2013年4月上旬
雪解けが進んだ里山の谷に居たニホンカモシカ(Capricornis crispus)が、横を登って来た私に驚いて斜面を駆け上がりました。
雪が溶けて土が露出した斜面のあちこちに椿(ユキツバキ?)の群落が多数見えるので、常緑の葉を採食していたのかもしれません。
逃げる途中で立ち止まって振り返り、フシュフシュ♪と鼻息を荒げて威嚇。(@0:11)
尾根まで登り切ると立ち止まりました。
手前にある雑木林の木立が邪魔ですが、カモシカはほぼ完璧な保護色になっています。
この状態で発見するのはまず無理でしょう。
カモシカも自らの保護色を自覚している気がします。
立位休息しながら木陰からチラチラ覗き、谷を挟んでこちらの様子を伺っています。
ようやく動き出したカモシカは尾根をゆっくり歩いて少し移動しました。
木立の隙間からこちらを何度も窺い、向きを変えてから雪面に座りました。(@4:45、座位休息)
より良い撮影アングルを求めて私が横に少し移動したら、その隙にカモシカは尾根を越えて逃げて行きました。(撮り損ね)
もう少し我慢して撮影を続けていれば、座ったまま反芻行動を始めたかもしれません。
鼻息威嚇♪を声紋解析してみる?
角も耳も正常で特徴の無い個体 |
座位休息@雪面 |
雪面で拾ったニホンカモシカの体毛
動画撮影後に、残雪の斜面を登りながらカモシカの足跡を逆向きに辿って行きました。
スギ植林地の斜面で、足跡の横に一本だけ灰色の長い毛が落ちていました。
カモシカが雪面に座り込んだ跡も無いのに、どうして毛が抜けたのか不思議です。
さきほど遭遇して逃げた個体の抜け毛でしょうか?
ノウサギの抜け毛である可能性もありますけど、辺りにウサギの足跡はありませんでした。
当地にニホンジカは生息していませんが、「寝床などで拾ったシカの毛はポキポキ折れるので、カモシカの毛とは容易に区別できる」そうです。
また、走査型電子顕微鏡を使って毛のキューティクルや髄の構造を観察すると同定が可能らしい。
(『日本動物大百科2哺乳類Ⅱ』p148より)
毛根からDNAが採取できれば確実でしょう。
こちら↓の参考文献に写真があります。
「走査型電子顕微鏡写真による獣毛の同定法」(1992):全文PDF
毛根 |
黒い部分 |
白い部分 |
毛先 |
この日はカモシカと計3回もニアミスしました。
つづく→「残雪期に椿の葉を食すニホンカモシカ」
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