2026/02/21

カキノキに次々登って熟柿を食べるニホンザルの群れとカラスの小競り合い【野鳥:トレイルカメラ】

 



2024年12月上旬・午前10:00〜10:30頃・晴れ・気温29℃ 

収穫の終わったソバ畑の端に立つカキノキの下に散らばっていた落果をまとめて置き直し、自動センサーカメラで見張っています。 
ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の登場シーンをまとめました。 

カメラの画角が斜めになっているのは、恐らく猿がカメラをいつの間にか悪戯したせいです。


シーン1:12/2・午前9:59・晴れ・気温29℃(@0:00〜) 
子猿が3頭、給餌場に来ていました。 
年長の個体が左へ立ち去った後も、年少の子猿2頭が給餌場に残って落柿を拾い食いしています。 
子猿にとって、落柿は両手で抱えても持て余すぐらい大きな餌です。 

手前の死角に隠れていた別個体の成獣がカキノキの幹に飛びついて、スルスルと木登りを開始。 
樹上に残っている熟柿を採食しに行ったのでしょう。 
手前の死角に隠れていた別個体の幼い子猿が真似してカキノキ幹に飛びつこうとしたものの、その手前の細い灌木に引っかかってしまいました。 
気勢を削がれた子猿は、諦めて地上へ不格好に(逆立ちするような格好で)下りました。 

給餌場で採食した子猿のうちの1頭がカキノキに飛びつくと、細い蔓を掴んで素早く登りました。 
他の子猿たちは、なぜか手前に走り去りました。 

別の成獣も死角から来てカキノキに登りました。 
しばらくすると、子猿が樹上から地上に飛び降りました。 
すぐにまた別の子猿が入れ替わるように木登り。 
幼い子猿も、蔓を利用することで独りでなんとか木登りが可能です。 

やがてカラスが2羽続けて飛来すると、カキノキ樹上から幼い子猿が慌てて飛び降りました。 
カラスから逃げてきた子猿は、口をもぐもぐさせながら、地面の落柿を手で弄んでいます。 


シーン2:12/2・午前10:02・晴れ(@2:00〜) 
カキノキに登る途中の猿がちらっと見えました。 
細い横枝に進出して器用に熟柿を採食しているようですが、幹の陰に隠れてよく見えないのが残念です。 
食べかけの熟柿を惜しげもなく捨てています。 
細い枝先についた熟果に手を伸ばしても届かないようです。 
体重の重い成獣が無理して枝先の熟柿を取りに行こうとすると、細い枝が折れてしまうことを猿も知っていて(猿も木から落ちる)、自重しています。 
監視カメラの画角が斜めにずれたことで偶然撮れるようになった、奇跡の産物です。 


シーン3:12/2・午前10:05・晴れ(@3:41〜) 
次に監視カメラが起動したときには、柿の木から飛び降りたと思われるニホンザル個体が左へ立ち去るところでした。 

カラスが次々に飛来して、カキノキ樹上のニホンザルを追い払おうとしているのかな? 
カラスとニホンザルが餌資源の熟柿を巡って占有行動を繰り広げていたら面白いのですが、もっと広角で証拠動画を撮らないといけません。 
周囲から聞こえるカラスの鳴き声は澄んでいるので、おそらくハシブトガラスCorvus macrorhynchos)のようです。 

カキノキ樹上の死角にニホンザルはまだ何頭か残っているようで、ときどき枝が揺れ、上から食べかすが落ちてきます。 


シーン4:12/2・午前10:08・晴れ(@4:06〜) 
猿がカキノキによじ登っています。 
樹上の死角で採食しているようで、ときどき食べかすを捨てています。 
カラスが鳴きながら周囲を飛び交っています。 


シーン5:12/2・午前10:14・晴れ(@4:11〜) 
ニホンザル成獣が左へ歩き去りました。 
給餌場をスルーしたということは、柿の木から飛び降りた直後なのかな? 

別個体の子猿がカキノキから下り始めました。 
一気に地面に飛び降りずに、左隣りのクワ幼木に一旦飛び移りました。 
体重の軽い子猿ならではの木下り法です。 
別個体の幼い子猿はカキノキから地面に飛び降りて、左へ向かいました。 

右から地上を歩いてきた個体がカキノキの奥で後ろ向きに座ると、落柿を拾い食いし始めました。 
手前に私が置いておいた落柿ではなく、自然に落ちた熟果を採食しています。 


シーン6:12/2・午前10:19・晴れ(@5:20〜)
猿の成獣♀がカキノキ樹上から地上に下りると、落柿を拾い食いしてから、ソバ畑の端を通って左に遊動しました。 
この♀個体は、テレメトリー調査のための黒い首輪(GPS内蔵?)を装着していました。 
同一個体と思われる首輪ニホンザルが近くの別なトレイルカメラでときどき記録されています。 
関連記事(年前の撮影@アナグマの営巣地)▶  

しばらくすると、左から幼い子猿が走ってきて、カキノキの幹に飛びついてよじ登り始めました。 
幼い子猿は、必ず細い蔓を掴んで登ります。 
もはや樹上採食が目的ではないようで、ぶら下がって遊んだり、すぐに左のクワ灌木に飛び移って遊んだりしています。 


シーン7:12/2・午前10:22・晴れ(@6:17〜)
幼い子猿が覚束ない手付きでカキノキに登ろうとしています。 
手前から成獣が現れ、手本を示すように木登りしました。 
仲間の幼い子猿達も続々と集まって、木登りします。 
体重の軽い幼い子猿は、細い枝先にも行けるので、アクロバティックに仲間と遊んでいます。 
樹上に最後まで残った熟柿を手に入れることが出来るのは、体重の軽い幼い子猿だけでしょう。 


シーン8:12/2・午前10:29・晴れ・気温29℃(@8:05〜) 
落葉灌木(樹種不明)の細い枝先で、2頭の幼い子猿がもつれ合うように遊んでいます。 
やがて成獣が柿の木から下りてきました。 
頭を下にして(真っ逆さまに)垂直な幹を器用に下りてきます。 
子猿は樹上から一気に地面に飛び降りたり、幹を上向きで恐る恐るずり落ちてきたりします。 
カキノキから続々と降りたニホンザルたちは、左のスギ防風林へ遊動したようです。 

立ち去ったニホンザルと入れ替わるように、待ちかねたカラスが飛来してカキノキの枝に止まりました。 
地上の獣道を右から殿しんがりのニホンザルが登場しました。 
給餌場にもカキノキにも立ち寄らず、ソバ畑の端を左に歩き去り、群れの仲間を追いかけます。 
するとカラスもう一羽飛来しました。



【考察】 
木登りがまだあまり得意ではない幼い子猿や老いた猿のために、樹上の成獣が食べ残した柿の実を惜しげなく落としてやるのかと思ったのですが、どうでしょうか。
少なくとも、思いやり(利他行動)で食べ残しを樹上から捨てている訳ではなさそうです。

 


今回の現場は郊外の平地です。
裏山から降りてきた野生ニホンザルの群れは、普段からここに居座っている訳ではありません。
ここに餌資源のカキノキがあることを知っていて(学習済み)、晩秋になるとぞろぞろと遊動してくるのです。
一方、この辺りを縄張りとしているカラスもいます。
カラスもニホンザルも甘い熟柿が大好物ですから、貴重な餌資源を巡って競争になります。
真っ黒なカラスが飛来すると、カキノキに登っていた子猿は怖がって逃げました。
しかし多数のニホンザルがカキノキに登ると、カラスに勝ち目はないようです。 
果実をさんざん食べた猿が柿の木から降りると、近くで待っていたカラスが入れ替わるように柿の木に戻ってきました。 

カラスとニホンザルのカキノキをめぐる攻防について、Gemini AIとブレイン・ストーミングしました。


Q1: カラスがニホンザルにモビング(擬攻撃)することはあるか?


A1: カラスがニホンザルにモビング(擬攻撃)することは、一般的に考えられる生態系における行動パターンではありません。

その理由としては、以下の点が考えられます。

  • 生態系の位置づけ: カラスは雑食性で、様々なものを食べますが、ニホンザルは群れで行動し、植物や昆虫などを主食とする動物です。生態系における位置づけが大きく異なるため、直接的な対立関係にあるとは考えにくいのです。

  • モビングの対象: カラスがモビングを行う対象は、主に自分よりも大きく、捕食される可能性のある動物、例えばタカやフクロウなどの猛禽類が一般的です。ニホンザルは、カラスにとって直接的な捕食者ではなく、むしろ競合相手や中立的な存在であると考えられます。

  • 体の大きさや力: ニホンザルはカラスよりも体が大きく、力も強いです。カラスがニホンザルに対してモビングを行っても、効果的に追い払うことは難しいでしょう。

ただし、以下の可能性も考えられます。

  • 個体差や状況による例外: 個体差や状況によっては、カラスがニホンザルに対して威嚇行動をとる可能性はゼロではありません。例えば、巣を守るために、たまたま近くにいたニホンザルを追い払おうとするケースなどが考えられます。

  • 餌をめぐる競争: 餌となる資源が限られている状況下では、カラスとニホンザルが同じ餌を求めて競合し、その結果、互いに威嚇し合う場面が見られるかもしれません。

結論として、カラスがニホンザルにモビングを行うことは、一般的な現象ではなく、非常に稀なケースであると考えられます。

もし、実際にそのような場面を見かけた場合は、非常に興味深い観察結果と言えるでしょう。

補足

  • モビングは、鳥類が外敵から身を守るための重要な戦略の一つです。

  • カラスは非常に知能が高く、様々な状況に対応できる動物です。

  • ニホンザルもまた、社会性が高く、複雑な社会構造を持つ動物です。


Q2: 冬にカキノキに美味しい果実がなっていて、カラスもニホンザルも採食にやって来る。ニホンザルが群れで広く遊動するのに対して、カラスは縄張り定住性が高いと考えられる。カラスの縄張り内にあるカキノキにニホンザルの群れがやって来て、カキノキに登って果実を食べ始めたら、餌資源を防衛するためにカラスはニホンザルを追い払おうとするのではないか? カラスが襲ってきたら幼い子猿は怖がって逃げるのではないか?


A2: 冬場にカキの実を巡ってカラスとニホンザルが競合する場面は、自然界でよく見られる光景です。

カラスがニホンザルを追い払おうとする可能性は十分に考えられます。

  • 縄張り意識の強さ: カラスは、特に繁殖期や餌が豊富な時期には、縄張り意識が非常に強く、侵入者を激しく追い払うことがあります。

  • 餌資源の価値: 冬場は餌が少なくなるため、カキの実のような高カロリーな食物は、カラスにとって特に重要な資源です。

  • 個体差と状況: カラスの性格や、その時の状況によっても、ニホンザルに対する反応は変わってくるでしょう。特に、巣がある場合や、雛がいる場合は、より攻撃的に反応する可能性があります。

一方で、ニホンザルもまた、カラスの攻撃に対して様々な対応策を持っていると考えられます。

  • 群れの力: ニホンザルは群れで行動するため、数が多ければカラスの攻撃を凌ぎ切ることも可能です。

  • 学習能力: ニホンザルは非常に学習能力が高く、過去の経験から、カラスの攻撃パターンを学習し、それに対応する行動をとる可能性があります。

  • 個体差: ニホンザルも個体差があり、大胆な個体や臆病な個体など、様々な性格の個体が存在します。

幼い子猿にとって、カラスの攻撃は確かに怖い経験となるでしょう。

  • 恐怖体験: 幼い子猿は、カラスの大きな鳴き声や急襲に恐怖を感じる可能性があります。

  • 学習効果: しかし、このような経験を通して、カラスを危険な存在として認識し、警戒心を養うことができるでしょう。

まとめると、カラスとニホンザルの間には、餌をめぐる激しい競争が繰り広げられており、特に冬場は、その対立が顕著になることがあります。

しかし、同時に、両者は互いの存在を認識し、それぞれの戦略を駆使して、この競争を乗り越えようとしていると言えるでしょう。


Q3: 餌資源を巡るカラスの攻撃性はモビングとは呼ばないのか? あくまでも猛禽などの天敵に対してカラスが繁殖期に行うのがモビングか?


A3: 餌資源をめぐるカラスの攻撃性は、必ずしも「モビング」とは呼ばれません。

モビングと餌をめぐる攻撃性の違い

  • モビング: モビングは、主に繁殖期に、カラスが巣や雛を守るために、自分よりも大きな捕食者(タカやフクロウなど)に対して行う威嚇行動です。集団で攻撃し、大きな音を立てたり、糞を浴びせたりするなど、より積極的な攻撃行動が見られます。

  • 餌をめぐる攻撃性: 餌資源をめぐって、他の動物と争う際にカラスが見せる攻撃性は、モビングよりも範囲が広く、対象も多様です。ニホンザルだけでなく、他の鳥類や哺乳類、時には人間に対しても、餌を守るために攻撃的な行動を取る場合があります。

では、餌をめぐる攻撃性を何と言うのでしょうか?

厳密な定義はありませんが、一般的には「縄張り争い」や「資源防衛行動」などと呼ばれます。

なぜ区別するのか?

  • 目的の違い: モビングは、自分や子孫を守るための防衛行動であるのに対し、餌をめぐる攻撃性は、生存に必要な資源を守るための行動です。

  • 対象の違い: モビングの対象は主に捕食者であるのに対し、餌をめぐる攻撃性の対象は、餌と競合する他の動物です。

  • 行動のパターン: モビングは、集団で攻撃し、大きな音を立てるなど、より特徴的な行動パターンを示すことが多いです。

まとめ

カラスの攻撃性は、その目的や対象によって様々な種類があります。モビングは、捕食者に対する防衛行動という点で特徴的な行動ですが、餌をめぐる攻撃性も、カラスの生存戦略において重要な役割を果たしています。


Q4: 複数のカラスがカキノキに飛来して(上空を低く通り過ぎたり、枝に止まったり)、木に登っていたニホンザルを追い払ったように見えたのだが、それはモビングとは呼べないのですね。


A4: はい、その状況はモビングとは厳密には呼べません。

なぜモビングとは言えないのか?

  • モビングの対象: モビングは、通常、カラスよりはるかに大きく、捕食の危険性のある猛禽類などの鳥を対象に行われます。

  • モビングの目的: モビングの目的は、巣や雛を守るための防衛行動です。

  • 行動パターン: モビングでは、集団で攻撃し、大きな音を立てたり、糞を浴びせたりなど、より積極的な威嚇行動が見られます。

今回のケースでは、

  • 対象: ニホンザルは、カラスの捕食対象ではなく、むしろ競合相手です。

  • 目的: 餌となるカキの実を守るための資源防衛行動です。

  • 行動パターン: 必ずしも集団で攻撃するわけではなく、単独で追い払ったり、威嚇するなど、状況によって行動が異なります。

では、今回のカラスの行動を何と呼ぶべきか?

  • 縄張り争い: カラスが縄張りとみなしているカキノキに、ニホンザルが侵入してきたため、それを追い払おうとしたと考えられます。

  • 資源防衛行動: カキの実という貴重な餌資源を守るために、ニホンザルを追い払おうとしたと考えられます。

まとめ

カラスの行動は、状況や相手によって様々です。モビングは、特定の状況下で行われる特殊な行動であり、全ての攻撃的な行動をモビングと呼ぶわけではありません。

今回のケースのように、餌資源をめぐる争いにおいて見られるカラスの行動は、縄張り意識や資源防衛行動として捉えるのが適切でしょう。


補足

  • 個体差: カラスの性格や経験によって、同じ状況でも異なる行動を取る場合があります。

  • 状況依存性: 餌の量や、ニホンザルの数など、状況によってカラスの行動は変化します。

  • 学習能力: カラスは学習能力が高いため、過去の経験から、より効果的な行動を学習していく可能性があります。

これらの点を踏まえて、実際の観察結果と照らし合わせながら、カラスの行動をより深く理解していくことができます。



つづく→

セスジスズメ(蛾)の幼虫が身を守る手段は眼状紋だけなのか?

 

2024年10月上旬〜中旬

シーン1:10月上旬・午後15:50・くもり(@0:00〜) 
街なかの大通りに沿った歩道の花壇でホウセンカが赤や赤紫の花を咲かせていました。 
ホウセンカの群落に真っ黒な芋虫が潜んでいました。 
セスジスズメTheretra oldenlandiae oldenlandiae)の幼虫です。 
調べてみると、ホウセンカはセスジスズメ幼虫が好む食草のひとつでした。 

セスジスズメ幼虫の1匹は、ホウセンカ葉裏の主脈に沿って外向きに静止していました。 
側面から見ると、尾角と黒い体表の体軸に沿って白線が目立ちますが、眼状紋は見えません。 
指先で幼虫に触れてみると嫌がりはしたものの、特別な防御や反撃などはしませんでした。 
体を膨らませて眼状紋を誇示したり、尾角を動かしたりすることもありませんでした。 
尾角は長くて尖っていますが柔らかく、敵に突き刺す武器として使う訳ではありません。 
指でつついても、ポトリと擬死落下することもありませんでした。 

2匹目の幼虫はホウセンカの葉表にじっとしていました。 
背側から見ると、黒地に派手な(カラフルな)眼状紋が両側に並んでいます。 
2匹目の幼虫に触れると、嫌がって隣の葉にゆっくり移動しました。(緩慢な逃避行動)


シーン2:10月中旬・午後12:15・晴れ(@1:26〜) 
5日後に同じ花壇を再訪すると、セスジスズメの幼虫は2匹とも天敵に捕食されず無事でした。 
今回もホウセンカの茎に上向きでじっと留まっているだけで、動画では1匹しか撮影していません。 

ホウセンカの葉をよく見ると食痕(虫食い跡)がありましたが、食事シーンを観察できず残念でした。 
もしかすると、セスジスズメ幼虫の食事は夜行性で、昼間は食休みなのかな? 
たまたま2回とも脱皮前で活動が鈍いみんの時期だったのかもしれません。 
幼虫を採集して飼育したかったのですが、この時期の私は忙しくて、とても余力がありませんでした。 




【考察】 
セスジスズメ幼虫の体色は黒色で、緑の食草に対して保護色になっているどころか、結構よく目立ちます。
(ヒトではなく鳥の視覚で目立つかどうか調べるべきですね。)
毒々しい色(赤や黄色)の眼状紋で天敵を威嚇する作戦によほど自信があるのでしょう。

セスジスズメ幼虫の対捕食者自衛戦略を調べたつもりですが、私のつつき方が優しすぎた可能性もあります。

もっと痛みを覚えるぐらいの強い刺激を与えないと、本格的な防衛行動や逃避行動は発動しないのかもしれません。


Perplexity AIに色々と疑問をぶつけてみました。



Q1: 昆虫の眼状紋は、擬態に含まれるか?

A1: 結論から言うと、「眼状紋そのもの」は分類学的・形態学的な用語であって「擬態」という機能的カテゴリーとは別物ですが、多くの昆虫において眼状紋は擬態(広義のミミックリー)や捕食回避シグナルとして機能すると考えられており、その場合には「擬態の一形態として扱われることがある」と整理するのが無難です。wikipedia+1

眼状紋とは何か

  • 眼状紋(eyespot)は、脊椎動物の眼を思わせる同心円状の模様で、中心に暗色、その周囲に淡色が配置された「目玉模様」を指す形態学的な呼称です。weblio+1

  • チョウ・ガ類など鱗翅目昆虫の翅に典型的に見られ、ジャノメチョウ類などの和名もこの模様に由来します。wikipedia+1

機能的な解釈:擬態かどうか

眼状紋の機能については、古典的に少なくとも二つの主な仮説があります。kaken.nii.ac+2

  • 捕食者の眼の擬態仮説
    フクロウやヘビなどの捕食者の大きな眼に似ることで、鳥類などの天敵を脅かし、忌避反応を引き起こして捕食を避けるという解釈です。kaken.nii.ac+1
    この場合は「捕食者の眼のミミックリー」とみなされるので、擬態(特に威嚇的擬態)の一種と扱うのが妥当です。

  • 攻撃そらし(ディフレクション)仮説
    頭部と誤認させて、鳥に眼状紋のある後翅をつつかせることで、より重要な頭部や体幹への致命的ダメージを避けるという説です。pteron-world+2
    これは「ボディパーツ・ミミックリー」「自己模倣(autotomy mimicry)」的な文脈で語られることが多く、これも広義の擬態に含める立場があります。

さらに近年は、「単に非常に目立つ高コントラスト模様として警告信号(aposematic signal)のように働いているだけで、特定の『眼』の模倣ではない」という警告信号仮説も提案されています。[kaken.nii.ac]​
この立場からは、狭義の「擬態」よりも「警告色・警告模様」として扱う方が適切という解釈になります。



Q2: セスジスズメという蛾に寄生する虫は知られているか?


A2: セスジスズメ(Theretra oldenlandiae)に寄生する虫として、少なくとも寄生バチ(コマユバチ科)がよく報告されています。kasasagoasuka+3

寄生蜂(コマユバチ科など)

  • セスジスズメ幼虫の体表に白~淡緑色の小さな繭が多数(あるいは数個)付着している例が複数の観察記録で示されており、体内で発育した寄生蜂幼虫が外に出て繭を作ったものとされています。masaneko.blogspot+3

  • 詳細な同定例では、「スズメヤドリコマユバチ」(コマユバチ科)が、スズメガ類(セスジスズメを含む)の中齢幼虫から出てくる一次寄生蜂として報告されています。[ameblo]​

そのほかの可能性

  • スズメガ類全体では、ヤドリバエ類(タチバエ科)などの寄生バエも多く知られており、セスジスズメにも類似の寄生が起こりうると考えられますが、セスジスズメ専用・確認済みの種名まで踏み込んだ公開情報は限られています。[ameblo]​

  • 現場レベルの記録・ブログ・飼育報告では、セスジスズメ幼虫から羽化した「種未同定の寄生蜂」として扱われている例も多く、寄生者相の全体像はまだ十分整理されていない印象です。insect+1



Q3: セスジスズメの幼虫は体表に眼状紋があって、鳥などの捕食者から身を守っていると考えられている。攻撃されたときに他に何か防衛行動しないのか? 例えば口から苦い体液を吐くとか、激しく体を振るとか、体を膨らませて眼状紋を見せつけるとか、威嚇で発音するとか。


A3: セスジスズメ幼虫について詳細な実験報告までは参照できませんが、一般的なスズメガ科幼虫の防衛様式と、公開されている観察記述から考えると、以下のように整理できます。inspired-habits.hateblo+3

セスジスズメ幼虫の基本的な反応

  • 飼育・観察記録では、セスジスズメ幼虫は比較的おとなしく、強い刺激を与えない限り自発的な攻撃行動はほとんど示さないとされています。[inspired-habits.hateblo]​

  • 刺す・咬む・毒液を噴射するといった積極的な攻撃手段は持たず、毒もないと説明されることが多いです。insect+1

体勢変化・逃避的行動

  • 驚かせると「体を丸める」「突然動く」といった防御反応を示すことがあり、これは多くの鱗翅目幼虫に共通する一時的なフリーズや逃避行動と考えられます。[inspired-habits.hateblo]​

  • 野外観察では、終齢幼虫が「尾角を前後に揺らしながら素早く移動する」と表現されており、接触刺激に対して動きを速めることで捕食者から距離をとる行動がうかがえます。[yamareco]​

眼状紋と姿勢の強調

  • セスジスズメ幼虫は体側に発達した眼状紋と尾角を持ち、「小さなヘビのように見える」と記述されますが、これが能動的に強調されるか(体を膨らませる・特定の姿勢をとるか)についての具体的な実験・記述は限られています。[nara.mushizukan]​

  • 一般的なスズメガ幼虫の中には、前体節を持ち上げて頭部を太く見せ、「ヘビ頭状」のシルエットで眼状紋を目立たせる種が知られていますが、セスジスズメで同様の典型的「ヘビ擬態姿勢」が系統的に報告されている例は多くありません(少なくとも広く共有された解説では強調されていません)。[insect]​

体液吐出・発音などについて

  • セスジスズメ幼虫が「苦味のある体液を吐く」「口から泡状分泌物を出す」「激しい発音をする」といった、明確な化学防衛・音響防衛行動は、一般向け・飼育者向けの解説では特に言及されていません。insect+1

  • これらの行動は、他の鱗翅目(特に毒を持つ種や、顎の強い種)では知られているものの、セスジスズメに固有の特徴として扱われているわけではないようです。

結論的な整理

  • 確実に言えるのは、セスジスズメ幼虫は

    • 視覚的防御(眼状紋・尾角・全体のシルエット)

    • 簡単な防御姿勢(体を丸める、一時的に固まる、動きを速める)
      という比較的「受動的・逃避的」な防衛を主とするということです。nara.mushizukan+2

  • 口からの体液吐出・顕著な体膨張による眼状紋誇示・音による威嚇といった、積極的かつ派手な防衛行動については、少なくとも広く共有された情報源でははっきりした記載がなく、「あっても稀」「主防御ではない」と考えるのが妥当と思われます。inspired-habits.hateblo+1

より厳密には、鳥類による捕食実験や高速撮影などで、攻撃直前の姿勢変化や筋活動を解析した行動学的研究が必要ですが、現時点の公開情報だけでは、そこまで詳細な防衛レパートリーは確認されていない、というのが正直なところです。


Q4: 実は、野外で見つけたセスジスズメの幼虫を指でつついてみたのですが、緩慢に逃げるだけで何も特別な防衛行動をしませんでした。(複数個体で確認。)これが普通のことなのか、それとも、寄生蜂などに体内寄生された個体は動きが鈍くなるのか、どっちなのか知りたかったのです。


A4: ユーザーの観察(指でつついても緩慢に逃げるだけ)は、セスジスズメ幼虫の正常な反応範囲内であり、特別に異常とは言えません。inspired-habits.hateblo+1

健常個体の標準反応

  • 複数の観察・飼育報告で、セスジスズメ幼虫は基本的に「おとなしい性格」で、刺激に対して「じっと固まる」「ゆっくり逃げる」「体を丸める」といった受動的な反応を示すと一貫して記述されています。[inspired-habits.hateblo]​

  • 積極的な反撃(激しい振り、噴射、音など)は稀で、「無理に刺激しない限り攻撃的にならない」「触っても安全」と評価されるほど穏やかです。pljbnature+2

  • 複数個体で確認された緩慢な逃避は、むしろ典型的な行動パターンです。[inspired-habits.hateblo]​

寄生個体の行動変化について

  • 寄生蜂(コマユバチなど)の寄生後期では、寄主幼虫の動きが明らかに異常化(激しく上半身を振る、苦しげに痙攣するなど)し、寄生蜂幼虫が体外脱出直前になると特に顕著になります。[bait4crawl.exblog]​

  • 寄生初期~中期でも、寄主の食欲低下・成長停止・動きの鈍化が起こりうるものの、外見正常で動きが緩慢なだけなら寄生の直接証拠とは言えません(繭や体表異常の有無を確認するのが確実)。ameblo+1

  • セスジスズメ特異の報告でも、寄生確定個体は「動きがおかしい」「穴が開く」などの明瞭な兆候が伴うケースが主流で、単なる「緩慢逃避」だけでは寄生判定は難しいです。[bait4crawl.exblog]​

ユーザーの場合の判断

ユーザーの複数個体で見た「緩慢に逃げるだけ」は、健常個体の標準行動と一致するため、寄生による鈍化の可能性は低いと考えられます。pljbnature+1
ただし、野外個体は個体差(年齢、栄養状態、気温)で動きの速さが変動しやすいので、参考までに体表・肛門周囲を観察すると寄生兆候(白い繭、小さな穴)が分かるはずです。


Q5: 昆虫の眼状紋は、鳥などの捕食者に対して威嚇する効果があるために進化したと考えられている。体に眼状紋がある幼虫がいるが、狩蜂あるいは寄生蜂に対して眼状紋は追い払う威嚇効果があるか?

A5: 眼状紋が寄生蜂や狩蜂に対しても「眼=怖いもの」として強く威嚇し、追い払うという証拠は、現在の昆虫学の知見ではほとんど示されていません。kindai.repo.nii+2

眼状紋の主な効果の相手

多くの研究や解説では、眼状紋の主な効果の相手は鳥などの脊椎動物捕食者とされています。jstage.jst.go+1
鳥類は目の形に非常に敏感で、大きく目立つ眼状紋に驚いて攻撃をやめる・躊躇することが実験的にも支持されています。hoshtani.fc2+1

寄生蜂・狩蜂に対する効果

寄生蜂や狩蜂は、寄主を近い距離で触角などの化学・触覚情報によって探す傾向が強く、視覚だけに頼っていません。[www-agr.meijo-u.ac]​
そのため、「大きな目玉にびっくりして逃げる」という鳥型の反応が、寄生蜂にも同じように起きるとは考えにくいとされ、眼状紋の「威嚇」が寄生蜂に対して有効だと示す直接的な実験データは見当たりません。[www-agr.meijo-u.ac]​

幼虫と寄生蜂の実際の関係

アゲハチョウなど眼状紋をもつ幼虫でも、寄生バエや寄生蜂による寄生は一般的に起きており、眼状紋がそれらを十分に追い払っているとは言えません。[kids.rurubu]​
むしろ寄生蜂の側は、眼状紋の有無にかかわらず、適したサイズ・種の幼虫を見つけて産卵していると解説されています。mdares.gov+1

結論

  • 眼状紋は主に鳥など脊椎動物捕食者への威嚇・注意そらしとして進化したと考えられている。ariescom+2

  • 寄生蜂・狩蜂に対して眼状紋が特別な威嚇効果を持つという明確な証拠はなく、少なくとも寄生を防ぐほど強い効果は確認されていません。kids.rurubu+1

したがって、「幼虫の眼状紋が寄生蜂や狩蜂を追い払うほどの威嚇効果を持つ」とまでは現状の知見からは言えず、主な標的は鳥類などの捕食者だと考えるのが妥当です。pteron-world+2



Q6: スズメガ科の幼虫がもつ尾角にはどんな機能があるのですか? 威嚇や武器になっているとは思えません。


A6: スズメガ科幼虫の尾角は、主に視覚的な防衛機能を持つとされ、威嚇や物理的な武器としては機能しないのが一般的です。wikipedia+1

擬態・攻撃そらし機能

  • 尾角は食草の葉柄・茎・枯れ枝に似せた形状・色調で擬態し、幼虫全体を「枯葉や枝」に見せかける役割を果たします。例えばセスジスズメ類では緑~褐色の尾角が葉脈そっくりに機能。[ameblo]​

  • 捕食者(鳥など)が尾角を「食べやすい部分」と誤認し、頭部や体幹ではなく尾端を攻撃させる「攻撃誘導(deflection)」効果も指摘されます。損傷しても再生可能で、致命傷を避けやすい。[sagami-portal]

その他の仮説

  • 一部の種で尾角を振動させる行動が見られ、捕食者を驚かせる可能性がありますが、普遍的ではなく補助的。[ameblo]​

  • 感覚器官説や分泌機能説もありますが、証拠が薄く、学術的には「用途不明」とされることが多いです。hama-midorinokyokai+1

尾角は全体として「目立たない方が有利」なスズメガ幼虫の生存戦略を支える視覚的トリックで、武器化は進化的に不利だったと考えられます。sagami-portal+1 



スズメガ幼虫の尾角が損傷しても再生可能という話は聞いたことがなかったのでPerplexityを厳しく追求すると、誤情報と認めました。

黒い尾角の先端は白くなっていて、目立ちます。

したがって、確かに捕食者の攻撃を逸らせる効果はあるかもしれませんが、鳥が目立つ尾角を標的にして嘴で摘み上げるのではないか?という気もします。

トカゲの尻尾切りのようにスズメが幼虫の尾角も自切したら面白いのですが、実際に生きたスズメガ幼虫を鳥に給餌して、直接観察してみるしかありません。



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