2026/06/24

ヘルパーが雪の下に貯食した餌を翌朝に掘り出して食べるホンドタヌキ♀と発情チェックに余念がない♂【トレイルカメラ】

 



2025年3月中旬 

シーン1:3/11・午前5:49・気温-4℃(@0:00〜)日の出時刻は午前5:54。 
夜明け直前なのにもうだいぶ明るいのは、雪明り(雪面からの反射)のおかげです。 
いつも行動を共にしているホンドタヌキNyctereutes viverrinus)3頭の家族群が、落葉二次林内の越冬用営巣地にまた来ていました。 
ここは以前、ニホンアナグマの営巣地(セット)でした。 

殿しんがりを務めているのは、おそらく両目を失明した♀h個体でしょう。
明るい日中には、輝板の反射で失明状態を見分けることができません。
雪深い林床を横切って、巣口Rへ向かいます。 

先行する♀♂ペアが右奥で、雪面のある地点に穴を掘って匂いを嗅いでいます。 
ここは前日の夕方に、両目失明個体♀hが運んできた獲物(生魚)を雪の下に埋めて隠した地点です。 


母親♀が獲物の匂いを嗅ぎ当てて、雪の下から掘り出そうとしています。 
(あるいは既に魚?の死骸をガツガツと食べているのかもしれませんが、よく見えません。) 
せっかく前日に両目失明個体♀hが隠した貯食物を、母親♀に奪われてしまいました。 
怒ったり抗議したり獲物を取り返そうとしたりしないのも、切ない話です。 
居候のヘルパーとして、両親♀♂に給餌するのは当然の行動(貢ぎもの)なのかな? 

貯食物を食べる♀の横で、♂が♀の尻の匂いを嗅いで発情状態をチェックしています。 
それに反応して、♀が尻尾を少しずつ上げました。 
尻や陰部を♂に舐められて、性的に興奮しているのでしょうか。 
次に、♂が右後脚を持ち上げながら♀の体に小便をかけて、匂い付け(アロマーキング)しました。 
食い気よりも色気の♂は、再び♀の発情チェック。 

その間、両目失明個体♀hは巣口Rに座って、♀♂ペア(両親)のいちゃつく様子を見守っています。 
(両目のタペータムを失明した個体が昼間にどのぐらい見えているのか、不明です。) 

母親♀が顔を上げたときに、口をモグモグと咀嚼していました。 
父親♂は、さっきと逆の左後脚を持ち上げながら、♀の体にまたまた排尿マーキング(アロマーキング)。 


シーン2:3/11・午前5:49・気温-4℃(@1:00〜) 
巣口Rで座って休む両目失明個体♀hの様子が、別アングルに設置した監視カメラでも撮れていました。 
群れ(家族)内での順位が明らかに低いようで、今回も怯えたようにビクビクしている印象です。 
貯食物を奪われて、空腹なのでしょうか。 
しばらくすると、自分で毛繕いを始めました。 

そこへ左から父親♂がやって来て、巣口Rを点検します。 


シーン3:3/11・午前5:50(@2:00〜)
再び広角の監視映像に戻ります。 
母親♀が右奥で貯食物を食べ続けています。 

父親♂が♀から離れて巣口Rへ向かうと、両目失明した娘♀hの横を通り過ぎたましたが、鼻面を少し近づけただけで互いに没交渉でした。 
そのまま父親♂は、左上奥の林内へどんどん歩き去ります。 
通りすがりに、落葉灌木の根元に排尿マーキングした…かもしれません。 

ようやく貯食物を食べ終えた母親♀も、左へ少し歩いて移動しました。 
雪面に佇み、先行する♂の後ろ姿を見送ります。 


シーン4:3/11・午前5:51(@3:00〜)
両目失明個体♀hが巣口Rからようやく立ち上がり、先行する♂の後を追って、右下手前へ歩き始めました。 
放射冷却現象で雪面がカチコチに凍っていて、タヌキは足が潜らずに歩けます。 
最後尾を歩く♀の姿も、しばらくして画面の左下隅にちらっと写りました。 


【考察】 
両目失明した♀h個体がせっかく運んできた獲物(生魚?)を夕方に営巣地の雪の下に埋めて隠したのに、自分では食べることができず、翌朝に母親♀が見つけて食べてしまいました。 
営巣地の天然の冷蔵庫内に保存してある食料は、家族が誰でもいつでも食べて良いしきたりなのでしょうか。 
両目失明した♀h個体がヘルパーだとしたら、両親の繁殖を助けて給餌するのも当然の行動です。 
両親が出産どころか発情・交尾する前から、ヘルパー♀hが実家に餌を運んできたことになります。 

今回観察した行動から、立場の弱い両目失明個体は両親♀♂のヘルパー(性別はおそらく♀)なのだろうと私は確信したのです。 

しつこくつきまとって発情チェックやアロマーキングを繰り返す♂に対して、♀も反応を示すようになりました。
いよいよ交尾しそうです。


つづく→

池で単独打水産卵するシオカラトンボ♀を待ち伏せしていたトノサマガエルが捕食する決定的瞬間!【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2026年6月上旬・午後12:45頃・晴れ 

山麓の小さな池で、白っぽい体色のトンボ♀が岸辺に沿って忙しなくあちこちに打水産卵していました。 
単独打水産卵を、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:23〜1:46) 
岸辺の水面に腹端を繰り返し打ち付けて、浅い水中に卵を産み落としているのです。 

おそらくシオカラトンボ♀(Orthetrum albistylum speciosum)だと思うのですが、 シオカラトンボ♀なら、複眼が緑色で、翅端に小さな褐色紋が縁紋とは別にあるはずです。(性的二型) 
しかし羽ばたきが早いせいか、スーパースローでも見えませんでした。 
他の候補として、シオヤトンボ♀(Orthetrum japonicum)と迷いました。 
しかし全身に白い粉を吹いていることから、シオカラトンボの成熟♀だろうと判断しました。 


その一方で、この池の岸辺には複数個体のトノサマガエルPelophylax nigromaculatus)が並んでいて、獲物を待ち伏せしていました。 
スーパースローの冒頭でも、画面の左下で水に浸っているトノサマガエルの姿が写っていました。(赤丸@0:23) 
このカエル個体は、飛来したシオカラトンボ♀とは逆を向いていたので、獲物に定位しませんでした。 
カエルが獲物に向き直った途端に、トンボは警戒して逃げてしまうでしょう。

同一個体のシオカラトンボ♀が別の地点に移動して、打水産卵を再開しました。 
このとき別個体のトノサマガエルが水際の陸地で待ち伏せしていて、しかも初めから獲物に定位していました。 
岸辺で静止しているトノサマガエルは見事な保護色で周囲に紛れ、撮影している私も存在にまったく気づきませんでした。 
つまり水辺のトノサマガエルの体色は、攻撃的擬態(ペッカム型擬態) の典型例です。
それと同時に、鳥などの捕食者に対して見つからないようにする身を隠す防御的保護色(隠蔽敵擬態)でもあります。

獲物が射程距離に入ると、トノサマガエルは一気に大跳躍して襲いかかりました。 
残念ながら後ろ姿のため、ジャンプしたカエルが舌を伸ばしていたかどうか見えませんでした。 

トノサマガエルが池の水面に落ちたときには、獲物を口に咥えていました。 
せっかく捕獲した獲物が逃げたり暴れないように、噛み付いたまま水中に沈めて溺れさせ、反撃を封じます。 
なぜか一旦、池の中央部に向きを変えたのですが、しばらくすると再び岸の方へ向き直りました。 

高画質のFHD動画に切り替えます。(@1:47〜) 
トノサマガエルは獲物を丸ごと口内に収めたまま、喉をヒクヒク膨らませ、鼻腔をスピスピ開閉して呼吸しています。 
カエルの口には歯がないので、獲物の翅をむしり取るなどの器用な食前処理ができません。 
ようやく獲物を丸呑みしました(@3:36〜) 
嚥下の瞬間に眼球を引っ込めるのが、カエルの特徴です。 
鳥とは異なり、カエルは消化の悪いペリットを後で口から吐き出すこともありません。 


食後のトノサマガエルは、しばらくすると池から出て元の岸に戻ったのですが、上陸の様子を撮り損ねてしまいました。 
ところで、今回のトノサマガエル個体の性別は♀ですかね? 


【考察】 
フィールドで捕食者のカエルが獲物に素早く跳びついて狩る決定的瞬間を観察できたのはこれが初めてで、とても興奮しました。 
しかもたまたまスーパースローで撮っていたので、見ごたえのある動画になりました。 
フライングゲット! 

♀が打水産卵するタイプのトンボは、水辺で待ち伏せするカエルなどに捕食されるリスクがあることを、フィールドで実感できました。 
捕食者に狙われにくい高さを飛びながら安全に産卵できるように、打空産卵が進化してきたのかもしれません。 


シオカラトンボの♀は、♂と尾繋がりの連結産卵ではなく、単独で飛びながら打水産卵します。 
♀の近くで警護しているはずのシオカラトンボ♂の姿を、不思議なことに今回は見ていません。 
この日は池の周囲を飛び回るトンボの数がいつもより少なかったです。 
近くにライバル♂が居なければ、浮気される心配がないので、シオカラトンボ♂は交尾後の産卵警護を手抜きするようになるのかもしれません。
つまり、♂は次の交尾相手を探し求めて、広範囲でパトロール飛翔していたのでしょう。 
♀よりも先にシオカラトンボ♂も既にカエルに狩られてしまった可能性もあります。 



硬くて頑丈な外骨格(クチクラ)で守られた甲虫の中には、カエルに捕食されても消化されても排泄されてもしぶとく生き残る者が居ることが、最近の研究で明らかになりました。
しかしトンボ♀がカエルに丸のみで捕食された場合、トンボの受精卵は無防備なので、カエルの消化管を通過する間にすべて消化されてしまうはずです。

産卵中にカエルに捕食されてしまったシオカラトンボ♀を可哀想に思う人も多いでしょう。
しかし、死ぬ直前に産み付けた卵から1週間後に孵化してくるシオカラトンボのヤゴは、水中のオタマジャクシ(カエルの幼生)も獲物として次々に捕食して育つはずです。
つまり、この池では、食うか食われるかの生存競争が静かに繰り広げられているのです。


今回の件で思いついた素朴な疑問をいくつか、Perplexity AIに質問してみました。

Q1: トノサマガエルが池でトンボを捕食する様子を観察した。獲物を口の中に入れてから嚥下するまでしばらく時間がかかったのはなぜか? カエルの口には歯が生えていないので、咀嚼は不要のはずです。唾液をたくさん分泌して飲み込みやすくしていた?

A1: 主な理由は、「飲み込み」そのものが単純ではないからです。カエルは歯で咀嚼しない代わりに、獲物を口腔内で位置調整し、眼球や舌骨まわりの動き、顎と喉の協調で少しずつ食道へ送ります 。[toho-u.ac]

口の中で起きていること

カエルは獲物を丸呑みしますが、実際には獲物を口の奥にしっかり収めてから、舌や顎、頭部の動きで嚥下を進めます 。そのため、口に入ってからすぐに飲み込めないことがあります。[sciencemuseum]
特にトンボのように脚や翅が引っかかりやすい獲物は、向きが悪いと喉へ送りにくく、いったん口内で保持する時間が長くなりえます。

唾液の役割

唾液を「たくさん出して溶かす」というより、滑りをよくして通しやすくする補助と考えるのが自然です。カエルの嚥下では、粘液状の分泌物が獲物表面や口腔内をぬらし、摩擦を下げるのに役立つと考えられますが、鳥のような“飲み込み前の処理”が主役ではありません 。[sciencemuseum]
したがって、観察された「しばらく時間がかかる」は、唾液を大量に分泌していたというより、獲物の位置決めと嚥下動作の調整に時間がかかった可能性が高いです。

トンボで起こりやすいこと

トンボは翅が大きく、脚や腹部も硬く、しかも暴れると口内でずれやすいので、カエルは飲み込みを複数回に分けたように見えることがあります。獲物が生きて動いている間は、口の中で保持してから、頭を使った押し込みや顎の再配置が必要になります。
また、獲物が大きめだったり、乾いていたり、口の中で姿勢が悪かったりすると、嚥下に数秒からそれ以上かかることがあります。




Q2: カエルが昆虫を丸呑みで捕食した後、糞には未消化の虫の断片が含まれているか? 糞内容物を調べれば、どんな虫を狩ったか推定できるか? 特にトノサマガエルについて知りたい。

A2: はい。糞には未消化の虫の断片が含まれることが多く、そこから「何を食べたか」をある程度推定できます。ただし、トノサマガエルでは食後すぐの糞よりも、通常は食後24時間以降に未消化物が排出されるため、消化が進むと同定可能な断片は減ります 。[kaken.nii.ac]

トノサマガエルの糞内容物

トノサマガエルの糞や胃内容物の調査では、甲虫類、ハサミムシ類、双翅類幼虫、ヤマタニシなどが確認されています 。また別の調査では、カエル類の糞から昆虫類を含む未消化物が広く見つかり、特にアリ類やゴミムシ類なども含まれていました 。つまり、糞内容物の観察は、少なくとも「どの目・科の餌を食べたか」の手がかりになります 。[esj.ne]

どこまで推定できるか

糞からは、硬い外骨格をもつ虫ほど推定しやすいです。甲虫類は消化されにくく、翅、上翅、脚、頭部、顎などの断片が残りやすいので、比較的よく同定できます 。一方で、軟らかい幼虫や小型昆虫は形が崩れやすく、目レベル以上に絞れないことも多いです 。[nature.museum.city.fukui.fukui]

実務上の見方

糞内容物で狩った虫を推定するなら、次の順が現実的です。

  • まず、硬い断片の有無を見る。

  • 次に、翅脈、脚の棘、上翅の彫刻、口器などを手がかりに分類する。

  • 最後に、その地域でカエルが利用しやすい餌生物群と照合する。

この方法なら、「甲虫を多く食べた」「ハサミムシを食べた」「双翅類幼虫を食べた」といった推定はかなり有効です 。ただし、丸呑み後に消化が進むため、種までの特定は難しく、胃内容物の方が糞より情報量は多いです 。[kaken.nii.ac]

トノサマガエルでの注意点

トノサマガエルは摂食後、未消化物の排出までに時間がかかるため、糞は「かなり前の食事」を反映している可能性があります 。また、マメガムシのように消化管を通過して生きて出る例もあり、糞からは“食べられた証拠”は得られても、必ずしも“完全に消化された証拠”にはなりません 。したがって、糞分析は食性の大づかみには向きますが、捕食直後の厳密な獲物特定には限界があります 。[hitohaku]

必要なら次に、トノサマガエルの糞から虫の目・科を推定するための形質チェック表を作れます。



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2026/06/23

春の二次林で草木の若葉を食べ歩く両角が欠けたニホンカモシカ

 

2026年4月中旬・午後15:05頃・晴れ 

春の二次林で私が静かにトレイルカメラの保守作業をしていると、パキパキと獣が歩き回る物音がします。 
クマだとやばいので振り返ると、林縁をニホンカモシカCapricornis crispus)が単独でうろついていました。 

落葉性の灌木に芽吹いた若葉を次々に食べています。 
樹種はマルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)、ノイバラウコギ(おそらくヒメウコギ)あたりが候補となります。 
撮影後に採食地点で現場検証すると、マルバゴマキの若葉に食痕? 

カモシカが後半に食べていた下草の種類がわかりませんでした。 
なんとなく、蔓植物ミツバアケビの若葉ではないかと思うのですが、どうでしょうか。 

夏毛に換毛中なのか、毛並みの色がちょっと変です。 
左右の角が両方とも、太いのに短い個体でした。 
おそらく同種間の喧嘩で角の先端部が途中で折れて(欠けて)しまった後で、先端を研いだのでしょう。 


【考察】 
角に分かりやすい特徴があるので、過去に遭遇しているかと思って記録を遡ると、山中で出会った♂個体かもしれません。 

関連記事(2年前の撮影)▶ 

だとすると、山から麓の二次林まで(直線距離で3km弱も)移動してきたという驚くべき解釈になります。 
両角が折れたことで同種間の縄張り争いに負けるようになり、山森から追い出されて平地に下りてきたのでしょうか。 
里に下りてきた後も、車道を歩いたり、平地にパッチ状に残る農地や二次林を渡り歩いて、かなり(直線距離で3km弱)移動したことになります。 
平地の二次林でもニホンカモシカ1頭ぐらいなら、人目を忍んで、なんとか暮らしていけそうです。 
食べる餌の量も十分にありそうです(春〜秋の環境収容力はOK)。 
ただし雪国では冬になると落葉して食糧事情が一気に悪化しますし、配偶者を見つけて交尾するチャンスはかなり低いでしょう。 

もちろん、カモシカの個体識別に絶対の自信がある訳ではないので、別個体かもしれません。 
当地のカモシカにGPSを装着して行動域を詳細に調べたら楽しそうです。
もしもカモシカのある個体が、季節ごとに山と平地を往復して暮らしていたら、面白い話です。

この二次林内に設置したトレイルカメラにもカモシカがときどき写ります。 
たとえば、この3日後に撮れていた映像がこちらです(先行公開)。
この二次林内で野生のカモシカと私が実際にニアミスしたのは珍しく、今回は長々と採食シーンを直接観察できました。 
かなり離れた位置から撮影したので、おそらくカモシカは私の存在に気づいていないようです。 私に対して鼻息を荒らげる威嚇を一度もしませんでした。 

関連記事(2年前に遭遇・撮影)▶ 平地の農道を走って逃げるニホンカモシカ 



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