2016/01/23

網に付けたアメリカセンダングサの花を除去するオニグモ♀



2015年10月上旬

花を食べる造網性クモの謎#5:オニグモで試すと?


道端に張られた正常円網(垂直円網)に見慣れないオニグモの仲間を見つけました。
こちらに腹面を向け、網の中央部に下向きで占座しています。

さて、最近アメリカセンダングサの花を食べるイシサワオニグモ♀を発見したばかりなので、他の種類のクモではどうだろう?と比べてみたくなりました。
丁度近くに生えていたアメリカセンダングサ(どこにでも見かける帰化植物です)の頭花を摘んで、この網に投げつけてみました。
花を給餌する前に円網の写真を撮ればよかったですね。
円網の甑は丸く穴が開いていました。

給餌してすぐ大失敗に気づきました。
クモの体長に対して花の柄が長過ぎましたね。
見たこともない巨大な獲物に警戒しているのか、クモは慎重に触れて正体を確かめようとしています。
虫とは違い花は動かないので、クモは一度甑に戻りました。(下向き占座@0:44)
すぐにまた下りて行くと、今度は花の柄の先端に向かい、歩脚の先で恐恐と調べています。
ようやくクモが側面を向けてくれました。(@1:30)
茎の先端に対してなぜか捕帯でラッピングしようとしたので驚きました。(@1:45)
こんな巨大な獲物の全体を梱包ラッピングできるかな?
それまでクモは一度も花に噛み付いていません。
やがてクモは茎や葉の周囲の糸を噛み切り始めました。(@2:33)
捕帯でラッピングしかけた白い糸屑は手繰り寄せると殆ど消えてしまったので、自分で食べてしまったようです。

花周囲の糸を切りながらも網全体の張力のバランスが崩れて崩壊しないように、最低限の縦糸などを張り直していますね。
クモがうっかり花を手離してしまい、その拍子にようやく背中を向けてくれました。(@4:32)
腹背中央部の前方に白い斑紋が目立ちます。
まるで誰かが白い油性ペンマーキングしたのかと思ったくらいです。
腹部下面には1対の白点の斑紋があります。
苦心惨憺して、ようやく花全体を網から外し捨てました。(@5:26)
と思いきや、地面に落ちる前に花が網の下部に再び付着してしまいました。
クモはそれをちゃんと分かっていて、対処に向かいます。
今度こそ完全に異物を取り除きました。(@6:52)
その結果、円網が大きく破損してしまいました。
使い物にならなくなった部分の網を取り壊しています。
撮影後半はクモにピントを合わせにくく、苛々した私は甑に戻る前に撮影を打ち切ってしまいました。
画面の奥には防火水槽が見えます。

クモがアメリカセンダングサの花を食べてくれなかったのは残念です。
茎が長過ぎてクモが一度も花の部分に触れなかったので、食物として認識しなかったのは当然でしょう。
我ながら酷い嫌がらせをしてしまいましたが、巨大な異物を網から丹念に取り除いて排除する様子は健気でした。



捕帯で梱包ラッピングしかける。

とにかく腹背上部の白紋が気になったので、どうしても種名が知りたくなりました。
きちんと写真を撮るために、動画撮影直後に採集しました。
小さなプラスチック容器で体に触れると網から糸を引き緊急落下。(映像なし)
地面で擬死していたクモを捕獲しました。
『クモの巣図鑑』をパラパラと見比べて、ヘリジロオニグモ♀なのかと思いました。
念の為にいつもお世話になっている「クモ蟲画像掲示板」にて問い合わせてみると、くも子さんより色彩変異型のオニグモAraneus ventricosus)で未発達の♀だろうとご教示いただきました。
ヘリジロオニグモは切れ網を作り生息地は海岸部らしく、今回の撮影地は内陸(山地に近いほぼ農村部の郊外)であることからも納得です。
『日本産コガネグモ科ジョロウグモ科アシナガグモ科のクモ類同定の手引き』(谷川明男著)という素晴らしいPDF資料を紹介してもらいました。
私には未だ少しレベルが高いようで、精進します。

つづく→#6:網に付いたアメリカセンダングサの花を食べずに捨てるイシサワオニグモ♀【蜘蛛:暗視映像】



【追記】
くも子さんより以下のコメントを頂きました。
○果糖効果がポジティブの例にコガネグモも入っている。(果糖効果の実験をやるなら、幼体26.5%より成体66.7%を選択した方がよさそう…私見)しぐまさんの実験、次にオニグモでやるなら、幼体でなく成体でやると別の結果がでるかも?


外雌器

ハクセキレイ(野鳥)が刈田で落穂拾い?



2015年10月上旬

稲刈り直後の刈田に3羽のハクセキレイMotacilla alba lugens)が来ていました。
虫を捕食しているようですが、この日は望遠レンズがなくて残念。
私の認識ではハクセキレイは種子食ではないはずですけど、落ち穂拾いだったら面白いですね。




2016/01/22

野菊の花蜜を吸うベニシジミ



2015年10月上旬

農道脇に咲いた野菊(ノコンギク?)の群落でベニシジミLycaena phlaeas daimio)が訪花していました。
秋風が吹いて花が激しく揺れてもベニシジミは必死にしがみついて吸蜜しています。



車を避けつつ路上で拾い食いするハシボソガラス(野鳥)



2015年9月下旬

農村部の路上で2羽のハシボソガラスCorvus corone)が拾い食いしていました。
舗装路のセンターライン付近にへばりついていた何かを啄んでいます。
遠くてメニューは全く分かりませんが、道の横が田畑なので虫やカエルなどが車に踏み潰された死骸(ロードキル)かもしれません。
あるいはカラスがクルミの実を投げ落として割った欠片かな?
採食中に車が通りかかり邪魔が入ると、カラスは相次いで飛び立ち上の電線に止まって車をやり過ごしました。



2016/01/21

隠れ家でアメリカセンダングサの花を噛むイシサワオニグモ♀(蜘蛛)



2015年10月上旬

花を食べるイシサワオニグモ♀(蜘蛛)の謎#4:食餌シーンの別アングル


イシサワオニグモ♀(Araneus ishisawai)が隠れ家でアメリカセンダングサの花を食べている様子を三脚固定カメラで微速度撮影するのと同時並行して、ハンディカムで別アングルの動画を撮ってみました。
理想的にはクモの横から口器の動きを接写したいところです。
しかし実際に草深い急斜面をよじ登って網を壊さないよう注意しながら隠れ家の間近まで見に行くのは無理な環境でした。

遠目からズームで狙うだけでは撮影アングルが限られてもどかしいです。
それでも三脚の位置から少し横にずれた所から撮ってみました。

映像の冒頭では正常円網(垂直円網)に残った花2個を写してから上にパンし、隠れ家(キイチゴ?葉裏)のクモを写します。
隠れ家にぶら下がったクモがたまたま横を向いた瞬間があり、牙で花の総苞に噛み付いた(口を付けた)様子も運良く捉えられていました。(@1:05〜1:20)

手ブレの酷いハンディカム映像は一度ボツにしかけたのですけど、動画編集時に手ブレ補正処理を施してみたら見違えるほど改善しました。
クモが花に口を付けている証拠映像は少しでも多い方が良いだろうと思い直し、追加で公開します。

つづく→#5



【追記】
「クモ蟲画像掲示板」にて、きどばんさんより以下のコメントを頂きました。
コガネグモ科に限るのであれば正式な記録はないのかもしれませんし、私も記憶にありません。ただ、「クモが花粉を食べる」ということは「多くのクモ屋さんが認識している」ことと思われます。画像は残っていませんがジョロウグモが花粉(多分)を食べているのは2回ほど見たことあります・・・ 
・ジョロウグモ♀亜成体が網にかかった花の花粉を舐めている写真(by 紀伊半島さん) 
・アリグモ♀がヤブガラシで吸蜜している写真(by 一寸野虫さん


モンキチョウ♀♂の求愛飛翔



2015年10月上旬

稲刈り中の田んぼに隣接する畑の上空でモンキチョウColias erate poliographus)の♀♂ペアが乱舞していました。

モンキチョウは翅の色で性別が見分けやすく(♂が黄色、♀白色)、求愛行動の解釈が容易なのは助かります。
飛んでいる♀(白)の目の前を♂(黄)が下から飛んで上がる、という求愛飛翔を繰り返しています。
以前観察したメスグロヒョウモンの求愛飛翔のように、♀に着陸を促す信号なのでしょう。
残念ながら交尾には至らず、別れてしまいました。
♀はどのように拒否の意思表示をしたのか、知りたいところです。(♀がOKなら着陸するはず)

ハイスピード動画に切り替えるチャンスはありませんでしたが、結構長く撮れた方なので満足です。



2016/01/20

解散したキアシナガバチの巣@トウカエデ枝【暗視映像】



2015年10月上旬・午後20:15

キアシナガバチ巣の定点観察@トウカエデ枝#12


夜、久しぶりにキアシナガバチPolistes rothneyi)の巣を見に行くと、すっかりもぬけの殻で、成虫の姿は全くありませんでした。
遂にコロニーが解散したようです。
巣盤を下から見上げて育房を調べると、繭は全て羽化した後でした。


4日後、採集直前の写真


後日、古巣を採集していつものように保管することにしました。
今のところ寄生蛾の幼虫に巣が食害されている形跡はありません(育房内に不規則網が張り巡らされていない)。

それでも、もしかしたら蛾の成虫が羽化してくるかもしれません。

ただし気になったのは、巣盤の天井部に穴が開いていたことです。
単なる風雨による劣化かもしれませんが、ワラジムシによる食痕(虫喰い穴)だとしたら面白いですね。
▼関連記事
夜キアシナガバチの巣に侵入するワラジムシ【暗視映像】

ノコンギク?の花を舐めるシロスジベッコウハナアブ♀



2015年10月上旬

郊外に広がるスギ防風林のやや薄暗い林床に咲いた野菊(種名不詳;ノコンギク?)の群落でシロスジベッコウハナアブ♀(Volucella pellucens tabanoides)が訪花していました。
口吻で花蜜や花粉を舐めています。
途中で軽く飛んで隣の花に移動し、最後はどこかに飛び去りました。


▼関連記事(ちょうど1年前の同じ時期に撮影)
野菊を訪花するシロスジベッコウハナアブ♀の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】


2016/01/19

弱ったキアシナガバチ♂の身繕いと日光浴



2015年10月上旬

山麓の境内でキアシナガバチ♂(Polistes rothneyi)を見つけました。
衰弱しているのか、前脚に力が入らないようです。
コンクリートの床を歩いて日向に出てくると立ち止まり、身繕いを始めました。
触角を拭う前脚が震えていて、老人の神経症状を連想しました。

瑣末なことですが、こうした症状も写真では表現できない動画ならではの記録です。
後脚で脇腹を掻いています。
急に元気になって歩き回るものの、飛び立たつ気配がありません。
交尾を終えた雄蜂は冬を待たずに寿命を迎えます。

※ 今季定点観察してきた営巣地とは全然違う場所での撮影です。



ミゾソバの花蜜を吸うキタキチョウ



2015年10月上旬

郊外の道端に咲いたミゾソバの群落でキタキチョウEurema mandarina)が訪花していました。
花から花へ次々に飛び回り、吸蜜しています。
閉じた翅裏の色が直射日光をまともに浴びると白飛びしてしまいます。
斜めのアングルだと翅裏の斑紋が見えます。

画面の奥はトウモロコシ畑。



2016/01/18

網にかかったトンボには目もくれず花を食べるイシサワオニグモ♀(蜘蛛)



2015年10月上旬

花を食べるイシサワオニグモ♀(蜘蛛)の謎#3:


このイシサワオニグモ♀(Araneus ishisawai)がゲテモノ食いに走ったのは、ひどく飢えているからでしょうか?
空腹状態を調べるために、何か普通の獲物(昆虫)を網に給餌してみましょう。

2年前の観察によれば、イシサワオニグモ♀は食事中にもし網に新たな獲物がかかれば食べかけを置いて新しい獲物を確保しに行くはずです。
梱包ラッピングして網に吊るしてから食べかけの獲物に戻りました。

▼関連記事
網にかかったオツネントンボ♂を捕帯でラッピングするイシサワオニグモ♀(蜘蛛)

この時期はめっきり虫の数が減り探すのに苦労したのですが、なんとか近くでアキアカネ♀(Sympetrum frequens)を生け捕りにしました。



ところが私の予想に反して、給餌したトンボが円網上で暴れても隠れ家のクモは完全に無視していました。(午後15:18)
甑から隠れ家に伸びる信号糸が切れている訳ではありませんし、クモは網の振動を感知しているはずです。

活きの良い虫よりもアメリカセンダングサの花に夢中!という驚くべき結論になりました。

※ 映像では網に付けたトンボが擬死したようにおとなしく、クモが気づかないのは当然と思うかもしれません。
撮影を止めてから(両手を使って)念の為に網上のトンボをつついたりして刺激してもクモは無反応でした。

イシサワオニグモ♀が虫と花のどちらを欲しているのか嗜好性を調べるのであれば、その2つを網に同時に付けてやりクモに選ばせるべきでしょうか?

次は音叉で網に振動刺激を与えてみました。(午後15:25)
残念ながら動画ファイルが破損してしまいお見せできませんが、実験をしつこく繰り返してもクモは騙されず無反応でした。
音叉をかなり強く叩いて鳴らしてから網に触れたのにクモは隠れ家から網に降りて来ず、相変わらずアメリカセンダングサの花を手放しませんでした。

以上の結果から、この悪食の個体は飢えているせいで止むなく花を食べたのではなく、花の味がよほど気に入って病みつきになったのでしょう。
造網性のオニグモの仲間が自然状態で花を常食しているとは考え難いのですが、それでも花を与えれば副食として食べることがあるというのは衝撃的で興味深い知見です。

※ 素人臭い実験でネガティブな結果が出た時(クモが無反応)にいつも解釈に悩むのですけど、私が続けざまに変な物を網に付けるのでクモがいじけてしまったり、学習して「狼少年にはもう騙されないぞ!」と不信感を強めてしまった可能性もありますかね?
もっと時間間隔を開けて実験すべきなのか、こうした実験の正式な作法を知りたいところです。


いつになったらクモが花を捨てるのか、花がどこまで体外消化されるのか、見届けたかったのですけど帰る時間が迫り、泣く泣く観察を打ち切りました。
最後に見た午後15:30にもイシサワオニグモ♀は花を食べ続けていました。
夜まで待てば円網の張り替えを観察できたかもしれません。

網に残されたトンボ1匹とアメリカセンダングサの花2個をクモは結局食べたのか、捨てたのか、どちらでしょうね?

花を食べるクモというのは非常に興味深く、更に追求する価値がありそうです。
私も未だ半信半疑なので、とりあえず追試が必要です。
同一個体のイシサワオニグモ♀に後日もう一度アメリカセンダングサの花を給餌すると、今度はすぐに捨てるでしょうか?
もし再び捕食すれば、本当に花の味が気に入ったと言えるでしょう。
花の種類を変えてみたらどうなるでしょうか?
また、イシサワオニグモ以外の造網性クモは花を食べるのか?などの対照実験もしてみたいですね。

これ以来、クモの網を見つける度に花を投げつける日々が始まりました。

つづく→#4:隠れ家でアメリカセンダングサの花を噛むイシサワオニグモ♀(蜘蛛)


側溝に出入りするネコ



2015年10月上旬

道端で寝そべっていたネコFelis silvestris catus)がようやく立ち上がり、悠然と歩き去りました。
私も慌てて追いかけると、ネコが道端でこちらを振り返っていました。
警戒しているようで、水涸れした側溝に降りて身を隠しました。
側溝の中を少し歩いてまた振り向きました。
そのまま暗渠(トンネル)に潜り込むかと思いきや、外に出てきて物置小屋の角を曲がり草むらに姿を消しました。

猫は一挙手一投足が見ていて面白いです。

野良ネコをひたすら追跡して観察するのも楽しそうですが、すぐに撒かれてしまうのが難点です。

三部作完。



2016/01/17

隠れ家でアメリカセンダングサの花を食べ続けるイシサワオニグモ♀




花を食べるイシサワオニグモ♀(蜘蛛)の謎#2:微速度撮影


2015年10月上旬・午後14:32〜15:02

動画の冒頭でまず、花を採取したアメリカセンダングサの群落を写しました。

キイチゴ?の葉を数枚糸で綴って作った隠れ家に花を持ち帰ったイシサワオニグモ♀(Araneus ishisawai)が歩脚を舐めて身繕いしています。
化粧が済むと、アメリカセンダングサの花を引き寄せて吸汁を始めました。(@1:15〜)
ラッピングした花をくるくると回しながら調べ、噛む場所を変えているようです。
昆虫の獲物を捕食するときの振る舞いとなんら変わりません。
花に噛み付いたらすぐに「これは獲物ではない!」と過ちに気づき、吐き出して捨てるだろうと予想しました。
ところが花を落とす瞬間を記録するつもりで長撮り※しても、クモは一向に花を手放しません。
※ 映像の後半(@4:59〜
)は10倍速で微速度撮影しました。

おそらく生まれて初めて口にしたであろう花の味がよほど気に入ったのでしょうか?
アメリカセンダングサの頭花を抱え込んだクモは主に緑色の総苞を噛んでいます。
牙の開閉を映像で確認できました。

クモはいつまで経っても花を手放さず、噛んで吸汁しているようです。
このゲテモノ食いの♀個体が寿命間近だとしたら、老化のせいで一種の味覚異常(異食症)になったのでしょうか?
果たしてクモは植物を体外消化できるのでしょうか?

虫などの獲物は強力な消化酵素で溶かされて黒いタール状になります。
▼関連記事(2013年撮影)イシサワオニグモ♀(蜘蛛)の体外消化
クモの消化酵素で植物のセルロースを分解できるのか、気になります。
花そのものを体外消化しているのではなく、花蜜を舐めたり花粉を食べているのかもしれません。(下記の参考資料PDFを参照)

アメリカセンダングサを訪花する昆虫を色々と見てきましたけど、花蜜や花粉が特に豊富で虫に絶大な人気を誇る植物という印象はありませんし、花外蜜腺も無いです。

この個体がよほど飢えていたとすれば、花を網に投げつけたときに隠れ家からすぐ飛び出して来そうなものです。(警戒していたのかな?)
花を食べている(ように見える)のも獲物が網にかかるまで手持ち無沙汰を紛らわせる暇潰しで、おしゃぶりのような物(食餌の代替物)ですかね?
別の可能性として、クモは自分の失敗に気づいているものの、花をラッピングした捕帯の糸だけでも食べて貴重なタンパク質を回収しているのかもしれません。

このイシサワオニグモ♀の空腹状態を調べるために、何か普通の獲物(昆虫)を網に給餌してみることにしました。

つづく→#3:網にかかったトンボには目もくれず花を食べるイシサワオニグモ♀(蜘蛛)



【参考】
『クモの科学最前線』という専門書の第3章で「クモと餌 植物食」を扱っています。

・ハエトリグモやカニグモの仲間が花や花外蜜腺に訪れる。p55 
・蜜食いの直接証拠となるのが、植物の蜜や果実に由来するフルクトース(果糖)の存在である。野外でクモを採集し、胃のなかにフルクトースがあれば、クモが植物から蜜を得ている証拠となる。※p56 
・円網に付着した花粉をクモが網糸ごと摂取している。p56
※ 例えばミツバチを捕食した直後は間接的に花蜜を摂取したことになり、胃内容物に果糖が検出されるのでは?

オニグモ類が花を食べるという記述は見つかりませんでした。


次はインターネット検索で見つけた総説の資料です。

上記の本『クモの科学最前線』に書かれた内容のエッセンスがまとめられています。
公開してくださっている池田博明氏に感謝。
・日本蜘蛛学会のプレゼン資料「クモと植物(簡略版)」クモの食餌としての植物(PDFファイル) 
・東京クモゼミのレジュメ:"Herbivory in Spiders"(pdfファイル)


【追記】
YouTubeのコメント欄にて、「ひどく喉が渇いたクモが花から水分を摂取しているのではないか?」というアイデアをいただきました。
給餌したアメリカセンダングサの花を摘んだときに濡れていると思った記憶はありません。
この時期の日本は乾季ではありませんし、クモが水分補給に困ることはないと思います。
朝晩に気温が下がると、網に結露した夜露をクモは摂取できるはずです。


【追記2】
『クモのはなしI:小さな狩人たちの進化の謎を探る』(第23章 池田博明「クモのメニューの量と質」)によると、
宮崎県の石野田辰夫さん(1974)が、アシブトヒメグモがトベラの花の近くに造網し、その花粉や蜜を食べていることを発見して、NHKが撮影し、そのフィルムを東亜クモ学会第六回大会で上映しているのです。このフィルムは大会の参加者にショックを与えたようですが、その後、これに続く発見は現れず、九州のアシブトヒメグモに特有な例外的現象と理解されてしまったようです。しかし、スミスとモムセンの研究からすると、例外どころか、もっと新しい照明をあてるべきことがらのように思えます。(p201より引用)



【追記3】
「命をつなぐ生きものたち 第3集 ギリギリの恋」という動物番組を視聴していたら(2022年9/4放送)、性的対立の一例として、イギリスでBBCが撮影したキシダグモの一種の求愛給餌行動が見事な映像で紹介されていました。
徘徊性のキシダグモ♂は獲物を捕まえてラッピングした物を♀に贈り、気に入ってもらえれば♀がプレゼントを食べている間に交尾できます。
獲物が取れないと♂は花など食べられない物を糸でくるんで♀に差し出します。
もし騙しがばれてしまうと交尾を拒否されたり性的共食いされてしまいますが、結構交尾に成功していたのが驚きでした。
♂の騙しを厳しく見破るように♀の対抗戦略がこれから進化してくるかどうか興味深い、と番組内で長谷川眞理子氏(動物行動学者)はコメントされていました。
しかし「クモは花を食べないはず」と思うのはヒトの偏見(思い込み)で、実はクモは結構花が好き(悪くない味)なのかも知れない…と個人的に思いました。



【追記4】
平松毅久「網に落下した花をラッピングして食べたオオシロカネグモ」という論文をダウンロードして閲覧することができます。
ムラサキシキブの落花を食べたという観察記録です。
KISHIDAIA, No.77, Aug. 1999
Behaviour of wrapping and feeding a flower dropped on the web by Leucauge magnifica Yaginuma 1952

ネコの毛繕い



2015年10月上旬

農道で出会ったネコFelis silvestris catus)が寝転んで毛皮を舐めています。
遠いので、隙を見てそっと近づいてから続きを撮影しました。

猫は車道の道端の芝生のような草むらに寝転んでいて、毛繕いに余念がありません。
体の向きを変えて(逆の後脚を上げ)股間を舐めています。
やがて欠伸と身震いをしました。(@1:58)
日向ぼっこしながらリラックスしてしまい、動く気配がありません。

つづく→側溝に出入りするネコ



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