前回の記事:▶ 真冬の二次林を走って横切る雪国のニホンザル【トレイルカメラ】
2024年6月上旬
シーン0:5/30・午前11:27・晴れ・気温30℃(@0:00〜)
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。
平地の二次林で死んだニホンアナグマ(Meles anakuma)の旧営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。
久しぶりに登場したニホンザル(Macaca fuscata fuscata)のシーンを以下にまとめました。
シーン1:6/8・午後12:20・晴れ・気温26℃(@0:04〜)
昼過ぎに右から単独で遊動してきたニホンザルがアナグマの巣口Rの手前で座り込みました。
周囲をキョロキョロ見渡す際に、巣口Rもちらっと見やりました。
獣道を歩いて画面左下に立ち去りました。
シーン2:6/8・午後13:04・晴れ・気温27℃(@0:25〜)
約45分後に、サルが左から戻ってきたようです。
同一個体なのかな?
群れの仲間はどこにいるのか、単独行動している離れザルなのかもしれません。
アナグマの巣口Rの手前で立ち止まると、右上の二次林の奥を凝視しています。
その場に座り込んで、辺りをキョロキョロ見回します。
やがてノソノソ歩くと、林縁から急に跳び上がってミズキの灌木に登りました。
そのまま樹上で激しく木揺すりディスプレイを披露しました。
このとき鳴き声を発してはいません。
誰に対する威嚇なのか不明です。
1/3倍速のスローモーションでリプレイすると(@1:32〜)、木揺すりの勢いで朽ちた枯木がボキッと折れていました。
その長い落枝が1本、セットの真上に落ちかけて途中で引っかかりました。
ニホンザルが乗っていた枝が折れても幸い手で別の枝を掴んでいたようで、「猿も木から落ちる」事故の決定的瞬間は撮れませんでした。
樹上から地面へ安全に跳び降りると、猿は左上奥へと歩き去りました。
シーン3:5/30・午前10:57・晴れ・気温29℃(@1:16〜)
別アングルの監視カメラで、ニホンザルが来る前の現場の様子を示します。
アナグマの巣口Lが写っています。
シーン4:6/8・午後13:04・晴れ・気温27℃(@1:20〜)
別アングルの監視カメラでもニホンザルの木揺すり誇示行動が撮れていました。
ニホンザルがミズキの樹上に跳び乗った直後から始まります。
カメラの画角よりも高い枝に登ったようで、木揺すりディスプレイしている姿は写っていないものの、激しく揺れています。
その拍子に折れた細長い枝が上から落ちていて、ミズキ灌木の幹2本の間に水平に引っかかりました。
これ以降、この細長い落枝が画角内で目障りなまま残されることになります。
後日に私が現場入りしたときには、カラスの仕業(悪戯)かと思いつつ落枝を取り除いたのですが、ニホンザルによる所業の一部始終が記録されていました。
※ 猿が立てる物音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。
【考察】
股間の外性器で猿の性別が見分けられませんでした。
トレイルカメラでニホンザルの木揺すり誇示が録画されていたのは今回が初めてです。
いつもは山林でサルの群れにうっかり近づきすぎた私に対して、一部の個体が木揺すりディスプレイをする様子を直接撮影していました。
関連記事(半年前の撮影)▶ 落葉後の木を激しく揺すって威嚇誇示♪するニホンザル♂(木揺すり行動)
ちなみに、この二次林に出入りするヒトは、私以外に誰もいません。
今回、ニホンザルが急に木揺すりディスプレイを披露した理由は何でしょうか?
いくつか仮説を考えてみました。
(1)ミズキ灌木に固定してあるトレイルカメラの存在に気づいて、それが気に入らなかった。怒りや不満の表明。
(2)離れザルだとしたら、群れの仲間に気づいてもらうために、わざと物音を立てた。
(3)巣穴に隠れていそうな主(アナグマまたはタヌキ)が気になり、威嚇・挑発して巣外に出てくることを期待した。軽い嫌がらせ。
(4) 林内で見慣れない野生動物(ニホンカモシカ?)を見かけたので、木揺すりディスプレイで威嚇し、追い払った。
(5)本人にとっては一種の遊び。いかにも折れそうな朽木・枯木の枝を見て、わざと折りたくなる衝動に駆られた。
個人的には、(4)が有望かな?と勝手に思っています。
激しく揺すった枝がときには折れることも織り込み済みで、とにかく大きな物音を立てて脅かしたいのでしょう。
この巣穴に出入りするアナグマやタヌキは落枝を何本も巣口に置いたままにして、巣口を偽装したり不法侵入者が潜り込みにくくするための防犯装置として使っています。
セットに落枝を供給していたのは、風雪だけではなくニホンザルの仕業でもありました。
つづく→
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