2023/07/29

クマバチ♀がベニバナインゲンの花で休む猛暑の昼下がり

 

2022年7月下旬・午後13:20・気温35℃ 

郊外の家庭菜園で今年もベニバナインゲン(別名:花豆、紫花豆)を育てていました。
1匹のキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が採餌活動もしないで、真っ赤な花にしがみついて休んでいました。 
顔色が黒かったので♀と判明。 
後脚の花粉籠は空荷でした。 
蜂にズームインしてみると覚醒しており、口器を動かしながら激しい腹式呼吸をしていました。 
あまりにも暑過ぎる昼下がりは蜂もシエスタ(午睡)するのかな? 
蜂好きによる被害妄想かもしれませんが、畑に安易に撒いた農薬(殺虫剤)のせいで死にそうになっているのでは?と勘ぐってしまいます。

同じ場所で2年前にも同様のシーンを見ているので、再現性がありそうです。 


朝など涼しい時間帯なら、ハナバチ類が元気に採餌する様子が観察できるでしょうか?
比較対象として、全く別の畑で育ったベニバナインゲンでクマバチの訪花行動を観察できれば良いのですが、今のところ当地ではベニバナインゲンをほとんど見かけません。
自然界のハナバチ類が弱って減少すると、多くの作物が受粉ができなくなり、深刻な食糧不足になると懸念されています。



 
 ↑【おまけのニュース動画】 
" Extreme heat is killing bees" by CNN 

世界各地で異常気象が進行し、真夏日が続いています。 
気温が異常に高くなった結果、ミツバチの巣が溶けてしまいコロニーが維持できなくなって死滅する危険が指摘されています。 
材に穿孔するクマバチの巣は蜜蝋で作るミツバチの巣とは全く違いますが、暑すぎる夏のせいで送粉者の世界的な減少が心配です。
昆虫は涼しい高山に逃げたり夏眠したりするように進化するかもしれません。


 

2023/07/28

河畔林のタヌキ溜め糞場に来る初冬の野ネズミは何を食べているのか?【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年12月上旬~中旬 

ニセアカシアを主体とする河畔林でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場rvを見張るために設置した自動センサーカメラに写った野ネズミ(ノネズミ)の活動記録です。 
これまでは野ネズミが林床で餌を探し回るシーンと、溜め糞場に来たシーンとを別々に分けて編集しましたが、今回はただ時系列順につなげただけです。 

野ネズミは溜め糞場には滅多に来ないことが分かります。
たまに溜め糞に長居して食べているのは何でしょう?
タヌキが丸呑みした果実(液果)の種子が未消化のまま大便と一緒に排泄されるので、野ネズミはこれを目当てに通っているというのが本でよく見る説明です。
せっかくタヌキが種子散布したのに、野ネズミは液果の種子を捕食してしまいます。
しかしトレイルカメラの映像を見る限り、どうもそれでは野ネズミの行動をうまく説明できない気がします。
むしろ、気温の低い初冬でもタヌキ溜め糞の周囲に集まる少数の虫(ダンゴムシなど)を捕食しに野ネズミは通っているのではないか?という仮説に私は傾いています。
決定的な証拠映像を撮るためには、カメラを固定する位置をもっと下げて、ローアングルで野ネズミの口元を撮影する必要がありそうです。
それが分かっていながらカメラをハイアングルに設置したのは、なるべく広範囲をカバーして野ネズミが写る確率を上げるためです。
カメラを下げて画角が狭くなると、それだけ野ネズミが写る頻度が下がりますし、監視カメラの存在に気づいたタヌキが警戒して溜め糞場で排便しなくなってしまいます。
トレイルカメラによる行動観察だけでは限界があるので、今後はタヌキの糞分析をまじめにやる必要がありそうです。
 


シーン1:12/9・午後18・40(@0:00~) 
画角内の中央やや下の左右に写っている黒々とした部分がタヌキの溜め糞LRです。 
野ネズミがよく利用していた落枝の橋は、右下に一部しか写っていません。 
この日の日の入り時刻は午後16:23。 
右下から登場した野ネズミが落枝を伝って右側の溜め糞Rへ到達。 
長居して未消化の種子を食べているのでしょうか? 


シーン2:12/9・午後18・42(@0:45~) 
落ち葉に覆われた林床でウロチョロと餌を探し歩いています。 


シーン3:12/9・午後18・58(@1:40~) 
探餌徘徊。 


シーン4:12/9・午後19・21(@1:47~) 
探餌徘徊中に左の溜め糞Lを横切ったのに、長居しないで下に立ち去りました。 
我々ヒトの衛生感覚では、溜め糞の上を素足で歩いたり尻尾を引きずって歩いたりするのは不潔に感じるのですが、野ネズミは平気です。 
キツネやテン、イタチなどの捕食者が怖い野ネズミは、ときどきタヌキの糞便臭をあえて身に着けて、自分の匂いの痕跡を消しているのでしょうか?
匂いによるカモフラージュだとしたら面白いですね。 


シーン5:12/9・午後19・32(@2:36~) 
林床を探餌徘徊中になぜか突然、溜め糞Rを跳び越えました。(@3:15) 
野ネズミの見事な大跳躍(立ち幅跳び)を1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 
その後は溜め糞Rに長居して、何か採食しています。 


シーン6:12/9・午後19・34(@3:46~) 
黒土と化した古い溜め糞Lの端で野ネズミが落ち葉の下に頭を突っ込み、浅く穴を掘って何かを食べています。 
残念ながら、落ち葉が邪魔でよく見えません。 


シーン7:12/9・午後19・40(@4:45~) 
画面の左上で立ち止まり、何かを採食しているようですが、よく見えません。 


シーン8:12/9・午後20:29(@5:16~) 
探餌徘徊で右上へ。 


シーン9:12/10・午後18:07(@5:23~) 
翌日の晩に野ネズミが採餌活動を再開しました。 
右上からゆっくり溜め糞Lへ到達したところで、録画が終了してしまいました。 


シーン10:12/10・午後18:14(@6:23~) 
お尻の毛皮が黒い個体です。 本当に毛の一部だけ黒いのか、毛並みの艶による違いなのか、それとも土で汚れているだけなのか、赤外線の暗視映像では見分けられません。(おそらく前者?) 
個体識別に使える安定した形質なら嬉しいのですが、どうでしょうか。 
ウロチョロしてから、後半になると溜め糞Lに長居しました。 


シーン11:12/10・午後18:18(@7:23~) 
右上エリアで探餌徘徊。 


シーン12:12/10・午後18:36(@8:23~) 
画面中央から溜め糞Lに辿り着くと、最後は落枝を渡って右に立ち去りました。 


シーン13:12/10・午後19:09(@9:24~) 
上のエリアを右往左往しています。
前回の記事 ▶ 初冬の河畔林で虫を捕食する野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】
虫を見つけて捕食した成功体験が忘れられないのか、前夜(ほぼ24時間前)に虫が取れた場所を繰り返し調べています。 
だとしたら、なかなか優れた長期記憶の持ち主ですね。 
それとも、虫が居た痕跡や残り香を嗅ぎ付けたのでしょうか? 
林床の落ち葉を口で引っ張ってどかし、念入りに探しています。 
この時期の野ネズミはときどき落ち葉を集めて巣穴に運ぶのですが、今回の行動は巣材集めではなく、探餌行動の落ち葉めくりでした。 



シーン14:12/10・午後19:12(@10:19~) 
探餌徘徊。 


シーン15:12/10・午後22:06(@10:42~)
前回の登場からだいぶ時間が経ちました。 
溜め糞Rには少し立ち寄って軽く調べただけでした。 
林床に転がっている落枝の上を伝い歩きして、素早く移動します。


シーン16:12/10・午後23:53(@11:42~) 
探餌徘徊。 


シーン17:12/11・午前6:16・(@12:11~) 
日の出時刻は午前6:41。 
野ネズミが次に登場したのは、日付が変わって日の出前でした。 
画面右上の赤丸に注目してください。 
小雨がぱらついているのに、しばらくボーっと佇んでいます。 
休息シーンは退屈なので、5倍速の早回し。 
その後は、上のエリアを探餌徘徊。 
もしかすると、右上の林床に野ネズミの巣穴があるのかな?という気がしてきました。 


シーン18:12/11・午後17:25・(@12:43~) 
日の入り時刻は午後16:23。 
夜行性の野ネズミは、明るい昼間は巣穴で休み、日が暮れると活動を再開します。 


シーン19:12/11・午後20:58・(@12:51~) 
林床をウロチョロ探餌徘徊。 


シーン20:12/11・午後23:50・(@13:22~) 
野ネズミが珍しく左の溜め糞Lに長居して何かを食べています。 
この日もタヌキは来ておらず、溜め糞場rvに新鮮な糞が供給されたという訳ではありません。 
立ち去る前に尻切れトンボで録画終了。 


シーン21:12/11・午後23:57・(@14:22~)
探餌徘徊で右上へ。 


シーン22:12/12・午前2:08・(@14:33~) 
日付が変わった深夜未明に野ネズミが活動再開。 
溜め糞Rに居座ってから、中央エリアでしばらく止まりました。 
チビチビと何かを食べてるような気もしますが、真上から見下ろすアングルではメニューがよく見えません。 


シーン23:12/12・午前2:12・(@15:33~) 
落ち葉が積もった林床を右往左往。 


シーン24:12/12・午前2:17・(@15:56~) 
探餌徘徊。 


シーン25:12/12・午前4:09・(@16:03~) 
上のエリアを探索。 
実はこの後、未明4:52にタヌキが来たものの、溜め糞Rの周囲をチェックしただけで排便せずに立ち去りました。 


シーン26:12/12・午後22:14・(@16:18~) 
晩遅くに現れた野ネズミが溜め糞Rを横切ってから溜め糞Lに長居して何かを食べています。 


シーン27:12/12・午後22:20・(@17:18~) 
探餌徘徊。 


シーン28:12/12・午後23:07・(@18:13~)
右下から登場した野ネズミが落枝を伝って溜め糞Rへ。 
タヌキの溜め糞の中央(糞塊)ではなく辺縁部を好んで野ネズミは訪問します。 


シーン29:12/13・午前0:59・(@19:13~) 
日付が変わった深夜に現れた野ネズミが林床を右往左往。 


シーン30:12/13・午前1:37・(@19:34~)
珍しく左の溜め糞Lに来て長居しています。 


シーン31:12/13・午前1:41・(@20:34~) 
画面右上でしばらく静止しました。 
退屈なので、5倍速の早回し。 
白く光る目が開いていたままので、仮眠ではありません。 
落ち葉の下で獲物(小さな虫)が動くかすかな物音を聞き取ろうと耳を澄ましているのかな? 
カメラの電池が消耗し、録画途中で打ち切られました。 


シーン32:12/13・午前2:55・(@20:51~) 
うろちょろと探餌徘徊する途中で溜め糞Rを通り抜けました。 


シーン33:12/13・午前3:08・(@21:14~) 
溜め糞Lに居座って何かを採食しています。 


シーン34:12/13・午後18:30・(@21:50~) 
日の入り時刻は午後16:23。 
日がとっぷり暮れてから河畔林を探餌徘徊。 

これ以降はトレイルカメラの設置角度がなぜか勝手に変わってしまいました。 
悪戯好きなカラスがワイヤーロックを嘴で引っ張ったのかな? 
根雪が積もると野ネズミの採食行動がどう変わるのか、一番興味があったのに、その記録が全く残っていなくて残念無念。 
野ネズミは雪国でも冬眠しません。
秋のあいだにせっせと貯めこんだ(あちこちに隠した)堅果類を少しずつ掘り出して食べ、春が来るまで逞しく生き延びるのだそうです。

つづく→

2023/07/27

早朝から柳の樹液に集まるシロテンハナムグリ

 

2022年8月上旬・午前5:20頃・晴れ (日の出時刻は午前4:44)

河畔林の(種名不詳)から樹液が滲んでいて、様々な昆虫が吸汁しに集まる樹液酒場になっています。 
伐採した枝の切り口と小さな樹洞から樹液が滲み出し、発酵しているのです。 
早朝に通りかかると、シロテンハナムグリ(Protaetia orientalis submarumorea)が群がっていました。 
朝日を浴びて鞘翅が銅色に輝いています。 
夜の間から集まっていたのでしょうか? 

いつもはクワガタが占領している樹洞の窪みの奥にもシロテンハナムグリが潜り込んでいました。 
互いに頭を突き合わせて押し合いへし合いし、少しでも樹液の多いスポットを巡って争っています(占有行動)。 
この日はなぜかクワガタなど他の昆虫をこの樹液酒場で見かけませんでした。 
微小なアリ(種名不詳)も柳の枝を徘徊していました。 

※ 後半は動画編集時に逆光補正を施しています。 
朝日の射さない日陰は未だ薄暗く、シロテンハナムグリ鞘翅の金属光沢が失われて斑点模様もゴマダラカミキリのような印象でした。
以下の写真はフラッシュを焚いて撮りました。
 

2023/07/26

初冬のスギ林道を夜中に全力疾走するニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年12月中旬・午前1:20頃・気温0℃ 

雪が降っていないのに、気温は零度まで下がりました。
里山のスギ林道に設置したトレイルカメラが深夜に何に反応して起動したのか不明です。 
しばらくすると、1頭のニホンカモシカCapricornis crispus)が左から右へ林道を駆け抜けて行きました。 
本気の全力疾走を1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 

何か捕食者に追われているのかと思ったのですが、追跡者は何も写っていませんでした。 
カモシカ同士が縄張り内でばったり出会ってしまったのかもしれません。 (縄張り争いからの逃走)
先行して逃げる個体をカメラが撮り損ねてしまい、後から追いかける個体が撮れていた、と考えれば一応辻褄が合います。

※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

夜の池に張られた網を自ら取り壊すクモ【蜘蛛:トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年8月中旬・午前0:15頃 

里山の湧き水が溜まった泉を自動センサーカメラで見張っていると、コウモリが飛来する合間に小さなクモが写っていました。 
画面の左上から造網性クモ(種名不詳)が下に降りてきました。 
引き糸(しおり糸)にぶら下がりながら懸垂下降しているのか、何度もバウンドするように池の水面に触れています。
このクモはまさか水を飲んでいるのでしょうか? 
こしきから降りてきたクモが水面の落枝などに引き糸を固定したはずです。 
引き糸の上部で強く光る白点は円網のこしきなのでしょう。 
途中からクモが大きく見えるようになったのは、カメラに対して近づいたからです。 
どうやら左岸から此岸へ斜めに円網の枠糸が張り渡してあったようです。 
以上、クモの動きから推理すると、池の上に張った網を自分で壊しながら登り返しようです。 

こんな真夜中に破網するということは、網にたくさんの獲物がかかって破け、使い物にならなくなり、張り替えるのでしょう。 
あるいは夜霧が立ち込めるようになり、円網の横糸に水滴が付いて粘着性が落ち、捕虫網として使い物にならなくなったのかもしれません。 
飛来したコウモリに網を壊されて獲物を盗まれた可能性もありそうです。 



2023/07/25

初冬の河畔林で虫を捕食する野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年12月上旬・午後19:30頃 

夜の河畔林で溜め糞場rvの近くをウロチョロ徘徊して餌を探していた野ネズミ(ノネズミ)が落ち葉の下に隠れていた何か黒っぽい細長い虫?を引っ張り出しました。 
少し離れた場所に運ぶと、ゆっくり平らげました。 
1.5倍に拡大してリプレイしてみましょう。(@1:01〜) 
更に、動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しました。 
野ネズミに噛まれて暴れている獲物は、ミミズではなく明らかに昆虫のようです。 
なんとなくハサミムシの仲間かな?と思うのですが、この画質では確定できません。 


ツユクサの花で集粉するクロマルハナバチ♀の羽ばたき【ハイスピード動画】

 

2022年7月中旬・午前11:30頃・晴れ 

農村部の休耕田に咲いたツユクサの群落でクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が忙しなく訪花していました。 
その様子を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。 
後脚の花粉籠に白い花粉団子を満載しています。 

ツユクサは花蜜を全く分泌しないらしく、送粉者への報酬は花粉だけです。 
したがって、訪花中のクロマルハナバチ♀は口吻を伸ばさないはずです。 
その証拠映像を撮りたかったのですが撮影アングルがいまいちで、肝心の口元が花に隠れて見えませんでした。 
ツユクサの花から飛び去る際に黒い口吻が伸びていた!と思いきや、よく見ると触角でした。(@1:06〜) 

この後で高画質のFHD動画に切り替えて撮影しようとしたら、採餌を終えた蜂に逃げられてしまいました(帰巣)。





【おまけの動画】
NHKオンデマンド「植物に学ぶ生存戦略①ツユクサ(夜の店の繁栄術)」


2023/07/24

夏の夜の水場でコウモリが狩りに成功?【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年8月上旬・午後21:45頃 

里山の水場をトレイルカメラで見張っていると、夜な夜なコウモリ(種名不詳)が飛来します。 
奥の森から飛来したコウモリが此岸で急旋回して引き返しました。 
このときは水面に触れていないので、飲水行動ではありません。 

飛び去るコウモリの足に何か細長い物がぶら下がっていました。 
1/4倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。 
動画のフレームレートが25fpsでは何が起きたか、いまいちよく分かりません。
どうやらコウモリは此岸の灌木の辺りで素早く狩りをしたようです。 
泉から水草を採取して行ったようにも見えますが、この池に水草は生えてないので除外できます。 
池の上に張られたクモの網にかかって暴れていた獲物をコウモリが掠め取ってきたのではないか?と想像しました。 
あるいは網に占座するクモそのものを網ごと狩ったのかもしれません(一網打尽)。
破れたクモの網がコウモリの足にまとわりついたまま飛び去った、という解釈です。 
コウモリの狩りの成功シーンらしきものがトレイルカメラで撮れたのは初めてです。 
どこか安全な止まり木に逆さまにぶら下がってから、落ち着いて獲物を食べたり、足にべっとり付着したクモの巣を毛繕いで取り除いたりするのでしょう。


後半は続きの5倍速の早回し映像です。 
蛇足かもしれませんが、コウモリが飛び去った後も何事もなかったように水面に多数のアメンボが泳いだり、周囲を夜蛾が飛び回ったりしています。 

つづく→

初冬の林床に置いた袋に群がるムラサキトビムシ?の謎

 

2022年12月上旬・午後13:10頃・くもり 

雑木林が広がる山林の斜面に設置したトレイルカメラの電池を交換しに来ました。 
作業する前にザック内の荷物を広げて林床に置いておいたら、いつの間にか微小の黒い虫が大量によじ登っていました。
こんなことは初めてです。
ギョッとしましたが、よく見るとピンピン跳んでいるのでトビムシの仲間と判明。 
昆虫よりも原始的な節足動物です。 
ムラサキトビムシHypogastrura communis)またはその仲間ですかね?
袋に固着している訳ではなく、バサバサと軽く振ったり払ったりすれば簡単に落ちてくれます。 

着替えを入れた黄色い防水袋の表面を夥しい数のムラサキトビムシ?が這い回っています。
採寸のために何か大きさの比較対象物を並べて置くべきでしたね。 
ときどき自発的にピンと跳ねて居なくなります。 
腹部第4節には2又になった棒状の器官がある。この器官は叉状器(または跳躍器)と呼ばれ、普段は腹部下面に寄せられ、腹面にある保持器によって引っかけられている。捕食者などに遭遇した際にはこの叉状器が筋肉の収縮により後方へと勢いよく振り出され、大きく跳躍して逃げることができる。(wikipedia:トビムシの形態より引用)


マクロレンズを装着して接写してみましょう。
退色は紫がかっていました。
6本足で歩行するのは昆虫と同じです。 
トビムシが互いに出会っても何も起こりません。(片方が立ち止まって回避?)
仲間と出会っても驚いてジャンプする訳ではないようです。

白いビニール袋の上にもムラサキトビムシ?の大群が群がっていました。
群れ全体として一方向に移動しているように見えたのですが、何を目指しているのか不明です。
群れとは逆行する天の邪鬼の個体も居るからです。 
突然画面から消えるのは、腹面にある跳躍器を使ってジャンプしたからです。 
まるでポップコーンのようです。
裏返しに着地しても、自力ですぐに起き上がります。 

山登りしてきた汗が引くと一気に体が冷え、指先がかじかんでじっくり接写できませんでした。 
横着しないで三脚を使うべきでした。
特に、トビムシが跳躍器を使って跳ぶ様子をハイスピード動画で接写したかったのですが、曇天の光量不足で諦めました。 
今思えばトビムシを採集して持ち帰れば、室内の明るい照明の下で跳躍シーンをハイスピード動画に撮れましたね。 
現場の山中ではとにかく寒くて、そこまで頭が回りませんでした。 
しかし仮にトビムシの大群を採集したとして、下山中にどうしても激しく揺れますから採集容器の中でピンピン跳ねて消耗してしまうのではないか?と心配です。

この日は山中でハエ1匹も飛んでおらず、見かけた虫はムラサキトビムシ?だけでした。
この日に限って一体どうしてビニール袋にトビムシが群がったのでしょうか?
ザックから出した荷物が私の体温でほんのり暖かく、その熱源にトビムシが誘引されたのでしょうか?
それとも私の着替えから発する汗の匂いが気に入ったのかな?
あるいは、たまたま私が荷物を置いた落葉の下でキノコを食べていたのかもしれません。
雪が積もる前に集団で越冬する安全な場所を探していたのかな?(トビムシの越冬態は成虫?)
それとも、たまたまこの日は明るい原色の袋を置いたので目立ちましたが、これまでも迷彩系の地味な服や荷物を林床に無造作に置いて付着したトビムシに気づかなかっただけかもしれません。

後日、別件の調べ物で相良直彦『きのこと動物』という名著を読んでいたら、第2章「昆虫ときのこ」第6節に「トビムシの菌食」が取り上げられていました。
ふつう(トビムシ:しぐま註)は落葉落枝層の中で、朽ちた落葉落枝と菌糸とを主食としている。(p55より引用)
図18に「きのこにつくムラサキトビムシのなかま」と題した細密画も掲載されています。 
ムラサキトビムシはメジャーな普通種なのでしょう。 
私もこれからはキノコに群がるトビムシについて注目してみることにします。 

高名な昆虫学者である丸山宗利氏の著作のひとつに『アリの巣をめぐる冒険未踏の調査地は足下に』があるのですが、なにより副題がとても秀逸で感銘を受けました(共感)。 
近年は野山に出かけても出会える昆虫の数が激減していて(大絶滅が進行中?)退屈でつまらないなーと思っていたのですが、土壌生物の世界は食わず嫌いで全く手つかずなのでした。 
トビムシに限っても予備知識がほとんど無いので、これから少しずつ勉強しないといけません。 
遠方の原生林にわざわざ遠征しなくても身近な裏山におそろしく広大なフロンティアが広がっていて、生態系の全貌を謎解きする道のりを思うと気が遠くなります。
ネタ切れの心配が無いのは嬉しい悲鳴です。

関連記事(11年前の撮影)▶ 水面に浮いて跳ねるエビガラトビムシ?集団

 

2023/07/23

フクロウ襲撃前後の野ネズミのオニグルミ堅果運搬作業【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年12月上旬

シーン0:12/3・午後・気温15℃・(@0:00〜) 
オニグルミ堅果の給餌は6回目になります。 
今回はカラマツ大木の根元の右側に、予め果皮を剥いたクルミ40個を山盛りに並べて置きました。 
餌場を左から右に移動したのは、少しでも監視カメラに近づけて、野ネズミがクルミを選ぶ様子を詳細に観察するのが目的です。 
右側の餌場Rは三角のポケットのような窪みになっているのですが狭いので、なるべく小さなクルミを選んで山積みにしました。

シーン1:12/3・午後22:18・気温10℃・(@0:05〜) 
給餌した当日の晩から夜行性の野ネズミ(ノネズミ)が早速現れて、いつものようにせっせと餌場通いを始めました。

給餌場Rで選んだオニグルミ堅果を口に咥え、右斜面を右上に持ち去りました。 
途中で羊歯の葉にぶつかるのは前回と同じルートです。 
お気に入りの決まった運搬ルートがあるということは、おそらく同一個体が通っているのでしょう。 


シーン2:12/3・午後22:23・(@0:34〜) 
(これ以降の気温データは異常に高く、信頼できません。) 
右斜面に立ち止まっていた野ネズミが突然弾かれたように垂直に跳び上がりました。 
何かに驚いたのでしょうか? 
警戒を解くと、慎重に餌場Rへ戻りました。 

クルミを1個選ぶと、今度も右上に運び去りました。 


シーン3:12/3・午後22:27・(@1:20〜) 
餌場Rからクルミを持ち去ると、カラマツの根元を右から回り込み、背後を通って左斜面へ運んで行きました。 
クルミを貯食する場所を変えたようです。 


シーン4:12/3・午後22:30・(@1:47〜) 
野ネズミが珍しく左の餌場Lに来ていました。 空っぽであることを確かめてから、右の餌場Rへ。 
選んだクルミを咥えて右斜面を駆け上がります。 


シーン5:12/4・午前5:43・気温5℃(@2:12〜) 
天敵への恐怖で野ネズミはもう餌場には来ないだろうと思いきや、ほとぼりが冷めてから運搬作業を再開しました。 
6時間50分も隠れ家で大休止していたようです。 
その間に気温は5℃まで下がりました。 

餌場Rで選んだクルミを横向きで咥え、正面を向いたところでフリーズしました。 
トレイルカメラの存在に気づいて警戒しているのかな? 
警戒を解くと、慎重に左に少し移動してから斜面を下り、クルミを運びます。 
フクロウに襲われ怖い思いをした右上斜面の運搬ルートは二度と行かなくなりました。
強い恐怖体験によるマウス(ハツカネズミ)の学習はたった1回で成立して、長期記憶が長く持続する、という教科書通りの行動でした。


シーン6:12/4・午前5:47・(@2:52〜) 
今度もクルミを下に持ち去りました。 


シーン7:12/4・午前5:56・(@3:09〜) 
少し間隔が開きました。 
カメラの起動が少し遅れたようで、クルミを咥えて運搬中の野ネズミが餌場Lに居ました。 
大きくて持ちにくそうなクルミを、そのまま左に運んで行きます。 

しばらくすると、シシガシラに覆われた左斜面の隠れ家から戻って来ました。 
餌場Lに飛び込んだところで録画終了。 


シーン8:12/4・午前5:59・(@3:41〜) 
またもやカメラの起動が間に合わず、クルミ運搬中の野ネズミが餌場Lを経由して左に持ち去りました。 


シーン9:12/4・午前6:02・(@3:49〜) 
断続的に朝霧が発生したり風に流されて晴れたりしているようです。 
野ネズミが餌場Rからクルミを右下に搬出。 
クルミを隠す場所を変えたようです。 


シーン10:12/4・午前6:09・(@4:09〜) 
少し間隔が開いてから作業再開。 
今回も餌場Rからクルミを持って右下へ。 


シーン11:12/4・午前6:12・(@4:20〜) 
今回も餌場Rからクルミを持って右下へ。 
決まった運搬ルートを繰り返し使うとまた捕食者に待ち伏せされて襲われるのではないかと傍目には心配です。
あまり学習しないというか、恐れ知らずの個体なのでしょうか? 


シーン12:12/4・午前6:14・(@4:29〜) 
今回も餌場Rからクルミを持って右下へ。 


シーン13:12/4・午前6:17・(@4:40〜) 
朝霧の中を、餌場Rからクルミを咥えて斜面を駆け下りました。 


シーン14:12/4・午前6:19・(@4:54〜) 
朝霧で見えにくいのですが、餌場Rで選んだクルミ1個を右下に持ち去りました。 
しばらくすると、緩斜面の下から餌場Rに帰って来ました。 
全く無駄のない動きで次のクルミを選ぶと、休むまもなく下へ搬出。 
2分間の録画時間内で最大2回の運搬作業が観察できます。 
クルミを貯食する場所は給餌場の近くにあるのでしょう。 


シーン15:12/4・午前6:25・(@5:22〜) 
今回も餌場Rからクルミを持って下へ。 
しばらくすると、斜面の下から餌場Rに戻ってきました。 
次のクルミをまたもや下に運び去ったところで、ちょうど2分間の録画が終了。 


シーン16:12/4・午前6:30・(@5:48〜) 
今回も餌場Rからクルミを持って下へ。 


シーン17:12/4・午前6:34・(@6:07〜) 
日の出(午前6:35)直前で充分に明るくなり、自然光のフルカラーで動画が撮れていました。
映像から野ネズミの同定ができる方がいらっしゃいましたら、教えて頂けると助かります。 
野ネズミは臆病で夜行性のはずなのに、明るい朝になっても餌場Rに通っていました。 
昼行性の捕食者が怖くないのでしょうか? 
オニグルミ堅果への執着がよほど強いのでしょう。
このまま餌場Rにクルミを残しておくと、昼間の間に貯食ライバルのリスが持ち去ってしまうと判断したのかもしれません。
 
関連記事(3週間前の撮影)▶ 珍しく明るい早朝にオニグルミの堅果を持ち去る野ネズミ
残り少なくなったクルミを1個選ぶと、右下に走って持ち去りました。 


シーン18:12/4・午前6:39・(@6:38〜) 
このトレイルカメラは新機種なのに奇妙な癖があり、明るい時間帯でも1つおきにモノクロの暗視映像に戻ってしまいます。 
周囲の明るさに応じて暗視映像で撮るかどうか切り替わるはずですが、薄明薄暮の明度がちょうどその閾値なのでしょうか? 

今回も野ネズミは餌場Rからクルミを持って下へ。 
これが最後の1個だったようです。 


シーン18:12/4・午後17:29・気温0℃(@6:54〜) 
日の入り時刻は午後16:23。
遂に晩の早い時間でも気温が零度になり、この地点での最低気温を更新しました。 
みぞれが横殴りに降っていますが、林床に積雪は未だありません。 
昼間にぐっすり寝て元気になった野ネズミが餌場Rに現れました。 
クルミがもう全く残っていない(新たに追加されていない)ことを確かめると、餌場Lを経由して左に走り去りました。 

常緑の羊歯シシガシラに覆われた左斜面を右往左往する野ネズミの白い目が光って見えます。 
カラマツの背後を通って右斜面でも餌を探し歩きます。 
餌場通いを止めて、通常の探餌徘徊モードに戻ったようです。 
野ネズミは寒さに強く、冬ごもり(冬眠)しません。
雪国での活動限界は零下何度なのでしょう?

※ 暗視映像が暗い場合は、動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 



ホバリングしながらツリフネソウの花蜜を吸うクロホウジャク?(蛾)

 

 2022年9月上旬・午後13:50頃・晴れ 

沢の水が流れ込んでいつも泥濘になっている山道の横に咲いたツリフネソウの群落でクロホウジャクMacroglossum saga)らしき蛾が訪花していました。 
花から花へ忙しなく飛び回り、停飛(ホバリング)しながら口吻を伸ばして吸蜜します。 

1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:30〜) 
途中で葉っぱの上にカンタンがカメオ出演しています。 

ハイスピードモードに切り替えたりストロボを炊いて同定用の写真を撮ったりする前に飛び去ってしまいました。 


関連記事(5年前の撮影)▶ 


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