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2024/04/25

ミズキの根元で夜に虫を捕食するホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年8月上旬・午後22:33 

ニホンアナグマMeles anakuma)が転出した後の旧営巣地に、ある晩ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が単独でやって来ました。 

ミズキの根元の匂いを嗅ぎ、何か昆虫らしき獲物を捕食しました。 
暗闇で逃げ回る虫を狩った瞬間はタヌキが後ろ姿になってしまい、獲物の正体がよく見えず残念でした。 

アナグマの巣穴Rには興味を示さず、左へ立ち去りました。 

つづく→

2024/04/21

二次林内で虫を捕り脱糞するハシブトガラス【野鳥:トレイルカメラ】

 

2023年8月上旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の家族が転出した後の旧営巣地にハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が現れるようになりました。 

シーン0:8/3・午後16:45・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 


シーン1:8/1・午後13:51(@0:03〜) 
昼下がりに飛来したハシブトガラスが、巣穴Rの真上に張り出した灌木(樹種はミズキ?)の細い幹に止まって辺りをキョロキョロと見回しています。 
やがて少し上の枝に飛び移り、尾羽根の先しか見えなくなりました。 


シーン2:8/1・午後14:03(@0:46〜) 
奥の林床から飛び上がり、林縁の細い灌木に止まりました。 
しばらくすると、左へ飛び去りました。 

正直に言うと、やや遠くて動画ではカラスの種類を見分けられないのですが、林内に来るのはjungle crow(ハシブトガラス)だと思われます。 
(一方ハシボソガラスは平地を好む。) 
やがてトレイルカメラの死角から、カーカー♪と澄んだ鳴き声が聞こえてきました。(@1:02〜) 
確かにこれはハシブトガラスの鳴き声です。 


シーン3:8/1・午後14:09(@1:11〜) 
1羽のカラスが林縁で太い木質の蔓に止まっていました。 
止まり木で嘴を開けっ放しにしているのは、暑さに喘いでいるのでしょう。 
(旧機種のトレイルカメラは、なぜか動画モードで気温データが取得できないのが残念です。) 

太い蔓を少し登ると、尾羽をピョコピョコ上下させながらカーカー♪と澄んだ声で鳴きました。 
この鳴き方の特徴はハシブトガラスです。 
嘴が細く見えるのですけど、ハシブトガラスの幼鳥なのかな? 
次は尾羽を持ち上げながら蔓の上から脱糞したようです。(@1:34〜) 

どうやら別種の小鳥がハシブトガラスの左上で飛び回っています。 (カラスへのモビング?)
黒っぽく見えるのでヒヨドリかな? 
樹上にある鳥の巣をカラスが狙っているのかと思いきや、ハシブトガラスは左下の林床に飛び降りてしまいました。
トコトコ歩いて二次林内を左へ。 
ハシボソガラスに比べてハシブトガラスは両足を揃えて跳んで移動するホッピングが得意とされているのですが、両足を交互に前へ出すテクテク歩行(ウォーキング)もやるので、歩き方だけからカラスの種類を見分けることは困難です。 

関連記事(5年前の撮影)▶ ホッピングで道を渡るハシブトガラス(野鳥) 


シーン4:8/4・午前9:45・晴れ・気温32℃(@2:11〜) 
3日後は午前中からハシブトガラスが登場しました。 
なぜか右下の木漏れ日が特に眩しくなっています。 

右から林床をトコトコ歩いて来たカラスが、手前の細い灌木(枯枝)にひょいと飛び乗りました。 
その枯枝に居た何か虫をパクっと捕食しました。(@2:30〜) 
獲物を咥えたまま、地面に飛び降りてカメラの死角に消えました。 
狩りのシーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:44〜) 
スローで見直しても、残念ながら獲物の正体(昆虫?)を見極められませんでした。 


シーン5:8/4・午前9:45・(@3:40〜) 
別アングルに設置した広角の監視カメラで続きが撮れていました。 
奥の林床で、何か餌を足で押さえつけながら啄んでいます。 
さっき狩った虫をここまで運んできて、食べているのかもしれません。 
食後はホッピングで林床を右へ移動し、朽ちた切株の上にヒョイと飛び乗ると、辺りを見回しましています。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。


2024/04/20

ホンドタヌキの溜め糞場に集まるキンバエを襲って狩るキイロスズメバチ♀

 

2023年7月下旬・午後14:30頃・晴れ 

東北地方南部が梅雨明けを宣言した日、スギ防風林の倒木横に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場phを見に行きました。 
タヌキの新鮮な糞が追加されていた中に黄色い顆粒状の糞が大量に含まれていたのは、未消化のトウモロコシですかね?(真面目に糞分析をしていません。) 
タヌキの溜め糞場phから生えてきた実生は、常緑低木のヤブコウジかもしれません。 
だとすれば、ヤブコウジの赤い実を食べる種子散布者はヒヨドリだけでなく、タヌキになります。 

キイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀1匹が低空で溜め糞上を飛び回り、獲物を探しています。 
何度も繰り返し通ってきていました。 
キンバエの仲間やニクバエの一種が糞塊に多数群がって吸汁していましたが、キイロスズメバチ♀が低空で飛来すると素早く飛び去ってしまいます。 
たまたま溜め糞phに来ていたザトウムシの一種が目の前のキイロスズメバチ♀を牽制するように立ち向かった(ように見えた)のが意外でした。 
あんなヒョロヒョロの歩脚で勝ち目はあるのでしょうか? 

キイロスズメバチ♀の探餌飛翔を粘って動画に撮り続けると、逃げ遅れたキンバエに襲いかかり、見事仕留めました。 
溜め糞場で獲物を待ち伏せするキイロスズメバチ♀はこれまで何度も見てますが、狩りの成功シーンを観察できたのは初めてで興奮しました。

関連記事(2、10、11年前の撮影)▶  

捕らえたキンバエを抱えてすぐに飛び去ったので、キイロスズメバチ♀が肉団子を作るシーンは撮れませんでした。 
どこか近くに止まり直して獲物を噛みほぐしながらじっくり肉団子を作り、それを自分の巣に持ち帰って幼虫に給餌したはずです。 

狩りの様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@0:44〜1:34) 
キンバエの方が圧倒的に敏捷で反射神経も優れているのに、鈍臭い個体が慌てて逃げ損ね、キイロスズメバチ♀の目の前に落ちてしまったのが運の尽きでした。 

その後も溜め糞場phで私がしばらく待っていると、キイロスズメバチ♀が再び飛来しました。 
おそらく狩りの成功体験を得た同一個体が学習して同じ狩場に戻ってきたのでしょう。 
再びキンバエに襲いかかっても、素早く逃げられてしまいます。 
オオヒラタシデムシNecrophila japonica)の成虫・幼虫やワラジムシPorcellio scaber)、オカダンゴムシArmadillidium vulgare)など体が硬い外骨格で守られている虫には決して襲いかかりませんでした。 
溜め糞に着地したキイロスズメバチ♀は、ちょっと身繕いしてから再び飛び立ちます。 
動画素材の順序を編集で入れ替えて、狩りの失敗シーンを成功シーンの前にもってきました。

2024/04/19

アナグマの巣穴付近で餌を探すシジュウカラ【野鳥:トレイルカメラ】

 

2023年7月中旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の家族が転出した後の旧営巣地をトレイルカメラで見張っていると、昼間にシジュウカラParus minor minor)が現れました。 


シーン0:7/13・午前16:33・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
若い二次林の林床にアナグマが掘った巣穴Rが開いています。 


シーン1:7/17・午前9:47(@0:04〜) 
モノクロ映像で被写体のシジュウカラが小さいので、1.5倍に拡大した上でまずはご覧ください。 
後にオリジナルの映像でリプレイします。 (@2:06〜)
アナグマが巣穴を掘った土砂を外に捨てる際にできる特有の斜面や溝をアクセストレンチと呼びます。 
巣口Rから右に伸びたアクセストレンチで、シジュウカラがピョンピョン跳んで移動(ホッピング)しながら地面をしきりに啄んでいます。 
採食しながら巣口Rの縁ギリギリまで行くものの、巣内には決して侵入しませんでした。 


シーン2:7/17・午後12:04(@1:04〜) 
2時間15分後の正午頃に、右手前に生えた灌木の細い枝にシジュウカラが止まっていました。(赤丸に注目) 
周囲の安全を確認すると、少し奥に生えた細い蔓に一旦飛び移ってから、地上に飛び降りました。 

今度は左側の穴Rlに入り、その少し奥でも採食しました。 
巣口Rの周囲に生えたマルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)灌木の根本で嘴を拭ったり、羽繕いしたり、落葉を嘴でめくって虫を探したりしています。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】
アナグマの巣穴(現在はタヌキもときどき出入りしている)にシジュウカラが繰り返しやって来る理由は何でしょう? 
監視映像を見ると、昼も夜もハエやアブが巣穴の回りを常にブンブン飛び回っています。 
アナグマが掘った巣穴の中には枯れ草などの巣材が大量に溜め込まれていて、その寝床は幼獣の糞尿で汚れて堆肥状になっているはずです。(古巣内に残された巣材を実際に見たことはありませんが。)
私の嗅覚では巣口が特に臭いとは感じないのですが、それに誘引される食糞性昆虫や分解者がいるのでしょう。 
実際に現場検証すると、キイロコウカアブPtecticus aurifer)をよく見かけます。 
アナグマの巣口付近に通うシジュウカラは、キイロコウカアブの老熟幼虫や囲蛹を捕食しているのかもしれません。 


【参考文献】
櫻庭知帆; 小林秀司; 髙﨑浩幸. キイロコウカアブはニホンアナグマを対象とした自動撮影カメラの設置適地を教えてくれる. Naturalistae, 2016, 20: 57-60.


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2024/04/16

ネジバナの花から飛び立ち獲物を捕食するナツアカネの未成熟♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年7月下旬・午後14:30頃・曇りときどき晴れ 

山麓の水路沿いの小径に咲いたネジバナ花序の天辺に未成熟のナツアカネ♀(Sympetrum darwinianum)が止まっていました。 
翅を深く下げて休んでいます。 
右中脚の先(跗節)が欠損している個体でした。 
狩った獲物に必死で反撃されて足先を噛み千切られたのかもしれません。
今回初めて知ったのですが、図鑑『日本のトンボ』によると、ナツアカネ♀は翅の基部に橙色斑が現れる個体もいるとのこと。 

頭部をグリグリ動かして大きな複眼で上空を油断なく見張り、何か他の昆虫が飛来すると直ちに飛び立ちます。 
獲物を待ち伏せする上でこのネジバナはお気に入りの止まり場らしく、飛び立ってもすぐに同じ花序に戻って来ます。 
ネジバナに訪花すると言っても、花蜜や花粉が目当てではありません。
花に止まる向きにはこだわらないようです。 
ちなみに、この株は右回りにねじれて咲く螺旋花序でした。 (野生のネジバナで螺旋の向きは、右回りと左回りの株が1:1で見つかるらしい。) 

この個体がネジバナの花序に離着陸する瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:17〜1:13) 
ナツアカネ未成熟♀は、左上を見上げてから飛び立ちました。 
離陸直前にフェイントをかけるように、スクランブル発進の角度を変えたのが興味深く思いました。 
上空を高速で通り過ぎる獲物に対応して、軌道を先読み(高速軌道計算)したのでしょう。 
すぐに同じネジバナに戻ってきて着陸。 
前回とほぼ同じ方向に止まりました。 
しっかり横を向いてくれたときにトンボの口元に注目すると、獲物を咥えてなかったので、狩りには失敗したようです。 

狩りに成功したシーンは高画質のFHD動画で撮れていました。 
ネジバナの天辺から飛び立って戻ってきたナツアカネ♀は、口に何か小さな黒っぽい昆虫を咥えていました。 
その場でムシャムシャと獲物を咀嚼して捕食します。 
食事に脚を使うことは全くありません。 
この獲物を食べ終える前に、ナツアカネ♀が再び飛び立ちました。 
今回の狩りは失敗したようです。 (獲物に逃げられた)
食べかけの獲物を咀嚼し続けて、完食しました。 
捕食中に、手足を使わずに口の動きだけで、獲物の食べられない翅を落としました。 
この食べ残しを拾ってじっくり調べたら、獲物の正体が大まかにでも突き止められたかもしれませんね。 
後半は、狩りの成功シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:19〜) 

このナツアカネ♀個体は観察の後半になると、ネジバナの花から移動して近くの下草(イネ科)に止まり直しました。 
後ろ向きでは口元が見えず、狩りの成否が不明です。 
それでも背側から撮れたので、順番を入れ替えて冒頭シーンに採用しました。 
周囲の林からミンミンゼミ♂(Hyalessa maculaticollis)♂の鳴く声♪が聞こえます。 


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2024/04/06

ニセアカシア樹上で青虫を狩って肉団子を作るセグロアシナガバチ♀

 

2023年7月中旬・午前10:20頃・くもり 

道端のニセアカシア(別名ハリエンジュ)セグロアシナガバチPolistes jokahamae)のワーカー♀が葉に止まっていました。 
前伸腹節に黄紋が無いので、キアシナガバチではなくセグロアシナガバチと分かります。 

背側から見ても何をしているのか分からなかったのですが、葉の表面の水滴または甘露を舐めているのかと初めは想像しました。 
ニセアカシアに花外蜜腺があるという話は見聞きしたことがありません。 
本家のアカシアには花外蜜腺があるらしいです。 
実際に隣の葉には、アブラムシの甘露が乾いたような痕跡が残っています。 
しかし朝露は付いていませんでした。 

突風が吹いてニセアカシアの葉がめくれても、セグロアシナガバチ♀は振り落とされず葉にしがみついています。 
撮影中は気づかなかったのですが、動画をじっくり見直すと、小さな青虫を大顎で咥えて肉団子にしているところでした。 
蜂の口元がよく見えるよう、画面を2倍に拡大した上で1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
ニセアカシアの葉を食べる蛾の幼虫(種名不詳)を狩った直後だったようです。 
蜂に胸部を噛まれた青虫は必死で暴れています。 
セグロアシナガバチ♀が獲物の肉団子を持って巣に飛び去るシーンはうまく撮れませんでした。

フィールドで少しでも気になることがあったら、駄目元で何でも動画で記録しておくのが大切です。 
(何でもなければ動画ファイルを削除すればよいのです。) 
風が強くて虫撮りには最悪のコンディションでしたが、スローモーションにすれば気にならなくなります。 
むしろ、突風が吹いて蜂が横を向いてくれたおかげで、何をしているのか判明しました。 

私のフィールドでは最近、キアシナガバチに代わってセグロアシナガバチが増えてきたという印象があります。 
以前、私にとってセグロアシナガバチはレアだったのに、もはや珍しくなくなりました。
定量的にきっちり調べた訳ではありませんが、温暖化や都市化が進行した影響なのかと疑っています。 

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2024/03/26

タヌキの溜め糞場で狩ったキンバエを隠れ家に運んでから捕食するサビハネカクシ

 

2023年7月上旬・午後14:00頃・晴れ 

里山のスギ林道でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場sを定点観察しています。 
前年(2022年)にはトレイルカメラを設置して監視したのですが、今季はカメラの台数が足りず、他所に回しています。 

この日は比較的新鮮な糞が残されていました。 
未消化の種子が糞にたくさん含まれています。 
この時期のタヌキはヤマザクラやウワミズザクラの果実を食べたのではないかと予想しているのですけど、いつか真面目に糞分析をしないといけません。 

糞塊に多数群がっていたハエはキンバエの仲間(種名不詳)がメインで、他にはニクバエの仲間(種名不詳)およびキバネクロバエMesembrina resplendens)が来ていました。 
甲虫ではクロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)の成虫、サビハネカクシOntholestes gracilis)および謎の糞虫(種名不詳)が集まっていました。 

複数いたサビハネカクシの中で一匹に注目してみましょう。
獣糞から吸汁しているキンバエ類を追い回すものの、ハエは素早く飛んで逃げてしまいます。 
サビハネカクシが狙うのはハエ類だけで、硬い鞘翅で身を守る甲虫のクロボシヒラタシデムシを襲うことはありません。 
失敗続きの狩りを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
最初の例ではハエに襲いかかるのではなく、なぜか尻尾を振ってハエを追い払っていました。 
微小なアリ(種名不詳)にも襲いかかったものの、小さ過ぎて逃げられました。(邪魔なアリを狩場から追い払ったのかも知れません。) 
しばらくすると、サビハネカクシは狩りを諦めて糞塊の縁の下に潜り込みました。 

次は何を撮ろうかと私が目移りしている間に、別個体のサビハネカクシが溜め糞上で狩りに成功しました! 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、待ち伏せ猟ではなく、キンバエの斜め後ろから忍び寄り、襲いかかって仕留めていました。 
油断していたキンバエは激しく羽ばたいて逃げようとするものの、サビハネカクシは獲物の左翅の根元付近にしっかり噛み付いていました。 
溜め糞場で捕食者による殺戮が行われても、周囲の食糞性昆虫たちは全く無関心でした。 

胸部を噛み砕かれた獲物がおとなしくなると(絶命)、サビハネカクシは急に方向転換して、獲物を咥えたまま走り出しました。 
ライバル(捕食者)の多い溜め糞場では獲物を横取りされるリスクがありますから、急いで離脱したのでしょう。 
ときどき立ち止まると、少し上に曲げた尻尾を嬉しそうにグルグル回しています。 
スギ林床の落葉落枝をどんどん乗り越えて進んで行きます。 
ようやくスギ落ち葉の上で落ち着くと、落ち着いて捕食を開始。 
翅を広げたまま動かなくなったキンバエを仰向けにして胸部を食べています。 
肉食性のハネカクシは、獲物の体液を吸汁するのではなく、固形物として肉を噛み砕いて飲み込むのだと思うのですけど、じっくり観察できませんでした。 
タヌキの溜め糞に集まる他の虫に気を取られて私がちょっと目を離したら見失ってしまったたのです。 
スギ落ち葉の上で静止すると、サビハネカクシは保護色で全く目立ちません。 
完食するまで見届けるべきでしたね。 

サビハネカクシが狩りに成功して獲物を捕食したシーンは、これが初見です。 
念願だった狩りのシーンがようやく撮れて感無量。 
狩りの直後に離れたところまで獲物を持ち去るとは知りませんでした。 
貯食したり求愛給餌したら面白いのにな…と期待したのですけど、獲物を自分で食べました。 


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2024/03/20

タヌキの溜め糞場でキンバエを狩れないアカバトガリオオズハネカクシが同種間で喧嘩

 

2023年7月上旬・午後12:20頃・くもり 

里山の急峻な尾根道でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残したと思われる溜め糞場qをときどき定点観察しています。 
この日は新鮮な糞が追加されていました。 
タヌキの糞には、未消化の種子だけでなく獣毛も含まれていました。 
ウグイス♂のさえずる鳴き声♪が聞こえます。 

キンバエの仲間(種名不詳)、ニクバエの仲間(種名不詳)、キバネクロバエMesembrina resplendens)など多数のハエが泥状の獣糞に群がって吸汁していました。 

甲虫では、少なくとも3匹のアカバトガリオオズハネカクシ(旧名アカバハネカクシPlatydracus brevicornis)がタヌキの溜め糞場qに集まっていました。 
肉食性なので、糞塊の上をうろついて近くのハエに襲いかかろうとしています。 
しかしハエの方が反射神経でも敏捷性でも優れており、アカバトガリオオズハネカクシが近距離までにじり寄っても横歩きや後退りであっさり逃げてしまいます。 
ハエ類は警戒を怠らず、肉食性ハネカクシから常に安全な距離を取りながら、吸汁しています。 
アカバトガリオオズハネカクシの中には、獲物を追い回すのを諦めて、溜め糞上の小さな巣穴に潜り込んで獲物を待ち伏せする作戦に切り替えた個体もいます。 
それでも狩りは失敗続きです。 
三脚を立てて長時間じっくり動画撮影しないと、狩りの成功シーンを撮るのは難しそうです。 
肉食性のハネカクシ類はハエの幼虫(蛆虫)も狩るはずなので、産卵前のハエ♀を追い払うのは得策ではないはずです。 



複数のアカバトガリオオズハネカクシが獲物を追い込んで挟み撃ちにする高度な協同作戦はしませんでした。 
それどころか、アカバトガリオオズハネカクシ同士が出会う度に激しい喧嘩になります。 
狩場を巡る縄張り争いがあるのでしょう。(占有行動) 
アカバトガリオオズハネカクシ同士の喧嘩は初見です。 
喧嘩は毎回一瞬で終わり、すぐに離れます。 
相手構わず(獲物にも同種にも)襲いかかるということは、アカバトガリオオズハネカクシはよほど飢えていて殺気立っているのかな? 
狩りに失敗続きのアカバトガリオオズハネカクシが苛々して同種に八つ当たり? 

アカバトガリオオズハネカクシ同種間の闘争を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@3:08〜) 
2匹が出会い頭に相手の大顎にすばやく噛み付きました。 
大顎で噛み合いながら、やや小型の個体は腹部を前方に曲げて腹端を相手に向けました。 
腹端にある一対の棘(正式名称は?)で相手の頭部を狙ってサソリのように攻撃するのでしょうか? 
この行動は同種間の喧嘩で繰り返し見られましたが、スロー再生すると実際に相手を刺してはいませんでした。 
腹端を相手に向けて排泄物や分泌物などを放出したようにも見えません。 
したがって、ただの威嚇や儀式的な攻撃と考えられます。 
ハネカクシの性別の見分け方を私は知らないのですが、もしかして♂が腹端の把握器で♀を確保しようとする配偶行動だったりしますかね? 
大型個体も噛み合いながら少しだけ腹端を上に持ち上げていました。 

喧嘩は一瞬で決着が付き、2匹は離れて行きます。 
大型個体が常に勝利を収めるようで、小型個体が逃げ出します。 
殺し合いではなく、ライバルを狩場から追い払いたいだけのようですが、逃げた相手もすぐにまた戻ってくるので埒が明きません。 
アカバトガリオオズハネカクシが同種間で共食いする可能性もあるのでしょうか? 
ラストシーンでは、獣糞の下の隠れ家から追い出された個体が振り返って反撃…したように見えました。 
しかしスローモーションを何度も見直すと、横の落ち葉の下に潜んでいた別個体が糞塊の外に出てきた個体を攻撃していました。 
(アカバトガリオオズハネカクシ3匹の喧嘩) 


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2024/03/15

ニホンアナグマの溜め糞場で野ネズミが食べている物とは?【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2023年6月下旬・午前2:40頃 

平地のスギ防風林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の溜め糞場stmpで深夜に野ネズミ(ノネズミ)が何かを食べていました。 
残念ながら食べているメニューを映像から見極められませんでしたが、3つの可能性が考えられます。 
さすがにアナグマの糞(軟便)そのものは食べないはずです。 

(1)糞塊に蠢く糞虫やウジ虫など食糞性の昆虫類(分解者)。 
栄養価も高く、数としては圧倒的に多いはずです。 

(2)溜め糞の糞便臭に誘引されて飛来する夜行性の蛾。 
この動画の最後でも夜蛾が飛来しました。 
直後に野ネズミが夜蛾に襲いかかったかもしれないのに、狩りの瞬間を撮り損ねてしまって残念無念。 

(3)溜め糞に含まれる未消化の種子。 
アナグマの主食はミミズと言われていますが、実際は雑食らしいです。 
前日の昼間に撮った溜め糞stmpの写真に未消化の種子と思われる小さな粒々がしっかり写っていました。 
下に再掲します。 
いつか糞の内容物をしっかり調べれば、アナグマによる種子散布の実態も分かってくるはずです。(なかなか忙しくて余力がありません)




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・『おもしろいネズミの世界 : 知れば知るほどムチュウになる
 
溜め糞stmpの左の表面に未消化の種子

2024/03/13

巣穴の近くで地面を掘って餌を探すニホンアナグマのヘルパー♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月下旬〜7月上旬

ニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀が幼獣4頭を連れて生まれた巣穴 から転出すると、トレイルカメラにアナグマが写る頻度が激減しました。
転出先の巣穴の位置が突き止められていればそっちに監視カメラを設置し直すのですが、分からないので、同じ営巣地(セット)の監視を惰性で続けることにします。
(たまに面白い発見があるので、惰性の観察も侮れません。)


シーン1:6/29・午後14:41・晴れ・気温26℃(@0:04〜) 
手前の巣穴Lから外に出てきたばかりと思われる個体が、左へ立ち去りました。 
(出巣Lのシーンを撮り損ねたようです。)
2つの巣口LRの間の広場が、林冠ギャップによる日溜まりになっています。 

余談ですが、いつの間にか画面の左に造網性クモの垂直円網が斜めに張られていました。 
このカメラアングルでは、風に揺れている網がほとんど直線に見えます。 
(白い円網にピントは合っていませんが、中央のこしきにクモが占座しているようです。) 
アナグマの巣口L周辺を飛び回るヤブ蚊?やキイロコウカアブなどの双翅目を効率よく捕食できる場所なのでしょう。 

【参考文献】 
櫻庭知帆; 小林秀司; 髙﨑浩幸. キイロコウカアブはニホンアナグマを対象とした自動撮影カメラの設置適地を教えてくれる. Naturalistae, 2016, 20: 57-60. 


シーン2:6/29・午後13:34・晴れ(@0:28〜) 
別アングルに設置した広角の監視カメラで明るい時間にたまたま撮れた現場の様子です。 
少し遠いですが、右の巣穴Rの入口付近でハエ?やキイロコウカアブ?が飛び回っています。 


シーン3:6/30・午前3:44・気温20℃(@0:28〜) 
日付が変わった未明に、アナグマが奥の広場に登場しました。 
営巣地(セット)周辺の地面の匂いを嗅ぎ回り、左下に立ち去りました。 

左右の目の大きさが均等なので、母親♀ではなくヘルパー♂だと思いますが、ほっそりした体型に見えます。 
腹面に乳首の有無を確認できませんでした。 
出産育児の過労から解放された母親♀の疲れた目つき(右目<左目)が回復したのでしょうか? 
完全に余所者(新顔)の♀がやって来たのかも知れません。 



シーン4:7/3・午前4:32・気温19℃(@1:25〜)日の出時刻は午前04:18。 
3日後の明け方に左から来た個体が、手前の巣穴Lから伸びるアクセストレンチを右前足で掘っていました。 
顔つきがずんぐりむっくりしているので、ヘルパー♂が成獣の体つきに近づいてきたような気がします。 
巣口Lを点検したものの、中には入らずに近くで地面を掘り返してミミズを探しています(探餌)。 
身震いしてから右下に立ち去りました。 


シーン5:7/3・午前4:35・(@2:14〜) 
2分後に戻ってきたアナグマが画面右端エリアをうろついています。 
残念ながら顔を見せてくれませんでした。 


【考察】
ニホンアナグマの母子が転出してヘルパー♂だけが取り残されたと私は初め思いました。
気ままな独身生活を送るようになったのかもしれませんが、それにしても巣穴への出入りが監視カメラになかなか写っていません。
あるいは、家族と一緒に引っ越した後もヘルパー♂がときどき前の営巣地(セット)に戻ってきて、巣穴を点検したりメンテナンスしたりするだけなのかもしれません。

アナグマ家族がどこか別の巣穴へ転出した理由はもしかすると、梅雨の長雨で巣内が水浸しになり、中の巣材が濡れてカビが生え、住めなくなったのかもしれません。(居住環境の悪化)
ファイバースコープを巣穴に突っ込んで中を観察してみたいのですが、観察1年目の今季はとにかくアナグマを刺激しないように自重します。
濡れた巣材を外に干して乾かす行動をするとアナグマ関連の本で読んでいたものの、私は未だ実際に見たことがありません。 




ニホンアナグマの溜め糞場で獲物を待ち伏せするサビハネカクシがキンバエを狩り損なう

 

2023年6月下旬・午後12:45頃・くもり

スギ防風林で朽ちた切株の横に残されたニホンアナグマMeles anakuma)の溜め糞場を定点観察しています。 
鬱蒼としたスギ植林地の林床は、昼間でもかなり薄暗くなっています。 
黒い軟便が溜まった新鮮な糞塊にサビハネカクシOntholestes gracilis)が2匹乗っていて、獲物を待ち伏せしていました。 
尻尾を少し持ち上げてゆっくり回す行動が気になります。 
猫が獲物を狩ろうとする前の興奮した心理状態を表す仕草を連想しました。 
やがて、1匹のサビハネカクシが溜め糞から吸汁していたキンバエの仲間(種名不詳)に斜め後ろから忍び寄りました。 
しかし狩りは失敗に終わり、キンバエは素早く飛んで逃げ糞塊上の落枝に着陸し直しました。 
クロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)の幼虫エンマムシの仲間の成虫(種名不詳)も溜め糞上を徘徊したり潜り込んだりしているのですが、固い鎧で身を固めた甲虫類にサビハネカクシが襲いかかることはありません。 
溜め糞場で肉食性のハネカクシ類が狩りに成功する瞬間を動画に撮るのが今季の目標です。
失敗続きでもめげずに地道に動画を撮り続けるしかありません。

動画を撮影中に画面を黄色っぽい昆虫が低空かつ高速で飛び回っています。 
ようやく溜め糞の横の下草に止まったので接写してみると、キイロコウカアブPtecticus aurifer)でした。 
性別の見分け方を知らないのですけど、交尾相手のキイロコウカアブ♀が吸汁・産卵のため溜め糞場に飛来するのを待ち伏せしている♂なのでしょうか? 

アナグマの溜め糞に隣接するスギの落ち葉に微小なアリ(種名不詳)が群がっていました。 
アリは泥状の軟便の上を歩きたくないようです。
左の黒い糞塊には未消化の種子が含まれていた。

2024/03/09

ニホンアナグマの溜め糞場に飛来した夜蛾を捕食する野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年6月下旬・午後22:00頃 

平地のスギ防風林に残されたニホンアナグマMeles anakuma)の溜め糞場stmpをカメラトラップで監視すると、野ネズミ(ノネズミ)がよく写ります。 
明るい昼間に撮った現場の様子はこちらです。 

一方、夜になると暗闇のスギ林の中を夜行性の蛾が複数飛び回っています。 
ある晩アナグマの溜め糞場stmpに来ていた野ネズミが、溜め糞から飛び立った(あるいはたまたま低空で飛来した?)夜蛾に襲いかかりました。 
蛾は素早く飛んで逃げ、狩りに失敗した野ネズミは手前の切株へ立ち去りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 

わずか1分半後、次にトレイルカメラが再び起動すると、溜め糞の横で野ネズミが夜蛾を捕食していました。 
狩りに成功した瞬間を撮り損ねたのが残念無念。 
獲物の翅はちぎってその場に捨て、胴体だけを食べています。 
野ネズミの肉食行動は初見で、感動しました。 
野生動物のトイレでは食物連鎖の様々なドラマが静かに繰り広げられているのです。

映像からは餌食となった蛾の種類を見分けられません。
この時期(昼間)はトンボエダシャクがよく飛び回っているのを見かけますが、なんとなくシャクガ科ではなくヤガ科のように見えます。 
夜行性の蛾の中に獣糞で吸汁する種類がいるらしいということは、過去にも観察しています。 
昼行性の蝶と同じく、性成熟に必要なミネラル成分(ナトリウムイオンやアンモニウムイオンなど)を獣糞から摂取しているのでしょう。

2024/03/02

モリアオガエルの泡巣で吸汁するニクバエ

 



2023年6月中旬・午後12:20頃・晴れ 

梅雨の時期になると、山中の池の岸辺でミヤマガマズミなどの枝先にモリアオガエルRhacophorus arboreus)の卵塊がいくつも産み付けられます。 
その一つにホソヒラタアブ♀だけでなくニクバエ科の一種(種名不詳)も飛来しました。 
口吻を伸縮させて、乾いた卵塊の表面を舐め回しています。 

後半は、体格差のあるニクバエ2匹が並んで吸汁していました。 
なんとなく同種の♀♂かと思ったのですが、求愛交尾行動には発展しませんでした。 

ホソヒラタアブよりもニクバエの方が図太く、赤アリ(種名不詳)が近寄ってもあまり気にしません。 


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2024/02/28

川を遡上しながら岸辺の虫を捕食するカルガモ幼鳥の群れと付き添う親鳥♀(野鳥)

 



2023年6月中旬・午後14:15頃・晴れ 

岸辺の幼鳥を見守りながら石垣の護岸で休んでいたカルガモ♀(Anas zonorhyncha)にようやく動きがありました。 
首を前方に伸ばしながら両翼を広げ、欠伸をしながらストレッチ運動をしました。 
カラスと違って、カルガモは成鳥になっても口内はピンク色です。 

そのまま親鳥♀は入水し、川面を上流へ向かって遡上し始めました。 
5羽の幼鳥も母親♀について行きます。 
♀を先頭に雛は2列縦隊になりました。 
おそらく水中でもスリップ・ストリーム効果があり、非力な雛たちは親鳥の後ろについて泳ぐ方が流水から受ける抵抗が少ないのでしょう。 

親鳥♀に引率されたカルガモの家族群は、街なかを流れる川を斜めに渡り、雑草の生い茂る対岸へ辿り着きました。 
幼鳥たちは岸辺を遡上しながら、ヨシ群落に潜む虫を次々に見つけて捕食し始めました。 
目の前に垂れ下がるヨシの葉に素早く飛びついて虫を捕食したり、水面を猛然とダッシュして獲物(落水した虫や水生昆虫)を食べたりしています。 
もっとズームインしてスーパースローで撮らない限り、獲物の種類を見分けるのは難しそうです。
幼鳥は獲物を求めて、雑草の生い茂る中州に上陸することもありました。 

親鳥♀は幼鳥5羽を先に行かせ、自分は殿しんがりを務めるようになりました。 
自分が先陣を切ると、幼鳥の餌となる獲物がどんどん逃げてしまうのを知っているのでしょう。 
幼鳥たちが流れの速い川の中央部に行かないよう、♀は川の内側に位置取りして幼鳥をガードしながら川を遡上します。 
母親♀自身は採食せずに、幼鳥の安全を見守るだけです。 

採食中に親子で鳴き交わす鳴き声は聞き取れませんでした。 
結構人馴れしたカルガモのようで、私が対岸から見下ろすように動画を撮り続けても♀は警戒しませんでした。 
(離れた位置でじっと動かずに撮影する私が人畜無害と分かってからようやく♀は入水したのかもしれません。)
川の水は濁りが少なく、遡上する♀が私の真下に来ると色鮮やかな(オレンジ色の)水かきの動きが見えるようになりました。

親鳥♀に引率されたカルガモ幼鳥群の捕食シーンをしっかり観察できたのは、意外にも今回が初めてかもしれません。


2024/02/23

モリアオガエルの泡巣で吸汁するホソヒラタアブ♀と食卵するアリ

 

2023年6月中旬・午後12:15頃・晴れ 

山中にあるモリアオガエルRhacophorus arboreus)の繁殖池に定点観察しにやって来ました。 
梅雨時で池の水位が上がり、満水状態です。 
例年なら池畔のマユミ灌木の枝先に卵塊が産み付けられているのですが、いつもの場所には泡巣がありませんでした。 
池畔の灌木を丹念に調べると、モリアオガエルの卵塊をいくつか発見しました。 
定量的な調査をしていませんが、今季は少ない印象です。 

ミヤマガマズミの枝葉にモリアオガエルが産み付けた一つの卵塊に1匹のホソヒラタアブ♀(Episyrphus balteatus)が止まっていました。
左右の複眼が離れているので♀と分かります。 
翅を広げたまま口吻を伸縮させて、乾いた粘液をしきりに舐めているようです。
タンパク質やミネラル成分が豊富なのでしょう。
吸汁しながらも、腹部を上下に軽く動かして腹式呼吸しています。 

一方、赤っぽい微小なアリ(種名不詳)も同じ泡巣の表面をうろついています。 
赤アリがかじっている黄色い粒々は、モリアオガエルの泡巣に含まれる卵です。
ホソヒラタアブは近づいてくるアリを嫌って飛び立ち、軽くホバリング(停空飛翔)してアリから少し離れた位置に止まり直しました。 
アリ自身にホソヒラタアブ♀を攻撃する意図(餌場の縄張り防衛)は別になさそうです。 
アリがモリアオガエルの卵を泡巣からほじくり出して自分の巣穴に運ぶかどうか、興味があったのですが、かなりの長時間観察しないと見届けられないでしょう。

ホバリング中のホソヒラタアブ♀がモリアオガエル泡巣の表面にチョンチョンと触れるような思わせぶりな動きを繰り返しているのが気になりました。 
産卵行動だとしたら、大発見です。 
それとも近くのアリを牽制しているのでしょうか? 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@2:10〜3:40)、どうやら産卵行動ではなさそうです。  
停飛しながら足の先で泡巣の表面に軽く触れているだけで、腹端は泡巣に触れていませんでした。 
泡巣表面の湿り気を足先の感覚器で調べているのかもしれません。 
ホバリングしながら泡巣の横のミヤマガマズミの葉にも足先で触れたので、どこに着陸しようか吟味しているだけなのでしょう。 
そもそもホソヒラタアブの幼虫はアブラムシを捕食するので、カエルの卵塊に産卵するはずがありません。 

関連記事(14年前の撮影)▶ ホソヒラタアブの幼虫と前蛹


周囲にモリアオガエルの卵塊はいくつもあるのに、特定の卵塊にしか昆虫が集まらないのは不思議です。 
アブ・ハエ類が吸汁目的だとしたら、産みたてで水気の多い白い泡巣を舐めれば良さそうなのに、少し乾いた卵塊が好みなのは何故でしょう?
わざわざ唾液を吐き戻しながら乾いた卵塊を舐め、吸汁しているのです。
出来たてフワフワの泡巣の上をアリが歩けないのはなんとなく予想できます。

関連記事(10年前の撮影)▶ モリアオガエルの泡巣に集まるハエ 
キンバエ類、ニクバエ類、ベッコウバエの仲間など大小様々のハエが来ていました。 



 
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水際に自生するミヤマガマズミの枝葉に群がってまさに抱接・産卵中のモリアオガエル♀♂も見つけました。
新鮮な泡巣は真っ白です。
モリアオガエル♀♂が粘液や尿を後脚で泡立てている最中に虫は来ていませんでした。
日が経って乾いた泡巣は黄色っぽくなります。

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