2024/01/27

昼間に巣外で相互毛繕いするニホンアナグマ♀とヘルパー♂【トレイルカメラ】

 



2023年6月上旬

ニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)で巣穴の主である♀とヘルパー♂が明るい日中に相互毛繕いするシーンをまとめました。 


シーン1:6/1・午前8:43・気温17℃・(@0:00〜) 
よく晴れた午前中に、互いに相手の毛皮を甘噛みするように舐めています。 
手前の巣口Rから上半身を乗り出した左の個体が、首筋に白斑があるので、♀だと思います。 
その後は自分の体で痒い部分を掻き始めました。 


シーン2:6/5・午前6:11・気温13℃・(@1:00〜)日の出時刻は午前4:14。 
4日後の早朝にも2頭(親子)が朝日を浴びながら、巣口R付近で念入りに相互毛繕いしていました。 


シーン3:6/5・午前6:14・気温14℃・(@2:00〜) 
そのまま巣口Rから林縁の広場に移動して相互毛繕いを続けていました。 
延々と続く毛繕いを見ていても退屈なので、5倍速の早回し映像でお届けします。 


シーン4:6/5・午前6:22・気温14℃・(@2:24〜) 
林縁で2頭が並んで仰向けになり、各自の体を掻いています。 
その後は相互毛繕いに戻りました。 


シーン5:6/5・午前8:43・気温23℃・(@2:49〜) 
ヘルパー♂が単独で右の林縁に座り込み、手前の巣口Rを見つめています。 
やがて巣口Rから♀が顔を出し、互いに見つめ合いました。 
互いに歩み寄ると、巣口Rで相互毛繕いが始まりました。 
相互毛繕いを始める瞬間を初めて観察することができました。 

巣口Rから右の広場に少し移動して、相互毛繕いを続けます。 


シーン6:6/5・午前10:14・気温23℃・(@3:13〜) 
ヘルパー♂が単独で右の林縁で仰向けに座って、毛繕いと体掻きを始めました 
股間に陰茎が見えるので、♀ではなく若い♂(1年仔)のヘルパーですね。 
 やがて巣穴Rから♀(首筋に白斑)が出て来ました。 
ヘルパー♂は広場で出迎えて、♀と相互毛繕いを始めました。 


シーン7:6/9・午後12:30・気温18℃・(@3:38〜) 
昼過ぎに2頭が広場に出てきました。 
身震いしてから、互いに向かい合って相互毛繕いを開始。 


いつもヘルパー♂が先に巣外に出ており、後から出巣してくる♀を待ち受けて、相互毛繕いが始まるようです。 


つづく→

スギ防風林でタヌキの溜め糞場に群がるクロボシヒラタシデムシの幼虫と成虫【10倍速映像】

 

2023年5月下旬・午前11:00頃・くもり 

平地でスギ防風林でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残したと思われる溜め糞場phを新たに見つけたので、ときどき定点観察に通っています。 
スギの根元と倒木に挟まれた地面に新鮮な糞が追加されていました。 

横に三脚を立てて、糞食性昆虫の活動を8分間微速度撮影してみました。 
スギ植林地の林床はかなり薄暗いので、カメラの設定で明るさを上げました。 
10倍速の早回し映像をご覧ください。 
一番多いのはクロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)の幼虫で、成虫も少し来ていました。 
他にはキンバエ類や微小なハエ(種名不詳)も集まっています。 

後にこの地点にもトレイルカメラを設置して、タヌキが排便に通っていることを確かめました。(映像公開予定



手前にスギ倒木。(右下隅にちらり)

2024/01/26

アナグマの営巣地に出没する野ネズミの巣穴を見つけた!【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月下旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)が営巣する二次林の林床に夜な夜な出没する野ネズミ(ノネズミ)の記録です。 
夜の林床をチョロチョロと駆け回って餌を探しているようです。 
アナグマの巣穴RとLにも出入りしているように見えるのですけど、同居しているのか、それとも単なる探索行動なのか、はっきりしません。 
個人的な見解としては、後者に傾きつつあります。 

シーン1:5/26・(@0:00〜) 
野ネズミがアナグマの巣穴LやRに飛び込んでも、アナグマが怒って追い払っている様子はありません。
巣穴の奥まで侵入してないような気がします。


シーン2:5/27・(@2:17〜) 


シーン3:5/28・(@5:07〜) 


シーン4:5/29・(@5:42〜) 
遂に野ネズミの巣穴の位置が判明しました。 
画面の赤丸に注目してください。(@5:48〜) 
カメラの起動が遅れたので一瞬の出来事ですが、手前にあるアナグマの巣穴Lの左上エリアで野ネズミが地中に潜り込みました。 
地面に小さな巣穴があるようです。 
今後はこの野ネズミの巣穴にも注目していきます。 
野ネズミが自分の巣穴に出入りする動きは素早いようで、なかなか監視カメラに記録されません。 

次は野ネズミが自分の巣穴からひょっこり外に出てくる瞬間が撮れていました。 (画面の赤丸@6:04〜) 


シーン5:5/30・(@6:51〜) 
次は野ネズミが自分の巣口をうろつく様子です。 (画面の赤丸@7:08〜) 

野ネズミが巣口から顔だけ出しているのか、白い目だけが光って見えます。(画面の赤丸@8:06〜) 
かすかに動いているので、地面にうずくまって何か食べたり毛繕いしたりしていたのかもしれません。 

次は野ネズミが出巣する瞬間が撮れました。(画面の赤丸@8:55〜) 


シーン6:5/31・(@9:33〜) 
珍しく日没直後の午後19:02から野ネズミが活動を始めました。(画面の赤丸) 
日の入り時刻は午後18:58。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


遂に野ネズミ自身の巣穴の位置が判明したのは朗報ですが、現場検証で巣口を確かめてはいません。 
子育て中のアナグマ♀を刺激したくないので、トレイルカメラの電池を交換するために現場入りしたときも、巣穴付近のエリアには決して立ち入らないようにしています。 
アナグマの暮らしに興味がある私としては、林内の野ネズミは厄介な存在です。 
野ネズミが頻繁に出没するせいで、自動センサーカメラがいちいち反応して電池が消耗してしまうのです。 
これから「ねずみ算」で増えるとなると、アナグマ営巣地(セット)に「ネズミ捕り」を仕掛けたくなります。 
ところが、ある時期を境にして、野ネズミの出現頻度が減りました。 
どうやら捕食者が活躍するようになったようです。 
生物多様性が保たれた森ではうまいことバランスが保たれているなーと実感しました。 
あるいは、野ネズミも繁殖期は特に忙しく探餌活動していたのかもしれません。


山中の池で泳ぐトウホクサンショウウオの幼生

 



2023年6月上旬・午後13:30頃・晴れ 

里山の湧き水が溜まった泉に久しぶりの定点観察に来てみると、トウホクサンショウウオHynobius lichenatus)の卵嚢は無くなっていました。 
孵化したはずなので水中を探すと、トウホクサンショウウオの幼生が泳いでいました。 
撮影中は1匹しか気づかなかったのですが、冒頭のシーンで画面の左端に居たもう1匹が落ち葉の下に素早く潜り込みました。 
浅い水中にただ浮いているだけの時間が長く、ときどき尾びれをくねらせて前進します。 
緑の藻が水底に生えているのに、採食行動は見られませんでした。 
 水中で黒いオタマジャクシとニアミスしたり、アメンボが水面を滑走したりしても、トウホクサンショウウオの幼生は無反応でした。 

後半は水面からの乱反射が眩しくなりました。 
偏光フィルターをレンズに装着すべきでしたね。

前年にこの池で初めてトウホクサンショウウオの幼生を見つけたときは、興奮のあまり手掴みで慌てて捕獲し、観察ケースに入れて撮影しました。
今回ようやく繁殖池での自然な遊泳シーンを動画で記録することが出来ました。


 
アズマヒキガエルBufo japonicus formosus)の幼生と思われる黒いオタマジャクシの大群も日向の浅い岸辺で蠢いていたのですが、前年と同じなので、その動画は割愛します。 
サンショウウオの幼生は共食いするらしく、同じ池で高密度に群れて暮らすことはありません。



2024/01/25

深夜の原っぱをうろつくホンドタヌキの親と巣口で留守番する幼獣【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬

休耕地に掘られたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の巣穴を監視するトレイルカメラの設置場所を変更しました。 
ローアングルでの撮影は色々と問題があったからです。 
巣穴まで少し遠くなるのですが、オニグルミ立木の幹に固定し、ハイアングルから(俯瞰で)狙うことにしました。 


シーン1:6/1・午後23:00・気温17℃(@0:00〜) 
深夜に親ダヌキが原っぱを左から右に歩いて、巣穴に入ったようです。 
雑草が伸び放題のため、巣穴は隠れて見えません。 

親ダヌキはすぐに出巣して、奥に歩き去りました。 
巣口で別個体の目が白く光っているのは、おそらく留守番している幼獣でしょう。 

監視カメラを巣穴から相当離したので、タヌキは警戒しなくなり、自然な行動が記録できるようになりました。 
逆に巣穴まで遠過ぎて暗視映像の撮影は無理か?と心配でした。
新機種のトレイルカメラでは内蔵された赤外線LEDの明るさを最強(far)に設定することが可能で、結構遠くまで写っていました。 
その代わり、電池は激しく消耗することになります。 


シーン2:6/3・午前1:11・気温16℃(@0:54〜) 
2日後の深夜、原っぱを親ダヌキが左から右へ歩いて、奥の巣穴に立ち寄ってから右奥に向かって歩き去りました。 
現場検証すると、原っぱにはタヌキの獣道が何本か走っていることが分かります。

手前に伸びたオニグルミの枝葉が赤外線を反射して、邪魔ですね。 
特に、上から垂れ下がるオニグルミの枝葉が白飛びしています。 
次に現場入りしたときには、カメラの設置アングルを工夫するか、この邪魔な枝葉をなんとか取り除かないといけません。 


ハルニレ樹上で交尾するヨツモンカメムシ♀♂

 

2023年5月下旬・午前11:15頃・くもり

平地のスギ植林地に自生する若いハルニレ灌木の枝先でヨツモンカメムシ♀♂(Urochela quadrinotata)が交尾していました。 
動画で撮っても、逆向きで交尾するカメムシの♀♂ペアに動きはありませんでした。 
しばらくして私が撮影アングルを変えたら、V字姿勢で交尾していました。 
性別の見分け方を知らないのですが、腹部がやや膨満している個体が♀なのでしょう。 

関連記事(6年前の撮影)▶ ヨツモンカメムシ♀♂交尾中の綱引き 


以前もハルニレ樹上でヨツモンカメムシ♀♂が交尾していたので調べてみると、ニレ科植物を寄主(食樹)とするらしく、納得しました。 
余談ですが、ヨツモンカメムシは日本のクヌギカメムシ科では唯一、成虫で越冬するそうです。(一般的には卵越冬。)

2024/01/24

夕方の営巣地で親子水入らずで過ごすホンドタヌキ【トレイルカメラ】

 

2023年5月下旬

休耕地に掘られたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の巣穴を自動センサーカメラで監視した記録映像です。

シーン1:5/31・午後18:32・(@0:00〜)日の入り時刻は午後18:58。 
日没前の薄暮にトレイルカメラが起動しました。 
草むらの緑がうっすらと見えます。 
タヌキの親子が巣口に出て来ました。 
親は大きく動き回って周囲を警戒しているのに対して、幼獣は巣口からあまり離れず、何頭居るのかよく見えません。 
雑草の草丈よりも幼獣は未だ小さいので、ローアングルの監視映像では全身が見えず、もどかしいです。 
やがて親ダヌキが巣口で幼獣に対他毛繕いをしてから、右に立ち去りました。 

ちなみに、前半(0:22〜0:40)画面の左下隅でレンズの至近距離を動いているのは、別個体のタヌキがトレイルカメラの匂いを嗅いでいるのでしょうか? 
鼻息などが聞こえなかったので、マイマイガLymantria dispar japonica)の幼虫などの毛虫がレンズの表面を這い回っただけという可能性もありそうです。 


シーン2:5/31・午後18:42・(@1:00〜) 
10分後、タヌキの成獣が原っぱに佇み、左を眺めながら欠伸をしました。 
(写真集:中川遊野『どうぶつのあくび』)
遠くでカラスが鳴いています♪ 

やがて右の巣穴から外に出てきた別個体の成獣が背後から近づき、対他毛繕いを始めました。 
パートナーの毛皮を甘噛みしています。 
どうやら、この2頭は♀♂つがいのようです。 
巣口では2頭の幼獣が動いているのが見えます。 


シーン3:5/31・午後18:57・(@2:00〜) 
15分後、親ダヌキの1頭が巣口の近くで佇み、辺りを警戒したり自ら毛繕いしたりしています。 


シーン4:5/31・午後19:00・(@3:00〜) 
親ダヌキが居なくなりましたが、奥の巣口付近の草むらで幼獣が遊んでいます。 

やがて親ダヌキが右から現れました。(出巣した?) 
奥の草むらに少し移動してから体を掻いています。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


野生ニホンカモシカの抜け毛【フィールドサイン】

2023年6月上旬・昼頃・晴れ 

里山のスギ林道の横の斜面に落枝が引っかかり、折れた先端部が道端から突き出したまま放置されています。 
この辺りを縄張りとするニホンカモシカCapricornis crispus)がこの林道を通りかかる度に、このスギ落枝の尖った先端に眼下腺でマーキングしていることがトレイルカメラによる撮影で分かっています。 


関連記事(2022年の撮影)▶  


すでに監視カメラを撤去してしまったのですが、久しぶりに現場入りしてみると、スギ落枝の先端部に白っぽい体毛が何本も絡みついていることに気づきました。 
これはカモシカが顔をゴシゴシと擦り付けた際に抜けた体毛と考えられます。 

撮影後、念の為に抜け毛を採取しました。 
もし毛根が残っていればDNA鑑定が可能となり、眼下腺マーキングした複数個体の識別や血縁関係などが明らかになるはずです。
このときピンセットを持参してなかったのでやむなく素手で摘み取りました。
したがって、私のDNAでサンプルを汚染してしまいました。

カモシカの話から外れますが、農耕地を取り囲む有刺鉄線に絡みついた抜け毛を積極的に集めて顕微鏡で分析するだけでも、有刺鉄線をくぐり抜ける害獣の種類がある程度見分けられるのだそうです。

田植え後の水田で採食するカルガモ(野鳥)

 

2023年6月上旬・午前10:35頃・晴れ 

田植えの済んだ水田に1羽のカルガモAnas zonorhyncha)が飛来、着水しました。 
(映像はここから。) 
ときどき嘴を開閉して鳴き声を発しているようですが、風が強い上に遠くて聞き取れません。 
仲間を呼んでいるのでしょうか? 
(私の見る限り、周囲にカモ類は全くいないようです。) 

しばらくすると、田んぼの水面を遊泳しながら嘴を水中に突っ込んで採食を始めました。 
採食の合間にもときどき鳴いています。 

やがて、キジ♂(Phasianus versicolor)が母衣打ちをする絶叫♪がケンケーン♪と辺りに響き渡りました。(@1:10〜) 
縄張りを宣言するキジ♂の声量は圧倒的です。 

稲作で除草剤や殺虫剤をなるべく使わないようにする有機農業にアイガモ農法という試みがあります。 
私は未だ実際に見たことはありませんが、アイガモの雛鳥や若鳥を田植え後の水田に放ち、自由に遊泳・採食させることで、雑草や害虫の発生を抑えることが期待できます。 
アイガモの糞はそのまま水田の肥料となり、育ったアイガモは鴨肉として食べる、という一石二鳥どころか、三鳥、四鳥もあるアイデアです。 
しかし手間の割には肝心の除草効果が安定しないなどの課題が浮かび上がってきたそうです。 

水田で採食する野生のカルガモの数が多ければ、アイガモ農法と同じ原理で除草効果が期待できます。
しかし、野鳥は自由気ままに飛び去ってしまうのが問題です。
(だから合鴨農法では飛べない雛や若鳥を使うのです。)
実は今回、カルガモが採食する田んぼの隣の区画では、最先端のアイガモ・ロボットが黙々と稼働していました。 


2024/01/23

夜の丸木橋を続けて渡るハクビシンのペア【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月下旬

ハクビシン(白鼻芯、白鼻心;Paguma larvata)が丸木橋を利用するシーンをまとめました。

シーン0:5/18・午後12:55・(@0:00〜) 
明るい昼下がりにたまたま撮れた現場の様子です。 
画面の手前から奥に向かって浅い小川が緩やかに流れています。 
左岸に立っていたニセアカシアが右岸に向かって倒れた結果、天然の丸木橋となっています。 
倒木の状態になってからも横枝が湾曲しながら真上に向かって何年も成長したようです。 


シーン1:5/21・午後22:19・(@0:05〜) 
ある晩、2頭のハクビシンが相次いで丸木橋を渡っていました。 
♀♂つがいなのかな? 
この地点で♀♂ペアが行動を共にするのは初見です。 

後続個体は両目がギラギラと白く光っていて正常ですが、先頭個体は隻眼のようです。 
両眼視の不自由な隻眼個体が自信満々に夜の丸木橋を先導していたとは意外でした。 
視覚のハンディキャップをほとんど感じさせません。
隻眼個体の木登り能力が気になります。 


シーン2:5/24・午前0:03・(@0:16〜) 
3日後の深夜にカメラが起動したときには、謎の野生動物が丸木橋を左から右に渡り終えるところでした。 
右岸を登りかけたものの、なぜか引き返して来ました。 
猫かと思いきや、倒木を伝って右岸から左岸へ渡ったのは、尻尾が長いハクビシンでした。 
両眼が正常な個体です。 
監視カメラの電池が消耗していたせいで、ハクビシンが左岸を登りかけたところで録画が打ち切られてしまいました。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 

つづく→? 

野生動物が渡る丸木橋を少なくとも通年は定点観察したいところですが、諸事情によりこの地点での監視を打ち切り、トレイルカメラを撤収しました。 
初夏になり下草や木の葉の成長が旺盛になると、画角の視界が遮られたり、草木の風揺れによる誤作動がますます増えたりして、続けてもストレスの多い撮影になりそうと判断しました。 
限られた撮影機材をアナグマなど他のプロジェクトに集中投入します。(選択と集中)


幼虫を運んで引っ越しをするトゲアリ♀の行列

 

2023年5月下旬・午後13:00頃・晴れ 

トゲアリPolyrhachis lamellidens)の行列が二次林の林床を横切るように移動していました。 
地面よりも細い落枝をなるべく選んで伝い歩きしているようです。 
仲間とすれ違う際には、触角で挨拶を交わします。 

トゲアリ大群の行列をよく観察すると、大顎で白い幼虫を咥えて運んでいるワーカー♀がいます。 
トゲアリが奴隷狩りをするという話は聞いたことがないので、おそらくコロニー全体が新しい巣へ引っ越すところなのでしょう。
・何らかの理由で環境が悪化すると、一旦乗っ取りに成功して繁栄した巣穴を捨てて、近距離の別所に引っ越す場合もある。

・本種は他のアリのコロニーに一時的に寄生する一時的社会寄生を行う。寄生するアリの種としては、クロオオアリ、ミカドオオアリ、ムネアカオオアリが確認されている[1]。 (wikipedia:トゲアリより引用)

右から左に向かって引っ越しているはずなのに、画面の左端で小さな幼虫を咥えた♀がなぜか逆行しようとして立ち止まっているのが興味深く思いました。(@0:53〜) 
ワーカー♀にも引っ越しをサボりたい個体がいるのでしょうか? 



アナグマの営巣地に向かう途中だった私は先を急いでおり、トゲアリの新旧の営巣地を確かめる余裕がありませんでした。 
若葉が鬱蒼と生い茂った林内は晴れた昼間でもかなり薄暗く、カメラのAFでもピントを合わせるのに苦労しました。

2024/01/22

朝から営巣地の森への侵入者を警戒するニホンアナグマ【トレイルカメラ】

 




2023年6月上旬・午前8:50頃・気温14℃ 

明るい午前中から珍しくニホンアナグマMeles anakuma)が巣口Rの外に出てきています。 
動画の冒頭で、画面の右を黒っぽい毛皮の獣が右に走り去りました。 
なんとなくホンドタヌキNyctereutes viverrinus)のように見えるのですけど、1/3倍速のスローモーションでリプレイしても、正体が何者かはっきりしません。 
アナグマのヘルパー♂が侵入者を追い払おうと、走って追いかけて行ったのかもしれません。 
巣口Rをガードするアナグマ(♀?)が林内を右へ逃げる動物を目で追わずに(眼中に無い?)、カメラ目線で仁王立ちしているのが奇妙です。 
その後も巣口Rの横で腹這いになって周囲を警戒しています。 

アナグマがこれほど警戒する天敵の正体が分からずじまいなのは残念でした。


赤い首輪で標識されたコハクチョウが雪解け田んぼで採食【冬の野鳥:10倍速映像】

 



2023年3月下旬・午後15:45頃・くもり 

早春の雪解け田んぼに集結して落ち穂拾いしているコハクチョウCygnus columbianus bewickii)の大群を撮影した動画を見直すと、赤い首輪を装着した個体が混じっていました。
コハクチョウは、北極圏の繁殖地と日本の越冬地を毎年行き来する渡り鳥です。 
渡り行動を研究するために、一時捕獲した個体に首輪や足輪を付けて放鳥するプロジェクトが続けられています。 
標識された鳥を見つけたら、世界中のバードウォッチャーが報告することになっています。 
撮影中に気づいていれば、この標識個体を重点的に観察したのに、残念です。 
微速度撮影中の私は三脚を立てて画角を決め録画を始めた後はひたすら寒風に耐えるだけで、何が撮れているかチェックしてませんでした。
長撮りする際はカメラの電池を節約するために、液晶画面(バックモニター)の表示をオフにしていたのです。


動画を拡大してみると、プラスチックの赤い首輪に白い文字で「C48」または「C4B」と書いてあります。 
 「標識コハクチョウ名簿」サイトで調べると、「首輪-赤C46」および「首輪-赤C48」が登録されていました。 
目撃情報から、おそらく「首輪-赤C48」だろうと判明しました。 
この個体は2年前の2021年8月1日にロシアの北極海に面するチャウン湾で標識されていました。
標識時には若鳥だったのに、2年後にはすっかり成鳥になっています。 
渡りの途中でも日本各地で何度か目撃されています。 
どうやら新潟県で越冬しているらしく、ここ山形県や北海道を経由してロシアに渡去していました。 
近くの最上川を集団塒として山形県内で越冬する個体群が餌場に通っていた訳ではありませんでした。

地道な個体標識プロジェクトの強み・凄みをまざまざと実感しました。
白鳥の大群を漠然と眺めているよりも解像度が格段に上がり、特定の個体の暮らしぶり(生活史)が浮かび上がってきます。 
個人的には、どうしても白鳥にGPSやアクションカメラ(GoProなど)を装着して移動ルートの詳細なデータを取りたくなります(バイオロギング)。

2024/01/21

ニホンアナグマの諸活動:5月下旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月下旬

二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の巣穴LRを新旧2台のトレイルカメラで監視しています。 
何か特筆すべき行動は個別に記事を書くのですが、残り物というか、とりとめもない諸活動をまとめました。 
営巣地(セット)をうろついたり、巣穴に出入りしたり、毛繕いをしたり、など。 
観察歴の浅い私が見落としている行動が多々ありそうですし、念の為に記録を全て残しておきます。 
一番の問題は、個体識別がまだ不完全なことです。
(以下の記述も個体識別が一部間違っているかもしれません。)


シーン0:5/26・午後12:33・(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
手前にあるのが巣穴Lです。 
右上奥に巣穴Rがあるのですが、右手前の灌木が邪魔でよく見えません。 


シーン1:5/26・午後18:29・(@0:03〜)日の入り時刻は午後18:54。 
日没前でも鬱蒼とした林内はそうとう暗いです。 
画質はかなり粗いものの、珍しくフルカラーで撮れていました。 
首筋に白斑のある♀が手前の巣穴Lに入り、しばらくすると再び外に出て来ました。 
身震いしてから周囲をキョロキョロと警戒。 


シーン2:5/27・午前0:49・(@0:30〜) 
日付が変わった深夜、♀が入巣Lしました。 
夜霧(霧雨?)が風に流れています。 


シーン3:5/27・午前0:54・(@0:37〜) 
♀が出巣Lした後で身震いしてから入巣R。 


シーン4:5/27・午前0:56・(@1:09〜) 
♀が入巣L。 
すぐにまた出巣Lすると、外で身震いしてから、奥の二次林へノソノソ立ち去りました。 


シーン5:5/26・午後13:02・(@1:42〜) 
別アングルに設置した新機種のトレイルカメラで明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
画面の中央付近に写っているのが巣穴Rで、巣穴Lは画面の左端にあるのですが手前の灌木の茂みが邪魔で見えません。 
気温28℃は異常値で信頼できません。 


シーン6:5/27・午前2:18・気温13℃(@1:42〜) 
右目の小さな♀が広場に居ました。 
キョロキョロしてから入巣R。 


シーン7:5/27・午前3:14(@2:09〜) 
ニホンアナグマ♀が入巣L。 


シーン8:5/27・午前3:21(@2:18〜) 
♀が入巣L。 
このとき幼獣を運んだかもしれませんが、カメラの起動が遅れて不明です。 
次に出巣Lすると、ちょっと立ち止まって警戒してから入巣R。 


シーン9:5/27・午前3:23(@2:47〜) 
引っ越しを終えて一段落したのか、♀が身震いしてから地面に座りました。 
体を左足でボリボリ掻いてから入巣L。 


シーン10:5/27・午前5:57(@3:05〜)日の出時刻は午前4:18。 
明るい早朝なのに珍しくフルカラーで録画されていました。
(旧機種のトレイルカメラは気まぐれです。) 
首筋に白斑がある♀が巣口Lで身震いしてから入巣L。 
肩から上の頭部はクリーム色の(白っぽい)毛色でした。 

すぐに後退して巣口Lから顔を出すと、カメラを警戒しています。 
奥の巣口Rを点検してから手前の巣穴Lに戻りました。 
なぜか神経質で、とにかく周囲を警戒していますけど、理由が分かりません。 


シーン11:5/27・午前5:59(@4:03〜) 
♀が入巣R。 


シーン12:5/27・午後17:15・気温24℃(@4:12〜) 
夕方に♀が奥の広場から入巣R。 


シーン13:5/27・午後19:36(@4:23〜)日の入り時刻は午後18:55。 
とっぷり暗くなった晩にヘルパー♂が右から登場。 
手前の巣口Lを回り込んで左の広場に移動すると、地面に座り込んで仰向けになり毛繕いを始めました。 
至近距離で大股開きになってくれたおかげで、股間に睾丸が見えました。 
股間の黒い部分は影なのか、黒い体毛なのか、どちらでしょう? 
体勢を変えて体の痒い部分を脚で掻いています。 

奥の広場に移動してから、再び仰向けになって毛繕い。 


シーン14:5/27・午後23:46(@7:24〜) 
右手前の枝葉が邪魔でよく見えませんが、奥の巣穴Rに潜り込んだようです。 


シーン15:5/28・午前3:58・気温15℃(@7:33〜) 
日付が変わった未明に、奥の広場から♀(右目<左目)がゆっくり入巣R。 


シーン16:5/28・午後17:43(@7:58〜)日の入り時刻は午後18:56。 
夕方に♀が入巣R。 
カメラの起動が遅れ、幼獣を運んでいるか不明です。 
次に出巣R➔入巣Lした個体は首筋に白班が無いのでヘルパー♂のようです。 


シーン17:5/28・午後19:50(@8:22〜) 
♀が巣口LRの間に座って体を掻いています。 
しばらくすると入巣R。 


シーン18:5/29・午後18:43・(@9:00〜)日の入り時刻は午後18:56。 
日没直前なのに真っ暗です。 
画面全体がうっすらと曇っているので、湿度が高そうです。 
♀が巣口RLの間に座って体を掻いてから入巣R。 


シーン19:5/29・午後18:45・(@9:27〜) 
入巣L。(カメラの起動遅れ) 


シーン20:5/29・午後19:13・(@9:35〜) 
頭を巣口Lに突っ込んでいた♀が出巣Lすると、左の広場に座って仰向けになりました。 
毛繕いや体掻きを始めました。 
大股開きの股間に陰茎・睾丸が見えないので♀だと思うのですが、腹に乳首が見えないのが不思議です。 
立ち上がると奥の二次林へ歩き去りました。


シーン21:5/29・午後20:45・(@10:35〜) 
♀が広場で身震いしてから入巣L。 


シーン22:5/29・午後20:49・(@10:44〜) 
巣口Lから伸びるアクセストレンチには巣材の落ち葉が敷き詰められています。 
次の引っ越しに備えて、幼獣を運搬中に地面で擦らないよう予め緩衝材を敷いておいたのかな?と思いつきました。 


シーン23:5/29・午後20:50・(@10:52〜) 
♀が入巣R。 
カメラの起動が遅れ、幼獣を運んだかどうか不明です。 

右手前の枝葉が邪魔で巣口Rがよく見えないのももどかしいです。 
巣穴を隠すように伸びた灌木を伐採したくなりますが、営巣地を人為的に撹乱するとアナグマ♀が嫌がって引っ越してしまう恐れがあるため手出しが出来ません。 


シーン24:5/29・午後20:51・(@11:04〜) 
♀?が入巣L。 


シーン25:5/29・午後21:26・(@11:11〜) 
♀が巣口Rを点検してから、入巣R。 


シーン26:5/29・午後21:28・(@11:31〜) 
入巣L。 
トレイルカメラの電池がかなり消耗してきて、細切れの映像しか撮れなくました。 


シーン27:5/29・午後21:28・(@11:36〜) 入巣R。 


シーン28:5/29・午後21:35・(@11:44〜) 
ひょいと見上げてカメラ目線になると右目が小さかったので♀のようです。 
そのまま入巣L。 


シーン29:5/30・午前4:04・(@11:56〜) 
日付が変わった未明に♀?が獣道を右下へ。 


シーン30:5/30・午前4:28・(@12:11〜)日の出時刻は4:16。 
日の出直後にアナグマが巣口Lを点検してから右下に立ち去りました。 
この個体はヘルパー♂か? 


シーン31:5/30・午前5:15・(@12:51〜) 
アナグマが左から右へ歩いて横切りました。 


シーン32:5/30・午前5:27・気温15℃(@13:00〜) 
別アングルの監視カメラに切り替わりました。 
奥の広場に座っていたアナグマが立ち上がって左へ。 
巣口Lを点検し、振り返ってから左へ立ち去りました。 


シーン33:5/30・午前5:26・(@13:44〜) 
同じシーンが旧機種のトレイルカメラでも撮れていました。 
巣口Lで周囲を警戒してから右下に走り去りました。 
この個体はヘルパー♂かな? 


シーン34:5/30・午後18:56・気温17℃(@14:00〜)日の入り時刻は午後18:57。 
日没直前の林内はほぼ真っ暗なのに、なぜかフルカラーで起動しました。 
アナグマが入巣R。 
巣口Rで何か(穴掘り?)作業しているような気もしますが、暗くて全く見えません。 


シーン35:5/31・午前2:59・気温11℃(@15:00〜) 
新機種トレイルカメラの設置場所を変更しました。 
(以前の設置場所に戻しました。)
画面中央に見えるのが巣穴Rで、その左奥に巣穴Lがあります。 

♀(右目<左目)が巣口Rの右の広場に座っていました。 
右の灌木林へ歩き出すと、別アングルで設置した新機種のトレイルカメラが起動し、それに反応してアナグマ♀が左を振り向きました。 


シーン36:5/31・午前2:59・気温11℃(@15:00〜) 
その様子が別アングルからも撮れていました。 
奥の林縁で♀が立ち止まってカメラを警戒していましたが、やがて右へ立ち去りました。 


シーン37:5/31・午後15:15・気温24℃(@15:33〜) 
珍しく明るい昼下がりにアナグマが活動していました。 
巣口Lの手前で身震いしてから入巣R。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
出巣Lの直前に 耳を澄ますと、ゴソゴソ物音が聞こえることがあります。 
巣口Lの近くで旧機種のトレイルカメラを固定した立木の根っこが地中まで伸びていますから、アナグマがトンネル内で移動する際に木の根を引っ掻く音が立木を伝導して聞こえているのかな?と推測しています。 



シロバナヤマフジの花で採餌するクマバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年5月上旬・午後15:20頃・晴れ 

民家の蔓棚で今年も見事に花が咲きました。 
いわゆる普通のフジ(藤)(ノダフジ)の紫の花と一緒に白い花の品種も並んで咲いていました。 
花序が短いので、シロナガフジ(白長藤)ではなくヤマフジの一品種であるシロバナヤマフジ(シラフジ、白藤)のようです。 
ヤマフジとノダフジは蔓の巻く向きが逆向きになるらしいのですが、この蔓棚では成長初期に庭師が人為的かつ強引に蔓の巻き方を変えたのか、不規則でよく分かりませんでした。 

長年の宿題だったキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)の訪花シーンをようやく撮影できました。 
♀との組み合わせは、これが初見になります。 

関連記事(同所で6、7年前の撮影)▶  


同じ藤の仲間でも花の咲く時期が少しずれるのか、今回クマバチ♀は白藤ばかり選んで訪花していました。 
マメ科植物に特有の蝶形花に正当訪花を繰り返し吸蜜するクマバチ♀の後脚をよく見ると、花粉籠は空荷でした。 
あまりにも忙しなく飛び回るので、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:15〜) 


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