2024年5月下旬・午前11:10頃・くもり
山麓の小径を歩いていたら、かなり大きな糞塊を見つけました。
ニホンザルの糞と迷ったのですが、ツキノワグマ(Ursus thibetanus)の落とし物でしょう。
道の中央で枯れた落ち葉(広葉樹)の上に残されていました。
糞塊の表面は真っ黒で、半乾きの状態です。
小枝を拾って糞塊をほじくってみると、内部はまだ瑞々しい状態でした。
未消化物は緑色の植物繊維の塊でした。
植物の若葉を大量に食べたことが分かります。
この時期のツキノワグマはベジタリアン(植食性)です。
糞塊をほじくってみても、糞便臭を全く感じませんでした。
(同じ雑食性でもヒトの大便の方がはるかに臭いです。)
クマの糞の中にセンチコガネ(Phelotrupes laevistriatus)が1匹だけ隠れていました。
この路面は落ち葉の下が硬いコンクリートですから、糞虫たちはいくら頑張っても獣糞を地中に埋めることが出来ません。
したがって、このセンチコガネはクマの糞を食べていただけでしょう。
ほじくり出したセンチコガネは、擬死したまま動きません。
ひっくり返すと、腹面も鈍い金属光沢(構造色)でしたが、オオセンチコガネほど綺麗な玉虫色ではありませんでした。
クマの糞を見つける度に中をほじくって食性調査(糞内容物調査)の真似事をしてみるのですが、糞虫を見つけたのは今回が初めてで、嬉しい発見でした。
糞の鮮度がちょうど良かったのでしょう。
クマの専門家は糞を持ち帰って水洗いしながら網で濾し、小型の糞虫や未消化の種子などを丹念に探すのだそうです。
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山中ならともかく、通い慣れた山麓の小径までクマが降りてきた証拠が残されていたのは衝撃です。
「熊出没注意!」
熊よけスプレーと熊よけ鈴を携帯していることを改めて確認し、気を引き締めて先に進みます。
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