2026/06/14

アサツキの花蜜を吸い飛び回るクジャクチョウ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2026年6月上旬・午前11:10頃・くもり 

砂利道と線路の間に咲いたアサツキの小群落にクジャクチョウInachis io geisha)が訪花していました。 
翅を開閉しながら、口吻を伸ばして吸蜜しています。 
少し飛んで隣の花序へ移動すると、吸蜜を続けます。 

クジャクチョウは今季初見です。 
越冬明けの個体のはずなのに、翅が無傷で目の覚めるほどきれいな個体でした。 
黒っぽい翅裏は地味ですが、翅表には芸者の着物になぞらえるほど豪華絢爛な美しい目玉模様(眼状紋)があり、子供の頃から何度見ても胸が踊ります。 

クジャクチョウは北方系の蝶なので、地球温暖化がこのまま進行すると、平地では年々個体数が減って見られなくなりそうです。 

撮影中はクジャクチョウを注視していて全く気づかなかったのですが、ツヤハナバチの一種も一緒に訪花していました。 
撮影地は平地なので、山地性のキオビツヤハナバチCeratina flavipes)ではなく、おそらくヤマトツヤハナバチCeratina japonica)と思われます。 
小さな蜂が飛来しても、吸蜜中のクジャクチョウは気にしませんでした。 

クジャクチョウがアサツキの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:33〜) 
先を急ぐ用事のあった私は、待ち切れずに左足で蹴る素振りをして強制的に飛び立たせました。 
同じ花序に訪花していたツヤハナバチは、その前後に(自発的に)飛び去りました。 


クジャクチョウが訪花していた植物名を、私はてっきりニンニクが野生化したのかと初めは思い込んでいました。 
この薄いピンク色のネギ坊主のような花をあちこちの道端などで結構よく見かけます。 
(ムラサキツメクサの花にもちょっと似ています。)
どうも違和感を覚えて再検討すると、アサツキと判明。
細長い葉は、青ネギのように筒状でした。

2026/06/13

ニホンカモシカは水路橋を渡るか?

 

2025年8月中旬・午後12:20頃・晴れ 

山麓で遭遇したニホンカモシカ♂(Capricornis crispus)をこっそり追跡して来たら、水路橋のたもとまでたどり着きました。 
どうやらカモシカにとっては歩き慣れた道のようで、コンクリートの土台をひょいと登りました。 
カモシカはコンクリートの階段を降りて水路橋へ侵入し、姿が見えなくなりました。 

深い谷を跨ぐ水路橋を渡っているカモシカをどうしても撮りたかった私が急ぎ足で近づいたら、カモシカに気づかれてしまいました。 
カモシカは幅の狭い水路橋を渡り始めた地点で振り返り、私を凝視しています。 
濡れた鼻腔がひくひく動き、私の体臭を嗅ぎ取ろうとしています。 
ねじった首が疲れたのか、今度は逆から振り返って私を見つめています。 
正面から見たニホンカモシカの顔は、眼下腺が腫脹して眠そうな目つきでした。 
この個体の耳や角に分かりやすい特徴はありませんでした。 
角がやや細いので、若い♂個体かもしれません。 

明らかに私を警戒して水路橋を渡る気が失せ、引き返して来ました。 
再びコンクリートの階段を少し登りかけて、私と対峙しました。 
このとき私は強引に近づいて、カモシカを追い出すように水路橋を再び渡らせようと考えたのですが、作戦失敗です。 
野生動物はなかなか思い通りに動いてくれません。 

カモシカが階段を登りきったときに、後傾姿勢になり、下腹部にピンクの陰茎(亀頭?)が見えました!(赤丸@3:52〜4:00) 
(まさかピンクの「でべそ」ではないですよね?) 
ニホンカモシカの外性器はいつも毛で隠れているために、性別を野外で見分けるのはとても難しいのです。
♂の陰茎は初見かもしれません。 
今回の個体は、冒頭で歩き去るカモシカの後ろ姿で股間に陰嚢が見えたので、♂だと分かっていました。 

私に邪魔されて水路橋を渡るのを諦めたカモシカ♂は、谷沿いの崖を登りはじめました。 
どうやらそこも通い慣れた獣道になっているようです。 
再び私を振り返って、ペロペロと舌なめずりしました。 
手前に蚊柱(ユスリカの群飛)が立っています。 
崖に佇むカモシカ♂は、皮膚をピクピク動かしたり、尻尾を振ったりして、しつこく体につきまとう吸血昆虫(ヤブ蚊など)を追い払っています。 

急斜面に生えたミズナラ幼木の葉裏の匂いを嗅いでから、顔を擦りつけて眼下腺からの分泌物で匂い付けをしました。(@4:35〜) 
私が見ている前で、やんわりと縄張り宣言のマーキングをしたことになります。 
この後カモシカ♂は、さらに崖をよじ登って藪の中に姿を消しました。 

今回出会った個体♂は、一度も鼻息を荒らげて私を威嚇することはありませんでした。 


【考察】 
水路橋を渡るカモシカのスクープ映像が撮れなかったのは、残念でした。 
欲を出して焦った私の立ち回りが色々とまずかったようで、反省です。 
フィールドでは変な欲を出さずに無心で野生動物を追跡・観察・撮影するのが一番ですね。

それでも、野生ニホンカモシカ♂の外性器(陰茎)をちらっと観察できたのは、大きな収穫でした。
排尿姿勢になった時に陰茎や尿道口が解剖学的にどこにあるのか、これで分かりました。
カモシカの♂は立ち止まったままで(腰を落とさず)排尿し、小便は亀頭の尿道口から前方に飛びます。



ニホンカモシカは水路橋を渡るか?とタイトルに掲げた問題を追求するためには、橋の袂に無人の監視カメラを設置して証拠映像を撮るのが一番です。
運用しているトレイルカメラの数が限られているため、なかなか手が回りません。
ちなみに、ニホンザルの群れが水路橋を我が物顔で渡る様子は、何度も直接観察しています。

サクランボ果実の食べ方を幼鳥に教えるスズメの親鳥(野鳥)巣外給餌

 

2026年5月下旬・午後14:05頃・晴れ 

郊外の住宅地で物置小屋の錆びたトタン屋根にスズメPasser montanus)の親子が留まっていました。 
頬の黒斑が濃いのが成鳥で、巣立ったばかりの幼鳥は頬の黒斑が薄くて嘴の縁が黄色いのが特徴です。 
横に立つサクランボの庭木に果実が鈴なりに実り、赤く熟した落果や種子がトタン屋根にたくさん散乱しています。 

親鳥のスズメがサクランボの赤い落果を食べていました。 
ムクドリと違って体の小さなスズメは、サクランボ果実を丸呑みにするのではなく、果肉だけを啄んでいます。 
その近くで空腹の幼鳥が翼を小刻みに震わせて餌乞いしています。 
餌乞いに特有の鳴き声を発しているはずですが、カメラに対して後ろ向きですし、遠くから撮影していたので聞き取れませんでした。 
周囲でチュンチュン♪とにぎやかに鳴いているのは、別個体のスズメたちです。 

 幼鳥はすぐ横に落ちていたサクランボの種子を見つけると、興味を持ってつついてみたのの、餌ではないと悟って食べませんでした。 
幼鳥が駆け寄ると、親鳥は食べ残しのサクランボ落果を幼鳥とシェアして一緒に食べ始めました。 
親子で交互にサクランボの果肉を啄んでいます。 

やがて親鳥がそのサクランボ落果を丸ごと咥えると、器用に果肉だけを食べています。 
それを見て横の幼鳥が餌乞い(給餌の催促)を再開しました。 
スズメの親鳥は幼鳥にサクランボの食べ方を教えているようです。 
親鳥がその場に落とした食べ残しのサクランボを幼鳥がもらって食べ始めました。 
幼鳥も教わった通りにサクランボ熟果を丸ごと咥え、果肉だけをちびちび食べています。 

その間に親鳥はホッピングでトタン屋根を下り、幼鳥から離れて行きました。 
最後に幼鳥は、食べかけのサクランボ果実を咥えて飛び去りました。 


【考察】 
初夏に核果が実るサクランボの種子散布の戦略は、被食型の動物散布です。
スズメはサクランボ核果の果肉だけをついばみ種を捨てるので、普通はサクランボの種子散布者ではありません。 
しかし今回の事例では、スズメの幼鳥が食べかけたサクランボの果実を持ち去ったので、母樹から離れる種子散布を助けたことになります。

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