2023/08/26

深い雪に埋もれた渓谷を夜にラッセルして渡るニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年2月上旬〜中旬

里山を流れる沢の水の侵食作用により、V字状の深い渓谷が形成された場所があります。
両岸の険しい崖を野生のニホンカモシカCapricornis crispus)が登り降りして沢を渡り縄張りを行き来していることが、夏は地面に残る蹄の跡から読み取れます。 
雪が積もった冬も渡河したカモシカの足跡が雪面に残ります。 
「義経の鵯越の逆落し」のような光景が繰り広げられているようです。
この険しい崖を登り降りして渓谷を渡る野生動物を動画で記録したいという構想をずっと温めていたのですが、現場はトレイルカメラを非常に設置しにくい場所でした。(草木がわんさか生い茂る夏は特に) 
雪に埋もれた渓谷の対岸は少し遠いので、暗視カメラの赤外線が届かないかもしれないと思いましたが、駄目元でやってみると、意外にもちゃんとした映像が撮れて大満足。 

冒頭のシーン(2/8夜)で対岸の雪面に写っている足跡は、前日にスノーシューを履いて渓谷を渡った私の足跡です。 
その手前にクレバスのように見える黒い地形が深い渓谷で、画面の左上から右下に向かって沢が流れています。 
積雪期に対岸に渡ろうとしたら、切り立った崖から飛び降りてから、雪深い急斜面を登り直す必要があります。 
雪質は凍っていないフカフカの深雪なので、アイスクライミングのようなスキルは不要です。
私の場合は履いていたスノーシューを脱いで壺足のキックステップで崖を登り降りできました。 
(クレバスや雪庇、雪崩など雪山の危険性について知識のない人は真似しないでください。)
 一夜明けた昼間の映像では、新雪で私の足跡がほとんど掻き消されていました。 

本題は(@0:20〜)からです。 
いよいよ夜行性のニホンカモシカが現れました。 
対岸の雪原をラッセルしながら渓谷に来た跡が暗視映像でもくっきり見えます。 
残念ながらトレイルカメラの起動が遅れ、クレバス(沢)を渡る様子は撮れていませんでした。 
雪国の野生動物は厚い皮下脂肪と体毛で断熱性が高く、体温が体表に達しなくてセンサーが感知しにくいのかもしれません。 
サーモグラフィカメラで撮れば確かめられるはずです。 

渓谷沿いの急斜面をラッセルしながら斜めに登って来ます。 
登り切ったカモシカが右下隅にちらっと写りました。 

残りは同じトレイルカメラが記録したおまけの定点映像です。 
激しい風揺れや吹雪、落雪によって頻繁に誤作動してしまうのです。 
これでも低山なのですけど、雪山の変わりやすい天候や雪景色をお楽しみください。 
崖の上に立つスギ大木にカメラを固定したところ、常緑の枝葉に降り積もった雪の塊がときどきドサッと落ちる瞬間が何度も記録されていました。 




 
↑【おまけの動画】 
カモシカの登場シーンだけを抜粋した短い動画をブログ限定で公開しておきます。



雪深い河畔林でニセアカシアの枝をつついて虫を探すエナガの群れ【冬の野鳥:トレイルカメラ】

 

2023年2月上旬・午後15:35頃・くもり・気温4℃ 

雪深い河畔林でニセアカシア(別名ハリエンジュ)大木の下にある溜め糞場bLを監視するカメラにエナガAegithalos caudatus)の群れが写りました。 
ニセアカシアの枝に生えた鋭い棘を全く気にせずに、少なくとも2羽以上の群れが枝から枝へ忙しなく飛び回っています。 
落葉したニセアカシア灌木の細い幹や巻き付いた細い蔓に止まり、樹皮を嘴でつついています。 
越冬中の小さな虫をちまちまと捕食しているのでしょう。 
ときどき群れ内で鳴き交わす声も聞こえます。 

夏なら溜め糞に集まる様々な食糞性昆虫を捕食しようと野鳥が集まってくるのですが、寒い厳冬期に虫は活動していませんし、しかもこの日は積もった雪の下に溜め糞が埋もれていました。 

※ エナガの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
しかし、近くを流れる川の音もうるさくなってしまいました。 


関連記事(3、10年前の撮影)▶ 

2023/08/25

厳冬期の深夜に河畔林を駆け回る雪国のホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年1月下旬 
雪深い河畔林でニセアカシア(別名ハリエンジュ)高木の下にある溜め糞場bLを自動撮影カメラで見張っていると、冬毛のホンドテンMartes melampus melampus)が2夜連続で来ました。


シーン1:1/22・午後23:16・気温-7℃(この地点で最低気温を更新)・(@0:00〜) 
河畔林の雪原は新雪に覆われ、前日の朝に来たキツネの足跡はほとんど埋もれています。 
深夜に右上からテンが前後の足を揃えて尺取り虫が飛び跳ねるようにやって来ました。 
右下の死角(ニセアカシアの根元)に立ち寄ってから、右へ忙しなく走り去りました。 
ニセアカシア大木の根元に素早く排尿マーキングしたのかな?と勝手に想像したものの、別アングルから撮らないとしっかり突き止められません。 
しかし、この現場はトレイルカメラを固定できるしっかりした太い立木が他に生えて無いので困ります。
細い灌木に設置すると、風揺れによる誤作動が頻発します。


シーン2:1/23・午後23:31・気温-1℃・(@0:12〜)
ほぼ24時間後(晴れた深夜)にトレイルカメラが起動すると、前夜のテンが残した足跡が雪面にそのままでした。 
右下から来たホンドテンが立ち止まって雪面の匂いを嗅いでから、右へ駆け去りました。 
雪の下に野ネズミの気配を感じたのかな?

関連記事(18日前に別地点で撮影)▶ 深雪に潜って獲物を探す冬毛のホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】

短い登場シーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:19〜) 
雪の下に埋もれた溜め糞bLには2日とも全く興味を示しませんでした。 

つづく→

新雪を食べ歩く雪国のハシボソガラス(冬の野鳥)

 

2023年1月下旬・午後14:25頃・くもり 

山麓の農村部で深い雪に埋もれた畑を1羽のハシボソガラスCorvus corone)が歩き回っていました。 
雪面はサラサラの新雪で柔らかそうです。 
カラスの嘴に雪が付着していたので注目(ズームイン)すると、雪原のあちこちで嘴を突っ込んで雪を食べていました。 
ときどき顔を激しく振って、嘴に付いた粉雪を振り落とします。 
運動会の飴食い競争を連想しました。 

あるいは、雪の下に貯食した食料を探しているのかな?と想像したものの、私に見られていることに気づいているカラスは警戒して貯食物には近づかないでしょう。 
こんな特徴のない雪原の真ん中にカラスは餌を埋めて隠さない気がします。
貯食するのなら、何か目印のある分かりやすい場所を選ぶはずです。




最後は雪を蹴立てて飛び立つと、低空で奥の防風林へ飛び去りました。 
除雪の成果もあり、車道には雪が全くありません。 

ハシボソガラスが嘴で新雪を素早くかき分ける行動および雪原から飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:40〜)

2023/08/24

中州横の雪深い河畔林で排便の前後にクゥーン♪と鳴くホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

2023年1月中旬 

川沿いの河畔林でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場を2箇所(bL、rv)見つけたので、今度は上流に向かって雪原の足跡を辿ってみました。
ニセアカシア灌木林を通って中州の横に出た地点で、新しい溜め糞場wnを発見。 
冬にしては大きな糞塊が雪面に残されていました。 
同じ左岸の上流から下流に向かって数百m間隔でwn➔rv➔bLの順で3つの溜め糞場が見つかったことになります。
こうやって雪原の足跡を辿って芋づる式に溜め糞場を見つけられるのは、雪国の特権かもしれません。
 
雪原に残る足跡と糞塊
15cm定規を並べて置く
糞の一つに大量の輪ゴムの束と緑色のビニール片が含まれていました。 
ヒトの残飯を漁る際に包装など消化できないゴミ(緑は寿司パックのバラン?)も一緒に誤食してしまったのでしょう。 
野生動物がプラスチックごみを誤食してしまう問題は深刻です。 




溜め糞場wnを監視するために、近くの川岸に立つオニグルミの幹にトレイルカメラを設置することにしました。 
昼間の河原は吹きさらしで強風による誤作動が多いので、夜間のみ監視するようにタイマー設定しました。(午後17:00〜午前6:00)

 

2023年1月中旬〜下旬 

シーン1:1/23・午後19:50・(@0:00〜) 

晴れた晩にタヌキが登場。 
古い足跡は新雪でほぼ埋もれていました。 
右から来たタヌキaが溜め糞場wnの雪面(サラサラの乾雪)を前足で浅く掘っていました。 
掘った穴に跨って排便を始めると、その後ろからペアのパートナーbが現れました。 
背後でおとなしくトイレの順番を待っています。 
脱糞の最後に尻尾を上下して糞切りしている際に、クゥーン♪と鳴き声が小さく聞こえましたが、どちらの個体が鳴いたのか不明です。(@0:19〜) 
先客のaが左下へ歩き去ると、新雪の雪原にはタヌキに特徴的な2列の足跡が残ります。 

後続の個体bはaが排泄したばかりの新鮮な糞の匂いを嗅いでから、溜め糞場wnに跨りました。 
このときにまたクゥーン♪(またはヒューン♪)と小声で鳴きました。(@0:34〜) 
ところが、便意を催さなかったのか便秘気味なのか、結局は排便せずに左へ歩き去りました。 

急にガリガリ♪と大きな物音がしたのは、先行する個体aがカメラを固定したオニグルミの幹を引っ掻いたのかもしれません。(@0:40〜) 
ちなみに、画面の左で落葉した藪から多数ぶら下がっているのは、クズの豆果です。 


シーン2:1/24・午後18:54・(@0:51〜) 
翌日の晴れた晩にもタヌキが登場。 
古い足跡は新雪に埋もれて消えていました。 
左から右へ、新雪の雪原を足早に歩き去りました。 
溜め糞場wnで立ち止まって匂いを嗅いだりせずに素通りしました。 


シーン3:1/20・午後23:19・(@0:59〜) 
動画を披露する順番が前後してしまいましたが、トレイルカメラを設置した当日の深夜にも実はホンドタヌキが来ていました。 
吹雪が降っているせいでレンズに雪が付着してしまい、画面の下半分が曇っています。 
画面の右上に現れた光る白い目が1つから2つになりました。 
昼間に私が歩き回った巨大な足跡を警戒しているようです。 
ようやく安全を確かめると、溜め糞場wnでしゃがんで排便開始。 
残念ながら、無念の尻切れトンボで録画は終わりました。 


シーン4:1/20・午後23:19・(@1:54〜) 
20分後にカメラが再び起動すると、吹雪がほぼ止んで、画面がクリアになっていました。 
カメラ本体の発熱により、レンズの結露が飛んだのかもしれません。 
タヌキは後ろ向きで(北向き)溜め糞場wnの雪面に排便していました。 
脱糞直後にクゥーン♪という鳴き声が聞こえました。(@2:05〜) 
最後は画面の奥のニセアカシア河畔林に立ち去りました。 




あちこちの溜め糞場に設置したトレイルカメラでタヌキの鳴き声が録音できるようになったのは、真冬になってからのことです。 
他の季節には全く鳴き声を聞いたことがなかったので、繁殖期の始まりと関わりがあるのでしょうか? 
食糧事情の厳しい厳冬期には便秘気味となり、排便がつらくて悲鳴を上げている可能性もありそうです。


※ 一部は動画編集時に自動色調補正を施し、音量を正規化して音量を上げています。 
演出のため順番を入れ替えました。 
視聴者の離脱防止の為、引きのある動画を先に見せています。 



ヤブガラシに訪花中のコクロアナバチ?が小競り合い

 

2022年7月上旬・午後13:10頃・晴れ 

民家の裏庭に蔓延るヤブガラシのマント群落で黒い狩蜂が訪花していました。 
1匹目の個体aが吸蜜している間に、別個体bが左から飛来しました。 
先客aにちょっかいをかけたものの、激しく攻撃したり蜜源植物から追い払う行動は見られませんでした。 
bも近くの花序に着陸。
aが先に飛び立つと、追いかけるようにbも飛び去りました。 
思わせぶりな小競り合いを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:13〜) 
クロアナバチの仲間ですかね?(コクロアナバチかな?) 
以前は狩蜂の観察がマイブームだったのですが、細かい識別点などをすっかり忘れてしまいました。 

顔が白い蜂は雄蜂♂というのが多くの種類で当てはまる経験則です。
しかしクロアナバチの仲間では♀も♂も顔が白く、その方法では性別を見分けられません。 (しかも映像を見直すと、顔がそれほど真っ白ではありません。) 
この映像に登場する蜂の性別を外見で見分けられる方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください。 
行動からなんとなく2匹とも雄蜂♂ではないか?と思うのですが、どうでしょう? 
探雌飛翔してきた♂bが訪花中の♂aに誤認求愛しかけた、という解釈です。 
もし2匹とも♀なら、蜜源植物をめぐる縄張り争いになります。 
喧嘩するぐらいなら、ちょっと離れたところにいくらでも花が咲いているのに…と素人目には思ってしまいます。 
もし2匹が♀♂なら、♂はすかさず♀に交尾を挑んだはずですが、見失ってしまいました。 

身近なフィールドで狩蜂の数がめっきり減ったせいで、じっくり観察できなくなってしまいました。 

2023/08/23

厳冬期のスギ林道で新雪をかきわけて歩くニホンカモシカが立ち止まってカメラ目線【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年1月下旬・午前2:45・気温-8℃(最低気温を更新) 

極寒の深夜に里山のスギ林道をニホンカモシカCapricornis crispus)が降り積もった新雪をかき分けながら右からやって来ました。 
その体温に反応してトレイルカメラが起動すると、カモシカは驚いて立ち止まり、片足を持ち上げたままカメラを不思議そうに見つめています。 
林道上の積雪が増すとカメラの位置が相対的に下がり、往来する野生動物の目線に近くなる結果、どうしても気づかれやすくなってしまいます。 
雪山に設置する場合、積雪期はカメラの固定位置を少しずつ上にずらした方が良さそうです。 
前年(2022年の冬)にはトレイルカメラが雪に完全に埋もれてしまいました。 
赤外線を照明とする暗視カメラは野生動物に気づかれずに隠し撮りできるとの触れ込みですけど、どうやらカメラが発するかすかな物音(電子ノイズ?)や赤く光る赤外線LEDでバレてしまうようです。 

警戒を解くと、カモシカはそのまま左に歩き去りました。 
今回は眼下腺を立木に擦り付けるマーキングをしませんでした。
カモシカの蹄はサラサラの新雪にそれほど深く潜っておらず、ラッセルに苦労している様子はありませんでした。 

野生動物にとって餌が乏しいはずのスギ林に真冬でもどうして様々な野生動物が頻繁に往来するのか、考えてみると不思議です。 
餌場とねぐらを結ぶ通り道として、スギ林道は積雪期でも歩きやすいのでしょう。 
激しい風雪を凌げるシェルターとしてスギ林を使っているのかもしれません。 

豪雪地帯の雪山でも鬱蒼と育ったスギ林の林床は微気象が安定しています(強風が遮られて吹き込まない:防風林)。 
積雪のほとんどは常緑の枝葉で一旦受け止められるために、林床の積雪量はあまり多くないのです。 
これを専門用語で森の樹冠遮断作用と呼ぶそうです。
雨についてよく調べられているのですが、降ってきた雨が樹冠の葉に当たって跳ね返ると、一部はそのまま(霧となって)蒸発するために、林床に届く降雨量がオープンフィールドよりも少なくなるのです。
葉の茂った木の下で雨宿りする理由がこれです。
雪の場合は、樹冠の枝葉に積もった雪は林床に落ちる(落雪)前にその一部が昇華蒸発するのだそうです。

スギ樹上からときどき一気に落雪した後は雪面がガリガリに固く凍り、歩いても足があまり深く潜りません。(雪原を闇雲にラッセルするよりも体力の消耗が遥かに少ない) 
山スキーやスノーシューを履いて雪山を実際に歩いてみれば、このことが実感できます。
もしも厳冬期の低山で迷って遭難した場合、とりあえずスギ植林地を目指すのも有効なサバイバルかもしれません。

雪崩が発生しても、巻き込まれる心配は(ほとんど)ありません。 
雪崩の多発地帯に杉を植林することはないからです。
仮に強引に植林したとしても、杉の苗が大きく育つまでに雪崩でなぎ倒されてしまうでしょう。
雪山サバイバルの定石に従って、深雪が積もった地点で雪洞を掘るとしたら、逆にスギ林から離れないといけません。 



雪国の川で寒中水浴するヒヨドリの群れ【冬の野鳥:FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年1月下旬・午前11:40頃・くもり 

スノーシューを履いて川沿いの雪原を散策していると、対岸でヒヨドリHypsipetes amaurotis)の群れがやかましく鳴き交わしています。 
雪をかぶった岸辺の落葉灌木に集まり、私を警戒しながらも徐々に下へ下へ降りていきます。 
きっとこれから川面で水浴びを始めるだろうと予感があったので、動画を撮り続けます。 
近くで除雪作業しているブルドーザーが後退(バック)する度に発する警報ブザーがピーピー♪うるさくて興醒めです…。
 
1羽の個体が細い止まり木から川の中へポトリと脱糞しました(@0:35〜)。 
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
直後に等倍速でリプレイ。 
普段見慣れた尿酸混じりの白っぽい液状便ではなく、黒っぽい固形の糞でした。 

やがて私の予想通り、ヒヨドリたちは冷たい川で寒中水浴を始めました。 
川岸の浅瀬に飛び込んで素早く行水すると、すぐに止まり木へ戻り、水気を切ります。 
ヒヨドリに特有の一連の短い水浴行動を何度も繰り返します。 
冬は水温が冷たいから1回の水浴時間が短い訳ではなくて、どの季節でもヒヨドリはこうなのです。 


関連記事(1、2、5、9年前の撮影)▶  


冬の川で激しく水飛沫を立てるヒヨドリの水浴シーンを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:03〜2:42) 
しかし残念ながら水浴は下火となり、ヒヨドリの群れは次々に飛び去ってしまいました。 
もっと早くからハイスピード動画モードに切り替えるべきでしたね。 
水浴の合間に止まり木から脱糞する様子もスーパースローで撮れていました。(@2:25〜) 
脱糞の際に尾羽根を持ち上げてなかったものの、この個体も黒っぽい固形糞を排泄し、川面から水飛沫が上がりました。

雪解け水が流れる川の水温を測りたくても、この日は温度計を持ってきていませんでした。
対岸の河畔林に設置されたトレイルカメラがほぼ同時間帯に記録した気温は5℃でした。  

2023/08/22

雪が降る早朝に河畔林を歩くホンドギツネ【トレイルカメラ】

 

2023年1月下旬・午前6:47・気温-3℃(日の出時刻は午前6:48) 

河畔林でニセアカシア大木の下にある溜め糞場bLを見張っていると、雪が降りしきる早朝のちょうど日の出時刻にホンドギツネVulpes vulpes japonica)が通りかかりました。 
足早に来たので起動が遅れ、キツネの下半身と尻尾しか写っていません。 

タヌキとテンが共有する溜め糞場bLは新雪で埋もれていますが、キツネは全く興味を示さず(立ち止まって匂いを嗅ぐこともなく)に左から右へ横切りました。 
キツネに特徴的な足跡の付き方が雪原に残されています。 
 短い登場シーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 

フェンネルの花蜜を吸うフタモンアシナガバチ♀

 

2022年8月上旬・午後12:40頃・晴れ 

民家の裏庭に咲いたフェンネル(=ウイキョウ)の群落でフタモンアシナガバチPolistes chinensis antennalis)のワーカー♀が訪花していました。 
花から花へ飛び回って吸蜜しています。 



2023/08/21

厳冬期の雪山でスギ林道を駆け抜ける冬毛のホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年1月中旬 

雪深い里山のスギ林道を監視する自動撮影カメラに冬毛のホンドテンMartes melampus melampus)がよく写ります。 

シーン1:1/15・午前0:03・気温2℃・(@0:00〜) 
雪がちらつく深夜にテンが左から走って登場。 
低温でレンズに結露したのか、全体的にぼんやりとくもっています。 
雪面が凍結していると動物は雪道に足が潜らず走りやすいので、どうしてもトレイルカメラの起動が遅れがちになります。
白くて細長い体型の小動物が右に駆け去る後ろ姿と長い尻尾がちらっと写っただけでした。 


シーン2:1/16・午後18:11・気温-3℃・(@0:08〜) 
翌日の晩にもテンが再登場。 
小雪がちらついているものの、結露していたレンズがすっきり晴れ渡りました。 
前夜と同じく、クラストした雪道を左から右へ元気に走り去りました。 
同じルートで縄張りを巡回しているのでしょうか。

ホンドテンの雪道走行シーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:15〜) 
タヌキが持ってきた黒い粘着ビニールテープが林道の雪面に放置されたままなのに、テンは全く興味を示さず素通りしました。



雪国のホンドタヌキが黒い粘着ビニールテープを誤食【トレイルカメラ:暗視映像】タヌキとゴミ問題

 

2023年1月中旬

雪深い里山のスギ林道にある溜め糞場sに通ってくるホンドタヌキNyctereutes viverrinus)をトレイルカメラで監視していると、身近なゴミ問題について考えさせられる事件が起こりました。 


シーン1:1/13・午前0:35・気温2℃ 
深夜に雪道を歩いて来たタヌキが手前の死角に消えてから再び現れ、左に立ち去りました。
凍結した雪面が荒れているのは、スギ樹上からの落雪によって爆撃を受けたようなクレーターが並んでいるからです。 
しばらくすると、左から「フサ尾」のタヌキが戻って来ました。 

黒くて細長い物を口に咥え、引きずっています。 
越冬中のヘビを見つけて捕食したのか?と初め私は驚きました。 
しかし、タヌキが雪を少し掘っただけで見つかるような浅い場所でヘビが冬眠するはずがありません。 
タヌキは林道で立ち止まると、雪面に謎の獲物?を置きました。 
左の前脚で押さえ付けながらヘビ?をクチャクチャと噛み、食い千切って食べ始めました。 
ヘビは変温動物ですから、こんな低温下では逃げることも反撃することもできません。 

次にトレイルカメラが起動したときには、タヌキはなぜか食べかけの黒蛇?を雪上に残したまま、辺りをウロウロしていました。 
最後は雪道を右に立ち去りました。 


シーン2:1/13・午後23:42・気温3℃・(@1:33〜) 
23時間5分後の深夜にタヌキが再登場。 
低温でカメラの起動が遅れ、画面の右端を右に歩き去るタヌキの尻尾がちらっと写っただけでした。(赤い矢印➔に注目) 

前夜に運んできた黒ヘビの死骸?が雪面に残されたままなのに、タヌキはもはや全く興味を示しませんでした。 

さて、この謎の黒くて細長い物体は何だったのでしょう? 
この後、大雪が積もって埋もれてしまいます。 


2023年3月下旬 

春に現場入りすると、スギ林道の残雪の上に黒くて細長い謎の物体が再び現れていました。 
タヌキが放置する様子が動画に写っていた、まさにその地点です。 
ヘビの死骸ではなく、黒い粘着性ビニールテープの切れ端でした。 
このゴミには見覚えがあり、捨てた犯人は私でした。
もちろん私はゴミを意図的にポイ捨てしたりしません。 

15cm定規を並べた写真


言い訳になりますが、自戒を込めて経緯を説明します。 
トレイルカメラを立木に固定する際に、悪戯・盗難防止のためにワイヤーロックを掛けます。
雨水で濡れただけならステンレス製の鍵穴が錆びることはありません。
しかし、鍵穴が凍ってしまうと鍵が差し込めなくなり大変です。
昨年まさにこの現場で起きた苦い経験なのですが、ワイヤーロックの鍵穴に雪が詰まって凍結し、春まで解錠できなくなってしまいました。
現場で鍵穴にお湯をかければ溶けるかもしれませんが、その日の晩にまた凍ってしまうでしょう。

その対策として、今年はまず鍵穴を下に向けて雨や雪が入りにくいようにしました。 
天から降ってくる雨雪だけでなく、樹上から滴り落ちる雪解け水も鍵穴を濡らす原因となります。 
次に粘着性のビニールテープをグルグル巻いて鍵穴を塞ぎます。 


それでも不安な雪山では、更にアルミホイルやビニール袋で鍵全体を覆って完全防水にします。 
これで鍵穴が凍結する恐れはなくなりましたが、毎回解錠する前に厳重なカバー(包装)を剥がすのが少し面倒です。
剥がしたゴミが風に飛ばされないうちに、しっかり拾って持ち帰らないといけません。 
素手ならウェストポーチのポケットのチャックを開けて拾ったゴミを入れる作業をノールックでも簡単にできます。(何回も繰り返し、手慣れた作業です) 
厳冬期は手袋をはめて作業するので、どうしても手先の感覚が鈍くなります。 
ノールックでゴミをポケットに入れたつもりなのに、手元が狂って粘着テープのゴミを知らず知らず落としてしまったようです。 
あるいはウェストポーチのチャックを閉め忘れてゴミを落としてしまったのかもしれません。 

記録を遡ると、私が現場で黒ビニールテープをうっかり捨ててしまった翌日の夜に空腹のタヌキが拾い食いしたことになります。 
ビニールテープに私の体臭がわずかに残っていたのか、匂いで餌と誤認したようです。 

もちろんタヌキがビニールテープ(の切れ端)を食べても消化されませんし、栄養価はありません。 
糞と一緒に正常に排泄されればよいのですが、消化されない大量のプラスチックごみが消化管に詰まってしまったり、ゴミに含まれる有害な化学物質を摂取したりする悪影響が懸念されています。 

タヌキの溜め糞場で糞分析をしたり、解剖で死体の胃内容物調査をしたりすると、ヒトが捨てたゴミをタヌキがよく誤食していることが分かるそうです。
本を読んで知っていましたが、実際に私も後日、河畔林の溜め糞場wnで大量の輪ゴムやビニール片を含んだタヌキの糞を見つけています。(別の記事で写真を公開予定) 
ヒトの生活域に近いところで暮らす個体は餌の多くをヒトの残飯に依存しているために、ゴミを誤食するリスクが高まります。

この事件で反省した私は、ゴミ袋を常に持ち歩くようになりました。
野外で自分が捨てたゴミに限らず、フィールドで見つけたゴミをなるべく拾って帰るようになりました。
実は日本の田舎は、河原も野山も農地もゴミだらけです。
誰かに褒められたくてゴミ拾いを始めた訳ではなくて、野生動物のゴミ誤食問題が深刻だと痛感したからです。
ゴミ問題のせいで野生動物が健康を害して数を減らし、観察できなくなると私も困ります。
フィールドで生き物の写真や動画を撮ると、汚らしいゴミが写り込んでいることが多くて、作品が台無しですし、気が滅入ります。
ゴミ拾いも完璧主義だと疲れて長続きしませんから、やれる範囲で細々と続けていくつもりです。
たとえば金属製の空き缶よりも、プラスチックやビニール製のゴミを優先して拾っています。
プラスチック類は何年放置されても自然に分解されずに残るのが問題です。
誰かが丹念に拾い集めて適切に分別処理しなければ、いつまで経ってもフィールドからプラスチックごみは無くなりません。
大量消費されるプラスチック類を生分解性のものに早く切り替えて欲しいものです。
それから、日本は過剰包装や過剰サービスによるプラスチックごみが深刻です。
最近ストローをプラスチックから紙に切り替えた飲食店の是非が話題になりますが、そもそもボトルやコップ、グラスに口を付けて直接飲めば済むので私はストローを必要としません。
過剰包装を槍玉に上げましたけど、そもそも今回のタヌキ誤食事件は、私がワイヤーロックの鍵穴を(必要に迫られて)過剰包装したことが原因なので、皮肉なものです。




2023/08/20

雪山のスギ林道でトレイルカメラを固定したスギの幹に眼下腺マーキングするようになったニホンカモシカ【暗視映像】

 



2023年1月中旬〜下旬〜2月上旬 

厳冬期に雪深い里山のスギ林道に通うニホンカモシカCapricornis crispus)の記録をまとめました。 

シーン1:1/19・午前3:21・気温-4℃・(@0:00〜) 
未明に左から現れたカモシカが林道を横切り、カメラの方へ近づいてきます。 
画面手前の死角で立ち止まると、何かを擦り付ける物音が聞こえます。(@0:17〜) 
※ 冒頭だけ動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

どうやら、カメラを固定したスギの幹にニホンカモシカが顔を擦り付けて眼下腺マーキングしてるようです。 
(カモシカが死角に消えた間は5倍速の早回し。) 
しばらくすると、画面の下端から再登場したカモシカが林道を右へゆっくり立ち去りました。 
ちなみに、タヌキが持ってきた黒いビニールテープが林道の凍った雪面に残されたままです。

この辺りを縄張りとする複数個体のカモシカがこれまで代わる代わるマーキングしていた道端のスギ落枝が雪の下に完全に埋もれてしまったので、林道を挟んでちょうど反対側に立つスギの幹に眼下腺マーキングする対象物を変更したのです。 
ヒトの登山者が雪山で埋もれた道標を掘り出すように、お気に入りのマーキング用スギ落枝をカモシカが雪の下から掘り出したら面白いのですが、そこまで執着せずに臨機応変に対応しました。
1頭が新たな場所に眼下腺マーキングするようになれば、次に来た個体も匂いで気づき、それに対抗して自分もそこに眼下腺マーキングするようになるのでしょう。 




シーン2:1/21・午後12:39・気温-3℃・(@0:44〜) 
2日後の明るい昼過ぎにカモシカが再登場。 
大雪が積もった後で、林道上に放置された黒いビニールテープは完全に埋もれて見えなくなりました。 
左下手前の死角でスギの幹に眼下腺からの分泌物を擦り付けてマーキングしてる物音♪がかすかに聞こえます。(@0:48〜) 

足跡を見るとカモシカは右から登場したはずなのに、カメラの起動が遅れています。 
気温が氷点下のせいで電池の電圧が低下している上に、カモシカ毛皮の断熱性が高くてセンサーが体温を検知できなかったのでしょうか? 


シーン3:2/2・午前3:37・気温-3℃・(@0:56〜) 
12日後の未明にまたカモシカが現れました。 
雪が降りしきる中、奥の斜面を登ってきたカモシカが林道を渡って手前へ来ました。 
新雪に残るカモシカの足跡は、それほど深くありません。 

積雪量が増すと、トレイルカメラの位置が林道の雪面に対して相対的に低くなります。 
カモシカはトレイルカメラの匂いを嗅ぐと、いつものようにスギの幹にゴリゴリ♪と眼下腺マーキング。 
カメラに近過ぎですけど、なかなか迫力のある映像が撮れました。 
カメラでゴリゴリと角研ぎされたら大変ですが、壊されずに済んでよかったです。


シーン4:2/5・午前6:43・気温-4℃・(@1:34〜) 
 3日後、日の出直後の明るい早朝にカモシカが前回と同じルートで登場。 
(日の出時刻は午前6:37:46。) 
今回もトレイルカメラに興味を示しました。 
顔のアップで見ると、カモシカの睫毛が長いことが分かります。 
カメラに鼻息を吹きかけた際に、口内の下顎の白い歯が一瞬見えました。 
今回はスギの幹に顔を擦り付ける物音がしなかったので、匂いを嗅いだだけで眼下腺マーキングしなかった様子。 

林道を左に立ち去ったのではなく、どうやら法面を登って行ったようです。 
雪道にカモシカの蹄跡が残りました。

後日、逆方向から杉の木を狙うようにトレイルカメラの設置場所を変更し、カモシカの眼下腺マーキング行動をしっかり撮影できるようになりました。(映像公開予定)



跳んで逃げるオオカマキリの幼虫

 

2022年7月下旬・午後12:45頃・晴れ 

低山の細い山道を登っていると、ススキの葉の上にオオカマキリTenodera sinensis)の幼虫が乗っていました。 
左右の鎌を揃えて前に構え、獲物を待ち伏せしているようです。 
武器となる鎌をときどき口で舐め、手入れを怠りません。

横を向いたオオカマキリ幼虫の目線の先を追うと、左隣のススキの葉にいつの間にかトンボが止まっていました。 
アキアカネSympetrum frequens)の未熟♀のようです。 
急に飛び立つと、すぐにまた同じススキの葉に舞い戻りました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、アキアカネ♀は急に上空を見上げてから飛び立っていました。 
上空を飛来した昆虫を狩ろうと緊急発進したようです。 
しかし、着陸したアキアカネ♀は口に獲物を咥えておらず、狩りは失敗だったようです。 
オオカマキリの幼虫はトンボが離着陸する動きに無反応でした。 
獲物としては大き過ぎますし、遠くて鎌が届く射程距離ではありません。 

私がカメラをマクロモードに切り替えてレンズを近づけると、オオカマキリ幼虫は慌ててススキの葉を伝って逃げ、隣の葉へピョンと跳び移りました。 
ススキの葉身をどんどん登り、逃げる場所がなくなりました。 
指でそっと腹端に触れると、驚いたオオカマキリ幼虫は躊躇なく地面に跳び下りました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
カマキリの成虫ならジャンプしながら羽ばたいて、遠くまで飛び去ることが可能です。 
不完全変態のカマキリ幼虫は成虫に体型がそっくりでも翅が未だありません(無翅)。 
カマキリの幼虫は体重が軽いので、高所から落ちても平気です(体にダメージが無い)。 
地上で見失ってしまい、カマキリ幼虫の逃避行動は成功です。 

関連記事(13年前の撮影)▶ オオカマキリ幼虫

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