2021/12/04

ミズナラの幹から樹液の塊を持ち去るオオスズメバチ♀の謎

 

2021年9月上旬・午前11:50頃・くもり 

里山の尾根道に自生するミズナラ灌木に樹液酒場が開店していました。 
オオスズメバチVespa mandarinia japonica)のワーカー♀2匹が集まり、樹皮を齧り取ったり樹液を舐めたりしています。 
その背後でヒメスズメバチ♀(Vespa ducalis pulchra)がウロウロしていますが、オオスズメバチが怖くて樹液が滲むスポットに近づけません。 
(オオスズメバチによる樹液の占有行動については別の動画を公開予定。) 

オオスズメバチ♀は頑丈な大顎で齧って樹皮に傷を付け、樹液の分泌を促しているのです。 
その作業中に、白く固まった樹液の小さな塊がオオスズメバチ♀の口に入り、吐き出しました。 
しばらくすると、1匹が樹液酒場から飛び去りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、白く固まった樹液の塊を大顎に咥えたまま持ち去っていました。 
まさか巣に持ち帰って幼虫に給餌するのでしょうか? 
スズメバチ類がそんな採餌行動をするのを見たのは初めてで、驚きました。 
ゼリー状に白く固まった樹液は素人目には甘くて美味しそうに見えますけど、虫が食べているのを見たことがありません。
動画の前半でも口に入った白い塊をオオスズメバチ♀は不味そうに(?)捨てています。
私の個人的な予想では、樹液の白い塊を持ち去った個体は帰巣する前に飛びながら捨てたのではないかと予想しています。
白い塊が樹液(液体)よりも濃厚で栄養豊富なら、積極的に集めて団子状に丸め巣に持ち帰るスズメバチの姿をもっと頻繁に見かけているはずです。

白く固まった部分の樹液の成分を知りたいのですが、誰か分析した人はいないのでしょうか?
煮込み料理で出る灰汁あくのような物なのかな?


【追記】
矢島稔『樹液をめぐる昆虫たち:わたしの昆虫記4』第4章「樹液とその成分」によると、
クヌギやコナラの樹液の成分についての研究は少なく、まだわからないことがいくつもあります。しかし、水に溶ける性質をもつ成分にはアルコール、酢酸、グリセリン、果糖、ブドウ糖、乳酸、2・3-ブタンジオールがあります。水に溶けないものは、白いペースト状に見え、この中にはタンパク質がふくまれていて、遊離アミノ酸もあることがわかっています。(p37より引用)
私が観察した樹液酒場はミズナラですが、大まかな成分は共通でしょう。
水に溶けない成分にはタンパク質や脂肪酸、それに遊離アミノ酸もふくまれていることがわかっています。これは、昆虫たちにとっては栄養豊かな貴重なえさです。
 昆虫たちは、タンパク質などの塊りをもとめて樹液にやってくるのでしょうか。しかし、タンパク質などは量が少ないと、白い塊りに見えません。
 むしろ、しみ出した水のように見える樹液に、昆虫たちが集まっている(p40より引用)

樹液の白い塊にタンパク質やアミノ酸が 多く含まれているのなら、スズメバチが巣に持ち帰って幼虫に給餌したとしても不思議ではありません。

しかしそれでも、獲物を狩って作る新鮮な肉団子に比べたら栄養価(タンパク質やアミノ酸の含有量)が低そうですから、肉の代用食としてたまにしか持ち帰らないのではないでしょうか。

獲物が少なくなる晩秋になると、樹液の塊を頻繁に持ち去るようになるのかな?

スズメバチの幼虫に飼育下で樹液の塊を給餌したら嫌がらずに食べてくれるでしょうか?


 
オオスズメバチ♀2+ヒメスズメバチ♀@ミズナラ樹液酒場

ママコナの花蜜を吸うイチモンジセセリ

 

2021年9月上旬・午前11:40頃・くもり 

里山の尾根道沿いに点在するママコナの群落でイチモンジセセリParnara guttata)が訪花していました。 
ピンク色をした唇形花の花筒で翅を閉じたまま吸蜜していました。 
この組み合わせは初見です。

2021/12/03

ハクセキレイ♀が小川で探餌徘徊(冬の野鳥)

 

2021年1月中旬・午後15:25頃・晴れ 

街なかを流れるコンクリート護岸された小川(用水路)でハクセキレイ♀(Motacilla alba lugens)が餌を探し歩いていました。 
丸くなった岩がゴロゴロ並んでいる上を伝い歩いています。 
餌が見つからなかったようで、川の中から飛び上がると岸に高く積まれた雪山の上に移動しました。 
更に飛び立つと鳴きながら♪こちらに向かって来ました。 
最後に飛び去る様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
鳴いた部分だけ音声を正規化して音量を上げています。

 

タヌキのうんちレストランに集まる虫たちの活動【10倍速映像】

 

2021年8月下旬・午後14:30〜15:00頃・晴れ 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が山道に残した溜め糞でリサイクル活動する昆虫たちを微速度撮影してみました。 
10倍速の早回し映像をご覧ください。 主に糞食性センチコガネPhelotrupes laevistriatus)の動向に注目しています。
関連記事(同日に撮影:等倍速映像)▶ タヌキの溜め糞を食べ下に潜り込むセンチコガネ
新鮮な獣糞を食べるセンチコガネがやがて画面の左下に移動しました。 
最後は糞と地面の間に潜り込みました。 
センチコガネは地中に穴を掘って糞の欠片を埋め、そこに産卵するのだそうです。
糞塊がときどきグラグラと勝手に動くのは、下に潜り込んでいる糞虫の仕業です。 
地殻変動しても、上にいる昆虫は無頓着でした。 
キンバエやニクバエの仲間はもちろん獣糞に集まる常連です。 

他には肉食性と思われるハネカクシも糞の内外を徘徊していました。
関連記事(同日に撮影)▶ タヌキの溜め糞で徘徊するアカバトガリオオズハネカクシ
大谷剛『昆虫―大きくなれない擬態者たち』という本によると、
 死体に集まるシデムシ、動物の糞に集まるセンチコガネ・マグソコガネ・ダイコクコガネなどの糞虫、両方にやってくるハネカクシやエンマムシなども、鞘翅があればこそ汚い粘つく汁の中を平気で動き回れるのである。鞘翅には多少粘つくものが付着しても飛ぶのに何の支障もない。(中略)死体・糞のニッチは甲虫の独壇場だ。(p80より引用)
この点は納得ですけど、鞘翅を持たない蟻(種名不詳の微小な赤アリ)もタヌキの溜め糞に群がっていました。 
アリは清潔好きだと思っていたので、かなり意外でした。 
おそらく体表に強力な抗菌加工が施されているのでしょう。 
微小な獲物を探しているのか、それとも糞に含まれる未消化の種子が目当てなのかな? 
アリの巣穴の真上にタヌキがたまたま排便したのでアリが右往左往しているという訳ではありません。 
というのも、タヌキの溜め糞は長期間同じ場所にあるからです。

こうして獣糞を日々食べて処理してくれる虫たちのおかげで、自然界は糞だらけにならずに済んでいるのです。(生物分解)
タヌキの溜め糞をめぐる生態系もなかなか面白いですね。
 

【追記】
溜め糞の横に生えていた白いキノコが気になり、写真に撮りました。
キノコについて何も知らないので、これから勉強しないといけません。
傘が完全に開いた様子を見れませんでした。
ナガエノスギタケだとしたら嬉しいのですが、どうでしょうか?
動物の排泄跡(溜め糞やトイレ)からアンモニアを分解して発生する、アンモニア菌というグループのキノコがいるそうです。





2021/12/02

交尾しながらホツツジに訪花するスズキハラボソツリアブ♀♂の連結飛翔【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年8月下旬・午後15:35頃・晴れ 

里山の尾根道沿いに咲いたホツツジの群落で多数のハラボソツリアブの仲間が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
互いに逆向きに腹端の交尾器を結合したまま♀♂ペアで飛び回り、♀が花蜜を吸っています。 
訪花中の♀♂ペアにズームインすると、触角全体が黒く、後脚の第1跗節の全体が黄色であることからニトベハラボソツリアブではなくスズキハラボソツリアブSystropus suzukii)と判明しました。 
 (跗節の脛節に繋がっている方から順に、第1跗節、第2跗節、…と呼びます。)
 
関連記事(9年前の撮影:220fps)▶ 交尾しながらホバリング飛行でリョウブに訪花吸蜜するスズキハラボソツリアブ【ハイスピード動画&HD動画】

♀は花に足を掛け、羽ばたきを止めて吸蜜しています。 
その一方で、逆向きの♂は休むことなくホバリング(停空飛翔)を続けています。 
ホバリング中の♂は長い後脚を垂らした姿勢で飛びますが、前脚および中脚は揃えてボクサーがファイティングポーズするように構え、前方に向けていました。 
ホバリングしている個体は、左右の複眼が中央で接していることから♂と分かります。 
(♀の顔を正面から見たことがありません)
交尾ペアで体格を比べると、やや♀>♂。 
♀の方が♂よりも脚や腹部がやや太い印象です。 

たまには役割を交代して♂が吸蜜することはないのかどうか、知りたいところです。 
♀が♂を常に引っ張って行く(リードする)「かかあ天下」というよりも、♀が産卵するまで浮気防止のために♂が自らの体を貞操帯として交尾を長引かせているのではないかと思います。(交尾後ガードの一種?) 
しかし私はハラボソツリアブ類の産卵シーンを未だ見たことがありません。 

ホツツジ訪花中の連結飛翔を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:40〜) 
飛翔中は前翅だけでなく小さな平均棍も上下に激しく動かしていました。 
連結飛翔中に主導権を握っているのは♀♂どちらなのでしょうか? 
直列という点では同じでも、トンボの♀♂ペアの連結飛翔(尾繋がり)よりも逆向きに繋がったハラボソツリアブの♀♂ペアの方が、意思の疎通が困難なはずです。 
吸蜜が終わりそうになった♀が腹端を上に軽く曲げて♂に合図してから飛び去るように見えました。 
あるいは逆に、♂が「おい、そろそろ行くぞ」と♀を急かす結果、吸蜜を切り上げて飛び去っているのかな? (どうやったらこの二択の問題を解明できるでしょう?※)

複数ペアを撮影。

※【追記】
スズキハラボソツリアブ♀が単独で訪花する際も、吸蜜が終わりそうになったら腹端を上に軽く曲げてから飛び立っていました。



この日は大小様々なハラボソツリアブをホツツジ群落で見かけました。
大型の個体同士が♀♂ペアを形成し、交尾しながら飛んでいました。 
一方、小型の個体は単独で活動しているのが興味深く思いました。 
小型の個体は別種(ニトベハラボソツリアブ?)なのかと思ったりしたのですけど、この日は証拠写真を撮れませんでした。 
♀♂ペア形成や交尾開始の様子を観察してみたいものです。
 

タヌキの溜め糞に来た謎の微小な寄生蜂?【名前を教えて】

 

2021年8月下旬・午後15:10頃・晴れ 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が山道に残した溜め糞に来る昆虫を観察していると、撮影中は全く気づかなかったのですが、微小な蜂が動画に写っていました。 

シーン1: 
画面右上でメタリックカラー(構造色)に輝く微小な蜂が思わせぶりに活動しています。 
糞の上に止まって羽ばたきながら何かしています。 

シーン2: 
タヌキの溜め糞の横で身繕いしているニクバエの一種を撮っていると、画面左上で同一個体と思われる例の微小な蜂が写っていました。 
やはり溜め糞上で何やら活動していて気になります。 

これは寄生蜂の一種なのでしょうか? 
なんとなく、腹端を突き立てて産卵しているように見えました。 
寄主はハエの卵ではないかと想像しています。 
「タヌキの溜め糞に来るメタリックカラーの微小な蜂」をネット検索しても情報がありません。
もしかして、蜂ではなくハエ(双翅目)の仲間ですかね?
小さ過ぎて翅の枚数は数えられませんが、腰がくびれていることから蜂ではないかと予想しました。(双翅目でも蜂にベーツ擬態して腰がくびれた種類がいます。)
これの正体をご存知の方がいらっしゃいましたら、名前を教えて下さい。

以前、別のタヌキ溜め糞でも謎めいたメタリックカラーの微小な寄生蜂を見かけています。 
このときはキバネセセリ成虫を寄主としているのではないか?という大胆過ぎる仮説を立てました。
関連記事(1月前の撮影)▶ 獣糞で吸い戻し中のキバネセセリ♂の翅に寄生蜂が産卵?!
次にタヌキの溜め糞で金属光沢に輝く微小蜂を見つけたら、同定のために採集してみるつもりです。 
しかし捕虫網を振り回すと、まず間違いなく獣糞で捕虫網を汚しそうなのが嫌ですね。 
だからこそ、今まで誰も注目してこなかった(報告がない)のでしょう。 
マクロレンズで接写したくても、ヒトの気配で蜂はすぐ逃げてしまいそうです。 

【追記】
翌年、注意してタヌキ溜め糞を見て回ると、メタリックに輝く微小昆虫の正体はハエでした。

したがって、この記事の映像に写っているのも寄生蜂ではなさそうです。
ただし、体型が違うので別種のようです。

2021/12/01

リンゴの梢でホオジロ♂が脱糞・羽繕い(野鳥)

 

2021年8月下旬・午前7:05頃・晴れ 

山麓のリンゴ園で木の天辺にホオジロ♂(Emberiza cioide)が止まっていました。 
私が通りかかるまで地上に居たような気もするのですが、定かではありません。 
腐りかけたリンゴ落果(摘果)に集るハエを捕食していたのでは?と想像したものの、実際には観察できていません。 

夏の青空を背景に、辺りをキョロキョロ見渡しています。 
ホオジロの繁殖期は既に終了したようで、長撮りしても全く鳴きませんでした。 
縄張り宣言の囀りさえずりどころか地鳴きの警戒声も発しなかったのはちょっと不思議です。 
ときどき嘴が開閉したので小声で呟いていたのかもしれませんが、私には聞き取れませんでした。
周囲ではミンミンゼミ♂およびエゾゼミ♂が喧しく鳴いています♪(蝉しぐれ)。 
カラスやコオロギ♂の鳴き声も聞こえます。

止まり木でホオジロ♂が目の前の葉を啄んだらバランスを崩しかけました。(@1:36) 
尾羽を持ち上げ、白い糞を下の葉に少量ポトリと排泄しました(@3:32)。 
鳥が脱糞したら飛ぶ前兆(軽量化)というのがバードウォッチングの常識なのに、このホオジロ♂は飛び立ちませんでした。 
やがて羽繕いしながら足で掻きました。(@4:36) 
しかし羽毛が整うどころか逆に逆立ってしまいました。 

飛んでくれないので、痺れを切らした私はズームアウトして引きの絵で状況説明。 
リンゴの木の枝には青りんご(未熟果)がたくさん実っています。 
野生動物が果樹園に侵入して食害するのを防止するために、電気柵が敷地の境界に何本も張り巡らされていました。 
近年、あちこちのリンゴ園で電気柵が一気に普及した印象です。 

タヌキの溜め糞で徘徊するアカバトガリオオズハネカクシ

 

2021年8月下旬・午後14:30〜15:00頃・晴れ 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が山道(尾根道W)に残した溜め糞場cでハネカクシの一種を見つけました。 
胸部の小さな鞘翅だけ赤っぽく、他は全身黒色です。 
糞の上をチョロチョロと徘徊してから隙間に潜り込みました。 
ハネカクシは神出鬼没で、一旦糞塊の中に潜り込むと、次にいつ現れるか動きが予測できません。 
動画の長撮りを繰り返して、ようやく記録することが出来ました。 
糞食性というよりもおそらく肉食性で、溜め糞の中に育つウジ虫(ハエ類の幼虫)やダニ類などを捕食していると思われます。 

手元の図鑑で調べてみると、どうやらアカバトガリオオズハネカクシ(旧名アカバハネカクシPlatydracus brevicornis)らしい。
関連記事(1年前の撮影)▶ 腐ったカボチャに湧いたウジ虫?を捕食するアカバトガリオオズハネカクシ

2021/11/30

仰向け状態から起き上がれないシロテンハナムグリの謎

 

2021年8月下旬・午後13:40頃・くもり時々小雨
前回の記事:▶ イチジクの熟果を舐め枝を登るシロテンハナムグリ

イチジク(無花果)の熟果に群がっていたシロテンハナムグリ(Protaetia orientalis submarumorea)2匹を手掴みで捕獲しました。 
初めの1匹はうっかり掴み損ねて地面にポロリと落ちてしまいました。 
捕獲したもう1匹を平らな岩の上に置いて腹面を観察しました。 
腹面も金属光沢ですが、この日は天気が悪いので輝きがいまいちです。 

私は甲虫を仰向けにした時にどうやって自力で起き上がるのか、観察するのが子供の時から密かな楽しみです。 
起き上がれなければそのまま力尽きて死んでしまいますから、昆虫にとって死活問題です。 
甲虫はそれぞれの体型に適した方法で起き上がります。 
進化の過程で生き残ってきたということは、必ずや自力で起き上がる方法を編み出しているはずです。 
これまで色々な種類の甲虫で起き上がり運動を少しずつ動画に撮りためてきました。
横に寝返りを打つ種類もいれば、コメツキムシなどはパチンと跳ねて起き上がります。
AIBOやASIMOなどロボット開発でも起き上がり運動は重要です。

今回のシロテンハナムグリは仰向けの状態から起き上がろうとジタバタもがくものの、いつまで経っても起き上がれませんでした。 
この個体はなぜか脚の爪先(跗節)がなぜか欠損しており、そのため岩の表面に爪先がひっかからないようです。 
この動画はボツだな…と思いつつ、仰向けのシロテンハナムグリを元に戻してやって解放しました。
しかし、これはもしかして面白い問題ではないかと思い直しました。

テントウムシやカツオブシムシなど丸い体型の甲虫は、仰向けにされると足が地面に届かないので、翅を開く力を利用して後転するように跳ね起きます。 
関連記事(7、15年前の撮影)▶ 
ハナムグリの仲間は鞘翅を閉じたまま後翅だけ羽ばたいて飛ぶことで有名です。
したがって、起き上がり運動のために鞘翅を開く筋力が退化しているのではないか?と後になってから思いつきました。 
つまり、ハナムグリは翅の力で起き上がる方法を使えないのかもしれません。 
この仮説を検証するために、もっと多数の個体で実験すべきでしたね。 
翅が使えないハナムグリはどんなやりかたで起き上がるのでしょうか?
しかしこのとき小雨が降り始めてカメラを濡らしたくなかったのと、尿意を我慢していて近くのコンビニに早く行きたかった私は、じっくり落ち着いて観察できませんでした。 
次回ハナムグリ類を見つけたら、重点的に起き上がり運動を調べてみることにします。

タヌキの溜め糞で吸汁するキンバエの一種♂

 

2021年8月下旬・午後14:20頃・晴れ 

山道に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞にキンバエ♂(Lucilia caesar)の仲間が来ていました。 
金緑色(メタリックカラー)の構造色に輝くきれいなハエです。 
背側から見下ろすと口吻の動きが分かりにくいのですが、口吻を伸縮させて新鮮な糞の表面を舐めています。 

他には多数の微小なアカアリ(種名不詳)が溜め糞の上を這い回っていました。

2021/11/29

夏の田園地帯を飛ぶダイサギ(野鳥)

 

2021年8月下旬・午前6:25頃・晴れ 

広大な田園地帯の上空を白鷺が優雅に飛んで行きます。 
おそらくダイサギArdea alba)だと思います。 

長い後脚は真っ直ぐ後ろに伸ばし、空気抵抗を減らしているようです。 
力強く羽ばたくだけでなく、滑空も織り交ぜて、省エネ飛行しています。 
最後は旋回しながら滑空し、水田(農道?)の端に着陸しました。 
すぐに餌を求めて歩き始めました。

白鷺が裏山を背景に飛び去る姿を手持ちカメラで流し撮りしました。 
ときどき流し撮りの練習をしておかないと、いざというときに鈍って実践できなってしまいます。 
被写体の行く先や飛行経路が予想できていれば、予め下半身をねじっておき、被写体を流し撮りしながら体のねじれを解放する、という撮影テクニックがあるそうです。
某テレビ番組で撮り鉄(鉄道オタク)さんに教わりました。
しかし、列車と違って野鳥はどこに飛んで行くか予想するのが困難です。

いつものように動画編集時に手ブレ補正処理したところ、副作用で少しギクシャクした映像になってしまいました。
空など背景の情報が少ないときにこの症状が出てしまいます。

タヌキの溜め糞を食べ下に潜り込むセンチコガネ

 

2021年8月下旬・午後14:22〜15:07・晴れ 

里山の尾根道にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞にセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)が来ていました。 
新鮮な糞の上を歩き回り、大顎を開閉して糞を食べています。
鞘翅は紫色の金属光沢(メタリックカラー)に輝いていて、まさに肥溜めの宝石です。
正面から顔を見た時に頭楯の下縁が半円状に丸みを帯びていたので、オオセンチコガネではなくセンチコガネと判明(@3:02、3:42)。 
最後は糞塊の下に潜り込もうとするセンチコガネのせいで、糞塊全体が上下に大きく揺れています。

少なくとも2匹のセンチコガネが集まって来ていたような気もしますが、撮影中に個体識別できていません。 
最後に糞をひっくり返して隠れているセンチコガネを数えるべきでしたね。 

微小な白っぽいダニや小型の赤アリもタヌキの糞に集まって徘徊しています。 
気になりますが、私には名前が分かりません。 
特に、アリは何が目的なのでしょうか? 
溜め糞に含まれる植物の種子を巣に持ち帰ろうとしているのかな? 

2021/11/28

蜂に擬態したサッポロヒゲナガハナアブ♀?がタヌキ溜め糞の横で身繕い

 

2021年8月下旬・午後15:05頃・晴れ 

山道に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞を観察していると、辺りを黄色い昆虫が素早く飛び回りました。 
てっきりキイロスズメバチのワーカー♀がハエを狩るために飛来したのかと初めは思いました。
関連記事(8、9年前の撮影)▶ 
タヌキの溜め糞で停空飛翔するキイロスズメバチ♀ 
タヌキの溜め糞に集まるキイロスズメバチ♀
しかし、キイロスズメバチにしては黄色が鮮やか過ぎます。 
小径の横に生えたミズナラ幼木の葉に止まった昆虫をよく見ると、ベーツ擬態したサッポロヒゲナガハナアブ♀(Chrysotoxum sapporense)でした。
黄色と黒は勇気のしるし♪ 
葉に乗って身繕いしています。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
しかしすぐに近くの葉(樹種不明)に止まり直しました。 
思わせぶりにタヌキの溜め糞の近くに居続けるのは果たして偶然でしょうか? 
ハナアブなら獣糞の近くで油を売ってないで訪花するのが本分だと思うのですけど、近くに蜜源植物は見当たりませんでした。 
もしかして糞の上に産卵するのかと思ってその後もしばらく溜め糞の観察を続けたのですが、サッポロヒゲナガハナアブ♀が溜め糞の上に着陸することはありませんでした。
糞に集まる他のハエなどのライバル(先客)に遠慮しているのでしょうか?
 
関連記事(2、3年前の撮影)▶ 
蜂に擬態したサッポロヒゲナガハナアブ♀がニラを訪花 
アカザカズラの花蜜を舐めるサッポロヒゲナガハナアブ♀

スギの樹皮の裏側に群生するマダラカマドウマ

 

2021年8月下旬・午後13:40頃・晴れ 

山道沿いに聳え立つスギ(杉)大木の樹皮が下から剥がれかけて隙間ができていました。 
その樹皮を私が何気なく下からベリベリと剥がしてみると、裏側に大量のマダラカマドウマDiestrammena japanica)が潜んでいました。 
(樹皮を剥がすシーンから動画を撮り直すべきでしたね。) 
マダラカマドウマは日光を嫌って樹皮の下に潜り込もうとするものの、パニックになって走り回る個体は意外と少なく、ほとんどの個体はその場で呆然と(?)じっとしていました。 
大小いろいろの群れで、幼虫から成虫まで様々なステージが勢揃いしているようです。 
大型で腹端に産卵管をもつ個体が♀成虫、無ければ♂成虫です。 

樹皮を剥いだ後の幹には茶色の樹脂が点々と滲んでいたり、垂れたりしていました。 
マダラカマドウマは雑木林の樹液酒場に来ることもあります。
しかし、まさか針葉樹スギの樹液を舐めていたとは考えにくいです。 
夜行性のマダラカマドウマが昼間、樹皮の裏側に隠れていただけだと思います。
(マダラカマドウマは)林床にすみ、昼間は樹洞や洞穴などに入って集団になることが多い。(中略)夏〜秋に成虫。(『バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑』p52より引用)
跳んで逃げる瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
最後は剥がれかけの樹皮を戻してやりました。(私が手を離すと樹皮自体の弾性で自然に元の状態に戻りました。)

カマドウマがどうして世間で不快害虫として嫌われているのか、私には全く理解できません。
虫好きの強がりでも何でもなく、無害でひたすら美しい造形だとおもうのですけど…。
いつかカマドウマを飼育してみたいものです。
跳躍力が強いので、かなり大きな容器が必要になりそうです。


【追記】
インターネット上で本種の学名の種小名に表記の揺れがあるようです。
『バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑』を信用する限り、Diestrammena japonicaではなくD. japanicaだと思います。
日本大百科事典ではjaponicaとなっていて困ります。
wikipedia英語版でもjapanica表記になっています。


♀成虫
♂成虫

ランダムに記事を読む

  • 続・ヒメスズメバチvsキアシナガバチ11/02/2011 - 0 Comments
  • ネムノキ幼木に飛来した産卵前のキタキチョウ♀【HD動画&ハイスピード動画】05/03/2020 - 0 Comments
  • 営巣地のあちこちに排尿マーキングするニホンアナグマ♀とヘルパー♂【トレイルカメラ:暗視映像】07/02/2024 - 0 Comments
  • 用水路で水を飲み羽繕いするカルガモのつがい(野鳥)10/06/2017 - 0 Comments
  • ホンドタヌキの越冬用営巣地で野ネズミを狩ろうとする雪国のホンドギツネ【トレイルカメラ:暗視映像】08/01/2025 - 0 Comments