2024年6月中旬
シーン0:6/11・午後13:26・くもり・気温35℃(@0:00〜)
シーン0:6/11・午後14:10・くもり・気温37℃(@0:04〜)
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。
平地の二次林で越冬中に死んだニホンアナグマ(Meles anakuma)の旧営巣地(セット)を2台の自動撮影カメラで見張り続けています。
地中に2つの巣穴L、Rが掘られていますが、内部でつながってはいないようです。
シーン1:6/12・午前4:44・気温15℃(@0:07〜)日の出時刻は4:13。
早朝で日が昇っているのに、木の葉が生い茂る初夏の二次林内はかなり薄暗いです。
単独でセットに現れたホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)が、通りすがりにアナグマの巣口Lのすぐ左の地点の匂いを嗅ぐと、なぜか前足で地面を掘り始めました。
巣口Lを拡張する土木工事(造巣行動)とは違うようです。
タヌキはどうやら、何か地中に隠れた虫や野ネズミ(ノネズミ)などを狩ろうとしているようです。
一旦アクセストレンチを降りて巣口Lの匂いを嗅いでから、穴掘り作業を再開しました。
巣口Lの横にマルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)の灌木が自生しているのですが、その邪魔な根っこをタヌキは掘り返そうとしているのかな?
シーン2:6/12・午前4:45・気温16℃(@1:07〜)
別アングルに設置した監視カメラでも撮れていました。
タヌキが巣口Lの横で穴を掘り、その合間に巣口Lに顔を突っ込んで匂いを嗅ぎました。
シーン3:6/12・午前4:46・気温16℃(@2:07〜)
トレイルカメラはセンサーで熱源の動きを検知すると起動するのですが、そのとき周囲の照度を測り、自然光で撮るか赤外線を照射しながら暗視動画に撮るかを二択で決めます。
その閾値になる薄明薄暮の時間帯だと、かなり薄暗いフルカラー録画になったり、赤外線の暗視モードで録画したりと、トレイルカメラの挙動が交互に変わります。
トレイルカメラの同じ機種でどの個体でも同じ症状が出るので、これはトレイルカメラの欠陥(不良品)やシステムのバグではなく、仕組み上、仕方がないようです。
私としては、動物の行動がモノクロでも明瞭に写って欲しいので、充分に明るくなるまでは薄明薄暮でもきれいに写る暗視モードで統一してくれた方がありがたいです。
タヌキの顔が穴掘り作業で汚れて、すっかり真っ黒になりました。
前足を使って黒土を後方に掻き出し、勢い良く跳ね除けます。
シーン4:6/12・午前4:47・気温17℃(@3:07〜)
次に監視カメラが起動したときにはフルカラー録画に戻りましたが、辺りはまだ薄暗いです。
タヌキは穴掘り作業を中断すると鼻面を上げて、周囲のマルバゴマキの枝葉やブラブラ垂れ下がっている枯れ枝の匂いを嗅いでいます。
獣道を少しうろついてから、穴掘り地点に戻って来ました。
遠くからキジ♂(Phasianus versicolor)がケンケーン♪と鳴く声が聞こえてきました。(@3:53〜)
シーン5:6/12・午前4:48・気温17℃(@4:07〜)
別アングルのモノクロ映像に切り替えます。
穴掘りを止めて左の獣道に消えたタヌキが、すぐに戻ってきて穴掘り地点の匂いを嗅ぎ回っています。
このカメラでも、遠くのキジ♂が早朝からケンケーン♪と縄張り宣言する鳴き声が録音されていました。(@4:40〜)
シーン6:6/12・午前4:49(@4:56〜)
別アングルのモノクロ映像に切り替えます。
タヌキがカメラを見上げてから、左に立ち去りました。
タヌキが新たに地面を掘った跡は、アナグマのアクセストレンチLを変形・整備したようにも見えます。
シーン7:6/12・午前4:49(@5:09〜)
フルカラー録画に戻りましたが、早朝の二次林内は依然として薄暗いです。
タヌキはもう一つの巣口Rにも立ち寄り、マルバゴマギ根元に開口した野ネズミ巣穴の匂いを嗅いでから、セットを右へ立ち去りました。
関連記事(同所で5日前の撮影)▶ アナグマの空き巣に幼獣を連れて引っ越しする野ネズミ♀【トレイルカメラ:暗視映像】
※ キジの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。
【考察】
タヌキの本格的な穴掘り作業を撮影できたのは、これが初めてです。
せっかくアナグマが作ったアクセストレンチの斜面を崩して、特定の地点を深く掘り進めていました。
しかし穴掘りのスペシャリストであるアナグマほど、タヌキは穴掘りが上手くないようです。
前足の爪もアナグマの方が鋭く発達しています。
後日私が現場入りした際に、巣口Lから伸びるアクセストレンチが新たに形成されたと思ったのですが、監視カメラの映像を確認すると、タヌキの仕業でした。
以下に写真を掲載しますが、昼間も薄暗い林内でストロボを焚くと、新しく掘られた穴の立体感や遠近感がいまいち失われてしまいます。
結局タヌキは、野ネズミや虫などの獲物を何も捕れなかったようです。
「大山鳴動して鼠一匹」という諺よりも効率(コスパ)が悪い採餌行動でした。
その後もホンドタヌキがこの巣穴Lに転入(引っ越し)することもありませんでした。
つづく→
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