2020/08/29

採餌のためイタチハギに訪花するヤマトツヤハナバチ♀の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2020年6月上旬・13:30頃・晴れ

峠道の横に生えたイタチハギ(別名クロバナエンジュ)の群落でヤマトツヤハナバチ♀(Ceratina japonica)が訪花していました。

この日見つけた2匹目の個体♀bの採餌行動をマクロレンズで接写してみましょう。
イタチハギ雄しべの葯から大量の花粉が採り放題なので、ヤマトツヤハナバチ♀は夢中になって集粉しています。
ときどき身繕いして、体に付着した橙色の花粉を後脚のスコパ(花粉採集毛)に移しています。

花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:46〜)




つづく→イタチハギの花で採餌するヤマトツヤハナバチ♀に噛み付くアリ【名前を教えて】

長い舌を伸ばしたところ

ヒメジョオンの花蜜を吸うクモガタヒョウモン♂の群れ



2020年6月上旬・午後13:00頃・晴れ

峠道の横の斜面に咲いたヒメジョオンの群落でヒョウモンチョウの仲間が訪花していました。
半開きの翅を開閉しながら吸蜜しています。
ズームアウトすると、複数個体(4頭?)が訪花中でした。
探雌飛翔中の♂個体もいて、訪花中の別個体♂に誤認求愛しているようですが、私には性別がなかなか見分けられません。

ヒョウモンチョウ仲間を見分けるのは慣れるまで難しく、私はこれまで『札幌の昆虫』という図鑑のお世話になっていました。
北方系の昆虫がたくさん掲載されていて、東北地方の昆虫を調べる際にとても参考になるのです。
この図鑑のおかげ
で私もヒョウモンチョウの種類を見分けられるようになりました。
ところが今回撮った個体はミドリヒョウモンと似ているものの、図鑑との絵合わせではどうにも翅裏の斑紋が一致しません。
そこで最新の別な図鑑『フィールドガイド:日本のチョウ』で調べると、クモガタヒョウモン♂(Nephargynnis anadyomene)とようやく判明しました。
クモガタヒョウモンは北海道にも分布しているらしいのですが、『札幌の昆虫』に未掲載なので、分からなかったのも当然です。








2020/08/28

イソシギのペアが河原で餌を探し回り、片足立ちで羽繕い(野鳥)



2020年7月上旬・午後15:50頃・

川の上流域で、つがいと思われる2羽のイソシギActitis hypoleucos)を見つけました。

初めは1羽が浅瀬の岩の上に乗って周囲をキョロキョロ見渡していました。
右足を震わせて水気を切ると、片足立ちになりました。
右足を休めているのかと思いきや、すぐに岩から下りて上流へ向かって歩き出しました。
餌を探しているようです。
途中、足で体を掻いたり、石と石の隙間で立ち止まって羽繕いしたりしています。

しばらくすると、いつの間にかもう1羽と並んでいました。
それまでどこに隠れていたのでしょうか?
巣の位置を突き止めたいのですが、おそらく私がブラインドに隠れないとイソシギは警戒して帰巣してくれないでしょう。

※ ストーリーを分かりやすくお伝えするために、動画の順序を撮影順から変えました。(倒叙法)




2020/08/27

ルピナスのピンクの花で採餌するセイヨウミツバチ♀



2020年5月下旬・午後14:15頃・快晴

民家の裏庭でノボリフジ(別名ルピナス)の花が満開に咲き乱れていました。
青い花とピンクの花はおそらく品種が違うのでしょう。
ルピナスで採餌するハナバチ類は青い花の品種の方が断然好みで、ピンクの花はほとんど人気がありません。
その理由を予想してみました。

  • 単純に、ルピナスの群落で咲いている花の数を比べると、青>ピンク だから?
  • ハナバチ類の視覚系にはピンクの花は見えにくいのかもしれません。
  • ピンクの品種は青い品種よりも花蜜や花粉の量が少ないのか?
  • 種子を同時に蒔いても、青い花が先に咲きピンクの花は少し遅れて咲くのか?




虫の目にはどう写っているのか、紫外線カメラでルピナスの花を撮影してみたいものです。



今季あちこちの庭や花壇で咲くルピナスの群落をしつこく見て回ったところ、ようやくピンクの花で採餌するセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀を見かけました。
蝶形花の翼弁を器用にこじ開けて、正当訪花で吸蜜しながら竜骨弁の先端から花粉を集めています。
後脚の花粉籠は初めは空荷でしたが、採餌を続けると橙色の花粉団子を少量付けて運ぶようになりました。
ルピナスを訪花するセイヨウミツバチ♀の採餌法は、青い花でもピンクの花でも同じです。
▼関連記事(同時期に撮影)
ルピナスの青い花で採餌するセイヨウミツバチ♀

不思議なことに、この個体は青い花に見向きもしないで、専らピンクのルピナスを訪花していました。
ピンクの波長がよく見えるようになった突然変異個体だとしたら面白いですね。(素人の勝手な妄想)
あるいは、青い花は既に花蜜も花粉も他のハナバチ類に奪われて枯渇してしまった後なのかも知れません。

青とピンクの他には、白いルピナスの花も街中の限られた特定の花壇(1箇所だけ)で見つけました。
残念ながら、私が通りかかったときに訪花昆虫(送粉者)の姿はありませんでした。




ノイバラの花を舐めるフタガタハラブトハナアブ♀



2020年6月上旬・午前10:55頃

ノイバラの群落でフタガタハラブトハナアブ♀(Mallota eristaliformis)が訪花していました。
口吻を伸縮させてノイバラの花蜜や花粉を舐めています。
左右の複眼が接していないので♀ですね。
顔を正面からしっかり見せてくれなかったものの、「カオグロ」オオモモブトハナアブではありません。

本種はマルハナバチにベイツ型擬態したハナアブ類のひとつと考えられています。
『札幌の昆虫』という図鑑p214〜215では、「マルハナバチに擬態するハナアブの仲間」として見開き2頁を丸々割いて標本写真および生態写真を掲載しています。


フタガタハラブトハナアブの場合で擬態のモデルとなったマルハナバチを考えると、体毛が全体的に黄色ですから、当地ではクロマルハナバチ♂またはコマルハナバチ♂が考えられます。
しかし♀に比べて雄蜂♂の出現期は短い上に、雄蜂♂は敵を刺す毒針を持ちません。
ですから、鳥などの捕食者側にこれを忌避する学習が果たして成立するのか、私は疑問です。
つまり、我々マニアックな虫好きが勝手に「マルハナバチと似ている」と言っているだけかもしれず、本当にベイツ型擬態なのかどうか実験的な検証が必要だと思います。
例えば、体毛が黄色ではなくもっと茶色になればトラマルハナバチ♀と似るかもしれませんが、ヒトと鳥類では色覚も微妙に違います。


▼関連記事(8年前の撮影)
化粧するフタガタハラブトハナアブ♀



2020/08/26

採餌のためシロツメクサを訪花するクロマルハナバチ♀の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2020年6月上旬・午後15:50頃・晴れ

空き地の原っぱに咲き乱れるシロツメクサの群落でクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が忙しなく訪花していました。

後脚の花粉籠に橙色の花粉団子を大量に運んでいますが、これは同じ原っぱに咲いているノボリフジ(別名ルピナス)の花粉を集めてきたのだと思います。(映像公開予定
もしかすると花蜜の量はシロツメクサの方が多くて、ハナバチは目的に応じて訪花植物を選んでいるのかもしれません。(花粉はルピナス、花蜜はシロツメクサで効率的に採餌?)

クロマルハナバチ♀の訪花シーンを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:28〜)
個々の花筒の開口部に長い口吻を丹念に差し込み(正当訪花)、吸蜜していることが分かります。
集合花上で歩いて移動する際は、体のバランスを崩さないように軽く羽ばたいています。
吸蜜が済むと力強く羽ばたいて飛び立ち、別な株の花へ移動します。




川の水を飲み行水するスズメとカワラヒワ(野鳥)【HD動画&ハイスピード動画】



2020年6月上旬・午前10:50頃・晴れ

田園地帯を流れる小川(用水路)の岸で1羽のスズメPasser montanus)成鳥が水際から川の水を2、3口飲みました。
河原はカンカン照りの日向で、スズメは川岸を歩いている間も嘴を半開きにして暑そうです。
少し上流の川岸に飛んで移動すると、川の中に入り浅いところで水浴を開始。
嘴を水面に付けた瞬間に顔を左右に激しく振り、水飛沫を跳ね飛ばしています。
胸の羽毛も濡らしています。
次に翼も使って本格的に水浴するようになりました。
スズメの行水を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:08〜6:46)
スズメの水浴シーンを観察するのはこれで二回目です。

▼関連記事(1月前の撮影)
川で水浴しハクセキレイ♂を擬攻撃するスズメ(野鳥)

しばらくすると、もう1羽のスズメbが飛来して隣に着地すると(@5:20)、同様に水浴をはじめました。

更に1羽のカワラヒワ♂(Carduelis sinica)も飛来し(@6:36)、川岸に着陸すると、スズメと並んで川に入りました。
カワラヒワもスズメと一緒に行水するかと期待したのですが、私に対する警戒心が強くてすぐに飛び去ってしまいました。
カワラヒワの水浴シーンを見れず残念でした。


▼関連記事(7年前の撮影)
水溜まりで行水、飲水するヒガラとカワラヒワの混群(野鳥)

スズメの方がカワラヒワよりも「人馴れ」しているのか大胆で、川に居残って水浴を続けました。
最後はスズメbも川から飛び去りました。


スズメは雪浴びもするらしい。




2020/08/25

イタチハギの花で採餌するトラマルハナバチ♀



2020年6月上旬・午後13:50頃・晴れ

里山を登る峠道の横に咲いたイタチハギ(別名クロバナエンジュ)灌木の群落でトラマルハナバチBombus diversus diversus)のワーカー♀が訪花していました。
この組み合わせは初見です。
花穂上で吸蜜しながらぐるぐると回り、効率的に花粉を集めます(回転集粉)。
後脚の花粉籠に橙色の花粉団子を満載しています。
採餌の合間に花穂にぶら下がって身繕いしていました。
体毛に付着したイタチハギの花粉を払い落とし、後脚の花粉籠にまとめて移しているのです。




靴を舐めるヨコジマオオハリバエ【ミネラル摂取】



2020年6月上旬・午後14:20頃・晴れ

里山の峠で私が木陰の路肩に座り込んで遅い昼食を摂っていると、ヨコジマオオハリバエTachina jakovlevi)が飛来しました。
右足のスニーカーのインサイド部分を歩き回り、口吻を伸ばして防水性の合成繊維を頻りに舐めています。
カメラのレンズをそっと近づけて接写しても、ハエは逃げませんでした。
これまで本種の訪花吸蜜シーンしか見たことがなく、ヒトの汗も好きとは知りませんでした。


▼関連記事(1、2年前の撮影)
オトコエシを訪花するヨコジマオオハリバエの羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】
キヅタの花を舐めて飛び去るヨコジマオオハリバエ【ハイスピード動画】
ミゾソバの花蜜を吸うヨコジマオオハリバエ

今回、靴を舐めたのはミネラル摂取と思われますが、ヒトの汗が好きなら靴よりもすぐ横の靴下や私の素足を舐めに来ないのは不思議です。
靴下を洗った洗剤や体を洗ったボディソープに防虫成分(忌避物質の香料?)が含まれているのでしょうか?
実はこの靴は新調したばかりのスニーカーでした。

朝露で濡れてもいませんし、履き古した靴のように私の汗がたっぷり染み込んでいるとは思えません。
この靴は防水加工されているとの謳い文句なので、そのコーティング成分をハエが気に入った可能性もありそうです。
それとも、道中で靴に付着した砂埃に塩分などが含まれていたのかな?

▼関連記事(3ヶ月後の撮影)
手汗を舐めに来たビロウドハリバエ【ミネラル摂取】



ちなみに、エゾハルゼミ♂(Terpnosia nigricosta)が周囲の雑木林で鳴いてますね♪




2020/08/24

ルピナスの青い花で採餌するマメコバチ♀?



2020年5月中旬・午後15:30頃

平地の原っぱに咲き乱れるノボリフジ(別名ルピナス)の大群落でハキリバチ科の一種が忙しなく訪花していました。

蜂をしっかり同定するために採集できなかったのですが、マメコバチ♀(Osmia cornifrons)ですかね?
スロー再生すると、飛びながら顔正面を向けたときに、頭楯に1対の小突起が前方に伸びているように見えます。(@0:34)

ルピナス蝶形花の翼弁に着陸すると、蜂の体重で自然に開きます。
蜂が正当訪花で吸蜜している間に、てこの原理で竜骨弁の先が押し上げられ、雄しべの先の花粉が蜂の腹面を擦り付けられる仕組みになっています。
吸蜜しながら左右の後脚を忙しなく動かして花粉を掻き集めています。
その結果、腹部下面のスコパに橙色の花粉を満載しています。

同じ日に観察したヤマトツヤハナバチ♀よりも体が大きい(体重が重い)ためか、集粉法が遥かに洗練されている印象を受けました。
クマバチと並んで、ルピナスの授粉を担う送粉者の本命と思われます。


▼関連記事
青いルピナスの蝶形花で採餌するヤマトツヤハナバチ♀
採餌経験の浅いヤマトツヤハナバチ♀はルピナス蝶形花の攻略に苦労する【NG集】




広大な田園地帯をひたすら直進行軍する2羽のカルガモ(野鳥)



2020年6月上旬・午後16:40頃・晴れ

山麓の広大な田園地帯で2羽の鴨が水田を何かに取り憑かれたかのようにひたすら直進していました。
南から北へ畦道を乗り越え、水の張られた田んぼを次々と横断して行きます。
こんな奇妙な直進行軍をする鴨を見るのは初めてです。

夕方の西日で逆光となり、初めはほとんどシルエットしか見えません。
アイガモ農法の鴨が逃げてきたのか?と思って動画に撮り始めました。
謎の鴨が田んぼと田んぼの間の畦道に登った際に幸い順光となり、カルガモAnas zonorhyncha)と判明しました。

カルガモが田んぼの泥水をかき分けて遊泳しても、せっかく農家が植えたイネの苗が倒伏することはありませんでした。
しばらくすると私から離れたので安心したのか、遊泳の合間に水田で採食するようになりました。
遊泳コースも一直線から外れ、紆余曲折するようになりました。
これまでの遊泳コースから90°曲がり(東進)、畦道に沿って田んぼの端で採食することもありました。
しかし後続の個体はあまり採食せず、ただついて行くだけです。
水田から畦道に登ったときなどに、立ち止まって羽繕いすることがありました。
先導する個体は後続の個体に目もくれません。
畦を乗り越えて隣の区画の田んぼへ直進行軍を続けます。

カルガモの性別を外見で見分けられないのですが、この2羽はどういう関係なのでしょう?
全く先頭交代しないので、先導する個体は変わりません。
一度だけ先頭交代していました。(@1:03)
後続の個体は従順について行くだけです。
なんとなく♀♂のつがいで、先導する♀を♂が追いかけているのかな?と勝手に想像しました。
♂のしつこいストーカー行為(求愛? 配偶者ガード?)を嫌がって♀が逃げているところなのかもしれません。(飛んで逃げないのはなぜ?)

※ ストーリーを分かりやすく伝えるために、動画を撮影順から入れ替えました。




2020/08/23

ノイバラの花を舐めるツマグロコシボソハナアブ♀



2020年6月上旬・午前11:00頃・晴れ

農道沿いに咲いたノイバラの群落で、細い体型の見慣れない黒いハナアブが訪花していました。
広げた翅をかすかに上下しながら花蜜や花粉を口吻で舐めています。

まるで毒針を持つ狩蜂(有剣類)のように腰が細いので、もしかすると狩蜂にベイツ型擬態しているのかもしれません。
透明な翅に黒い縁紋が目立ちます。
左右の赤い複眼が接していないので♀のようです。
調べてみると、ツマグロコシボソハナアブ♀(Allobaccha apicalis)と判明しました。

そこへ1匹のセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が飛来するとツマグロコシボソハナアブ♀は少し飛んで逃げ、隣の花に移動しました。
おかげで今度は側面から撮れました。
見れば見るほど狩蜂にそっくりで格好良く、とても気に入りました。
再びセイヨウミツバチが乱入して、追い払われてしまいました。
どうもミツバチは蜜源植物でライバルとなるハナアブに対して占有行動しているようです。
だとすれば、ミツバチの目には狩蜂に擬態する作戦は通用しないことになります。
ベイツ型擬態は、鳥などの捕食者に対する自衛手段なのでしょう。

採餌活動に忙しいミツバチはハナアブのことなんか眼中に無くて、ツマグロコシボソハナアブ♀の方が勝手に怖がって逃げ出したように思うかも知れません。
しかしミツバチとの二度の小競り合いを1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、一回目のミツバチは空中で狙いを定めて訪花中のツマグロコシボソハナアブ♀に飛びかかっている(威嚇)ように見えます。
二回目のニアミスは確かに、ミツバチはハナアブのことなんか眼中に無さそうです。




庭木のヌルデに見つけた野鳥の古巣

鳥の古巣@庭木:落葉灌木
全景

2019年11月下旬

川沿いの民家とブロック塀に挟まれた猫の額ほどの(失礼ながら)狭い庭に植栽された灌木がほとんど落葉すると、分岐した枝の又部分に小さな鳥の古巣が現れました。
巣材に細い小枝や枯草だけでなく、白や水色のビニール紐も混じっています。
巣から長く伸びた白いビニール紐が秋風になびいていました。
すぐ横の道を私は頻繁に通っていたはずなのに、春から夏にかけて巣の存在に全く気づきませんでした。
おそらく庭木の枝葉が茂って巣を隠していたのでしょう。
この巣を作った鳥の候補として、例えばこの辺りでモズやヒヨドリをよく見ています。

営巣木の樹種を調べるために春になって現場を再訪してみたら、気になる庭木は根こそぎ伐採されていました。
鳥も私も大ショック…。
家主は家ごと売却したようで、空家になっていました。
家も取り壊すのかも知れません。

晩秋に巣を見つけたときにすぐ家主の許可を得て、鳥の古巣を採集させてもらえば良かったですね。
手の届かない高さに架けられていたので、梯子が必要でした。
紅葉・落葉した営巣木の写真を見直すと、未だ枝に残っている葉は対生で、葉軸に翼がありました。
したがって、樹種はヌルデのような気がします。
軒下の庭にわざわざヌルデを植えるとは酔狂な…?
もしかすると山でヌルデの実を食べてきた野鳥がこの庭に糞を落とし、種子から実生がここまで育った幼木なのかもしれません。




ヌルデ?紅葉
葉軸に翼が見える。


野生ニホンアナグマの探餌行動と本家「穴熊戦法」



2020年6月上旬・午後15:00頃

私が峠道を歩いて下山中に、前方の道端にタヌキのような哺乳類が現れました。
焦って撮影開始に手間取ったものの、幸い私の存在に気づいていないようです。
よく見ると、タヌキではなくニホンアナグマMeles anakuma)でした。

アナグマは路肩の草むらに沿って歩き、急坂をこちらに向かってどんどん登って来ます。
歩きながら路肩に堆積した落葉の下に鼻を突っ込んで匂いを嗅いで回り、餌となる小動物を探しているようです。(探餌行動)
ずんぐりむっくりの体型で、肉付きが良さそうです。
体は茶色の毛皮で覆われ、毛並みの良い健康そうな個体です。
脚は真っ黒い毛で覆われ、鋭い足の爪はややピンク色っぽい白でした。

舗装された峠道を横切る排水用の水路を金網状のグレーチング蓋が塞いでいます。
暗渠に気づいたアナグマは座り込んで(腰を下ろして)匂いを嗅ぎました。
立ち上がると暗渠に沿って道を渡り始めました。
採餌行動に熱中していたアナグマは、私の目の前に来るとようやくヒトの体臭・気配で気づいたようです。
私の方を見上げると、鼻を上下させて匂いを嗅いでいます。
このとき私は太陽を背にしているため、アナグマから見ると逆光になっています。
アナグマは急に慌てて向きを変え、路肩へ走って戻りました。
アナグマが恐ろしく近視(近眼)であることを実感できました。
たまたま私が風下に立っていたので、気づくのが遅れたのかも知れません。

逃げたアナグマは、暗渠の開口部に潜り込んで緊急避難しました。
山側から流れる沢の水を谷側の山林に流すための排水路(幅40cm、深さ20cm)ですが、この日は水路の底は乾いていました。

私が動画を撮り続けながらそっと近づくと、排水路の中央部にアナグマが潜んでいました。
安全なシェルターに隠れたつもりでも、格子状のグレーチング蓋の隙間からアナグマの姿が丸見えです。
底に溜まった落ち葉の匂いを嗅ぎながらゆっくり前進して行きます。
そのままトンネルを通り抜けるのかと思いきや、出口の真上で私が待ち受けていることに気づくと、暗渠内を引き返しました。
グレーチング越しに見上げて私の様子を伺っています。
このまま籠城するのでしょうか?
これぞまさに本家の「穴熊戦法」ではないか!と私は密かに感動しました。
もし私が両方の出入り口を塞いでしまえば、アナグマは檻に閉じ込められた状態になってしまいます。
タヌキと同様にアナグマも身の危険が迫ると「狸寝入り」をするのだそうです。
暗渠に逃げ込んだアナグマをもっと驚かせたり追い詰めていたら、アナグマの死んだふり(擬死行動)を実際に観察できたかもしれません。

しばらくすると、アナグマはトンネルの入り口から顔だけ出してキョロキョロと辺りの様子を確認しています。
逡巡の末にトンネルから一気に飛び出し、走り去りました。
暗渠の開口部の先は山林(スギ林)の獣道になっていました。
(※ 撮影時は獣道と思ったのですが、大雨の後に暗渠からの水が流れた跡かもしれません。)

アナグマは笹で覆われた林床の斜面を斜めに下って逃げました。
鈍重そうなアナグマも、いざとなれば敏捷に走れることが判明。
今回出会ったニホンアナグマは、一度も鳴き声を発しませんでした。

最後に、アナグマが避難していた暗渠の中を覗いてみました。
よくあるコンクリート三面張りの狭い排水路で、底には大量の落ち葉が堆積していました。
残念ながら、獣道や泥の上に明瞭な足跡は残っていませんでした。
この獣道や暗渠内にカメラトラップを仕掛けたら面白そうです。
山林の獣道を辿れば、アナグマの巣穴(セット)を発見できるかもしれません。

過去に私が野生ニホンアナグマと遭遇したのは、数年前に平地の湿地帯で出会った一度だけです。
そのときは出会い頭に逃げられてしまい、動画を撮れずに悔しい思いをしました。
アナグマが私のフィールドに生息していることの証拠映像を今回ようやく撮ることができて、感無量です。

ちなみに後日、全く同じ場所のトンネル(排水路)が他の野生動物にも隠れ家として利用されていることが分かりました。
お楽しみに


ニホンアナグマ@峠道+探餌徘徊
ニホンアナグマ@暗渠内:隠遁
暗渠+獣道:山林


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