2026/10/25

モズ♂がアシナガバチを狩って捕食し未消化のペリットを吐き出す(野鳥)

 

2026年9月下旬・午後12:10頃・晴れ 

山麓で最近伐採されたクリの木の枝が一箇所に積まれていました。 
そこに1羽のモズ♂(Lanius bucephalus)が留まっていて、油断なく獲物を待ち伏せしていました。 
周囲のソバ畑では白い花が咲いています。
クリの枝に付いていた葉やイガグリは茶色に枯れています。 
秋晴れで地面からは陽炎が立ち昇り、多数のトンボが飛び交っていました。 

止まり木の近くを昆虫がゆっくり飛び回るとモズ♂は目で追い、振り返りながら素早く虫を嘴でパクっと捕らえました。 
1.5倍に拡大した上で1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@0:22〜) 
獲物の正体はどうやらアシナガバチの仲間だったようです。 
蜂が自衛のために腹部を曲げてモズ♂の嘴を毒針で刺そうとしたかどうか、遠くてよく見えませんでした。 
一撃で急所を仕留められたのか、それとも毒針を持たない雄蜂♂だったのかもしれません。 
獲物を枝に叩きつけて殺したり、串刺し(速贄)にしたり、運んで給餌したりせず、その場で飲み込みました。

食後のモズ♂は、足元の枝に嘴を擦りつけて、獲物の体液を拭いました。 
次は隣の枝に飛び移りました。 
なるべく高い所から周囲を見渡し、次の獲物を探しています。 
その後も粘ってひたすら長撮りしてみました。 (編集でかなりカットしてあります。)
写真や動画の構図としては、被写体のモズをもっと右に寄せるべきなのですけど、カメラのAFがモズを見失って奥ピンになりがちなので、仕方がありません。 
獲物を待ち伏せしている間、モズ♂は縄張り宣言の高鳴き♪をしませんでした。 

しばらくすると、止まり木のモズ♂は間欠的にえづき始めました。 (@2:38〜)
やがて顔を素早く振りながら、黒っぽいペリットを吐き出しました。 
獲物を捕食した後で、消化できない物を塊にまとめて吐き出すのです。 
1.5倍に拡大した上で1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@3:08〜) 

関連記事(1、13年前の撮影)▶  

またアシナガバチが近くに飛来したのですけど、モズ♂の嘴が届く範囲に入ってくれずに取り逃がしました。

再びモズ♂がえづき始めたものの、今度はなぜかペリットを吐かずに左へ飛び去りました。 
山麓の緩斜面に広がるソバ畑を飛び越え、その後は行方を見失ってしまいました。 
結構遠い位置から撮影していたので、必ずしも私を警戒して逃げたとは限りません。
止まり木でしばらく待ち伏せを続けても獲物が捕れなくなったので、狩場を変えたのでしょう。 


【余談】
山麓の緩斜面に広がるソバ畑の端に見事な樹形のクリ(栗)大木が生えていたのに、最近になって無残にも伐採されてしまいました。 
近年秋になるとクリの堅果を目当てにツキノワグマが山から降りて来るようになったので、里で不幸な人身事故が起こらないようにクマ対策として不要な果樹を伐採したのでしょう。 
民家のすぐ横に植栽されたクリの木は、電気柵で厳重に囲まれていました。 
昨年(2025年)にはこの辺りのクリ樹上に形成された熊棚を観察しています。(映像公開予定) 


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ヒミズの死骸で肉団子を作るシダクロスズメバチ♀と吸汁するハエ類の小競り合い(占有行動)

 

2026年9月下旬・午後12:35〜13:05頃・晴れ 

里山の苔むした山道の真ん中に小動物の死骸が転がっていました。 
死骸をよく見ると、ヒミズ(Urotrichus talpoides)のようです。 
モグラほど前腕の筋肉が発達していません。 
死因は不明ですが、捕食者の食べ残しなのか、胸部に血まみれの肉が露出しています。 
一般に、捕食者はヒミズの体臭を嫌って忌避すると言われているのですが、私は「独特なヒミズ臭」を感じたことがありません。
もしかして、ヒミズではなくトガリネズミ科の仲間なのでしょうか? (真面目に検討していません。)

私の嗅覚では死臭や腐敗臭などはしなかったのに、キンバエ(Lucilia caesar)の仲間やニクバエの一種などが新鮮な死骸に早速群がっていました。 
口吻を伸縮させて死骸の表面をあちこち舐めています。 

アリのワーカー♀も死骸に来ていました。 
普通種のクロヤマアリ(Formica japonica)は私にも見分けられましたが、微小な赤アリは種類が不明です(誰か教えて下さい)。 

しばらくすると、シダクロスズメバチ(Vespula shidai)のワーカー♀が死骸に飛来しました。 
複眼の上にある白眉のような模様が細いので、シダクロスズメバチだろうと判断しました。 
死骸をあちこち物色してから、露出した体腔に顔を突っ込みました。 
獲物を解体して肉団子を作ってるはずですが、肝心の口元が手前の肋骨に隠れて見えません。 
シダクロスズメバチも肋骨周りの肉(カルビ?)が好きなのでしょうか。
マグロの解体ショーで肋骨から肉をこそげ取っている様を連想しました。 
やがて、シダクロスズメバチ♀は赤い肉片を大顎に咥えたまま飛び去りました。 
帰巣して幼虫に給餌するのでしょう。 
獲物の位置を正確に記憶するための定位飛翔をしなかったということは、既に何度も繰り返し訪れていたのでしょう。 
クロスズメバチ類が死んだヒミズを利用するのは初見です。 




山奥で別の用事があったので、帰路にも観察できるように、小さな死骸の横に目印として落枝を2本並べて置きました。 
25分後に現場に戻ってくると、キンバエ類の他に、同一個体と思われるシダクロスズメバチ♀がまたヒミズの死骸に来ていました。 
今度は蜂の口元が見えるアングルで撮影することができました。 
シダクロスズメバチ♀が肋骨内の胸郭に潜り込んで、噛み切ろうとしている臓器はヒミズの心臓ですかね? 
肉片を噛み切って小さな肉団子を作り終えると、触角を拭ってから飛び立ち、肉団子を持ち去りました。

ヒミズの死骸から飛び去る蜂を見失ってしまい、シダクロスズメバチの巣の位置を突き止められなかったのは残念でした。 
伝統的なスガレ追い(蜂追い)の手法で営巣地を発見できたかもしれませんが、私はやったことがありません。 
生肉や目印の紙片などを用意して、いつか試してみたいものです。 

基本情報を先に解説しましたが、面白い本題はここからです。 
動画をよく観察すると、死骸に集まるスカベンジャー昆虫の間で小競り合いが繰り広げられていました。 
力関係を比べると、基本的にシダクロスズメバチが最強のようで、内臓が露出した最良のスポットを占めています。
作業中のシダクロスズメバチ♀が、背後から近づくキンバエを後脚で足蹴にして牽制しています。(@1:57〜) 
さらにしつこいキンバエをシダクロスズメバチが飛び回って追い払いました。 
ところがシダクロスズメバチ♀が再び肉団子作りの作業を再開すると、戻ってきたキンバエがシダクロスズメバチの背後から頭突きの仕返しをしました。(@2:52〜) 
もちろんそれだけで蜂から獲物を奪い返すことはできませんでしたが、キンバエの強気な報復行動を初めて見た私は驚愕しました。 
キイロスズメバチと違って、クロスズメバチ類が死骸に集まるハエを狩ることは、(私の知る限り)ほとんどありません。 
だとすると、それを知っているハエはクロスズメバチを舐めている(襲われることはないと高を括っている)可能性があります。  
体長を見比べると、キンバエの方がシダクロスズメバチよりも少し大きいくらいでした。 
強気の理由は、この体格差にあったのかもしれません。 
その後、蜂に頭突きしたキンバエ♀はヒミズの死骸に腹端を伸ばして産卵しました。(@3:11〜) 
強気のキンバエは♀だったことが判明しました。
ちなみに、キンバエの♀(クロバエ科)は卵を産みますが、ニクバエ♀(ニクバエ科)は卵胎生で幼虫(ウジ虫)を死骸に直接産み付けます。

死骸の横に15cm定規を並べて置いたら、ハエは警戒して逃げたものの、すぐにまた舞い戻ってきました。
キンバエ同士の間でも、よく見ると軽い小競り合い(占有行動)が繰り広げられていました。 
(横に来たライバルを足蹴にするなど。)


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特に、DNAメタバーコーディング法でスズメバチ各種の食性を解析した最新研究の章が興味深く、勉強になりました。
シダクロスズメバチの幼虫の未消化物からDNAメタバーコーディング法で検出した324種の割合を示したグラフも掲載してありました。
鳥類10種および魚類、爬虫類、両生類、哺乳類を含む脊椎動物13種が同定されたものの、ヒミズが含まれていたかどうかは不明です。(原著論文を読む必要がありそう)

・虫から環境を考える (5) 里山にすむクロスズメバチ 

2026/10/24

獲物を運びながら溜め糞場で排尿するホンドタヌキのヘルパー個体【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2025年5月下旬・午前3:40頃・気温12℃ 

スギ防風林にあるホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)の溜め糞場WBCを自動撮影カメラで見張っています。
未明に両目のタペータム(輝板)を失明した個体が独りで北からやって来ました。 
溜め糞場をぐるっと1周してから、中腰になって北向きで排尿しました。 
 1.5倍に拡大した上でリプレイすると(@0:27〜)、股間から小便の雫が前方にポタポタと滴り落ちていました。 
排尿姿勢(片方の後脚を上げるかどうか)からタヌキの性別が見分けられるのですけど、平地の地面に排尿するときは両性ともに腰を屈めてやるので、決定打に欠けます。 
(私は今のところ、両目失明のヘルパー個体は♀だと考えています。) 

今回、尿意を催した両目失明個体♀hは口に何か小さな獲物を咥えて運んでいました。 
映像を拡大して見直しても、獲物の正体は不明です。 
夜目が効かないというハンディキャップがあっても、嗅覚と聴覚で問題なく採餌できていることが伺えます。 

溜め糞場WBCから南西に立ち去ったので、てっきり休耕地にある巣穴に獲物を持ち帰り、家族に給餌したのかと思いました。 
ところが、営巣地に設置してある別の監視カメラには、この後、両目失明のヘルパー個体♀hが帰巣するシーンが撮れていませんでした。 
単に機材のトラブルで撮れていないだけなのか、それともどこかに餌を隠して(貯食)、後で自分が食べるつもりなのでしょうか? 
ヘルパーとしての務めを果たして巣穴に餌を運んでくるという決定的な証拠映像が撮れずに残念でした。 


つづく→

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