2017/08/05

巣で羽ばたき練習をするハシボソガラスの雛(野鳥)


▼前回の記事
営巣地の縄張り内で配偶者を侵入者と誤認したハシボソガラス(野鳥)

高圧線の鉄塔#19でのハシボソガラス営巣記録#9


2017年5月中旬・午後17:26~17:28

在巣のハシボソガラスCorvus corone)雛鳥は3羽。
やんちゃ盛りの雛は親鳥が留守の間も巣の中で暴れ回り、ときどき激しく羽ばたいて飛ぶための練習をしています。
互いの体の上に乗って羽ばたいているのは遊びのような兄弟喧嘩でマウンティングする(順位を決める)要素もあるのでしょうか?
騒ぎ疲れると、おとなしくなります。

雛の羽ばたき練習を見たのはこれが初めてで、私も感無量です。
飛翔筋を鍛え、このまま無事に巣立ちを迎えて欲しいものです。

つづく→#10:巣内で相互羽繕いするハシボソガラスの雛(野鳥)



ぎこちない動きのイチモンジチョウ終齢幼虫



2017年5月中旬

イチモンジチョウの飼育記録#4


さて、これまで紹介した記録映像をご覧になった方は何かおかしな動きにお気づきになられましたでしょうか?
1匹だけ飼育しているイチモンジチョウLimenitis camilla)終齢幼虫の蠕動運動による前進がぎこちないことに私は違和感を覚えました。
ピクッピクッとぎこちないリズムでギクシャクしながら前進します。
Uターンしようとする動きもぎこちない。
室温も別に低くはありませんでした。

この個体だけの運動異常なのか、それとも本種の幼虫に特有な動き方なのですかね?

卵から孵化した直後からこういうぎこちない前進運動なのか、多頭飼育で確かめたいところです。
幼虫の体の緑色は食樹植物の上では保護色ですし、例えば捕食者に見つかりにくいなど適応的な動きなのかな?
私はカメレオンのゆっくりとしたぎこちない歩行を連想しました。(前後に体を揺らしながらギクシャクと「三歩進んで二歩下がる」ときもある)
10年前に飼育した個体の映像を見直してもこんな変な動き方ではありませんでしたが、当時のフィールドノートには「前進シーンもおっとりしている」という謎の記述がありました。

▼関連記事(口元にクローズアップしているため正直言って全身の動きはよく分かりません)
イチモンジチョウ終齢幼虫の食事

撮影時の私は体内寄生を強く疑いました。

▼関連記事
イチモンジチョウ幼虫と寄生蜂の繭
ところが後日、無事に成虫が羽化したので、ますます原因が分からなくなりました。
たまたま幼虫期に運動神経や筋肉に軽い異常を来した変異個体だったのでしょうか?

タニウツギが幼虫に食べられないように毒を葉に溜め込むようになったとか?(中毒症状)


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#5:タニウツギ蕾の萼を食すイチモンジチョウ終齢幼虫



【追記】
古い図鑑ですが、保育社『原色日本蝶類生態図鑑(II)1983』を紐解いてイチモンジチョウの項目を参照すると、答えがしっかり書いてありました。
決して異常な症例ではないと分かり、すっきりしました。
幼虫の歩き方はミスジチョウ類ともよく似ており、緩急のリズムを伴ったごくゆっくりしたものである。(p134-135より引用)


この独特な動きがもし対捕食者戦略として進化したのなら、その有効性(適応)を実証した上で、エボデボの切り口で調べる価値があるかもしれません。

2017/08/04

営巣地の縄張り内で配偶者を侵入者と誤認したハシボソガラス(野鳥)



▼前回の記事
水田で水を飲むハシボソガラス(野鳥)

高圧線の鉄塔#19でのハシボソガラス営巣記録#8


2017年5月中旬・午後17:24~17:43

久しぶりに給餌シーンを撮影すると、巣内のハシボソガラスCorvus corone)雛鳥が順調に育っていました。
雛の数はおそらく3羽。

帰巣した親鳥αが鉄骨を伝って巣に接近すると、育ち盛りの雛は一斉に伸び上がって必死に餌乞いします。
このときの背丈で雛の成長を感じます。
大きく開けた嘴の中が赤いことをしっかり確認できました。
これがカラスの幼鳥の特徴で、成鳥になると黒くなります。
遠くて餌乞いの鳴き声は聞き取れませんが、空腹を一番アピールできた雛が親鳥に餌をもらえるのでしょう。
食後に未だ覚束ない足取りで巣内を動き回る雛を親鳥はしばらく見守っています。
雛が脱糞しなかったようで、親鳥αは次の餌を取りに出かけました。

しばらくすると、外出したはずの親鳥αが鉄塔の右の車道沿いの電線に止まって休んでいることに気づきました。
遠くから撮影している私の存在に気づいて見張っているのかもしれません。
次に興味深いことが起こりました。

左の餌場から飛来した別の親鳥βが鉄塔に着地せず素通りしました。
一体どこに向かうのかと不思議に思って見ていると、住宅地の電線に止まった親鳥αの方へ急行しました。
おそらく営巣地の縄張りに侵入したよそ者だとみなして、追い払うために駆けつけたのでしょう。
攻撃する直前にパートナーだと気づいたようで、挨拶してから(?)旋回して鉄塔に引き返しました。
帰巣した親鳥βは雛に給餌してから飛び去りました。
ニアミスした際に番(つがい)の間で合言葉のような音声コミュニケーションがあったのですかね?(私には聞こえませんでした)
視覚に頼っているのだとすれば、カラス同士はどうやって個体識別しているのか、カラスに聞いてみたいものです。
(カラスの専門家でも外見からの性別判定や個体識別はほとんど無理なのだそうです。)
番(つがい)はお互いの行動パターンをほぼ把握していて、もしかすると今回αはいつもと違う場所に止まっていたのでβは不審に思ったのかもしれません。
私もここで観察していると、親鳥がお気に入りの止まり場所が何箇所かあることに気づきました。
ここでαとかβと呼んだのは全く便宜的なもので、どちらが優位とか大きいなど他意はありません。

3回目に戻ってきた親鳥はなぜか回りくどい帰巣ルートをとりました。
左から飛来すると、巣の右下の鉄骨に一旦着地しました。
すぐに飛び上がって巣の上の鉄骨に止まり直し、鉄骨を一段降りてから帰巣しました。
雛に給餌を済ませると巣の右横の鉄骨で休息。
今度はなかなか出巣せず辺りを監視しているだけなので、映像はここまで(残りのシーンは退屈でカット)。

つづく→#9:巣で羽ばたき練習をするハシボソガラスの雛(野鳥)



イチモンジチョウ終齢幼虫の食餌と排泄【10倍速映像】



2017年5月中旬

イチモンジチョウの飼育記録#3


イチモンジチョウLimenitis camilla)終齢幼虫が凄まじい食欲でタニウツギの葉をひたすら食べ続け、定期的に排便する様子を微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像を御覧ください。
イモムシ毛虫の見事な食べっぷりを見るといつも惚れ惚れします。
ときどき食休みしています。

つづく→#4:ぎこちない動きのイチモンジチョウ終齢幼虫


2017/08/03

水田で水を飲むハシボソガラス(野鳥)



▼前回の記事
雨の日に巣内の雛に給餌するハシボソガラス(野鳥)


高圧線の鉄塔#19でのハシボソガラス営巣記録#7

2017年5月中旬

ハシボソガラスCorvus corone)の営巣地の直下に小さな田んぼがあります。
部分的に田植えの済んだ水田の畦道で親鳥の1羽を見つけました。(性別不明)
水面を見つめながら岸に沿って歩いています。
いかにもカエルなどの獲物を捕食するか、あるいは水を飲みそうな雰囲気です。
しかしカメラを向けている私のことを嫌がり、かなり警戒しています。
(撮影中の私はブラインドに隠れておらず、カラスから丸見えです。)
カラスは私の目の前に生い茂った灌木の死角に入ろうとしているようですが、私も負けじと横にずれて対抗しました。
遂にカラスは水田から水を一口だけ飲みました。
やはり私に近くから見られていると安心して水を飲めないようです。
頻りに嘴を地面に擦り付けているのは、おそらくフラストレーションを発散する転位行動ではないでしょうか?
…こういう勝手な推理を我田飲水というのです。

再び畦道を横に移動してから飛び立ちました。
田んぼを飛び越えると対岸に着地。
ようやく何度も繰り返し嘴で水をすくい上げて飲んでいます。
今度は手前に張り出した岸が邪魔ですね。
飲水中は無防備になるため、カラスはわざと物陰から水を飲むのでしょう。

岸に戻るとハシボソガラスは濡れた嘴を地面に何度も擦り付けてから飛び去りました。(映像はここまで)
すぐ近くの電柱に止まって営巣地の周辺を監視します。
このとき実は番(つがい)のもう1羽も水田の脇の別な電柱の天辺に止まって縄張りを油断なく見張っています。

ところで巣で育つ雛に親鳥が水を吐き戻して与えることはあるのでしょうか?(給水行動)
給餌シーンと見分けがつきにくい気がします。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#8:営巣地の縄張り内でパートナーを侵入者と誤認したハシボソガラス(野鳥)



イチモンジチョウ終齢幼虫の排便



2017年5月中旬

イチモンジチョウの飼育記録#2


イチモンジチョウLimenitis camilla)が食餌の合間に定期的に脱糞する様子を接写してみました。
3発つづけてお届けします。
毎回いつも腹端を少し持ち上げて排便し、事が済むとゆっくり下ろします。
糞は真っ黒で、終齢幼虫なのに断面があまりロゼット状にはなっていませんでした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#3:イチモンジチョウ終齢幼虫の食餌と排泄【10倍速映像】



2017/08/02

電柱の角パイプ内の巣に出入りするスズメ♀♂【野鳥:HD動画&ハイスピード動画】



2017年5月中旬
▼前回の記事
電柱の角パイプ内に飛び込むスズメ(野鳥)

郊外の交差点で電柱の最上部に設置された金属の角パイプ内に営巣したスズメPasser montanus)の定点観察です。
PAS(気中負荷開閉器;実際の装置には表面にFTASと表記)を吊り下げるために電信柱の天辺で水平に固定された2本の角パイプのうち、片方は端に蓋がされています。
スズメは開放端の角パイプを利用していました。
角パイプの開放端をよく見るとネジが縦に貫通しており、左右に別れた片方のスペースからスズメは出入りしています。
細い角パイプ内でスズメがすれ違ったり通り抜けたり出来るのか不明ですが、親鳥は角パイプの両端から出入りしていました。
例えば天敵のヘビが角パイプ内に侵入したとしても、スズメの家族は逆側の出口から脱出することができそうです。
2羽の親鳥が連続して巣に出入りすることがあるので、♀♂番(つがい)が共稼ぎで雛に給餌しているのでしょう。
この交差点は交通量が多くてうるさいため、餌乞いする雛鳥の鳴き声などは聞き取れませんでした。
長い角パイプの端から巣材の藁などは見えませんでした。
この角パイプ内で営巣する分には、スズメが感電して焼き鳥になったり漏電事故を起こしたりする危険性は無さそうに思います。
しかし電力会社もおそらく蓋付きのパイプに少しずつ交換することで、野鳥の営巣を防止する対策が進んでいるのでしょう。(※追記2参照)

後半は巣穴に出入りする親鳥のスズメを240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。(@1:36~)
狭い巣口に器用に飛び込む様子や出巣した直後の羽ばたき、急旋回が見ものです。
角パイプ内で2羽の親鳥がすれ違うことが可能と判明しました。

佐野昌男『わたしのスズメ研究 (やさしい科学)』によると、

 営巣場所を失ったニュウナイスズメの一部は、集落に入って、人家のスズメの繁殖場所をねらいますが、からだの大きなスズメとの争いに勝つことができず、思うようには入り込むことができません。
 そこで、ニュウナイスズメたちは、たとえばスキー場のリフトの角パイプの中や電柱の角パイプの中に巣を作り始めました。これらの角パイプは、1辺が数cmくらいと狭い上、日中は高温になるなど、巣としては条件がよくありません。たとえ、数羽の雛が生まれても、雛の成長とともに、巣が狭くなるため、最終的に1~2羽しか生き残れないのです。しかも最近の角パイプの端はふさがれるようになり、巣としては利用できなくなってしまいました。(p63~64より引用)



【追記】
テレビ番組のタモリ倶楽部で「スズメの写真撮影にチャレンジ」という回を視聴していたら、この角パイプの名前が正式には「水平アーム」または「腕金(うでがね)」と呼ばれていることを知りました。


【追記2】
松原始『鳥類学者の目のツケドコロ』によると、
スズメは電柱の支柱などパイプを巧みに利用して営巣しています(中略)。道端の電柱を見てみるとわかりますが、パイプの先端は金具やキャップなどで「通せんぼ」されていることがよくあります。これはまさにスズメ避けです。スズメが営巣しても直接被害があるわけではないのですが、スズメを狙ってヘビが登ってくると電線をまたいでショートさせる恐れがあり、あまりありがたくないのです。スズメが営巣しているのは、こういった「通せんぼ」が壊れている場所や、機器の増設のためにパイプを切断したままになっている箇所です。(電子書籍版より引用)
私も電力会社がなぜパイプの端にスズメ避けを設置するかいまいち分からなかったのですが、これを読んで初めて納得しました。





タニウツギの葉を食すイチモンジチョウ終齢幼虫



2017年5月中旬

イチモンジチョウの飼育記録#1


タニウツギの灌木で見つけたイチモンジチョウLimenitis camilla)の幼虫を飼い始めました。
イモムシハンドブックに載っていた本種の終齢幼虫(5齢)の体長25mmに近いので、もうすぐ蛹化するかもしれません。

まずは、葉を蚕食する様子を接写してみます。
頭楯にも多数の棘が生えていますね。
防御用の武装なのでしょう。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#2:イチモンジチョウ終齢幼虫の排便



▼関連記事(ちょうど10年前のマクロ映像です)
イチモンジチョウ終齢幼虫の食事
十年一昔で、カメラの画質も撮影技術も向上していると思います。


2017/08/01

春の枯れ葦原で採食するキジ♂(野鳥)



2017年5月中旬
▼前回の記事
菜の花の咲く堤防を歩くキジ♂(野鳥)

堤防の階段を降りて行ったキジ♂a(Phasianus versicolor)をそっと追いかけます。
キジ♂は小走りで逃げ、湿地帯の枯れ葦原へ達すると歩みを緩めました。
かなり遠ざかるとようやく落ち着いたのか、歩く合間に地上採食を始めました。

再び立ち止まると、足で顔を掻きました。(@3:16)
最後は身震いしてから歩き去りました。

今にも縄張り宣言してくれそうな気がするのですけど、なかなか鳴いてくれません。
鳴かぬなら鳴くまで待とう雉。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→けんもほろろなキジ♂(野鳥)



フジの花蜜を吸うダイミョウセセリ



2017年5月中旬

藤棚で満開に咲いたフジの花でダイミョウセセリDaimio tethys)が吸蜜していました。
風に煽られながらもダイミョウセセリはいつものように翅を全開にして日光浴しながら花蜜を吸っています。
最後は飛び立ちました。

この日は風が強く、垂れ下がった花序が常に揺れています。
せっかく晴れているのに虫撮りするには悪夢のような酷いコンディションでした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
いつものように手ぶれ補正処理すると副作用で不自然な(酔いそうな)映像になるため、今回はやりませんでした。



2017/07/31

雨の日に巣内の雛に給餌するハシボソガラス(野鳥)



▼前回の記事
雨の日は巣にこもって雛を温めるハシボソガラスの親鳥(野鳥)


高圧線の鉄塔#19でのハシボソガラス営巣記録#6


2017年5月中旬・午後15:13~15:14

雨に打たれながら巣でじっと抱雛しているハシボソガラス♀?(Corvus corone)を長撮りしていると、もう1羽の親鳥(♂?)が飛来しました。
巣の右横の鉄骨に一旦着地してから外巣に乗ると、♀が立ち上がって少し横にどきました。
外出できない♀に給餌するのか、興味深く見守りました。
どうやら♂は雛に給餌したようです。
餌乞いする雛のシルエットが見れなかったのは、♀が背後に立っていたからでしょう。
♂はすぐに巣を離れ、右に飛び去りました。
一方♀は巣に座って抱雛を再開。
やはり親鳥は性別による役割分担があるのか、抱雛を交代しませんでした。(外見ではカラスの性別を形態的に見分けられません。)
さすがに親鳥♀自身の空腹が限界に達すれば、抱雛を♂と交代して採餌に出かけるはずです。

雨の日は餌となる虫を探すのも苦労するのかな?

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#7:水田で水を飲むハシボソガラス(野鳥)


「穴があったら入りたい!」クロマルハナバチ創設女王



2017年5月中旬

夕方の堤防や遊歩道の脇でクロマルハナバチBombus ignitus)の創設女王が営巣地を探索していました。
枯れ草に覆われた斜面をゆっくり飛び回り、穴や隙間に潜り込んで調べています。
動画の前後半で別個体を撮影。
2回の撮影に約50分も空いたので別個体だと思ったのですが、もしかすると同一個体がこの辺りで探索を続けていたのかもしれません。



2017/07/30

雨の日は巣にこもって雛を温めるハシボソガラスの親鳥(野鳥)



▼前回の記事
巣内の雛に給餌し辺りを見張るハシボソガラスの♀♂つがい(野鳥)

高圧線の鉄塔#19でのハシボソガラス営巣記録#5


2017年5月中旬・午後15:06~15:20

この日は前線の通過に伴い、朝から雨が降り続いています。
それほど激しい雨ではなく、1~2mm/hの降水量。

これまで観察してきたように、晴れた日は夫婦共稼ぎで餌を探しに出かけ、雛だけで留守番します。
この巣は雨ざらしで剥き出しの状態ですから、未だ体温調節能力の低い幼い雛を守るために雨の日はハシボソガラスCorvus corone)の親鳥は抱雛するのではないか?と予想しました。
雨仕度をしていそいそと様子を見に行きました。


予想通り、おそらく♀と思われる親鳥が雛の上に覆い被さって雨に打たれながら雛鳥をひたすら温めていました。
在巣の親鳥は巣に座ったまま動きが無く、ときどき身震いのように尾羽根を動かしています。
もし雛が未だ小さい時期に雨天が続くと、雛への給餌ペースが半分に落ちて雛の発育が遅れそうですね。
つまり梅雨入りする前に危険な時期を早く乗り切ることが育雛のポイントだと思われます。
カラスぐらいの知能があれば雨風が凌げる営巣地を選ぶか、巣材で雨避け・日除けの屋根を作ればいいのに…、とお節介なことを思ってしまいます。

かなり退屈な映像ですが、記録としてそれが狙いです。(写真よりも説得力、証拠能力があるでしょう)
昼間に晴れていれば、これほど長時間、親鳥が巣にじっと座っている(休んでいる)ことは決してありません。
傘に当たる雨音と、走行車が水しぶきを跳ね上げる音で、雨天だと伝わるでしょう。

比較対照として、同時並行で観察している他のカラスの巣も巡回して観察すべきでしたね。
しかし雨の日にこれ以上足を伸ばすのは億劫で、さぼってしまいました。
言い訳としては、巣によって雛の発育段階が不揃いだったのです。(この巣#19が最も早い)

※ 暗い雨雲を示すために、今回は動画に自動色調補正を施していません。
下の写真では色調補正してみました。

つづく→#6:雨天の給餌


【追記】
唐沢孝一『カラスはどれほど賢いか―都市鳥の適応戦略 (中公新書)』によると、

 産卵後は、♀親によって約20日抱卵されて孵化する。孵化したばかりの雛は、羽毛は生えておらず、普通の小鳥の雛のようにピンク色をしている。しかし、数日後には皮膚は黒色に変化し、つぶれたゴムタイヤのような皺だらけでグロテスクな雛になる。羽毛の生えていない雛は体温維持が不十分なため、さらに二週間にわたり♀親が抱雛する。雛の巣立つのは孵化後、約1ヶ月である。(p114より引用)



車体や窓に映った鏡像に戦いを挑むクマバチ♂



2017年5月中旬

繁殖期になるとクマバチ♂は各自で縄張りを張り、ホバリング(停空飛翔)しながら交尾相手の♀を待ち構えます。
縄張りに他の虫が飛んで来ると雄蜂はすぐに高速で飛んで行き、クマバチ♀でなければ追い払う習性があります。
そのためにクマバチの雄蜂は複眼が♀よりも大きく発達しているのです。

▼関連記事
クマバチ♂の占有飛行@ニセアカシア花【HD動画&ハイスピード動画】
クマバチ♂の占有飛行【ハイスピード動画】


郊外の駐車場で、キムネクマバチ♂(Xylocopa appendiculata circumvolans)が停めた車のボディーに繰り返しぶつかっていました。
この辺りで縄張りを張っている♂が車体に映った自分の姿(鏡像)に反応しているようです。
ナルシストという訳ではなく、おそらくライバル♂と誤認して追い払いに行ったか、あるいは♀と誤認し交尾しようと向かって行ったのでしょう。
黒光りする車体に何度もコツンとぶつかっています。
シルバーの車種ではドアミラーに少し興味を示し、窓ガラスに自らぶつかりました。

クマバチの興味深い鏡像反応を動画に記録できて、久々にとても興奮しました。
ハイスピード動画に撮れば良かったですね。

普段はもっと高いところでホバリングしているので、こんな低く飛んでいること自体、珍しく思いました。
姿見のような大きな鏡を野外に設置したら、面白そうです。


ちなみに蜂ではないのですが、吸血性のアカウシアブは車の温かい排気カスに含まれる二酸化炭素(CO2)に誘引されることが知られています。

▼関連記事 
車好きのアカウシアブ
今回のクマバチの行動も車から出る化学的な誘引物質(フェロモン様物質)がもたらした可能性もありそうです。
駐車していた車はアイドリング中ではなく、排気ガスも出していませんでした。
やはり鏡を用いた実験で追試が必要ですね。


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