2025年5月上旬〜中旬
シーン0:5/7・午後(@0:00〜)
郊外の道端で鳥の雛が路上に落ちて死んでいました。
一部の羽根が青かったのでオナガの雛と迷ったのですが、喉が黒かったので、おそらくハシボソガラス(Corvus corone)の雛だと思います。 (念のためにGoogleレンズで写真鑑定してもらいました。)
嘴をしっかり閉じて死んでいるため、カラス雛の口内が赤いことを確認できませんでした。 (カラス成鳥は口内が黒になる。)
電柱に架けられたカラスの巣を撤去・駆除する際に、雛が落ちてしまったのでしょうか?
しかし、カラスの巣の撤去を依頼されても、巣内に卵や雛が居た場合には、基本的に撤去作業を強行しないはずです。
鳥獣保護管理法で守られているからです。
それとも、巣内で死んだ雛を親鳥が巣外に捨てたのでしょうか?
巣内で死んだカラスの雛を親鳥が食べたり、他の雛に給餌したりすることはないらしく、死骸を巣の外に捨てるらしい。
真上の電柱にカラスの巣があるかどうか確認すべきだったのに、こんな街なかで営巣しているはずがないと思い込んでいた私は見上げませんでした。
(たとえカラスの巣が電柱の上に無かったとしても、電力会社が撤去した直後かもしれません。)
実は翌年、同じ(または隣の)電柱に営巣するハシボソガラスを観察しています。
この近所で他にカラスの営巣地として心当たりがあるのは、高圧線の送電塔です。
猛禽などの捕食者がカラスの巣を襲い、雛をさらってくる途中で落としてしまった可能性もありそうです。
死んでいるとは言え、カラスの雛の実物を見るのは初めてです。
この個体は羽根がまだ生え揃っていません(水色の羽鞘が見えます)。
採集時に死骸を持ち上げてみたら意外に重かったので、カラスの親鳥が巣外に捨てるにしても、咥えて運ぶのは大変そうです。
したがって、巣から遠くに運んで捨てたとは思えません。
写真に撮ってから死骸を採集しました。
一度は立ち去りかけたものの、ビニール袋を持参していたことを思い出し、それを手袋代わりにして死骸を素早く回収しました。
死骸が横たわっていた舗装路は体液で湿っていて、微小なアリ(種名不詳)が数匹群がっていました。
死臭を嗅ぎつけたハエ類などはまだ来ていませんでした。
死後硬直もなかったので、死んでからそれほど時間が経っていないようです。
持ち帰った死骸をとりあえず冷凍保存しました。
剖検して死因を調べるか、頭骨標本を作るか、タヌキに給餌するか、使い道を考えます。
 |
| 15cm定規を並べて置いた。 |
シーン1:5/9・午後・晴れ(@0:12〜)
前回の成功に味をしめて、ハシボソガラスの雛の死骸もホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)に給餌することにしました。
2日後に、冷凍庫から取り出したカラス雛の死骸を、スギ防風林にあるタヌキの溜め糞場wbcまで持参しました。
死骸は不自然な体勢で曲がったまま凍っていました。
ゴム手袋をしてから、まだ完全に解凍されていない死骸をじっくり見ると、総排泄孔が大きいことにちょっと驚きました。
青い羽鞘の先から黒い羽根が生えかけています。
死骸をただ林床に置くのではなく、溜め糞の横にある灌木(樹種不明:落葉性広葉樹)に針金で頸部を固定してぶら下げました。
前回の反省を活かして、スカベンジャーが死骸を監視カメラの前からすぐに持ち去れないように工夫したつもりです。
カラス雛の死骸を常温解凍しても、私の嗅覚ではほぼ無臭でした。
しかし、かすかな死臭を敏感に嗅ぎつけたハエ類(キンバエ、クロバエ)がすぐに飛んできて頭部に群がり、吸汁し始めました。
ハエ♀が産卵しても死骸がまだ凍っているため、ウジ虫(ハエの幼虫)の孵化を遅らせることができそうです。
果たしてタヌキはカラス雛の死骸を巣穴に持ち帰って母親♀に給餌するでしょうか?
予想では、繁殖期に巣穴で出産・授乳・育児する母親♀にせっせと餌を運んできて与えるのは父親♂やヘルパー♀(娘)の仕事です。
シーン1:5/13・午前2:06・気温8℃(@1:53〜)
今回の給餌実験は、残念ながら全然私の思い通りにはいきませんでした。
監視カメラが不調だったのか、4日後の深夜未明までろくに起動しませんでした。
すでにカラス雛の死骸は何者かにほとんど持ち去られた後で、頭部しか残っていませんでした。
ホンドタヌキの両目失明個体(ヘルパー♀)が死骸をぶら下げておいた真下の落ち葉の匂いを嗅ぎ回っています。
カラス雛の死骸から垂れた体液(ドリップ)の死臭が残っているのでしょう。
針金でぶら下げられたカラス雛の頭部を嗅ぎ当てると、恐る恐る咥えて引っ張り、手前の林床に落としました。
発見が遅れたせいで、死骸(の頭部)はかなり腐敗しているはずです。
タヌキが腐肉を食べる前に1分間の録画時間が終わってしまいました。
シーン2:5/13・午前2:21・気温9℃(@2:21〜)
14分後も両目失明個体が同じ場所に留まり、のんびり座って体を掻いていました。
すぐ横には親ダヌキと思われる別個体が居ます。
結局、誰がカラス雛の死骸を食べたのか、証拠映像が撮れませんでした。
どうやら死骸を監視カメラの画角から外れた位置に持ち去ってから食べたようです。
今回も両目を失明したヘルパー♀はせっかく見つけた死骸を食べられず、両親のどちらかが横取りして食べたのでしょうか?
親子2頭が溜め糞場WBCに並んで一緒に大小便の排泄を始めました。
そこへ3頭目の個体が現れ、合流しました。(@3:34〜)
(溜め糞場wbcで3頭の家族群が揃ったことになります。)
シーン3:5/13・午前2:22(@3:53〜)
最後に来た殿の個体(両目が健常の親ダヌキ)も排便を済ませると、獣道を右へ向かい、スギの木の根本で待っていた両目失明個体と合流しました。
シーン4:5/13・午前2:24(@4:23〜)
左から来たタヌキが溜め糞を素通りして、右のスギの根本に座っていた個体と合流しました。
このときキュン♪と小声で鳴きました。(@4:31〜)
タヌキの鳴き声にしては初めて聞くレパートリーです。
2頭が相互毛繕いしているようですが、よく見えません。
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画の一部は編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。
シーン5:5/21・午前11:24・晴れ・気温30℃(@4:38〜)
8日後の昼間にたまたま撮れた現場の様子です。
【考察】
残念ながら、今回の死骸給餌実験は失敗に終わりました。
今回の撮影アングルでは、もしもタヌキが手前から奥に歩いて来てそのまま死骸に食いついた場合、トレイルカメラのPIRセンサーは反応しにくいことが仕様上予想されます。
撮り漏らしをなくすためには、トレイルカメラをもう1台別のアングルで設置するべきでしたね。
これで懲りずに、次の死骸を探すことにします。
くれぐれも、人目につかない場所でやりましょう。
とくに今回は給餌方法の見栄えがよくないです。
死んだ雛の首に針金を巻き付けてぶら下げたので、もしも誰かが給餌現場に通りかかって見つけたら、違法な罠を設置したのか?とか、生きたまま鳥の雛を吊り下げて野生動物をおびき寄せようとしているのか(動物虐待)?などと誤解されて通報されそうです。
いざというときに「私が鳥の雛を殺した訳ではない」と申開きができるように、死骸を見つけたときの証拠写真を残しておく必要があります。
つづく→