2025年4月下旬・午後13:20頃・くもり・気温24℃
春の林内で雪解け水が溜まった排水溝に来る野鳥や野生動物を自動撮影カメラで見張っています。
昼過ぎに、1羽のハシボソガラス(Corvus corone)が天然の丸木橋に乗って水を飲んでいました。
濡れた嘴を足元の倒木で拭きます。
次にカラスは左岸に上陸し、嘴を使って土手の石をゴロンとひっくり返しました。
石の裏側に隠れている虫を探していたようですが、何も見つからなかったようです。
トコトコ歩いて(ウォーキング)から、奥へ飛び去りました。
画面の左奥で別個体が落枝に乗って鳴いています。♪
つづく→
【考察】
カラスが石をめくる探餌行動は、本で読んで知ってはいたものの、初見でした。
松原始『カラスの教科書』によると、
・「探りを入れる」行動はプロービングと呼ばれるが、くちばしでかきわける、くちばしを差し込んで押し開く、上を覆っているものをどける、ひっくり返す、と多岐にわたる。草の間には昆虫が潜んでいることがあるし、落葉の下には種子や昆虫やミミズ、石をひっくり返せばその下に何かがいる、かもしれないからである。ハシボソガラスの行動の基本は「かもしれない」なのだ。 (p148-149より引用)
・ハシボソガラスの文字通り「草の根分けても探し出す」というテクニックは農耕地や河川敷では大きな武器となる。 (p152より引用)
・こういう職人芸的なテクニックを身につけるには時間がかかる。特に河川で石をめくる「ターニング」と呼ばれるテクニックは難易度が高いらしく、巣立ち雛は最初のうちは全くこれができない。 (p152より引用)
排水溝に来るカラスの種類を見分けるのに自信がなくなっていたのですが、このターニング行動は主にハシボソガラスがやるらしい。
ちなみに、ホッピングではなくウォーキングで歩行するのもハシボソガラスの特徴です。(例外あり)
Q: ハシボソガラスは河原などで嘴を使って石をめくり、裏側に隠れている虫を探す探索行動が知られている。ハシブトガラスも同様の石めくりをするか?
A: 結論から言うと、ハシブトガラスでも石をめくる行動自体は起こり得ますが、ハシボソガラスほど典型的・頻繁に観察される行動ではありません。両種の違いは、採食ニッチと行動傾向の差で説明できます。ハシボソガラスは、河原・農耕地・干潟のような開けた地表環境での採食に強く適応しており、地面を歩きながら「探してめくる(turning over)」型の探索行動をよく行います。石や落ち葉、木片の下にいる無脊椎動物を探す行動は、その文脈で非常に典型的です。一方、ハシブトガラスはより森林性が強く、都市でも立体的(樹上・構造物上)な採食を多用します。雑食性はさらに広く、果実・人為由来の食物・小動物など多様な資源に依存するため、地表で石を系統的にめくって餌を探す行動は、相対的に重要度が低いと考えられます。ただし例外的に、* 河原や海岸などで地表採食をしている個体* 餌資源が乏しく、探索行動の幅が広がっている状況では、ハシブトガラスでも石や物体を動かして下を調べる行動は観察され得ます。カラス類全般に共通する高い操作能力(嘴で物をどける・持ち上げる)を考えれば、能力的には十分可能です。要するに、* 「できるか?」→できる* 「よくやるか?」→ハシボソほどではないという整理になります。