2022/08/13

ホンドテンの糞を舐めて吸汁するイチモンジチョウとニクバエ

 

2022年6月中旬・午後12:25頃・晴れ 

里山の尾根道が合流する地点の近くにホンドテンMartes melampus melampus)がサインポストの糞を残していました。 
ズームインすると、糞に獣毛や果実の種子が混じっているのが見えます。 
獣糞の内容物調査を真面目にやったら面白そうですけど、忙しくてなかなか手が回りません。 

私が知らずに近づいたらイチモンジチョウLimenitis camilla japonica)が地上(糞の上から)から飛んで逃げました。 
状況を見て意図を察した私がじっと立ち止まってしばらく待つと、蝶はほぼ同じ場所に舞い戻って来てくれました。 
警戒しながら少しずつ獣糞に近づいて行きます。 
テンの糞は複数並んでいて(溜め糞?)、その一つにイチモンジチョウは口吻を伸ばして舐め始めました。
獣糞を吸汁してミネラル成分を摂取しているのでしょう。 
残念ながら真上から見下ろすアングルでは口吻がよく見えません。 
横からの撮影アングルで吸汁シーンをじっくり撮ろうと私がそっと移動したら、イチモンジチョウは飛んで逃げてしまいました。 

テンの糞にはニクバエの一種も来ていて、吸汁したり身繕いしたりしていました。 

熊谷さとし、安田守『哺乳類のフィールドサイン観察ガイド』によれば、
テンのフィールドサインといえば、サインポストの意味をもつフンだ。切り株の上や人工物の突端、林道の真ん中など、目立つ場所で見つかる。(中略)夏季のフンには、小型哺乳類の骨片や小鳥の羽毛などが見つかる。初秋から春にかけては、内容物のほとんどが果実の種子だ。古いフンは、衣類用防虫剤に似たニオイがする。(p60より引用)

次に機会があれば、本当にナフタリン臭いかどうか確かめてみようと思います。

ホンドテンが尾根道のいつも同じ場所に排便しているのだとすれば、トレイルカメラを設置したいところです。 

しかし、ここは登山客がよく通る道なので、難しそうです。

この場所を通りかかる毎に注意して見ていると、 テンはなぜかここで糞をしなくなってしまいました。

(気温の高い夏には糞虫などによってテンの糞はあっという間に埋められたり食べられたりしているのかもしれません。)

後日、同じ山域でホンドテンが確かに生息しているという証拠映像を撮ることが出来ました。(映像公開予定) 

2022/08/12

初夏の山林で野生ニホンカモシカとにらめっこ

 

2022年6月中旬・午後14:15頃・晴れ 

私が里山の急な山道を静かに下っていたら、前方で休んでいた(寝ていた?)らしいニホンカモシカCapricornis crispus)が不意をつかれて逃げ出しました。 
カモシカが蹄で急斜面の山道を駆け降りる際にドドド…♪と地響きのような足音を立てました。 
(映像はここから。)
林道の両脇が少し斜面になっていて、左奥の茂みにカモシカが逃げ込みました。 
周囲はスギの植林地ですがあまり手入れが行き届いておらず、雑木も混じっています。(混合林) 
逃げる途中で立ち止まったカモシカがこちらを振り返り、茂みの陰から顔を上げました。
 「はい、ひょっこりはん」 
カメラでズームインすると、少し離れたところから私と真正面から対峙していました。 
逃げ込んだ雑木林の茂みの陰からこちらの様子を伺っています。 
角や耳介に素人でも個体識別できそうな特徴は特に見当たりません。 
しばらくすると顔が真横を向きましたが、すぐに私の方へ向き直りました。 
 近くで野次馬のカケスGarrulus glandarius)がジェージェー♪と囃し立てています。 
ニホンカモシカは濡れた鼻先をヒクヒクさせて風の匂いを嗅いでいます。 
たまに涎を垂らしたり、口が反芻の動きをしました。
関連記事(11、2年前の撮影)▶  
野生ニホンカモシカの反芻行動 
山腹に座って反芻・雨宿りするニホンカモシカ
カモシカは結構長い時間黙って私と対峙していました。
私が動きを止めて(フリーズ状態)撮影に集中していると、やがてカモシカはフシュ♪と鼻息を荒げて威嚇してきました。(@3:43) 
初めは単発で私の反応を伺っています。 
それでも私がじっとしていると、鼻息威嚇を連発してきました。 
遂にカモシカは急に方向転換し、茂みの奥に走り去りました。 
私がカメラをズームアウトしかけたら、再びカモシカの鋭い鼻息威嚇♪が聞こえます。 
私がしつこくカメラを再ズームインすると、カモシカは立ち止まってこちらを振り返っていました。 
頻りに首を振ったり耳介を動かして、顔にたかる吸血性の昆虫を払っています。 
最後は急に身を翻して逃走開始。 
揺れる茂みの奥で鼻息威嚇♪が遠ざかって行きます。

カモシカの視力はあまり良くないので、私が顔に迷彩柄(カモフラージュ)のマスクを着用すれば、警戒心が和らいだかもしれません。
コロナ禍とは言え、誰とも出会わない人里離れた山中でマスクをするのも馬鹿らしいですし、登山中にマスクすると顔に張り付いてまるで高地トレーニングのように呼吸が苦しくなるし、暑くてたまりません。
そのため、このとき私はマスクを外していました。
ポケットから迷彩マスクをそっと取り出そうか迷いましたが、今回は撮影を優先しました。 
 

2022/08/11

ムカデを捕食するコムクドリ♂(野鳥)

 

2022年6月中旬・午前10:10頃・くもり 

お寺の境内の電線に止まったコムクドリ♂(Sturnus philippensis)が何か細長い獲物を咥えて振り回し、電線に叩きつけて殺しています。 
土壌生物の泥汚れを振り落としているかな? 
獲物のシルエットしか見えませんが、歩脚が多数あるので多足類のおそらくムカデ(百足)の仲間だと思います。  
(ヨトウムシのような芋虫にしては長過ぎる気がします。) 
獲物を巣に持ち帰って雛鳥へ給餌するかと思いきや、コムクドリ♂はその場でムカデ?を飲み込みました。 

食後に足元の電線に嘴を擦り付けてきれいします。 
次に固形の糞をポトリと排泄しました。(@0:47) 
まずは1/5倍速のスローモーションで脱糞シーンをご覧ください。 
直後に等倍速でリプレイ。 
ピュルル♪と小声で鳴き、左足で体を掻きました。 
最後は小声で鳴きながら電線から飛び去りました。(@1:12) 
飛び立つ瞬間をまずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
直後に等倍速でリプレイ。 

近くでモズやカワラヒワが鳴く声が聞こえます。

2022/08/10

右目が失明したハクビシン【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年6月中旬・午後22:36 

川沿いのコンクリート護岸をトレイルカメラ(無人センサーカメラ)で監視していると、夜行性のハクビシン(白鼻芯、白鼻心;Paguma larvata)が獣道を左から右下へ(川下へ)通過しました。 
途中に生えたフキの葉の根元で立ち止まり、地面の匂いを嗅いでいました。 

この個体は赤外線の暗視映像で左目だけが白く光っていることに気づきました。 
どうやら右目が失明しているようです。
縄張り争いで負傷したのかな? 
この分かりやすい形質は個体識別に使えそうです。 

ハクビシンは木登りが得意と言われていますが、その様子を私は未だ実際に見たことはありません。 
隻眼のハクビシンは立体視ができなくなりますから遠近感が掴めなくなります。
その結果、木登りや生きた小動物・昆虫の狩り・捕食に支障を来すのではないかと心配です。 

1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 
後半のスローシーンにだけ自動色調補正を施して明るく加工しています。

前回の記事:▶ 川沿いの獣道を夜に駆けるハクビシンの群れ【暗視映像:トレイルカメラ】

前回の動画では同じ獣道で少なくとも3頭の家族群が一緒に行動していました。 
その映像を改めて見直しても、隻眼の個体は写っていませんでした。 
顔の正面または右側をカメラに向けてくれないと目の状態がチェックできないのです。



2022/08/09

クリの花で採餌するオオマルハナバチ♀

 

2022年6月中旬・午後15:00頃・くもり

郊外の道端に植栽された大きなクリ(栗)の木の下で歩いていたら、咲きかけの花穂にマルハナバチ類が何匹も来ていることに気づきました。 
この組み合わせは初見です。 
まずはオオマルハナバチBombus hypocrita)ワーカー♀の訪花シーンを撮りました。 
薄い橙色の花粉団子を後脚の花粉籠に満載しています。 
あいにく大型車両が通りかかって私が横にどく必要があり、じっくり撮影できませんでした。 

クロマルハナバチは平地性でオオマルハナバチは山地性と標高によって棲み分けの傾向があると大まかに言われています。 
実は今回、同じクリの木で2種が同時に訪花していました。(クロマルハナバチ♀の動画も公開予定) 
現場は平地(標高約330m)なのに2種のマルハナバチが同所性に混棲していることになります。
2種の行動圏が重なり合う境界部をたまに見つけるのですけど、マルハナバチの住みやすい環境ということなのでしょうか。

関連記事(5、6年前の撮影)▶ 

2022/08/08

川の護岸をホンドタヌキが深夜徘徊【暗視映像:トレイルカメラ】

 

2022年5月下旬・午後23:54 

川沿いのコンクリート護岸を通る獣道をトレイルカメラ(無人センサーカメラ)で監視すると、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が真夜中に通りかかりました。 
夏毛のタヌキは痩せこけて見えます。 
それとも食糧事情が悪いのでしょうか? 
獣道に立ち止まってから左へ(上流へ)立ち去りました。 
短い記録なので、1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 

画面の下から上に向かって緩やかな上り坂になっていて、その上のニセアカシア河畔林にタヌキの溜め糞場rvがあります。(画角の外) 
その溜め糞場に設置した別のトレイルカメラにはこの時間帯にタヌキの姿は写っていませんでした。 
したがって、この個体は溜め糞場を素通りしたことになります。 

ちなみに強風が吹くと、トレイルカメラを固定したニセアカシア立木の幹が左右にゆっくり揺れて動体検知が誤作動してしまいます。 
もっと太くて頑丈な樹木に固定するか、どうしようもないと諦めるしかありません。 


つづく→#2

2022/08/07

水田の畦道で巣材の泥を集めるツバメの親鳥(野鳥)

 

2022年6月中旬・午後17:20頃・晴れ 

夕方の農村部で水田の端にツバメHirundo rustica)が降り立ちました。 
ツバメは常に飛び回っていて、地上に降りることは滅多にありません。 
水浴や飲水も飛びながら瞬時に行うのです。 

珍しく思いカメラでズームインしてみると、ツバメは畦道の横で枯れ草混じりの泥を嘴で集めていました。 
恥ずかしながら、ツバメの巣材集めは初見です。 
巣材を咥えて飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
高速で飛び去るツバメを見失ってしまい、どこで営巣しているのか不明です。 
おそらく近所の農家の軒下に巣を作っているのでしょう。 
近年の日本ではツバメが住宅難のために数が激減していて、なかなか観察できなくなってしまいました。

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