2026/06/14

両目の輝板を失明したホンドタヌキが雨夜に溜め糞場で排便:3月上旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年3月上旬・午後18:25頃・雨天・気温1℃ 

雪国のスギ防風林にあるホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場wbcをトレイルカメラで見張っています。 

雨が降る晩に、まず1頭のタヌキが現れました。 
溜め糞WBCの匂いを確認してから、またがって南東向きで脱糞しました。 用を足しながら、欠伸したようです。 

17秒後に、後続のタヌキが右からやって来ました。 
おそらく近くでトイレの順番待ちをしていたのでしょう。
この個体は、両目に光がありません。 
タペータム(輝板)に異常を来して暗視カメラの赤外線を反射しなくなった失明個体です。 
溜め糞にまたがると、北東を向いて排便しました。 
大便の状態を見る限り、栄養状態も悪くなく健康そうです。 
暗い夜に目が見えにくくても、ちゃんと餌を食べているようです。 
先行個体の後を追って、右に立ち去りました。


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 雨音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
トレイルカメラの電池の電圧がたまたま低下していて、暗視動画を連続撮影したせいで赤外線LEDからの照射が弱いだけかもしれない…などと他の可能性(カメラのトラブル)も考えました。 
しかし、近所の別の地点に設置したトレイルカメラでも同時期から両目失明のタヌキが写るようになったので、間違いありません。 
以前片目の輝板(タペータム)が失明していたタヌキと同一個体だとしたら、進行性の眼病ということになります。 
動画で行動を見ているだけでは、夜盲症かどうか確定診断できません。 
夜間限定ですが、この個体だけ個体識別できるようになりました。 


つづく→

アサツキの花蜜を吸い飛び回るクジャクチョウ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2026年6月上旬・午前11:10頃・くもり 

砂利道と線路の間に咲いたアサツキの小群落にクジャクチョウInachis io geisha)が訪花していました。 
翅を開閉しながら、口吻を伸ばして吸蜜しています。 
少し飛んで隣の花序へ移動すると、吸蜜を続けます。 

クジャクチョウは今季初見です。 
越冬明けの個体のはずなのに、翅が無傷で目の覚めるほどきれいな個体でした。 
黒っぽい翅裏は地味ですが、翅表には芸者の着物になぞらえるほど豪華絢爛な美しい目玉模様(眼状紋)があり、子供の頃から何度見ても胸が踊ります。 

クジャクチョウは北方系の蝶なので、地球温暖化がこのまま進行すると、平地では年々個体数が減って見られなくなり、「高山蝶」になりそうです。 

撮影中はクジャクチョウを注視していて全く気づかなかったのですが、ツヤハナバチの一種も一緒に訪花していました。 
撮影地は平地なので、山地性のキオビツヤハナバチCeratina flavipes)ではなく、おそらくヤマトツヤハナバチCeratina japonica)と思われます。 
小さな蜂が飛来しても、吸蜜中のクジャクチョウは気にしませんでした。 

クジャクチョウがアサツキの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:33〜) 
先を急ぐ用事のあった私は、待ち切れずに左足で蹴る素振りをして強制的に飛び立たせました。 
同じ花序に訪花していたツヤハナバチは、その前後に(自発的に)飛び去りました。 


クジャクチョウが訪花していた植物名を、私はてっきりニンニクが野生化したのかと初めは思い込んでいました。 
この薄いピンク色のネギ坊主のような花をあちこちの道端などで結構よく見かけます。 
(ムラサキツメクサの花にもちょっと似ています。)
どうも違和感を覚えて再検討すると、アサツキと判明。
細長い葉は、青ネギのように筒状でした。

2026/06/13

ニホンカモシカは水路橋を渡るか?

 

2025年8月中旬・午後12:20頃・晴れ 

山麓で遭遇したニホンカモシカ♂(Capricornis crispus)をこっそり追跡して来たら、水路橋のたもとまでたどり着きました。 
どうやらカモシカにとっては歩き慣れた道のようで、コンクリートの土台をひょいと登りました。 
カモシカはコンクリートの階段を降りて水路橋へ侵入し、姿が見えなくなりました。 

深い谷を跨ぐ水路橋を渡っているカモシカをどうしても撮りたかった私が急ぎ足で近づいたら、カモシカに気づかれてしまいました。 
カモシカは幅の狭い水路橋を渡り始めた地点で振り返り、私を凝視しています。 
濡れた鼻腔がひくひく動き、私の体臭を嗅ぎ取ろうとしています。 
ねじった首が疲れたのか、今度は逆から振り返って私を見つめています。 
正面から見たニホンカモシカの顔は、眼下腺が腫脹して眠そうな目つきでした。 
この個体の耳や角に分かりやすい特徴はありませんでした。 
角がやや細いので、若い♂個体かもしれません。 

明らかに私を警戒して水路橋を渡る気が失せ、引き返して来ました。 
再びコンクリートの階段を少し登りかけて、私と対峙しました。 
このとき私は強引に近づいて、カモシカを追い出すように水路橋を再び渡らせようと考えたのですが、作戦失敗です。 
野生動物はなかなか思い通りに動いてくれません。 

カモシカが階段を登りきったときに、後傾姿勢になり、下腹部にピンクの陰茎(亀頭?)が見えました!(赤丸@3:52〜4:00) 
(まさかピンクの「でべそ」ではないですよね?) 
ニホンカモシカの外性器はいつも毛で隠れているために、性別を野外で見分けるのはとても難しいのです。
♂の陰茎は初見かもしれません。 
今回の個体は、冒頭で歩き去るカモシカの後ろ姿で股間に陰嚢が見えたので、♂だと分かっていました。 

私に邪魔されて水路橋を渡るのを諦めたカモシカ♂は、谷沿いの崖を登りはじめました。 
どうやらそこも通い慣れた獣道になっているようです。 
再び私を振り返って、ペロペロと舌なめずりしました。 
手前に蚊柱(ユスリカの群飛)が立っています。 
崖に佇むカモシカ♂は、皮膚をピクピク動かしたり、尻尾を振ったりして、しつこく体につきまとう吸血昆虫(ヤブ蚊など)を追い払っています。 

急斜面に生えたミズナラ幼木の葉裏の匂いを嗅いでから、顔を擦りつけて眼下腺からの分泌物で匂い付けをしました。(@4:35〜) 
私が見ている前で、やんわりと縄張り宣言のマーキングをしたことになります。 
この後カモシカ♂は、さらに崖をよじ登って藪の中に姿を消しました。 

今回出会った個体♂は、一度も鼻息を荒らげて私を威嚇することはありませんでした。 


【考察】 
水路橋を渡るカモシカのスクープ映像が撮れなかったのは、残念でした。 
欲を出して焦った私の立ち回りが色々とまずかったようで、反省です。 
フィールドでは変な欲を出さずに無心で野生動物を追跡・観察・撮影するのが一番ですね。

それでも、野生ニホンカモシカ♂の外性器(陰茎)をちらっと観察できたのは、大きな収穫でした。
排尿姿勢になった時に陰茎や尿道口が解剖学的にどこにあるのか、これで分かりました。
カモシカの♂は立ち止まったままで(腰を落とさず)排尿し、小便は亀頭の尿道口から前方に飛びます。



ニホンカモシカは水路橋を渡るか?とタイトルに掲げた問題を追求するためには、橋の袂に無人の監視カメラを設置して証拠映像を撮るのが一番です。
運用しているトレイルカメラの数が限られているため、なかなか手が回りません。
ちなみに、ニホンザルの群れが水路橋を我が物顔で渡る様子は、何度も直接観察しています。

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