2024年6月上旬〜中旬
シーン0:6/7・午後13:14・晴れ(@0:00〜)
シーン0:6/7・午後13:40・晴れ(@0:04〜)
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。
山林に湧き水が年中溜まっている湿地帯があり、浅い水溜りを2台の自動撮影カメラで見張っています。
夜な夜な水場に来るフクロウ(Strix uralensis)の水浴以外のシーンを以下にまとめました。
シーン1:6/9・午前3:51(@0:07〜)
未明に中洲に佇んでいたフクロウが対岸に飛び移って身震いしてから、右上に飛び去りました。
飛び立つ瞬間にフクロウが羽ばたいた風に煽られて、周囲の下草が揺れています。
画面の左端手前に眩しく光っているのは、ホオノキ大木の幹です。
この影に隠れてフクロウが水浴した直後だったのかもしれません。
シーン2:6/10・午前1:19(@0:31〜)
翌日の深夜に来たフクロウは、対岸の水際に佇んでキョロキョロと周囲を警戒しています。
手前の中洲にピョンと飛び移りました。
シーン3:6/10・午前1:18(@1:31〜)
別アングルで設置した監視カメラの広角映像に切り替えます。
被写体のフクロウが遠くても、2台のトレイルカメラが同時に照射する赤外線によって、充分明るく録画できました。
シーン4:6/10・午前1:21(@2:02〜)
中洲の奥の水溜まりで足浴するフクロウの後ろ姿が写っています。
よちよちと右へ渡渉すると、軽く羽ばたきながら対岸へピョンと上陸しました。
しばらくすると、再び水際にぴょんと移動。
シーン5:6/10・午後22:12(@3:02〜)
昼間を挟んで同じ日の晩に、フクロウが再び水場に降り立ちました。
すぐには入水しないで長々と周囲をキョロキョロと警戒しています。
赤外線を反射して白く光る眼しか写りません。
シーン6:6/11・午後20:08(@3:23〜)
翌日の晩にも、水場に来たフクロウは警戒を怠りません。
シーン7:6/11・午後20:08(@4:24〜)
別アングルの広角映像に切り替えます。
シーン8:6/11・午後20:35(@4:37〜)
赤外線を反射して白く爛々と光る両目が水面にも反射して写っています。
夜行性のフクロウの目にはタペータムが発達しています。
フクロウがキョロキョロと周囲を見回す際に首の可動域の広さは驚異的です。
シーン9:6/11・午後20:35(@5:37〜)
別アングルの広角映像に切り替えます。
夜の森で水場にじっと佇んでいるだけでも、フクロウは絵になりますね。
シーン10:6/12・午後21:09(@6:37〜)
翌日の晩。
ホオノキ高木の横枝に別個体(番 のパートナー?)のフクロウが着地したのか、ゴン♪と鈍い物音がしました。
その瞬間に、足浴していたフクロウは樹上を見上げました。
水溜まりの中でフクロウは翼を広げても、警戒しているのかなかなか水浴行動を始めてくれません。
頻りにホオノキ樹上を見上げて気にしています。
シーン11:6/12・午後21:08(@7:37〜)
湿地帯全景の映像に切り替えます。
シーン12:6/12・午後21:13(@7:49〜)
いつの間にかフクロウは水溜まりの中洲に移動していました。
ようやく警戒を解くと、ぴょんと飛んで右の水溜まりに身を浸しました。
その動きに反応して、対面の監視カメラが起動。
シーン13:6/12・午後21:14(@8:09〜)
入水したフクロウが水面に何度か顔を付けたものの(洗顔行動?)、頭上を頻りに気にしていて、なかなか本格的な水浴を始めてくれません。
後ろ姿で分かりにくかったのですが、もしかするとフクロウはこのとき泥水を飲んでいたのかもしれません。
ハト類以外の鳥は、水を一口飲むごとに顔を上げて水を喉に流し込む必要があります。
シーン14:6/12・午後21:16(@9:09〜)
水溜まりから対岸に上陸すると、しばらくしてから足元の泥濘をなぜか嘴で啄みました。(@9:30〜)
水生昆虫など何か小さな獲物を捕食したのかと思いきや、すぐに興味を失い左の水溜まりへジャブジャブと渡渉します。
そこから右上へ飛び去りました。(@10:02〜)
謎の捕食シーンを1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@10:09〜)
水際の落ち葉を試しに嘴でつついてみたようです。
シーン15:6/12・午後21:23(@10:21〜)
数分後にフクロウが水溜りの中洲に降り立っていました。
私はフクロウの個体識別が出来ていませんが、番 のパートナーが順番待ちをしていて交互に水場に来ているのか、それとも同一個体が繰り返し来ているのでしょうか?
しかし今回もフクロウは水浴するでもなく、ひたすら周囲をキョロキョロと見渡しているだけです。
シーン16:6/12・午後21:23(@11:21〜)
広角の監視映像に切り替えます。
シーン17:6/14・午後19:48(@11:33〜)
2日後の晩に現れたフクロウです。
足浴していたフクロウが歩いて水溜まりの左エリアへ移動しました。
左手前に聳え立つホオノキ幹の影に隠れて、監視カメラの死角で水浴するつもりなのでしょうか?
そこでも水中で足踏みしたり周囲を警戒したりするばかりで、なかなか行水を始めません。
シーン18:6/14・午後19:48(@12:33〜)
広角の監視映像に切り替えると、異変が生じていました。
トレイルカメラの近くでクモ(種名不詳)が垂直円網を張った結果、奥の湿地帯が見えにくくなってしまいました。
造網したクモが甑 に占座しています。
それでもクモの巣を透かして、泥水溜りに来ているフクロウの姿がなんとか見えます。
邪魔なクモの巣が張れないように後日、トレイルカメラ周囲に伸びたスギの横枝を剪定しました。
カメラを凝視していたフクロウが翼を広げてバランスを取りながら、よちよち歩いて水溜まりの中を移動しています。
周囲を警戒しながら水浴しているようですが、円網のせいでよく見えません。
キョキョキョキョ…♪という単調な音がかすかにずっと聞こえるのは、おそらくヨタカ(Caprimulgus indicus jotaka)の鳴き声♪のようです。
(それともトレイルカメラの内部ノイズ?)
関連記事(9年前の撮影)▶ ヨタカ♂(野鳥)の鳴き声♪と声紋解析
シーン19:6/15・午前3:50(@13:35〜)
日付が変わった未明にフクロウが再び左の死角ギリギリに来ていました。
やはりトレイルカメラに監視されるのを嫌って、死角で水浴したいようです。
その対策として、後にトレイルカメラの設置場所をもう少し右にずらすことになります。
ヨタカに代わって夜明け前から鳴き始めた美声の鳥は、おそらくクロツグミ♂(Turdus cardis)の囀り でしょう。
シーン20:6/15・午後21:23(@14:35〜)
同じ日の晩に、クモ円網の背後でフクロウが水溜りに来ていました。
水浴するでもなく、周囲を油断なく見回しているだけです。
シーン21:6/15・午後21:25(@14:47〜)
泥水溜りの中洲に降り立ったフクロウが真上をしばらく見上げています。
シーン22:6/15・午後22:15(@14:59〜)
フクロウが水溜りの対岸に佇み、カメラ目線で警戒しています。
やがてフワリと飛んで手前の中洲に移動しました。
シーン23:6/15・午後22:14(@15:37〜)
広角の監視映像に切り替えます。
手前に張られたクモの垂直円網が夜風に揺れると、甑 周辺の横糸が張られていない部分を透かして、ときどき奥のフクロウがはっきり見えました。
※ フクロウの羽ばたき音や鳥の鳴き声などが聞き取れるように、動画の一部で編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。
【考察】
この水場に最も頻繁に現れ、最も長居するのは夜行性のフクロウです。
しかし、フクロウが行水する時間そのものは短いのです。
水を飲んだり浴びたりしないで佇んでいる時間は、一体何をしているのでしょうか?
水溜りでのんびり足浴しているだけでも、ひんやり涼しくて気持ちよいのかもしれません。
なかなか入水しないで警戒しているのは、トレイルカメラの存在が気になるのか、それとも周囲の草むらに捕食者(肉食獣のテンなど)が潜んでいないかどうか警戒しているのでしょうか?
水浴中のフクロウは無防備になりますから、周囲に捕食者が潜んでいないことを確認するのは当然です。
水溜りの中で蠢くオタマジャクシ(アズマヒキガエルの幼生)の群れをフクロウは興味津々で眺めているのかな?
それにしては、フクロウはこの水溜りでオタマジャクシを狩って捕食しようとはしません。
本格的な水浴をする前にフクロウは顔を水面に浸けて素早く左右に振ります。
私はこれを洗顔行動だと思っているのですが、もし水中のオタマジャクシを狙っているのだとしたら話は変わっています。
しかしオタマジャクシを狩るのなら、嘴ですばやく突き刺さしたり、足の鉤爪で獲物を捕らえるような動きをするはずです。
水場に来る野ネズミなどの野生動物を狙って待ち伏せしているのでしょうか?
それならホオノキの樹上から音も立てずに襲いかかる方が狩りの成功率は高いような気がします。
地上の水溜りで待ち伏せしていても、獲物に気づかれる可能性は高いですし、地上から一旦飛び上がって獲物に襲いかかるとタイムロスがあって獲物に逃げられそうです。
フクロウが浅い水溜まりの中を歩き回ったり足で掘ったりしているのは、少しでも深い地点を探して水浴するためだと思っていました。
オタマジャクシやカエルの捕食など、何か他の目的があるのでしょうか?
例えばサギ類は、水底で足踏みして振動を与え、小魚などの獲物が驚いて隠れ家から出てきたところを捕食します。
つづく→
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