2025年4月下旬〜5月上旬
シーン0:4/30(@0:00〜)
ドラッグストア郊外店の広い駐車場で、ヘビの死骸を見つけました。
白っぽい腹面を上に向けて舗装路に横たわっていました。
損傷が激しく、頭部が完全に失われていた他、尻尾の先も千切れかけています。
駐車場で車に轢き殺された(ロードキル)とは限らず、カラスやトビなどのスカベンジャーが他所から死骸を運んできた可能性もありそうです。
ビニール袋に入れて死骸を採集しました。
死後硬直はなく、手に持つとぐったりしていました。
ハエなどが集まって来ていなかったこともあり、死んでからまだそれほど時間が経過していないようです。
裏返して背面も調べると、ヘビの種類はジムグリ(Elaphe conspicillata) でした。
街なかによく出没する種類ではないので、やはり他所から持ち込まれた死骸のような気がします。
関連記事(2年前の撮影)▶
スギ防風林にあるホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)の溜め糞場WBCまでジムグリの死骸を持ってきて林床(スギ落ち葉の上)に置きました。
死骸を採集してから5時間以上も経っていたので、死後硬直が進んでいました。
採寸のため、15センチの定規を並べて写真に撮りました。
ここには複数のタヌキが頻繁に通って来ることが分かっています。
スカベンジャーとして知られるタヌキがヘビの死骸を見つけたときの反応をトレイルカメラで記録しようという企みです。
本当は、溜め糞場から離れた獣道で給餌実験をすべきなのですけど、撮影機材が足りないので仕方がありません。
なるべく夕方に近い時間に給餌したのは、昼間にカラスが死骸を見つけて食べてしまうと困るからです。
シーン2:4/30・午後18:44・気温10℃(@0:22〜) 日の入り時刻は午後18:32。
日没直後の晩に、早速2頭のホンドタヌキが連れ立って溜め糞場WBCに現れました。
近くにある休耕地の巣穴から排便に来たようです。
珍しく先に到着していた両目失明個体(ヘルパー♀h)がヘビの死臭を嗅ぎつけ、頭部のない死骸の首付近を咥えて持ち上げました。
そのままズルズルとひきずるように獲物を持って少し右に移動。
2番目に来た親タヌキ(♀?)がそれに気づくと、近づいて分け前を要求しました。
このとき餌乞いの鳴き声などは発しませんでした。
ヘビの反対側の端を咥えると、親子2頭で綱引きのように引っ張り合いを始めました。
そのまま蛇を引き千切るかと思いきや、立場の弱いヘルパー♀hがあっさり諦めて口を離したので、激しい争奪戦にはなりませんでした。
ジムグリ死骸の匂いを嗅いだり舐めたりしてから、親タヌキはヘビ死骸の太い端(前側)を咥えて奥に持ち去りました。
林床の少し離れた地点まで運ぶと、蛇の死骸を独り占めで食べ始めました。
せっかく先に見つけた 獲物を奪われた両目失明個体(ヘルパー♀h)は抵抗も抗議もしませんでした。
タヌキにとって、ヘビの死骸は争奪戦するほどの魅力がない餌なのかな?
その場で未練がましくスギ落葉の残り香を嗅いだりしています。
最後3番目に来た親タヌキ(♂?)は、溜め糞場wbcで排便もしないで、ぼんやり佇んでいるだけです。
重要なシーンを1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@1:24〜2:21)
シーン3:4/30・午後18:46(@2:22〜)
ヘビの死骸を持ち去った親タヌキa(♀?)がさらに奥に移動していて、食べ続けています。
(完食しなかったことが後に判明します。)
その間に、両目失明個体が溜め糞場で排便しました。
もう1頭の親タヌキb(♂?)はパートナーに分け前を要求することなく、少し離れたまま林床の匂いを嗅ぎ回っています。
ジムグリ死骸の残り香が気になるようです。
脱糞シーンを1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@3:22〜)
シーン4:4/30・午後19:06・気温11℃(@4:23〜)
約20分後、奥の林床にヘビの死骸が放置されているようです。
単独行動のタヌキが溜め糞場を素通りして奥へ歩き去りました。
やがて別個体が手前から登場しました。
林床の匂いを嗅ぎながら奥へ歩いて行きます。
2頭とも後ろ姿なのでタペータム(輝板)が見えず、個体識別が出来ません。
シーン5:5/1・午前4:20・気温2℃(@4:53〜) 日の出時刻は午前4:40。
監視カメラが次に起動したのは日の出直前です。
スギ林床の赤丸で囲んだ位置にヘビの死骸がなぜか突然出現していました。
何者かがここに運んできたシーンが撮れていないことになります。
シデムシなど腐肉食性の昆虫が死骸を埋葬するために運んできたとしたら、変温動物ですからトレイルカメラには当然写りません。
しかし5月上旬の未明は気温がかなり低い(2℃)ので、越冬明けの昆虫はまだ活動できないはずです。
左から来たタヌキ(両目の輝板は正常)が、ヘビ死骸の食べ残しを見つけました。
左前足で押さえつけながら、咥えてグイグイ引っ張っています。
引きちぎることはできないものの、ヘビの皮を剥いているようです。
残念ながら、尻切れトンボで録画が打ち切られてしまいました。
ホンドタヌキがヘビの死骸を完食したのか、どこかに持ち去ったのか、不明です。
後日に現場検証すると、私が置いたジムグリの死骸は無くなっていました。
シーン6:5/1・午前5:25・気温1℃(@5:54〜)
すっかり明るくなった早朝に、単独で来たタヌキが林床をうろついています。
もうヘビの死骸は残っていないようです。
【考察】
私にはまだ親タヌキの性別が見分けられず、個体識別ができていません。
ジムグリ死骸を食べた個体は、妊娠、出産、育児で食用旺盛な母親♀なのではないかと勝手に想像しています。
給餌実験をしたら、親と子ダヌキ(ヘルパー)間の力関係を示す重要な証拠動画が撮れました。
両目を失明したヘルパーは、親タヌキに餌を奪われても全く反抗しないで完全に服従しているようです。
実は、冬の積雪期にも同様のシーンを観察しています。
関連記事(1ヶ月前の撮影)▶ ヘルパーが雪の下に貯食した餌を翌朝に掘り出して食べるホンドタヌキ♀と発情チェックに余念がない♂【トレイルカメラ】
野生動物に給餌するのは原則的に避けるべきですが、ヘビの死骸を駐車場に放置していれば、いずれ何らかのスカベンジャー(掃除屋)が食べに来たはずです。
トレイルカメラを設置した獣道に死骸を移動しただけですから、タヌキにドッグフードなどを給餌するよりはマシでしょう。
路上の死骸(ロードキル)を放置したままだと不衛生なのは確かです。
通報して死骸を焼却処分してもらうと燃料代がかかりますから、なるべくスカベンジャーに食わせる方がCO2の放出も減らせてエコです。
生態系にはスカベンジャーというグループがいて大切な役割を果たしているということを都会人は忘れがちです。
次に死骸を給餌するときには、監視カメラの近くから持ち去られないように工夫した方が長く観察できそうです。
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つづく→