2026/09/21

二次林の旧営巣地に出没して古い巣穴を試掘するニホンアナグマ:5月上旬〜中旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年5月上旬〜中旬 

シーン0:5/7(@0:00〜) 
二次林で以前ニホンアナグマMeles anakuma)が掘った営巣地(セット)を2台の自動撮影カメラで見張っています。 
この営巣地を最近主に利用しているのはホンドタヌキなのですが、春になってアナグマの出没が増えたので、旧営巣地を再び乗っ取るのかどうか注目しています。 

シーン1:5/8(@0:07〜) 
晩に来たアナグマが巣穴Lを掘って拡張しています。 
獣道にスクワットマーキングしながら立ち去りました。 

シーン2:5/10(@1:20〜) 
2日後の深夜。 
アナグマがセットから左に立ち去ってしばらくすると、右から現れました。 
同一個体がぐるっと一回りしてきたのでしょうか? 
(別個体の可能性もあります。) 
巣口Lを点検してから左に向かいます。 

シーン3:5/12(@1:44〜) 
2日後の晩に右から来たアナグマが、巣口Rの横を素通りして左の林内へ向かいました。 

シーン4:5/17(@1:55〜) 
5日後の夜更けに来て巣口Lに入りました。 
巣穴Lを少し試掘したようですが、このアングルではよく見えません。 
(別アングルの監視カメラには撮れていませんでした。) 
再び外に出てきた際に、体毛が黒土で汚れていました。 
巣口Rの横を素通りして左奥の林内へ。 

シーン5:5/20(@2:39〜) 
3日後も晩遅くに登場してセットをうろついています。 

シーン6:5/21(@3:03〜) 
翌日、明るい昼間にたまたま撮れたセットの様子です。 
初夏の二次林で灌木マルバゴマキの若葉が大きく広がっています。


【考察】 
この時期のアナグマは、巣穴Lを少し掘ったものの、本格的に巣穴Lを整備して住み着くつもりはなさそうです。 
タヌキが出入りするもう一つの巣穴Rには遠慮してアナグマは侵入しませんでした。 


つづく→

ホオノキの樹上で巨大な集合果をこじ開けて種子を食べるハシブトガラス(野鳥)種子散布

 

2026年9月上旬・午後15:40頃・くもり 

川沿いの住宅地を散歩していたら、廃屋の裏庭で高木の枝葉が不自然に揺れているのが気になりました。 
少し遠かったのでカメラでズームインして見ると、少なくとも2羽のハシブトガラスCorvus macrorhynchos)がホオノキで食事中でした。 
カーカー♪という、ハシブトガラス特有の澄んだ鳴き声も聞こえます。 

ハシブトガラスは、ホオノキの赤くて細長い集合果を太い嘴でこじ開けると、赤い種皮に包まれた種子をひと粒ずつ飲み込みました。 

カラスが袋果を摘み出すときに、まるで納豆が糸を引くように粘液が長く伸びるのが面白く思いました。 
てっきりカラスが唾液を垂らしているのかと撮影中は思ったのですけど、そうではなくて、ホオノキの種子を保護する分泌物なのだそうです。 
食事中のカラスが嘴に付着した粘液を拭き取る仕草が見られなかったのが不思議です。 
次に機会があれば、私も自分でホオノキの集合果を分解して、粘液または糸の存在を確かめてみるつもりです。 

このハシブトガラス個体は、頭部の羽毛が抜け落ちて剥げています。 
病的な症状なのかと心配したのですが、ちょうど羽根が生え変わる時期(換羽中)なのだそうです。 
口内が黒いので、成鳥でした。 

ホオノキの種子をいくつも食べて満足したのか、ハシブトガラスはホオノキから飛び去りました。 

カメラを上にパンすると、ホオノキの樹冠部で別個体のハシブトガラスが留まっていました。 
この個体は、カメラを向ける私に対して警戒心が強く、ホオノキの大きな葉の陰に隠れてしまいます。 
隣の横枝に移動して、羽繕いを始めました。 
この個体は頭部が剥げていません。 
もう採食シーンを見せてくれそうにないので、撮影を打ち切りました。 




【考察】 
ホオノキの袋果や種子を食べる生き物を観察したのは、これが2例目です。
関連記事(11年前の撮影)▶ ホオノキの果実を採食するニホンザル

カラスが丸呑みしたホオノキの種子は未消化のまま糞と一緒に遠くで排泄されます。 
したがって、ハシブトガラスはホオノキの種子散布に貢献していることになります。 
ホオノキの種子散布は、鳥による被食型の動物散布です。 
カラスはホオノキの種子を丸ごと飲み込んでいましたけど、種子捕食者ではなくて、種子を包んでいる薄い果肉が目当てなのです。 

今回ホオノキの種子を食べていたカラスが、太くて頑丈な嘴をもつ森林性のハシブトガラスだったのは、重要なポイントかもしれません。 
非力なハシボソガラスはホオノキの集合果をこじ開けて種子を食べることができないのか、そもそも平原性のハシボソガラスはホオノキが自生する山林に行かないのかもしれません。 

植物の世界―ナチュラルヒストリーへの招待〈第2号〉 (Newton special issue)』という本にホオノキの生活史について詳しく書いてあったことを思い出して、久しぶりに紐解いてみました。
 ホオノキの果実は多数の雌しべが集まったもので、集合果とよばれる。種子を包んでいるがんじょうな果皮は心皮が木質化してかたくなったものである。果皮が裂けると種子が赤く色づき、種子を運んでくれる鳥たちに信号を送る。しかし果皮は裂開してもなお種子をしっかりと包みこんでおり、種子をついばむことができるのは大きくて強いくちばしをもつ鳥だけである。 
 アカゲラなどのキツツキの仲間は(中略)秋にはホオノキの種子をついばみに訪れる。(中略)種子は吐きもどされるか、またはふんにまじって散布される。 
 しかし、親木の近くでホオノキの実生がみつかるほとはほとんどない。ホオノキの種子は木を切り倒した跡などの開けた場所で発芽する。発芽のチャンスがめぐってくるまで、土の下で何年も待ちつづけるものと考えられる。またアカゲラは親木からはなれた場所に種子を運び、発芽のチャンスを大きくしてくれているのである。 (p38より引用)
このムック本では、アカゲラというキツツキの仲間がまさにホオノキの種子を食べる様子を見事な精密画で描いていましたが、種子散布者としてカラスへの言及はありませんでした。 


かなり面白いテーマなので、Perplexity AIに色々と相談してみました。 

Q1: ホオノキの種子は粘液に包まれているのか?

A1: ホオノキの種子は、粘液というより肉質の仮種皮(赤い部分)とその下の白い果肉質の中層に包まれていますが、これが「粘い液」のように見える・感じられる場合があります。 ameblo

種子の構造と「粘液」の正体

ホオノキの種子は、以下のような多層構造になっています。 pianix.exblog

  • 外層(仮種皮): 朱色~赤色で、鳥を惹きつける目立つ色。 hro.or
  • 中層: 肉質で白っぽく、果肉状。鳥が食べる部分。 poohchan-cute
  • 内層: 黒褐色で堅い、実際の胚を含む種子本体。 poohchan-cute

この肉質の中層部が、熟した果実から種子が現れる際に、粘り気のある液のように見えることがあります。 ameblo

現場観察での「粘い液」

ある観察記録では、次のように記されています。 ameblo

「ホオノキの実は15cmぐらいの集合袋の中に赤い実が入っていて、実が落ちるときに粘い液をつけてぶら下がっているのを見ました。」 ameblo

これは、肉質の仮種皮・中層が熟して柔らかくなり、糸状の珠柄(白い糸)でぶら下がっている状態が、粘液に包まれているように見えるためと考えられます。 ameblo

種子散布の仕組み

この赤い仮種皮と白い肉質部は、鳥類による種子散布を促すための適応です。 poohchan-cute

  • キツツキ、ヒヨドリ、メジロ、シジュウカラ、ヤマガラなどが赤い種子に惹かれて果肉質の中層を食べる。 poohchan-cute
  • 堅い内層(胚を含む黒褐色の部分)は消化されず、糞とともに排泄されて広範囲に散布される。 poohchan-cute

結論

ホオノキの種子は、粘液そのものに包まれているわけではありませんが、肉質で柔らかい仮種皮・中層が熟すと、粘り気のある液状に見えることがあります。 これは、鳥による種子散布を促すための適応構造の一部です。 ameblo

 


Q2: ハシブトガラスがホオノキの実を採食する様子を観察していたら、種子を咥えながら嘴から粘液をだらっと垂らしたのです。この粘液はカラスの唾液ではなくて、ホオノキの果実に由来する成分ですよね?

A2: はい、その粘液はカラスの唾液ではなく、ホオノキの果実(種子の仮種皮・中層)に由来する成分である可能性が極めて高いです。

根拠

1. ホオノキ種子の構造

ホオノキの種子は、以下のような多層構造になっており、肉質の仮種皮と中層が鳥に食べられる部分です。

  • 外層(仮種皮): 朱色~赤色で、鳥を惹きつける目立つ色。
  • 中層: 肉質で白っぽく、果肉状。鳥が食べる部分。
  • 内層: 黒褐色で堅い、実際の胚を含む種子本体。

この肉質の中層部が、熟した果実から種子が現れる際に、粘り気のある液のように見えることがあります。

2. 現場観察での「粘い液」

ある観察記録では、次のように記されています。

「ホオノキの実は15cmぐらいの集合袋の中に赤い実が入っていて、実が落ちるときに粘い液をつけてぶら下がっているのを見ました。」

これは、肉質の仮種皮・中層が熟して柔らかくなり、糸状の珠柄(白い糸)でぶら下がっている状態が、粘液に包まれているように見えるためと考えられます。

3. カラスの採食行動

ハシブトガラスは、ホオノキの赤い仮種皮と肉質の中層を咥えて食べる際、果肉質の部分が嘴から垂れる様子が観察されます。 これは、カラスが種子本体(堅い内層)を残して、柔らかい肉質部だけを摂取しようとする行動の一部です。

結論

あなたが観察した「嘴からだらっと垂れた粘液」は、ホオノキの種子の仮種皮・中層に含まれる肉質で粘性のある成分であると考えられます。 カラスの唾液ではなく、果実自体の構造に由来するものです。


Q3: 撮れた動画を見直すと、カラスがホオノキの種子を摘み出したときに、まるで納豆が糸を引くように、種子からも白っぽい粘液が長く糸を引いていることがあった。確かにカラスの唾液ではなさそうです。


A3: その観察は非常に貴重です!「納豆が糸を引くように」白っぽい粘液が長く糸を引くという現象は、ホオノキの種子が粘液(mucilage)を分泌することを示す直接的な証拠ですね。[pmc.ncbi.nlm.nih][biorxiv][uv][mdpi]

植物の種子粘液(mucilage)

粘液の性質

多くの植物の種子は、水に触れると多糖類(pectins, cellulose, hemicelluloses)からなる粘液を分泌します。[pmc.ncbi.nlm.nih][biorxiv][mdpi]

"Seed and fruit mucilage is composed of three types of polysaccharides—pectins, cellulose, and hemicelluloses—and demonstrates adhesive properties after hydration."[pmc.ncbi.nlm.nih]

"When wetted, the seed coat swells into a viscid mass; when dried, the mucilage strands strongly cement the seed to whatever it is in contact with."[biorxiv]

粘液の機能

種子粘液には、以下のような生態学的機能があります。[pmc.ncbi.nlm.nih][uv][mdpi][biorxiv][botany]

  1. 種子の固定: 粘液が乾燥すると、種子を基質に強く接着させる[biorxiv][uv][biorxiv]
  2. 発芽促進: 水分を保持し、発芽に適した微小環境を作る[pmc.ncbi.nlm.nih][mdpi]
  3. 捕食者からの保護: 粘液が種子を地面に固定することで、アリなどの種子捕食者から逃れる[botany][functionalecologists]
  4. 動物散布(zoochory): 湿った粘液が粘性を示し、動物の嘴や消化管に付着しやすくする[biorxiv]

    "Wet mucilage is still sticky, which may be important for zoochorous dispersal."[biorxiv]

ホオノキ種子の粘液

仮種皮・中層の構造

ホオノキの種子は、以下のような多層構造になっており、肉質の仮種皮と中層が粘液を分泌する可能性があります。

  • 外層(仮種皮): 朱色~赤色で、鳥を惹きつける目立つ色
  • 中層: 肉質で白っぽく、果肉状。鳥が食べる部分
  • 内層: 黒褐色で堅い、実際の胚を含む種子本体

「納豆のように糸を引く」現象

あなたが観察した「納豆が糸を引くように」白っぽい粘液が長く糸を引く現象は、種子の仮種皮・中層に含まれる多糖類が、唾液や水分と反応して粘性を示したと考えられます。

これは、以下の理由からカラスの唾液ではなく、種子由来の粘液である可能性が極めて高いです。

  1. 時期: 9月上旬はホオノキの種子が熟し、仮種皮が柔らかくなる時期
  2. 外見: 白っぽい粘液が「糸を引く」様子は、植物の種子粘液(mucilage)の典型的な性質[pmc.ncbi.nlm.nih][biorxiv][mdpi]
  3. 機能: 粘液が粘性を示すことで、鳥の嘴に付着しやすく、種子散布に貢献している可能性[biorxiv]

結論

あなたが動画で観察した「納豆が糸を引くように」白っぽい粘液が長く糸を引く現象は、ホオノキの種子の仮種皮・中層から分泌された粘液(mucilage)である可能性が極めて高いです。[pmc.ncbi.nlm.nih][biorxiv][mdpi]

これは、種子散布のための適応として機能している可能性があります。 粘液が粘性を示すことで、カラスの嘴に付着しやすく、種子が運ばれやすくなっているのかもしれません。[biorxiv][botany]


Q4: ホオノキの種子散布の様式は、鳥による被食型の動物散布か?


A4:はい、ホオノキの種子散布は、**鳥による被食型の動物散布(endozoochory)**です。 pmc.ncbi.nlm.nih

証拠と特徴

1. 種子の構造が被食散布に適応

ホオノキの種子は、典型的な被食散布(endozoochory)適応を示しています。 pmc.ncbi.nlm.nih

  • 仮種皮(sarcotesta): 肉質で赤色、鳥を惹きつける pmc.ncbi.nlm.nih
  • 種皮内層(sclerotesta): 堅く木質で、消化管通過から胚を保護 pmc.ncbi.nlm.nih

"Magnolia seeds exhibit typical endozoochory. The seed coats have sarcotestas and sclerotestas." pmc.ncbi.nlm.nih

2. 鳥類による採食の記録

複数の研究で、ホオノキの種子が鳥に食べられることが確認されています。 pubmed.ncbi.nlm.nih

  • 長距離種子散布: 鳥類による長距離散布が、遺伝子流動の主要原因とされる pubmed.ncbi.nlm.nih
  • 採食鳥種: マグノリア属の種子を食べる鳥は9種記録され、ツグミ類が重要な消費者 tandfonline

3. 消化管通過による発芽促進

鳥の消化管を通過することで、仮種皮が除去され、発芽率が向上します。 tandfonline

"Without the removal of the sarcotesta, magnolia seeds do not germinate at all." tandfonline

これは、被食散布の典型的な特徴です。 hro.or

被食散布の定義

動物被食散布(endozoochory): 動物に食べられることによって運ばれ、糞と共に排出されるもの。 hro.or

ホオノキの場合:

  • 鳥が赤い仮種皮と肉質の中層を食べる tandfonline
  • 堅い内層(胚を含む)は消化されず、糞とともに排泄される pmc.ncbi.nlm.nih
  • 仮種皮が除去されることで発芽が促進される tandfonline

結論

ホオノキの種子散布は、**鳥による被食型の動物散布(endozoochory)**に明確に分類されます。 赤い仮種皮と堅い種皮という構造は、この散布様式への典型的な適応です。 pmc.ncbi.nlm.nih


Q5:ホオノキの種子を丸呑みにした鳥は、消化できない種子を糞と一緒に排泄するというのが、種子散布のストーリーです。ペリットとして吐き出すことはないのか?

A5: はい、ペリットとして吐き出される可能性はあります。ただし、ホオノキについて「鳥が種子をペリットで排出した」と直接確認した資料は、今回確認できた範囲では見当たりません。したがって、現時点では「起こり得るが、ホオノキで実証済みとは言えない」というのが正確です。

糞とペリットの違い

鳥の種子散布には、少なくとも二つの経路があります。

  • 糞として排出: 種子が消化管を通過し、果肉などが消化された後に排泄される。
  • ペリットとして吐き戻し: 消化できない物質が、砂嚢から食道を逆流して口から吐き出される。 digital-museum.hiroshima-u.ac

種子を含むペリットは、猛禽類だけのものではありません。ムクドリやヒタキ類などが、種子をペリットとして吐き出す観察例もあります。 鳥類では、比較的大きな種子はペリット、小さな種子は糞に入りやすいという可能性も指摘されていますが、これは鳥種や種子の大きさ、果実の食べ方によって変わります。 hirahaku

ホオノキの場合

ホオノキの種子は、赤い仮種皮に包まれた後、黒っぽい硬い種皮をもつ比較的大きな種子です。そのため、カラスが丸ごと飲み込んだ場合、次の二つの経路が考えられます。

  1. 種子が消化管を通過し、糞と一緒に排出される。
  2. 硬い種子が砂嚢などに残り、ペリットとして吐き戻される。

ただし、ハシブトガラスは雑食性で、採食物を一律にペリット化する鳥ではありません。種子の大きさ、硬さ、仮種皮の残り具合、飲み込んだ量、消化管内での滞留時間などによって、糞と吐き戻しのどちらになるかが変わると考えられます。カラス類の種子散布研究でも、糞とペリットでは種子散布距離や含まれる種子の特徴が異なる可能性が議論されています。 esj.ne


結論として、ホオノキの種子がペリットとして吐き出される可能性は十分あります。しかし、今回の「種子から白い粘液が長く糸を引いた」現象自体は、ペリットではなく、採食時に残った仮種皮・果肉質部、あるいは種子表面の粘質物が伸びたものと考えるのが自然です。


Q6: 鳥がペリットで吐き出した種子の発芽能力はどうなっているか? 消化管を通過して種皮が傷つくことが発芽に必須なのか? 


A6:はい、ペリットで吐き出された種子でも、発芽能力を保っていることが多いです。むしろ、糞として長時間消化管を通過した種子より、ペリットとして比較的早く吐き戻された種子のほうが、発芽率が高い場合さえあります。 sora.unm

ペリット種子の発芽能力

ペリットは、種子が鳥の消化管を通過して完全に分解されたものではなく、砂嚢や胃に残った不消化物を比較的短時間で吐き出したものです。そのため、種子が生きていれば発芽できます。

実際、鳥に摂食された種子について、胃内容物・吐き戻し試料の発芽率が糞中の種子より高かった研究があります。 また、ハワイの在来植物を対象にした研究でも、糞として排出された種子とペリットとして吐き出された種子の双方で、未摂食の種子と同等またはそれ以上の発芽が確認されています。 sora.unm

種皮の傷は必須か

必須ではありません。 種皮が傷つくことは発芽を促進する場合がありますが、すべての植物で必要なわけではありません。

鳥の消化管によって起こり得る作用は、主に次の三つです。

  • 果肉や仮種皮の除去。
  • 種皮表面の軽い擦過・傷つき。
  • 胃液や消化液による化学的な処理。

このうち、種皮の擦過によって吸水性が高まり、発芽が速くなったり発芽率が上がったりする種があります。一方、種によって反応は異なり、鳥を通過しても発芽率がほとんど変わらない種や、強い消化作用で逆に損傷する種もあります。 journals.plos

特に重要なのは、種皮を傷つけることと、種子を殺さずに保護構造を維持することのバランスです。実験では、人工的に傷をつけた種子は、未処理種子より消化液や腸内環境に弱くなる場合もありました。 journals.plos

ホオノキではどうか

ホオノキ属では、鳥が赤い仮種皮(sarcotesta)を除去し、消化管を通過させることで発芽が促進されることが報告されています。 ホオノキの種子で重要なのは、必ずしも「硬い種皮に穴を開けること」ではなく、まず赤い仮種皮や粘質・果肉質の部分を除去することです。 coalicionfloresta

つまり、ホオノキでは次のように整理するのがよいでしょう。

処理発芽への意味
仮種皮が付いたまま発芽抑制や吸水阻害が起こり得る
ペリットで吐き出す仮種皮除去と軽い物理的処理により発芽可能性が高まる可能性
糞として排出仮種皮除去の効果に加え、消化管通過の影響を受ける
強い擦過・長時間消化胚を傷め、発芽率を下げる可能性

ただし、ホオノキ(Magnolia obovata)の種子が、ハシブトガラスのペリットで吐き出された場合の発芽率を直接測定した研究は、今回確認できませんでした。したがって、「ペリット種子は必ず糞中の種子より発芽率が高い」とまでは断定できません。

観察上の重要な点

ホオノキの種子では、カラスが次のどの段階で種子を排出したかが重要です。

  • 赤い仮種皮だけを嘴で取り除いて吐き出した。
  • 種子を一度飲み込み、短時間後にペリットとして吐いた。
  • 長時間後に、種子を糞とともに排出した。

最初の場合でも、仮種皮が除去されていれば、発芽に有利な前処理になり得ます。したがって、ペリットでなくても、カラスが種子を咥えて仮種皮を剥がし、地上へ落とすだけで、種子散布者として機能する可能性があります。

結論として、ペリットで吐き出されたホオノキ種子も生存して発芽できる可能性は高いが、種皮の傷つきは必須ではないと考えられます。ホオノキでは、種皮の物理的な傷よりも、赤い仮種皮・粘質部の除去が発芽に重要である可能性が高いです。 coalicionfloresta


Q7:哺乳類でホオノキの果実を食べる者はいないのか? 木に登るニホンザルやツキノワグマ、ホンドテン、ハクビシンなど

A7:はい、哺乳類もホオノキの果実を食べます。特にツキノワグマホンドテンが重要な消費者・種子散布者として記録されています。 jstage.jst.go

哺乳類による採食の記録

ツキノワグマ

ツキノワグマはホオノキの果実を採食することが確認されています。 jstage.jst.go

  • 重要な種子散布者: ツキノワグマとホンドテンが、主に長距離の種子散布を担う tuat.ac
  • 採食量: 1回の訪問当たりに採食する果実量が特に多い tuat.ac
  • 食痕: 調査区内のホオノキにツキノワグマの爪痕が数多く見つかった記録がある eco-museum

"ツキノワグマ(Takahashi et al. 2008; Koike et al. 2008a)やテン(Otani 2002)などの食肉目(Koike et al. 2008b)も日本では重要な種子散布者である。" jstage.jst.go

ホンドテン

ホンドテンもホオノキの果実を採食し、種子散布に貢献しています。 jstage.jst.go

  • 長距離散布: ツキノワグマと共に、長距離の種子散布を担う主要な哺乳類 tuat.ac
  • 食肉目: テン科のホンドテンは、果実食(frugivory)の傾向が強い pref.nagano.lg

ニホンザル

ニホンザルも果実食者(frugivore)として記録されていますが、ホオノキに特化した記録は少ないです。 tuat.ac

  • 雑食性: 植物の葉や果実・種子、樹皮・冬芽・昆虫・両生類・キノコなど、様々なものを採食 moonbearjourney
  • 種子散布者: 日本ではニホンザルも重要な種子散布者の一つ tuat.ac

ハクビシン

ハクビシンに関する直接的な記録は見つかりませんでした。ただし、ハクビシンは果実食性が強く、多くの樹木の果実を食べることが知られています。 pref.nagano.lg

哺乳類と鳥類の役割の違い

散布者 特徴 散布距離
鳥類 カラス、ツグミ類など 中〜長距離 pubmed.ncbi.nlm.nih
ツキノワグマ 1回の採食量が多い 長距離 tuat.ac
ホンドテン 果実食性が強い 長距離 tuat.ac
ニホンザル 雑食性だが果実も食べる 中距離 tuat.ac

結論

ホオノキの果実は、鳥類だけでなく、哺乳類(特にツキノワグマとホンドテン)にも食べられています。 これらの哺乳類は、鳥類と同様に被食型の種子散布(endozoochory)に貢献しており、特に長距離散布において重要な役割を果たしています。 jstage.jst.go

ただし、都市近郊ではカラスが主要な種子散布者となっているとの報告もあります。 pubmed.ncbi.nlm.nih


Q8:野生動物(哺乳類)の糞内容物調査でホオノキの種子が検出されたのか?

A8:はい、野生哺乳類の糞内容物調査でホオノキの種子が検出された記録があります。特にツキノワグマホンドテンの糞からホオノキ種子が確認されています。 tandfonline

糞内容物調査の記録

食肉目(ツキノワグマ、テンなど)による研究

Koike et al. (2008) の研究では、冷温帯落葉広葉樹林において、食肉目5種の糞から17植物種の種子が回収され、その中にホオノキ(Magnolia obovata)が含まれていました。 tandfonline

"Seeds from 17 plant species, representing about 50% of the fleshy-fruited plants occurring in the study forest, were recovered from the carnivore fecal samples." tandfonline

この研究で対象となった食肉目は:

  • ツキノワグマ (Ursus thibetanus)
  • ホンドテン (Martes melampus)
  • ニホンイタチ (Mustela itatsi)
  • ホンドキツネ (Vulpes vulpes)
  • タヌキ (Nyctereutes procyonoides)

糞中の種子の健全性

食肉目の糞から回収された種子は、**ほぼ完全に健全(intact)**であることが確認されています。 web.tuat.ac

"Almost all seeds within feces of both mustelids were intact." repository.kulib.kyoto-u.ac

"採食や消化過程においてこれらの食肉目は液果の種子をほとんど破壊しないことを明らかにしました。" web.tuat.ac

種子散布距離

森林総合研究所の研究(2016)では、糞内容物調査と酸素同位体比分析を組み合わせて、標高方向の種子散布距離を測定しました。 tenbou.nies.go

哺乳類 平均散布距離
ツキノワグマ 平均 307 m(標高の高い方向) tenbou.nies.go
ホンドテン 平均 193 m(標高の高い方向) tenbou.nies.go

糞に種子が含まれる割合

別の研究では、各哺乳類の糞のうち種子が含まれていた割合が報告されています。 foundation.tokyu.co

哺乳類 種子を含む糞の割合
ツキノワグマ 86.8% foundation.tokyu.co
ホンドテン 70.8% foundation.tokyu.co
アナグマ 57.8% foundation.tokyu.co
タヌキ 59.6% foundation.tokyu.co
キツネ 41.6% foundation.tokyu.co

結論

ホオノキの種子は、ツキノワグマとホンドテンの糞内容物調査で確実に検出されています。 これらの哺乳類は、種子をほとんど破壊せずに消化管を通過させ、長距離(平均 200–300 m)の種子散布に貢献しています。 tandfonline


Q9:ホオノキ種子を食べていたハシブトガラス個体(成鳥)は、頭部の羽毛が抜けていて少し剥げていた。この時期(9月上旬)は換羽中なのか? それとも病的な症状か?


A9:その個体の頭部の羽毛が抜けていたのは、9月上旬という時期から考えて、換羽(も羽)のピーク時の正常な現象である可能性が極めて高いです。 ja.wikipedia

ハシブトガラスの換羽時期

換羽のスケジュール

ハシブトガラスの換羽は、以下のようなスケジュールで進行します。 jstage.jst.go

項目 ハシブトガラス
換羽開始 6月上旬(雛の巣立ち後) jstage.jst.go
換羽終了 9月下旬〜10月上旬 jstage.jst.go
換羽期間 約110〜120日(初列風切羽) jstage.jst.go
ピーク 7月下旬〜9月 carasblog

9月上旬の換羽状態

9月上旬は、ハシブトガラスの換羽がピークを迎える時期です。 carasblog

"7月下旬からゆっくりと換羽が始まり、9月に入ってピークを迎えた。" carasblog

"彼らは例年、7月から9月下旬にかけて、ゆっくりと羽毛が生えかわっていく。" carasblog

"顔の周りの羽毛がごっそりと抜ける時期が換羽のピークである。" carasblog

頭部の脱羽

カラス類では、春〜初秋の換羽期間に頭部の脱羽が起こることが知られています。 akaitori3.web.fc2

"|頭部の脱羽|春〜初秋の換羽期間に起こる。カササギ類で特に多く、頭の全ての羽毛を一度に換羽。" akaitori3.web.fc2

また、換羽中のカラスでは、**頭部が「濡れたように見える」または「脂っぽく見える」**状態になることが報告されています。 reddit

"It seems they are shedding their feathers, which frequently results in a rather disheveled appearance." reddit

病的な症状との区別

換羽による正常な状態

  • 時期: 6月〜10月(特に7月〜9月) jstage.jst.go
  • 外見: 頭部の羽毛がまばら、または一部が剥げて見える carasblog
  • 行動: 正常に採食・飛行可能 note

病的な症状の可能性

以下のような場合は、病的な状態(寄生虫、感染症、栄養不良、ストレスによる自傷行動など)が疑われます。 ja.wikipedia

  • 時期外: 換羽期(6月〜10月)以外での脱羽
  • 広範囲: 頭部以外の広範囲で羽毛が抜けている
  • 行動異常: 採食・飛行に支障がある
  • ストレス: ストレスを受けると自然な換羽ではなく、自ら羽毛を引き抜く自傷行動がしばしばみられる ja.wikipedia

結論

あなたが9月上旬に観察した個体の頭部の羽毛が抜けていたのは、換羽のピーク時における正常な現象である可能性が極めて高いです。 特に「顔の周りの羽毛がごっそりと抜ける時期」が換羽のピークであり、頭部が剥げて見えることは珍しくありません。 jstage.jst.go

ただし、その個体が正常に採食・飛行できていれば、病的な症状ではなく、季節的な換羽の一部と判断してよいでしょう。 note



2026/09/20

ニラの花から花へ飛び回り吸蜜するヒメアカタテハ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2026年8月下旬・午前11:30頃・くもり 

道端に咲いたニラの群落で、ヒメアカタテハVanessa cardui)が訪花していました。 
意外にもこの組み合わせは初見です。 
半開きの翅を開閉しながら口吻を伸ばして花蜜を吸っています。

ヒメアカタテハがニラの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:40〜) 

コアオハナムグリGametis jucunda)も一緒に訪花していましたが、互いに没交渉でした。

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