2015/02/28

死んだヤマドリ♂(野鳥)に集まるミドリキンバエ



2014年10月上旬


▼前回の記事
カーブミラーに激突したヤマドリ♂(野鳥)の断末魔

私の目の前で絶命したヤマドリSyrmaticus soemmerringii)の亡骸を持ち帰り、とりあえず重量を量ってみると1,020gでした。
精密な秤ではないので、凡その目安です。



新鮮な死骸が天から突然降ってきた(落鳥)時にどうするか、ナチュラリストとしての総合的な実力が試されますね。

  • 生物分解の過程を定点観察する?
  • 解剖して胃内容物を調べる?
  • 剥製を作る? (細々とした道具を買い揃える必要がある。)
  • 骨格標本を作る? (首の骨が折れているのでは?)
  • 解体して肉を食べる?(ジビエ料理)


しかし構想が先走っても道具やノウハウが無かったり実力が伴わないのが実情です…。
大型の冷凍庫があれば解剖セットなどを買い揃えるまで待てるのですが、死骸が腐り始める前に決断しなければいけません。
死んだ翌日から死骸をひと気のない秘密の場所に隠し、屍肉食の昆虫(スカベンジャー)によって分解される様子を定点観察することに決めました。
開けた場所に置くと上空からカラスやトビなどに見つかりそうなので、クルミの樹の下を選びました。

ゴム手袋着用で検死の真似事をします。
ヤマドリの脚を掴んで持ち上げて全身を見せます。
次に死骸を地面に置き、翼を広げて見せます。
死後硬直していないようです。
尾羽が長いのは♂の特徴ですが、約40cmもありました(根元をどこから測れば良いか迷いました)。
足には蹴爪がありました。

私の鼻では未だ死臭を感じないのに、林床に死骸を置くと早速ミドリキンバエの仲間が群がり始めました。
ハエの性別が分からないのですが、歩き回りながら羽毛の表面を口吻で舐めています。

死骸を頑丈な檻に入れたり埋めたりしないと、タヌキなどの野生動物に食い荒らされたり丸ごと持ち去られたりしそうです。
理想を言えば赤外線監視カメラを仕掛けてみたいものです。
カメラトラップ(トレイルカメラ)が欲しい…。
死骸を持ち去られるリスクを考え、自分で頭骨の標本を作ることにしました。

「きれいな顔してるだろ。ウソみたいだろ。死んでるんだぜ。それで…ってウソ(Pyrrhula pyrrhula)ちゃうわ!ヤマドリ(Syrmaticus soemmerringii)や!」
と寒いノリツッコミをしながら現場で首を切り落とし、頭部だけ持ち帰りました。

つづく→頭骨標本作り




ユリズイセンの花蜜を吸うフタモンアシナガバチ♀@正当訪花



2014年7月中旬

川沿いの民家の庭に咲いたユリズイセン(=アルストロメリア)にフタモンアシナガバチPolistes chinensis antennalis)のワーカー♀が訪花していました。
花筒の奥に潜ったままなかなか出て来ませんが、吸蜜していると思われます。
この個体の採餌戦略は正当訪花のみで、見える範囲では盗蜜行動に切り替えることはありませんでした。


▼関連記事
ユリズイセンに訪花するフタモンアシナガバチ♀2つの採餌戦略(正当訪花/盗蜜)
フタモンアシナガバチ♀がユリズイセンの花で盗蜜!?


秋の刈田で採食するキジ♂(野鳥)



2014年11月中旬・午前10時前後

農道に佇むキジ♂(Phasianus versicolor)を見つけて、そっと後をつけました。
用水路を飛び越える際に軽くケーン♪と一声鳴きました。(@0:40)※※
少しだけ飛ぶということが出来ないのか、結構な距離を飛んで隣の農地に着地しました。
いつ見てもキジ科の鳥は飛翔能力が不器用な印象です。
いずれにせよ、どうやら私に気付いた雄雉が警戒して逃げ出したようです。

その後は稲刈りの済んだ田んぼ(刈田)を歩きながら何か食べ物を啄んでいます。

イネの落ち穂を食べに来たのでしょうか。
どんどん遠ざかるので、私も追いかけて撮影を続けます。
こちらは用水路沿いの農道を歩くため、常に水音が手前から聞こえます。
キジ♂は田んぼを横切り畦道に登ると辺りを見渡しました。
最後は林縁の草むら(枯れ草)に姿を消しました。
奥に見えるのは杉林です。

※ 望遠レンズで撮ったやや不鮮明な映像をYouTube上で編集する際に自動色調補正を施してあります。



※※ キジ♂の飛び立ちの鳴き声を声紋解析してみる

いつものようにオリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてから鳴き声+羽ばたきの部分を切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
素人目には縄張り宣言の母衣打ちとの違いは、最後に飛ぶ飛ばないという点だけですけど、声紋上でも似ていますかね?


▼関連記事キジ♂の縄張り宣言と母衣打ち♪を声紋解析してみる【野鳥】


2015/02/27

松葉が気になるクロスズメバチの仲間♂



2014年10月下旬〜11月上旬

里山の尾根道に沿って生えたアカマツの灌木でクロスズメバチの一種(あるいはホオナガスズメバチの一種である可能性もあります)が松葉の辺りで何匹も探索飛翔していました。
なぜか見かけるのは触角の長い雄蜂ばかりでした。
松葉で獲物を狩るシーンは一度も見ていません。

おそらくアブラムシの甘露が付いた松葉を探して飛び回っているのでしょう。
実際に松葉を舐めていたかどうかという点が一番気になるのですが、忙しなく飛び回る上に逆光で撮りにくく、いまいちよく分かりませんでした。

▼関連記事
松葉を舐めるシダクロスズメバチ♂の謎
この時期の2回にわたり(1週間間隔)場所も変えて複数個体を撮影しました。
蜂の採集に失敗し、残念ながら同定できていません。
この不思議な行動は偶発的なものではなく毎年繰り返される(再現性がある)という確証を得たので、個人的にはささやかながらも重要な発見として記録しておきます。
それにしても、なぜ♀は松葉に来ないのでしょうか?

不思議でなりません。



『スズメバチの科学』p97によると、

秋にマツ類につくカラマツオオアブラムシなどから多量に分泌される甘露は、多くのスズメバチ類の重要な餌資源となっており、カラマツなどの周りを飛び交う彼らの姿はよく観察される。


コナラの樹液を吸うサトキマダラヒカゲ



2014年9月上旬

里山でコナラの樹液酒場にサトキマダラヒカゲNeope goschkevitschii)が止まって吸汁していました。
本種はいつも翅を閉じて止まるので、決して翅表を見せてくれません。(私は未だ一度も見たことがないかもしれません。)
採集せずに翅表を見るには、飛び立つ瞬間をハイスピード動画に撮るしかなさそうです。(今後の宿題)




2015/02/26

枝垂桜の樹冠で鳴いて♪採食するハシボソガラス(野鳥)



2014年11月上旬

朝から一羽のハシボソガラスCorvus corone)がシダレザクラの樹上で頻りに鳴き騒いでいました。
その鳴き声も少し掠れたような嗄れたような妙な声でした。※
ピョンピョン跳んで枝から枝へ移動するのは、隠し撮りする私に気づいて落ち着かないのでしょうか?
奥の枝にスズメの群れも止まってチュンチュン♪鳴いています。
やがてハシボソガラスが枝先で何かを啄んで採食しました。
落葉してもシダレザクラ特有の密生した枝が邪魔で、採食メニューがよく見えませんでした。
細長い物なので芋虫を捕食したのかもしれません。
最後はどこかに飛び去りました。

※ このシダレザクラが止り木として気に入ったのか、同一個体?のハシボソガラスがここで鳴いているのをよく見かけます。

いずれ声紋解析するつもりですが、今回は録音の条件が悪くて見送りました。



トノサマガエルの喧嘩【HD動画&ハイスピード動画】



2014年8月中旬・気温26℃

▼前回の記事 
跳べ!トノサマガエル【HD動画&ハイスピード動画】

雨の日にミズナラの樹液に群がる昆虫を目当てに近くの池から大小様々のトノサマガエルPelophylax nigromaculatus)が集まり、幹に跳びついていました。
ミズナラのすぐ横にある切り株が絶好の捕食ポイント(餌場、狩場)らしく、2匹以上のトノサマガエルが登ってくると喧嘩になります。
闘争シーンを240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
互いにぶつかるように跳びついたり、相手の上からのしかかったり(マウント)と、ライバルを切株から追い出そうという縄張り意識や攻撃の意図を感じさせます。

武器となる角や牙などが発達している訳ではないので、争い事も平和に見えます。
まるで「お山の大将」を決める遊びのようです。
ときどきクックッ♪と静かに鳴いています。
土俵際の相手の顔を噛み付きながら押し出すこともありました。(@3:09)

3匹(体格はa≒b>c)が連続で背後からマウントした結果、「親亀の上に子亀、子亀の上に孫亀」の状態になることもありました。

『山渓ハンディ図鑑9:日本のカエル』p90によると、トノサマガエルの性別判定は


♂は、山吹色から緑色の背中に1本の黄色や緑色の縦筋模様が入る。
平凡社『日本動物大百科5:両生類・爬虫類・軟骨魚類』p36によると、
(トノサマガエルの)♂は背面が黄金色あるいは緑色で、背中の中央に緑色もしくは黄色のラインがある。♀は背中の中央に太くて白っぽいラインが目立ち、その両側に不規則に融合しあった黒い斑紋が散らばっている。このように、♂と♀とで色彩や模様がまったく異なっている。

あまり自信がないのですけど、3匹とも♂のようです。
一般にトノサマガエルの体長は♀>♂らしいので、単純な誤認抱接ではなさそうです。

ヒキガエルのカエル合戦を彷彿とさせますが、トノサマガエルの繁殖期はとっくに過ぎているはずです。
背後からマウントされた小型の個体がグルルル、グルルル♪と鳴いたのはヒキガエルの誤認抱接で見られるように「離せ!俺は♂だぞ!」というリリースコールなのでしょうか。

▼関連記事
アズマヒキガエルの抱接と蛙合戦@沼
きちんと個体識別してから勝敗を長時間記録してみれば何か面白いことが分かったかもしれません。


【追記】
平凡社『日本動物大百科5:両生類・爬虫類・軟骨魚類』p36に、トノサマガエル♂の集団ディスプレイについて解説してありました。
それぞれの♂が直径1.5~2mほどの範囲をなわばりとしてかまえ、鳴き声によって自分のなわばりの存在を宣言している。(中略) 
攻撃のパターンは(1)激しく鳴きながら、ゆっくり相手に接近する、(2)ジャンプして相手に跳びかかる、(3)相手と激しい取っ組みあいをする、という3つの段階から成っている。(中略) 
 コーラスが行われる場所や個々の♂のなわばりの場所は固定しておらず、毎晩変わる。また、なわばりはかならずしも産卵場所として使われるわけではない。したがって、トノサマガエルのなわばりは、♂たちのディスプレイの場であり、コーラスは集団ディスプレイであると見ることができる。
下線を引いた攻撃パターンが今回の動画で見られます。



キアシナガバチ♂を手掴みで捕獲しても刺されない



2014年11月中旬

山村の路肩をキアシナガバチ♂(Polistes rothneyi)が徘徊していました。
日光浴しながら歩き回り、前脚で長い触角を拭って化粧しています。

飛び立つ前にネットで捕獲しました。
頭楯が白っぽく触角がカールしていることから雄蜂で間違いありません。

産卵管が変化したものである毒針を雄蜂はもたないので、ヒトを刺すことは決してありません。
指で翅を摘んで実演すると、腹部を曲げて私の指を刺すような素振りを見せます。
これはブラフですから、♀に行動擬態していると表現できるかもしれません。(刺針反射?)
冷静に性別を見分けられれば、無闇に恐れることはありません。

▼関連記事
フタモンアシナガバチ♂を手掴みで捕獲

このとき腹端に伸ばした一対の棘のような突起は交尾に使う器官なのですかね?
この解剖学的な正式名称をご存知の方は教えて下さい。

▼関連記事
オオフタオビドロバチ♂尾端に生えた謎の刺状突起

以下は標本写真。
腹端に2本の伸縮性のトゲが埋もれていました。


2015/02/25

カーブミラーに激突したヤマドリ♂(野鳥)の断末魔



2014年10月上旬

バードストライク直後の野生ヤマドリが絶命するまでの断末魔」という、なかなかの衝撃映像が撮れました。
動画だけを見るとまるで私が猟銃で撃ち落としたかのように疑われるかもしれませんが、事実は小説より奇なり。
山間部の車道を徒歩で(足音を忍ばせて)下山していると、前方道端の茂みに潜んでいた一羽のヤマドリ♂(Syrmaticus soemmerringii)がバサバサッ♪と急に飛び立ちました。
私の頭上を一直線に飛び越したヤマドリを目で追いつつ振り向くと、曲がり角に設置されたカーブミラーにヤマドリが頭から激突してグヮーン♪と銅鑼を鳴らしたような衝突音が響き渡りました。
フィールドで起こるこうした突発的な事件や決定的瞬間を確実に記録するには、GoProのようなアクションカメラを頭などに装着して愚直に目線の(一人称)映像を常時録画するしかありませんね…。


(映像はここから。)
動画を撮りながら慌てて駆け寄ると、ヤマドリ♂は路上で仰向けにひっくり返っていました。
尾羽が長いので♂ですね。
顔を見ると白目をむいていました。(瞬膜ではなく、閉じた瞼が白い?)
やがて脚が空を切り、翼も弱々しく動かしました。
嘴もパクパクと開閉しています。
脚を体に引きつけ、激しく羽ばたいたのを最期に動かなくなりました。
「断末魔の叫び」のような鳴き声は一切発しませんでした。
外傷や出血が見られなかったので脳震盪で気絶しただけかと思い見守っていました。

ところが、ショックから回復せずにそのまま息絶えました。
首の骨が折れていたのかもしれません。(※追記4参照)
不可抗力ですが、元はと言えば私がヤマドリを驚かせてしまったことが原因です。
銃を使わずして野鳥を間接的に殺めてしまったことになり、寝覚めが悪い事件でした。

どうもキジ科の鳥は飛び方がひどく下手糞(不器用)な気がします。

▼関連記事
キジ♂の飛び立ち【ハイスピード動画】
体重が重いせいか、飛び立っても急上昇しませんでした。
飛びながら器用に曲がって障害物を回避することが出来ないのか(※追記参照)、猪突猛進のようにカーブミラーに正面衝突しました。(バードストライク)
必死で逃げる飛行中に鏡に写った自身の像をライバル♂と誤認して咄嗟に闘争しようとした結果、激突したのでしょうか?(鏡像反応)
しかしカーブミラー本来の機能や設置角度を考えると、ぶつかる寸前まで自画像はよく見えない気がします。
鳥の目には鏡に空が写っているだけで安全に見えたのかもしれません。


15cm定規を死骸に並べて採寸

山鳥♂のサイズを記録するために15cm定規を並べ、死骸の回りを一周しました。
靴の先で軽く小突いても、もはや反応はありません。
出血は見られず、抜け落ちた羽毛が路上にほんの少量だけ散らばっています。
骨董屋などで結構よく見かける
ヤマドリの剥製は、どうしても色褪せています。
死後間もない実物は羽毛の模様がひときわ美しいですね。

カーブミラーの表面には、激突跡の汚れがうっすらと残されていました。(魚拓ならぬ鳥拓?)



落鳥した新鮮な死骸をどうしたものかと悩んだ末に、天からの恵みとしてビニール袋に包んで持ち帰ることにしました。
死骸に触れても体温を感じませんでした。
死亡推定時刻ではなく正確な死亡時刻と死因が分かっている稀有なケースです。
(撮影時刻は午後14:14〜14:20。)
排泄口から脱糞していました。
よくよく考え直すと、鳥の糞と言えば尿酸混じりで白っぽいのが普通です。
今回の黄土色のペーストは、いわゆる鳥の糞とは似ていません。
腸に残った未消化物が激突死の衝撃で排泄孔から外に出てしまったのでしょう。




新鮮な死骸が突然天から降ってきた時にそれを材料に何を調べるか、ナチュラリストとしての総合的な実力が試されますね。

この個体は飛び立つ直前までヌスビトハギの実を採食していたことが後の解剖で判明します。


つづく

※【追記】
2014年11月中旬

ひと月後に激突事故現場の山道を今度は逆方向に歩いて通りかかると、同様の光景が繰り返されました。
まるで「株を守りて兎を待つ」という諺のように、私も二匹目のドジョウならぬ二羽目の山鳥を期待してしまいました。
目の前の道端の茂みからヤマドリ3羽の群れが驚いて飛び立ちました。(映像なし)
群れでこの辺りを縄張りあるいはねぐらとしているのかもしれません。
前回と同じ飛行軌道で一直線に飛び去ったので、曲がり角でまたもやカーブミラーに激突するのではないかと案じました。
しかし今度は飛びながら道なりに左折し、無事でした。
一瞬の印象では尾羽根が長かったので、またもや♂かもしれません。



【追記2】
『マン・ウォッチングする都会の鳥たち』の「ガラスに激突する鳥」と題した章(p233)によると、
若鳥であるがゆえに、ガラスに写った街中の景色と実際の景色との区別がつかなかったのであろう。野鳥が車のバックミラーに写った自分自身の姿に対して威嚇することはよく知られている。(中略)野鳥では鏡の中の虚像と実際の世界との区別は難しいのではあるまいか。

【追記3】
日本野鳥の会『セキレイのなかまたち(みる野鳥記)』p26~27によると、

山の中にとめた車のサイドミラーにキセキレイがやってきて、何回も体当たりをしているのを見たことがあります。
道路のカーブミラーに、からだをぶつけているキセキレイを見た人もいます。
鏡に写った自分のすがたを、テリトリーに侵入してきたほかのキセキレイと思って攻撃しているのです。
鏡に写った自分のすがたですから、攻撃されても逃げるわけはなく、つかれるか、だれかが来てじゃまされないかぎり続けます。
キセキレイは、テリトリーを守る気持ちが強いので、♂も♀も侵入者を攻撃します。
でも、ルールがあるのか、おたがいが傷つくまでたたかわないですむようになっています。
しかし、鏡に写った自分のすがたが相手ではそういったルールがなく、攻撃をやめることができません。

【追記4】
松原始『カラスの教科書』p293によると、
窓ガラスに鳥がぶつかって死ぬことがしばしばあるが、そういう鳥は顎骨が折れていたり、脊椎骨が砕けていたりする。鳥の飛行速度で頭から突っ込むのは、それくらい危険だ。

ミドリヒョウモンの幼虫



2014年6月上旬

杉林の下草(色づく前のアカソ??)の上にミドリヒョウモンArgynnis paphia)の幼虫を見つけました。
ただ葉に乗って休んでいるだけで、食事中ではありません。
そもそもミドリヒョウモンの食草はスミレ科ですから、イラクサ科の植物は食べないはずです。
イラクサ科を食草とするトゲトゲの幼虫と言えばサカハチチョウが思い浮かびましたが、これは違いますね。
草の葉でつついてみても、トゲトゲの体を左右に振るだけで特に威嚇行動などはしませんでした。
横着して採寸していません。

『イモムシハンドブック』p35によると本種は

前胸の突起がとても長い。
ヒョウモンチョウ類の中では最も森林的環境を好む
とのこと。


2015/02/24

チャコウラナメクジ?の徘徊移動【10倍速映像】



2014年10月下旬・気温10℃

山村に建つ石碑の土台となる岩にナメクジが静止していました。
ナメクジの分類にはまるで疎いのですが、背中に甲羅の痕跡があるのでコウラナメクジ科の一種ですかね?
メジャーなチャコウラナメクジにしては縦2本の黒線がありません。
どなたか名前を教えて下さい。

ゆっくりした移動を微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像でご覧ください。
這った後に粘液が残ります。
途中で右に旋回しました。
途中から採寸代わりに1円玉を並べて置きました。
落ち葉の上を通り過ぎても摂食しないのは少し意外でした。
岩の側面を降りたナメクジはやがて地面に到達し、スギの落ち葉の下に隠れました。
落ち葉を取り除くと再び動き始めました。
昼間は直射日光を嫌い、落ち葉の下で隠れて過ごすのかもしれません。(撮影は午前中)

採集して持ち帰り飼育しようか迷ったのですが、世話する余力がなくて諦めました。







杉林の斜光



2014年11月上旬

朝の静謐なスギ林に斜光が射していました。
私にしては珍しく(柄にもなく)フォトジェニック路線のスナップショット映像です。
微速度撮影するとか、林内をゆっくり水平移動しながら撮れば更にドラマチックな映像になりそうです。






2015/02/23

クモの網で暴れるウスバアゲハ♀



2014年6月上旬

里山で倒木の枝に張りめぐらせたクモの巣にウスバアゲハParnassius citrinarius)が引っかかり、逃れようと暴れていました。
腹端に交尾嚢が付着しているように見えるので、これは♀ですかね?
必死に羽ばたいて暴れても粘着性の強い横糸から逃れられないでいます。
最後は疲れたのか羽ばたきを止めました。

正常円網だと思うのですが、かなり破れていて全体の構造がよく分からなくなっていました。
奥に見えるケナシヤブデマリの白い花にはこの時期ウスバアゲハなど多くの蝶がよく訪れていました。

▼関連記事
ケナシヤブデマリの花蜜を吸うウスバアゲハ♀
花の周囲の空域に張られた罠にせっかく獲物がかかったというのに、駆けつけるクモが居ないのは不思議です。
クモの網にかかった虫は、振動でクモに気づかれないよう擬死するのが普通です。
暴れているということは、このウスバアゲハも天敵のクモが不在であることを知っているのかもしれません。



日光浴するコガタスズメバチ♂



2014年10月下旬

里山の尾根道でコガタスズメバチ♂(Vespa analis insuralis)が日光浴しながら身繕いしていました。
触角が長いので雄蜂ですね。
肉眼ではそこに居ることが分かっているのに、カメラの液晶画面では落ち葉の上の蜂をなかなか見つけられませんでした。
私がもたついている間に雄蜂はすぐに飛び去ってしまいました。
あーあ…。
(こういう時はカメラの液晶ではなくファインダーに切り替えるべきでした。)


2015/02/22

モズ♂(野鳥)の高鳴き♪を声紋解析してみる



2014年11月上旬

朝から(午前7:03)けたたましい鳴き声がするので辺りを探すと、剪定されたケヤキの枝に止まっているモズ♂(Lanius bucephalus)の後ろ姿を発見。
尾羽を振り立てながら元気に縄張り宣言しています。
嘴の動きと鳴き声の同期(リップシンクロ)を確認できたので、この個体の鳴き声に間違いありません。

カメラに気づいたのか、すぐにギーギーギー♪と激しく鳴きながら前方へ飛び去ってしまいました。
柿の木の向こうに姿が見えなくなってもしばらく鳴き声を録音しています。

※ YouTubeの動画編集時に自動色調補正を施してあります。

ちなみに前回観察したのは夕方の高鳴きでした。

▼関連記事
モズ♂(野鳥)の高鳴き♪


モズ♂の高鳴きを声紋解析してみる
いつものようにオリジナルのMTS動画ファイルから音声部をWAVファイルにデコードしてから適当に切り出し、スペクトログラムを描いてみました。


前半:ギーギー♪クレッシェンド@枝上
中盤:キキッ、キキッ♪
後半:キキキキ…♪

泥巣に出入りするケブカスジドロバチ♀の羽ばたき【ハイスピード動画】




2014年10月下旬


▼前回の記事
ケブカスジドロバチ♀の泥巣作り#2:接写

巣材集めのために出入りする蜂の離着陸を240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
撮影時刻は午後12:27〜13:42。
よく晴れていて、マクロレンズでも光量は充分です。
飛んで来る蜂のシルエットが白壁に映って美しいですね。
カメラを固定したくても巣穴の場所が低過ぎて三脚が使えません。(地上8cm)
そこで途中からは畳んだ衣類をカメラの下に敷いて高さを調節しました。
蜂が帰って来たときに録画開始ボタンを慌てて指で押すとぶれるので、リモートレリーズを使いました。

巣材の泥玉を抱えて帰巣した蜂は巣穴の前で軽くホバリング(停空飛翔)してから白壁に着陸します。
スローモーションで見ると、泥玉は大顎に咥えているだけで、前脚は使っていないようです。
それから、出巣の際にようやく顔が拝めました。
触角の付け根の間に黄紋があります。
午後の観察中、巣への出入りを毎回HD動画またはハイスピード動画で記録しました。

定点観察のため翌日とそれ以降もときどき見に来たのですが、残念ながら泥巣が完成する前に蜂が帰って来なくなってしまいました。(蜂を見たのは1日目だけ。)
まさかしつこいパパラッチに嫌気が差して作りかけの巣を見捨てて営巣地を変えたとは考え難いのですけど、母蜂が天敵に襲われたり寿命を迎えたのでしょうか?
産卵や貯食行動も観察できませんでした。
おそらく鱗翅目の幼虫を狩り集めるはずですが、この時期は寒くてもはや獲物となる芋虫も山中にはほとんど居なさそうでした。
「泥巣が完成したら、発掘・採集した蜂の子を室内飼育で越冬させたい」と取らぬ狸の皮算用をしていたのに、来期以降の課題になりました。

ムモントックリバチの泥巣

実は同じ白壁の数メートル横で同様のコンクリート穴に徳利状の小さな泥巣も見つけました。
私が造巣行動の初めだけ観察したケブカスジドロバチ♀は徳利状の泥巣を作るのでしょうか?
それともこれは別種のドロバチが作ったのかな?
徳利を発掘しようと思いつつ先延ばしにしていたら冬になり根雪に埋もれてしまいました…。
いつもお世話になっているヒゲおやじさんの掲示板にお邪魔して問い合わせたところ、「トックリはムモントックリバチEumenes rubronotatus)ではないか」とご教示頂きました。

シリーズ完


【追記】
実は私が思っているよりも窪みの奥が深いとすれば、母蜂は育房の入り口を泥で閉じ終えて(営巣完了)去ったのかもしれません。

ケブカスジドロバチAncistrocerus melanocerus
)の生態について記録を調べてみました。
まず古典的バイブルである岩田久二雄『本能の進化:蜂の比較習性学的研究』を紐解いてみます。


ドロバチ科の営巣記録の一覧表(p241)にシノニム(Ancistrocerus densepilosellus Cameron,1911)として載っていました。
本種の獲物は鱗翅目幼虫、造巣法は築坑型、貯蔵数10-20、独房数6。

p265にスジドロバチ属の総説がありました。
築坑型のAncistrocerusはすべて円筒型または洋樽型の泥瓶をつくる。それらの付着される場所は、樹枝や人家の壁や岩壁の表面であることが多いが、時には既存坑の中にかくして泥瓶を造るものもある。上記の付着場所は一般には雨が直接かからぬような、凹みや庇の下をえらんでいるが、これは泥瓶には耐水性がないからである。



岩田久二雄『日本蜂類生態図鑑』p37によると、ケブカスジドロバチの旧名はミヤマスジドロバチと呼ばれていたようです。
スジドロバチ(Ancistrocerus)属の諸種が、練り土を使って広口の独房を築造することが知られている。(中略)ミヤマスジドロバチ(A. densepilosellus Cameron)は山嶽地帯に生息していて、ビール樽型の広口の独房を造るが、稀な種である。数独房を塊状にかためて造る。獲物は小形のアオムシの成熟近いものであり、不完全麻痺させた上、各房に6〜20頭も貯蔵する。今までに同定された獲物は1つもない。



インターネット検索すると、次の文献(講演要旨PDF)を見つけました。
郷右近勝夫. "F214 ケブカスジドロバチの生態的研究 (IV) 北日本での世代数と営巣場所の選択性について (生態学)." 日本応用動物昆虫学会大会講演要旨 38 (1994): 131. 
それによると、今回観察したのは越冬世代の巣であるとはっきりしました。
成虫の出現は4月上旬〜12月中旬までの長期間にわたって認められた。この間、2〜3世代を経ると推定。営巣場所(造巣基)は圧倒的に石面が選択されるが、そのほか土中、鉄支柱、コンクリート壁、キゴシジガバチの古巣なども、利用される。

ヒメジョオンの茎にぶら下がるオニヤンマ♀



2014年6月下旬

田園地帯の道端(ガードレール横)に生えたヒメジョオンの茎にオニヤンマ♀(Anotogaster sieboldii)がしがみ付いていました。
羽化直後かと思ったのですけど、近くに羽化殻は見当たりません。
風が強い日でした。





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