2026/09/04

菜の花を舐めるスイセンハナアブ♂

 

2025年5月下旬・午後16:00頃・晴れ 

郊外の住宅地で民家の家庭菜園に咲いている菜の花に見慣れないハナアブが忙しなく訪花していました。 
口吻を伸縮させて、黄色い菜の花の花蜜や花粉を舐めています。 
後半は、菜の花に隣接するハルジオンにも一瞬だけ訪花しました。 

いつものように望遠マクロで虫を撮りたくても、菜の花の茂みが込み入っているため、AFで被写体にピントを合わせるのはまず無理です。 
仕方がないので、通常のマクロモードでレンズをそっと近づけて接写するしかありません。 
ハナアブが花から花へ飛び回る際に、プーン♪という羽音がかすかに聞こえます。

初めはクロマルハナバチ♀の小型個体またはコマルハナバチ♀かと騙されかけたのですけど、よく見るとベイツ型擬態のハナアブでした。 
胸部(襟元)が黒ではなく色が薄い(黄褐色)点では、クロマルハナバチよりもオオマルハナバチ♀(Bombus hypocrita)っぽいかもしれません。
(しかし撮影地は平地なので、山地性のオオマルハナバチは生息していませんから、ベイツ擬態が成立しなくなってしまいます。)
顔を正面から見ると、左右の複眼が頭頂で接していたので♂と判明。 
後脚の腿節が黒くて太いです。 

今回の菜の花は園芸植物なのか、それともアブラナ科の野菜が花を咲かせたのか、真面目に検討していません。

謎のハナアブの名前を知りたくてGoogleレンズ(画像認識AI)を使ったら、スイセンハナアブ♂(Merodon equestris)とすぐに教えてくれました。 
スイセンなどの球根に幼虫が寄生する外来種らしい。 
輸入された園芸植物の球根と一緒に検疫をすり抜けて日本に侵入し、分布を広げているそうです。 
ベーツ擬態が中途半端でモデルがよく分からないのは、もともと日本在来種ではないからだと分かりました。

最近買った『ハナアブハンドブック』で調べ直すと、p93に掲載されていました。 
発生時期が5〜6月とのことで、ぴったり合います。 
スイセンハナアブは体色に変異型が色々とあるらしく(colour form多型の写真)、この個体は混合型(var. bulborumとvar. equestrisのどっち?)らしい。 
外来種のベーツ擬態の問題は考えてみるとかなり面白いので、改めて別の記事にします。(別個体の訪花シーンを映像公開予定)





余談ですが、2026年4月に出版された『ハナアブハンドブック』の書評を遅ればせながら少し書いておきます。 
ハナアブ専門の図鑑を長年待ち望んでいたので、調べ物の取っ掛かりとして本書はとてもありがたいです。 
紙の表紙にビニールカバーが被せられていて、野外に携帯しても汚れや摩耗から保護してくれそうです。 
しかし、肝心の図鑑編に掲載された各種ハナアブの写真が暗いのが不満です。 
文一総合出版のハンドブック・シリーズで共通したホワイトバック(背景が白色)の写真なのに、きちんとストロボを焚いていないのか、まるで蛍光灯の下で撮ったような暗い写真ばかりです。
細部の特徴が写真でよく分からないのでは、生物図鑑やハンドブックとして致命的な欠陥だと言わざるを得ません。 
もしかするとフラッシュを焚いているのに、斜めから撮っているせいかもしれません。 
ハナアブを同定するには背面と側面と顔正面の3枚ずつ、♀♂両方の写真を載せて欲しいのに、掲載写真を減らすため(コストカット)の苦肉の策として、本書では基本的に斜めから撮った写真が中心です。 
たとえばハナアブの世界というWEBサイトには、各種の標本写真がきれいにまとめてあって、今回も重宝しています。 
ハナアブ類の生態を説明した解説編の内容が充実していて本当に素晴らしいだけに、写真がとにかく残念です。 
出版社の編集者が心を鬼にして筆者に指摘する(撮り直しを命じる)べきでした。 
労作なのは重々承知の上で、筆者に対して酷な要求ですけど、写真を差し替えて改訂することを望みます。 


生物の図鑑は今後すべて紙ではなく電子書籍版で出版して欲しいというのが個人的な希望です。 
今さらですけど、電子書籍のメリットを列挙してみます。 
  • 電子書籍なら図鑑やハンドブックを何冊でもフィールドに持っていくことが可能になり、現場で調べることができます。 
  • 掲載するカラー写真の数を泣く泣く減らしたり、サイズを小さくトリミングしたり、カラー印刷のページだけ口絵としてまとめたりする必要が一切なくなります。 欲張りな私は、各種につき標本の写真も生態の写真も削らずに盛りだくさんに掲載してほしいのです。
  • 小さな文字が読みにくい読者は、虫眼鏡を使わなくても拡大して表示することができます。 写真も文字も小さな本は、老眼の高齢者への配慮を欠いています。 
  • 鳴き声の音声や行動の動画などマルチメディア素材との連携もスムーズになります。 1990年代にCD-ROMのマルチメディア図鑑が登場したときは革命的でした。感動・熱狂した当時と比べて、今の図鑑は明らかに使いにくく退化しています。 
  • 内容に訂正があれば、電子書籍ならすぐに反映できるはずです。


現状では伝統的な紙の出版文化を守ろうとして両方出し続けているために、色々と中途半端になっています。 
出版社の都合で、読者(消費者)の不満がいつまでも解消されません。 
電子書籍版と言いつつも、紙の書籍をスキャンした画像をまとめただけの粗悪な代物ばかりなのは、出版社の怠慢です。 
電子書籍の強みを遺憾なく発揮した編集になっていません。 
たとえば目次や索引からハイパーリンクで該当ページに直接飛べるように、最低限の編集をして欲しいものです。 
個人の有志が自費出版している電子書籍の図鑑には、すばらしい物があるので、技術的にできないとは言わせません。 
(たとえば『日本チョウ類E図鑑』など。)
大手の出版社もさっさと電子版に本格移行して欲しいものです。 
図鑑の未来は電子書籍にあると私は確信しています。 
子供向けの入門図鑑では、紙の書籍版も意味があるかもしれません。 
しかし、大人向けの専門的な図鑑は、すべて電子版にすべきだと私は考えます。 
紙の書籍で多くの種類を網羅しつつコンパクトで安価な図鑑にまとめるのは、もう限界でしょう。
料金は1冊毎の買い切りが私の好みですけど、いずれサブスク制が主流になりそうです。


2026/09/03

ドングリの落果を拾い果皮を剥いてから食べるニホンザル

 

2025年4月中旬・午前10:35頃・くもり 

春になって雪が溶けた後の山麓で遭遇した野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れを観察していると、ドングリの採食シーンが撮れました。 

シーン1:(@0:00〜) 
用水路沿いで、ニホンザル成獣が何か小さな餌を拾い食いしていました。 
左手に持っているのは、ドングリ(ブナ科の堅果)でした。 
右手で痒い体をボリボリ掻いてます。 
次に猿は、ドングリを両手の平に挟んで擦り合わせ、外側の土汚れを落としました。 
歯で噛んで果皮を器用に剥くと、中身の種子を美味そうに食べました。 

シーン2:(@0:35〜) 
次は若い個体が同じく用水路沿いで餌を探し歩いていました。 
クリのイガを手で転がし、落ち葉をめくったりしています。 
境界標に乗ったのは、棘だらけのイガグリを踏んで痛い思いをしないための無意識の知恵かもしれません。 

何か木の実を拾って食べています。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイすると(@1:11〜)、採食法がよく分かるようになりました。 
せっかくドングリの果皮を剥いたのに、猿は種子を少し味見をしただけで、すぐに捨ててしまいました。 
このドングリはタンニンが多く含まれて渋かったのか、それとも虫食い状態だったのでしょう。 
2例ともドングリの形が細長いので、おそらくミズナラの堅果だと思います。 

後で現場検証してドングリの樹種を調べるつもりでいたら、遊動するニホンザルの群れを追跡するのに夢中で忘れてしまいました。
そのうち、山麓の道端にあったパッチ状の雑木林が、いつの間にか伐採されてしまいました。


【考察】
ChatGPT

【アフィリエイト】 

タヌキの巣穴がある休耕地で落ち葉をめくって餌を探すハシボソガラス【野鳥:トレイルカメラ】

 



2025年4月下旬・午前9:00頃・くもり・気温18℃ 

休耕地でホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)の家族が暮らす営巣地を自動センサーカメラで見張っています。 
春になって雪が完全に溶け、枯野だった地面に草が青々と育ち始めました。 

ハシボソガラスCorvus corone)が単独で原っぱに降り立っていました。 
トコトコ歩いてから、お辞儀をしながらガーガー♪と嗄れ声で鳴きました。 
やがて、嘴で落ち葉をめくって餌を探し始めました。 
落ち葉の下に隠れている虫や越冬している虫を捕食するのでしょう。 

今回のカラスはタヌキの巣穴に興味を示さず、素通りしました。 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→

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