2026/06/23

春の二次林で若葉を食べ歩く両角が欠けたニホンカモシカ

 

2026年4月中旬・午後15:05頃・晴れ 

春の二次林で私が静かにトレイルカメラの保守作業をしていると、パキパキと獣が歩き回る物音がします。 
クマだとやばいので振り返ると、林縁をニホンカモシカCapricornis crispus)が単独でうろついていました。 

落葉性の灌木に芽吹いた若葉を次々に食べています。 
樹種はマルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)、ノイバラウコギ(おそらくヒメウコギ)あたりが候補となります。 
撮影後に採食地点で現場検証すると、マルバゴマキの若葉に食痕? 

カモシカが後半に食べていた下草の種類がわかりませんでした。 
なんとなく、蔓植物ミツバアケビの若葉ではないかと思うのですが、どうでしょうか。 

夏毛に換毛中なのか、毛並みの色がちょっと変です。 
左右の角が両方とも、太いのに短い個体でした。 
おそらく同種間の喧嘩で角の先端部が途中で折れて(欠けて)しまった後で、先端を研いだのでしょう。 


【考察】 
角に分かりやすい特徴があるので、過去に遭遇しているかと思って記録を遡ると、山中で出会った♂個体かもしれません。 

関連記事(2年前の撮影)▶ 

だとすると、山から麓の二次林まで(直線距離で3km弱も)移動してきたという驚くべき解釈になります。 
両角が折れたことで同種間の縄張り争いに負けるようになり、山森から追い出されて平地に下りてきたのでしょうか。 
里に下りてきた後も、車道を歩いたり、平地にパッチ状に残る農地や二次林を渡り歩いて、かなり(直線距離で3km弱)移動したことになります。 
平地の二次林でもニホンカモシカ1頭ぐらいなら、人目を忍んで、なんとか暮らしていけそうです。 
食べる餌の量も十分にありそうです(春〜秋の環境収容力はOK)。 
ただし雪国では冬になると落葉して食糧事情が一気に悪化しますし、配偶者を見つけて交尾するチャンスはかなり低いでしょう。 

もちろん、カモシカの個体識別に絶対の自信がある訳ではないので、別個体かもしれません。 
当地のカモシカにGPSを装着して行動域を詳細に調べたら楽しそうです。
もしもカモシカのある個体が、季節ごとに山と平地を往復して暮らしていたら、面白い話です。

この二次林内に設置したトレイルカメラにもカモシカがときどき写ります。 
たとえば、この3日後に撮れていた映像がこちらです(先行公開)。
この二次林内で野生のカモシカと私が実際にニアミスしたのは珍しく、今回は長々と採食シーンを直接観察できました。 
かなり離れた位置から撮影したので、おそらくカモシカは私の存在に気づいていないようです。 私に対して鼻息を荒らげる威嚇を一度もしませんでした。 

関連記事(2年前に遭遇・撮影)▶ 平地の農道を走って逃げるニホンカモシカ 



サクランボの樹上で羽繕いするスズメの幼鳥(野鳥)

 

2026年5月下旬・午後14:05頃・晴れ 

郊外の住宅地で民家の庭木として植栽されたサクランボスズメPasser montanus)の幼鳥を見つけました。 
まだ口角(嘴の根元)が黄色い幼鳥が、サクランボの細い横枝に留まっています。 
足元の枝に嘴を擦り付けました。 

風が吹いて止まり木がザワザワ揺れても、スズメの幼鳥はその場から動かずに、羽繕いを始めました。 
その合間に、右足で痒い頭を掻いたり、嘴を大きく開けて欠伸したりしています。 

サクランボの果実が赤く熟して食べ放題なのに、私が見ている間に、この個体は一度も自力でサクランボ熟果を採食しませんでした。 
もう散々食べた後で満腹というよりも、巣立ったばかりの幼鳥はまだ食べ方(採食法)を知らず、親鳥から口移しで巣外給餌してもらうのを待っているのでしょう。 




2026/06/22

雪の下に埋めた貯食物を半日後に確認しに来た両目失明のホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年3月中旬 

早春でもまだ雪深い落葉二次林で、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が越冬する営巣地を自動センサーカメラで見張っています。 
ここは以前、ニホンアナグマが掘った営巣地(セット)でした。 

発情期に入り、タヌキ家族の様子がいよいよ面白くなってきました。 


シーン1:3/11・午前4:13・気温-4℃(@0:00〜) 
未明に3頭のタヌキ家族が一列縦隊でやって来ました。 
林床の雪面は硬く凍結していて、タヌキが歩いても足が全く潜りません。 

巣口Rの近くに生えた落葉灌木に尿で匂い付けする際の姿勢(片足を上げるかどうか)で性別を見分けると、先行個体が♀で後続(2番目の)個体が♂というペアでした。 

殿しんがりを務める個体だけ、両目が失明しています。 
トレイルカメラが照射する赤外線をタペータム(輝板)がまったく反射しないのです。 
この両目失明個体だけ、巣口Rには立ち寄らずに、ショートカットして左に向かいました。 


シーン2:3/11・午前4:14・気温-4℃(@0:28〜) 
別アングルに設置した監視カメラでも撮れていました。 
先行する両親♀♂は巣口Rを経由し、横の落葉灌木に排尿マーキングしてから、左奥へ立ち去りました。 

興味深いのは、殿しんがりを務める両目失明個体の行動です。 
巣口Rの手前で向きを変えて雪原を突っ切り、前日(約11時間前)の夕方に餌を隠した貯食地点に直行しまし。 



生魚?に雪を被せて埋めた地点がこんもりと盛り上がっているのに、両目失明個体は少しずれた地点の匂いを嗅いでいます。 
やはり、夜目が効かないハンディキャップが出ているのかもしれません。 
視覚だけでなく、嗅覚も鈍っているのかな? 
氷点下の低温のせいで、餌の匂いが薄れているのかもしれません。
貯食物を雪の下から掘り出して食べるのかと思いきや、そのまま両親♀♂の後を追いかけるように立ち去りました。 
どうやら、隠した餌が盗まれていないことを確かめに来ただけのようです。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
ホンドタヌキが貯食物をいつ食べるのか、興味津々です。

この両目失明個体だけ、夜間限定で個体識別できています。
両親♀♂に対して立場が弱くて常に怯えていて、出歩く際にはいつも最後尾を歩きます。
両親♀♂が産み育てた当歳仔の中で、この個体だけが両目失明というハンディキャップを理由に、縄張りから追い出されずにヘルパーとして留まることを許されている、と今のところは解釈しています。
そして、両目失明のヘルパー個体hの性別は♀だろうと、推測しています。


 つづく→

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