2016/12/10

求愛飛翔するメスグロヒョウモン♀♂【HD動画&ハイスピード動画】



2016年8月下旬

翅の色が異なる2頭のチョウが峠道で激しくもつれ合うように乱舞していました。
道を塞ぐアカマツの倒木が目障りですね…。

240-fpsのハイスピード動画に切り替えて撮ってみました。(@0:39〜)
スローモーションで見て初めて、メスグロヒョウモンDamora sagana liane)の♀♂ペアによる求愛飛翔だと分かりました。
褐色の翅の♂は黒い翅の♀の背後に回りこみ、♀の真下をくぐるように飛んで追い越し、♀の目の前で急上昇する、という求愛行動をしつこく繰り返しています。
つまり、逃げ回る♀を中心として♂は縦に旋回しながら追尾しています。
♂の前翅表には3本の黒い縞模様があり、これは♂特有の発香鱗と言われています。
求愛飛翔で♂は♀に対して視覚的なシグナルを送ると同時に、この発香鱗からの性フェロモンを♀の目の前で振り撒いて嗅がせているのでしょう。
しかし♀が求愛に応じなかったため、♂は諦めて飛び去りました。

▼関連記事:2015年6月中旬
メスグロヒョウモン♀♂の求愛飛翔【HD動画&ハイスピード動画】





オヒシバの実を採食するスズメ(野鳥)の群れ



2016年9月上旬

稲穂が実る水田にスズメPasser montanus)の群れがいたので、米を採食するシーンを撮りたくて近づいたら、飛んで逃げられました。
群れの後を追って忍び寄ると、今度は意外なメニューを食していました。
(映像はここから)

農道沿いに生い茂ったオヒシバの群落から路上に落ちた実を主に啄んでいます。(落ち穂拾い)
倒伏した穂に跳びついて直接啄む個体もいて、とても可愛らしいですね。
映像ではエノコログサの穂も見えますが、オヒシバが優占しています。

この辺りの水田には雀追いの爆音装置は設置されていないようで、平和に撮影できました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



【追記】
『スズメの謎:身近な野鳥が減っている?』p107によると

大正12年(1923年)に農商務省農務局というところが発行した「鳥獣調査報告書」には、スズメについての「有益方面に関する考察」というものがあります。つまり、スズメは害鳥なんだけれど、スズメがいることでどんなよいことがあるのかを検討してみたという報告書です。その中には、スズメは稲の害虫や雑草の種子を食べてくれるので、スズメの有益性は大きいとあります。
下線部の視点が新鮮でしたので引用しておきます。






水の無い路面で打水産卵するヤンマ♀の謎



2016年9月上旬

峠道を往復して飛ぶヤンマの一種を見ていたら、奇妙な行動をしていました。
水溜りが無いのに、乾いた路面にときどき打水産卵しているのです。
おそらくトンボの複眼では陽炎や逃げ水のように水面だと錯覚してしまう場所なのでしょう。
トンボが騙された場所を偏光フィルターや紫外線フィルターで写真に撮ってみれば何か分かるかもしれません。
乾いた地面に銀マットやビニール袋を敷いて産卵を誘発できるかどうか試してみれば面白い自由研究になりそうです。
ヤンマの種類が見分けられなかったのが残念です。
♂は尾繋がりも随伴もしておらず、♀が単独で産卵しています。(例えばオニヤンマ♀の産卵がこのタイプです。)

実は1年前にも似た映像を撮っていました。
あまり説得力のある動画ではないのでお蔵入りしていたのですが、ついでにブログ限定で公開します。



2015年9月中旬

また別の峠道で撮りました。
路上の木漏れ日を水面の反射と誤認したヤンマの一種♀(種名不詳)が打水産卵を試みています。
飛んでいる虫を狩る行動ではなさそうです。


2016/12/09

エゾクロツリアブ♀の産卵飛翔【ハイスピード動画】



2016年8月下旬

雪囲い用の材木を冬まで保管してある軒下の資材置き場でエゾクロツリアブ♀(Anthrax jezoensis)が停空飛翔(ホバリング)していました。
これは産卵行動だ!とピンと来たので、240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
実はこの直前には、近くの板壁の節穴に興味を示していたのです。(映像公開予定

杉の丸太の切り口に小さな穴のように朽ちた部分があり、エゾクロツリアブ♀は飛びながらその穴を重点的に調べています。
おそらくその穴の奥に寄主のマメコバチ?が営巣しているのでしょう。(蜂の出入りは確認していません。)
背後から撮った映像では、飛んでいるエゾクロツリアブ♀と産卵標的との距離感が分かりにくいですね。
エゾクロツリアブ♀はしばらくホバリングしてから狙いを定め、飛びながら腹端を前方に勢い良く振り出して卵を射出します。
白くて小さな粒が穴の奥に飛んでいくのが一度だけしっかり見えました。(@2:08)
産卵そのものはトンボみたいに何度も連続するのではなく、ひと粒ずつ大事に産むようです。
1回産む度に、産卵の成否を確認しているのかもしれません。
ときどき丸太の断面(産卵地点から少し離れた位置)に着陸して翅を休めています。
私は休息だと解釈したのですが、飛び立つまでに次に産む標的をじっくり調べているのかもしれません。(後述する論文の著者による解釈)

後半は私が横にそっとずれて、側面からの撮影アングルを確保しました。
これで産卵標的とエゾクロツリアブ♀との距離感がはっきり見えるようになりました。
停空飛翔中は後脚を後ろに向けていますね。
後脚を垂らして飛ぶアシナガバチの飛行姿勢とはまるで異なります。
その一方で、前脚は前方に揃えています。
ホバリング中に産卵標的との距離は近づいたり遠ざかったりと、安定しません。

色々と調べていたら興味深い文献を見つけました。

Wijngaard, Wopke. "Control of hovering flight during oviposition by two species of Bombyliidae." Netherlands Entomological Society (2012): 9.(無料公開のPDFファイル
同じツリアブ科で2種の産卵行動を300-fpsのハイスピード動画に撮って詳細に比較した論文です。
エゾクロツリアブと同属の近縁種(Anthrax anthrax)とビロウドツリアブ♀(Bombylius major)が登場します。
今回私が観察したエゾクロツリアブはこの論文に記述されたAnthrax anthraxの産卵行動と同じでした。

この仲間のツリアブは産卵前に、卵がべたつかないように砂粒でコーティングするのだそうです。
そのために腹端を砂やゴミなどに擦り付ける行動をするらしく、「sand chamber」と呼ばれる部位に砂を貯えておくらしい。
今回の映像にその行動は写っていない…ですよね?
欲を言えば産卵行動をマクロレンズで接写したかったです。





ミズナラにできたナラハヒラタマルタマフシ(虫瘤)



2016年8月下旬

峠道の横に生えたミズナラの幼木で葉表にピンク色の丸い虫瘤を見つけました。
虫こぶは葉脈(側脈)上に形成されています。
葉をめくってみても葉裏には痕跡はありませんでした。
同じ葉のリーフマイナーと虫こぶは無関係です。
大きさの比較対象として手の指を写し込みましたが、虫こぶの直径をきちんと採寸すべきでしたね…。

帰ってから『虫こぶハンドブック』で調べても載っていませんでした。
インターネットで調べるとナラハヒラタマルタマフシと呼ばれタマバチ科の一種(仮称:ナラハヒラタマルタマバチ)が寄生したものらしい。

次に機会があれば、虫こぶを切って中を調べてみたり、形成者が羽化してくるまで飼育してみるつもりです。


【追記】
『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』第3章 井手竜也「虫こぶをつくる寄生バチ:植物食への回帰」によると、
成熟した果実が色づくのは、動物に見つけて食べてもらうことで、種子を遠くへ運んでもらうためだが、虫こぶが呈する赤や黄色の鮮やかな色は警告色の意味があると言われる。(中略)タンニンの渋みと虫こぶの目立つ色を組み合わせることで、タマバチは鳥などが虫こぶを食べないように仕向けているのかもしれない。ところが実際には、鳥が虫こぶをつついて、中の幼虫を食べる光景はしばしば目撃されている。(中略)虫こぶの色がどのような意味を持つのかについては、さらなる研究が必要である。 (p66〜67より引用)
 

2016/12/08

オトコエシを訪花するカラスアゲハ♀の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2016年8月下旬

山間部の道端や斜面に咲いたオトコエシの群落でカラスアゲハ♀(Papilio bianor dehaanii)が訪花していました。
翅を素早く開閉しながら吸蜜しています。
翅表に性標が無いので♀ですね。
右前翅の翅頂および左後翅の尾状突起が欠けているのは野鳥に突かれたビークマークでしょうか。

後半は花から花へ飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:23〜)
スローモーションにして見ると、吸蜜中の羽ばたきは前翅だけであることがはっきりします。

※ 前半のHD動画パートのみ動画編集時に自動色調補正を施しています。


【追記】
何を勘違いしていたのか自分でも分かりませんが、ヒヨドリバナからオトコエシに訂正します。



鳥糞を舐めつつ排尿するルリシジミ♂



2016年8月下旬

峠道の路上で2頭のルリシジミ♂(Celastrina argiolus)およびムネアカオオアリCamponotus obscuripes)のワーカー♀が群がっていました。
ルリシジミが口吻を伸ばして舐めているのは、白っぽい鳥の糞が付着した小石でした。
吸汁しながらときどきルリシジミが透明な液体を排泄しました。


▼関連記事鳥の糞に群がるシホンハマダラミバエとルリシジミ

ムネアカオオアリが集まっている辺りにはおそらく獣糞や死骸があったのだろうと推測しましたが、どうでしょうか。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく






2016/12/07

クサフジの花蜜を吸うクロマルハナバチ♂



2016年8月下旬

農村部の道端に咲いたクサフジの群落でクロマルハナバチ♂(Bombus ignitus)が訪花していました。
カラフルな雄蜂を目にするのは今季初です。
よほど花蜜が豊富なのか、ひとつの花穂に執着して吸蜜を続けています。
雄蜂との組み合わせは初見です。

▼関連記事
クサフジの花で採餌するクロマルハナバチ♀

横の車道を大型トラックが通っても蜂は飛んで逃げませんでした。
時間をかけて全ての花を訪れた後に、ウロウロしたので飛び立つかと期待しました。
ところが歩いて地面に降りたので、ちょっと驚きました。(最後は転がり落ちた?)
なぜか飛び立てないほど弱っているらしく、路上や道端の草むらを徘徊しています。




セスジスカシバ(蛾)飛び立ち前の準備運動と脱糞【ハイスピード動画】



2016年8月下旬・午後

峠道の道端に生えた木苺の葉表にセスジスカシバPennisetia fixseni fixseni)が乗って休んでいました。

240-fpsのハイスピード動画で撮りながら指を近づけると、触れる前に飛び立ちました。
しかし飛翔力が弱くて、横の茂みにもんどりうって落下しました。
現場では擬死落下かと思ったぐらいです。
準備運動しないと緊急避難時にうまく飛べないようです。
(気温を測るべきでしたね。)
身を守る自衛戦略としては、蜂の威を借りるベーツ擬態に依存しているのでしょう。
キイロスズメバチにそっくりです。

今度は下のクズの葉に乗っています。
再び蛾に指を近づけると、準備運動の羽ばたきを開始。
やがて、持ち上げた腹端から白い液状の糞を勢い良く排泄しました(噴射、糞射@2:00)。
離陸直前に少しでも軽量化を図ったのでしょう。
アイドリングの準備運動で充分に体温が上がるとようやく飛び立ちました。
今度はちゃんと飛んで逃げ、行方を見失いました。



2016/12/06

トビ?(野鳥)3羽の空中戦



2016年8月下旬・午前11:44

低い山地の上空を3羽の猛禽類が帆翔しています。
遠いのにこのときは望遠レンズを使えず、姿形で鳥を見分けるのは無理そうです。
しかしピーヒョロロ♪という鳴き声が聞こえるので、トビMilvus migrans)ですかね?
直前に一羽の猛禽類が道端の法面の灌木から飛び立ったのが気になります。(撮り損ね)
一月前にサシバを目撃した地点に近いので、この空域はサシバの縄張りだったりして?

カラスにモビングされてるのかと一瞬思ったのですが、そうではありません。
猛禽類同士で空中戦を繰り広げている光景は初めて見ました。
巣立ったばかりの幼鳥同士で遊んだり空中戦の練習したりしているのか、それとも縄張り争いや子別れなのかな?
サシバの縄張りに侵入したトビをつがいが協力して追い払っているところ?



ニラの花蜜を吸うオオハラナガツチバチ♂



2016年8月下旬

郊外の住宅地の道端に咲いたニラの群落でオオハラナガツチバチ♂(Megacampsomeris grossa matsumurai)が訪花していました。
この組み合わせは初見です。
初めは複数個体がこのニラ群落で訪花していたのに、撮り始めたら逃げてしまいました。






2016/12/05

枯れたハンノキを登り実を甘噛みするゴイサギ幼鳥(野鳥)



2016年8月中旬・午前5:35〜5:57
▼前回の記事
ゴイサギ幼鳥同士の喧嘩と威嚇誇示

早朝の明るさが増してくると、溜池に集結していたゴイサギNycticorax nycticorax)幼鳥群が次々に飛び去ります。
この移動は、朝になって(明るくなって)集団塒の池から自発的に離れて行く行動なのか(離塒)、それともブラインドの陰に隠れている私の存在がバレて逃げ出したのか、一回の観察では判断がつきませんでした。
なんとなく、後者の可能性が高い気がしています。

一斉に飛び立つときにクワックワックワッ♪と小声で鳴くのが警戒声なのかな?(リップシンクロを確認できていないので、ゴイサギではなくカルガモの鳴き声だったりして…。)
近くの湿地帯で立ち枯れしたハンノキの枝に着陸するシーンが撮れました。
ほとんどの個体は更に遠くに飛んで逃げたようです。
ゴイサギ幼鳥は警戒時も擬態姿勢にならず、すぐに飛んで逃げてしまいます。

後半は、ハンノキの枯木に一羽だけ居残った個体に注目します。
ゴイサギの幼鳥に特有な羽根の模様が見事な保護色(カモフラージュ)になっていて、樹上に静止していればまず気づかれないでしょう。
細い枯れ枝上でバランスを保つのに苦労しています。
やがて、枝から枝へ軽くジャンプしながら上へ上へと登り始めました。
高い枝から飛び立つのかと思いきや、ただ辺りをじっと見下ろしています。
枯れたハンノキの実を急に嘴で挟んだ行動が面白かったのですが、目の前の実を軽く甘噛みしただけで採食しませんでした。(@4:13)
幼鳥特有の好奇心から来た行動、あるいは退屈しのぎでしょうか。
軽く羽繕いした後はじっとしています。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。





マリーゴールドを訪花するナミアゲハの羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2016年8月下旬

農村部の道端の花壇に咲いたマリーゴールドの群落でナミアゲハPapilio xuthus)が訪花していました。
花壇を往復して忙しなく飛び回り、初めはなかなか落ち着いて吸蜜してくれません。
ようやく花蜜の豊富な花を見つけると、小刻みに羽ばたきながら吸蜜します。

後半は花から花へ飛び立つ瞬間を狙って羽ばたきを240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@0:55〜3:27)
スローモーションにすると飛翔シーンが優雅で見応えがあります。

▼関連記事
マリーゴールドに訪花するキアゲハの飛翔【ハイスピード動画&HD動画】





2016/12/04

池で喧嘩するアオサギ(野鳥)



2016年8月中旬・午前4:44〜5:00(日の出時刻は午前4:57)

早朝の溜池に集結している水鳥の中でアオサギArdea cinerea jouyi)に注目しました。
動きのある部分を編集でまとめましたが、実際はじっと佇んでいる時間が長かったです。

浅い池の中で生じる小競り合いはゴイサギ幼鳥同士だけではなく、アオサギもときどき周囲の鳥(ゴイサギおよびアオサギ)に喧嘩を売って追い払っています。

▼関連記事
ゴイサギ幼鳥同士の喧嘩と威嚇誇示
互いに適度なパーソナルスペースを確保するための争いなのでしょう。
小競り合いの際は低く下げた頭部の羽根が逆立っています。(威嚇誇示の姿勢?)
羽ばたきながら突進すると、どちらかがすぐ逃げ出して決着がつきます。
一羽のダイサギが池に飛来したときは、近くのゴイサギ幼鳥が慌てて飛び退きました。
連鎖反応で次々と喧嘩になり近くのアオサギが怒ってダイサギに向かって行くと、対決を避けるようにダイサギは慌てて空いてる場所に歩き去りました。
ブラインドの陰から見える範囲で数えると、池には最大で計8羽のアオサギが居ました。
ゴイサギ幼鳥が自分より大きなアオサギに喧嘩を売ることは一度もありませんでした。
カルガモが喧嘩に巻き込まれるシーンも見られませんでした。

たまにアオサギは嘴を水に突き刺していますが、獲物は捕食できていないようです。
この池は水深も浅くてドブ臭い状態です。
水鳥の数が多過ぎて、小魚や水生昆虫などの獲物はほとんど獲り尽くされて残っていない気がします。
(餌場としてこれだけ多数の水鳥を養えるのか疑問です。)
朝の水浴びをしに来た訳でもないですし、池に集まる理由が掴めていません。
コロニー(鷺山)が近くにあるので、この池は顔見知りに朝の挨拶をする社交場なのですかね?






ノリウツギの花に群がるキタテハとコアオハナムグリ



2016年8月下旬

用水路沿いに生えたノリウツギの灌木で多数のコアオハナムグリGametis jucunda)と一頭のキタテハPolygonia c-aureum)夏型が訪花していました。
キタテハは日向でも日陰でも翅を開閉しながら吸蜜しています。
コアオハナムグリとニアミスしても気にしません。
ときどきコアオハナムグリの新たな個体が花に飛来します。



クロマルハナバチの巣穴に侵入するクロスズメバチ♀の謎【HD動画&ハイスピード動画】



クロマルハナバチの巣:定点観察#4



▼前回の記事
帰巣時に迷子になったクロマルハナバチ♀

2016年6月上旬・午後15:03〜15:05

クロマルハナバチBombus ignitus)の巣穴を監視していると、なぜかクロスズメバチの一種♀(種名不詳)が飛来しました。
営巣地周辺のコンクリート壁面(法面補強の土留)で何やら探索飛翔していたクロスズメバチ♀がクロマルハナバチの巣穴に侵入したので、驚きました。
しかし侵入者はすぐに出てきて飛び去りました。
蜂の子(クロマルハナバチの幼虫や蛹)を狩って持ち去った様子はありません。
ところがまたすぐに戻って来て、巣穴を記憶するための定位飛行のような行動を始めました。
巣穴に興味を示して、繰り返し物色しています。


クロスズメバチ♀は一体何が目的なのでしょう?
6月上旬なので、地中営巣性の種類のクロスズメバチ創設女王が営巣地を探索中(穴があったら入りたい)とはさすがに考えにくい気がします。
それとも、巣内に貯食された甘い蜜の匂いに誘われたのですかね? 
マルハナバチの幼虫や蛹を狩って捕食する魂胆なのでしょうか?
Vespula属(クロスズメバチの一種)とは限らず、Dolichovespula属(ホオナガスズメバチの一種)かもしれません。
特に、社会寄生種のヤドリホオナガスズメバチの女王だとすれば、大興奮の発見です。(勝手な妄想)

以前も似たような謎の事例を観察しているので、とても興味深く思いました。


この謎の事件は偶然もう一台のカメラでも撮影していました。
次は240-fpsのハイスピード動画によるリプレイをご覧下さい。(@0:44〜4:25、@4:43〜5:23)
巣に出入りするクロマルハナバチ♀の羽ばたきをハイスピード動画に記録しようと愚直に長撮りを繰り返していたのが役立ちました。

クロスズメバチ♀の羽ばたきに煽られて、巣口から芽生えた雑草の葉が揺れています。
ようやく意を決したように巣口のコケに着陸しました。
羽ばたきながら(いつでも飛び立てるように?)歩いて奥に侵入します。
奥にあるクロマルハナバチの巣に達する前にクロスズメバチ♀は後退(退却)し、飛び去りました。
奥からクロマルハナバチのワーカー♀が出てきて撃退した様子はありません。
巣に出入りするクロマルハナバチのワーカー♀とクロスズメバチがニアミスしたらどうなるのか、非常に興味があります。
クロスズメバチ♀は定位飛行で巣穴の場所を記憶して、また戻って来るつもりのようです。
案の定、クロスズメバチ♀はしつこく再訪し、巣穴に興味を持って調べています。

この間、巣内からクロマルハナバチのワーカー♀が出てきて侵入者を勇敢に撃退したり威嚇したりすることは一度もありませんでした。
この時期は未だワーカーの個体数が少なくて、コロニーを防衛する要員が居ないのですかね?
クロマルハナバチ創設女王は身の安全を最優先して籠城する(巣内で身を潜めている)のは理解できます。
スズメバチと1対1で戦っても勝ち目は無いでしょう。
マルハナバチがニホンミツバチのような蜂球作戦でスズメバチと戦いコロニーを死守するという話は聞いたことがありません。

そもそも、スズメバチがマルハナバチの巣を襲撃して蜂の子を狩る例があるのかな?

謎の侵入者クロスズメバチが飛び去った直後に帰巣したクロマルハナバチのワーカー♀が興味深い行動を示しました。(@5:23〜)
なぜか入巣せずに飛び去ったのです。
辺りに漂うクロスズメバチの残り香を嫌って慌てて逃げたのか?と想像を逞しくしました。
もし2種が鉢合わせ(蜂合わせ)していたらどうなったのか、非常に興味があります。


このクロスズメバチを同定するために、ありあわせのビニール袋を使って急遽採集しました。
そこまでは良かったのに、せっかく捕獲した蜂をしっかりした容器に移さず、そのまま放置してしまいました。
意気揚々とクロマルハナバチの撮影に戻ったら、クロスズメバチ♀はいつの間にか袋を噛み破って脱出していました。
我ながら間抜けな大失態で、悔やんでも悔やみ切れません…。
謎の侵入者の正体は分からず仕舞いです。

ここまで#1〜4が巣を見つけた観察初日の記録です。

つづく→#5




【追記】
松浦誠『社会性ハチの不思議な社会』で集団攻撃法を比較行動学的に論じた章を読むと、
 マルハナバチの反撃法は、やや消極的である。それは、巣にいたる坑道上や、巣の上で仰向けになって、毒針をちらちらさせるという、変わったやり方である。しかし、熱帯では、巣外に飛びだしてきて攻撃する種も多いといわれているので、巣をねらう天敵しだいで、攻撃性も変わってくるのかもしれない。 (p236より引用)
私は未だ見たことがないので、いつか観察してみたいものです。

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