2012/04/07

巣穴から木屑を捨てるゴジュウカラ【野鳥】



ゴジュウカラ巣穴の定点観察記2
2012年3月下旬


朽木を5日後に再訪すると、ゴジュウカラSitta europaea)が同じ巣穴に出入りしていました。
巣穴の中を掃除/掘削しては木屑を外に捨てているようです。
ここで本格的に営巣すると決めたのでしょうか。
まるで鳩時計のように規則正しく入り口に顔を出しては嘴に咥えた木屑を外に捨てています。
中のゴミを拾い集めているのかと思いきや、自らも巣穴の壁面を嘴で突ついたり毟り取ったりした木屑を捨てています。

やがてつがいのもう一羽が飛来し(@5:35)、作業を交代したようです。
このとき細長い木片(樹皮?)のような物を咥えて入巣したのが不思議です。
巣材を運び入れているのだろうか。
ところが持ち込んだ木片を咥えて何度も入り口に顔を出すものの、飛び出すのを躊躇しているようです。
ようやく木片を咥えて飛びたち、すぐに空荷で帰巣しました。
(個体識別できていないので、帰巣したのは別個体である可能性もあります。)
求愛給餌とも違うようですし、一体何がしたかったのやら謎です。


小雪がちらつく中、離れた位置のカラマツの大木をブラインド代わりに隠し撮りしました。
しかし、どうも次第にゴジュウカラが私の存在を警戒し始めたような気がします。
次回はブラインドに工夫してみます。

(つづく→その3


2012/04/06

ルリビタキ♀がウルシの実を採食【冬の野鳥】



2012年3月下旬


雪の残る低山でゴジュウカラの定点観察を終えて帰り支度をしていたら、一羽の見慣れない野鳥が近くにやって来ました。



帰ってから野鳥図鑑をめくって調べても、なかなか正体が分かりません。
シロハラにしては変かな?と迷った挙句、ようやくルリビタキTarsiger cyanurus)の♀タイプと判明。
コンパクト図鑑にはルリビタキの派手な♂の写真しか載っていないというのは問題です(地味な♀も載せてくれないと!)。


『鳥のおもしろ私生活』p180によると、
この鳥は警戒心も弱くて愛らしいし、冬枯れの林道脇の身近な存在だ。 ♂が青くなるのに約2年かかるらしい。若い♂は♀と同じような色のまま繁殖する。♀や若鳥は尾だけが青い。



林道沿いに生えたヤマウルシの実を啄んでいます。
少し飛んで移動すると、 アカマツ・カラマツ混合林の林床に生えたウルシ幼木の枝に止まりました。
垂れ下がった小枝に鈴なりになっている白い実を一粒ずつ採食しています。
啄む際は枝に一瞬ぶら下がる姿勢になったりホバリングしながら採食することもあります。
小鳥にしては余り警戒しないようで何度もカメラ目線をくれました。
小雪がちらつく中、ときどき寒風に煽られ羽毛が逆立ちます。



食事が済むと、一瞬雪面に降りてから隣の木の枝に飛んで移動。
尾羽を小刻みに上下しながら顔はキョロキョロ。
長い休息の末にようやく飛び立ちました。

後半3:50-の映像は食後に木の枝に止まっているだけなので、お急ぎの方はスキップして頂いて結構です。
枝に止まったまま脱糞しました(@5:41)。



樹種を同定するため、撮影後に実の付いた枝を採集しました。
ウルシかヌルデの仲間(ウルシ科)だと思うのですが、夏になったら葉の形で見分けられるはずです。


【追記】
葉の形からヌルデは除外できました。
ヤマウルシだと思います。

上田恵介 編『種子散布 助けあいの進化論〈1〉鳥が運ぶ種子』によると、
ウルシ属の仲間は、種子の表面が脂肪を主成分とした蠟物質で覆われており、比較的多くの鳥に採餌される雌雄異株の樹木である。 (p57より引用)




2012/04/05

キボシアシナガバチ新女王の日光浴と身繕い、徘徊



2011年11月上旬

神社境内の板壁で見つけたキボシアシナガバチ♀。
時期的にワーカーではなくコロニー解散後の新女王だと思いますが、私には見分けられません。
日光浴しながら身繕いしています。
やがて歩き回り始めました。
新女王だとしたら、越冬地を探しているのだろうか?
少なくとも2匹いました。


撮影後に一時捕獲して持ち帰り、ハチミツを与えてみました。
つづく→「蜂蜜を舐めるキボシアシナガバチ新女王

2012/04/04

朽木の巣穴に出入りするゴジュウカラ【野鳥】



ゴジュウカラ巣穴の定点観察記1

2012年3月中旬

未だ雪が残る低山で、細長い朽木の上部にキツツキが開けたと思われる穴に出入りしている鳥を発見。
ゴジュウカラSitta europaeaは初見になります♪
2羽が出入りしているので、こんな早春からつがいで営巣中なのだろうか。
この朽木は下部の二股に残る樹皮および周囲の森の環境からアカマツだと思います。

動画とは別に撮った写真を見直すと、シジュウカラParus minorが同じ巣穴を覗き込んで物色しているピンボケ写真が一枚だけ撮れていました。
繁殖期を前に、種間で営巣地の争奪戦があるのかもしれません。




どの野鳥が勝ち取るにしても、これから本格的に巣作りを始めるのなら定点観察してみたいものです。

(つづく→その2


【追記】
有澤浩『北の樹海の博物誌――富良野の森に生命(いのち)のドラマを見る(22世紀アート)』という名著によると、
 ゴジュウカラは樹洞営巣性の鳥だが、自らは巣穴を掘れず、自然にあるうろやキツツキ類の古巣などを利用して繁殖する。しかし、なんらかの理由で営巣場所が見つからないと、やむなく他の鳥の使用中の巣の横取りをたくらむことになる。




2012/04/03

コカマキリ♀bの卵鞘作り



コカマキリの飼育記録

2011年11月中旬・室温20℃

夜にふと気づくと、コカマキリ♀bが産卵していました。
飼育容器はDVDスピンドル容器をリサイクルしたもので、止り木として割り箸を斜めに入れてあります。
今回で5個目の卵鞘は割り箸の下面に産みつけられていました。
前回の産卵から13日後になります。
ちなみに、この♀は飼っていたコカマキリの中で最後まで生き残った長寿かつ多産の個体です。
容器の蓋を開けてもコカマキリ♀bは無我の境地で泡立て作業を続けます。
インターバル撮影(微速度撮影)の準備が間に合わなかったので、今回は通常のマクロ動画で記録してみました。


産卵の♀は口髭が活発に動いています。
頭が容器の底に付いてしまい窮屈そう。
なぜもっと上の場所から産み始めなかったのか不思議。
体を横に「く」の字に曲げてなんとか凌いでいるものの、首を寝違えないか心配になります。
♀はこれより下に行きたくても移動できないので、今回の卵鞘は全体の造型が寸足らずになってしまいました。
一仕事終えた♀はようやく窮屈な姿勢から開放され、満足気に身繕い。
産卵後のコカマキリ♀は腹端に白い付着物があるので、野外でもすぐ見分けられます。



2012/04/02

野菜屑を採食するムクドリの群れと喧嘩(突つき順位)【野鳥】



2012年3月中旬

生ゴミから堆肥を作るコンポストの方からムクドリSturnus cineraceus)が騒ぐ声がします。
堆肥の上に積もった雪が溶けた所から野菜屑を失敬しに3~4羽の群れでやって来たようです。
「掃き溜めに鶴」、ならぬ「掃き溜めに椋鳥」ですね。

2羽が同時に採食しようとすると、激しく鳴きながら小競り合いの喧嘩になります。
飛び立っても近くの木の枝に一時的に退避するだけで、どうやら見下ろしながら順番待ちをしているようです。
野菜屑の何を啄んでいるのかは不明ですが、嘴の先が濡れています。
様子を見ていると大体いつも同じ場所から採食しています。
野菜屑なら何でも良いという訳ではなく、選り好みがあるようです。
入れ替わり立ち替わり餌場にやって来るムクドリ同士が場所取りの喧嘩になるのはそのためです。

3羽の関係性が撮れたシーン(2:02~5:13)が特に興味深いです。
小さな群れでも典型的な突つきの順位(pecking order)があるようです。
初めは2羽αβが野菜屑を採食しています。
一羽βは食べるのを止め、キョロキョロしながら辺りを徘徊。
途中からもう一羽γがやって来るも、βに軽く追い払われました。
初めの一羽αが満足したのか飛び去ると、二羽が残りました。
βは待ってましたとばかりに、それまでαが啄んでいた野菜屑を食べ始めます。
先客のβが近づいてくる新参のγを攻撃するも、ひらりとかわします。
この間、鳴き声を発せず。
βが飛び去るとγだけ居残って採食を続けます。

最後のシーン(6:10~)では、食事を終えた一羽が飛び立つと入れ替わりで二羽が降り立ちました。
このペアにはつつき順位が無いのか(同格?)、仲良く並んで啄んでいます。


手元の図鑑『山渓フィールドブックス4:野鳥』p366によると、

「(ムクドリは)顔の白い部分は個体差が大きく、♂の成鳥ではくっきり白いが、若鳥ではぼんやりしている。」
とのことなので、顔馴染みになれば個体識別が可能になり、もっと興味深い力関係が明かになるかもしれません。



2012/04/01

エンマコオロギ劣位♂の奇行(巣穴掘り?)



2011年9月下旬

エンマコオロギの飼育記録

野外で採集してきたエンマコオロギTeleogryllus emma)の成虫♀♂1匹ずつのペアを同居させています。
そこに♂をもう一匹追加すると、♀を巡って♂同士の喧嘩が絶えません。
2匹の♂には体長差があり、大柄な♂が先住者です。
小柄な♂には個体識別のため胸背に油性ペンで白点を描いてあります。
体格で劣るβ♂(白)は喧嘩でいつもα♂(無印)に負け、逃げ回ってばかりいます。

そんなある日、β♂の奇行に気づきました。
容器の隅で地面の小石を一個ずつ口で咥えては横に運んでいるのです。
穴を掘って隠れようとしているのだろうか(穴があったら入りたい)?
どうもストレスによる異常行動のような気がします。
β♂が少しでも求愛歌を鳴いたり♀に近づくだけでもα♂の逆鱗に触れ、威嚇の鳴き声を発しながらβ♂白を激しく追い回しています。

※ 撮影のため容器内の隠れ家を取り除いてあります。
コオロギの飼育(特に♀の産卵)のためにはこんな小石だらけの土を入れるのは良くないですね。


【追記】
『ファーブル写真昆虫記10野原のバイオリンひき:コオロギ・バッタのなかま』p2より
コオロギは、気に入った場所をみつけると、入り口から奥の部屋まで、全部自分一人で掘っていきます。(中略)昆虫の世界で成虫が、自分のためのすみかをもっている、ということは、とてもめずらしいことです。
同書p9によると、
巣穴をほりはじめるのは、10月の終わり、秋風の中に、初めての寒さが感じられるような頃です。(中略)巣穴を掘る作業は、とてもかんたんです。まず、前脚で土を引っ掻いて、穴を掘り始めます。土の塊は、大顎のはさみをつかって、引き出します。

という訳で、どうやら別に飼育下の異常な行動でも奇行でもなかったようです。
知らなかったなー。
ただし、ファーブルが観察したのはオウシュウクロコオロギという種類で日本産コオロギとは生活史が異なるらしいです。
秋の終りに死んでしまうエンマコオロギにとって、巣穴は隠れ家の役目しか果たしません。(中略)エンマコオロギは、必ずしも自分で巣穴を掘らず、自然の穴を利用したり、石の下や枯葉の重なったその下などに隠れています。(同書p42より)



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