーン2:6/10・午後18:56(@0:18〜) 
別アングルで設置したトレイルカメラが起動したときには、なぜか暗視モードではなく自然光下での撮影になっていました。 
ほぼ真っ暗で何も見えませんが、強引に明るく加工すると、♀が巣穴Lに出入りしていました。 
巣口Lで周囲を警戒しています。 


シーン3:6/10・午後19:21・気温23℃(@0:34〜) 
♀が1頭の幼獣を巣L外のアクセストレンチに連れ出していました。 
自分で毛繕いしてから、前足で幼獣を引き寄せ、尻の辺りを舐めてやります。 
続けてもう2頭の幼獣が続々と自力で巣外に這い出てきました。 
♀が自分の体を掻くために仰向けになると、近くにいた幼獣2頭が乳首に吸い付こうと集まってきます。 


シーン4:6/10・午後19:26・気温23℃(@1:34〜) 
計4頭の幼獣が覚束ない足取りで巣外をうろついています。 
そのうち1頭の上に♀が軽く座ったのは、アロマーキング(臭腺による匂い付け)の行動でしょうか?(@1:59〜) 
ところが、別個体の幼獣が♀の股の間をくぐったときには、アロマーキングしませんでした。 


シーン5:6/10・午後19:25(@2:34〜) 
別アングルの広角映像に切り替えます。 
5倍速の早回し映像で見ると、♀は林床で餌を探しながら、幼獣を引き連れて少しずつ右奥の林縁に移動していることが分かります。 
幼獣たちを営巣地(セット)周辺の環境に少しずつ慣らしているようです。 
幼獣3頭は♀について歩くのですけど、残る1頭の幼獣が巣口Lに取り残されたままです。 
ようやく自力で♀の元へ向かいました。 


シーン6:6/10・午後19:25(@3:22〜) 
もしかすると♀は幼獣4頭を引き連れてそのまま別の巣穴へ引っ越しするのではないか?と思ったのですが、しばらくするとアナグマ母子の群れはセットに戻ってきました。 
♀は4頭の幼獣を引率して巣口Lに帰ろうとしています。 


シーン7:6/10・午後19:33・気温27℃(@3:22〜) 
別アングルの監視映像に切り替えます。 
幼獣4頭が互いにもつれ合うように遊んでいる間に、♀が後ろ向きで入巣Lしました。 
直後に巣内から幼獣を呼ぶ鳴き声を発しました。(ジェジェジェビーム♪@4:39〜) 
それを聞いたからと言って、幼獣たちはおとなしく従って自発的に帰巣する訳ではありませんでした。 


シーン8:6/10・午後19:35・(@4:46〜) 
再び巣外に出てきた♀が1頭の幼獣を捕まえて首筋を咥えると、引きずるようにアクセストレンチを後退し、強引に巣穴Lへ連れ戻しました。 
この行動は初見です。 
幼獣がもっと小さかった頃は、幼獣の首筋を咥えた♀が頭から入巣していました。 

遊び足りない幼獣3頭はまだ広場に残ったままです。 


シーン9:6/10・午後19:36・(@5:05〜) 
♀が左の巣穴Lから顔を出すと、辺りを見渡してからすぐ巣内に引っ込みました。 
カメラ目線になった時に右目が左目よりも少し小さいので、♀と分かります。 


シーン10:6/10・午後19:36・(@5:20〜) 
♀が巣口Lから顔だけだして辺りを見渡し、迷子の幼獣がいないか確認しています。 
その後は出巣Lして左に向かいます。 


シーン11:6/10・午後19:42・(@5:51〜) 
採餌のため、♀単独で二次林内を右に向かいます。 


シーン12:6/10・午後21:56・気温20℃(@5:51〜) 
採食から戻ってきた♀が巣口Lで身震いしてから入巣L。 


シーン13:6/10・午後21:55(@6:20〜) 
同じ帰巣Lシーンを別アングルの広角ショットでご覧ください。 


シーン14:6/10・午後21:57(@6:33〜) 
巣口Lに出て来た2頭の幼獣に♀が対他毛繕いしてやっています。 
そのまま一緒に入巣Lしました。 


シーン15:6/10・午後22:59(@6:44〜) 
巣穴Lから伸びるアクセストレンチに座って自分の体を掻いている♀の方へ幼獣1頭が登って行きます。 
♀が出迎えて幼獣の体を舐めてやっている間に、 次の幼獣が巣口Lから登ってきました。 


シーン16:6/10・午後23:18・気温23℃(@7:08〜) 
単独で出巣Lした♀が身震いしてから、獣道を左へ向かいました。 
その様子を別アングルの広角ショットでもご覧ください。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


ブラックベリーの花蜜を吸うキタテハ夏型

 

2023年6月上旬〜中旬 

民家の裏庭の生垣にブラックベリー(=セイヨウヤブイチゴ)の花が咲き、夏型のキタテハPolygonia c-aureum)が訪花していました。 
昨年は撮り損ねて悔しい思いをしたので、念願の吸蜜シーンをいそいそと撮影しました。 
同じ場所で2回撮れた映像をまとめました。


シーン1・6月中旬・午前9:00頃・晴れ(@0:00〜) 

日向で半開きの翅を開閉しながら口吻を伸ばして吸蜜しています。 
横の車道を車が通りかかったら、飛んで逃げました。 
 次はやや日陰の花に移動して、吸蜜を続けます。 

ハキリバチの一種が正面から飛来すると、キタテハは素早く翅を打ち下ろして追い払いました。(@0:45〜) 
その撃退シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

ブラックベリーの白い花は萎れかけ、受粉後の未熟果が早くも育ちつつあります。

シーン2・6月上旬・午前10:50頃・晴れ(@1:26〜) 

この日は日向で翅をしっかり閉じたままブラックベリーの花蜜を吸っていました。 
動画を撮り始めたらすぐに吸蜜を止めてしまい、少し飛んで近くのミツバアケビの葉に止まり直しました。 
木漏れ日の落ちる葉上は完全な日向ではなく、半開きで開閉していた翅を最後は閉じてしまいました。 
暑くて日光浴の必要がないのでしょう。 


※ 撮影した時系列順ではなく、入れ替えました。

2024/02/15

巣材の落ち葉が足りず青葉も集めるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬〜中旬 

ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が2夜連続で大量の巣材(寝床・敷きわら)を繰り返し集めてくるシーンをまとめました。
画面に表示される気温はすべて異常値です。


シーン1・6/10・午後19:38・(@0:00〜) 
晩に左の巣穴Lからアナグマ♀が外に出てきました。 
暗視動画で左右の目の大きさが異なり(右目<左目)、右の首筋に白斑があるのが、この個体の特徴です。 
この2つの特徴は、見る角度によって分かりにくいことがあります。 
授乳期の♀は腹面に乳首が目立つようになります。 

巣材集めは♀の仕事のようです。 
ヘルパー♂が巣材集めをするのは一度も見たことがありません。 

アクセストレンチを辿ってまっすぐ二次林に向かうと、木陰で立ち止まって自分の体を掻きました。 
林縁の灌木に前足を掛けながら後足で立ち上がると、高いところにある枝葉を毟り取り始めました。 
林床に落ち葉が足りなくなると、臨機応変に木の青葉(生葉)を調達するのです。 
もしかすると、生葉の方がアロマ効果や防虫効果があるのかもしれません。



シーン2・6/10・午後19:39・(@0:46〜) 
別アングルで設置したトレイルカメラにも撮れていました。 
しかしカメラの起動が遅れ、♀が後退しながら巣材を手前の巣穴Lに搬入したシーンは撮り損ねてしまいました。 

すぐにまた同じ巣穴Lから外に出てきました。 
今度は別の方角へ巣材集めに出かけます。 


シーン3・6/10・午後19:39・(@1:12〜) 
集めた巣材を前脚で掻き寄せながらアクセストレンチを後退し、最後は滑り込むように入巣Lしました。 
次に出巣Lした♀は、獣道を左に向かいます。 


シーン4・6/10・午後19:41・(@1:41〜) 
またもやカメラの起動が間に合わず、後退での巣材搬入シーンをじっくり撮れていません。
次に出巣Lした♀は、アクセストレンチから奥の二次林へ真っ直ぐ向かいます。 
途中で長い落枝をうっかり踏んでしまいました。 



シーン5・6/10・午後19:42・(@2:33〜) 
巣材を探して、夜の二次林をうろついています。 


シーン6・6/10・午後19:42・(@2:54〜) 
右奥の二次林から巣材を掻き集めてくると、後ろ向きで戻ってきました。 
今回も落ち葉ではなく、木の青葉(生葉)を枝ごと採取してきたようです。 
左の巣穴Lに巣材を運び込み、すぐにまた出巣Lしました。 
前回とは違う方角へ向かったのですが、巣材集めではなく採食に出かけたようです。 


シーン7・6/10・午後23:06・(@3:20〜) 
次の巣材搬入までだいぶ時間が開きました。 
巣穴Lから外に出てきた♀がアクセストレンチから真っ直ぐに林縁に向かうと、灌木の根本で落ち葉を掻き集め始めました。 
後ろ向きのままアクセストレンチをスルスルと戻り、落ち葉を巣穴Lに運び入れました。 

改めて出巣Lした♀は左へ向かいます。 
採食に出かけたのかな? 


シーン8・6/10・午後23:06・(@4:00〜) 
同じシーンが別アングルの監視カメラでも撮れていました。 


シーン9・6/11・午前2:03・(@4:42〜) 
日付が変わった深夜未明に、♀がまた出巣Lしました。 
アクセストレンチでちょっと座ってからすぐに立ち上がり、画面を横切って右下へ。 

しばらくすると、前脚で落葉落枝を一緒くたに掻き集めながら、後ろ向きで戻ってきました。 
落枝は巣材(寝床)として不適切だと思うのですが、わざわざ落ち葉を選り分けずに(細かいことは気にせずに)巣穴Lへ搬入します。 
せっかく集めてきた巣材の一部が、アクセストレンチに放置された長い落枝に引っかかってしまいました。 
それを前足で丹念に集め直しています。 

邪魔な落枝を取り除けばよいのに…といつも思うのですけど、アナグマは横着なのか巣口の付近に放置したままです。 
不審者の侵入を知らせる防犯効果があるのかもしれません。 


シーン10・6/11・午前2:03・(@5:31〜) 
同じシーンが別アングルの監視カメラでも広角で撮れていました。 


シーン11・6/11・午前2:07・(@6:13〜) 
数分後にも別の方角から新たに集めてきた大量の巣材を巣穴へ運び入れました。 
巣材をずるずると引きずっていたので、蔓植物の葉っぱを毟り取ってきたようです。 

今回は新しい巣材を巣口Lにも少し敷き詰めたのが、ちょっと珍しい行動です。 
巣口Lを出入りする幼獣たちがアクセストレンチから転がり落ちても大丈夫なように、クッションとして置いたのかな? 

次に出巣Lした♀は身震いしてからぐるっと回り込み、右側の巣口Rを点検しています。 
その途中で長い落枝をうっかり踏みつけてしまいました。 
巣口Lの横を通って左へ向かいます。 


シーン12・6/11・午後19:54・(@7:14〜) 
明るい日中は巣内で寝て、晩になると活動を再開します。 
♀が大量の落ち葉を前足で掻き集めながら、右の巣穴Rへ後ろ向きで運び込みました。 

しばらくして同じ巣穴Rから外に出てきた♀は、身震いしてから今度は右奥の林内へ向かいました。 


シーン13・6/11・午後19:51・(@7:54〜) 
ここだけ時系列が逆になってしまいました。 
 アナグマ♀がノソノソ歩いて画面の左下へ消えると、周囲の灌木が激しく揺れました。 
カメラの死角でアナグマ♀の姿が見えませんが、おそらく後足で立ち上がり、灌木の枝葉を巣材として採取しているようです。 
早回し映像に加工すると、立ち木の振動が分かりやすいです。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】
アナグマは何年もかかって地中に巣穴をいくつも掘り広げ、セットを形成します。 
子育ての時期は特に大量の巣材を巣穴に運び込みます。 
巣穴を中心にあちこちに出かけては、林床の落ち葉を集めてきます。 
林床の落ち葉が枯渇すると、こんどは青葉のついた枝や蔓植物を集めてくるようになります。
アナグマが巣材として集めてくる植物の種類をきっちり同定するには、どうしても巣穴を発掘調査する必要がありそうです。

おそらく巣内には大量の腐葉土が形成されて、そこにも土壌生物やキノコなどさまざまな分解者による生態系が形成されているのではないかと予想されます。 
アナグマが掘った古い巣穴をタヌキやキツネ、イタチなどが乗っ取って再利用するそうです。 
また、アナグマは決まった場所に通って溜め糞をするので、そこにも糞虫など独自の生態系が形成されます。
このように、ニホンアナグマは(ビーバーほどではありませんが)営巣地周辺の環境をかなり改変して生態系に大きな影響を与えています。
したがって、キーストーン種と言えるのではないかと個人的に思うようになりました。 
(アナグマ・ファンの贔屓目かもしれません。)

大井徹『獣たちの森』という専門書によると、
野ネズミにとって落葉層は採食や隠れ場所として重要と考えられ、とくにアカネズミは落葉層と下層植生が発達した場所を好み、ヒメネズミは下層植生が疎な森林環境を好むと考えられている。(p132より引用)
つまり、アナグマが巣材集めをして落葉層が失われた森ではアカネズミが住みにくくなることになります。


アナグマ営巣地周辺の林床で夜な夜な餌を探し歩く野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地を監視するトレイルカメラに野ネズミ(ノネズミ)が8夜連続で登場していました。 
林床をうろちょろ徘徊して、餌を探し歩いています。 
この時期は植物の種子や果実は落ちてないので、獲物となる虫を探しているのでしょう。 
雨が降ってない晴れた夜の探餌徘徊シーンをまとめました。 

野ネズミはときどきアナグマの巣穴LとRに出入りしています。 
アナグマと同居しているというよりも、ただの探索行動(穴があったら入りたい)だと私は考えています。 
野ネズミが巣穴に侵入しても、主のアナグマが怒って本気で追い払う様子はありませんでした。 
(巣内で遭遇したら威嚇ぐらいはしているのかな?) 


シーン1・6/1・午前1:10〜・(@0:00〜) 

シーン2・6/2・午後23:59〜・(@1:12〜) 

シーン3・6/3・午後20:24〜・(@1:55〜) 

シーン4・6/4・午後20:39〜・(@3:31〜) 

シーン5・6/5・午後20:37〜・(@5:00〜) 

シーン6・6/6・午前00:15〜・(@5:59〜) 

シーン7・6/7・午後19:51〜・(@8:04〜) 

シーン8・6/8・午前00:45〜・(@9:18〜) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
後半になるとカメラの電池が消耗し、短い暗視動画しか撮れなくなりました。 
同時期に別アングルで設置した新機種のトレイルカメラでは野ネズミが撮れてないのが不思議です。 
誤作動しないようにセンサーの感度を少し落としているのでしょうか。 


2024/02/14

巣外で4頭の幼獣に授乳するニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬 

もはやニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀が幼獣の首筋を咥えて連れ出さなくても、幼獣は自力でなんとか歩いて巣外に出てこれるようになりました。 
これまで♀は幼獣を1頭ずつ巣外に連れ出して毛繕いしてやっていましたが、巣外で複数の幼獣にまとめて授乳するようになりました。 

気温の表示はほとんどが異常値です。 
暗視動画を連続撮影すると、トレイルカメラ自体が熱くなるせいです。


シーン1・6/10・午後19:22・(@0:00〜) 
手前の巣穴Lから出て外の地面に座った母親♀の乳首に幼獣2頭が吸い付いていましたが、じきに離れました。 
♀は授乳しながら自分の体を左の前足と後足で掻きました。 
もう1頭の幼獣が巣口Lから自力でアクセストレンチを登り、母親のもとになんとか辿り着こうとしています。 


シーン2・6/10・午後19:24・(@1:00〜) 
計4頭の幼獣が母親にまとわりついていました。 
♀が仰向けになって体を掻いたり毛繕いしたりすると、腹面に乳房が張っていることが分かります。 
仰向けになった♀の乳首に幼獣が吸い付く決定的瞬間が撮れました。(@1:40〜) 
アナグマ♀の授乳シーンは初見です。 
♀は自分の身だしなみを整えるのに忙しくて、結構手荒に幼獣を扱っています。 


シーン3・6/10・午後19:23・(@2:00〜) 
別アングルで設置した旧機種のトレイルカメラでも授乳シーンが同時に撮れていました。 


シーン4・6/10・午後21:58・(@3:00〜) 
約2時間半後、アクセストレンチに座って待つ♀の元に巣口Lから幼獣が登ってきます。 
♀が迎えに行って、幼獣の尻を舐めてやりました。(対他毛繕い) 
幼獣は♀の腹の下に潜り込み、母乳を飲んでいるようです。 

他の幼獣がキャンキャン♪鳴き騒ぐので、様子を見に♀は巣穴Lに戻りました。 
母親の乳首に吸い付いていた幼獣も、一緒に引きずられるように入巣L。 


シーン5・6/10・午後22:57・気温19℃(@3:47〜) 
約1時間後、♀が巣口Lで幼獣が出てくるのを待ち受けています。 
糞尿で汚れた尻の辺りを中心に丹念に舐めてやります。 
幼獣を仰向けにひっくり返して、腹面を舐めるのも忘れません。 


シーン6・6/10・午後23:00・(@4:47〜) 
♀がアクセストレンチに移動して自分の体で痒い部分を左後足で掻いています。 
幼獣が覚束ない足取りで巣口Lからアクセストレンチを登って来ると、そのまま♀の腹の下に潜り込み母乳を飲み始めました。 
続いて2頭目の幼獣が巣穴Lから外に出てきました。 


シーン7・6/10・午後23:03・(@5:47〜) 
カメラの起動が遅れ、母子の合流シーンを撮り損ねてしまいました。 
♀が幼獣を跨いだ直後に軽く座って尻を幼獣に擦り付けました。(アロマーキング@5:50〜) 

その後♀は地面に座り込んで自分の体をボリボリと右後足で掻いています。 
近くをうろついていた幼獣が♀の乳首に吸い付きました。 


シーン8・6/10・午後23:02・(@6:47〜) 
別アングルで撮れた映像に切り替えます。 
巣穴Lの周囲に生えたマルバゴマキ灌木の茂みに隠れてアナグマ家族の姿がよく見えないので、5倍速の早回し映像でお届けします。 
暗視動画で見ると、母親♀の目の大きさが左右で少し違うことが分かります。(右目<左目) 

シーン9・6/11・午前1:54・(@6:59〜) 
日付が変わった6/11は、東北地方南部で梅雨入りが宣言された日です。 
撮れた映像では雨は降っていませんでした。

アクセストレンチに座り込んだ♀の乳首に腹を空かせた3頭の幼獣が殺到しています。 
仰向けで授乳しながら♀は幼獣に対他毛繕いしたり、自分の毛繕いをしたりしています。 

残る1頭の幼獣はどうしているのか、安否が少し心配になります。 


シーン10・6/11・午前1:53・(@7:59〜) 
別アングルで同時に撮れていた映像に切り替えます。 


 シーン11・6/11・午前1:55・(@8:59〜) 
新機種トレイルカメラの暗視映像に戻ります。 
♀と幼獣3頭が組んず解れつしながら、ひたすら授乳と対他毛繕いを続けています。 


シーン12・6/11・午前1:55・(@9:59〜) 
別アングルに設置した旧機種のトレイルカメラで同時に撮れていた映像に切り替えます。 
アナグマ母子の姿が周囲の灌木の茂みに隠れてよく見えないので、5倍速の早回し映像に加工しました。 


シーン13・6/11・午前1:57・(@10:11〜) 
新機種トレイルカメラの映像に戻りました。 
幼獣2頭が母親にまとわりついています。 

手前の巣口Lからもう1匹の幼獣がアクセストレンチを登ってきました。 
この幼獣は、いつの間にか左の死角から巣口Lに転がり落ちてしまったようです。 
それとも巣L内でずっと寝ていた幼獣個体がようやく目覚めて(空腹に耐えかねて)外に出てきたのかな?
(別アングルの映像を見ると謎が解けました。)


シーン14・6/11・午前1:57・(@11:11〜) 
別アングルで同時に撮れていた暗視映像に切り替えます。 
5倍速の早回し映像でお届けします。 


シーン15・6/11・午前1:58・(@11:23〜) 
アクセストレンチをよちよち登ってきた幼獣が兄弟姉妹の体を乗り越えようとしたら、滑ってコテンと横転してしまいました。(@11:38〜) 
幼獣の一挙手一投足がなんともかわいらしいですね。
転んだ幼獣個体も鳴き声ひとつ上げず、なんとか兄弟姉妹をかきわけて、母親の乳首に吸い付くことが出来ました。(@12:00〜) 
その体を♀が丹念に舐めてやっています。 


シーン16・6/11・午前1:57・(@12:23〜) 
別アングルで同時に撮れていた暗視映像に切り替えます。 
5倍速の早回し映像でお届けします。 

 幼獣1頭がアクセストレンチから巣口Lに転がり落ちた(滑り落ちた)ものの、自力でなんとか這い上がります。 


シーン17・6/11・午前1:59・(@12:35〜) 
♀は3頭の幼獣に同時に授乳しながら、対他毛繕いしてやっています。 


シーン18・6/11・午前1:59・(@13:35〜) 
別アングルで同時に撮れていた暗視映像に切り替えます。 
5倍速の早回し映像でお届けします。 


シーン19・6/11・午前2:00・(@13:47〜) 
トレイルカメラ新機種の映像に戻ります。 
幼獣3頭を巣外に放置したまま、母親は先にさっさと帰巣Lしてしまいました。(@14:35〜) 
残された幼獣が自力で入巣Lするまで見届けられなかったのが残念です。
幼獣がもう自力で歩けるほど成長したので、♀が幼獣を咥えて運ばなくなったことが分かります。 


シーン20・6/11・午前2:00・(@14:47〜) 
別アングルで同時に撮れていた暗視映像に切り替えます。 
5倍速の早回し映像でお届けします。 


シーン21・6/11・午後23:15・(@14:59〜) 
昼間は寝て、同じ日の晩遅くに再び授乳シーンが撮れていました。 
今度は右の巣穴Rの近くの地面で、♀が幼獣1頭に対して授乳および対他毛繕いをしています。 
カメラの電池が消耗して、断片的な映像しか撮れなくなりました。 


シーン22・6/12・午前0:57・(@15:07〜) 
日付が変わった深夜にも、巣穴Rの近くの地面で♀が幼獣1頭に対して授乳および対他毛繕いをしていました。 


シーン23・6/12・午前1:01・(@15:20〜) 
右の巣穴Rの入口付近で、♀が幼獣2頭に対して授乳および対他毛繕いをしています。 


シーン24・6/12・午後23:53:・(@15:34〜) 
明るい日中は巣内で寝て、同じ日の晩遅くに再び授乳シーンが撮れていました。 
幼獣3頭を引き連れて♀が巣穴Lの外に出てきました。 
♀はアクセストレンチに放尿マーキングした匂いを嗅いでから、その横の地面に座り込みました。 
アクセストレンチをゆっくり登ってきた幼獣が♀に追いつくと、舐めてやります。 
幼獣の1匹は♀の腹の下に潜り込んで乳首を吸おうとしています。 


シーン25・6/16・午後18:24・(@16:34〜)日の入り時刻は午後19:06。 
4日後、日没前なのに早くも母子全員が巣穴Rの外に出て来ました。 
幼獣4頭が同時に外出するのは初見です。 
実はそれまで同時に3頭の幼獣しか巣外で見かけなかったので、残る1頭は死んでしまったのではないかと心配していました。 
幼獣4頭の無事が確認できて一安心。 
ヘルパー♂の姿が見えませんが、母子勢揃いの微笑ましい光景でした。 

母親♀は近づいてきた順に幼獣の体を舐めてやります。 
♀は自らコテンと寝転び、横臥で自分の体を掻きました。 
そのまま仰向けになると、幼獣に授乳を始めました。 
一方、1頭の幼獣が巣口Rに取り残されたまま、アクセストレンチを登れないでいます。 
発育が少し遅れた個体なのでしょうか? 


シーン26・6/16・午後18:25・(@17:34〜) 
巣口Rに取り残されたままの幼獣個体がいます。 
巣口Rから伸びるアクセストレンチには多数の落枝や蔓が転がっていて、体の小さな幼獣にとってはかなり歩きにくそうです。 
歩行能力が比較的高い幼獣個体は、奥の灌木林へ探検に出かけます。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 

ニホンアナグマ♀の乳首の数をネット検索で調べても、いまいち正確な情報が得られませんでした。
アナグマ – おもしろ哺乳動物大百科 83 食肉目 イタチ科 というサイトによると、乳頭数は3対です。 
ただし、このまとめサイトでは、ニホンアナグマとヨーロッパアナグマを一緒くたに扱っています。

ヨーロッパアナグマ はオスメスともに3対の乳首があるが、メスのほうがより発達している。 (wikipediaより引用)


熊谷さとし『フィールドワーカーのための動物おもしろ基礎知識』という入門書のp205で乳頭式の定義を記してあったのですが、ニホンアナグマの乳頭式については記述がありませんでした。

ニホンアナグマ♀の乳頭が3対あるとすると、最大で6頭の幼獣を同時に授乳することができます。
私が観察しているアナグマ♀は4頭の幼獣を出産し、育てています。
成獣の個体識別も覚束ないのに幼獣の個体識別は難しすぎて私にはとても無理です。
もしかすると、この♀は幼獣を3頭+1頭と2グループに分けて別の時間帯に授乳しているような気がします。
4頭の幼獣を同時に授乳するのは肉体的な負担が大きいからでしょう。
幼獣1頭を巣外にしばらく放置した事件がきっかけで、授乳リズムが1頭だけずれたのかもしれません。
あるいは幼獣を性別によって育て分けているのだとしたら、より一層興味深いです。

熊谷さとし氏の著作では、ニホンアナグマのヘルパーは若い♀が務めると書いてあります。

 子別れの際、成長した子どもを全部追い出さず、1頭だけ残して翌年の子どもの世話をさせる、ということもある。
 キツネやオオカミ、イノシシ、ヨーロッパアナグマなど、多くの動物に見られる行動で、ヘルパー制度と呼ばれている。
 (中略)動物のヘルパーは、妊娠中の母親にエサを運んできたり、子どもの遊び相手をしたり、さらに♀のヘルパーは、母親に代わって弟や妹たちにお乳をやることもあるという。
 この制度は、母親の子育ての負担を軽減し、目配りが行き届くために、より子どもたちの安全が守られ、またヘルパー自身が親になったときの訓練にもなる、という素晴らしい制度なのだ。
 もっとも、この制度には経済力が優先する。(中略)「確実にエサが確保される」という食べものが豊かな場所でなければ、このような行動を観察することはできない。
 俺が観察している(ニホン)アナグマのファミリーは、毎年ではないけれど、この制度を導入している。 (熊谷さとし『フィールドワーカーのための動物おもしろ基礎知識』(2006)p204より引用)

手元にあるもう1冊の本、熊谷さとし『日本の野生動物 2―身近に体験! タヌキを調べよう』(2006)によると、
 アナグマもほんとうは、秋になるとタヌキのように「子別れ」をして、子どもは親からはなれるはずなのだが、母親は♀を1頭だけ手もとにのこし、翌年の子どもの世話をさせることがある。(中略)ヘルパーは子守ばかりでなく、妊娠中の母親に食べものを運ぶこともする。
ヘルパー制度は、母親の子そだてを楽にして、子どもの安全を守るほか、ヘルパーに子どもが生まれたときの子そだての訓練にもなる。(p25より引用)

私が観察しているニホンアナグマでは、ヘルパーが妊娠中の母親に食べものを運ぶ行動は一度も見られませんでした。(トレイルカメラが撮り漏らしたのかもしれません。)

もしも母親♀だけでなくヘルパー♀(1歳仔の娘)も幼獣に授乳できるとなると、私が撮った動画の解釈は大幅に再検討する必要があります。
しかし、妊娠・出産していないヘルパー♀の乳腺が発達して授乳が可能になることは生理的にあり得るのでしょうか?(調べてみると、動物でも想像妊娠はあるらしい。)
ニホンアナグマのヘルパーは若い♂(1歳仔の息子)であるというのが最近の研究結果らしいので、この点で熊谷さとし氏の古い?見解はひとまず忘れることにします。
混乱の原因は、若い時期のアナグマは体型に分かりやすい性差がないことにあります。
私も股間の陰茎を見て初めてヘルパーが♂だと分かりました。
逆に♂がヘルパーだとすると、「自分が子育てするときのための訓練になる」という説明はできなくなります。




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【追記】
鈴木欣司『アナグマ・ファミリーの1年』(2000年)によると、
アナグマの巣を出たばかりのときの子どもの数は、3頭が普通です。お乳の数は全部で6個ありますが、専用の乳を吸うのではないようです。(p19より引用)

私の観察するニホンアナグマ♀が4頭の幼獣を産んだのは、平均よりも多産の部類に入るようです。 

4頭とも無事に育ちましたし、生息環境に餌が豊富なことを示しています。



【追記2】

日本の食肉類:生態系の頂点に立つ哺乳類』第8章:金子弥生「ニホンアナグマ」p186に掲載された図8.7によれば、ニホンアナグマ♀の乳頭式は、通常は3対とのことでした。


棚網で捕らえたニホンミツバチ♀を住居に運んで捕食するクサグモ(蜘蛛)

 

2023年6月上旬・午前10:00頃・晴れ 

家屋の外壁をイワガラミという蔓植物で壁面緑化してあります。 
初夏に白い花が咲くと、ニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が採餌のために訪花します。 

関連記事(7年前の撮影@山林)▶ イワガラミの花で採餌するニホンミツバチ♀ 


室内から窓の外を覗くと、イワガラミにクサグモAgelena silvatica)が張り巡らせた棚網にニホンミツバチ♀が捉えられ、逃れようと必死に暴れていました。 
私が急いでカメラを取りに行って動画撮影を始めたときには、住居から出てきたクサグモの毒牙に噛まれてミツバチはもうおとなしくなっていました。 

クサグモが住居から出てきてミツバチに噛み付いて毒液注入・制圧。 獲物に毒が回るまで、クサグモは一旦住居に戻った。 しばらくすると獲物を取りに戻る。 ミツバチの足の先が非粘着性の網目の細かい棚網に引っかかっていて、運ぶのに苦労している。 ようやく住居の中に搬入。 じっくり体外消化を開始。 獲物を貯食している? 棚網上で噛み付かれた獲物は毒液が回って暴れない。 


ニホンミツバチ♀は毒針を持つのに、クサグモとの決闘で自分の身を守れなかったようです。 
よく見ると、ニホンミツバチ♀の触角がかすかに動いています。(「虫の息」状態) 
クサグモは獲物の腹背に噛み付いているようですが、口元の毒牙が見えません。 
麻痺したニホンミツバチ♀が毒針を伸ばしているかどうかも、不明です。 
噛み付いている途中でクサグモは歩脚を動かして棚網上で踏ん張り、体勢を安定させました。(@1:03〜) 

獲物を離した後も、しばらく獲物にあちこち触れながら留まっています。(@1:30〜) 
次にクサグモは獲物をラッピングするかと思いきや、そのまま獲物から離れて棚網上をうろつき始めました。(@2:27〜) 
画面の下部には何かが棚網上に残されています。 
食べかけの獲物かと私は思ったのですが、よく見ると植物由来の異物(落花?)のようです。 
捕らえたニホンミツバチ♀をその場に残したまま、クサグモは窓枠の近くにある筒状の住居に戻りました。(@2:50〜) 
歩脚で棚網を引き締める動きをしたのは、次の獲物がかかった時に振動を感知できるよう準備しているのでしょう。(待ち伏せによる狩り) 

1分20秒後、管状住居内で休んでいたクサグモが外に出て来ました。 
棚網に引っかかった異物を調べています。 
棚網の構造上、異物を除去したくても簡単にはできないのかもしれません。 
先程捕らえたニホンミツバチ♀の居場所を探るために、歩脚で棚網を引き締めました。 
視覚ではなく棚網の糸に伝わる振動覚によって、獲物の位置を正確に定位するということがよく分かります。 

ミツバチに噛み付いた後で毒液が完全に回るのを今まで待っていたようです。 
獲物に絡みついた非粘性の糸を噛み切ってから、棚網から強引に引き剥がそうとしても、引っかかってなかなか動かません。 
(手際の悪さが幼体の証かもしれません。) 
ようやく獲物を棚網から引き剥がすと、その部分が破れて穴が開きました。 
獲物を咥えて住居に向かって引きずるように運び始めたものの、途中で何度も棚網に引っかかり、運搬に苦労しています。 

突然、バーン♪という銃声のような音が辺りに響き渡りました。(@5:59〜) 
近所で大工作業をしていた職人が金属パイプか何かをうっかり落としたようです。 
その瞬間にクサグモは反射的に獲物からパッと離れました。 
造網性のクモにとって聴覚と振動覚は同じですから、衝撃音を聞いて身の危険を感じたのでしょう。 
警戒を解くと、クサグモは慎重に獲物を取りに戻りました。 

獲物の向きを変えて抱き合うように持ち上げると、蜂の足先が棚網に引っかからず楽に運べるようになりました。 
ようやく管状住居に獲物を搬入できました。(@6:35〜) 

撮影アングルを変えると、管状住居内にクサグモのシルエットが見えるようになりました。
獲物のニホンミツバチ♀に軽く触れながら、その周りをグルグル回っています。 
おそらく、糸を張り巡らせて獲物を住居内に軽く固定しているのでしょう。 
なぜか細いトンネルをくぐって反対側の出口に行ってから戻って来ました。 
何度か獲物を抱えるように持ち上げています。 
あまり空腹ではないらしく、獲物に噛み付いて体外消化を始めようとしません。 
ところで、採餌直後のミツバチを体外消化したら、イワガラミの花蜜由来の果糖や花粉がクサグモの吸胃から検出されるでしょうか? 

管状住居内に謎の微小な昆虫が迷い込んでいるのが気になりました。 
クサグモにどんどん接近する様子は、なんとも思わせぶりです。 
棚網上を自由に歩けるのは不思議で、何か対策してるはずです。 
もしかして寄生蜂♀が寄主を求めて積極的に侵入したのかな? 
しかし、クサグモの仲間に寄生産卵する専門家であるニッコウクモヒメバチ♀とは大きさも体型も全く違います。 



どうやら、ハエが迷い込んで逃げられなくなっただけのようです。 
クサグモの食べ残しに誘引されたとしたら面白い生態ですけど、動画撮影中の私は気づいておらず、じっくり調べていません。 

時期的にクサグモは未だ成体ではなく、幼体または亜成体だと思うのですが、真面目に検討するには採集しないといけません。 
少なくとも、触肢の発達した成体♂ではありませんでした。 
クサグモの幼体なら頭胸部の色が赤く、腹部が黒光りしているはずです。
(発生発達ステージの問題はともかく、コクサグモと見分ける頭胸部の斑紋をしっかり撮れませんでした。)


※ 動画の後半は編集時に自動色調補正を施しています。 
雪国(寒冷地)に特有の二重窓を通して室内から撮影したので、画面全体がやや不鮮明になっています。 


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・共立スマートセレクション『まちぶせるクモ 網上の10秒間の攻防』 
・観察の本『クモたちの狩り 上』 

2024/02/13

ニホンアナグマの諸活動:6月上旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬 

二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の巣穴LRを新旧2台のトレイルカメラで監視しています。 
何か特筆すべき行動があれば個別の記事にするのですが、とりとめもない残り物の行動シーンをまとめました。 
早回しなどの加工はしないで、映像素材をただ時系列順につなげただけです。
営巣地(セット)をうろついたり、巣穴に出入りしたり、毛繕いをしたり、幼獣を巣外に連れ出したり、など。 
観察歴の浅い私が見落としている行動が多々ありそうですし、念の為に撮れた動画を全て残しておきます。 

最大の問題は、個体識別がまだ不完全であることです。 
♀は暗視カメラで見たときに左右の目の大きさが異なり(右目<左目)、右の首筋に白斑があります。 
この時期の♀は腹面に乳首が目立つようになりました。 
ヘルパー♂(1歳仔の息子)は自分で毛繕いする際に仰向けで開脚すると、股間に陰茎が見えるときがあります。 

梅雨入り前ですが、この時期は数日おきに雨が降ります。 
(東北地方南部の梅雨入り宣言は6/11。) 
レンズに水滴が付くと、乾くまで映像が不鮮明になってしまいます。 

アナグマは主に夜行性ですが、昼間も活動しています。 
巣穴Rは実は2つの穴が左右に並んで開口しています。 
アナグマはその左側R-Lから出入りしています。 

後半になるとカメラの電池が消耗してきて、断片的な細切れ映像になってしまいました。
それでも明るい日中は赤外線を照射する必要がないので電力消費が少なく、タイマー設定通りに1分間録画してくれます。 

シーン1・6/1・(@0:00〜) 

シーン2・6/2・(@4:34〜) 

シーン3・6/3・(@10:22〜) 

シーン4・6/4・(@10:40〜) 

シーン5・6/5・(@17:33〜) 

シーン6・6/6・(@22:11〜) 

シーン7・6/7・(@25:28〜) 

シーン8・6/8・(@28:41〜) 

シーン9・6/9・(@33:15〜) 
ラストシーンでは、左奥の巣穴Lの中から右外に向かって土が運び出され、アクセストレンチが作られています。 
(アクセストレンチの部分だけ、巣L内から掘り出された土で覆われています。) 

 ※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


笹薮のタヌキ溜め糞場で虫を探すウグイス?【野鳥:トレイルカメラ】

 

2023年4月上旬


笹薮が生い茂る河畔林にあるホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場rpを自動撮影カメラで見張っていると、夕方に小鳥が登場しました。 


シーン1・4/6・午後15:30・(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 
オニグルミ大木の下にこんもりと巨大な溜め糞場rpがあります。  


シーン2・4/9・午後17:25頃・晴れ (@0:05〜) 
画面の赤丸に注目してください。 
笹藪の奥から現れた小鳥が林床をピョンピョン跳んで移動(ホッピング)し、溜め糞rpの上を横切りました。 
気温がまだ低いこの時期はハエの幼虫(蛆虫)や糞虫など獲物となる虫は居なかったようで、左に素通りしました。 

この時期はウグイス♂(Horornis diphone)がホーホケキョ♪とさえずる鳴き声がこの地点でよく録音されていたので、今回の小鳥はおそらくウグイスではないかと思うのですが、定かではありません。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
旧機種のトレイルカメラには奇妙な癖があって、明るい日中の映像を撮ると画面全体にピンク色のフィルターがかかることが多く、しかもそれが点滅するのです。 
あまりにも見苦しいので自動色調補正して、騙し騙し使っています。 
新機種のトレイルカメラに少しずつ買い替えようとしているのですけど、せっかく買った新機種の方が先に壊れてしまいます。
堅牢性の高い旧機種をなかなか引退させられずに、仕方なく使い続けるはめになっています。 


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2024/02/12

幼獣の上に座ってアロマーキングするニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬〜中旬

ニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀が巣外に連れ出した幼獣に対して頻繁にアロマーキングするようになりました。 
アナグマのマーキング行動にはスクワットマーキングとアロマーキングの2種類あります。 
地面に座って尻を擦り付け、臭腺や肛門腺で縄張り宣言の匂い付けをするスクワットマーキングはトレイルカメラでこれまで何度も撮れていたものの、アロマーキングは初見です。
普段は巣内でアロマーキングしているのでしょう。
アロマーキングとは、アナグマどうしのにおいづけであり、二匹のアナグマがおしりを向けて立ち、臭腺を直接たがいにこすりあう。日本では、私はまだアロマーキングを見たことはないが、イギリスでは、個体の持つ臭腺物質および臭腺内に生息する微生物を交換することで、グループ内の個体が同じ構成のにおい物質を持つために行われるとされている。(金子弥生『里山のクラスアナグマたち:フィールドワーカーと野生動物』p64-65より引用)

幼獣が育って自分で勝手に歩き回るようになる前に、「我が子である」と匂いで認識できるように母親♀がアロマーキングするのでしょう。 
私は幼獣の個体識別が出来ていないのですが、♀は4頭の幼獣に万遍なくアロマーキングしているはずです。 

2台のトレイルカメラで別アングルから営巣地(セット)を監視しています。 
新機種と旧機種を入れ替えました。 
今回の動画では、表示される気温はすべて異常値です。 
これから夏になると、暗視動画の連続撮影によるカメラの熱暴走が心配です。 


シーン1・6/10・午後19:25(@0:00〜) 
アナグマ♀が手前の巣穴Lの外に4頭の幼獣を連れ出していました。 
幼獣たちは覚束ない足取りで歩き回り、母親♀の体にまとわりついてきます。 
そのうちの1頭の上に♀が軽く座ったのは、アロマーキングですかね? 
その後、別個体の幼獣が♀の背後から股の間を通り抜けた際には、アロマーキングをしませんでした。 


シーン2・6/10・午後23:03(@0:22〜) 
深夜に母子2頭が巣外に出ています。 
♀がまたもや幼獣の上にちょっと座って尻を付けました。 
♀はそのまま幼獣を尻で押し潰したりしないでアクセストレンチに座り直し、痒い体を後足で掻き始めました。 
母親に尻で座られても幼獣は悲鳴を上げたり抗議したりすることもありません。 


シーン3・6/10・午後23:03(@0:22〜) 
別アングルに設置した旧機種のトレイルカメラにも同じアロマーキングのシーンが録画されていました。 


シーン4・6/11・午後19:41(@0:45〜) 
翌日の晩に、母子2頭が巣外に出ています。 
♀が幼獣の上を跨いで通り過ぎる際に、わざと幼獣の上にちょっと座って尻を擦り付けました。 
その後は幼獣の毛皮を舐めて毛繕いしてやります。(対他毛繕い) 


シーン5・6/13・午前3:44(@0:56〜) 
2日後の雨が降る未明に、母子3頭が巣外に出ています。 
足元にまとわりついてくる幼獣の上に♀が跨り、尻を擦り付けました。 


シーン6・6/13・午前3:52(@1:11〜) 
8分後、新機種トレイルカメラによる別アングルの暗視映像に切り替わりました。 
手前の巣口Lで待っていた幼獣を咥えて♀が外に連れ出しました。 
途中で幼獣を地面に下ろして、その毛皮を舐め始めました(対他毛繕い) 
ときどき幼獣の上に跨る行動が意図的だとすれば、アロマーキングなのでしょう。 


シーン7・6/13・午後18:34(@1:30)日の入り時刻は午後19:05。 
同じ日の夕方、母子2頭が右の巣穴Rから外に出ています。 
♀がときどき幼獣の上に軽く座ってアロマーキングしています。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 

成獣間の対他毛繕い(アログルーミング)は何度も見ているのに、アロマーキングは未だ一度も見たことがありません。
アナグマ♀とヘルパー♂(1歳仔の息子)は巣内でアロマーキングしているのでしょうか?



ムラサキツメクサの花蜜を吸うベニシジミ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年6月上旬・午前11:00頃・晴れ 

川沿いの堤防路に咲いたムラサキツメクサ(=アカツメクサ)ベニシジミLycaena phlaeas daimio)が訪花していました。 
共にありふれた普通種ですけど、意外にもこの組合せは初見です。 
翅を立てたまま(ほとんど閉じて)吸蜜しているということは、気温が暑いのでしょう。 
よほど花蜜の量が豊富なのか、なかなか飛んでくれません。 
よく見ると、クモの遊糸が吹き流しのように風にたなびいているのがキラキラと光って見えます。 

花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:14〜) 
すぐ横をヒゲナガハナバチ?が高速で飛来しても、ベニシジミは無反応でした。 
用事があって急いでいた私はベニシジミが自発的に飛び立つまで待ち切れず、帽子を投げつけたら前方に飛び去りました。 
緊急避難の羽ばたきが速過ぎて、翅表の斑紋をしっかり見極められず、春型か夏型か不明です。

2024/02/11

後足で立ち上がって樹上の枝葉を巣材として集めるニホンアナグマ【トレイルカメラ】

 



2023年6月上旬・午前8:12・気温20℃ 

朝からニホンアナグマMeles anakuma)が林縁で巣材を集め始めました。 
明るい時間帯の巣材集めは初見です。

関連記事()▶ 

 
これまでは林床の落ち葉を掻き集めて寝床(敷きわら)としていたのですが、営巣地(セット)の周辺ではもはや落ち葉が枯渇したようです。 
細い蔓を咥えて後ろに引っ張り、引きちぎろうとしています。 
緑の木の葉などを前足で手前に掻き寄せながら素早く後退し、そのまま左奥の巣穴Lに入りました。 

同じ巣穴Lから外にすぐ出てくると、さっきと同じ場所(林縁)に戻り、前足で立木に手を掛けながら後足で立ち上がりました。 
高い位置にある横枝に前足が届くようになったので、その枝葉を落とし、そのまま巣材とするようです。 
セット(営巣地)周辺の灌木で小枝がすっきり剪定されている理由がこれで分かりました。 
夜の林内でアナグマが後足で立ち上がる行動は暗視動画で何度か撮れていたのですが、何をしているのか暗くてはっきり分かりませんでした。
今回ようやく巣材集めの決定的な証拠映像が撮れました。

おそらく♀ではないかと思うのですが、今回はアナグマの性別を見分けられませんでした。 
別アングルに設置したトレイルカメラで同時に撮れてなかったのが残念でなりません。 


今回のポイントは次の3つです。 
  • アナグマは明るい時間帯でも巣材が必要になれば巣の外に出て集める。 (昼行性になることもある。)
  • 林床の落ち葉や枯葉、枯草が無くなれば、臨機応変に緑の生葉を集めるようになる。 
  • 後足で立ち上がって高所の枝葉を採集することができる。 

アナグマが巣材として採取した植物の種類までは映像から見分けられませんでした。 
植物質の物で肌触りが柔らかければ何でも良いのかも知れません。
もしかすると、防虫効果やアロマ効果などの薬効を狙って特定の種類の植物(薬草やハーブなど)を集めていたとしたら面白いですね。 
例えば猛禽類は、防虫や殺菌用の巣材として針葉樹の枝を緑の葉を付けたまま持ち込むことが知られています。 

宮崎学『ワシ・タカの巣 (森の写真動物記 3)』によると、
樹上に巣をつくるワシ・タカはみな、殺菌作用のある青葉を巣に運びます。えさがくさって、菌が広がるのをふせぐためです。 (p24より引用)


駐車場でブルドーザーの下をくぐる茶トラのイエネコ♂

 

2023年6月上旬・午後12:30頃・晴れ 

昼下がりに郊外の団地で茶トラのイエネコ♂(Felis silvestris catus)が堂々と散歩していました。 
舗装路を足早に歩き去る後ろ姿の股間に睾丸がよく目立ちます。 
未去勢猫♂のようです。 

立ち止まって左を振り返りました。 
耳をピンと立てて何かを警戒しているようですが、私の方はちらっと見ただけでした。 

再び歩き出すと、駐車場に置かれている除雪用ブルドーザーの大きなタイヤの横を通り、大型重機の下をくぐり抜けました。 

家屋の軒下に沿って日陰を歩いてから、角で立ち止まり警戒しています。 
前方を見据える視線の先に何があるのか気になります。 
レンズを広角にズームアウトすべきでしたね。 
最後は角を曲がって姿を消しました。 


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・写真集『にゃんたま』 

 

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