2026/04/19

カキノキ大木からニホンザルが下りる方法(4)木登りに使った竹竿を経由する場合【トレイルカメラ】

 

前回の記事:▶ カキノキ大木からニホンザルが下りる方法(3)幹にしがみついてずり落ちる場合【トレイルカメラ】 


2025年1月下旬 

厳冬期に果実を食べ尽くしてもカキノキ巨木に頻繁に登るニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れを自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:1/24・午前10:36・晴れ(@0:00〜) 
カキノキの樹上からスルスルと幹を下ってくるニホンザル個体に注目して下さい。 
幹の根元に立て掛けてある竹竿を経由して、雪面に慎重に降りました。 
頭を上にした体勢のまま、竹竿を手足で握って梯子のように降りていきます。 



シーン2:1/24・午前11:22・晴れ(@0:49〜) 
約50分後。 
監視カメラの起動が遅れてしまいましたが、ニホンザルが竹竿を伝って雪面に降り立つところでした。 
最後も竹竿から飛び降りずに、慎重に降りました。 

動画の画質が色々と残念なのですが、もしかして、この個体は黒い首輪を装着していますかね? 
雪原を奥へ歩き去る途中で何度もカキノキを振り返っています。 


※ 旧機種のトレイルカメラで撮った映像の色味が異常だったり明滅したりと、あまりにも見苦しいので、動画編集時にモノクロ加工を施しました。 


つづく→ 


【考察】 
初めて見る木下り法で、感動しました。
この竹竿は、木登りする際にもニホンザルがよく利用していた物です。 

2本の竹竿が並べて置いてあるのですが、上端がカキノキ幹の又の部分にしっかり挟まるように立て掛けてある右の竹竿(安定した足場)を選んで、ニホンザルはカキノキの登り降りに使っていました。 
この木下り法(4)が最も高度な知性を感じます。

竹竿を経由して木下りしたニホンザルが同一個体なのか別個体なのか、私には自信を持って見分けられませんでした。
(首輪の有無で別個体?)
少なくとも、幼獣ではなさそうです。

竹竿は明らかに誰かヒトが立て掛けておいた人工物なので、「もしや野生ニホンザルによる道具使用なのか?」と興奮しました。
しかし、ニホンザルが野生の樹木に巻き付いている太い蔓を経由して登り下りに使う行動の自然な延長でしょう。 



ChatGPTに相談してみました。 

Q1: 同じカキノキ大木で、樹上で過ごしたニホンザルが地上(雪面)に下りる際に、様々な降り方をしていた。一部の個体は、木登りに使った竹竿(カキノキの幹に立て掛けてある)を逆に辿って慎重に降りていた。

A1: とても筋の通った観察です。この場合のニホンザルの行動は、前に議論した枠組みで言えば

use of environmental structures(環境構造の利用)

にきれいに収まります。


1. 上りと下りで同じ構造を使う意味

竹竿を

  • 上りで使う

  • 下りでも逆に辿る

というのは、

「通路(route)」として一貫して認識されている

ことを示唆します。

単なる偶然の足場ではなく、

  • そこが安全に通れる経路である
    という理解がある可能性が高いです。


2. 下りで使うことの重要性

むしろ注目すべきは「下り」です。

樹上からの下降は:

  • 重力方向で制御が難しい

  • 滑落リスクが高い

そのため

安全な支持構造の選択がより重要になる


3. 行動の解釈

竹竿を使って慎重に降りる個体は:

  • 把持しやすい細さ

  • 連続した支持点

  • 安定性

を利用して

リスクを下げる経路を選択している

と考えられます。


4. 個体差の意味

「様々な降り方」があるのも重要です。

例えば:

  • 竹竿を使う個体

  • 幹を直接降りる個体

  • 枝伝いに降りる個体

これは

リスク許容・経験・身体能力の差

を反映している可能性があります。


5. これが示すこと

この観察は、

  • 竹竿=単なる偶然の足場ではなく

  • 行動選択の中で評価される構造

であることを補強します。

しかも

  • 上りだけでなく下りにも使われる

ことで、

機能の一般化(双方向利用)

が見えてきます。


まとめ

このケースは:

  • 道具使用ではないが

  • 安定した構造を選び、経路として利用する高度な環境利用

の良い例です。


もしさらに見るなら、

  • 下りで竹竿を使う個体は毎回同じか

  • 幼獣がいつ竹竿で降りられるようになるか

といった点が分かると、行動の発達や学習の側面まで見えてきます。

厳冬期に落葉樹林内の凍った雪面を日の出前にうろつくキジ♀【冬の野鳥:トレイルカメラ】

 



2025年1月下旬・午前6:30頃・気温-4℃・日の出時刻は午前6:47 

落葉した二次林でホンドタヌキが越冬する営巣地を自動撮影カメラで見張っています。 
ここは以前、ニホンアナグマの営巣地(セット)でした。 
雪国の積雪期は、日が昇る前から雪明りで充分に明るくなります。 
タヌキの巣穴Lは深い雪の下に完全に埋もれてしまっています。 

日の出前に活動を始めたキジ♀(Phasianus versicolor)が凍った雪面を左から右へ足早に歩いて横切りました。 
短い登場シーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 
地味なキジ♀は冬に複数個体で群れを形成するはずなのですが、写っていたのは1羽だけでした。

この地点でキジが写ったのは、なんと9ヶ月ぶりです。 
山地性のヤマドリに対してキジは平地(草原性)の鳥なので、二次林の葉が鬱蒼と生い茂る夏には、林内に立ち入らなくなります。 
冬に落葉して林内が明るくなると、餌を探し求めて雪深い林内をうろつくようになるのです。 


つづく→

2026/04/18

鳥から毟り取った羽根が散乱するスギ林床を夜な夜なうろつきマーキングするホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2025年1月上旬〜中旬 

シーン0:1/3・午後14:47・くもり・気温11℃(@0:00〜) 
田畑を取り囲むスギの防風林の雪面に鳥の羽根が大量に散乱していました。 
 肉食性の捕食者(おそらくフクロウなどの猛禽類?)が獲物を狩って捕食する前に、羽根を毟り取ったのでしょう。 
 毟り取られた羽根の色は地味で黒っぽく、一部は茶色に縁取られていました。 
素人目には、なんとなくヒヨドリ(Hypsipetes amaurotis)かと予想したのですが、真面目に検討していません。 
キツネやテンなど肉食獣の仕業かもしれませんが、雪面に動物の足跡は付いていませんでした。 

同じ地点に捕食者が戻って来るのではないかと期待して、自動撮影カメラを設置しました。 
その捕食者にとって、この場所がもしもお気に入りの獲物処理場(屠殺場)なら、鳥を狩る度に獲物の羽根を毟る行動が録画されるはずです。 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の登場シーンをまとめました。 
すぐ近くの休耕地にタヌキの家族が越冬している営巣地があるので、そこから夜な夜な通ってきているのでしょう。


シーン1:1/7・午前1:58・降雪・気温0℃(@0:06〜) 
小雪がちらつく深夜に単独で現れたタヌキが、スギ幹の根元の匂いを嗅いでいました。 
手前に立ち去る間際に、排尿マーキングしたようです。 
このとき、左後足を上げながら小便すれば♂なのですけど、映像の撮影アングルでははっきりしません。 


シーン2:1/7・午後20:29・降雪・気温0℃(@0:24〜)
雪が降る晩に奥から来た単独タヌキが、左のマント群落の茂みに沿って手前に歩いて来ます。 
今回も林床に散乱している鳥の羽根にタヌキは興味を示しませんでした。 


シーン3:1/8・午前0:43・気温0℃(@0:36〜) 
日付が変わった深夜に、タヌキがまた奥から登場。 

前回と同様に、左のマント群落の茂みに沿って手前に歩いて来ました。 
途中で立ち止まると、腰を落として排尿マーキングしたようです。 
(正面からのアングルでは分かりにくい。) 
匂い付けの直後に右折すると、藪の下の隙間をくぐり抜け、隣接するソバ畑の雪原へと立ち去りました。 
と思いきや、すぐに左から戻ってきました。 
さっき尿でマーキングした地点はスルーしたので、おそらく同一個体でしょう。 

暗闇で雪面の匂いを嗅ぎ回り、遂に鳥の羽根が散乱していることに気づいたようです。 
散乱現場の中央を横切りました。 
手前へ戻りながら、スギの根本に排尿マーキングしたようです。 


シーン4:1/8・午前1:24・気温0℃(@2:02〜) 
40分後にまたタヌキが写っていました。 
雪面やスギ落ち葉の匂いを嗅ぎ回り、スギの根本で排尿マーキングしたようです。 
直後に奥に向かって勢い良く駆け出しました。 


シーン5:1/11・午後23:51・気温-4℃(@2:40〜) 
3日後の深夜に監視カメラが起動すると、林床に雪が積もっていました。 
散乱していた鳥の羽根は、雪の下にすっかり埋もれています。 
暗視カメラが照射する赤外線が雪面に反射して、手前が特に眩しく白飛びしています。 

奥から来たタヌキが手前に歩き去りました。 


シーン6:1/13・午後19:10・降雪・気温0℃(@2:50〜) 
2日後の晩にスギの右背後から現れたタヌキが左下に立ち去りました。 
実は4時間前にニホンザルが現場を通りかかっているのですが、タヌキは猿の残り香や足跡などに興味を示しませんでした。 



シーン7:1/13・午後19:55・降雪・気温0℃(@3:03〜)
監視カメラの起動が遅れ、左に立ち去るタヌキの尻尾がちらっと写っていました。 


シーン8:1/14・午後19:17・降雪・気温0℃(@3:07〜) 
翌日の晩には単独タヌキがスギの手前を珍しく右から登場し、左下手前へ。 


シーン9:1/14・午後19:28・降雪・気温1℃(@3:23〜) 
11分後に、またタヌキがやって来ました。 
左の藪沿いを奥から手前に歩いて来ます。 

この時期に撮れた動画はこれが最後で、この後丸6日間も何も写らなくなりました。 
アルカリ電池が低温で電圧不足になったのかもしれません。 
翌年の冬にはリチウム一次電池を導入したところ、高価なだけあって劇的に改善しました。) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】
動画撮影時に記録された気温に注目すると、常緑スギ林の林床はほぼいつも0℃で、微気象がとても安定していることが分かります。 
昆虫が休眠越冬する場所としても適しているかもしれません。


つづく→

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