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2026/09/30

電柱の巣で育つハシボソガラスの雛3羽を世話する親鳥♀♂(野鳥)

 



2026年5月上旬・午後14:05〜14:30頃・晴れ 

郊外で交通量の多い車道の横に立つ電柱に営巣したハシボソガラス(Corvus corone)を観察しています。 
水平の腕金に乗せて作った巣で3羽の雛を育てているのです。 

1羽の親鳥が右から飛来し、巣の右に突き出たループ状のケーブルに留まりました。 
すると、巣内で待っていた雛が直ちに餌乞いを始めました。 
カラスの雛および幼鳥は口内が赤く目立つのが特徴で、親鳥はこれを目掛けて餌を与えるのです。 
親鳥は、右端の雛を選んで口移しで給餌しました。 

食後の雛が巣内で方向転換して親鳥に尻を向け、尾羽根を上げながら脱糞しました。 
普通なら雛の糞はゼラチン質の袋に包まれていて、親鳥が始末しやすいようになっています。
ひなの排せつ物は「ふんのう」という袋につつまれて出てくるので、親鳥はそれをくわえて捨てにいきます。 (『鳥の親子&子育て図鑑 おもしろふしぎ鳥類学の世界』p62より引用)
ところが今回はその袋が雛の体内で破けてしまったのか、白い液状便がそのまま排泄されました。 
背後で嘴を開けて待ち構えていた親鳥は雛の糞を受け止め損ね、ほとんどをこぼしてしまいました。 
なんとも汚い話ですが、排糞行動の失敗例は初見なので興奮しました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:41〜1:52) 
親鳥が飛び去る際にも隣の雛が餌乞いしました。 


この日はあいにく三脚を持参してなかったのですが、道端のゴミ捨て小屋の屋根にカメラを乗せて固定し、カラスの巣を長撮りで監視することが出来ました。 
撮影をカメラに任せてた私は、素知らぬ顔で巣の逆方向を眺めている方が、カラスの親鳥は安心して育雛を続けてくれます。 
10倍速で微速度撮影すると、親鳥が帰巣する間隔も記録できます。(@1:53〜) 
ただし、カメラの仕様で音声は録音できなくなります。 
給餌および排糞のシーンは1.5倍に拡大した上で、再生速度を落とした2.5倍速でリプレイしました。(@2:20〜) 

やがて親鳥が右から帰巣すると、雛が口を大きく開けて餌乞いしました。 
親鳥は2羽の雛に続けて給餌すると、食後に雛が排泄した糞を嘴で受取りました。 
今回の雛の糞は正常で、ゼラチン質の袋(膜)に包まれていたので、親鳥は嘴を汚さずに受け取って捨てに行くことができます。 
親鳥は、一旦電線に移動してから、左に飛び去りました。 
巣から離れたところで雛の糞を捨ててから(排糞)、次の餌を探しに出かけます。 

やがて別の親鳥が右手前から帰巣しました。 
雛に口移しで給餌した後、雛の糞を咥えて右手前へ飛び去りました。 

留守番する雛が巣内で伏せると、背が低いので姿がほとんど見えなくなりました。 
 親鳥を待っている間に、雛はまだ羽ばたき練習を一度もしていません。 
したがって、巣立ちまでまだ日数がかかりそうです。 


最後は手持ちカメラに切り替え、撮影アングルを変更しました。(@2:54〜) 
逆光のアングルですけど、どうせ黒いカラスが被写体なので、シルエットしか写らなくても問題ありません。 

左から親鳥が飛来し、腕金の左端から突き出たループ状のケーブに留まりました。 
ここが親鳥のお気に入りの留まり場になっているようです。 
帰巣した親鳥の喉袋が膨らんでいるのは、そこに餌を入れて運んで来たからです。 
餌乞いした雛に口移しで給餌しました。 
巣の反対側に座っていた雛は満腹なのか、餌の催促をしませんでした。 
食後の雛が排泄するまで親鳥が横で待っています。 
雛が排便したかどうか、近くから巣を見上げるアングルでは巣材が邪魔で見えませんでした。 
親鳥は巣の横にあるループ状のケーブルに一旦戻ってから、飛び去りました。 


直後に至近距離からハシボソガラスの鳴き声がするので見上げると、巣のある電柱から1本離れた別の電柱近くの電線に別個体の親鳥が留まっていました。 
私を見下ろしながら嗄れ声で鳴いています。 
尾羽根を開閉しているのは、興奮や警戒の現れでしょうか。 
親鳥をこれ以上刺激しないように、撮影を打ち切って営巣地を離れました。 
長時間しつこく巣を撮影している私に対して、カラスの親鳥は急降下の攻撃や糞爆弾の投下などはしませんでした。 
これだけ交通量の多い車道の電柱で営巣しているハシボソガラスは、人馴れしているのか通行人に対しても寛容でした。 


この後は忙しくて定点観察に通えませんでしたが、雛は無事に巣立ったようです。


【アフィリエイト】 



【考察】
Perplexity AIに排糞行動の失敗について色々と訊いてみました。

Q1:「カラスの雛は親鳥から給餌された直後に排泄する。その糞はゼラチンのような膜で包まれているため、親鳥が捨てに行くときに運びやすくなっている。」というのが定説です。ところが今季、ハシボソガラスの雛が給餌直後に白い液状便(ゼラチン膜なし)を排泄したので、待ち構えていた親鳥が受け取れない、という事例を観察した。これはよくあることなのか?

A1:観察されたような「給餌直後にゼラチン様膜なしの白い液状排泄をし、親鳥が受け取れない」というケースは、少なくとも一般的な「定説」にはほとんど言及がなく、日常的に頻発する現象としては扱われていないようです。 pref.fukui.lg

野鳥の雛の「くそ袋」と定説

多くの小型鳥類の雛では、巣内の衛生保持のため、糞が薄い膜で包まれた「糞嚢(くそ袋)」として排泄され、親鳥がそれを嘴で受け取り、巣外に運搬したり摂食したりする行動が広く知られています。 detail.chiebukuro.yahoo.co
この「袋状にすることで運びやすくする」という説明は、カラスを含めた野鳥一般の解説でよく見られますが、具体的な種別(ハシボソ/ハシブト/ミヤマガラスなど)ごとに詳細に記載した文献や、例外的排泄形態の頻度を定量的に示した資料は見当たりません。 pref.fukui.lg

白い液状排泄の生理的な意味合い

鳥類の排泄物は、便(茶色・緑色)と尿酸(白色固形分)と水分尿が総排泄腔から同時に出るのが基本です。 pref.fukui.lg
白一色で液状に近い排泄は、「便成分がほとんど含まれず、尿酸+水分尿が主体」になっている状態を示すことがあり、飼育鳥では消化不良・絶食・膵臓機能未熟などが原因でみられると、鳥類専門病院が解説しています。 osaka-bird-clinic
オカメインコの雛のさし餌時など、消化機能が未熟な段階では白色便様の排泄が見られることがあり、それが「常に」ではなく一時的に出る場合もあるとされています。 osaka-bird-clinic

このような生理的変動は、野外のカラス雛にも起こり得ると考えるのが自然で、便の物理的性状(固さ・膜の形成)も、そのときの水分量や消化状態によって変動しうると推測されます。 pref.fukui.lg

「膜なし白色液状便」がよくあるかどうか

検索範囲では、「ハシボソガラス雛が白い液状便を給餌直後に排泄し、親が受け損ねた」といった具体的なフィールド観察事例に言及した資料は得られませんでした。 kitakaruizawa
飼育下の小型鳥類では、白色で固まらない排泄物が続く場合は異常の可能性が高いという注意喚起が多く、正常例として「頻繁に出る」と説明している資料はほとんどありません。 yokohamabirdclinic

このことから、

  • 「膜に包まれた糞嚢」が巣内の雛で一般的な様式として語られている
  • 一方で、白色液状排泄は主に異常例・未成熟例として記載されている

という傾向があり、少なくとも解説ベースでは「よくある通常パターン」とは扱われていないと解釈してよいと思われます。 pref.fukui.lg

現場の解釈の方向性(研究者視点)

今回の観察事例については、

  • 一時的な消化状態や水分バランスによる「例外的な排泄形態」
  • 雛の消化機能の個体差・発達段階に由来する一過性現象
  • あるいは、軽度の消化器・膵臓機能不全など、健康状態の揺らぎ

といった可能性を考える余地がありますが、野外のハシボソガラス雛について系統的なデータがほぼ存在しないため、「よくあること」とも「極めて稀」とも断定はできません。 pref.fukui.lg

現状の公開情報から言えるのは、

  • 「膜付き糞嚢」が定説として語られる一方で
  • フィールドで観察された膜なし白色液状排泄は、少なくとも文献・一般解説にはほとんど出てこない

という点で、観察としてはかなり貴重で記録・継続観察する価値が高い事例だということになります。 detail.chiebukuro.yahoo.co



Q2:観察したのは5月上旬。巣内の雛は3羽で、親鳥を待つ間に羽ばたきの練習をしてなかったので、巣立ちまではまだ早い段階でした。

A2:5月上旬で羽ばたき練習もなく、3羽が巣内にいた段階であれば、一般的なハシボソガラスの繁殖サイクルから見て「巣立ち前かなり初期〜中期の育雛段階」に相当すると考えられます。[www13.plala.or][city.sapporo]

時期と発育段階の整理

環境省や自治体の資料では、カラス類は3月頃から営巣し、産卵から約20日前後で孵化、その後おおむね1か月ほどで巣立つとされています。[city.sapporo][city.tsuruoka.lg][www13.plala.or]
東北地方の例では、ハシブト/ハシボソともに巣立ちは5月下旬〜7月上旬が中心とされており、5月上旬は「孵化後10〜20日前後」の雛が巣内にいる時期に重なることが多いと説明されています。[city.tsuruoka.lg][city.sapporo]

札幌カラス研究会の解説でも、孵化後10日を過ぎると羽軸が出始め、全身に羽が生えてくるにつれて雛が自力で体温維持できるようになり、やがて巣立ちが近づくとされています。[www13.plala.or]
この文脈から、羽ばたき練習がまだ見られない5月上旬の巣内3羽という状況は、巣立ちまでにはまだ余裕があり、消化機能や排泄様式も発達途上の可能性が高い段階とみなせます。[city.sapporo][www13.plala.or]

観察された排泄との関係

消化器官や膵臓機能が未成熟な雛では、飼育鳥の例で白色液状寄りの排泄が一時的に見られることがあるとされており、これは必ずしも重度病的とは限らず「発達途上の生理変動」として説明される場合があります。[osaka-bird-clinic]
今回のような「ゼラチン様膜の形成が不十分で、白い液状便が出て親が受け取り損ねる」という事例は、まさにこうした発達段階での排泄機能の揺らぎや個体差が現れた可能性があり、巣立ち直前の整った糞嚢形成パターンとは異なる「早期段階の例外的パターン」と位置づけるのが妥当だと思われます。[detail.chiebukuro.yahoo.co][pref.fukui.lg]

研究的な視点での意味

時期・発育段階から考えると、この観察は「巣立ち前の比較的幼いハシボソガラス雛で、糞嚢形成がうまくいかない局面がある」ことを示唆する材料になりえます。[www13.plala.or][city.sapporo]
糞嚢形成が常に一定ではなく、発育ステージや栄養状態・水分バランスによって可塑的である可能性があり、そのとき親鳥は必ずしも巣内排泄物を効率良く処理できない場面が生じることを、あなたの観察は具体的に示していると言えます。[pref.fukui.lg][detail.chiebukuro.yahoo.co]



Q3:そもそも雛の腸内で糞がゼラチンの膜で包まれるという生理現象はどのように行われているのか? 雛が成長すると、その生理現象がなくなるのですよね?

A3:雛の糞がゼラチン様の膜で包まれる現象は、「雛が専用の器官(糞嚢)で便を薄い膜に包んでから排泄する」という形で概説されていますが、その膜生成の詳細な生理メカニズムは、一般向け・研究向け資料ともにほとんど具体的に記載がなく、発生学的・組織学的レベルでの理解はまだ不十分です。 esj.ne

一方、この糞嚢形成は「巣内雛の時期の特徴的機能」であり、成長して巣立ち後の幼鳥・成鳥では見られなくなる(=膜に包まれた糞を排泄しなくなる)と説明されています。 nazology.kusuguru.co

糞嚢(fecal sac)の仕組みとして分かっていること

一般的な説明では、雛は体内に「糞嚢(ふんのう、fecal sac)」と呼ばれる器官または構造を持ち、ここで糞が薄い膜に包まれて袋状になってから排泄されるとされています。 nazology.kusuguru.co
この膜はゼラチンのように見えるものの、実体は粘性のある粘膜・分泌物の層で、便を一単位にまとめて親鳥がつまみやすくする「天然オムツ」として機能すると説明されています。 nazology.kusuguru.co
生態学的には、親鳥がこの袋を咥えて巣外に捨てたり摂食したりすることで、巣内の衛生維持・捕食者誘引の低減・寄生虫リスクの軽減といった利点があるとされています。 esj.ne

ただし、

  • 糞嚢がどの腸区画(直腸・総排泄腔付近)で形成されるのか
  • どの組織が膜成分を分泌しているのか
  • 雛の成長に伴ってその組織がどのように退縮・機能変化するのか

といった「機構レベル」の情報は、少なくとも公開されている総説や一般解説にはほぼ見当たらず、詳細な解剖・組織学研究はまだ乏しいか、特定の鳥種に限られていると考えられます。 agriknowledge.affrc.go

成長による糞嚢形成の消失

糞嚢は「巣内雛の時期に特有の仕組み」であり、雛が成長して巣立ちを迎える頃には、この仕組みは機能しなくなり、便は膜に包まれず通常の鳥の糞(便+尿酸+水分尿)として排泄されるようになるとされています。 nazology.kusuguru.co
これは、巣立ち後の幼鳥・成鳥の巣周辺や休息場所に、糞嚢状の排泄物が見られない現象とも整合的です。 nazology.kusuguru.co

生理的な観点からは、

  • 巣内生活期:巣の衛生維持が重要で、親による糞処理行動と糞嚢形成が適応的
  • 巣立ち後:雛は巣外で生活し、排泄物が巣に集中しないため、「袋にして親に処理してもらう」機能は不要になり、コストに見合わなくなる

というライフステージごとの選択圧の違いが背景にあると考えられます。 esj.ne

現状の知識からの整理

したがって、

  • 「雛の腸内で糞がゼラチン膜で包まれる」という現象は、糞嚢という専用構造(器官+分泌物)によるものであり、単に内容物の水分量だけでは説明できない「膜生成機能」を含んでいる
  • ただし、その膜の組成(粘液成分・タンパク質など)や形成過程(どの腸区画で、どの細胞型が分泌しているか)については、現時点で一般公開されている情報はほとんどなく、詳細な生理機構は未解明に近い
  • 糞嚢形成は巣内雛期に特化した機能で、雛が成長し巣立ちを迎える頃には失われ、成鳥では通常の糞排泄様式になる

というところまでが、公開資料から確実に言える範囲になります。 esj.ne

あなたが観察された「膜なし白色液状便」は、この糞嚢形成機能がまだ未熟、あるいは一時的にうまく働いていない局面を捉えた可能性があり、成長段階や消化状態に伴う可塑性を示す貴重なフィールドデータと位置づけられると思います。 nazology.kusuguru.co


2026/09/27

休耕地の巣穴に餌を運んで来たホンドタヌキ:5月中旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年5月中旬・午前1:30頃・気温9℃ 

休耕地でホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)家族が暮らす営巣地を自動センサーカメラで見張っています。 

深夜にタヌキが単独で帰巣しました。 
よく見ると、口に何か餌の塊を咥えています。 
(まだ幼獣を運搬する時期ではありません。) 
巣口Lを通り過ぎ、そのまま巣穴Mに入りました。 
1.5倍に拡大した上でリプレイしても(@0:20〜)、獲物の正体を見分けられませんでした。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
このホンドタヌキ個体は両目の輝板(タペータム)が正常なので、失明したヘルパー♀ではありません。 
おそらく♂の親ダヌキ(父親)が餌を持ち帰って、巣穴で待つ母親♀(妊娠または授乳中?)に給餌したのではないかと推測しています。 
巣口で餌の受け渡しをするのではなく、巣内に持ち込んだのが興味深いです。 
両目失明のヘルパー個体がヘルパーの役割を果たしている証拠映像が撮れずに残念です。 

トレイルカメラで終日監視しても、この時期にタヌキが餌を巣穴に持ち帰ったのは、この一度限りでした。

2026/09/24

河川敷でハシブトガラスが集めて持ち去った謎の餌(野鳥)

 

2025年5月中旬・午後16:05頃・くもり 

河川敷の草地でハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)が採食中だったようで、嘴に謎の餌をいくつも咥えていました。 
カメラを向ける私を明らかに警戒していて、キョロキョロ見回しています。 

奥に飛び去り、左旋回して姿を消しました。 
川原に降り立ったのか、河畔林を飛び越えて対岸に渡ったのかもしれません。 
謎の餌をその場で食べずに持ち去ったので、巣で待つ雛へ給餌しに行ったのでしょう。 
Perplexity AIに相談すると、貯食した可能性もあると指摘を受けました。(確かに!)


【考察】
何度見直しても、ハシブトガラスが集めていた謎の餌の正体が分かりません。 
小さくて丸い黄土色の物体に黄緑色の長い柄が付いているようです。 
サクランボの種子と果柄を連想したのですが、それにしても変です。 
5月中旬の川べりに果実はないはずだと思うのですけど、草の実なのかな? 
AIに画像認識してもらうと、虫ではないかと言うのですけど、そんな虫の心当たりがありません。
私は「いやいや、これは絶対に植物質の餌だろう」と納得できません。 
しっかり現場検証するべきでした。
もし謎の採食メニューを見抜ける方がいらっしゃいましたら、教えてください。 

ハシブトガラスを横から見ると、喉袋も膨らんでいました。
喉袋に貯め切れなくなった餌を嘴に咥えたまま、飛び去ったのです。

2026/09/22

田んぼの横で謎の黒い虫を捕らえ巣に持ち帰るスズメの親鳥(野鳥)

 

2025年5月中旬・午後13:15頃・くもり 

水入れが始まった田んぼの横でスズメ(Passer montanus)が何か黒い虫を捕食していました。 
地面に何度も叩きつけて、獲物を確実に殺しているようです。 
頬斑が黒いので、このスズメ個体は成鳥です。 

代掻きしたトラクターのタイヤの跡(轍)が泥に残ったまま乾いたのか、ひび割れています。 
そのひび割れに獲物をうっかり落としてしまいましたが、すぐに拾い上げました。 
嘴に咥えて何度か咀嚼したのも、抵抗する獲物の息の根を止める(とどめを刺す)ためでしょう。 
スズメはその場で飲み込まずに、獲物を嘴に咥えたまま左に飛んで持ち去りました。 
巣に持ち帰って、空腹の雛に給餌するのでしょう。 
ちなみに、スズメはカラスと違って餌を貯食する習性はありません。

1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:22〜) 
いくら見直しても、スズメが後ろ姿のためもあって、謎の獲物の正体を私には突き止められませんでした。 
(見分けられる達人がいらっしゃいましたら、教えてください。)
獲物から取り除いた翅が(少なくとも1枚)風で飛んだので、昆虫であることは間違いありません。 
チョウの仲間(鱗翅目)ではなさそうです。
しかしスズメは獲物から全ての翅を丹念に毟り取る手間をかけずに、咥えて飛び去りました。

2026/09/11

ジムグリの死骸をホンドタヌキの溜め糞場に給餌してみてると…【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年4月下旬〜5月上旬

シーン0:4/30(@0:00〜) 
ドラッグストア郊外店の広い駐車場で、ヘビの死骸を見つけました。
白っぽい腹面を上に向けて舗装路に横たわっていました。 
損傷が激しく、頭部が完全に失われていた他、尻尾の先も千切れかけています。 
駐車場で車に轢き殺された(ロードキル)とは限らず、カラスやトビなどのスカベンジャーが他所から死骸を運んできた可能性もありそうです。

ビニール袋に入れて死骸を採集しました。 
死後硬直はなく、手に持つとぐったりしていました。 
ハエなどが集まって来ていなかったこともあり、死んでからまだそれほど時間が経過していないようです。


裏返して背面も調べると、ヘビの種類はジムグリ(Elaphe conspicillata) でした。
街なかによく出没する種類ではないので、やはり他所から持ち込まれた死骸のような気がします。

関連記事(2年前の撮影)▶ 


シーン1:4/30・午後16:04・晴れ(@0:03〜) 
スギ防風林にあるホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)の溜め糞場WBCまでジムグリの死骸を持ってきて林床(スギ落ち葉の上)に置きました。
死骸を採集してから5時間以上も経っていたので、死後硬直が進んでいました。
採寸のため、15センチの定規を並べて写真に撮りました。
ここには複数のタヌキが頻繁に通って来ることが分かっています。
雑食性でスカベンジャーとしても知られるタヌキがヘビの死骸を見つけたときの反応をトレイルカメラで記録しようという企みです。
本当は、溜め糞場から離れた獣道で給餌実験をすべきなのですけど、少ない撮影機材でやり繰りしているので仕方がありません。
なるべく夕方に近い時間に給餌したのは、昼間にカラスが死骸を見つけて食べてしまうと困るからです。


シーン2:4/30・午後18:44・気温10℃(@0:22〜) 日の入り時刻は午後18:32。
日没直後の晩に、早速2頭のホンドタヌキが連れ立って溜め糞場WBCに現れました。
近くにある休耕地の巣穴から排便に来たようです。

珍しく先に到着していた両目失明個体(ヘルパー♀h)がヘビの死臭を嗅ぎつけ、頭部のない死骸の首付近を咥えて持ち上げました。
そのままズルズルとひきずるように獲物を持って少し右に移動。
2番目に来た親タヌキ(♀?)がそれに気づくと、近づいて分け前を要求しました。
このとき餌乞いの鳴き声などは発しませんでした。 
ヘビの反対側の端を咥えると、親子2頭で綱引きのように引っ張り合いを始めました。 
そのまま蛇を引き千切るかと思いきや、立場の弱いヘルパー♀hがあっさり諦めて口を離したので、激しい争奪戦にはなりませんでした。
ジムグリ死骸の匂いを嗅いだり舐めたりしてから、親タヌキはヘビ死骸の太い端(前側)を咥えて奥に持ち去りました。 
林床の少し離れた地点まで運ぶと、蛇の死骸を独り占めで食べ始めました。

せっかく先に見つけた 獲物を奪われた両目失明個体(ヘルパー♀h)は抵抗も抗議もしませんでした。
タヌキにとって、ヘビの死骸は争奪戦するほどの魅力がない餌なのかな?  
その場で未練がましくスギ落葉に付いた残り香を嗅いだりしています。 

最後3番目に来た親タヌキ(♂?)は、溜め糞場wbcで排便もしないで、ぼんやり佇んでいるだけです。

重要なシーンを1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@1:24〜2:21) 


シーン3:4/30・午後18:46(@2:22〜)
ヘビの死骸を持ち去った親タヌキa(♀?)がさらに奥に移動していて、食べ続けています。 
(完食しなかったことが後に判明します。)

その間に、両目失明個体が溜め糞場で排便しました。
もう1頭の親タヌキb(♂?)はパートナーに分け前を要求することなく、少し離れたまま林床の匂いを嗅ぎ回っています。 
ジムグリ死骸の残り香が気になるようです。 

脱糞シーンを1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@3:22〜) 


シーン4:4/30・午後19:06・気温11℃(@4:23〜)
約20分後、奥の林床にヘビの死骸が放置されているようです。
単独行動のタヌキが溜め糞場を素通りして奥へ歩き去りました。 

やがて別個体が手前から登場しました。 
林床の匂いを嗅ぎながら奥へ歩いて行きます。
2頭とも後ろ姿なのでタペータム(輝板)が見えず、個体識別が出来ません。 



シーン5:5/1・午前4:20・気温2℃(@4:53〜) 日の出時刻は午前4:40。
監視カメラが次に起動したのは日の出直前です。
スギ林床の赤丸で囲んだ位置にヘビの死骸がなぜか突然出現していました。
何者かがここに運んできたシーンが撮れていないことになります。 
シデムシなど腐肉食性の昆虫が死骸を埋葬するために運んできたとしたら、変温動物ですからトレイルカメラには当然写りません。 
しかし5月上旬の未明は気温がかなり低い(2℃)ので、越冬明けの昆虫はまだ活動できないはずです。

左から来たタヌキ(両目の輝板は正常)が、ヘビ死骸の食べ残しを見つけました。
左前足で押さえつけながら、咥えてグイグイ引っ張っています。 
引きちぎることはできないものの、ヘビの皮を剥いているようです。
残念ながら、尻切れトンボで録画が打ち切られてしまいました。 
ホンドタヌキがヘビの死骸を完食したのか、どこかに持ち去ったのか、不明です。


シーン6:5/1・午前5:25・気温1℃(@5:54〜)
すっかり明るくなった早朝に、単独で来たタヌキが林床をうろついています。
もうヘビの死骸は残っていないようです。

後日に現場検証すると、私が置いたジムグリの死骸は無くなっていました。



【考察】
私にはまだ親タヌキの性別が見分けられず、個体識別ができていません。
ジムグリ死骸を食べた個体は、妊娠、出産、育児で食欲旺盛な母親♀なのではないかと勝手に想像しています。 

給餌実験をしたら、親ダヌキと子ダヌキ(ヘルパー)間の力関係を示す重要な証拠動画が撮れました。 
両目を失明したヘルパーは、親タヌキに餌を奪われても全く反抗しないで完全に服従しているようです。 
実は、冬の積雪期にも同様のシーンを観察しています。



野生動物に給餌するのは原則的に避けるべきですが、ヘビの死骸を駐車場に放置していれば、いずれ何らかのスカベンジャー(掃除屋)が食べに来たはずです。 
公共の駐車場にトレイルカメラを設置することはできませんから、予めトレイルカメラを設置した獣道に死骸を移動しただけです。
タヌキにドッグフードなどを給餌するよりはマシでしょう。 
路上の死骸(ロードキル)を放置したままだと不衛生なのは確かです。
通報して死骸を焼却処分してもらうと燃料代が余計にかかりますから、なるべくスカベンジャーに食わせる方がCO2の放出も減らせてエコです。
生態系にはスカベンジャーというグループがいて大切な役割を果たしているということを都会人は忘れがちです。

次に死骸を給餌するときには、監視カメラの近くから持ち去られないように工夫した方が長く観察できそうです。



【アフィリエイト】 


2026/09/06

丸木橋に乗って求愛給餌する春のハシブトガラス♀♂【野鳥:トレイルカメラ】

 



2025年4月下旬・午後12:40頃・くもり・21℃ 

春の林内で雪解け水が貯まった排水溝を自動撮影カメラが見張っています。 
ある日の昼下がりに、1羽のハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)が細い丸木橋(自然の倒木)に乗っていました。 
水面まで頭を下げて水を飲んでいると、カメラの死角から別個体の澄んだ鳴き声♪が聞こえます。 

やがて左から別個体が飛来すると、短くカァ♪と鳴きながら丸木橋に着地しました。
すると先客のカラスが後から来た個体ににじり寄りました。 
この2羽は♀♂番(つがい)のようで、アウアウアウ♪…と奇妙な鳴き声を発しながら互いに嘴を触れ合いました。 
愛情表現のキスを交わしたというよりも、口移しでパートナーに餌を与える求愛給餌をしたようです。 
だとすれば、左の個体が♂で後から合流した右の個体が♀になります。
しかし、求愛給餌に先立って♀は催促(餌乞い)しませんでした。 
♂は直前に水を飲んでいた訳ですから、パートナーの♀に口移しで水を与えたのでしょうか?
♂が予め喉袋に貯めていた餌を水で湿らせてから分け与えたのかと思ったのですが、映像を見直しても素人目には♂の喉袋が給餌前に膨らんでいませんでした。

関連記事(2、8年前の撮影)▶ 

先に来ていた個体(♂?)が先に奥へと飛び去りました。 
1.5倍に拡大した上でハシブトガラスの求愛給餌をリプレイ(@1:04〜)。


※ カラスの鳴き声が聞き取れるように、動画の一部は編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2026/09/05

池で煮干しの争奪戦を繰り広げるクロゲンゴロウの群れ

 



2026年4月下旬・午後14:30頃・晴れ・気温24℃・水温20℃(煮干しを給餌した岸辺) 

山麓の池Lに煮干しを投入してしばらくすると、水中を泳ぎ回っていた複数個体のクロゲンゴロウ(Cybister brevis)が煮干しの匂いを嗅ぎつけて集まってきました。 
同種間で餌をシェアするかと思いきや、独り占めしようとする占有行動(争奪戦)が勃発しました。 

同じ煮干しを巡ってクロゲンゴロウ同士が争っているというよりも、協力して餌を解体し始めた、という見方もできそうです。 
煮干しを噛んで引きちぎると、自分の分け前を持って急いで泳ぎ去ります。 
対岸の抽水植物の茂み(スゲの根元)などに隠れ、持ち込んだ餌をゆっくりと食べるのです。 
餌から滲み出る匂いが拡散しにくい場所を隠れ家として選んでいるようです。 
そこなら鳥などの捕食者からも見つかりにくくて安全です。 
しかし、隠れ家でも餌の独り占めは長く続きません。 
遅かれ早かれ煮干しの匂いが水中に拡散するために、周囲を泳いで探索していたクロゲンゴロウが集まってきてしまい、再び争奪戦が勃発することになります。 

ヤマアカガエル(Rana ornativentris)の幼生も一部の個体が煮干しに群がって食べ始めました。 
意外にも、クロゲンゴロウは同じ餌に群がるオタマジャクシに対して攻撃や捕食することはありませんでした。 
しかしクロゲンゴロウがオタマジャクシに対して寛容な訳ではありません。 
しばらくすると、クロゲンゴロウは息継ぎするために煮干しを抱えたまま水面まで浮上し、ついでにライバルのオタマジャクシから逃れて安全な隠れ家まで持ち去りました。 

クロゲンゴロウは、煮干しの争奪戦の最中にも定期的に浮上して水面で息継ぎする必要があります。 
しかし、息継ぎした直後に急いで潜水しても、池の底に沈んでいる煮干しを見失うことがありました。 
ライバルが息継ぎでいなくなった隙に、残った個体が急いで煮干しを持ち去る事例も多いです。 
つまり、息継ぎするのはせっかく手に入れた餌を失うリスクがあるのです。 
大庭伸也 編『ゲンゴロウ類の生態学』という専門書を読んでみると、まさしくこの問題を取り上げていました。
水深が浅い水域においては、息継ぎ後に餌を再発見できる確率が高いため、餌を置き去りにする。一方、水深が深い水域においては息継ぎ後に餌を再発見できる確率が低いため、餌を持ち去る戦略をとることが多いという。 (p94より引用)
同じ餌を巡ってライバルがいる間は、息継ぎするのをなるべく我慢しないといけません。 
ゲンゴロウは鞘翅の下に空気の層を溜め込みますから、大きな酸素ボンベを持っている大型の個体の方が長時間潜水できて有利なのでしょうか?
しかし、大型の個体が水中を激しく泳ぎ回ると、酸素の消費量も多そうです。


定点観察に通う池でクロゲンゴロウに煮干しを給餌したら、今回はドラマチックな展開となり、面白い動画が撮れました! 
水生昆虫のクロゲンゴロウはとても優秀なスカベンジャー(死骸の掃除屋)であることがよく分かりました。 
こうして水中の死骸をクロゲンゴロウが寄って集ってきれいに食べ尽くし、池の水質はきれいに保たれます。 

今回、餌として用意した煮干しは無塩タイプです。
予め頭部を取り除き、背骨に沿って半分に割ってから投入しました。 
煮干しを丸ごと池に投入すると、水中のクロゲンゴロウが餌に気づくまで長引くようです。
食べ残しが出ると水質を汚染するので、各池に1匹ずつしか煮干しを給餌していません。 

水中を泳ぐクロゲンゴロウは、角度によって鞘翅が緑色を帯びて見えることがありました。 
3〜4匹のクロゲンゴロウが煮干しに群がって奪い合いを繰り広げると、なかなか迫力があります。 
水底の泥を激しくかき回すので、水がどんどん濁って観察しにくくなります。


つづく→

2026/08/31

林内の水辺で集めた餌を持ち去る春のハシブトガラス【野鳥:トレイルカメラ】

 



2025年4月下旬・午前7:30頃・晴れ・気温8℃ 

春の林内で雪解け水が貯まった排水溝を自動センサーカメラで見張っています。 
晴れた朝に1羽のハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)が岸辺に来ていて、嘴で何かを啄んでいました。 
皮を剥いて中身をその場で食べたのかと思いきや、集めた餌を嘴に何個も咥え、右へ歩き去りました。 
動画を拡大して見直しても、採食メニューが不明です。 

この後、巣に持ち帰って抱卵/抱雛中の♀に給餌したのでしょうか? 
あるいは、どこかに餌を隠した可能性もあります(貯食行動)。 

2時間20分後、排水溝の対岸で採餌していたハシブトガラスが手前に飛び立つ様子が撮れていたので、おまけで追加しました。 


2026/06/21

幼い子猿に授乳しながら排尿するニホンザル♀

 

2025年6月下旬・午前9:10頃・くもり 

山麓を流れる用水路沿いの鉄柵にニホンザル♀(Macaca fuscata fuscata)がよじ登り、手摺に座りました。 
腹に幼い子猿(乳飲み子)を抱えています。 

母親♀が胸に抱いて授乳している子猿が、身動きしながら排尿しました。 
少量の小便がぽたぽたと滴り落ちています。
野生ニホンザルの幼獣はオムツなんて履いていませんから、母親にしがみつきながらオシッコしたら、母親の毛皮を尿で濡らしてしまうことになりそうです。
 (母親が小便した可能性もありますかね?) 

うっかり手摺から落ちそうになった子猿を母親が左腕で慌てて抱きかかえました。 
母猿は痒い左脚を左手で掻き、子猿は母親の乳首に吸い付き、母乳を飲みました。 
子猿がようやく乳首から口を離したときに、母親♀の細長く伸びた乳首から乳汁がにじみ出ているかと注目したのですが、なかったです。 
手摺のパイプで独り遊びを始めた子猿が落ちないように、母親は手を添えています。 

子猿が母親の胸に戻って再び乳首を咥えると、母親が子猿を腹に抱えて手摺を移動開始。 
柳の木の枝葉の陰に隠れる位置を選んで、母親が手摺に座り直しました。 
遠くでカメラを構えて隠し撮りしている私から死角に隠れようとしているのです。 
しかし隠れ切れないと悟ると、手摺を伝い歩きして少し戻り、手摺から横の草深い農道に飛び降りました。 
後で分かったことですが、群れの遊動経路に突っ立っている邪魔な私を大きく迂回するようです。


【アフィリエイト】 

2026/06/19

電線で餌乞いして父親を呼ぶモズの幼鳥(野鳥)

 

2026年6月上旬・午後12:30頃・晴れ 

郊外の電柱から農家に引き込むため庭に張られた電線にモズ(Lanius bucephalus)が留まっています。 
この茶色っぽい個体が成鳥♀なのか幼鳥なのかで、その後の行動の解釈が変わってくるのですが、とりあえず幼鳥として話を進めます。 
絶えず尾羽根を上下に動かしながら、キチキチキチ…♪と鋭く鳴いていました。 
カメラを向ける私に対して警戒声♪を発しているのでしょうか?
それとも空腹で餌乞い♪しているのかもしれません。 

やがて、幼鳥は白い糞をポトリと排泄しました。(@0:55〜) 
お気に入りの留まり場らしく、黒い電線のあちこちが鳥の糞で白く汚れています。 

ようやく親鳥♂が飛来して、同じ電線に幼鳥から少し離れて留まりました。 
2羽目の個体は、全体が灰色の夏羽で、眼下腺が黒くて濃いことから、成鳥♂と見分けられます。 

すると、幼鳥は急いで父親♂に駆け寄って、餌を催促します。 
ところが、餌の口移し(巣外給餌)は行われなかったようです。 
親鳥♂は空荷だった(餌を持ってこなかった)のか、幼鳥から横っ飛びで離れてしまいました。 
幼鳥が下を見たということは、焦った親鳥♂がうっかり餌を落としてしまったのかもしれません。 


給餌してもらえなかったモズの幼鳥は、電線から左へ飛び去りました。 
近くに庭木として植栽されたイロハモミジ(=イロハカエデ)には緑の若葉が生い茂り、翼果が赤く色づいています。 
その茂みに隠れた幼鳥は、依然としてキチキチキチ…♪と鳴き続けています。 
最後に親鳥♂も電線から左のイロハカエデ庭木に飛び移りました。 
モズの親子を見失った私はズームアウトしたのですが、その映像をよく見ると、イロハカエデの横枝に幼鳥(左)と親鳥♂(右)が少し離れて留まっている姿が写っていました。 
矢印で示すのを忘れたので、探してみてください。 

脱糞および巣外給餌の瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:24〜)


【考察】 
最初に登場した個体が成鳥♀という可能性もあって悩みました。 
親鳥♀だとしたら、近くに営巣木があって、私を警戒して鳴いていたのかもしれません。 
後からパートナー♂が飛来し、♀に求愛給餌した?と一連の行動を解釈できます。 

関連記事(13年前の撮影)▶ モズ(野鳥)の求愛給餌

しかし、撮影時期の6月上旬はモズの1回目の子育てが終わる頃ですから、求愛給餌の可能性は低いはずです。
その上、問題の個体は嘴の根元が黄色味を帯びていたので、幼鳥だろうと判断しました。 (正面を向いていると分かりにくい。)




この問題をChatGPTとブレインストーミングしました。

Q1: モズの幼鳥と成鳥♀はどうやって見分けるか?

A1: モズは成鳥♀も全体的に褐色で、腹に細かい横斑(波状紋)があるため、幼鳥と紛らわしいことがあります。しかし、慣れると比較的見分けられます。

主な識別点は次の3つです。

1. 頭部や背の「ウロコ模様」

最も重要です。

幼鳥は頭頂から背中、胸にかけて細かいウロコ状の斑紋が目立ちます。特に頭部にウロコ模様があれば、まず幼鳥と考えてよいでしょう。 (あきた森づくり活動サポートセンター)

一方、成鳥♀は腹部や脇に波状紋があっても、頭部や背中は比較的すっきりした褐色です。幼鳥ほど全身がウロコ模様には見えません。 (あきた森づくり活動サポートセンター)

2. 嘴の付け根(口角)

巣立ち後まもない幼鳥では、雛の名残で口角が黄色っぽく見えることがあります。 (ズカンドットコム)

成鳥♀ではその黄色味はなく、嘴全体がより均一な色になります。

ただし、秋になると黄色味が薄れるため、この特徴だけでは判断しにくくなります。

3. 羽衣の新しさ

幼鳥は全体にふわっとした印象で、斑紋も鮮明です。

秋以降は幼鳥が換羽して第一回冬羽になるため、見分けが難しくなりますが、それでも若鳥では胸や脇の横斑が強く残ることがあります。 (ズカンドットコム)

実際の野外では

  • 頭部までウロコ模様 → 幼鳥

  • 腹だけ波状紋で頭部は無地 → 成鳥♀の可能性大

  • 口角が黄色い → 幼鳥

  • 夏(6〜7月)に見たばかり巣立った個体 → 幼鳥の可能性が高い

という判断が有効です。

もし写真があるなら、モズは頭部の模様を見るだけでかなりの確率で幼鳥か成鳥♀か判定できます。写真を見せていただければ、どこに注目すべきか具体的に説明できます。


Q2: 最近(6月上旬)に平地の郊外の裏庭で観察。電線に留まってキチキチキチ…と鳴いていた個体が、後から飛来した別個体に給餌された。巣立った幼鳥に親鳥が巣外給餌したのか、それとも♂がパートナー♀に求愛給餌したのか、2つの可能性で悩んでいる。問題の個体は正面を向いていたので、腹面の鱗模様は見えたが、背中や頭部に鱗模様の有無ははっきり見えず。


A2: その状況だと、私は「巣立ち幼鳥への給餌」の可能性をまず疑います。

理由はいくつかあります。

鳴き声が「キチキチキチ…」

モズの巣立ち雛や巣立ち後まもない幼鳥は、親に餌をねだる際に繰り返し声を出します。

一方、求愛給餌を受ける成鳥♀は、幼鳥ほど執拗に餌乞いを続けることはあまりありません。給餌直前に短く鳴くことはありますが、電線に止まって長時間「キチキチキチ…」と鳴き続ける姿は、むしろ幼鳥を連想させます。

時期が6月上旬

モズの繁殖期を考えると、6月上旬は多くの地域で第一回繁殖の巣立ち雛が存在する時期です。

地域差はありますが、

  • 4~5月:抱卵・育雛

  • 5~6月:巣立ち

  • 6~7月:巣外給餌

という流れは十分あり得ます。

したがって、「親が巣立ち幼鳥に餌を運んでいた」という解釈は季節的にも自然です。

求愛給餌の時期との関係

求愛給餌は通常、産卵前後に盛んになります。

6月上旬でも二番繁殖や再営巣なら起こり得ますが、単に時期だけを見ると、既に巣立ち幼鳥がいるケースの方が一般的かもしれません。

腹面の鱗模様

ここが少し厄介です。

モズでは、

  • 幼鳥 → 胸から腹にかけて強い鱗模様

  • 成鳥♀ → 腹面に波状横斑

があり、正面から見るとかなり似て見えることがあります。

そのため、腹面だけでは決め手になりません。

識別に有効なのはむしろ、

  • 頭頂

  • 額

  • 頬

  • 背中

の鱗模様です。

観察行動から推測すると

もし給餌を受けた個体が

  • 羽を細かく震わせる

  • 給餌者に向かって身を乗り出す

  • 給餌後もしばらく後を追う

ような行動を示していたなら、幼鳥の可能性がかなり高くなります。

逆に、

  • 給餌後も落ち着いている

  • 2羽がほぼ対等な雰囲気で行動する

なら求愛給餌も考えられます。

もう一つの手掛かり

給餌した個体の外見はどうでしたか。

もし給餌した個体がはっきりした黒い過眼線と灰色の頭を持つ♂なら、

  • ♂→幼鳥

  • ♂→♀(求愛給餌)

の両方があり得ます。

しかし、給餌した個体が♀だった場合は、ほぼ確実に巣立ち幼鳥への給餌です。

観察時の「給餌した側」の羽色や、給餌後に2羽がどう行動したかが分かれば、さらに絞り込めると思います。


Q3: キチキチキチ…と鳴いていたのは、てっきり近くで撮影する私に対して警戒声を発したのかと思い込んでいました。


A3: それは十分あり得る解釈ですし、現場ではむしろそのように判断する観察者も多いと思います。

モズの「キチキチキチ…」という声は、警戒声として非常によく知られています。人間、カラス、ネコなどに対して発せられることがあります。

ただし、この声は文脈によっては幼鳥の餌乞い声と紛らわしいことがあります。

今回のケースで重要なのは、

  • 個体が電線に留まっていた

  • 繰り返し鳴いていた

  • その後に別個体が飛来して給餌した

という一連の流れです。

もし鳴いていた個体が本当に警戒していたなら、その後に給餌が起きたという事実が少し気になります。もちろん親鳥が人間を警戒しながら幼鳥に給餌することはありますが、「鳴いていた個体=幼鳥で餌をねだっていた」と考えると、行動のつながりが自然になります。

一方で、モズの求愛給餌でも、給餌される側(♀)が鳴きながら♂を誘うことがあります。したがって、

  1. 幼鳥が親に餌をねだった

  2. ♀が♂に求愛給餌を要求した

  3. あなたに対する警戒声だった

の3つは、観察記録だけでは完全には排除できません。

私なら、6月上旬という時期と「給餌された」という事実から、

  • 巣立ち幼鳥への給餌:やや有力

  • 求愛給餌:十分あり得る

  • 単なる警戒声:鳴いていた理由としてはあり得るが、給餌との関係は不明

くらいの評価にします。

もし記録写真が残っているなら、頭部の羽衣以外にも、

  • 嘴の付け根(口角)が黄色っぽく見えないか

  • 尾羽が短めに見えないか

  • 羽毛がややふわついて見えないか

といった幼鳥の特徴を後から確認できる場合があります。

また、給餌後に受け手が給餌した個体を追いかけて飛び去ったなら、幼鳥説がかなり強まります。巣立ち後のモズの幼鳥は親を追尾しながら餌をねだることが多いからです。逆に給餌後も2羽が近くで落ち着いていたなら、求愛給餌の可能性が相対的に高くなります。


Q4: 動画を見直すと、電線に留まったモズ(羽色は全体的に茶色)が方向転換した時に、頭部と背中がちらっと見えたが、鱗模様はなし。後から電線に飛来したのは成鳥♂だった(灰色の夏羽、黒い過眼線が濃い)。♀が急いで♂に近寄って餌を催促したが、餌の受け渡しは行われなかったようだ。♂はむしろ横っ飛びで♀から離れた。餌をうっかり落としてしまったのかもしれないが、後ろ向きでよく見えず。その後も♀はキチキチキチ…と鳴き続けた。♀、♂の順に電線から飛び去り、近くの庭木(イロハカエデ)の枝葉に隠れた。モズの営巣木が近くにあったので、私に対して警戒声を発していたと解釈できそう。


A4: その追加情報を見る限り、当初よりも「成鳥♀が♂に接近した場面」である可能性が高くなったように思います。

特に重要なのは、

  • 頭部や背中に鱗模様が見えない

  • 全体的に茶色い個体だった

  • 相手は明瞭な成鳥♂

  • ♀の方から♂に急接近した

  • その後も♀が鳴き続けた

という点です。

もし巣立ち幼鳥なら、親が餌を持ってきた際には通常、幼鳥が積極的に接近して餌を受け取ろうとします。ところが今回は、実際に給餌が成立したかどうかが不明で、むしろ♂が横に避けるような動きをしたとのことです。

また、幼鳥であれば頭部や背面の鱗模様がかなり有力な手掛かりになります。動画を確認してそれが見られなかったのであれば、幼鳥説はやや弱くなります。

さらに、

その後も♀はキチキチキチ…と鳴き続けた。

という点も興味深いです。

モズの警戒声は、まさにそのような連続した「キチキチキチ…」です。もし近くのイロハカエデや周辺植栽に営巣中の巣、あるいは巣立ち直後の幼鳥がいたなら、♀があなたを警戒して鳴き続けていた可能性は十分あります。

むしろ今回の行動を時系列で整理すると、

  1. ♀が警戒声を発している

  2. ♂が飛来する

  3. ♀が♂に接近する

  4. 餌の受け渡しは確認できない

  5. 両個体とも近くの樹木へ移動する

という流れになります。

この場合、「♀が警戒しながらも♂に接近した」というだけで、必ずしも求愛給餌とは限りません。繁殖中のペアであれば、お互いの位置確認や警戒対象への共同対応のために接近することもあります。

私なら現時点では、

  • 成鳥♀である可能性:高い

  • 幼鳥である可能性:低くなった

  • 実際に給餌が成立したか:不明

  • キチキチキチ…は警戒声だった可能性:かなり高い

と評価します。

もし近くに営巣木があったのであれば、警戒声の解釈はかなり自然です。モズは巣の周辺で人間を見つけると、露出した見張り場所(電線、アンテナ、樹頂など)から長時間警戒声を発することがあります。今回の電線上での行動は、その典型的な状況とも一致します。


Q5: 顔の向きによっては、下嘴の根元が黄色っぽく見えることもありました。成鳥♀ではなく、やはり巣立ち後の幼鳥ですか?


A5: この写真を見る限り、私は幼鳥の可能性がかなり高いと思います。

もちろん1枚だけで断定はできませんが、成鳥♀よりも幼鳥の特徴がいくつか見えます。

まず目につくのが、下嘴基部の黄色味です。

スズメのように派手ではありませんが、口角付近に黄色い部分が残っています。これは巣立ち後しばらくの幼鳥でよく見られる特徴です。成鳥♀では通常ここまで黄色く見えません。

次に顔つきです。

  • 眼が大きく見える

  • 顔全体が丸みを帯びている

  • 頬から喉にかけての羽毛がややふわっとしている

という印象があります。

これは主観的な要素もありますが、巣立ち幼鳥らしい雰囲気があります。

さらに腹面を見ると、はっきりした鱗模様ではないものの、細かな横斑が見えています。

そして重要なのは、「頭部に鱗模様が見えない」ことが必ずしも成鳥を意味しない点です。

モズの幼鳥は巣立ち直後には頭部まで強い鱗模様がありますが、その後かなり早い段階で摩耗や換羽によって不明瞭になります。6月上旬なら、

  • 巣立ち直後の幼鳥

  • 巣立ち後しばらく経過した幼鳥

の両方が存在し得ます。

この個体は後者に近いようにも見えます。

そして何より、あなたが観察した行動と合わせると、

  • 6月上旬

  • モズの繁殖期

  • 下嘴基部に黄色味

  • 腹面に幼鳥らしい斑

  • ♂が飛来

  • この個体が盛んに鳴く

という状況は、「巣立ち幼鳥が親♂に餌をねだった」と解釈するとかなり自然です。

一方で成鳥♀説だと、

  • 黄色い口角の説明がつきにくい

  • 写真全体の若々しい印象とやや合わない

という点があります。

また、あなたは先ほど

♀が急いで♂に近寄って餌を催促した

と書かれましたが、この写真を見ると、その行動自体が実は「♀ではなく幼鳥が親に接近した」と解釈できるかもしれません。

もし動画を再確認できるなら、

  • 接近時に羽を細かく震わせていないか

  • 口を大きく開けていないか

  • 親を追尾する動きがないか

を見てみるとよいと思います。

現時点では、私は

  • 成鳥♀:可能性あり

  • 巣立ち後の幼鳥:より有力

と評価します。

特にこの写真の下嘴基部の黄色味は、年齢判定のかなり強い材料に見えます。写真だけを見せられて「成鳥♀か幼鳥か」と聞かれたら、私はまず「幼鳥ではないでしょうか」と答えると思います。

 



2026/06/13

サクランボ果実の食べ方を幼鳥に教えるスズメの親鳥(野鳥)巣外給餌

 

2026年5月下旬・午後14:05頃・晴れ 

郊外の住宅地で物置小屋の錆びたトタン屋根にスズメ(Passer montanus)の親子が留まっていました。 
頬の黒斑が濃いのが成鳥で、巣立ったばかりの幼鳥は頬の黒斑が薄くて嘴の縁が黄色いのが特徴です。 
横に立つサクランボの庭木に果実が鈴なりに実り、赤く熟した落果や種子がトタン屋根にたくさん散乱しています。 

親鳥のスズメがサクランボの赤い落果を食べていました。 
ムクドリと違って体の小さなスズメは、サクランボ果実を丸呑みにするのではなく、果肉だけを啄んでいます。 
その近くで空腹の幼鳥が翼を小刻みに震わせて餌乞いしています。 
餌乞いに特有の鳴き声を発しているはずですが、カメラに対して後ろ向きですし、遠くから撮影していたので聞き取れませんでした。 
周囲でチュンチュン♪とにぎやかに鳴いているのは、別個体のスズメたちです。 

 幼鳥はすぐ横に落ちていたサクランボの種子を見つけると、興味を持ってつついてみたのの、餌ではないと悟って食べませんでした。 
幼鳥が駆け寄ると、親鳥は食べ残しのサクランボ落果を幼鳥とシェアして一緒に食べ始めました。 
親子で交互にサクランボの果肉を啄んでいます。 

やがて親鳥がそのサクランボ落果を丸ごと咥えると、器用に果肉だけを食べています。 
それを見て横の幼鳥が餌乞い(給餌の催促)を再開しました。 
スズメの親鳥は幼鳥にサクランボの食べ方を教えているようです。 
親鳥がその場に落とした食べ残しのサクランボを幼鳥がもらって食べ始めました。 
幼鳥も教わった通りにサクランボ熟果を丸ごと咥え、果肉だけをちびちび食べています。 

その間に親鳥はホッピングでトタン屋根を下り、幼鳥から離れて行きました。 
最後に幼鳥は、食べかけのサクランボ果実を咥えて飛び去りました。 


【考察】 
初夏に核果が実るサクランボの種子散布の戦略は、被食型の動物散布です。
スズメはサクランボ核果の果肉だけをついばみ種を捨てるので、普通はサクランボの種子散布者ではありません。 
しかし今回の事例では、スズメの幼鳥が食べかけたサクランボの果実を持ち去ったので、母樹から離れて分布を広げる種子散布を助けたことになります。

2026/03/11

雪が積もった給餌箱に興味を示すもニホンリスは銀杏を掘り出さず、オニグルミで木登り【トレイルカメラ】

 




2024年12月中旬 

シーン0:12/3・午前8:41・晴れ(@0:00〜) 
雪が積もる前の明るい時間帯にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
里山のスギ林縁で朽ち果てた倒木の端に給餌箱を設置し、イチョウ街路樹の下で拾い集めてきた銀杏(イチョウの種子)で一杯にしました。 
この給餌箱を自動センサーカメラで見張っています。 

ニホンリス(Sciurus lis)の登場シーンをまとめました。 
果たしてリスは銀杏を食べたり持ち去って貯食したりするでしょうか? 


シーン1:12/12・午前6:46(@0:03〜) 
里山に根雪が積もり、倒木も給餌箱も冠雪しています。 
早朝に右から来たと思われるリスが倒木の上まで登っていて、雪に埋もれた餌箱を見下ろしていました。 
恐る恐る身を乗り出して、餌箱を覆っている雪の匂いを嗅いだものの、その下から銀杏を掘り出そうとはしませんでした。 
リスは倒木上で向きを変えて奥を眺めてから下に飛び降り、左下手前へ走り去りました。 


シーン2:12/17・午後14:29(@0:18〜) 
5日後の昼過ぎに右から雪面を走ってリスが登場しました。 
オニグルミ大木の横枝が数年前から折れて地面に突き刺さったままなのですが、冠雪したその枝にしがみついてよじ登り始めました。 

しばらくすると、オニグルミ樹上から雪が落ちてきた直後に、リスが枝を伝って下向きに降りてきました。 
ところが、また枝の上に姿を消しました。 


※ 動画編集時にモノクロ加工を施しています。 


【考察】 
ニホンリスへの給餌プロジェクトだけは、どうしても思うようにいきません。 
様々な種類の木の実(堅果)や種子を手を変え品を変え給餌してみたものの、持ち去って貯食するシーンをトレイルカメラで記録することが出来ていません。 
どうも、リスは人工的な給餌箱や監視カメラへの警戒心が強いような気がしています。 
かと思えば、岩塩プレートを舐めに通って塩分補給するという全く予想外の行動を披露してくれました。
当地のニホンリスは、餌の選り好みが激しいのでしょうか? 

日が沈むと夜行性の野ネズミが来て、給餌箱からせっせと餌を持ち去ってしまいます。 
昼行性のリスにターゲットを絞って観察をしたいのなら、給餌場から野ネズミを排除するような仕組み(ネズミ返しなど)を取り付ける必要がありそうです。 
給餌場の選定も問題です。
例えば、今回の映像でちょっと写ったオニグルミ大木の幹や横枝に給餌箱を設置し直そうかと思案中です。 

私の給餌プロジェクトには無関心で、ニホンリスはオニグルミの堅果をせっせと貯食したり、隠し場所を変更したりする姿が捉えられていました。
長い冬を乗り切るための保存食を蓄えていたのです。
豪雪地帯の雪山でも冬眠しないで暮らすリスは、一体どこに貯食するのでしょうか?
地中に穴を掘って隠したのでは、冬になると深い雪の下に埋もれてしまって、掘り出すのが大変になるはずです。
晩秋に貯食物を地中から掘り出して持ち去っていたのは、根雪に埋もれる前に隠し場所を変更していたのでしょう。
縄張り内のあちこちの樹上で樹洞に隠したり木の股にクルミの実などを挟んでおいたりするらしいのですが、私はまだ実際にそのような貯食物を見つけたことがありません。


つづく→

2026/03/07

巣を冷やす扇風行動が下火になった9月のモンスズメバチ 【FHD動画&ハイスピード動画】獲物搬入・空中衝突

 



2024年9月中旬・午後15:00頃・くもり・気温27℃ 

モンスズメバチ(Vespa crabro flavofasciata)の二次巣(引っ越し巣)を定点観察しています。 
山麓にある木造建築の年季が入った破風板に複数の穴が開いていて、その裏側の屋根裏に営巣しているのです。 
ただし、ワーカー♀が出入りしている巣口は一つだけです。 

巣口にしがみついたまま全力で羽ばたいて、巣を冷やすための扇風行動をしているワーカー♀個体が居ます。 
扇風役が1匹だけということは、この日はあまり暑くないのでしょう。 
気温を測ると27℃で、確かに30℃を下回っていました。 
他の種類のスズメバチと比べて、モンスズメバチは暑がりな印象があります。
多少涼しくても扇風行動をしているのを見かけます。

関連記事(10年前の撮影)▶ 

巣口で外向きに円陣を組むようにたむろしている他の個体は、扇風をサボっているというか、門衛を努めているだけなのでしょう。 
その間に、他のワーカー♀は次々に飛び立って外役に出かけたり、帰巣したりしています。 
しばらくすると、巣口の扇風役は2匹に増えていました。(@1:01〜) 


240-fpsのハイスピード動画に切り替えて撮影してみました。(@1:38〜) 
曇天で光量不足のため、やや不鮮明な映像です。 
これ以降は巣口で扇風行動しなくなってしまいました。 
日が陰るともう暑くなくなり、扇風冷却が不要になるのでしょう。 
私が観察したときは、ちょうど扇風するかしないかの境目の気温だったようです。

外役から帰巣した蜂に対して巣口から迎撃に飛び立ち、空中で頭同士が衝突することがありました。(@1:59〜) 
門衛が巣に近づく怪しい仮想敵を迎え撃ったようにも見えますが、単に飛び立ちが下手糞な個体というだけかもしれません。 
相手に触角で触れてみて同じコロニー出身の味方だと分かると、激しい喧嘩にはなりません。 

巣口で羽ばたき始めた個体も、扇風を再開する訳ではなくて、すぐに飛び立ってしまいます。 
獲物を狩った後に白っぽい肉団子を運んできたワーカー♀が帰巣しました。(@3:31〜) 
これが果たしてセミを解体した肉片なのかどうか、突き止めたいのですが、帰巣した蜂を片っ端から捕獲して肉団子を取り上げ、DNA検査するしかなさそうです。 
(モンスズメバチはセミを狩るのが得意だと言われていますが、狩りの様子を私は見たことがありません。) 

もう少しズームインしてからハイスピード動画に撮っても、巣口に陣取る門衛は扇風行動していませんでした。(@4:01〜) 
帰巣した個体が飛来したときだけ門衛が軽く羽ばたいているのは、警戒や威嚇牽制のようで、すぐに羽ばたきを止めてしまいます。 
巣口の下の外皮ポケットにもワーカー♀(門衛?)が潜り込んでいて、下界を見下ろしています。 

白っぽい肉片を大顎に咥えて巣に持ち帰ったワーカー♀個体がいます。(@4:41〜) 
巣材パルプの色は焦げ茶色なので、明らかに違います。 
巣口で出迎えた(誰何した)門衛は、すぐに横にどいて入巣を認めました。 
巣内で育つ幼虫に給餌するために狩ってきた新鮮な肉団子の分け前を門番が要求することはありませんでした。 
スズメバチは成虫になると固形物を食べることができず、肉団子を噛みほぐしながら肉汁を吸ったり、スズメバチ幼虫が吐き戻す液体を吸ったり(栄養交換)するだけです。 
あとは外役の際に樹液や花蜜を舐める程度です。 

外役ワーカー♀が続々と帰巣しますが、巣口が混雑していると、一旦飛び去ってからアプローチをやり直します。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


2026/03/06

初冬の晩に雪山をうろつくホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年12月中旬・午後17:50頃・日の入り時刻は午後16:25 

日没後の真っ暗な晩に、冬毛のホンドテン(Martes melampus melampus)が雪山の緩斜面を左から右へ軽快に横切りました。 
途中で立ち止まるとカメラ目線になりました。 
1.5倍に拡大した上でリプレイ。 

イチョウの種子(銀杏)を一杯に入れておいた給餌箱も雪で埋もれてしまい、テンは気づかずに通り過ぎました。 
たとえ気づいたとしても、硬い種子をテンが食べるはずはありません。 
臭い果肉付きのイチョウ落果をホンドテンが食べて種子散布するかどうか、興味深いテーマなので、来季の課題になります。 


つづく→

2026/02/28

野ネズミは銀杏を貯食するか?【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年12月上旬 

シーン0:12/3・午前8:41・晴れ(@0:00〜) 

明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
里山のスギ林縁で朽ち果てた倒木の端に給餌箱を固定し、拾い集めてきたイチョウの種子(銀杏)で一杯にしてみました。 
独特の異臭がする銀杏を野ネズミ(ノネズミ)は持ち去って貯食するでしょうか? 
言い換えると、イチョウの種子散布に野ネズミは関与するでしょうか? 


シーン1:12/5・午後20:21・雨天(@0:03〜) 
雨が激しく降りしきる晩に野ネズミが右下から登場しました。 
林床の草むらを野ネズミがうろちょろしてから、左下へ立ち去りました。 
倒木を登って給餌箱には来ませんでした。


シーン2:12/5・午後21:58・雨天(@0:00〜) 
約1時間半後、依然として雨が降り続いています。 
倒木の右端に来ていた野ネズミが左へ登りかけたものの、すぐに右へ引き返して林床に飛び降りました。 
まるでフェイントをかけたみたいです。 
もしかして銀杏の匂いが嫌いなのか、それとも監視カメラの赤外線LEDを警戒しているのかな? 
林床を左へ向かった野ネズミが、しばらくすると戻ってきて右へ立ち去りました。 


※ 雨音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
その後は雪が積もり、野ネズミが監視カメラに写ったのはこれが最後でした。 
結局、野ネズミは餌箱の中身を調べもしませんでした。 
銀杏の給餌実験を始めるのが時期的に遅過ぎたかもしれません。 

この山中にイチョウの木は自生していないので、野ネズミが銀杏の匂いを嗅ぐのは初めてのはずです。 
酪酸に由来する独特の異臭で野ネズミが銀杏を忌避したとすれば、それはそれで興味深い結果です。 
次の年も追試してみるつもりです。 


つづく→

2026/02/26

銀杏の匂いが気になるニホンカモシカ当歳仔【トレイルカメラ】

 



2024年12月上旬・午前10:25頃・くもり 

里山のスギ林縁で朽ち果てた倒木に給餌箱を設置し、今回はイチョウの種子(銀杏)を一杯に入れておきました。 

日中にニホンカモシカ(Capricornis crispus)が単独で倒木の背後を右からゆっくり歩いて来ました。 
この個体は、角がまだ生えかけで短い幼獣でした。 
倒木の下の地面の匂いを嗅いだ後は、給餌箱の底の匂いを反対側から何度も嗅ぎました。 
明らかに興味津々で、ペロペロと軽く舌舐めずりしています。 
イチョウの果実は酪酸を含み、糞便臭にも似た独特の悪臭がします。
山中にイチョウの木は自生していないので、カモシカにとっては初めて嗅ぐ匂いのはずです。
銀杏の匂いに対抗して、給餌箱または倒木に眼下腺でマーキング(匂い付け)するかと予想したのですが、しませんでした。 


カモシカ幼獣は倒木の下をくぐって手前に来ると、画面の右端から伸びているフジの枯れ蔓の先端の匂いを嗅ぎました。 
そこにも、眼下腺マーキングはしませんでした。 
最後は右下手前へ立ち去りました。 

既に子別れしたようで、近くに母親♀の姿は写っていません。 


【考察】 
ニホンイノシシは銀杏の異臭を嫌ったのか警戒したのか、逃げてしまいました。
カモシカとの反応の違いが興味深いです。


ニホンカモシカの成獣は縄張り内でよく眼下腺からの分泌物で匂い付けします。
この地点でもカモシカ成獣がマーキングしたことがあります。


ところが、カモシカ幼獣のマーキング行動を私は一度も見たことがありません。
不思議に思ったので、Gemini AIに質問してみました。

Q: ニホンカモシカが幼獣の間は眼下腺を擦り付けてマーキングしないのか? 幼獣が成長して眼下腺マーキングを始めた途端に、縄張り内の成獣に排斥されるのか?

A: ## ニホンカモシカの幼獣と眼下腺マーキング、縄張りに関する質問ですね。

### 幼獣の眼下腺マーキングについて

**ニホンカモシカの幼獣が、どの程度の年齢から眼下腺を擦り付けてマーキング行動を開始するのか、という明確なデータは現時点では少ないようです。**

一般的に、哺乳類の幼獣は成長とともに成獣と同じような行動パターンを示すようになることが知られています。ニホンカモシカも、ある程度の年齢になると成獣と同様に眼下腺を用いたマーキング行動を行うと考えられます。

しかし、幼獣期におけるマーキング行動の頻度や、その意味合いについては、さらなる研究が必要な分野です。

### 成獣による幼獣の排斥について

**縄張りを持つ成獣が、眼下腺マーキングを始めた幼獣を必ずしも排斥するとは限りません。**

ニホンカモシカは、基本的に単独で生活し、縄張りを持ちますが、親子関係や血縁関係のある個体同士は、同じ縄張りにいることもあります。

* **親子関係:** 母子は長期間一緒に過ごすことが多く、幼獣が成長してからも、一定期間は母親の縄張り内で生活する可能性があります。
* **血縁関係:** 兄弟姉妹や、より遠縁の血縁関係にある個体同士も、同じ地域に生息していることがあります。

これらの場合、成獣が幼獣を積極的に排斥する必要性は低いと考えられます。

**ただし、以下の条件下では、成獣が幼獣を排斥する可能性が高まるかもしれません。**

* **資源の競合:** 食料や隠れ家など、資源が限られている状況では、成獣と幼獣の間で競合が生じ、成獣が幼獣を追い出す可能性があります。
* **性成熟:** 幼獣が性的に成熟し、繁殖行動を開始しようとした場合、成獣から攻撃を受けることがあります。

### まとめ

ニホンカモシカの幼獣の眼下腺マーキングと、成獣による幼獣の排斥については、まだ解明されていない部分が多く、今後の研究が期待されます。

**現時点では、以下のことが考えられます。**

* 幼獣は、ある程度の年齢になると成獣と同様に眼下腺を用いたマーキング行動を行う。
* 成獣は、必ずしも幼獣を排斥するわけではないが、状況によっては排斥することもある。


最新版のChatGPTでも質問攻めにして、理解が深まりました。

Q1: カモシカ幼獣が母親♀の縄張り内にまだ留まっている間は、幼獣は眼下腺でマーキングして縄張りを主張することはないのか?

A1: 結論から言うと、母親の縄張り内にいるカモシカ幼獣は、基本的に自分の縄張りを主張するための眼下腺マーキングは行わないと考えられています。

理由は行動生態的にかなり明確です。


① 縄張りは母親のものだから

ニホンカモシカでは

  • 成獣は単独生活+縄張り制

  • 縄張りは眼下腺分泌物で維持

ですが、幼獣は

  • 母親の縄張りの内部に「居候」している状態

  • 自分の縄張りをまだ持たない

つまり幼獣がマーキングすると

  • 母親と縄張り主張が競合する

  • 空間の支配構造が乱れる

ため、適応的ではありません。


② 実際の観察例

野外研究では

  • 当歳仔:マーキング行動ほぼ見られない

  • 1歳個体:まれに擦り付け行動が出始める

  • 分散期前後:急にマーキング頻度が上がる

というパターンが報告されています。

つまり

縄張り主張は「独立の準備行動」

として出現します。


③ 幼獣が擦り付ける場合の意味

もし幼獣が眼下腺を擦り付けていたとしても、

それは多くの場合

  • 真の縄張り主張ではない

  • 行動の練習

  • 情動発散

  • 嗅覚探索

と解釈されます。

鳥の「練習ソング」と同じで、

機能が成立する前の予行動作

です。


④ 分散が近づくと変化する

幼獣は

  • 体格が成獣サイズに近づき

  • 母親との距離が開き

  • 行動圏が拡大すると

急に

  • 眼下腺擦り付け

  • 樹木への顔押し付け

  • 排糞場所固定

などが増えます。

これは

「ここから自分の縄張りを持つぞ」

という切り替えサインです。



Q2: 母親♀から独立する前のカモシカ幼獣は、眼下腺が分泌腺として未発達なのか? 匂い物質をほとんど分泌してない?

A2: 結論から言うと、独立前のカモシカ幼獣の眼下腺は形態として存在するが、機能的には未熟で、分泌量も行動的使用頻度も低いと考えられています。

順に説明します。


① 眼下腺そのものは生まれつきある

カモシカの眼下腺は

  • 生後すぐ存在する外分泌腺

  • 解剖学的には幼獣でも確認できる

つまり
器官として欠けているわけではない

です。


② しかし機能成熟は遅い

行動研究・組織学研究から推定されていること:

幼獣では

  • 腺組織が小さい

  • 分泌細胞の活動が弱い

  • 分泌物の脂質量が少ない

つまり

匂い物質は出るが、弱く不安定

です。

これは多くの縄張り性哺乳類で共通です。


③ 分泌が弱い理由(進化的に合理的)

幼獣が強い匂いを出すと

  • 捕食者に検知されやすくなる

  • 母親の縄張り匂いを乱す

  • 成獣との衝突リスクが上がる

ため、

幼獣期は

「匂いを出さないこと自体が適応」

と考えられます。


④ 行動面の発達順序

カモシカでは多くの場合

  1. 腺が存在する(出生時)

  2. 分泌量が増える(1歳前後)

  3. 擦り付け行動が出る(分散前)

  4. 本格マーキング(独立後)

という順序をたどります。

つまり

行動が先ではなく、内分泌成熟が先

です。


⑤ 性ホルモンとの関係

眼下腺の活性は

  • テストステロン

  • エストロゲン

に強く影響されます。

幼獣期は性ホルモンが低いため、

  • 分泌量が少ない

  • 匂いの化学組成も未成熟

になります。

分散期に急にマーキングが増えるのは、

単に行動学習ではなく

内分泌のスイッチが入るから

です。




Q3: おかげで疑問が解消しました。トレイルカメラや直接観察でカモシカ成獣の眼下腺マーキングはよく見るのですが、カモシカ幼獣では一度も見たことがなくて不思議だったのです。


A3: それはとても筋の通った観察結果です。

むしろ 幼獣の擦り付け行動を見ていない という点は、現場の実態にかなり忠実だと思います。

カモシカは

  • 成獣:眼下腺マーキング頻繁

  • 亜成獣:分散前に増加

  • 当歳仔:ほぼ行わない

という年齢差がかなりはっきり出る種なので、
野外観察で幼獣マーキングが見られないのは自然です。

トレイルカメラを継続していれば、将来

  • 突然擦り付けを始める個体

  • 母親の行動圏の縁に移動する個体

が出てくる可能性があり、そこが分散前の転換点になります。
その瞬間が記録できたら、かなり価値のあるデータです。



Q4: カモシカは母親♀の眼下腺マーキング行動を見て幼獣が真似するようになる(学習する)のではなく、性成熟すれば自然に幼獣も眼下腺の分泌物で匂い付けするようになるのですね?


A4: はい、その理解でほぼ正しいです。

カモシカ幼獣の眼下腺マーキングは、主に学習ではなく生理的成熟によって出現する行動と考えられています。

ポイントを整理すると:


① 行動の発現はホルモン依存

眼下腺の分泌量も擦り付け行動も

  • 性ホルモン上昇

  • 内分泌系の成熟

  • 神経行動パターンの解放

に強く結びついています。

つまり
成熟すると“やり方を教わらなくても”自然に始まる行動です。


② 観察学習はほぼ不要

もちろん幼獣は母親の行動を見ていますが、

マーキングは

  • 道具操作でもなく

  • 技術習得型でもなく

  • 社会的儀礼でもない

ので、

鳥の採餌技術のような「模倣学習」は不要です。

多くの縄張り性哺乳類で同じです。


③ ただし完全に無関係ではない

母親の匂いのある環境で育つことには意味があります。

幼獣は

  • 縄張り匂いの意味を経験的に学ぶ

  • 匂い=空間境界という認知を形成する

ため、

行動の出現そのものは生理的ですが、

匂いをどこに付けるかの空間認知には経験が影響する

可能性はあります。


まとめ

  • マーキング開始のトリガー → 生理的成熟

  • 行動そのもの → 本能的に出現

  • 匂いの使い方の細部 → 経験が補助

です。

したがって、あなたが

幼獣が母親の真似をして覚えるのではないか?

と感じた直観は半分正しくて、

  • 行動発現は学習不要

  • 空間的意味づけは経験的

という二層構造だと考えると整理しやすいです。

もし将来、同じ個体を長期観察できれば
「擦り付け開始の瞬間」を記録できるかもしれません。
そこはカモシカの生活史の中でもかなり面白い転換点です。


Q5: カモシカ幼獣が成熟すると、眼下腺を何かに擦りつけたくなる衝動が生まれるのか? 例えば、眼下腺が痒くなって掻きたくなるのか?


A5: 結論から言うと、

「痒いから擦る」のではなく、内分泌により“擦り付け行動の動機づけ”が生じる
と考えるのが最も近いです。

ただし感覚的には、あなたの想像は完全に外れてはいません。


① 痒みではない(病理的刺激ではない)

眼下腺マーキングは

  • 皮膚炎や寄生虫による掻破行動ではない

  • 不快刺激の回避でもない

ので、
医学的な意味での「痒い」は違います。

もし痒みが原因なら

  • 擦る対象がランダムになる

  • 頻度が不規則になる

  • 他の部位も掻く

はずですが、実際は

  • 特定の場所だけに擦る

  • 繰り返し同じ対象を使う

  • 姿勢が典型的

なので、目的行動です。


② しかし「擦りたくなる感じ」は存在する可能性が高い

成熟期に起こるのは

  • 腺の肥大

  • 分泌増加

  • 神経感受性変化

です。

このとき動物にはしばしば

  • 圧迫したくなる

  • 分泌物を放出したくなる

という行動動機が生じます。

例:

  • シカの角研ぎ

  • ネコ科の顔擦り

  • イヌの肛門腺こすり

どれも「痒み」ではなく

分泌腺の充満による行動衝動

です。


③ 感覚としてはどう近いか

人間で無理に例えると、

  • くしゃみが出そうで出したくなる

  • 皮脂が溜まって顔を洗いたくなる

  • ストレスで体を動かしたくなる

に近いです。

つまり

局所感覚+情動動機の混合

です。


④ 進化的には「出したくなる」設計

匂い腺は

  • 出すほど社会的利益がある

  • 出さないと縄張りを失う

ので、

成熟個体は

分泌物を放出することで行動的満足を得る回路

を持っていると考えられます。

だから若い個体は突然

  • 擦る場所を探し始め

  • 匂いを付ける行動に夢中になる

わけです。




Q6: カモシカが眼下腺マーキングする対象物は、木だけでなく葉のこともあります。葉の裏面によくマーキングしているのですが、なぜそんな不安定な物にマーキングするのか?(落葉したり被食されたりするリスクがある。)例えば自分の縄張り内にライバル個体が侵入して眼下腺マーキングしたのを嗅ぎ取ったとして、その葉っぱを食べてしまえば、ライバルの縄張り宣言は無効になってしまうのではないか?


A6: 結論から言うと、

カモシカの眼下腺マーキングは「永続的標識」を作るためではなく、匂い情報を空間に散布するための行動なので、葉のような不安定な対象でも問題ありません。

むしろ葉に付けることには合理性があります。

順に説明します。


① マーキングの目的は「物体を占有すること」ではない

縄張り標識というと人間は

  • 看板

  • 柵

  • 境界線

のような固定物を想像しますが、

哺乳類の匂い標識は

物体ではなく空間を標識している

のです。

つまり重要なのは

  • 木か葉かではなく

  • その場所に匂いが存在すること

です。

匂いが空間に漂えば機能します。


② 葉に付けることの利点

葉の裏面は実は優秀なマーキング面です。

理由:

・鼻が触れやすい高さにある

カモシカは地表〜顔の高さを嗅ぎながら移動します。
葉の裏はちょうど嗅覚ラインに入ります。

・湿度が高く匂いが残りやすい

葉裏は

  • 直射日光を受けにくい

  • 乾燥しにくい

  • 揮発が遅い

ため、匂い保持に向きます。

・柔らかく分泌物が付きやすい

樹皮よりも

  • 摩擦で分泌物が広がる

  • 油脂が吸着しやすい

です。

つまり実用面ではかなり合理的です。


③ 落葉・被食の問題

あなたの疑問の核心:

食べられたら縄張り宣言は消えるのでは?

これは半分正しいですが、重要な前提があります。

カモシカは

単一の標識に依存していない

のです。

縄張りは

  • 多数のマーキング点のネットワーク

  • 排糞場

  • 尿臭
    -足跡臭

などで構成されます。

だから葉が1枚消えても問題ありません。


④ むしろ消えることに意味がある

匂い標識は本質的に

時間で消える設計

です。

理由:

  • 古い情報が残ると誤認が起きる

  • 死んだ個体の縄張りが残る

  • 空間更新ができない

なので、

落葉や分解は

情報の更新システム

として機能します。

つまり

  • 消える=縄張り崩壊
    ではなく

  • 消える=更新が必要

です。


⑤ 侵入個体が葉を食べる問題

これも興味深いですが、

侵入個体は普通

  • 匂いを消そうとはしない

  • 自分の匂いを上書きする

戦略を取ります。

なぜなら、

匂いは

消すより上書きする方が速い

からです。

実際多くの哺乳類では

  • 他個体の匂いの上に重ねる

  • 同じ場所を使う

行動が見られます。



つづく→

2026/02/24

初雪の降った初冬の晩に銀杏の給餌箱から逃げ出すニホンイノシシ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年12月上旬

シーン1:12/3・午前8:41・晴れ(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
里山のスギ林縁に朽ち果てた倒木があり、その端に設置した給餌箱に銀杏(イチョウの種子)を一杯に入れてみました。 
採取した落果の果肉をしっかり洗い落として乾燥させたのですけど、独特の臭気が残っています。 
銀杏を食べに来る野生動物や野鳥はいるでしょうか?
本来は、イチョウの木の下にトレイルカメラを設置して落果を監視すべきなのですが、街なかのイチョウ並木(街路樹)ではヒトの往来があるので色々と問題になりそうです。
そこで次善の策として、銀杏を拾い集めてひと気のない山中で給餌実験することにしたのです。 


シーン2:12/3・午後18:28(@0:03〜)日の入り時刻は午後16:23。 
山中にも初雪?が少し積もりました。
真っ暗な晩に、倒木の背後を右から左へ黒っぽい獣が横切りました。 
ニホンイノシシ♀(Sus scrofa leucomystax)です。 
餌箱に入れた銀杏の臭いに気づいたようで、立ち止まりました。 
牙が小さいので、♀のようです。 
慌てて身を翻すと、右奥へ逃走。 
起動したトレイルカメラの存在に気づいて警戒したのでしょうか?
餌箱の銀杏は雪で埋もれていますが、怪しい餌箱や銀杏の匂いを嫌ったのかな? 
山中にイチョウの木は自生していないので、山で暮らす野生のイノシシにとって初めて嗅ぐ異臭だったかもしれません。 

ちなみに、銀杏の匂いに対するカモシカの反応はイノシシとは違っていて、なかなか興味深いです。

※ イノシシの鼻息や走る物音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→

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