2019/12/07

エンジュの花で採餌するクマバチ♀の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2019年8月上旬・午後

エンジュの大木で多数のキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)も訪花していました。
マメ科植物に特有の蝶形花に正当訪花を繰り返し、吸蜜していました。
後脚の花粉籠に薄っすらと黄色い花粉団子を付けている個体もいれば、空荷の個体も居ます。

花の盛りは過ぎているようで、クマバチ♀が止まった重みでエンジュの花がポロリと落ちてしまうことがありました。(@1:37)
そんなアクシデントがあってもクマバチ♀はすぐに羽ばたいて空中で姿勢を立て直し、次の花へ向かいます。
まずは1/5倍速のスローモーションでお見せします。(@1:18〜1:57)

クマバチ♀の訪花シーンを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@3:02〜)
吸蜜中は羽ばたきを止めています。

※ 同じエンジュの木に5日間隔で2回通って定点観察した映像をまとめました。


クマバチ♀@エンジュ訪花採餌
クマバチ♀@エンジュ訪花採餌

夕暮れの川瀬で虫を捕り水浴するハクセキレイ♀(野鳥)



2019年8月上旬・午後18:38(日の入り時刻は午後18:48)

夕方の河川敷でハクセキレイ♀(Motacilla alba lugens)が人工池の畔に飛来しました。
いかにもこれから入水して水浴したそうな予感がしたのですが、背後で見ている私に警戒して躊躇しているようです。
少し飛んで川の瀬に並ぶ岩の一つに乗りました。
やがて浅瀬を歩き回りながら岩に付いた川虫を捕食しています。
次に浅瀬で身を屈めると水浴びを始めました(@1:01)。
最後は下流に少し飛んで川岸の岩場に移動しました。
この間、ハクセキレイ♀は鳴いていたかもしれませんが、川瀬の水音がザーザー、ゴーゴーとうるさくて、鳴き声は聞き取れませんでした。


▼関連記事
川岸で水浴するセグロセキレイ♂(野鳥)
川岸で水浴びするヒヨドリとハクセキレイ♂(野鳥)

ハクセキレイ♀(野鳥)@川:瀬

黄変したクズの葉を切り抜くクズハキリバチ♀の謎【ハイスピード動画】



2019年8月上旬・午後

▼前回の記事
葛の葉を切り取るクズハキリバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】
クズハキリバチ♀は巣材を切り取る葉を選り好みする【HD動画&ハイスピード動画】

午後も後半になると、クズの群落でクズハキリバチ♀(Megachile pseudomonticola)が巣材集めに通う頻度が減ってきました。

わざわざ黄色い巣材を持ち帰る個体の存在が気になりました。
おそらく同一個体と思われる黄色好きなクズハキリバチ♀が繰り返し通っていたのですが、私がムキになって粘ってもピンぼけのハイスピード動画(240fps)しか撮れませんでした。
黄色い葉を切り取る決定的瞬間を動画に記録することが出来ていません。

初め私は、何か黄色い花びらを切り取って巣に持ち帰るお洒落な個体がいるのかと想像しました。
しかし辺りを見回してもマツヨイグサなど黄色い花は咲いていませんでした。
近くに生えたニセアカシアを調べると
葉の一部が黄葉していたものの、ハキリバチが切り抜いた形跡は全くありませんでした。
川辺りに繁茂するクズの大群落をよく探すと、上層の葉の陰になって日当たりが悪くなった下層の葉が黄変していました。
その枯れかけたクズの葉の縁にハキリバチがくり抜いた跡が見つかりました。

ただし、葉片を切り抜かれてから日数が経って葉が枯れ始め黄変したという可能性が残ります。
ハキリバチ♀が黄色い葉片をくり抜いている決定的瞬間が撮りにくいのは、蜂が茂みの奥(下層)に潜って作業するからどうしても見失ってしまうのです。
健康な緑色のクズの葉が周囲にはいくらでも生えているのに、どうしてこのクズハキリバチ♀はわざわざ黄変した葉を探し出して巣材を切り抜くのでしょう?

まさかこのクズハキリバチ♀は、巣材となる葉の色を見分けられない色盲の突然変異個体なのかな?
それとも何か合理的な理由があるのでしょうか?
きっと黄変した葉の方が柔らかくて、切ったり曲げたり加工しやすいのかもしれません。
多数の葉片を組み合わせて巣内の育房を作っていると、ある工程では特に柔らかい巣材が必要になってくるのでしょう。



【追記】
クズハキリバチに関する論文をGoogle Scholarで検索すると、全文PDFが無料公開されているものは次の一報だけでした。
片山栄助. "クズハキリバチの営巣習性, 特に育房葉片の加工と接着の状況について." 昆蟲. ニューシリーズ 7.1 (2004): 1-10.
ありがたくダウンロードさせてもらって早速読んでみると、栃木県でコゴメヤナギの樹洞に集団営巣(!)していたクズハキリバチの巣を採集して詳しく調べた結果の報告でした。

葉片源植物の種名について、空洞入り口より下部の巣の一部の葉片で調べた結果、467枚中クズが450枚(96.4%)、ヤマハギが4枚(0.9%)、ムラサキツメクサが3枚(0.6%)、不明種AとBが各1枚(0.2%)、不明種Cが2枚(0.4%)、不明種Dが6枚(1.3%)であった。クズが圧倒的に多かった点で岩田(1941)および須田(1978)の結果と一致している。
黄変した葉を巣材にする事例は記載されていませんでした。


クズ葉(黄変):クズハキリバチ♀巣材集め痕
クズ葉(枯葉):クズハキリバチ♀巣材集め痕

クズ葉(黄変)
クズ葉(黄変)
クズ葉(黄変)
ニセアカシア葉(黄葉)

2019/12/06

用水路内に降りて水を飲み苔を採食するニホンザルの群れ



2019年7月下旬・午前7:33〜8:15


▼前回の記事
野生ニホンザルが深い水路内に落ちて出れなくなった?


シーン1:(@0:00〜)

山麓を流れる用水路内で別個体のニホンザルMacaca fuscata fuscata)がコンクリート壁面下部に生えた緑色の苔(地衣類?)を採食していました。
手で苔や泥を引っ掻いて少しずつ崩し、何か小さいものを指で摘み上げては口に運んでいます。
苔(地衣類?)そのものではなく、中に潜んでいる虫を捕食しているのかもしれません。
採食時の利き手は不明です。(左手→右手と両方使用)


ニホンザル@水路内岸壁+コケ?採食

私が見ていることに気づくと警戒したものの、この個体はパニックには陥りませんでした。
水路の壁面に設置された梯子を身軽に登って水路から脱出しました。
この用水路は深いので、水量が多い時にヒト(特に幼児、児童)が誤って落ちると溺死する悲劇が起きてしまいます。
そのような水難事故を防ぐために、水路に落ちて流されたヒトが自力で脱出できるように梯子や浮きのついた鎖が水路に沿って何箇所も(等間隔で?)設置されています。
野生ニホンザルは誰に教わった訳でもないのに、この梯子を自在に使いこなして水路内に出入りしていました。
水路の両側には落下防止のため(ヒト用に)高いフェンスが設置されているのですが、身軽で身体能力の高いニホンザルにとってはこんなフェンスを乗り越えるのは朝飯前です。

先程、水路内に閉じ込められてパニックになっているように見えた個体も、落ち着きを取り戻せば自力で脱出できるはず(助けは無用)と分かり、安心しました。

誤って水路内に落ちたのではなく、自ら梯子を使って水路の底へ降りて行ったのでしょう。



シーン2:(@0:51〜)

コンクリート岸壁の上端に腰掛けて居た個体が下向きで(頭から先に)梯子を降りて、逆立ちするように水路の底に着きました。
この時期、水路を流れる水量は少なく水深は浅いです。
この個体はまず水面に口を付けて水を飲みました。
続いて水路の底を手で引っ掻いて食べ物を探しているようです。
やがて採食を止めて梯子に戻ると一気に上まで登り、更にフェンスもよじ登ると手摺に並んで座る仲間に合流しました。
躍動する体の毛皮から水飛沫が飛び散っています。
そのまま水路横の木の枝に飛び移ってブランコ遊びを始めました。


シーン3:(@2:25〜)

水路内で計3頭のニホンザルがバラバラで採食?水遊び?していました。
非常用梯子の真下に居た個体が水面に口を付けて水を飲みました。
両手で川底を繰り返し引っ掻いているような仕草は、小さな水棲動物(カニや水生昆虫、小魚、オタマジャクシなど)を捕食しようとしているのでしょうか?
それともヌルヌルした水苔の感触を楽しんでいるのかな?

そこへ別個体が真っ逆さまに梯子を伝って水路内に降りて来ました。
この猿もまずは水面に口を付けて喉の乾きを癒やしました。
しばらく水底を両手でさらって何かを採食すると、仲間同士でふざけ始めました。(水飛沫を跳ね上げながら追いかけっこ)


シーン4:(@3:48〜)

用水路沿いの手摺を歩いてきた個体がフェンスを伝って水路内に降りて行きました。







絶え間ない蝉しぐれに混じって、水路の両側の山林に散開したニホンザルたちが鳴き交わす声もときどき聞こえてきます。
野生ニホンザルが非常用ハシゴを使って水路内に自由に出入りできることを示す決定的な証拠映像が撮れたのは収穫です。
猿は水を全く恐れていませんでした。
ニホンザルの群れが居なくなってから巻き尺で測ると、水路の幅は2.5m、コンクリート岸壁の高さは1.6mでした。

※ 撮影順ではなく、ストーリーを考えて映像素材の時系列を入れ替えています。



セイヨウニンジンボクの花で穿孔盗蜜するクマバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】



2019年8月上旬・午後

民家の裏庭に植栽されたセイヨウニンジンボクで今年もキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。

この組み合わせは既にこのブログで報告済みです。

▼関連記事(1年前の撮影)
セイヨウニンジンボクの花蜜を吸うクマバチ♀の群れ
しかし当時は風が強くてセイヨウニンジンボクの花序が激しく揺れ、虫撮りには悪条件の日でした。
ということで、1年ぶりに同じ場所へ定点観察にやって来ました。
無風で快晴の撮影日和です。

セイヨウニンジンボクの花から花へ忙しなく飛び回るクマバチ♀の腹背は白い花粉で汚れているのに、後脚の花粉籠は空荷でした。
吸蜜シーンをよく見ると正当訪花ではなく、穿孔盗蜜していました!
花筒の根元を外側から噛んで穴を開け、そこから舌を差し込んで蜜腺を舐めているのです。
これは昨年の撮影で全く見落としていた点です。
盗蜜に専念すると、雄しべに触れないので集粉しません。
後脚の花粉籠が空荷なのも納得です。
植物にとっては、せっかく送粉者への報酬として用意した花蜜を盗まれてしまうのは損失になります。

クマバチ♀の盗蜜シーンを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:42〜)

クマバチ♀の複数個体を撮影。
翅の破損具合が異なるので明らかに別個体と分かります。
連日の酷暑のせいか、どうも花の盛りは過ぎてしまったようです。
クマバチが訪花中に萎れかけた花弁がハラハラと舞い散る様子が写っています。
末期の花の雄しべにはもう花粉が残っていないのかもしれません。


花序に残った花が少なくなったおかげで穿孔盗蜜に気づくことが出来ました。
昨年の観察でクマバチ♀の盗蜜に気づかなかったのは、風揺れのせいだけでなく、花盛りで多数の花が花序に密生していて蜂の口元がよく見えなかったからでしょう。
あるいは、クマバチ♀は舌の長さに応じて採餌戦略(正当訪花と穿孔盗蜜)に個体差がある可能性も考えられます。


過去の記事を遡って再検討したところ、雄蜂♂もやはり盗蜜していました。
▼関連記事(別の場所で1年前に撮影)セイヨウニンジンボクの花で盗蜜するクマバチ♂【ハイスピード動画】




出来ればついでにセイヨウニンジンボクの花に残された盗蜜痕をじっくり調べたかったのですが、他人様の庭には勝手に入れないので諦めました。(撮影は公道から)

一方、同じ日に撮ったオオハキリバチ♂は盗蜜せずに正当訪花で吸蜜していました。

▼関連記事
セイヨウニンジンボクの花蜜を吸うオオハキリバチ♂

クマバチ♀@セイヨウニンジンボク訪花採餌(盗蜜?)写真は背側からしか撮れず。
クマバチ♀@セイヨウニンジンボク訪花採餌(盗蜜?)

2019/12/05

野生ニホンザルが深い水路内に落ちて出れなくなった?



2019年7月下旬・午前7:50

山麓を遊動する野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れに私がついて歩くと、水路の中からバシャバシャ、ジャブジャブと水音が聞こえました。
てっきり猿が朝から水浴しているのかと初めは思いました。

▼関連記事(5年前の記事)
湖で泳ぐ野生ニホンザルの群れ

実はこの日に出会った群れの中に体毛がぐっしょり濡れた個体が混じっていて、気になっていました。
山林の朝露で濡れたにしては濡れ過ぎだったのです。

そっと近づいてフェンス越しに覗いてみると、水路内に1頭のニホンザルが閉じ込められていました。
水路沿いを遊動しているうちに誤って水路に落ちてしまったのでしょうか?(水難事故)
私に気づくと警戒してパニックになり、水路から脱出しようと慌ててジャンプを繰り返しています。
しかし、水路の垂直なコンクリート壁は高くて、身体能力の高いニホンザルでもとてもよじ登れません。

実は4年前の夏に、この水路内で得体のしれない動物(哺乳類)の腐乱死体(溺死体?)を見つけたことを思い出し、心配になりました。
死骸は原形を留めないほど腐乱していて、何の野生動物か結局分からず仕舞いでした。
(骨格標本を得るために水路の底に降りて拾いに行く根性も当時の私にはありませんでした。)


ニホンザル?腐乱死体(溺死体?)@水路内

3年前には水路に落ちたサシバという猛禽類を無事に救出しています。

▼関連記事
サシバ♂(野鳥)救出大作戦

水路に落ちて暴れるニホンザルを今度はどうやって救出しようか…と思案したものの、困りました。
幸い水路を流れる水量は少なく水深は浅いので、猿がすぐに溺れる心配はありません。
周囲では他のニホンザルも鳴き騒いでいます。
どうやらこのドジな個体は未だ経験が浅い(若い?)のでしょう。
落ち着いて対処すれば水路から脱出できるのに、私が来たせいでパニックになってしまったようです。


つづく→梯子を降りて用水路内の水を飲み苔を採食するニホンザルの群れ


エンジュの花で採餌するオオハキリバチ♀の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2019年8月上旬

民家の庭木のエンジュオオハキリバチ♀(Megachile sculpturalis)も訪花していました。
腹部下面のスコパに黄色い花粉を付けて忙しなく飛び回っています。
エンジュの枝葉の間に張られたクモの網には引っかかりませんでした。

240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:57〜)
吸蜜中は羽ばたきを止めていますが、花から滑落しても空中ですぐに羽ばたいて姿勢を立て直し、訪花を再開しました。

※ 同じ場所に5日間隔で2回通って複数個体を撮った動画をまとめました。

映像を見直して不安になったのですが、もしかして、クズハキリバチ♀が混じってますかね…?
花粉で汚れているため、見分けるのが難しくなっています。
自信がないので、誤同定があればご指摘願います。
(複数個体の動画をまとめると、こういう問題が起こりがちです。)
労働寄生種のハラアカヤドリハキリバチも同じエンジュの木で訪花していたので(映像公開予定)、寄主であるオオハキリバチがこの辺りに多数生息しているはずです。
つまりオオハキリバチ♀がエンジュの花で採餌していても不思議ではありません。


オオハキリバチ♀:側面@エンジュ訪花採餌
オオハキリバチ♀:背面@エンジュ訪花採餌
オオハキリバチ♀:腹面@エンジュ訪花採餌

2019/12/04

池の落枝で日没後に脱糞するゴイサギ(野鳥)



2019年8月上旬・午後19:11〜19:14(日の入り時刻は午後18:45)

夜行性のゴイサギNycticorax nycticorax)が昼間にいつも休んでいる池の落枝を日が暮れてから見に来ました。
そろそろ昼塒から飛び立ち採餌に出かける時刻です。(離塒)
ゴイサギの不気味な鳴き声がグワッ♪と暗闇に響き渡ります。

池の中に突き刺さっている落枝には2羽のゴイサギが居残っていました。
左側の個体は成鳥のようです。
右側の個体(幼鳥?)が白い液状糞を池に排泄しました。(@0:20)

暗闇ではなく、此岸に設置された街灯(ナトリウムランプ?)の明かりにより、辛うじて見える状態でした。
暗視カメラを使いたくても対岸の落枝には赤外線が届きません。
愛用のカメラ(Panasonic FZ300)を手持ち夜景モードにすれば、ギリギリなんとか動画に撮ることが出来ました。
あとは編集で明るさを増感すればなんとかなります。

対岸で少しずつ近づきながらしつこく撮っている私を警戒してか、右の幼鳥?が落枝から急に飛び上がり、桜(ソメイヨシノ)の枝葉に隠れてしまいました。(@1:06)
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

※ 動画編集時に暗い映像を少し明るくしました。
音声も正規化して音量を強制的に上げています。



キカラスウリの葉に離着陸するクロウリハムシ



2019年8月上旬

マサキの生垣を覆うように繁茂したキカラスウリの群落に
クロウリハムシAulacophora nigripennis)が飛来し、葉に着陸したと思ったらすぐにまた飛び立ちました。
一瞬の離着陸を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
クロウリハムシはウリ科植物の葉を好んで食害するので、キカラスウリの葉に続々と集まってきます。


クロウリハムシ@キカラスウリ葉(別個体。ピントが甘い…)

2019/12/03

杉の枝でブランコ遊びを楽しむニホンザル(白猿を含む群れ)



2019年7月下旬・午前6:00〜7:33

山麓に植林されたスギ(杉)林の林縁で枝が激しく不自然に揺れているのが気になりました。
そっと近づいてみると、早朝から野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが楽しげに遊んでいました。
ターザンごっこ(忍者ごっこ?)をして遊んでいるのは主に若い子猿たちのようで、微笑ましい光景でした。

雑草で覆われた急斜面の土手から林縁のスギの枝に飛びついて木によじ登ります。
樹上で隣のスギの木の枝に跳び移ることもあります。
得意満面で枝にこしかけています。
猿の体重でしなって揺れる横枝から手でぶら下がり、林床に飛び降ります。
横枝から両手を離して足だけで逆さまにぶら下がり、アクロバチックに地面に飛び降りる個体もいました。
再び斜面を少し登り返し、またスギの枝へ身軽に跳びつきます。
急斜面を一気に駆け下りて助走をつけてからスギの枝に飛びつく個体も多くいました。
ニホンザルのとんでもない身体能力に惚れ惚れしますね。

雑木林に比べてスギ林にはニホンザルの採食メニューが乏しく、遊動中にわざわざ立ち寄る用事はないはずです。
撮影した行動は、明らかに遊びとして楽しんでいます。
山から降りてきた群れが杉林へ遊動する必要に迫られた単純な行動(移動手段)ではなく、ニホンザル達はこの一連の遊びを飽かずに繰り返していました。

遊んでいる群れの中には毛皮が白っぽい若い白猿(アルビノ? 白変種?)も1頭混じっていて、とても目立ちます。
アルビノは網膜の色素も薄いために視力が弱いことが多いそうです。
しかし、この白猿が遊んでいる動きは群れの健常個体と全く遜色ありませんでした。
このブランコ遊びは両眼立体視で距離感を掴むのが大切なので、もし視力が悪かったら危なくて出来ないはずです。
ということは、完全なアルビノではなくて白変種なのかもしれません。

遊びという行動は高い知能と生活の余裕がある種にしか発現しません。
野生ニホンザルの空中ブランコを特等席で堪能できて幸せでした。
時が経つのも忘れて夢中で撮った動画をまとめてみました。
ただし時系列順ではなく、動画で説明する演出の都合で順番を少し入れ替えてあります。
猿を見つけた当初は死角が多くてアングルがいまいちだったのですが、警戒されないように少しずつ近づいてようやく撮影できました。
欲を言えば画角のことを考えて私も急斜面を林縁まで降りて猿たちと同じ目線で撮影したいところでした。
ところが、遊んでいる群れに私が同じ高さまで近づこうとするとニホンザルは露骨に警戒して逃げ腰になったので、諦めて斜面の上から望遠レンズで撮影を続けました。

撮影中、近くでハシブトガラスが鳴く声が聞こえました。
カラスも賢いですから、ニホンザルのブランコ遊びを見て学び、そのうち同じ遊びを真似し始めないかな…と期待してしまいます。
ニホンザル@スギ枝ブランコ遊び
ニホンザル@スギ枝ブランコ遊び
ニホンザル@スギ枝ブランコ遊び

↓【おまけの動画】
「Crows Playing Swinging from a Branch」(by NCARalphさん)



クズの花で吸蜜中にクズハキリバチ♀が交尾拒否姿勢?【HD動画&ハイスピード動画】



2019年8月上旬・午後

川辺りに蔓延るクズの群落でクズハキリバチ♀(Megachile pseudomonticola)が訪花していました。
とある花穂の周りをぐるぐる回りながら次々に吸蜜しています。
顔が黒く、腹端が尖っているのが♀の特徴です。
腹部下面のスコパ(花粉刷毛)は見えませんでした。

クズハキリバチにとってクズは巣材(葉)だけでなく食料源(花蜜および花粉)でもあり、密接な共生関係にあります。
クズの側にとってもクズハキリバチは重要な送粉者ですから、報酬に花蜜や葉片を提供しています。

正当訪花で吸蜜するクズハキリバチ♀を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:24〜)
今度は薄い黄色の花粉を付けているスコパが見えました。
吸蜜し終わると少しホバリング(停飛・停空飛翔)してから隣の花に着地します。

そこへ左から顔の白い雄蜂♂が飛来しました。
血眼になって交尾相手を探している探雌飛翔のはずなのに、訪花中の♀になぜか気づかずに通り過ぎました。
(♂はクズハキリバチではない可能性もありますが、たとえ別種でも探雌飛翔中の♂はとりあえず手あたり次第に飛びつくはずです。)
すると吸蜜中の♀は背筋を使って腹部を高々と持ち上げ、海老反り姿勢になりました。
同時に左右の後脚も後ろに突き出しました。
これは交尾拒否のポーズなのかな?
羽化直後に交尾を済ませた♀は、忙しい採餌活動を♂に邪魔(干渉)されたくないのでしょう。
今回は接近する羽音に気づくや否や、セクハラ対策で交尾拒否の姿勢になったと思われます。
ただし、♂の有無に関わらず海老反り姿勢は訪花中によく見られるので、ハキリバチ類の単なる癖なのかもしれません。
例えば、「海老反り姿勢になると舌が長く伸びて花の蜜腺に届くようになる」などの解剖学的な理由がある可能性も考えられます。
次はクズハキリバチ♂が♀に飛びつく瞬間を動画に記録できれば、この問題は解決するはずです。


クズハキリバチ♀@クズ訪花採餌

2019/12/02

イエネコ♂(キジ白)が縄張りに放尿マーキング



2019年7月下旬・午後17:45頃

川沿いの住宅地の道をキジ白のイエネコFelis silvestris catus)が散歩していました。
コンクリートの縁石の上を伝って真っ直ぐに歩いています。
後ろ姿の股間に睾丸があるので、去勢されていない雄猫♂と分かります。
縄張りをパトロールしているようで、立ち止まると生け垣の茂みに放尿マーキングしました。
しばらく歩いてから民家の家庭菜園を囲む防鳥ネットの匂いを嗅ぎ、尻を向けると再びおしっこをスプレーしてマーキングしました。
遠くから動画を撮っている私に気付いても、少し睨んだだけで歩くペースは変わりませんでした。

このような毛皮の模様をキジ白(ブラウンタビー&ホワイト)と呼ぶのだそうです。

【参考サイト】:猫の柄(模様)はどんな種類があるの?毛色の名前や性格なども解説
私は家で猫を飼ったことがないので、未だ色々と知らないことばかりです。


イエネコ♂:キジ白@散歩

エンジュの花で採餌するムナカタハキリバチ♀の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2019年8月上旬

民家の庭にそびえ立つエンジュの大木で全身黒ずくめのムナカタハキリバチ(別名スミゾメハキリバチ)♀(Megachile willughbiella sumizome)が忙しなく訪花していました。
吸蜜している蜂の腹部下面のスコパには黄色い花粉を満載しています。

あまりにも忙しなく飛び回るので目が回りそうです。
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@1:32〜2:33)
マメ科植物に特有の蝶形花に毎回、正当訪花していました。

次は240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。
1/8倍速のスローモーションをご覧ください。(@2:34〜)
花に止まって吸蜜中は羽ばたきを止めています。
次の花に飛んでいる間に見事なホバリングを披露してくれました。
空中で左右の脚を互いに擦り合わせて身繕いしていました。
訪花中に体に付着したエンジュの花粉を前脚→中脚→後脚と順に送っているようで、最後は後脚にまとめた花粉を腹部下面のスコパ(花粉刷毛)に擦り付けています。
空中で長い舌も出し入れしています。

花の盛りは過ぎているようで、蜂が止まった花ごと滑落することがありました。(@8:12)
そんなアクシデントがあってもスミゾメハキリバチ♀は羽ばたきを再開して空中で姿勢を立て直し、掴んでいた花を離して、次の花へ向かいます。
エンジュの木の下には大量の落花が散乱していて白い絨毯のようになっていました。


ムナカタハキリバチ♀(スミゾメハキリバチ♀)@エンジュ訪花採餌
ムナカタハキリバチ♀(スミゾメハキリバチ♀)@エンジュ訪花採餌

2019/12/01

ニホンザル♀がクリ樹上で自慰行為



2019年7月下旬・午前6:50〜6:55

山麓林縁のクリ(栗)樹上で若いニホンザル♀(Macaca fuscata fuscata)が横枝に横たわっていました。
体を掻いたり欠伸したりと非常にくつろいでいます。
左手で股間を掻いているのは自慰行為でしょうか?(@0:29)
それともデリケートゾーンが痒くて掻いていただけかな?
私をチラチラ見下ろしているものの、羞恥心や罪悪感とは全く無縁です。

その後は寝転んだまま暇潰しに樹皮を引っ掻いていましたが、採食というほど本気ではありません。
(食べ物の少ない冬になるとニホンザルは樹皮をかじって食べます。)

しばらくすると起き上がり、クリの枝に座っていました。
私を不思議そうに見下ろしながら頻りに体を掻いています。
このとき股間に陰核(クリトリス)が一瞬見えたので♀と確定しました。
睾丸はありません。


さて、野生ニホンザルの自慰行為は報告されているのでしょうか?
ネットで検索してみても、意外に情報は少ないようです。
『ニホンザルにおける稀にしか見られない行動に関するアンケート調査結果報告』という論文がヒットしました。
2008年にニホンザルの研究者約40人にとったアンケート調査の中で、稀にしか見られない性行動として

7. ♂のマスターベーション(ペニスいじり)
8. ♀のマスターベーション(クリトリスいじり)
という質問項目が含まれていました。
これを尋ねるということは、野生ニホンザルの自慰は研究者でもなかなか見られない行動のようです。
これをまとめた結果が2011年に報告されており、全文PDFが無料公開されていました。

中川尚史; 中道正之; 山田一憲. ニホンザルにおける稀にしか見られない行動に関するアンケート調査結果報告. 霊長類研究, 2011, 27.2: 111-125.
少し長くなりますが、♀の自慰行為に関する部分を引用します。

メスのマスターベーション(クリトリスいじり)は,嵐山,勝山,高崎山で合計 6名が観察していたが,純野生個体群からは屋久島の1名のみであった。その結果,餌付け個体群と純野生個体群の観察頻度の差が 50%を超えたが,餌付けと関連する理由が見当たらない。「雌がその生殖器を何かにこすりつける」マスターベーションは,古くから地獄谷で記載があるが(Enomoto, 1974),調査票には「クリトリスいじり」というかなり限定した定義を併記してしまった。限定したのは,雌間のマウンティング時にみられる自身の生殖器を自身の尾や相手の背中,さらには相手の生殖器にこすりつける行動(Vasey & Duckworth,2006)とは区別して,明らかなマスターベーションだけを抽出したかったためであったが,回答者により従来の定義と限定的な定義のどちらに基づいて解答するかが一致せず,今回たまたま限定的な定義に基づく回答者が純野生群の研究者に多かったせいかもしれない。
私が観察したのは餌付け群ではなく、純野生群です。
じっくり時間をかけて群れに近づき、何時間もついて歩いたら、自然な行動を色々と見せてくれてラッキーでした。



ニホンザル♀@クリ樹上+右横臥休息
ニホンザル♀@クリ樹上+体掻き

セイヨウニンジンボクの花蜜を吸うオオハキリバチ♂



2019年8月上旬

民家の庭に植栽されたセイヨウニンジンボクオオハキリバチ♂(Megachile sculpturalis)が訪花していました。
この組み合わせは初見です。
腹端が尖らず頭楯が白いのが雄蜂♂の特徴です。
♀の姿は見かけませんでした。

1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@0:37〜)毎回、正当訪花で吸蜜しています。
次の花に飛んで行くときにも舌を伸ばしたままです。


オオハキリバチ♂@セイヨウニンジンボク訪花吸蜜
オオハキリバチ♂@セイヨウニンジンボク訪花吸蜜

水飲み場のスズメ幼鳥(野鳥)



2019年8月上旬・午後

河川敷の水飲み場にスズメPasser montanus)が居ました。
頬斑は黒っぽいですけど、嘴の両端が黄色いので、この個体は幼鳥です。

嘴を開けっ放しで暑さに喘いでいます。
水飲み場から水は出ておらず蛇口も閉められていて中は乾いていました。
残念ながら、スズメは水を飲めません。
カラスとは異なり、スズメには自力で蛇口をひねる力も知恵も無さそうです。
最後はようやく飛び去りました。


スズメ幼鳥(野鳥)@河川敷:水飲み場



↑【おまけの動画】
「水道の栓ひねる「天才」カラス 飲む浴びる、調節も自在」(@朝日新聞社公式チャンネル)


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