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2025/12/13

アナグマの空き巣で秋の夜明け前に餌を探し歩くホンドタヌキのペア【トレイルカメラ:暗視映像】

 

前回の記事:▶ アナグマの営巣地を1〜3頭で昼夜うろつくホンドタヌキ:9月上旬〜下旬【トレイルカメラ:暗視映像】 


2024年9月下旬

シーン0:9/24・午後13:16・晴れ・気温29℃(@0:00〜) 
シーン0:9/24・午後13:47・晴れ・気温30℃(@0:03〜) 
平地の二次林にあるニホンアナグマの営巣地(セット)を2台の自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:9/25・午前4:56・気温9℃(@0:05〜) ・日の出時刻は午前5:26
夜明け前に左からホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が立ち止まって地面の匂いを嗅ぎ、何かを食べています。 
虫を捕食したのかな? 
まさか以前、私が置いたバナナを今頃になって食べたのでしょうか? 



シーン2:9/25・午前4:59・気温10℃(@1:05〜)
別アングルの監視カメラで続きが撮れていました。 
セットをうろつくタヌキがアナグマの巣口Rを覗き込み、カマドウマなど穴居性の小さな昆虫を捕食しようとしています。 
いつの間にか別個体のタヌキがアナグマの空き巣Rに潜り込んでいたようで、その個体が外に出てきて身震いしました。 
おそらく♀♂ペアと思われる2頭のタヌキが一緒に来ていたのです。 


シーン3:9/25・午前5:00(@2:05〜)
2頭のタヌキは左右に分かれて、餌を探し歩き始めました。 
落ち葉の下に隠れた虫を狩ろうとしています。 
左手前で林床の獣道に落ちていた小枝(短い落枝)をひたすらしがんでいるタヌキがいます。 
1.5倍に拡大した上でリプレイしても(@3:05〜)、古いバナナ果実には見えません。 


シーン4:9/25・午前5:03(@3:52〜)
2頭のタヌキがアナグマの巣口L付近で合流して、探餌徘徊しています。 
1頭が巣口Lに上半身を突っ込んで調べてから、右に立ち去りました。 
パートナーも巣口Lで何か虫を捕食してから、右へ向かいます。 


シーン5:9/25・午前5:03(@4:52〜) 
別アングルの監視映像でも撮れていました。 
2台のトレイルカメラが同時に起動すると、赤外線LEDによる光量が倍になって、セットがより明るく照らされます。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→

2025/12/09

水溜りに顔を浸して水中も探索するヤマカガシ

 



2024年9月上旬・午後12:55頃・晴れ 

山中の浅い水溜りに入り浸るヤマカガシRhabdophis tigrinus)をしばらく観察していると、とても興味深い行動が見られました。 
それまでは水面から少し上に顔がくるように軽く鎌首をもたげて蛇行していたのに、頭を下げて喉(顎の下面)を泥に接地させながらあちこち探るような動きを始めたのです。 
このとき、呼吸する鼻の穴は泥の中に潜りましたが、眼球はギリギリ泥水で濡らしませんでした。 


【考察】 
ヘビが水を飲む行動を私はまだ観察したことがないのですけど、今回のような行動ではなく、水面に口を付けて飲むのだそうです。 
頭部も接地して周囲のかすかな振動も検知しようとしているのかな?
Perplexity AIによると、

ヘビには鼓膜はありませんが、「内耳」はしっかり残っており、別の経路で振動=音を感じています。wikipedia+1

鼓膜の有無と耳の構造

  • ヘビは外耳孔・外耳道・鼓膜を欠きます(ここがトカゲなど他の爬虫類と大きく違う点)。exoinfo+1

  • 一方で、内耳(前庭・蝸牛に相当する部分)はよく発達しており、「耳小柱」(哺乳類のアブミ骨に相当)で顎骨などからの振動を受け取ります。mhlw-grants.niph+1

どうやって「聞いている」のか

  • 地面に接した下顎や体全体が振動を受け、それが骨伝導で耳小柱→内耳に伝わることで低周波の振動・音を感知します。ddnavi+2

  • 空気中の音も、人間ほどではないものの、体表に当たる振動としてある程度は検知できるとされます(可聴域は狭い)。signia+1


それとも泥の匂いを直接嗅いで、獲物を探索しているのでしょうか? 

Perplexity AIに質問してみると、以下の回答が得られました。
ヘビについて疎い私は、この回答にAI特有のハルシネーション(知ったかぶり)が含まれているかどうか判断できないので、そのまま引用します。

ヤマカガシが頭を下げて喉(顎の下面)を泥に接地させ、鼻の穴を泥の中に潜らせる行動は、おそらく泥や水の匂いを直接嗅いでいるものである可能性が高いです。ヘビはヤコブソン器官による化学感覚を非常に発達させており、水中や泥中のにおい分子を検出するために、このように鼻を濡れた部分に近づけたり泥に接触させたりすることがあります。

この動きは周囲の振動を検知するためのものではなく、動物が泥水の匂いを集中的に採取していると考えられます。水を飲む際は通常、口を水面につける動作が見られ、鼻を泥に潜らせる行動とは異なります。maff+1

つまり、この行動は泥や水の匂い(化学物質)を直接嗅いで環境や獲物の存在を確認しようとしている探索行動であると考えられます。






ヤマカガシが鼻を泥に潜らせて泥の匂いを積極的に嗅ぐ行動は、端的には「化学探索行動」や「化学感覚探索」と呼べます。この行動は、舌を高速で出し入れして揺り動かすことで「鋤鼻器」(ヤコブソン器官)に空気中の化学物質を送り込み、環境中の匂いを探索していることから、化学的な情報収集のための「探索行動」とされます。

このような行動に特別な単語があるわけではありませんが、生物学や行動学の文脈では「舌フェロモン探索」や単に「フェロモン探索」「化学受容探索」という表現が使われることがあります。

従って、ヤマカガシの鼻を泥に潜らせる行動は「化学探索行動」あり、舌の出し入れと合わせて鋤鼻器を使った嗅覚による周囲環境の調査行動であると理解できます。

水溜りの泥水は濁っていたので、ヤマカガシの水中での舌の動きを観察できませんでした。

泥の中でもヤマカガシは舌を出し入れしていた可能性が高いです。ヤマカガシは鋤鼻器(ヤコブソン器官)を使って化学物質を感知するために、舌を頻繁に出し入れし、口腔内に集めた化学物質を鋤鼻器へ運びます。この行動は泥の中でも変わらず行われ、視覚では見えない状況でも化学感覚を駆使して周囲の情報を得ています。泥の中に鼻の穴を潜らせていても、舌の動作は継続すると考えられ、泥や水中の化学物質を嗅ぎ分けているためです。toho-u

したがって、肉眼では泥に隠れて舌の動きは見えなくても、ヤマカガシは泥の中でも舌を出し入れして探索していると推察されます。


前回の記事で紹介したヤマカガシが水面を舐めてヤコブソン器官に送り込む行動と、今回の記事で扱った水中での探索行動はどう違うのでしょうか?

ヤマカガシが鼻の穴まで泥に潜らせて水底の匂いを積極的に嗅ぐ行動と、舌のフリッキングで水面を軽く舐める行動の違いを整理すると以下のようになります。

  • 鼻の穴を泥に潜らせる行動は、より直接的に「水底や泥中の非揮発性化学物質」を感知するための深くかつ集中的な化学探索行動です。この行動によって、泥や水底に存在する獲物の痕跡や環境中の物理的・化学的サインを詳細に検知し、鋤鼻器に送り込みます。

  • 一方、舌のフリッキングで水面を軽く舐める行動は、「水面上の揮発性または溶存化学物質」を素早く検査するための浅い探索行動であり、幅広い環境情報や獲物・捕食者の匂いなどを素早くキャッチする役割です。

要約すると、鼻穴を泥に潜らせる行動は「局所的かつ詳細な化学物質検知行動」であり、舌を水面に軽く触れさせるフリッキングは「広域的かつ迅速な化学情報収集行動」と言えます。両者は鋤鼻器を用いた化学探索という意味では共通しますが、感知対象となる物質の種類や探索の深度・範囲に違いがあります。

これらの行動は水中環境におけるヤマカガシの柔軟で高度な獲物探索戦術を示しています。



ところで、ウミヘビも海で泳ぎながら絶えず舌を出し入れして、海水中に溶けた匂い分子をヤコブソン器官に送り込んでいるのでしょうか?

ウミヘビも、基本的には他のヘビと同様に水中で舌を出し入れし、その舌に付着した化学物質を鋤鼻器(ヤコブソン器官)に送り込んでいます。水に完全適応した種(セグロウミヘビなど)でも鋤鼻器はよく発達しており、「空気中の匂い分子」ではなく「水中に溶けた化学物質」をサンプリングしていると考えられています。exoinfo+1

水は空気より粘性が高く、匂い分子の拡散様式も異なりますが、アナコンダなど淡水性の水生ヘビでは舌が水中で効率的に機能することが示されており、同様のメカニズムがウミヘビにも当てはまるとみなされています。つまり、ウミヘビは泳ぎながら舌をフリッキングし、水中の化学シグナル(獲物・仲間・環境情報)を鋤鼻器へ運ぶことで「嗅いでいる」と理解するのが妥当です。exoroom+3

2025/12/01

水溜りを泳ぎ回るヤマカガシはアメンボなど水生昆虫を捕食するか?

 

2024年9月上旬・午後12:28〜13:08・気温24.5℃ 

トレイルカメラの保守作業のために、里山に登って、湧き水や雨水の溜まった湿地帯に来ました。 
現場入りした私が静かに電池交換などの作業を始めると、干上がりかけた水溜まりSの方から水音が聞こえてきました。 
てっきりカエルやオタマジャクシが水溜りで跳びはねているのかと思いきや、ヘビが入水していました! 
ヤマカガシRhabdophis tigrinus)です。 
素人目にはなんとなく、まだ少し若い個体のような気がするのですけど、どうでしょうか? 

関連記事(8年前の撮影)▶ 水路を泳いで渡るヤマカガシ 


ヤマカガシは蛇行して水溜まりや岸辺の泥濘を右往左往しています。 
9月の水溜りには、ヘビの獲物となるオタマジャクシやカエルはもう1匹も居ません。 
どうやらアメンボなどの水生昆虫を狙って狩りをしているようです。 
ヤマカガシが目の前の獲物に襲いかかる瞬間を1.5倍に拡大した上で1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
射程距離に入ると突進して噛みつこうとしますが、何度やっても水面のアメンボはピョンピョン跳んで素早く逃げてしまいます。 
よく見ると、アメンボが逃げ出す動きに反応して襲っていることが分かりました。
表面張力を利用して水面に浮いているアメンボは、獲物を捕るために足先の感覚毛で波紋を敏感に感じています。
ヘビが水溜りで少しでも動くと波紋が立ちますから、どうしてもアメンボに気づかれて逃げられてしまうのです。
長い胴体を使ってヤマカガシがアメンボをゆっくりと囲い込み(アメンボの行く手を塞ぎ)、待ち伏せしている顔の方へ誘導する作戦を試みても、アメンボはヘビの胴体をピョンと跳び越えて脱出してしまいます。 
結局、狩りが成功して水生昆虫を捕食するシーンは一度も撮れませんでした。 

ヤマカガシがアメンボに襲いかかるかどうかは、とても気まぐれです。 
せっかく目の前にアメンボが近寄って来たり通り過ぎたりしても、ヤマカガシは知らん顔でやり過ごすことが多いです。 
襲ってもどうせ逃げられると分かり、諦めているのでしょうか。

浅い水溜りを蛇行するヤマカガシの右横で丸っこい小型の水生甲虫(ミズスマシ?)が慌てて潜水すると、水底のデトリタスに隠れました。(@10:40〜) 

活動中のヤマカガシが口を開閉したのは欠伸でしょうか? 
なんとも可愛らしい映像が撮れました。(@0:35、0:43〜) 
Perplexity AIに尋ねてみると、ヘビもアクビをするそうです。
ヤマカガシを含むヘビは欠伸をすることがあります。欠伸はヘビなど多くの脊椎動物に見られ、あくびとも呼ばれ、口を大きく開けて呼吸を整えたり、顎の筋肉をほぐしたりする行動です。特に捕食や休息の前後、または体温調整の一環として行われると考えられています。 ヤマカガシの求愛や警戒行動の中であくびが観察されることがあり、他のヘビと同様に生理的な意味を持っています。そのため、欠伸は単なる疲労サインだけでなく、体調維持や環境への適応行動の一部とみなせます。[2] 

撮影の合間に木陰で測った気温は24.5℃でした。 
ヘビが浸っている水溜りの水温を実際に測るべきだったのですが、この日に限って長靴を履いて来なかった私は、泥で靴が汚れるのが嫌で水溜りに近づけませんでした。 
こういうときこそ、離れた位置からも温度が測れるレーザー式のデジタル温度計が必要ですね。 
もし携行していれば、水温だけでなくヤマカガシの体温も測れたはずです。 
同じ水溜りでも日陰の部分と日向の部分では水温が微妙に違うのかもしれません。 
しかし映像を見る限り、ヤマカガシは水溜りの中で日向・日陰のいずれかを特に好んで留まる訳ではなさそうです。 
ヒトが暑いサウナと水風呂を交互に入るのと同じように、ヘビも日向と日陰に出入りして自分で体温調節しているのかもしれません。

泥濘を蛇行したり水溜りを泳いだりするヤマカガシがあまりにも美しく、夢中になって動画を撮りまくりました。 
これほど長時間ヘビを観察できたのは初めてかもしれません。 
さすがに飽きてきたので、水場を監視するトレイルカメラでも軽く撮影してみました。 
その映像が冒頭のシーンです。
(これだけ動画素材を撮影順から入れ替えました。) 
私が愛用しているデジカメは最近ズームの調子が悪くて現場の状況を引きの絵で撮れなかったので、代わりにトレイルカメラの映像を冒頭に差し込みました。
その後、トレイルカメラを監視モードに切り替えて私が現場を立ち去ると、水溜まりSの中に浸っているヤマカガシの活動はもう録画されていませんでした。 
爬虫類は変温動物ですから、いくら活発に蛇行してもトレイルカメラの熱源センサーが反応しないのです。 

せっかく三脚があるのですから、固定した定点カメラでヤマカガシが水溜りSの中を蛇行する様子をタイムラプス撮影(インターバル撮影)すれば面白かったかもしれません。 


【考察】
動画の他に写真でもヤマカガシを撮ったのですが、フラッシュを焚いたら目が光を強く反射していました。 
てっきりヤマカガシにもタペータムがあるのかと思いきや、Google AIによれば違うそうです。
フラッシュ撮影時にヤマカガシの目が光って見えたとのことですが、これはタペータム(輝板)によるものではなく、角膜の外側にある透明な膜(眼鏡板)への光の反射と考えられます。 ヤマカガシを含むヘビの仲間には、一般的にタペータムは存在しないと考えられています。 ヘビの目の特徴と目の反射 まぶたがない: ヘビにはまぶたがなく、常に目を開けた状態のように見えます。その代わりに、目全体が「眼鏡板(スペクタクル)」と呼ばれる透明なウロコで覆われています。 タペータムの有無: タペータムは、犬や猫などの多くの夜行性動物が持つ反射層で、わずかな光を効率よく利用するために光を反射させる役割があります。しかし、多くのヘビはタペータムを持っていません。 フラッシュ撮影時の反射: 昼夜を問わず、ヘビの目にフラッシュの光が当たった際に光って見えるのは、この目の表面を覆う眼鏡板が光を反射しているためです。 ヘビの目は独特な構造を持っており、視力はあまり良くないと言われていますが、その代わりにピット器官(赤外線感知器官)などで周囲の情報を補っています。

 

ヘビの角膜の外側にある透明な膜(眼鏡板)は、鳥の瞬膜と異なります。両者は機能は似ていますが、解剖学的・進化的な起源が異なる別の器官です。 眼鏡板と瞬膜の違い 特徴 ヘビの眼鏡板 (Brille, Spectacle) 鳥の瞬膜 (Nictitating membrane) 構造 動かない透明なウロコ状の皮膚。上下のまぶたが融合してできたものに由来する。 半透明の薄い膜状の「第三のまぶた」。 動き まったく動かない。脱皮時に一緒に剥がれ落ちる。 目頭から目尻へ水平方向に素早く動く。 役割 まぶたの代わりとして常に目を保護し、乾燥を防ぐ。 まばたきのように角膜表面を潤し、破片から目を守る「ワイパー」や「水中メガネ」のような役割。 起源 上下のまぶたの融合。 脊椎動物が持つ第三のまぶた。 まとめると、鳥の瞬膜は動くことによって目を保護・保湿する機能的な「まぶた」の一部であるのに対し、ヘビの眼鏡板は固定された透明な皮膚の層であり、根本的な構造と動作が異なります。



記事のタイトル「ヤマカガシはアメンボなど水生昆虫を捕食するか?」について、Perplexity AIを相手にブレインストーミングしました。

A1: ヤマカガシは主にカエルやオタマジャクシのような動く小動物を捕食し、動きのないものは獲物として認識しにくい可能性が高いです。


A2: ヤマカガシは獲物を探す際に視覚を部分的に利用しますが、主に嗅覚を使っていると考えられています。特にヤコブソン器官(舌を使った化学感覚)を使って餌を識別し、ヒキガエルなど特定の獲物を嗅覚的に認識するという研究報告があります。視覚においては動くものの認識や動きに敏感で、素早く動くものを感知して反応しますが、色覚や細かな視覚情報の利用は限られているともされます。oirase-fm+2

総じて、ヤマカガシは視覚より嗅覚に依存する捕食行動が強く、特に獲物の存在確認や識別には化学感覚が重要とされています。ただし、獲物の動きの検知などに視覚も役立っていると考えられるため、視覚を完全に使わないわけではありません。note+1

したがって、ヤマカガシは主に嗅覚で獲物を探しつつ、視覚で動きを検知するという補助的な役割で視覚を使っていると理解できます。


A3: ヤマカガシにはピット器官(熱を感知する赤外線受容器官)はありません。ピット器官はマムシ亜科やニシキヘビ科、ボア科の一部のヘビに見られる特徴で、目と鼻の間のくぼみに存在しますが、ヤマカガシはナミヘビ科に属し、この器官を持たないとされています。

A4: ヤマカガシは昆虫を捕食することはほとんどなく、その主な食性はカエルやオタマジャクシ、魚類、トカゲなどの小動物で構成されています。ヤマカガシは特に有毒なヒキガエルも捕食できることで知られており、昆虫は食餌の主要な対象には含まれていません。amaru+3

報告されている食物リストに昆虫は基本的に含まれていないため、昆虫を捕食する機会や頻度は非常に低いか、ほぼないと考えられます。

 

A5: ヤマカガシが浅い水溜りの中で舌を出し入れしながらゆっくりと蛇行し、目の前にいるアメンボに襲いかかる行動は、単なる反射的なものではなく、獲物の動きを認識して捕食を試みている可能性が高いです。ヤマカガシは化学感覚(ヤコブソン器官)で獲物の存在を探知しつつ、動きに反応して捕食行動を起こします。アメンボは素早く逃げる能力が高い水生昆虫であるため、捕食されにくいですが、ヤマカガシのこの行動は獲物として認識しての捕食努力と考えられます。bdcchiba+1

つまり、襲いかかるのは単なる偶発的な反射ではなく、獲物としての意識を持っての捕食行動の一部と見なせます。ただし、アメンボが逃げやすいため捕獲には成功しにくいということです。

 

A6: ヤマカガシが夏の山中の浅い水溜りに長く滞在していたのは、体温を下げるための水浴を兼ねていた可能性が高いです。ヤマカガシは特に夏季の高温期に水辺で行動することが知られており、捕食対象のカエルやオタマジャクシがいない場合でも、水中で体温を調節するために一定時間水に浸かることがあります。また、水辺環境は湿度を保ち、脱水を防ぐ役割も果たすため、暑さや乾燥対策として利用されていると考えられています。yahagigawa+1

つまり、ヤマカガシが浅い水溜りに長居したのは、単に餌のためだけでなく、夏の暑さ対策としての水浴の目的もあるためと理解できます。



つづく→水溜りを泳ぐヤマカガシが舌を出し入れして水面を舐めるとき舐めないとき【FHD動画&ハイスピード動画】

2025/11/27

アナグマの営巣地で落枝に興味を示したり少し移動したりするホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年9月上旬〜下旬

シーン1:9/9・午前4:45・気温22℃(@0:00〜)日の出時刻は午前5:13。 
平地の二次林にあるニホンアナグマの営巣地(セット)で未明に3匹のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が一緒にやって来ました。 
まずはアナグマの巣口Rを覗き込んで点検してから、別の巣口Lへ向かいます。 


シーン2:9/9・午前4:44・気温21℃(@1:00〜) 
別アングルで設置した監視カメラにも撮れていました。 
後続個体が林床から何かを拾って咥えたものの、すぐに興味を失ってその場に捨てました。 
短い落枝かと思ったのですが、少し太いので、もしかすると、私が以前に給餌したバナナが干からびた物かもしれません。 


タヌキはアナグマの巣口Lで何か小さな虫を捕食しました。 
獲物は穴居性のカマドウマ幼虫と思われます。 

身震いしてから獣道を右へ立ち去りました。 
2番目の個体は、通りすがりにオニグルミの根元に排尿マーキングして行きました。 
このとき後足を上げて小便したので♂と判明。 
最後(3番目)の個体も、仲間に遅れないよう慌てて走り去りました。 


シーン3:9/24・午前5:24・気温12℃(@1:58〜)日の出時刻は午前5:26。 
15日後の日の出直前に単独行動のタヌキがアナグマの営巣地に来ていました。 
2つの巣口L、Rの中間地点に佇んで、クゥーンと甲高い声で鳴きました。 

足元で見つけた細くて短い落枝を咥えて拾い上げ、マルバゴマギ灌木の根元にそっと置き直しました。 
隠したつもりなのでしょうか。
初めて見る不思議な行動です。
遊びでもなさそうですし、探索行動で説明できるかな? 

タヌキが左へ立ち去った後、アナグマの巣口Lに注目して下さい。 
1.5倍に拡大した上で5倍速の早回しにすると、小さな虫の群れが続々と巣口Lから外に出て来ました。(@2:26〜) 
アナグマの巣穴Lに居候していたカマドウマの幼虫が、巣外に来ているタヌキの足音・振動に驚いて出てきたのでしょう。 
アナグマの巣穴の奥に潜んでいる謎の昆虫の群れについては、後日(10月下旬〜11月上旬)証拠動画を撮ってカマドウマの幼虫と突き止めたので、もうしばらくお待ち下さい。(映像公開予定) 


2025/11/03

真夏の深夜にホンドタヌキが口にくわえて運ぶ動物の正体は?【トレイルカメラ:暗視映像】

 

前回の記事:▶  


2024年8月中旬・午前0:02頃・気温26℃ 

ニホンアナグマMeles anakuma)の巣口Lを塞ぐ落枝に野ネズミ(ノネズミ)がしがみついていました。 
細長い落枝を伝って上の方まで器用に登れたらヒメネズミApodemus argenteus)(Microtus montebelli)と確定するのですが、しばらくすると巣穴Lに潜り込みました。 
どうやらアナグマの母子家族は留守のようです。 

そんなことよりも、その間に興味深い事件が起こっていました。
ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の成獣が単独でアナグマの営巣地(セット)を横切りました。 
暗闇でタヌキは野ネズミに気づかずに通り過ぎました。 
そのタヌキは口に何か獲物(中型の哺乳類)を咥えていて、獣道を右に運んで行きました。 
近所の休耕地にタヌキの巣穴があるので、そこを目指しているようで。 
獲物は未だ生きていて、途中で暴れました。 
1.5倍に拡大した上で、1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:48〜) 
それでも獲物の正体は不明です。
たまたま手前に写っている野ネズミよりも明らかに大きな動物をタヌキは運んでいます。 
雑食性のタヌキはキツネのように生きた獲物(哺乳類)を狩って捕食することは滅多にありません。 
虫や小動物(両生類や爬虫類など)を捕食する他、たまに動物の死骸を見つけて食べるぐらいです。 

獲物の候補として唯一考えられるとしたら、ニホンノウサギLepus brachyurus angustidens)の幼獣かもしれません。 
生後間もないノウサギの幼獣は、捕食者に襲われそうになっても逃げずにフリーズするだけなのだそうです。 
山形県で8月中旬のノウサギ幼獣は、生後数週から1か月程度の成長段階にあり、概ね独立し始めるタイミングですが、まだ親のテリトリー内で保護されている個体も多い時期です。 
この時期の幼獣は外敵に対して無防備なので、ホンドタヌキに捕食される可能性はあります。 

しかしタヌキの習性として、狩った獲物を生きたまま巣穴に持ち帰ることは考えにくいです。 
キツネの場合は、親が獲物を生きたまま巣穴に持ち帰り、キツネの幼獣に狩りの練習をさせるそうです。 
しかしタヌキの親はそのような狩猟教育をしません。 

以上のような消去法により、今回の親タヌキが運んでいた動物は、獲物ではなく我が子(当歳仔の幼獣)だったのかもしれません。 
首筋を咥えられて運ばれている途中にタヌキ幼獣が暴れたのでしょう。 
この時期のタヌキ幼獣(当歳仔)はもう自力で歩けるぐらいに成長しているはずですが、遠出して歩けなくなったり迷子になったりして、巣穴に連れ戻されるところなのかもしれません。 

別アングルに設置した監視カメラでも運搬シーンが撮れていれば、タヌキが運ぶ獲物?の正体がしっかり写っていたかもしれず、残念でなりません。 
タヌキの営巣地に設置したトレイルカメラはとっくに撤去しています。(草丈高い雑草が生い茂り、ほとんど何も写らないため。)

関連記事(2ヶ月前の撮影:獲物はおそらく野ネズミ)▶ 獲物を口に咥えて夜の獣道を運ぶホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】 


今回も記事を書く上でPerplexityAIとのブレインストーミングが役立ちました。


2025/10/24

日没前の水場に集まり水浴したりホオノキの落ち葉をめくって虫を探したりするクロツグミ♀♂の群れ【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年8月上旬 

シーン0:8/1・午前11:47・晴れ・気温35℃(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
山林の中に少し開けた湿地帯があります。 
湧き水や雨水が溜まった水溜りを野生動物や野鳥が水場として利用しに来るので、無人センサーカメラで見張っています。 

ちなみにこの日8/1、気象庁が東北地方南部の梅雨明けを宣言しました。 
平年と比べて8日遅く、前年と比べて10日遅い梅雨明けです。 

クロツグミ♀♂(Turdus cardis)の登場シーンをまとめてみました。 


シーン1:8/3・午後18:13・気温27℃(@0:04〜)日の入り時刻は午後18:49。 
薄暗い夕方に、クロツグミ♀と思われる地味な鳥が水場に集まっていました。 
クロツグミは体色に性的二型があり、背側が黒っぽい個体が♂で、茶色っぽい個体が♀です。 

湿地帯をホッピングで移動し、泥濘をあちこちつついてミミズなどを捕食しているようです。 
巨大なホオノキの巨大な落ち葉を嘴で素早くめくり、裏に隠れている虫を探しています。 

奥にある別の水溜まりNの付近で探餌活動する個体もいるのに、そっちに設置した監視カメラにはなぜか写っていませんでした。 
どこかでヒグラシ♂がカナカナカナ…♪と鳴いています。 

ヒヨドリが鳴きながら♪水溜まりSに飛来しかけたものの、何かに警戒したのか飛び去ってしまいました。(@1:17〜) 
先客であるクロツグミ♀♂の群れに遠慮したのかな? 
ヒヨドリが再び飛来し、水溜りSに着地するとすぐにけたたましく鳴きながら飛び去りました。(@1:41〜) 
その一瞬でもしかすると水を飲んだかもしれませんが、後ろ姿でよく見えませんでした。 
ヒヨドリの水浴は、水場の上空でホバリングしながら一瞬の着水で行うのが普通ですが、今回は水浴行動ではなさそうです。 
水浴できるかどうか、水溜りSの水深を確かめに来たのかもしれません。 
ヒヨドリが来ても、クロツグミ♀♂の群れは全く逃げませんでした。 

ようやく水溜りSで行水を始めるクロツグミ個体がいたのに、最後まで見届ける前に2分間の録画が終わってしまいました。 


シーン2:8/1・午後18:31・気温24℃(@2:04〜)日の入り時刻は午後18:51。 
実は2日前にも、日没前の薄暮にクロツグミらしき群れが登場していました。 
(説明の都合上、順番を入れ替えました。) 
赤外線による暗視動画は白黒(モノクロ)なので、鳥の同定は困難です。 

複数の鳥が水場に散開し、飛び回っている個体もいます。 
この地点で撮れた鳥の中で、過去最大の群れでした。 
巣立った雛(幼鳥)も含めたクロツグミの家族群ではないかと想像しています。 
鳴き声も録音されていました。 


※ 鳴き声や水浴の水音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
クロツグミの落ち葉めくり行動をこの地点で撮れたのは初めてです。

前半の自然光下で撮れた証拠映像から、クロツグミ♀♂の群れであることが分かり、今季の雛が無事に巣立ったことが確認できました。 
それがなぜ重要かと言うと、以前この地点でクロツグミの親鳥がヒキガエルの幼生(オタマジャクシ)を次々に狩っては雛鳥に給餌していたからです。
ヒキガエルの幼生にはブフォトキシンという強心配糖体の毒が含まれているはずなのに、雛が食べても無事だったということは、当地のクロツグミは毒に対して耐性を獲得している可能性があります。



つづく→

2025/09/20

池の底でアカハライモリが捕食していた物とは?

 



2024年7月上旬・午前11:55頃・晴れ 

里山にある池の水中で食事中のアカハライモリCynops pyrrhogaster)を見つけました。 
口に何か黒っぽい大きな餌を咥えています。 
腐った落ち葉などのデトリタスですかね? 
しかし、ちょっと味見してから、デトリタスをほとんど食べずに吐き出しました。 
餌を食べた瞬間を見逃してしまったのですが、落ち葉と一緒に何か小さい水生昆虫を捕食したのかな? 

池の底に沈んでいたアカハライモリの下半身が浮力で浮かび、きれいな赤い腹面が見えました。 
この模様で個体識別ができるのだそうです。 

やがてイモリは水中を左へ移動開始。 
手足を体の側面に沿わせて水の抵抗の少ない流線形になると、尾を左右にくねらせて素早く泳ぎます。 
泳ぎに手足を使わないので、アカハライモリの手足に水かきはありません。 
アメンボの幼虫やオタマジャクシ(カエルの幼生)がアカハライモリの近くに登場しても捕食しようとはせず、その下を潜って泳ぎ去りました。 

もしかして、アカハライモリは水中のデトリタスを食べることがあるのでしょうか?
Perplexity AIの回答によると、
アカハライモリはデトリタス(水中の有機物のかけら)を食べるのではなく、肉食中心の食性を持っています。主にミミズ、昆虫(幼虫や成虫)、カエルの幼生、魚卵や同種の卵などを捕食することが知られています**。特に水中で動く小動物によく反応し、動く生き物を捕まえて食べる傾向が強いです**。 また、幼体の頃には小さな無脊椎動物などを食べ、成長すると食性が多様化し、肉食性が強くなります。泳ぎはあまり得意でないため、水中の底にいる獲物を主に捕食しています。 まとめると、アカハライモリは基本的に肉食専門に近い雑食であり、動く水生昆虫やミミズ、幼生などを捕らえて食べるため、デトリタスのような有機物のかけらを食べることは基本的にありません。 そのため、飼育下でも生きた昆虫やミミズ、小魚など肉食の餌を与えることが推奨されています。

2025/09/19

単独産卵中のオオシオカラトンボ♀が捕食者に襲われると警護飛翔中の♂は身を挺して守るのか?

 



2024年7月上旬・午前11:40頃・晴れ 

低山の池でオオシオカラトンボ♀♂(Orthetrum triangulare melania)の産卵行動を観察していると、捕食者が現れました! 
トンボの撮影に集中していた私は気づかなかったのですが、トノサマガエルPelophylax nigromaculatus)が池で獲物を待ち伏せしていたようです。 
単独で飛びながら岸辺の水面に打水産卵を繰り返すオオシオカラトンボ♀に気づいたトノサマガエルが左からピョンピョン跳んできました。 
そのまま獲物に襲いかかろうとしたものの、オオシオカラトンボ♀は気づいて素早く飛んで逃げ、トノサマガエルの狩りは失敗しました。 

緊迫の瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:18〜) 
トノサマガエルが獲物を狩れる射程距離に入る前に、オオシオカラトンボ♀は逃げていました。 
このトノサマガエルはまだ若いのか、やや小さ目の個体でした。 

ここで興味深いのは、♀を産卵警護していた♂の反応です。 
産卵中の♀のすぐ上空でホバリング(停空飛翔)していたオオシオカラトンボ♂は、捕食者の接近を♀に警告したり、身を挺して♀を守ったりすることはありませんでした。 
カエルから逃げた♀の後を追いかけて♂も飛び去りました。 

警護飛翔する♂はあくまでも♀が浮気しないようにライバル♂から♀を守るだけであって、捕食者から配偶者をガードすることはないようです。 
(捕食者の接近を見張るための哨戒飛翔ではないようです。)
もしもカエルの待ち伏せ猟が成功していれば、オオシオカラトンボ♂はあっさり♀を見殺しにしたと思われます。


【考察】 
擬人化すると、今回オオシオカラトンボ♂の行動を見て騎士道精神に欠ける(甲斐性がない、頼りない)と憤慨・失望する人がいるかもしれません。 
しかし、利己的遺伝子の観点からは容易に説明できます。 
♂は命を賭して捕食者に立ち向かったり身を挺して♀を守るよりも、さっさと逃げて生き残れば、新しい♀と交尾して自分の子孫をもっと増やせるチャンスがあるからです。 
そもそもトンボは天敵(捕食者)に立ち向かえる武器を何も持っていません。 


この疑問をPerplexity AIに質問すると、以下の回答を得ました。 (参考文献へのリンクは割愛。)

オオシオカラトンボの♂が行う「警護飛翔」は基本的にライバルとなる他の♂トンボに対する縄張りや交尾相手(♀)の独占を目的とした行動であり、捕食者から♀を守るための直接的な防衛行動や警告行動ではありません。

理由と背景

  1. 警護飛翔の目的
     ♂は産卵中の♀を他の♂が奪うことを防ぐために♀の周囲を飛び回り、ホバリングしたり威嚇したりします。これは「産卵相手の独占」と「ライバルの排除」が主目的です。

  2. 捕食者に対する反応
     トノサマガエルやカエル類、クモ、カマキリなどの捕食者に対して、トンボの♂が積極的に捕食者を追い払ったり警告を発したりする報告は一般的に少なく、むしろ捕食者に気付いた♀や♂自身が素早く逃避飛翔します。
     ♂は捕食者に対して防御的に護衛する行動はとらず、攻撃的な防衛は行いません。

  3. 捕食者が近づいた際のトンボの行動
     捕食者の接近は非常に危険なため、♀も♂も逃げることが多く、♂の警護飛翔は捕食者認知や防御の役割は持たないと考えられています。

まとめ

  • オオシオカラトンボ♂の警護飛翔は「競争相手の♂トンボへの排除・威嚇行動」であり、

  • 捕食者からの防衛や警告ではない。

  • 捕食者接近時は♀自身が逃げるか、周囲のトンボも飛び去るなどして回避する。

よって、今回のトノサマガエルに♀が跳びつかれた場合に♂が防御的な行動をとらず、逃げて無事だったというのは、オオシオカラトンボの自然な行動パターンとして符合します。


 
ところで、トンボの中にはノシメトンボのように♀が打空産卵する種類もいます。 
打水産卵と打空産卵で産み分けているのはなぜでしょうか?  
オオシオカラトンボのように打水産卵する方が、産卵する地点の狙いを付けやすいのですかね?

トンボの「打水産卵」と「打空産卵」は、どちらも飛翔中に腹端をリズミカルに振る動作をとりますが、前者は腹端で実際に水面を叩き卵を水中や水面直下に産みつけるのに対し、後者は空中から卵をばら撒き水面や湿地、泥などに着地させる方法です。たとえばノシメトンボやナツアカネなど、同じアカネ属でも種や状況によって使い分けることがあります。dragonflykumamoto.fc2+1

なぜ産み分けるのか?

  • 産卵環境の多様化(=卵の生存戦略の幅)と、捕食リスク・生息地特性への適応が主な理由と考えられています。

    • 打泥産卵は泥の中、打水産卵は直接水中、打空産卵は水・湿地・泥の上など、卵を分散させて環境の変動や捕食からより多くの子孫を残す可能性を高めます。dragonflykumamoto.fc2

    • 打空産卵は捕食者(カエルなど)に狙われにくい高さを飛びながら産卵できる反面、卵が正確に水中に落ちないリスクがあります。global

打水産卵の狙い付けについて

  • 打水産卵は自分の腹端で「ここだ」と狙いを定めて直接水面を叩きつけるため、卵の投入位置をかなりコントロールしやすい利点があります。kobe-c+1

  • 一方、打空産卵では相対的に「着地する地点」が卵ごとにムラが生じやすく、特に風や空中の姿勢で散布状態になります。ただし「湛水域の安定」「季節的な水たまり」など長期的な生存戦略としては有効な場合も多いです。

まとめ

  • 打水産卵は「確実に水中へ」、打空産卵は「リスク回避&卵の分散」を組み合わせた適応行動です。とくに打水産卵は「狙いをつけやすい」産卵法に該当しますが、その分、捕食リスクもやや高くなります。kobe-c+2

  • 種や産卵場所、環境条件に応じて両法を使い分けるトンボもいます。

参考:トンボの産卵方法の多様性と戦略

 
確かに、打水産卵するトンボはカエルなどに捕食されるリスクがあることを今回まざまざと教えられました。

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2025/09/17

オニグルミの堅果に誘引される謎の夜蛾を狩り損なった野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年7月上旬・午後21:00頃 

シーン0:7/1・午後13:14・くもり(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
里山で野ネズミやリスを観察したくて、朽ちて斜めに倒れたスギの倒木に給餌箱をくくりつけました。 
真っ白なプラスチックの容器を再利用したのですが、白では山林内であまりにも目立つため、黒いビニールテープを容器の外側にグルグル巻きに貼って隠蔽しました。 
(本当は茶色や迷彩柄のテープを使いたかったのですけど、田舎ではすぐ入手できなかったので仕方がありません。) 
給餌箱に塗料を塗るのは野生動物にとって刺激に強い異臭になると思って、次善の策でビニールテープを使いました。 

今回の餌は、前年に拾い集めておいたオニグルミの堅果を餌箱に30個投入しました。 
果皮はすでに取り除いてあります。 
すると予想通り、野ネズミ(ノネズミ)が給餌箱に通ってきて、クルミをせっせと1個ずつ持ち去りました。 
(その動画は近日公開予定。) 


シーン1:7/1・午後21:41(@0:03〜) 
2頭の夜蛾が飛来して、餌箱の外側に止まりました。 
長いのでここは5倍速の早回しでお見せします。 


シーン2:7/1・午後21:58(@0:14〜) 
野ネズミが居なくなると、入れ替わるように夜蛾が左から飛来してスギの倒木に着地したものの、すぐにまた少し飛んでから容器内に着陸しました。 
どうやらオニグルミの匂いに誘引される、夜行性の蛾がいるようです。 


シーン3:7/1・午後22:02(@0:42〜) 
トレイルカメラが起動したことに驚いたのか、左の餌箱に来かけていた野ネズミが空荷で慌てて倒木を右へ逃げていきます。 
その間にも餌箱の付近を謎の夜蛾が飛び回っています。 

しばらくすると、さっき逃げた野ネズミが餌箱に駆け戻りました。 
餌箱の縁で夜蛾を見つけた野ネズミが素早く飛びかかろうとして、餌箱から下に落ちました。 
野ネズミの無鉄砲な狩りは失敗に終わり、夜蛾は素早く飛んで逃げました。 

野ネズミが夜蛾に襲いかかった決定的瞬間を1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:03〜) 
もしかすると狩りを試みたのではなくて、暗闇で顔のすぐ近くを飛んだ蛾に驚いた野ネズミが餌箱から飛び降りて逃げただけかもしれません。 
餌箱の地面からの高さを測り忘れましたが、野ネズミが落ちて死ぬような高さではありません。(数十cm)


シーン4:7/1・午後22:04(@1:17〜) 
約1分半後、監視カメラが何に反応して起動したのか不明です。 
戻ってきた夜蛾がしばらく飛び回ってから、餌箱内のクルミに着陸しました。 


シーン5:7/1・午後22:46(@1:29〜)
斜めの倒木を右から来た野ネズミが登ってきました。
しかし途中で立ち止まり、少し離れたところから餌箱を見ているだけです。
その間に謎の夜蛾が飛来し、クルミの餌箱に着陸しました。
野ネズミはフリーズしたまま微動だにしません。
さっき(約45分前に)の野ネズミと同一個体だとしたら、餌箱から落ちて痛い目に遭ったので、夜蛾を恐れるようになったのかな?



【考察】 
オニグルミの堅果(植物学的に厳密に言うと、核果状の堅果)の山を野外に給餌したところ、夜行性の蛾が1頭だけでなく複数が誘引され、飛来しました。
この謎の蛾の正体が気になります。
白黒の暗視映像では蛾の翅の色や模様も分かりませんし、現地で採集しないことには同定できません。
素直に推理すると、オニグルミの果実に産卵または吸汁する蛾がいることになります。

現場は低山にあるスギ植林地の端で、オニグルミの大木が近くに1本そびえ立っていました。
つまり、問題の蛾はオニグルミ樹上にある生の果実や枝葉の匂いに集まって飛び回っていたのに、私が地上付近に置いた古いクルミ堅果の山の匂いに撹乱されて寄り道しただけかもしれません。

いつものようにPerplexity AIに相談してみました。 
すると、果実吸蛾類ではないか?とおかしな回答をされました。
果実吸蛾類は果樹の液果に集まるのであって、堅果には来ないはずです。
オニグルミの果実は全く甘くありませんし、むしろ渋いタンニンが多く含まれています。
しかも、謎の夜蛾が誘引されたのは、果皮を剥いてから乾燥保存しておいた1年前の古いオニグルミ堅果です。
いくら悪名高い果実吸蛾類でも、クルミの固い殻に口吻を突き刺すことはできないはずです。
乾燥堅果自体には糖分・芳香成分が乏しく、蛾は吸汁・産卵の対象として認識しにくいはずなのに、複数個体が誘引されたのはとても不思議です。

次の仮説として、ハマキガ科のコドリンガCydia pomonella)をPerplexityは教えてくれました。
幼虫がバラ科果実やくるみ果実及び核子に食入し、加害する。(植物防疫所の病害虫情報サイトより引用)

つまり、クルミの実に産卵する蛾がいるらしいのです。
ところがよく調べると、コドリンガは欧州原産の外来種であり、日本国内にはまだ定着していないらしい。(「侵入生物データベース」サイトより)
私のフィールドは山形県なので、コドリンガの可能性は除外してもよさそうです。

最後にPerplexityは、食品害虫や貯穀害虫の蛾ではないか?と私が思いつかなかった仮説を教えてくれました。
確かに台所に保管した乾物やドライフルーツに蛾がよく集まって産卵し、幼虫が食害します。
日本の野山に生息する貯穀害虫の蛾の例としては、ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)が挙げられます。この蛾は世界中で知られる貯穀害虫で、穀物を中心に乾燥食品に産卵・幼虫が食害を起こしますが、日本国内でも野外で確認例があります。

貯穀害虫の野生生息・飛来可能性
ノシメマダラメイガは主に屋内や貯蔵施設での被害が多いため「貯穀害虫」と分類されますが、野外でも発生例が報告されており、山間部や林縁、果樹園付近などに普通に飛来します。

幼虫は穀物・乾燥植物質を食べるため、野山の落ち果実、落ち種子、乾燥した植物材にも自然に入り込み生息できる環境がある可能性があります。

乾燥堅果や植物種子を餌にしていることが確認されているため、野外に置かれた乾燥オニグルミ堅果に飛来する蛾として全くありえない話ではありません(Perplexityの回答)

ノシメマダラは以前飼育したこともあり馴染みのある蛾なので、トレイルカメラの映像は違うと自信を持って言えます。
白黒の暗視映像からは翅の色や斑紋が分かりませんが、ノシメマダラよりも大きくて幅広い翅を持つ種類でした。
例えばカシノシマメイガなどに近いかもしれません。

カシノシマメイガは主に人家周辺や貯穀庫で発生しますが、里山や山間部の林縁など自然環境にも普通に飛来・生息しています。したがって、里山のオニグルミ堅果に飛来した大型で幅広い翅を持つ蛾として十分に現実的な候補種です。(Perplexityの回答)

以上の考察は、あくまでも推理でしかありません。
再実験をして謎の蛾を採集するまでは、未解決のままです。
野外で蛾を採集する方法として様々なトラップ法が開発されてきましたが、私がたまたま考案した「クルミ・トラップ」や「ナッツ・トラップ」に集まる蛾を真面目に調べれば、何か面白いことが分かるかもしれません。
誰かがすでにやってるかな?



2025/09/14

山中の湿地で泥濘を掘り獲物の小動物を探すオオタカ【野鳥:トレイルカメラ】

 

2025年8月中旬・午後7:55頃・くもり・気温23℃ 

山林に少し開けた湿地帯があり、湧き水が滲み出して浅い水溜りになっています。 
水場に来る野生動物や野鳥を自動撮影カメラで長期間見張っています。 

酷暑が続く真夏のある朝、大型の猛禽が右から飛来したようで、泥水溜りの右の岸に着陸していました。 
この地点で撮れた鳥としては最大です。 
鳥の図鑑で調べると、憧れのオオタカAccipiter gentilis)でした。
顔に顕著な眉斑と黒い眼帯のある大きなタカ。(山渓カラー名鑑『日本の野鳥』p144より引用)
ちなみに和名のオオタカとは「大鷹」ではなく、「蒼鷹あおたか」から来ているのだそうです。 

てっきり狩りの直後かと期待したのですが、足元を見ても獲物を捕らえてはいませんでした。 
水場で水を飲んだり浴びたりしに来たはずなのに、オオタカは鋭い眼光でキョロキョロと周囲を見回しているだけです。 
監視カメラの存在に気づいて警戒しているのでしょうか? 
まさか水面のアメンボを狩るのかな? 

やがてオオタカは右を向くと、急に右へ歩いて行きました。 
足元の泥濘から何か物を嘴で拾い上げたものの、すぐに落としました。 
どうやらゴミを獲物(カエル?)と誤認したようです。 

画面の右端でオオタカが右を向いたまま静止しています。 
尾羽根しか写っていません。 
やがてその場で方向転換すると左向きになり、ようやく頭部が見えるようになりました。 
足元の泥濘を右足の鉤爪で何度も掻きました。(@2:08〜) 
新たに掘った穴に溜まる泥水を飲むのかと思いきや、泥濘からミミズ?を啄んだようです。 

次に監視カメラが起動したときには、オオタカが少し奥に飛んで移動した直後でした。 
湿地に転がっている落枝に乗ろうとしたら、表面のヌルヌルした泥でスリップしてバランスを崩しました。(@3:39〜) 
危うく無様に転んで泥だらけになるところでしたが、なんとか転ばずに踏みとどまりました。 

初めに着陸した地点に戻ったのに、依然として水溜りの水を飲もうとしません。 
その場で足踏みして方向転換すると、足元の泥濘を嘴でつついて何か(ミミズ?)を食べました。 

また画面右端の泥濘に移動し、しばらく右向きで佇んでいます。 
最後にようやく右へ飛び去りました。 
力強い羽ばたきを1/3倍速のスローモーションでリプレイしても、広げた翼の下面は見えませんでした。 

※ 最後に飛び立つ羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】
結局このオオタカ個体は、一体何をしに湿地帯の水場に来たのでしょうか? 
10分間以上も長居したのに、飲水も水浴もしませんでした。 
猛暑が続く夏は獲物がほとんど捕れないのか、湿地で小動物(カエルやミミズなど?)をちまちまと啄んでいる姿は精悍なオオタカのイメージらしくありません。 

バードリサーチニュースでオオタカの食性について調べると、
食性と採食行動: 主にスズメやムクドリなどの小型鳥類から,ハトやカラス,キジといった中型の鳥類を主に捕食する(前橋営林局2000).また,割合は低いが,ネズミやリス,モグラ,イタチ,ノウサギといった哺乳類も捕食する.なかには両生類や爬虫類を捕食したという記録もある.オオタカの狩りは,数分間の止まりと飛行を繰り返して餌動物を探し,止まり場所から餌動物へ襲いかかる.また,高空を飛行しながら,あるいは高い鉄塔などから急降下したり,地形や建物に沿って低空を飛びながら餌動物に近づいて襲ったりもする.時には,地上を歩きながら,草むらに隠れる小鳥やネズミなどを探すこともある.

今のところ、この水場にオオタカが登場したのはこれっきりです。 



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