2026年7月上旬・午後12:15頃・晴れ
山麓にある池でキイトトンボ♂(Ceriagrion melanurum)が忙しなく飛び回っていました。
スロー再生すると、腹端が黒いので♂と見分けられます。
岸辺に生えた草の葉に翅を閉じて留まったときにも、腹端の黒い♂でした。
同じコースを何度も往復しているので、池および沢の上空に縄張りを張って巡回(パトロール)しているようです。
交尾相手の♀が飛来するのを待ち伏せているのでしょう。
つまり、探雌飛翔でもあります。
同種の♂が来たら追い払って縄張りを防衛するはずです。 (映像公開予定)
この繁殖池L、Hについて、まず説明します。
山麓に大小2つの池が上下2段に並んでいて、つながっています。
上の池の方が大きくて、L<Hです。
まず山から沢の水が池Hにチョロチョロと流れ込み、次に池Hからチョロチョロと流れ出た水が下の池Lに入ります。
池Lから流れ出る水は沢となって、麓へ流れ下ります。
その沢の両岸には雑草が草丈高く生い茂り、水面はほとんど隠れてしまっています。
キイトトンボ♂の縄張りには池L、Hだけでなく、前後の沢も含まれていて、往復していました。
ただし、個体識別をしていないので、もしかすると池Hおよびその上流を縄張りとする個体aと、池Lおよびその下流を縄張りとする個体bは別の♂かもしれません。
キイトトンボ♂が沢の草むらに飛び込むと保護色となってしまい、どうしても見失ってしまいます。
(池Lには池Hだけでなく別の沢からも水が流れ込んでいます。)
キイトトンボ♂の巡回飛翔を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:49〜)
ふわふわと上下に波打つ飛び方が独特です。
キイトトンボがこんな飛び方をするとは知りませんでした。
ヒヨドリやセキレイ類の飛び方(波状飛翔)を連想しました。
ハイスピード動画でも撮りたかったのですけど、他の被写体が気になって後回しにしていたら、飛んでいるキイトトンボ♂を見かけなくなりました。
♂が巡回飛翔する時間帯が午前中だけと決まっているのか、それとも昼過ぎになるとパートナーの♀を見つけて交尾、産卵に移行するのかもしれません。
撮影中は気づかなかったのですが、池Lの浅瀬で獲物を待ち伏せするトノサマガエルが映像に写っていました。
その上をキイトトンボ♂が何度も飛び交っているのに、トノサマガエルは一度も狩りを試みませんでした。
(満腹だったのかな?)
関連記事(同所で1ヶ月前の撮影)▶ 池で単独打水産卵するシオカラトンボ♀を待ち伏せしていたトノサマガエルが捕食する決定的瞬間!【FHD動画&ハイスピード動画】
(1)もしかして、キイトトンボ♂の上下に波打つ独特な飛び方は、対捕食者戦略なのでしょうか?
つまり、水辺で待ち伏せするカエルのなどの捕食者に狙いを付けられにくくするための飛び方を進化させたのかもしれません。
♂腹端の黒紋は背側だけにあるので、カエルが下から見上げても、それは見えません。
(2)あるいは、腹端の黒紋と併せて同種の♀にアピールする飛び方なのかもしれません。
キイトトンボの♀が単独で飛ぶ様子を私はまだ観察したことがないので、それがひとつの宿題です。
(3)羽ばたきを断続的に止めて休みながら飛ぶことで、省エネしながら長時間飛び続けられるのかもしれません。
セキレイやヒヨドリのように飛ぶ軌跡が上下に波打つのはその結果でしかない、という仮説です。
ハイスピード動画で飛翔シーンを撮影すれば、何か秘密が見えてくるかもしれません。
左右2枚の翼で飛ぶ鳥と違ってトンボは4枚の翅を独立に動かせるので、波状飛翔を実現する仕組みがもしかすると違うかもしれません。
つづく→同種間♂の縄張り争い