2026/10/10

春の山麓で縄張り宣言してから水路を飛び越えるキジ♂(野鳥)

 

2025年4月下旬・午前11:00頃・くもり 

山麓の住宅地の道を私が登ろうとしたら、雑木林の横に潜んでいた(採食していた?)キジ♂(Phasianus versicolor) が慌てて走って逃げ出しました。 
その後は、近くの用水路沿いの小径をうろついています。 

しばらくして警戒から落ち着くと、母衣(ほろ)打ち♪を披露しました。 
そこは土手の上になっていて、キジ♂は見晴らしの良い場所から下界を見下ろしながらケンケーン♪と絶叫しました。 

その後キジ♂は土手から小径を横断し、山麓を流れる用水路に向かいました。 
岸に設置された鉄柵の隙間から水路(幅2.5m、深さ1.7m)を飛び越えて対岸へ渡りました。 
スロー再生で見返すと、キジ♂は軽く身を屈めて斜め前方に跳び出しながら羽ばたいていました。 
予想外の行動だったので、カメラのズームアウトが間に合いませんでした。 
山側の落葉灌木林に姿を隠したのは、しつこく隠し撮りする私を警戒していたのかもしれません。 
(映像はここまで。) 
しばらくすると、おそらく同一個体による母衣打ちがもう一度聞こえました。 

重要なシーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:27〜) 
特に興味深いのは、縄張り宣言の母衣打ちです。 
大声でケンケーン♪と2声鳴く間に、3+10=計13回羽ばたいていました。 
激しい羽ばたきに煽られて、土手の落ち葉が舞い上がる様は迫力があります。 
このときキジ♂は目の瞬膜をパチクリと何回か短く閉じました。(閉じたままではない) 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

ヤナギハナガサの花でおしっこするキアゲハ夏型♀【ハイスピード動画】

 

前回の記事:▶ ヤナギハナガサの花蜜を吸い飛び回るキアゲハ夏型♀【FHD動画&ハイスピード動画】 


2026年9月上旬・午後12:00頃・くもり 

家庭菜園の花壇に咲いたヤナギハナガサ(別名サンジャクバーベナ)の群落でキアゲハ(Papilio machaon hippocrates)の夏型♀が花蜜を吸っていました。 
花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮影を何度も繰り返していたら、排泄する瞬間が偶然撮れていました。 

口吻を伸ばして吸蜜しながら、腹端から白濁した液体を後方に勢い良くピュっと放出しました。 
キアゲハの成虫は固形物を食べずに摂取しないで花蜜を吸うだけですから、排泄物は液体です。 
これをおしっこ(小便)と呼んで良いのか、正確には糞(液状便)と呼ぶべきなのか、悩ましいところです。 

キアゲハ成虫の脱糞シーンと言えば、羽化直後の蛹便排泄しか見たことがありませんでした。 

関連記事(8年前の撮影)▶  


今回、キアゲハ♀が花からなかなか飛んでくれなくても我慢して撮り続けた甲斐がありました。 
排泄する前兆が分からないので、狙って撮れるものではありません。 
とにかく愚直にたくさん撮り続ければ、いつか幸運の女神が微笑んでくれて、何か面白い瞬間が撮れること(ご褒美)がたまにあるのです。 
ハイスピード動画撮影の魅力の一つは、こうした偶然の副産物にあります。 


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【考察】
ChatGPTに色々と訊いてみました。
余談のQ4に対する回答が特に面白くて(興味深い)、勉強になりました。

Q1: キアゲハなどの昆虫の成虫が腹端から液体を排泄した場合、おしっことか小便、尿と記述してもよいのか? 液状便と書くのが正しいか? あくまでも腎臓でろ過した排泄物だけが尿と呼べるのか?

A1: はい。昆虫については「尿」と「液状便」を哺乳類とまったく同じ感覚で区別すると、少し不正確になります。

キアゲハのような昆虫の腹端から液体が出た場合、それだけを見て「尿」と断定するのは避けたほうがよいです。昆虫には脊椎動物の腎臓に相当する器官はなく、主な窒素性排泄器官はマルピーギ管です。

昆虫の排泄物は大まかに、

  • 消化管由来の糞
  • マルピーギ管から消化管内へ排出される窒素性老廃物など
  • 水分や無機イオンなど

が最終的に後腸から一緒に排出されます。

したがって、腹端から出た液体が「マルピーギ管で作られた排泄液だけ」という単純なものとは限りません。特に成虫では、羽化直後などにかなり液状の排泄物を出すことがあります。

そのため観察記録なら、

「腹端から液状の排泄物を排出した」

あるいは、より簡潔に

「液状の排泄物をした」

とするのが安全です。

「液状便」も間違いではありませんが、「便」という語は消化管内容物としての糞便を強く連想させます。観察したのが透明または淡黄色の液体で、固形物を伴っていないなら、「液状の排泄物」のほうが中立的です。

では「尿」と呼ぶのは間違いか

必ずしもそうではありません。

生理学的には、動物の窒素性老廃物を排出する液体を広い意味で「尿」と呼ぶことがあります。昆虫についても英語では urine や uric acid excretion などの表現が見られます。

ただし、昆虫の排泄系は脊椎動物とはかなり違います。昆虫ではマルピーギ管が血リンパから老廃物を取り込み、それを消化管へ送り、後腸で水やイオンを再吸収したうえで、糞とともに体外へ出す仕組みです。

つまり、

「腎臓で濾過されたものだけが尿である」

という定義にする必要はありません。そもそも「尿」は腎臓という特定の器官によって作られるものに限定される用語ではありません。

ただ、野外観察で腹端から液体が出たという事実だけを記録する場合には、「尿」と同定してしまわず「液状の排泄物」と書くのが最も無難です。

キアゲハについてなら、もし今回見たのが「捕獲・刺激した成虫が腹端から勢いよく透明な液体を出した」というような現象であれば、これは単なる通常の排泄とは別に、成虫が捕獲されたときにする排泄行動として考える必要があります。その場合は、何が排出されているのかをもう少し絞り込めます。


Q2: キアゲハが訪花吸蜜中に自発的に液状の排泄物を腹端から勢い良く放出したのです。


A2: それなら、「液状便」よりも「液状の排泄物」と記述するのがよいと思います。

特に「訪花吸蜜中に、自発的に、腹端から勢いよく放出した」という状況なら、観察記録としては次のように書くのが正確です。

キアゲハ成虫が訪花吸蜜中、腹端から液状の排泄物を勢いよく放出した。

「排尿した」と書くことも完全に不適切とは言えませんが、この観察だけからそれを「尿」と同定するのは避けたほうがよいでしょう。

理由は、昆虫ではマルピーギ管の排泄物が後腸に送られ、そこで水分などが再吸収された後、糞と同じ排出口から体外へ排出されるためです。したがって、脊椎動物のように「尿路から尿だけを排出する」という明瞭な区別がありません。

また、今回のように「勢いよく」放出したという点は面白いところです。吸蜜中の蝶では、摂取した液体が多い場合に余分な水分を比較的速やかに排出することがあります。そのため、見た目がほぼ透明な液体であっても、それだけで「尿」と判断する必要はありません。

もし実際に「透明な水滴を一滴ずつではなく、腹端からピュッと噴射した」という感じだったのであれば、これは単なる「液状便」と呼ぶより、過剰な水分を含む液状排泄物の排出として記録するのが適切だと思います。


Q3: その排泄物が完全に透明なら、花蜜に含まれる余分な水分を排泄したのだろうと思うのですが、今回は少し白濁した液体でした。したがって、尿酸が少し含まれていそうです。


A3: その推測はかなり筋が通っています。ただし、「白濁していたから尿酸が含まれている」とまでは観察だけから断定しないほうがよいです。

昆虫の窒素排泄では、主に尿酸が重要です。尿酸は水への溶解度が低いため、昆虫では尿酸そのもの、あるいは尿酸塩を含む微細な結晶や懸濁物として排出されることがあります。そのため、排泄液が透明ではなく白っぽく見えることは十分に考えられます。

今回の観察を整理すると、

  • 訪花吸蜜中
  • 自発的に腹端から放出
  • 勢いよく液体を排出
  • 完全な透明液ではなく、やや白濁
  • 固形の糞便として観察されたわけではない

なので、記録としては

キアゲハは吸蜜中、腹端からやや白濁した液状の排泄物を勢いよく放出した。

くらいが最も観察事実に忠実でしょう。

そして解釈を付けるなら、

この液状排泄物には、過剰な水分とともに尿酸などの窒素性排泄物が含まれていた可能性がある。

とするのがよいと思います。

なお、ここで面白いのは「尿酸が含まれているなら白濁する」という点です。尿酸は水に非常に溶けにくいので、かなり薄い溶液として存在するというより、微細な尿酸または尿酸塩の粒子が懸濁して白濁していた可能性もあります。

したがって、今回の「少し白濁した液体」という観察は、単なる余分な水分の排出だけではなく、水分と窒素性排泄物を含む昆虫の液状排泄物だった可能性を考える材料にはなります。ただし、尿酸の存在を確認するには化学分析が必要です。


Q4: アゲハチョウ科の中には夏に大量の水を飲んでミネラル成分を摂取したり体を冷やしたりする種類がいる。(吸水中に余分な水分を腹端から排泄する。)ところがキアゲハではこの行動を一度も見たことがない。理由は解明されているか?


A4: はい。しかも、この点についてはかなり直接的な研究があります。結論からいうと、キアゲハが他の日本産アゲハ類ほどpuddlingをしない理由について、研究者は一つの有力な仮説を提示していますが、まだ完全に解明されたわけではありません。

2015年のInoueらの研究は、日本産のPapilio属8種を比較しています。その中でキアゲハ Papilio machaon は、野外でもpuddlingが特に少なく、実験でも他種とはっきり違いました。さらに重要なのは、著者ら自身が「キアゲハは日本産Papilio類の中で唯一、幼虫がセリ科 Apiaceae を食べる種である」ことに注目している点です。(PubMed Central (PMC))

面白いのは「成虫の好み」の問題ではないこと

別の実験では、日本産Papilio類のpuddlingはNa+によって誘発されることが確認されています。キアゲハもNa+を感知する能力そのものを失っているわけではありません。(スプリンガーリンク)

実際、研究ではキアゲハについても実験的なpuddlingが観察されています。ただし、野外での頻度は非常に低く、実験でも反応する個体が少なかったのです。

さらに2015年の研究では、

  • 139個体のPapilioから尿を採取
  • そのうちキアゲハではほとんどの個体が採尿実験を拒否
  • 実際に尿を採取できたキアゲハはわずか5個体
  • キアゲハの尿量も他種より少なかった

という結果になっています。(PubMed Central (PMC))

これは、質問にある「キアゲハでは大量に水を飲んで腹端から盛んに排水する姿を見ない」という観察とかなりよく符合します。

著者らが考えた理由

研究者が注目したのが、幼虫期の食草です。

キアゲハは日本産のPapilio類では例外的にセリ科植物を主な食草とします。そして、植物の葉は一般にNa+よりK+を多く含みます。

この研究では、puddlingには単にNa+を補給するだけでなく、

「幼虫期に植物から取り込んだ過剰なK+を成虫が排出する」

という役割もあることが示されています。雄ではNa+を吸収する一方、K+を排出していました。(PubMed)

したがって著者らの仮説は、おおむねこうです。

キアゲハの食草であるセリ科植物から摂取するミネラル組成が他のPapilio類と異なるため、成虫になったときにpuddlingによってNa+を補給したりK+を排出したりする必要性が相対的に低いのではないか。

実際、論文では「キアゲハがpuddlingをあまりしないこと」と「セリ科食草であること」の関係を明示的に仮説として提示しています。ただし、食草のミネラル組成だけで種間差を完全には説明できておらず、著者らも確定的な因果関係とはしていません。(PubMed Central (PMC))

そして、今回の観察は少し興味深いです

今回あなたが観察した、

「吸蜜中のキアゲハが腹端から、やや白濁した液体を勢いよく排出した」

という現象は、通常のpuddlingとは逆方向の行動です。

puddlingでは、

「水を飲む」
↓
「ミネラルを取り込む」
↓
「同時に余分な水分やK+などを排出する」

という現象が起こります。実際、日本産Papilio類では、puddling中に吸水と排泄が同時に起こることが知られています。(PubMed Central (PMC))

したがって、キアゲハがpuddlingをしないからといって、「成虫は水を大量に飲んだときに排水できない」という意味ではありません。

今回の観察はむしろ、

「キアゲハも吸水量が多くなれば、腹端からかなり大量の液体を排出できる。ただし、そもそも野外で他のPapilio類のようなpuddlingをする動機が弱い」

という可能性と整合します。

なお、あなたが最初に述べた「体を冷やす」というpuddlingの機能については、今回見つかった日本産Papilio類の研究では主としてNa+の補給とK+の排出が調べられており、キアゲハが「冷却目的でpuddlingしない」ことまで実証した研究ではありません。ここは分けて考えたほうがよいです。

特に興味深いのは、キアゲハがセリ科植物を食べることとpuddling頻度の低さを結びつけたこの論文が、まさに「なぜキアゲハだけこんなにpuddlingしないのか」という疑問を研究者自身が持って行った研究だという点です。今回のあなたの野外観察は、この既知の種差とかなり一致しています。



2026/10/09

スギ林にある溜め糞場の近くで灌木の根本を興味津々で調べるホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年5月中旬・午後17:56・気温18℃・日の入り時刻は午後18:50

スギ防風林にあるホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)の溜め糞場WBCをトレイルカメラで見張っています。 
夕方に単独で来たタヌキが、溜め糞場を素通りしました。 

通りすがりに、左奥にある落葉性灌木(樹種不明)の根元に珍しく興味を示しました。 
匂いを嗅ぎながら木の根元をぐるっと周ったものの、排尿マーキングはしませんでした。 
その地点での探索行動に再現性がなかったので、何が気になったのか不明です。

※ 私が使っているトレイルカメラの癖として、薄明薄暮の時間帯には赤外線LEDを照射してないのに、モノクロ(暗視モード?)で録画されることがあります。 
暗視モードに切り替えるかどうかを判定する照度計が内蔵されているようで、その閾値の明るさ(薄明薄暮)でPIRセンサーが起動すると起こる症状です。
今回のタヌキ個体の両目のタペータムが赤外線を反射して白く見えないからと言って、ヘルパーの両目失明個体とは限らず、そもそも監視カメラが赤外線を照射してないからだと思われます。 


つづく→

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